JPH0733594A - ホウ化ランタン系単結晶の育成法 - Google Patents

ホウ化ランタン系単結晶の育成法

Info

Publication number
JPH0733594A
JPH0733594A JP14982892A JP14982892A JPH0733594A JP H0733594 A JPH0733594 A JP H0733594A JP 14982892 A JP14982892 A JP 14982892A JP 14982892 A JP14982892 A JP 14982892A JP H0733594 A JPH0733594 A JP H0733594A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
single crystal
crystal
zone
growth
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP14982892A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07115993B2 (ja
Inventor
Shigeki Otani
茂樹 大谷
Shigeru Honma
茂 本間
Takao Tanaka
高穂 田中
Yoshio Ishizawa
芳夫 石沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Research in Inorganic Material
Original Assignee
National Institute for Research in Inorganic Material
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Research in Inorganic Material filed Critical National Institute for Research in Inorganic Material
Priority to JP4149828A priority Critical patent/JPH07115993B2/ja
Publication of JPH0733594A publication Critical patent/JPH0733594A/ja
Publication of JPH07115993B2 publication Critical patent/JPH07115993B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 欠陥の少ない良質なホウ化ランタン系単結晶
を得る。 【構成】 フローティング・ゾーン法により、六ホウ化
ランタンを端成分とする組成式 【化1】 (ここで、M=Ce、Pr、Nd、又はこれらの混合物、
x=0〜0.5)の固溶体単結晶を育成するに際し、融
帯組成(B/(La+M)の原子比)を2〜6(好ましくは
2.5〜4.5)にすることにより育成温度を低下される
ことを特徴としている。Mを添加することにより結晶の
機械的強度を上げ、熱応力による結晶性の低下を小さく
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フローティング・ゾー
ン(FZ)法による六ホウ化ランタンを端成分とする組成
【化2】 (ここで、M=Ce、Pr、Nd、又はこれらの混合物、
x=0〜0.5)の固溶体単結晶の育成法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】六ホウ
化ランタン単結晶は、現在、寿命の長い高輝度電子放射
材料として、走査型電子顕微鏡や電子描画装置などに利
用されている。この電子放射材料として用いる場合、純
度の高い高品質単結晶が必要である。
【0003】高純度な六ホウ化ランタン単結晶の育成法
としては、育成温度が高く、不純物が蒸発により除去さ
れるFZ法が適している。しかしながら、従来のFZ法
により育成される単結晶中には多くの欠陥(例えば、粒
界密度で400cm/cm2)が存在する欠点があった。この
ため、高品質な部分を選び、電子放射材として使用せざ
るを得ないのが実情である。
【0004】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、
欠陥の少ない良質なホウ化ランタン系単結晶を得る方法
を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者らは、従来のFZ法において結晶中に粒界
