JPH0524992A - 六ホウ化ランタン単結晶の育成法 - Google Patents

六ホウ化ランタン単結晶の育成法

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JPH0524992A
JPH0524992A JP3204837A JP20483791A JPH0524992A JP H0524992 A JPH0524992 A JP H0524992A JP 3204837 A JP3204837 A JP 3204837A JP 20483791 A JP20483791 A JP 20483791A JP H0524992 A JPH0524992 A JP H0524992A
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茂樹 大谷
Takao Tanaka
高穂 田中
Yoshio Ishizawa
芳夫 石沢
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 欠陥の少ない良質なホウ化ランタン単結晶を
得る。 【構成】 フローティング・ゾーン法により六ホウ化ラ
ンタン単結晶を育成するに際し、融帯組成をLaB6より
ランタン過剰にすることにより、育成温度を低下させる
ことを特徴としている。融帯組成のB/Laモル比が2
〜5で結晶中の粒界を減少でき、特に3〜2.5の組成
範囲で再現性よく、粒界のない単結晶を育成できる。こ
の融帯組成にするには、原料焼結棒と初期融帯育成用の
焼結棒又は種結晶の間にランタン塊を挾んで溶融させる
方法、又は原料焼結棒としてLaB6よりランタン過剰の
焼結棒を用いる方法がある。六ホウ化ランタン単結晶は
寿命の長い高輝度電子放射材料などに用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フローティング・ゾー
ン(FZ)法によるホウ化ランタン(LaB6)単結晶の育成
法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ホウ化
ランタン単結晶は、現在、寿命の長い高輝度電子放射材
料として、走査型電子顕微鏡や電子描画装置などに利用
されている。この電子放射材料として用いる場合、純度
の高い高品質単結晶が必要である。
【0003】高純度なホウ化ランタン単結晶の育成法と
しては、育成温度が高く、不純物が蒸発により除去され
るフローティング・ゾーン(FZ)法が適している。しか
しながら、FZ法により育成された単結晶中には多くの
欠陥(例えば、粒界密度で400cm/cm2)が存在すると
いう欠点があった。このため、高品質な部分を選び、電
子放射材として使用せざるを得ないのが実情である。
【0004】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し
て、欠陥の少ない良質なホウ化ランタン単結晶を得る方
法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者らは、従来のFZ法において結晶中に粒界
を生じさせている要因を調べた結果、次のことが判明し
た。
【0006】すなわち、ホウ化ランタン結晶の育成温度
が約2700℃と高いため、育成された単結晶は非常に
高い温度勾配(約150℃/mm)の下を通過することにな
る。この育成後の冷却過程において発生する熱応力によ
り、結晶中に粒界を発生させ、結晶性の低下を招くこと
が判明した。
【0007】そこで、結晶が育成後受ける熱応力を小さ
くするため、自己フラックス法により育成温度を下げ、
六ホウ化ランタン単結晶の育成をフローティング・ゾー
ン法により試みた。
【0008】その結果、ランタンをフラックスに用いた
場合、すなわち、融帯組成をランタン過剰にした場合、
育成される六ホウ化ランタン単結晶に粒界の含まない良
質単結晶が得られるようになった。これらの知見に基づ
き、本発明をなしたものである。
【0009】すなわち、本発明は、フローティング・ゾ
ーン法により六ホウ化ランタン単結晶を育成するに際
し、融帯組成をLaB6よりランタン過剰にすることによ
り、好ましくは、融帯組成のB/Laモル比を2〜5に
することにより、育成温度を低下させることを特徴とす
る良質六ホウ化ランタン単結晶の育成法を要旨とするも
のである。
【0010】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0011】
【作用】
【0012】本発明において用いられる装置の一例を図
1に示す。図中、1は高周波発振機、2は電源ライン、
3と4は高周波電流と陽極電圧の検出器(デジボル)、5
