JPH09326388A - 低比誘電率高分子膜の形成方法及び層間絶縁膜の形成方法並びに低比誘電率高分子膜形成装置 - Google Patents

低比誘電率高分子膜の形成方法及び層間絶縁膜の形成方法並びに低比誘電率高分子膜形成装置

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JPH09326388A
JPH09326388A JP8165308A JP16530896A JPH09326388A JP H09326388 A JPH09326388 A JP H09326388A JP 8165308 A JP8165308 A JP 8165308A JP 16530896 A JP16530896 A JP 16530896A JP H09326388 A JPH09326388 A JP H09326388A
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film
dielectric constant
polymer film
relative dielectric
forming
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JP8165308A
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Yoshiyuki Ukishima
禎之 浮島
Masatoshi Sato
昌敏 佐藤
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Ulvac Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性が高く、かつ、安定した特性を有する低
比誘電率の高分子膜を簡易な工程で得る。 【解決手段】真空中で原料モノマーを蒸発させ、基体上
で蒸着重合させてポリ尿素膜又はポリイミド膜を形成す
る際に、メチル基、メトキシ基又はt−ブチル基等の立
体障害の大きな置換基を側鎖に有する原料モノマーを用
いる。蒸着重合膜形成室1で蒸着膜を形成した後、紫外
線照射室2で紫外線を照射して架橋反応を行うか又は紫
外線を照射しないで、加熱室3で加熱して高分子量化を
行う。本発明によれば、耐熱性が高く経時変化の生じな
い低比誘電率の層間絶縁膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、半導体装
置の層間絶縁膜に用いられる低比誘電率の高分子膜の形
成技術に関し、特に、蒸着重合を利用した低比誘電率高
分子膜の形成技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体装置の層間絶縁膜として
は、回転塗布法によるSOG(Spin onGlass)膜やCV
D法(化学蒸着法:Chemical Vapor Deposition)による
SiO2膜が主に用いられている。これらの方法によっ
て形成された層間絶縁膜の比誘電率は約4となるが、最
近はLSIの高集積化の進展により層間絶縁膜の低比誘
電率化が大きな課題とされており、比誘電率が4以下の
層間絶縁膜が要求されるようになっている。
【0003】このような要求に対しては、近年、プラズ
マCVD法によって形成されたSiO2 膜にフッ素を添
加したSiOF膜が提案されており、この膜によれば層
間絶縁膜の比誘電率を3.7〜3.2程度に抑えること
ができる。
【0004】さらに、低比誘電率化を図るため、有機材
料を用いた絶縁膜が検討されている。例えば、フッ素化
ポリイミド、フッ素添加パリレン、フッ化ポリアリルエ
ーテル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有ポ
リマーを用いた絶縁膜が知られており、これらの材料を
用いれば、比誘電率が2.0〜2.8程度の膜を得るこ
とができる。これらの膜は、SOP(Spin on Polyme
r)、CVD法によって形成される。
【0005】この場合、フッ素化ポリイミドは、前駆体
であるポリアミド酸溶液を基板上に塗布し、熱処理によ
るイミド化を行うことにより、所定の高分子薄膜を得る
ことができる。
【0006】一方、フッ化ポリアリルエーテル、ポリテ
トラフルオロエチレンは、スピンコート法により作成す
ることができる。
【0007】また、フッ素添加パリレンは、真空下(1
33Pa程度)において、原料ガスのダイマーを熱分解
することにより、ラジカルを生成させ、そのラジカルを
反応させて高分子薄膜を得るCVD法により作成するこ
とができる。
【0008】これらの絶縁膜のうち、有機材料を用いた
ものは、次世代の半導体装置の層間絶縁膜として有望視
されているものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来技術においては、次のような問題があった。すなわ
ち、上述のプラズマCVD法によるSiOF膜は低比誘
電率化が達成できる反面、膜の形成方法や成膜条件によ
って膜特性が大きく異なったり、膜中のフッ素の脱離や
吸湿性が大きいといった膜の不安定性により誘電率を悪
化させてしまう問題が指摘されており、将来の低比誘電
率材料としての応用は難しい状況にある。
【0010】また、回転塗布法によるSOG膜は、有機
溶媒を除去するために400℃近傍の温度でベークし脱
水重合反応させて形成することから、有機溶媒や水が発
生するなどの課題がある。
【0011】さらに、前述したようなフッ素を含有した
高分子薄膜の場合、フッ素原子の導入により容易に低比
誘電率を達成しうるが、比誘電率の経時変化が大きいこ
とが問題となっており、しかも、フッ素添加高分子膜の
ガラス転移点が100〜200℃と低いため、耐熱性に
劣るという問題や熱膨張率が基体に使用されているセラ
ミックに比べ1桁大きいことも指摘されている。
【0012】本発明は、このような従来の技術の課題を
解決するためになされたもので、耐熱性が高く、かつ、
安定した特性を有する低比誘電率の高分子膜を簡易な工
程で得ることを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、蒸着重合の原料モ
ノマーとして、フッ素ではない立体障害の大きな置換基
を側鎖に有するモノマーを用いることにより、耐熱性が
高く、かつ、安定した特性を有する低比誘電率の高分子
