JP4515674B2 - ホウ化物単結晶と半導体形成用基板 - Google Patents

ホウ化物単結晶と半導体形成用基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、TiB又はZrBのホウ化物単結晶とその製造方法に関する。本発明は、また、これらホウ化物単結晶を利用した半導体形成用の基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、発光ダイオードなどに窒化ガリウム系半導体の実用化されているが、窒化ガリウム系半導体には、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)があり、又、これらの混晶であるインジウム・ガリウム・アルミニウム窒化物InGaAlNを含んでいる(x+y≦1,z=1−x−y)。そのような窒化ガリウム系半導体は、従来、サファイア基板の上にエピタキシャル成長させて、通常は多層の半導体層に形成されていた。
【0003】
化学式XBで表されるTiBとZrBの結晶は、公知であり、例えば、
(文献1)S. Otani and Y. Ishizawa:"Preparation of ZrB2 single crystals by the floating zone method",J. Crystal Growth 165(1996)319-322、
(文献2)S. Otani, M. M. Korskova and T. Mitshhashi:" Preparation of HfB2 and ZrB2 single crystals by the floating zone method",J. Crystal Growth 1686(1998)582-586、及び、
(文献3)S. Otani and Y. Ishizawa:"Preparation of TiB2 single crystals by the floating zone method",J. Crystal Growth 140(1994)451-453 に開示されている。
【0004】
上記TiBとZrB の結晶は、その融点が3000℃程度の非常に高温であるので、単結晶にするには、帯溶融法の1種であるフローティング・ゾーン法(FZ法)と、フラックス法とで成長させることができる。成長法には、特に、大型の単結晶の製造には、FZ法が有利であり、従来最も安定して結晶が得られることが知られていた。
【0005】
また、ZrBの結晶の製造については、高輝度電子放射材料への利用に関連して、特開平10−95699に開示されているが、この製造方法は、融帯中のホウ素BとジルコニウムZrとの含有量の原子比(B/Zr比)を1.5〜2.8程度とし、3〜5気圧のHeガスを雰囲気中でフローティング・ゾーン法による単結晶育成を行うと、結晶内部への包有物の含有が抑えられ、成長速度3〜10cm/hrの高速での結晶成長が可能となることが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のサファイアは、窒化ガリウム系半導体と大きな格子不整合を持っており、格子不整合に起因して結晶格子欠陥がエピタキシャル成長層中に導入され、結晶性の優れた窒化ガリウム系半導体層が得られなかった。また、サファイア基板は、絶縁体であるから、発光ダイオードなどの構造においてサファイア基板面側からの電極取り出しができなかった。そこで、従来は、窒化ガリウム系半導体の形成された面にのみ正電極・負電極の両極を形成していた。このため、発光ダイオードなどの製造プロセスが複雑になり、発光面積に比して素子面積を大きくする必要があった。
【0007】
本発明は、窒化ガリウム系半導体成長の基板として、TiBやZrBの単結晶を利用しようとするものであるが、これらの結晶の六方晶系の面指数(0001)面上の格子定数が、GaNやAlNなどの窒化物半導体の格子定数に非常に近くとほぼ等しく、上記のサファイアの格子定数より、格子整合性が高い。
【0008】
さらに、TiBとZrBの単結晶は、窒化物半導体と、熱膨張係数も略等しく、しかも、XB単結晶は、比較的高い熱伝導性をもち、さらに、電気的に良導体であることから、窒化ガリウム系半導体層をエピタキシャル成長させるための基板結晶には、サファイアより優れている。