を生じさせている要因を調べた結果、次のことが判明し
た。
【0006】すなわち、ホウ化ランタン単結晶の育成温
度が約2700℃と高いため、結晶は非常に高い温度勾
配(約150℃/mm)の下を通過することになる。この成
長直後の冷却過程において発生する熱応力により、結晶
中に粒界を発生させ、結晶性の低下を招くことが判明し
た。
【0007】そこで、熱応力による結晶性の低下を小さ
くするため、固溶体効果により結晶自身の機械的強度を
上げた。更に、結晶が受ける熱応力そのものを小さくす
るため、自己フラックス法により育成温度を下げた。こ
の2つの対策を行い、ホウ化ランタン系単結晶の育成を
FZ法により試みた。
【0008】すなわち、添加剤として、LaB6の熱電子
放射特性を損なわないように、50at%までCeB6、P
rB6、NdB6又はこれらの混合物を添加し、結晶の機械
的強度をあげた。更に、融帯組成を金属過剰にし、すな
わち、金属(LaとM)をフラックスに用い育成温度を下
げた。融液組成(B/(La+M)の原子比)は6〜2まで
の範囲(好ましくは4.5〜2.5)とした。その結果、
育成された単結晶は粒界を含まず残留歪みの少ない良質
単結晶が得られるようになった。融液組成が2未満では
融帯の安定な保持が難しく、安定な結晶育成が不可能と
なり、また6を超えるとホウ素の蒸発が激しくなること
及び原料棒の融液への染み込みが生じ安定な育成が不可
能となり、いずれも良質の単結晶が得られない。また、
添加量が50at%を超えると単結晶からの電子放射特性
がLaB6に比較して悪くなり好ましくない。
【0009】これらの知見に基づき、本発明をなしたも
のである。
【0010】すなわち、本発明は、フローティング・ゾ
ーン法により、六ホウ化ランタンを端成分とする組成式
【化3】 (ここで、M=Ce、Pr、Nd、又はこれらの混合物、
x=0〜0.5)の固溶体単結晶を育成するに際し、融
帯組成(B/(La+M)の原子比)を2〜6にすることを
特徴とする良質六ホウ化ランタン系単結晶の育成法を要
旨とするものである。
【0011】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0012】
【作用】
【0013】本発明において用いられる装置の一例を図
1に示す。図中、1と1′はそれぞれ上軸と下軸の駆動
部、2と2′はそれぞれ上軸と下軸、3と3′はホルダ
ー、4はワークコイル、5は種結晶又は初期融帯形成用
の焼結棒、6は単結晶、7は融帯、8は半溶融部分、9
は原料焼結棒、10は電源ライン、11は高周波発振
機、12と13はそれぞれ陽極電圧と高周波電流を測定
するためのデジボル、14はコンピュータ(パソコン)で
ある。
【0014】試料の加熱は、ワークコイル4に高周波電
流を流すことにより、試料に誘導電流を生じさせ、その
ジュール熱により行う。このようにして、形成された融
帯7に上方より原料棒を送り込み、下方より単結晶6を
育成する。
【0015】育成中の融帯7の形状は、融帯とワークコ
イル間の相互インピーダンス変化により検出することが
できる。すなわち、融帯が細くなれば、インピーダンス
が低くなり、高周波電流が増加する。逆に太くなれば、
高周波電流が減少する。この時、陽極電圧との比(高周
波電流/陽極電圧)をとれば、たとえ育成中加熱電力が
変化しても、融帯が細くなれば比の値が増加し、太くな
れば比の値が減少するので、融帯の形状が検出できる。
【0016】したがって、高周波電流と陽極電圧を2台
のデジボル12、13により検出し、コンピュータ14
において、融帯形状を判断し、その結果に基づき融帯形
状を一定になるように、育成炉上軸2(原料棒9)の移動
速度を制御する。
【0017】この方法に従うと、育成中融帯形状が一定
に保持されるため、育成される結晶の直径がスムースに
なり、手動育成に比較して、再現性良く粒界の含まない
単結晶を育成するのに有効である。
【0018】この育成法は、原料棒組成制御(MB6の添
加)と融帯組成制御を行った育成法である。前者のみの
制御の場合、LaB6結晶と同じ育成条件で、育成上問題
もなく育成できる。X線トポグラフによる観察では、反
射に大きな模様の濃淡が観察され、結晶に歪みの残留し
ていることを示している。一方、後者のみ制御した場合
は、結晶に気泡が入り易く、育成速度を従来のLaB6
晶の育成に比較して半分以下に下げる必要がある。得ら
れる結晶のX線トポグラフによる観察では、反射に重な
りや分離は見られないが、エッチングでは観察されない
方位のずれの小さな粒界がみられる。本発明により得ら