はコンピュータ、6は育成炉、7と7′はそれぞれ上軸
と下軸、8と8′はホールダー、9は原料棒、9′は初
期融帯形成用の焼結棒又は種結晶、10は融帯、11は
単結晶、12はワークコイル、13は上軸駆動炉、14
は原料供給棒の半溶融部分である。
【0013】試料の加熱は、ワークコイル12に高周波
電流を流すことにより、試料中に誘導電流を生じさせ、
そのジュール熱により行なう。このようにして形成され
た融帯10に上方より原料棒9を送り込み、下方より単
結晶11を育成する。
【0014】育成中の融帯10の形状は、融帯とワーク
コイル間の相互インピーダンス変化により検出すること
ができる。すなわち、融帯が細くなれば、インピーダン
スが低くなり、高周波電流が増加する。逆に太くなれ
ば、高周波電流が減少する。したがって、陽極電圧との
比(高周波電流/陽極電圧)をとれば、融帯が細くなると
比の値が増加し、太くなると比の値が減少する。
【0015】したがって、高周波電流と陽極電圧を2台
のデジボル3、4により検出し、コンピュータ5におい
て、融帯形状を判断し、その結果に基づき、融帯形状が
一定になるように、育成炉の上軸7(原料棒9)の移動速
度を制御する。
【0016】この方法に従うと、育成中の融帯が一定に
保持されるため、育成される結晶の直径がスムースにな
り、手動育成に比較して再現性よく粒界の含まない単結
晶を育成するのに有効である。
【0017】次に本発明による単結晶の手順を示す。ま
ず、原料のLaB6粉末に、結合剤として少量の樟脳を加
えて、ラバープレス(2000kg/cm2)により圧粉棒を
作製する。この圧粉棒を真空中又は不活性ガス雰囲気中
で千数百℃に加熱して、原料焼結棒を作製する。
【0018】得られた焼結棒9を上軸7にホルダー8を
介してセットし、下軸7′には、初期融帯形成用の焼結
棒又は種結晶9′をホルダー8′を介してセットする。
両者9、9′の間に、初期融帯組成を制御するためのラ
ンタン金属塊を挾む。次に、La金属とその周辺を加熱
により溶融させ、融帯10を形成させ、上軸7と下軸
7′をゆっくりと下方に移動させて単結晶11を育成す
る。
【0019】この時、下軸7′の移動速度、すなわち、
結晶育成速度は、育成中常に一定に保持する。その範囲
は0.2〜4cm/h、好ましくは0.2〜1.5cm/hであ
る。結晶中に気泡が入り易いので、LaB6融液からの従
来の育成法に比較して育成速度を遅く設定している。上
軸7の移動速度の設定値は、原料焼結棒の密度が一般に
100%でないため、それを補償するように下軸7の移
動速度より速く設定されている。この設定値を基準にし
て、融帯形状の変化に伴い、上軸移動速度を速くしたり
又は遅くしたり、コンピュータ制御される。
【0020】雰囲気としては数気圧のアルゴン又はヘリ
ウムなどの不活性ガスが用いられる。これは、蒸発の抑
制と高周波ワークコイル部分で発生する放電を防止する
ためである。
【0021】融帯組成は育成中蒸発などにより変化しな
いので、最初にセットするランタン金属塊の量のみで制
御できる。したがって、育成開始後1時間以後において
(すなわち、定常状態において)、加熱電力制御の必要な
く結晶を育成できる。この際、育成温度が低い程(すな
わち、ランタン添加量の多い程)、結晶中の粒界が少な
くなる傾向にある。
【0022】しかしながら、融帯中のランタン含有量が
多過ぎると、原料棒の半溶融状態部分(図1の半溶融部
分14)における融液量が増加し、融帯保持及び溶け込
みが悪くなり、安定な育成が困難になる。その結果、再
現性よく、粒界を含まない良質結晶の育成が困難にな
る。
【0023】結局、後述の実施例に示すように、融液組
成(B/Laモル比)が5〜2の範囲で結晶中の粒界を減
少できる。特に3〜2.5の組成範囲で再現性よく、粒
界のない単結晶を育成できる。
【0024】このように融帯組成をLaB6よりランタン
過剰にする方法としては、ランタン塊を挾む方法が好ま
しいが、融帯中のランタン成分を過剰にする他の方法と
しては、六ホウ化ランタンよりランタン過剰の原料焼結
棒(例えば、B/La=5.5)を用い、前述のLa金属塊
を用いる場合と同じ育成条件でフローティング・ゾーン
を行なうことにより、融液中にランタンを過剰にするこ
とができる。この方法の場合、融帯中のランタン成分の
増加と共に、加熱電力を下げる必要が生じるが、粒界の
ない結晶を上記方法と同様に育成できる。
【0025】以上の育成法は、高周波加熱以外の加熱
法、例えば、赤外線集中加熱による単結晶育成にも適用
することができる。
【0026】次に本発明の実施例を示す。
【0027】
【実施例】市販のLaB6粉末に結合剤として樟脳を少量