【0009】
しかしながら、上記のS. Otaniらの従来のZrB単結晶の製造方法で、ZrB組成の原料をそのまま用いて、帯溶融により単結晶を成長させると、結晶中のBとZrとの原子比B/Zrが1.8ないしそれ以下に低下している。さらに、そのような単結晶から(0001)面を切り出して研磨加工を行うと、0.01〜0.1mmの大きさの介在物(inclusion)粒子やくぼみが多数露出していることが観察される。くぼみは、研磨加工の際に研摩面から介在物粒子が脱落して生じたもので、研磨した結晶表面に直径10μm〜100μm程度で深さ数十μmの大きさであった。
【0010】
基板表面にこのような表面欠陥が存在すると、その上に成長させた窒化ガリウム系半導体の成長層には高密度の転位等の格子欠陥が発生し、半導体層の電気的性能を低下させる。
【0011】
本発明は、上記のXB単結晶の研摩面に表面欠陥を生成するのを防止するために、フローティング・ゾーン法を用いて介在物のない清浄なXB単結晶とその製造方法を提供するものである。
さらに、本発明は、成長用結晶面に介在物やくぼみなど表面欠陥のないXB単結晶を利用して窒化物半導体層成長用の基板を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、化学式XB(Xは、Ti又はZrである)で示される二ホウ化物を帯溶融法により単結晶化する際に介在物生成を防止するものであり、このために、XB化合物とアルカリ土類元素Rのホウ化物RBとを配合した原料棒から帯溶融法によりXB単結晶を形成するものである。ここで、アルカリ土類元素Rは、Ca、Ba、Srの少なくとも一つが利用される。このようにして製造したXBホウ化物単結晶は、アルカリ土類元素Rを、1〜100ppmの含有量で、含むが、介在物を実質的に含有しない。
【0013】
XBホウ化物単結晶における介在物の生成は、溶融帯におけるBの蒸発によるXBの化学的量論的不足に起因するものであるから、本発明は、RBを使用してBの蒸発を防止するのである。即ち、RBは融点が高く、溶融に際してR成分が蒸発し、Bが融帯へ溶け込み、融帯中のB/Xを高めて、XBホウ化物の分解を防止するからである。
【0014】
好ましくは、XB化合物とアルカリ土類元素Rのホウ化物RBとを配合した原料棒中で、ホウ化物RBの配合量を0.5〜20mol%を含有させ、帯溶融法により、単結晶に育成する。
【0015】
この製造方法によって、介在物を含有しないXBホウ化物単結晶が製造でき、研磨面には介在物も、くぼみ(以下、ピットという)も、実質的に含まない単結晶を得る。このような単結晶は、研磨面を窒化物半導体層のエピタキシャル成長面として利用して、格子欠陥の極めて少ない窒化ガリウム系半導体層を形成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明においては、XB(XはTi若しくはZrの少なくとも一つを含む)で表記されるホウ化物結晶を帯溶融法により製造するが、帯融液部分の組成をXの含有量に対するBの含有量の原子比(以下、B/X比とする)で1.95〜2.2の範囲にして、介在物の生成を防止するものである。この方法では、このようなBの調整を単体ホウ素の配合でするのではなく、本発明は、原料のXBの化合物中にアルカリ土類元素のフッ化物RBの配合によって行なわれる。
【0017】
即ち、XBのホウ化物結晶を帯溶融法で製造する方法において、帯溶融法の溶融前の原料中に主成分としてXB化合物と共に0.5〜20mol%のアルカリ土類元素Rのホウ化物RB(RはCr、Sr、Baの少なくとも一つを含む)を配合するのである。このように配合調製した混合物から、焼結棒に形成し、焼結棒を帯溶融して、単結晶を成長させ、介在物を実質的に含まない上記ホウ化物単結晶を得ることができる。
【0018】
帯溶融の過程では、原料XB化合物は溶融帯からBが蒸発するので、B/Xは2より低くなり、結晶化の過程で、多量の介在物が生成する。XB化合物とアルカリ土類フッ化物RBとの混合原料を使用する場合に、原料中のRB0.5mol%未満では、帯溶融後の単結晶には、なお介在物を含有する。
他方は、配合原料中にRB20mol%を超えると、帯溶融による結晶化によっても、多結晶化し、単結晶が得られない。RBの添加量は、好ましくは、0.5〜20mol%であり、さらに、1〜10mol%の範囲が好ましく、特に4〜10mol%の範囲とすれば、完全な単結晶で且つ介在物を含まない清浄な結晶が得られる。