れる結晶では、粒界が観察されず、結晶中の残留歪みが
明らかに少なくなっていた。
【0019】次に、本発明による単結晶育成の手順を示
す。
【0020】原料としては、LaB6に0〜50at%のM
6(ここで、M=Ce、Pr、Nd、又はこれらの混合物)
を添加したものを使用する。
【0021】まず、原料のホウ化ランタン粉末と稀土類
ホウ化物粉末(或いは、稀土類酸化物とホウ素)を所定比
によく混合後、結合剤として少量の樟脳を加え、ラバー
プレス(2000kg/cm2)により圧粉棒を作製する。こ
の圧粉棒を真空中又は不活性ガス中で千数百℃に加熱
し、原料焼結棒を作製する。
【0022】得られた焼結棒9を上軸2にホルダー3を
介してセットし、下軸2′には<100>種結晶(又は
初期融帯形成用の焼結棒)5をホルダー3´を介してセ
ットする。両者9と5の間に、初期融帯の組成を制御す
るための所定量及び所定組成の稀土類金属塊を挾む。次
に金属塊とその周辺を加熱により溶融させ、融帯7を形
成させ、上軸2と下軸2′をゆっくりと下方に移動させ
て単結晶6を育成する。
【0023】このとき、下軸2′の移動速度、すなわ
ち、結晶育成速度は育成中常に一定に保持する。その範
囲は0.2〜4cm/h、好ましくは、0.5cm/h以下であ
る。金属過剰の融帯を用いると結晶中に気泡が入り易い
ので、従来の育成法に比較して遅く設定する。上軸2の
移動速度、すなわち、原料棒の融帯への供給速度は、原
料棒の密度が低いので、それを補償するように下軸の移
動速度より通常30%程度速く設定する。この設定値を
基準にして、融帯形状の変化に伴い、上軸移動速度を速
くしたり又は遅くしたり、コンピュータ制御される。
【0024】雰囲気としては、数気圧のアルゴン又はヘ
リウムなどの不活性ガスを用いる。これは高周波ワーク
コイル部分で発生する放電を防止するためである。
【0025】これらの系における結晶育成では、初期融
帯にLa或いはCe金属を用いれば、それらの混合組成を
考慮しなくとも、2cm程度の融帯移動で定常状態に至
り、それ以降は組成均一な結晶が得られる。組成式
【化4】 におけるxが0.5以下の組成範囲においては、分配係
数(k)(すなわち、結晶と融帯におけるM/(La+M)原
子比の比)はほぼ一定で、CeB6の場合はk=0.75、
PrB6の場合はk=0.64、NdB6の場合はk=0.5
5であった。蒸発による組成変化は、Ce、Pr、Ndと
原子番号が増加するほど、大きく、育成温度が下がるほ
ど小さかった。原料棒と結晶の組成差は、上機組成式で
表わしたxでせいぜい3%であった。
【0026】以上の育成法は、高周波加熱以外の加熱
法、例えば、赤外線集中加熱によるFZ法によっても単
結晶の育成に適用することができる。
【0027】次に本発明の実施例を示す。
【0028】
【実施例1】市販のLaB6粉末に30at%のCeB6粉末
をB/La=7.7になるように混合した後、結合剤とし
て樟脳を少量加え、直径12mmのゴム袋に詰め円柱形に
した。これを2000kg/cm2のラバープレスを行って
圧粉体を得た。この圧粉体を真空中、1800℃で加熱
し、直径11mm、長さ12cm程度の焼結棒を得た。密度
は約55%であった。
【0029】この焼結棒を図1に示すFZ育成炉の上軸
にホルダーを介して固定し、下軸には<100>LaB6
単結晶を固定した。両者の間に0.8gのランタン金属塊
を挾み、融帯組成を制御した。育成炉に7気圧のアルゴ
ンを充填した後、高周波コイル(内径14mm、3巻2段)
によりランタン金属塊とその周辺部を溶かし初期融帯を
形成し、0.5cm/hの速度で12時間に下方に移動さ
せ、全長6cm、直径0.95cmの単結晶を育成した。育
成温度は2300℃で、従来の育成法に比較して400
℃低かった。育成した結晶棒の中央部以降は組成変化が
なく、一定な組成を持つ(La0.71Ce0.29)B6結晶を育
成した。融帯組成は(La0.6Ce0.4)B3.2であった。
【0030】単結晶の粒界密度については、結晶棒終端
部から(100)面を切り出し、鏡面研磨の後、エッチン
グ(硝酸:水=1:2の液で30秒程度)して測定した。
線状に観察される亜粒界が、エッチング・パターン上で
みられず、X線トポグラフの観察において、反射強度が
結晶全体でほぼ一定で、残留歪みの少ない良質結晶であ
ることを確認した。
【0031】
【実施例2】市販のLaB6粉末に21at%のPrB6及び
18at%のNdB6を含有するように、それぞれ酸化物と
ホウ素を所定量混合し、出発物質とした。次いで、実施
例1と同じ方法により、単結晶を育成した。但し、初期