加えて混合した。この混合物を直径12mmのゴム袋に詰
めて円柱状にし、これを2000kg/cm2のラバープレ
スを行なって圧粉棒を得た。この圧粉棒を真空中、18
00℃で加熱して直径10mm、長さ約12cm程度の焼結
棒を得た。
【0028】この焼結棒を図1に示すFZ育成炉の上軸
にホルダーを介して固定し、下軸にはLaB6単結晶を固
定した。両者の間にLa金属を挾み、融帯組成を制御し
た。育成炉に7気圧のアルゴンを充填した後、高周波コ
イル(内径14mm、3巻2段)によりLa金属とその周辺
部を溶かし、初期融帯を形成し、0.75cm/hの速度で
8時間下方に移動させて、<100>方位に全長6cm、
直径0.8cmの単結晶を育成した。
【0029】育成中の融帯形状制御は、次の要領で行な
った。すなわち、育成を開始して1時間後の安定化した
時の融帯形状を基準形状(高周波電流/陽極電圧=14
1.7/4.35)とした。上軸の移動速度制御は、{基
準速度(9mm/h)+10×(その時点の融帯形状−基準形
状)+150×(毎秒当りの融帯形状変化)}の式に従い
行なった。スムースな外形を持つ単結晶の育成に有効で
あった。
【0030】単結晶の粒界密度については、結晶棒終端
部の(100)面を切り出し、鏡面研磨した後、エッチン
グ(硝酸:水=1:2の液で30秒程度)して測定した。
図2に、融帯の体積0.2cm2に対する初期融帯への添加
ランタン金属量(g)、すなわち、融帯組成(B/Laモル
比)と粒界密度(cm/cm2)の関係を示す。図より、粒界
は、融帯組成(B/Laモル比)が5〜2の範囲で減少し
ていることがわかる。3〜2の範囲で粒界のない良質結
晶が育成できた。2.5以下の融帯組成では、しばしば
結晶始端部が多結晶化した。融液組成2.85における
育成温度は約2250℃で、従来の育成法に比較して5
00℃近く低かった。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
欠陥の少ない良質なホウ化ランタン単結晶が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる単結晶育成装置の一例を示
す説明図である。
【図2】融帯組成(B/Laモル比)と粒界密度(cm/cm2)
の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 高周波発振機 2 電源ライン 3 高周波電流の検出器(デジボル) 4 陽極電圧の検出器(デジボル) 5 コンピューター 6 単結晶育成炉 7 上軸 7′ 下軸 8 ホルダー 8′ホルダー 9 原料焼結棒 9′ 種結晶又は初期融帯保持用焼結棒 10 融帯 11 単結晶 12 ワークコイル 13 上軸駆動部 14 半溶融部分

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フローティング・ゾーン法により六ホウ
    化ランタン単結晶を育成するに際し、融帯組成をLaB6
    よりランタン過剰にすることにより、育成温度を低下さ
    せることを特徴とする良質六ホウ化ランタン単結晶の育
    成法。
  2. 【請求項2】 融帯組成のB/Laモル比が2〜5であ
    る請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 原料焼結棒と初期融帯育成用の焼結棒又
    は種結晶の間にランタン塊を挾んで溶融させる請求項1
    又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 原料焼結棒としてLaB6よりランタン過
    剰の焼結棒を用いる請求項1又は2に記載の方法。
JP3204837A 1991-07-19 1991-07-19 六ホウ化ランタン単結晶の育成法 Expired - Lifetime JPH0751480B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0733594A (ja) * 1992-05-18 1995-02-03 Natl Inst For Res In Inorg Mater ホウ化ランタン系単結晶の育成法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6086098A (ja) * 1983-10-18 1985-05-15 Natl Inst For Res In Inorg Mater ほう化ランタン単結晶の育成法

Patent Citations (1)

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