【0019】
XB単結晶中の介在物の生成については、一般には、X又はそのホウ素化合物XBの形をとる。溶融帯中のBが蒸発し、凝固結晶化の過程で、B不足によりXB相が分解して、金属X相又はその一ホウ素化合物XB相が析出して、XB相マトリックス中に介在物して分散する。TiB結晶では、介在物は、Ti相ないしTiB相であり、ZrB結晶では、Zr相又はZrB相の何れも微細な粒子である。融帯中のB不足は、専ら、帯溶融過程で融帯が、通常はXBの融点直上温度、3000℃程度に加熱されるので、XB組成の融液からBが優先的に蒸発することにより生じる。
【0020】
介在物の発生を防止するには、融帯中のB含有量をXB相の化学量論的組成ないしそれよりB過剰の組成に保持することにより可能であるが、そのために単にホウ素B単体を原料中に配合したのでは、融帯中ないしそれに近接する原料棒中からのBの蒸発を招いて、十分に高くできない。
【0021】
本発明は、融帯中のB含有量の調整に、単体Bに代えて、アルカリ土類ホウ化物RBを、原料のXB化合物に配合するもので、融帯中では、RBの分解によりRが徐々に蒸発するが、Bの蒸発が比較的少なく、これにより、融帯中のB含有量を高くして、金属X相又はその一ホウ素化合物XB相の形成を防止し、これにより、介在物を実質的になくするものである。
【0022】
製造されたXBホウ化物単結晶は、Zr、Ti、ZrB、TiBなどの分散粒子を含まず、従ってピットも実質的に含まず、微量ではあるが1〜100ppm程度にRを含む。
【0023】
アルカリ土類金属元素Rは、Ca、Sr、Baであるが、これらは略同じ効果があり、かつ結晶には同程度の残留が見られ、それぞれ相互に特に顕著な違いは見られない。
【0024】
この方法によって得られた単結晶を使用することにより、主面が(0001)面になるよう結晶方位を決めて板を切り出して研磨加工を行っても、図5に示すようにピットの全く存在しない半導体形成用基板を製造することができる。
【0025】
本発明の単結晶の製造方法は、帯溶融法に広く利用できるが、好ましくは、浮揚帯溶融(floating zone melting )法(FZ法)であり、これには、帯溶融のための局部加熱の方式として、TiまたはZrのXB化合物が適度の電導度を有することを利用して、高周波加熱法が利用できる。さらに、プラズマ加熱、レーザ照射、高光度ランプ照射などの加熱法も利用できる。
【0026】
単結晶製造にアルカリ土類金属ホウ化物の硼素添加剤としての利用は、FZ法など帯溶融法の他に、例えば、スカルメルト法などの他の溶融法で結晶化する場合にも適用することができる。
【0027】
本発明による単結晶の製造法は、好ましくは、帯溶融法が利用されるが、このために使用可能な製造装置の一例を図1に示す。この装置は数気圧の不活性ガス雰囲気において結晶成長ができるように設計された高周波誘導加熱FZ炉である。
【0028】
この装置においては、原料棒8を上部から吊り下げ先端を高周波電流の流れている誘導コイル4の中まで下げると、原料棒8に誘導電流が発生してジュール熱によって原料棒8の先端部分が溶融する。溶融した原料を、原料棒8の下に配した種子結晶または初期融帯形成用の焼結棒5に接することによって誘導コイル中心部に融帯7を形成する。このようにして形成された融帯7に上方から原料棒8を連続的に送り込むと同時に下側の種子結晶5を下方に引き抜くことによって、融帯下側に単結晶6を成長させるものである。
【0029】
単結晶の製造においては、まず、焼結棒が製造される。原料となるXB粉末とRB粉末を良く混合し、結合材として少量の樟脳を加え、ゴム容器に充填して封入し、静水圧プレス内で、高圧で、例えば、1〜4t/cmの圧力を加て、圧粉棒を製造する。この圧粉棒を真空中又はアルゴンなどの不活性ガス中で1200〜1800℃程度に加熱して焼結した原料棒8を製造する。
【0030】
焼結した原料棒8を上軸2にホルダー3を介してセットし、下軸10には種結晶5をホルダー11を介してセットする。種結晶5に代えて、初期融帯形成用の焼結棒を用いることもできる。この場合は、例えば、原料棒と同じ組成の粉末を、原料棒と同じ手順を用いて圧扮した棒を真空焼成した焼結体を用いる。次に、数気圧の不活性ガスを炉内に充填後、原料棒8を誘導コイルの中心に送り込み先端を溶融させ、融帯7を形成し、上軸2と下軸10をゆっくりと下方に移動させて単結晶6を成長させる。