融帯形成のための金属量については、PrB6とNdB6
加の場合、それぞれ0.98gと1.2gのLa金属を用い
た。
【0032】得られた結晶の組成はそれぞれ(La0.82
r0.18)B6、(La0.85Nd0.15)B6であった。その際、融
帯組成はそれぞれ(La0.72Pr0.28)B2.8、(La0.73Nd
0.27)B2.5であった。
【0033】これら単結晶の(100)面におけるエッチ
ング・パターンを観察した結果、共に粒界の存在が確認
できず、X線トポグラフの観察においても残留歪みの少
ない良質結晶であることを確認した。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
欠陥及び残留歪みの少ないホウ化ランタン系単結晶が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられた単結晶育成装置の一例を示
す説明図である。
【符合の説明】
1 上軸駆動部 1′ 下軸駆動部 2 上軸 2′ 下軸 3 ホルダー 3′ ホルダー 4 ワークコイル 5 種結晶又は初期融帯形成用の焼結棒 6 単結晶 7 融帯 8 半溶融部分 9 原料焼結棒 10 電源ライン 11 高周波発振機 12 デジボル 13 デジボル 14 コンピュータ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 (ここで、M=Ce、Pr、Nd、又はこれらの混合物、
x=0〜0.5)の固溶体単結晶を育成するに際し、融
帯組成(B/(La+M)の原子比)を2〜6にすることを
特徴とする良質六ホウ化ランタン系単結晶の育成法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フローティング・ゾー
ン(FZ)法による六ホウ化ランタンを端成分とする組成
【化2】 (ここで、M=Ce、Pr、Nd、又はこれらの混合物、
x=0〜0.5)の固溶体単結晶の育成法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】六ホウ
化ランタン単結晶は、現在、寿命の長い高輝度電子放射
材料として、走査型電子顕微鏡や電子描画装置などに利
用されている。この電子放射材料として用いる場合、純
度の高い高品質単結晶が必要である。
【0003】高純度な六ホウ化ランタン単結晶の育成法
としては、育成温度が高く、不純物が蒸発により除去さ
れるFZ法が適している。しかしながら、従来のFZ法
により育成される単結晶中には多くの欠陥(例えば、粒
界密度で400cm/cm2)が存在する欠点があった。この
ため、高品質な部分を選び、電子放射材として使用せざ
るを得ないのが実情である。
【0004】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、
欠陥の少ない良質なホウ化ランタン系単結晶を得る方法
を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者らは、従来のFZ法において結晶中に粒界
を生じさせている要因を調べた結果、次のことが判明し
た。
【0006】すなわち、ホウ化ランタン単結晶の育成温
度が約2700℃と高いため、結晶は非常に高い温度勾
配(約150℃/mm)の下を通過することになる。この成
長直後の冷却過程において発生する熱応力により、結晶
中に粒界を発生させ、結晶性の低下を招くことが判明し
た。
【0007】そこで、熱応力による結晶性の低下を小さ
くするため、固溶体効果により結晶自身の機械的強度を
上げた。更に、結晶が受ける熱応力そのものを小さくす
るため、自己フラックス法により育成温度を下げた。こ
の2つの対策を行い、ホウ化ランタン系単結晶の育成を
FZ法により試みた。
【0008】すなわち、添加剤として、LaB6の熱電子
放射特性を損なわないように、50at%までCeB6、P
rB6、NdB6又はこれらの混合物を添加し、結晶の機械
的強度をあげた。更に、融帯組成を金属過剰にし、すな
わち、金属(LaとM)をフラックスに用い育成温度を下
げた。融液組成(B/(La+M)の原子比)は6〜2まで
の範囲(好ましくは4.5〜2.5)とした。その結果、
育成された単結晶は粒界を含まず残留歪みの少ない良質
単結晶が得られるようになった。融液組成が2未満では
融帯の安定な保持が難しく、安定な結晶育成が不可能と
なり、また6を超えるとホウ素の蒸発が激しくなること
及び原料棒の融液への染み込みが生じ安定な育成が不可
能となり、いずれも良質の単結晶が得られない。また、
添加量が50at%を超えると単結晶からの電子放射特性
がLaB6に比較して悪くなり好ましくない。
【0009】これらの知見に基づき、本発明をなしたも
のである。
【0010】すなわち、本発明は、フローティング・ゾ
ーン法により、六ホウ化ランタンを端成分とする組成式
【化3】 (ここで、M=Ce、Pr、Nd、又はこれらの混合物、
x=0〜0.5)の固溶体単結晶を育成するに際し、融
帯組成(B/(La+M)の原子比)を2〜6にすることを
特徴とする良質六ホウ化ランタン系単結晶の育成法を要
旨とするものである。
【0011】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0012】
【作用】
【0013】本発明において用いられる装置の一例を図
1に示す。図中、1と1′はそれぞれ上軸と下軸の駆動
部、2と2′はそれぞれ上軸と下軸、3と3′はホルダ
ー、4はワークコイル、5は種結晶又は初期融帯形成用
の焼結棒、6は単結晶、7は融帯、8は半溶融部分、9
は原料焼結棒、10は電源ライン、11は高周波発振
機、12と13はそれぞれ陽極電圧と高周波電流を測定
するためのデジボル、14はコンピュータ(パソコン)で
ある。
【0014】試料の加熱は、ワークコイル4に高周波電
流を流すことにより、試料に誘導電流を生じさせ、その
ジュール熱により行う。このようにして、形成された融
帯7に上方より原料棒を送り込み、下方より単結晶6を
育成する。
【0015】育成中の融帯7の形状は、融帯とワークコ
イル間の相互インピーダンス変化により検出することが
できる。すなわち、融帯が細くなれば、インピーダンス
が低くなり、高周波電流が増加する。逆に太くなれば、
高周波電流が減少する。この時、陽極電圧との比(高周
波電流/陽極電圧)をとれば、たとえ育成中加熱電力が
変化しても、融帯が細くなれば比の値が増加し、太くな
れば比の値が減少するので、融帯の形状が検出できる。
【0016】したがって、高周波電流と陽極電圧を2台
のデジボル12、13により検出し、コンピュータ14
において、融帯形状を判断し、その結果に基づき融帯形
状を一定になるように、育成炉上軸2(原料棒9)の移動
速度を制御する。
【0017】この方法に従うと、育成中融帯形状が一定
に保持されるため、育成される結晶の直径がスムースに
なり、手動育成に比較して、再現性良く粒界の含まない
単結晶を育成するのに有効である。
【0018】この育成法は、原料棒組成制御(MB6の添
加)と融帯組成制御を行った育成法である。前者のみの
制御の場合、LaB6結晶と同じ育成条件で、育成上問題
もなく育成できる。X線トポグラフによる観察では、反
射に大きな模様の濃淡が観察され、結晶に歪みの残留し
ていることを示している。一方、後者のみ制御した場合
は、結晶に気泡が入り易く、育成速度を従来のLaB6
晶の育成に比較して半分以下に下げる必要がある。得ら
れる結晶のX線トポグラフによる観察では、反射に重な
りや分離は見られないが、エッチングでは観察されない
方位のずれの小さな粒界がみられる。本発明により得ら
れる結晶では、粒界が観察されず、結晶中の残留歪みが
明らかに少なくなっていた。
【0019】次に、本発明による単結晶育成の手順を示
す。
【0020】原料としては、LaB6に0〜50at%のM
6(ここで、M=Ce、Pr、Nd、又はこれらの混合物)
を添加したものを使用する。
【0021】まず、原料のホウ化ランタン粉末と稀土類
ホウ化物粉末(或いは、稀土類酸化物とホウ素)を所定比
によく混合後、結合剤として少量の樟脳を加え、ラバー
プレス(2000kg/cm2)により圧粉棒を作製する。こ
の圧粉棒を真空中又は不活性ガス中で千数百℃に加熱
し、原料焼結棒を作製する。
【0022】得られた焼結棒9を上軸2にホルダー3を
介してセットし、下軸2′には<100>種結晶(又は
初期融帯形成用の焼結棒)5をホルダー3´を介してセ
ットする。両者9と5の間に、初期融帯の組成を制御す
るための所定量及び所定組成の稀土類金属塊を挾む。次
に金属塊とその周辺を加熱により溶融させ、融帯7を形
成させ、上軸2と下軸2′をゆっくりと下方に移動させ
て単結晶6を育成する。
【0023】このとき、下軸2′の移動速度、すなわ
ち、結晶育成速度は育成中常に一定に保持する。その範
囲は0.2〜4cm/h、好ましくは、0.5cm/h以下であ
る。金属過剰の融帯を用いると結晶中に気泡が入り易い
ので、従来の育成法に比較して遅く設定する。上軸2の
移動速度、すなわち、原料棒の融帯への供給速度は、原
料棒の密度が低いので、それを補償するように下軸の移