【0031】
このとき、原料棒8は単結晶に比べて密度が低いので、密度差を保証するように速度設定し、単結晶を引き抜く速度よりも早い速度で原料棒8を送り込む。
また、雰囲気は高周波誘導コイル4での放電を防止するため、例えば、1〜10気圧のアルゴンまたはヘリウムなどの不活性ガスを用いる。
【0032】
単結晶棒から半導体層成長用の基板を作るには、X線回折法を用いて結晶棒の結晶方位を決定し、(0001)面に平行に、厚さ0.8〜1.2mm程度の薄板を、マルチバンドソーを用いて切り出す。この結晶板について、ダイヤモンド砥石にて外形を整えた後、強アルカリを用いた化学研磨加工を行い、厚さ0.3〜1.0mmの基板を製造する。
【0033】
この後、光学顕微鏡を用いて基板を観察する。含有物やピットは、存在すれば、50〜400倍の倍率で十分にその形状を確認することができる。
【0034】
【実施例】
[実施例1]
市販のZrB粉末に、CaB粉末を0〜20mol%の範囲で、5水準添加して良く混合し、結合材として樟脳を少量添加した後、直径12mmのゴム容器中に充填して、2000kg/cmの静水圧プレスを行い圧粉棒を製造した。各圧粉棒は、真空雰囲気1400℃で加熱して直径10mm長さ120mm程度の焼結棒とした。このとき焼結棒の相対密度は55%であった。
【0035】
各焼結棒を図1に示す高周波誘導加熱FZ炉の上軸2にホルダーを介して固定し、下軸10にはZrB焼結棒を固定した。
FZ炉内には6気圧のアルゴンを充填し、高周波誘導加熱により原料棒8を溶融して初期融帯を形成し、20mm/hrの速度で3時間かけて全長60mm、直径9mmの単結晶棒を製造した。
得られる結晶棒の化学分析を行い、Ca含有量、B/Zr比を測定した。得られた結晶から(0001)面を切り出し、鏡面に加工して、顕微鏡観察した結果、含有物やピットを観察した。試験結果を表1にまとめた。
【0036】
【表1】
Figure 0004515674
【0037】
この実施例でZrBの単結晶を製造すると、原料棒へのCaBの配合量を増加させると、1mol%で単結晶中の含有物が減少する傾向が見られ、4mol%配合すると、融帯中のB/Zr比が1.95となり、単結晶中含有物(破断面上のピット)は消滅する。さらにCaB配合量を増加させると、研摩面上の介在物により生じたピットも実質的に発生しなくなる(ピットとして100-300/cm)。しかし、CaBが、10mol%の配合では、結晶棒には、2つ以上の結晶粒の発生がしばしば観察されるようになり、20mol%以上の配合では得られる結晶は多結晶体となる。
【0038】
このようにして、FZ法においては、融帯中のB/Zr比が原子比で1.95〜2.2の範囲にすることにより、含有物に起因すると思われるピットの減少が顕著になり、ほとんど観察することができない。さらに、好ましくはB/Zr比2.05〜2.20の範囲で含有物は完全に含まれない。
【0039】
TiBの単結晶の製造の実施例では、TiBの単結晶の製造においては、同じくCaBを配合すると、CaB0.5mol%の配合で介在物の減少傾向が認められ、1mol%の配合では含有物は全く消滅した。配合量を更に増加させると、5mol%では結晶粒の発生がしばしば観察された。TiBの場合、融帯のB/Ti比で2.15以上の範囲になっている場合にのみ含有物に起因すると思われるピットの減少が顕著になり、ほとんど観察できなかった。さらに、好ましくは2.2以上の場合に含有物が完全に消滅した。
【0040】
上記実施例表1中、0mol%のCaB 試料では、配合見料は、B/Zr比が、2.0であるが、帯溶融により単結晶を製造すると、図6に示すように、結晶中に0.01〜0.1mmの含有物や、含有物が脱落したと考えられるピットが多数確認された。この含有物若しくはピットの分布を見ると、結晶の成長方向などの特定の方向に依存している形跡はなく、ほぼ均一に分布していた。この分布からこれらの含有物が結晶の凝固時点、すなわち図2に示す相図における番号7から13への過程において発生しているのではなく、凝固後の冷却過程において、すなわち図2における番号14から15への過程において、固相の分解によって発生したことが判る。このようにして製造した結晶を半導体形成用基板として検討した結果、結晶に多数の介在物粒子が存在するために、研磨加工後の結晶表面に直径数μm〜百数十μm程度で深さ数十μmのピットが多数見られ、半導体形成用基板としては使用することが困難であることが判る。