動速度より通常30%程度速く設定する。この設定値を
基準にして、融帯形状の変化に伴い、上軸移動速度を速
くしたり又は遅くしたり、コンピュータ制御される。
【0024】雰囲気としては、数気圧のアルゴン又はヘ
リウムなどの不活性ガスを用いる。これは高周波ワーク
コイル部分で発生する放電を防止するためである。
【0025】これらの系における結晶育成では、初期融
帯にLa或いはCe金属を用いれば、それらの混合組成を
考慮しなくとも、2cm程度の融帯移動で定常状態に至
り、それ以降は組成均一な結晶が得られる。組成式
【化4】 におけるxが0.5以下の組成範囲においては、分配係
数(k)(すなわち、結晶と融帯におけるM/(La+M)原
子比の比)はほぼ一定で、CeB6の場合はk=0.75、
PrB6の場合はk=0.64、NdB6の場合はk=0.5
5であった。蒸発による組成変化は、Ce、Pr、Ndと
原子番号が増加するほど、大きく、育成温度が下がるほ
ど小さかった。原料棒と結晶の組成差は、上機組成式で
表わしたxでせいぜい3%であった。
【0026】以上の育成法は、高周波加熱以外の加熱
法、例えば、赤外線集中加熱によるFZ法によっても単
結晶の育成に適用することができる。
【0027】次に本発明の実施例を示す。
【0028】
【実施例1】市販のLaB6粉末に30at%のCeB6粉末
をB/La=7.7になるように混合した後、結合剤とし
て樟脳を少量加え、直径12mmのゴム袋に詰め円柱形に
した。これを2000kg/cm2のラバープレスを行って
圧粉体を得た。この圧粉体を真空中、1800℃で加熱
し、直径11mm、長さ12cm程度の焼結棒を得た。密度
は約55%であった。
【0029】この焼結棒を図1に示すFZ育成炉の上軸
にホルダーを介して固定し、下軸には<100>LaB6
単結晶を固定した。両者の間に0.8gのランタン金属塊
を挾み、融帯組成を制御した。育成炉に7気圧のアルゴ
ンを充填した後、高周波コイル(内径14mm、3巻2段)
によりランタン金属塊とその周辺部を溶かし初期融帯を
形成し、0.5cm/hの速度で12時間に下方に移動さ
せ、全長6cm、直径0.95cmの単結晶を育成した。育
成温度は2300℃で、従来の育成法に比較して400
℃低かった。育成した結晶棒の中央部以降は組成変化が
なく、一定な組成を持つ(La0.71Ce0.29)B6結晶を育
成した。融帯組成は(La0.6Ce0.4)B3.2であった。
【0030】単結晶の粒界密度については、結晶棒終端
部から(100)面を切り出し、鏡面研磨の後、エッチン
グ(硝酸:水=1:2の液で30秒程度)して測定した。
線状に観察される亜粒界が、エッチング・パターン上で
みられず、X線トポグラフの観察において、反射強度が
結晶全体でほぼ一定で、残留歪みの少ない良質結晶であ
ることを確認した。
【0031】
【実施例2】市販のLaB6粉末に21at%のPrB6及び
18at%のNdB6を含有するように、それぞれ酸化物と
ホウ素を所定量混合し、出発物質とした。次いで、実施
例1と同じ方法により、単結晶を育成した。但し、初期
融帯形成のための金属量については、PrB6とNdB6
加の場合、それぞれ0.98gと1.2gのLa金属を用い
た。
【0032】得られた結晶の組成はそれぞれ(La0.82
r0.18)B6、(La0.85Nd0.15)B6であった。その際、融
帯組成はそれぞれ(La0.72Pr0.28)B2.8、(La0.73Nd
0.27)B2.5であった。
【0033】これら単結晶の(100)面におけるエッチ
ング・パターンを観察した結果、共に粒界の存在が確認
できず、X線トポグラフの観察においても残留歪みの少
ない良質結晶であることを確認した。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
欠陥及び残留歪みの少ないホウ化ランタン系単結晶が得
られる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フローティング・ゾーン法により、六ホ
    ウ化ランタンを端成分とする組成式 【化1】 (ここで、M=Ce、Pr、Nd、又はこれらの混合物、
    x=0〜0.5)の固溶体単結晶を育成するに際し、融
    帯組成(B/(La+M)の原子比)を2〜6にすることを
    特徴とする良質六ホウ化ランタン系単結晶の育成法。