【0041】
なお、比較例として、前記特開平10−95699と同じ方法を用い、単体ホウ素Bを理論比のZrB原料に混入させて実際に結晶を製造し半導体形成用基板として加工した状態でピット(含有物)の確認を行った。このとき、原料棒へのBの配合量を上げるとピットの数量が減少していくことは確認できた。しかし、ピットが消滅する程度まで原料棒中の単体Bの配合濃度を上げると、原料棒のB/Zr比が2.8を越え、原料の融点降下が激しくなり、原料が溶融域であるべき所ではない上部から溶融し始め結晶成長状態が分安定になり、結晶成長が困難になった。さらに融液が高温であるためB単体組成での揮発が激しく融液中へのBの供給効率が悪くなった。このようにして、単体Bは高価であるにも拘わらずピット数を減らすためには大量の配合を必要とすることがわかる。
【0042】
TiBにおいても、文献3に記載されているTiBのみを出発原料とした方法を実施したが、ZrB同様に結晶中には含有物やピットが観察された。尤も、TiBの場合では、ZrBの場合と異なり、融帯の組成はB過剰でB/Ti比では2.1となっていた。これは、結晶製造時の融帯からの蒸発において、Tiの方がBよりも多く蒸発してしまうからである。しかしながら、結晶中の含有物についてはZrB同様にBの配合により減少する傾向があり、従ってTiとBの間の相図は図3に示す形になっていると推測される。
【0043】
[実施例2]
市販のTiB粉末にCaB粉末を2mol%配合・混合し、静水圧加圧及び真空焼成を行い直径10mmで長さ120mmの原料棒8を製造した。密度は55%であった。原料棒を炉内にセットして、下軸側にはTiB焼結棒を固定した。
【0044】
FZ炉内には6気圧のヘリウムを充填し、高周波誘導加熱により原料棒8を溶融して初期融帯を形成し、90mm/hrの速度で0.6時間かけて全長60mm、直径9mmの単結晶を製造した。得られる結晶中のCa含有量は20ppmであった。融帯組成はB/Ti比で3.00であった。得られた結晶から(0001)面を切り出し、鏡面に加工して、顕微鏡観察した結果、含有物やピットが存在しないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかる製造方法に利用する単結晶製造装置の模式的断面図を示す。
【図2】 Zr−B系の相図の一部を示す。
【図3】 Ti−B系の相図の一部を示す。
【図4】 FZ法により単結晶製造中の結晶棒の模式図を示す。
【図5】 本発明の製造方法により製造した単結晶基板表面の拡大図を示す。
【図6】 研磨後の基板表面に存在する介在物・ピットの拡大図を示す。
【符号の説明】
1:上軸駆動部
2:上軸
3:ホルダー
4:誘導コイル
5:種結晶
6:単結晶
7:融帯
8:原料棒
9:下軸駆動部
10:下軸
11:ホルダー

Claims (5)

  1. XB(XはTi若しくはZrから成る)で表記される二ホウ化物結晶において、該結晶中にCa、Sr及びBaの少なくとも一つを1〜100ppm含有し、該結晶中に金属X相とXの一ホウ化物XBとを実質的に含まないことを特徴とするホウ化物単結晶。
  2. 上記請求項1に記載のホウ化物単結晶よりなる半導体形成用基板。
  3. XB(XはTi若しくはZrから成る)で表記されるホウ化物単結晶を帯溶融法により製造する製造方法において、
    溶融前の上記XB 含有原料に、アルカリ土類ホウ化物RB (RはCa、SrまたはBaから成る)1〜10mol%を含有せしめ、帯融液部分の組成がXの含有量に対するホウ素Bの含有量の原子比B/Xで1.95〜2.2に設定することを特徴とするXB単結晶の製造方法
  4. 請求項3の製造方法により製造したXB単結晶を使用した半導体形成用基板。
  5. 半導体形成用基板が、窒化物半導体層を成長させるための基板である請求項又はに記載の半導体形成用基板。
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