JP4149828A 1992-05-18 1992-05-18 ホウ化ランタン系単結晶の育成法 Expired - Lifetime JPH07115993B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4149828A JPH07115993B2 (ja) 1992-05-18 1992-05-18 ホウ化ランタン系単結晶の育成法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4149828A JPH07115993B2 (ja) 1992-05-18 1992-05-18 ホウ化ランタン系単結晶の育成法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0733594A true JPH0733594A (ja) 1995-02-03
JPH07115993B2 JPH07115993B2 (ja) 1995-12-13

Family

ID=15483570

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4149828A Expired - Lifetime JPH07115993B2 (ja) 1992-05-18 1992-05-18 ホウ化ランタン系単結晶の育成法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07115993B2 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0524992A (ja) * 1991-07-19 1993-02-02 Natl Inst For Res In Inorg Mater 六ホウ化ランタン単結晶の育成法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0524992A (ja) * 1991-07-19 1993-02-02 Natl Inst For Res In Inorg Mater 六ホウ化ランタン単結晶の育成法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07115993B2 (ja) 1995-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4303465A (en) Method of growing monocrystals of corundum from a melt
JP2012041200A (ja) 結晶成長方法
JP4785198B2 (ja) フッ化物結晶及び真空紫外発光素子
JPH0733594A (ja) ホウ化ランタン系単結晶の育成法
CN114985737A (zh) 一种多元六硼化物[100]单晶及其制备方法
JPH0524992A (ja) 六ホウ化ランタン単結晶の育成法
Otani et al. Preparation of TiC single crystal from self-combustion rod by floating zone method
Horn Melted layer crystal growth and its application to germanium
JP2929007B1 (ja) Va族二ホウ化物単結晶の育成法
JP3755021B2 (ja) 六ホウ化希土類単結晶の育成法
JPH1095699A (ja) ニホウ化ジルコニウム単結晶の育成法
JP2997762B2 (ja) 六ホウ化カルシウム結晶の育成法
JPH05319991A (ja) 六ホウ化ランタン単結晶の育成法
JP2580523B2 (ja) 二ホウ化チタン単結晶の育成法
JP2642882B2 (ja) 二ホウ化タングステン単結晶の育成法
JP2730674B2 (ja) 六ホウ化希土類単結晶の育成法
JPH04198093A (ja) ホウ化ランタン単結晶の育成法
JP2997760B2 (ja) 二ホウ化ハフニウム単結晶の製造方法
JPH08143395A (ja) 六ホウ化ランタン単結晶の育成法
JP2018150478A (ja) 蛍光体用酸化物共晶体結晶及びその製造方法
JPS5812240B2 (ja) 炭化ハフニウム結晶体の製造法
JPS5812239B2 (ja) 炭化ジルコニウムの結晶体の製造法
JP2997761B2 (ja) 二ホウ化レニウム単結晶の製造方法
JP4515674B2 (ja) ホウ化物単結晶と半導体形成用基板
JPH0686357B2 (ja) 硼化ランタン系単結晶とその育成法

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term