膜が得られることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0014】請求項1記載の発明は、かかる知見に基づ
いてなされたもので、真空中で原料モノマーを蒸発さ
せ、基体上で蒸着重合させて高分子膜を形成する際に、
原料モノマーとして、炭素数1〜4の低級アルキル基若
しくはアルコキシ基又はフェニル基からなる立体障害の
大きな置換基をその側鎖に有するものを用いることを特
徴とする。
【0015】この場合、置換されるもとの原料モノマー
としては、請求項3記載の発明のように、蒸着重合させ
る高分子重合体がポリ尿素である場合において、4,4′-
ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ジアミノ3,3′-ジ
メチルジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルメ
タン(MDA)、4,4′-ジアミノジフェニルサルファイ
ド、2,2′-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロ
パン(BAPP)、3,3′-ジメチルベンジジン等のジアミ
ンと、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアナート(MD
I)、4,4′-ジイソシアン酸メチレンジフェニル、4,
4′-ジイソシアン酸、3,3′-ジメチルジフェニル等のジ
イソシアナートを用いることができる。
【0016】また、置換されるもとの原料モノマーとし
て、請求項4記載の発明のように、蒸着重合させる高分
子重合体がポリイミドである場合において、2,2′-ビス
[4−(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAP
P)、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ジア
ミノ3,3′-ジメチルジフェニルメタン、4,4′-ジアミノ
ジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルサルファ
イド、3,3′-ジメチルベンジジン等のジアミンと、二無
水ピロメリト酸、3,3′4,4′-ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸、4,4′-ビフタル酸無水物、ナフタレン-1,4,5,8-
テトラカルボン酸二無水物等の酸無水物を用いることが
できる。
【0017】請求項1又は2記載の発明のように、立体
障害の大きな置換基としては、炭素数1〜4の低級アル
キル基若しくはアルコキシ基又はフェニル基があげられ
るが、メチル基、メトキシ基又はt−ブチル基を用いる
とより効果的である。
【0018】この場合、メチル基、メトキシ基及びt−
ブチル基は、蒸着重合を行うための原料モノマーのいず
れに導入してもよいが、これらは電子供与性のものであ
るため、特にジアミンモノマーへ導入した場合に反応性
が向上する。
【0019】本発明に用いられる原料モノマーとして、
例えば、以下のものがあげられる。ジアミン
【0020】
【化1】
【0021】
【化2】
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】酸無水物
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】ジイソシアナート
【0031】
【化10】
【0032】また、請求項5記載の発明のように、請求
項1乃至4記載の発明において、真空中で原料モノマー
を蒸発させ、基体上で蒸着重合させて低分子量の蒸着膜
を形成した後、この蒸着膜に紫外線の照射及び(又は)
熱処理を行い、架橋反応及び(又は)高分子量化するこ
とも効果的である。
【0033】この場合、照射する紫外線の波長として
は、230〜500nmの範囲において、i線(365
nm)やKrFエキシマレーザー(248nm)、Ar
Fエキシマレーザー(193nm)等の選択された波長
のものを用いることができる。
【0034】また、熱処理の温度は、例えば、ポリイミ
ドでは300〜400℃程度の温度で、30〜60分程
度の熱処理を行うとよい。この場合、処理雰囲気は、真
空中又は不活性ガス中のどちらでもよい。
【0035】一方、請求項6記載の発明は、金属配線が
形成された半導体基体上に、請求項1乃至5のいずれか
1項記載の方法によって低比誘電率高分子膜を形成する
工程を有することを特徴とする層間絶縁膜の形成方法で
ある。
【0036】また、請求項7記載の発明は、真空中で原
料モノマーを蒸発させ、基体上で蒸着重合させて蒸着膜
を形成する蒸着重合手段を有する蒸着重合膜形成室と、
この基体を所定の温度に加熱する加熱手段を有する加熱
室とを有することを特徴とする低比誘電率高分子膜形成
装置である。
【0037】この場合、請求項8記載の発明のように、
請求項7記載の発明において、不活性ガスを加熱室内に
導入するための不活性ガス導入手段を備えることも効果
的である。
【0038】また、請求項9記載の発明のように、請求
項7又は8記載の発明において、基体上に形成された蒸
着膜に対して紫外線を照射する紫外線照射手段を有する
ことも効果的である。
【0039】かかる構成を有する請求項1記載の発明の
場合、真空中で原料モノマーを蒸発させ、基体上で蒸着
重合させて高分子膜を形成する低比誘電率高分子膜の形
成方法において、原料モノマーとして、炭素数1〜4の
低級アルキル基若しくはアルコキシ基又はフェニル基か
らなる立体障害の大きな置換基を側鎖に有するものを用
いることによって、分子鎖がねじれた構造をとるように
なるため、分子間の間隔が大きくなり、結果として高分
子膜の低比誘電率化が達成される。
【0040】また、請求項1記載の発明によれば、回転
塗布法によるSOG膜のベーク工程は必要としない。さ
らに、プラズマCVD法によるSiOF膜のように膜の
不安定性による特性の悪化やフッ素含有高分子化合物に
見られる熱膨張率が大きいといった問題がなく、装置設
備も簡単なもので十分である。
【0041】しかも、請求項1記載の発明の場合、フッ
素を含有していないので、高分子膜に経時変化が生じに
くい。
【0042】この場合、請求項2記載の発明のように、
立体障害の大きな置換基として、メチル基、メトキシ基
又はt−ブチル基を有する原料モノマーを用いれば、容
易に高分子膜の低比誘電率化が達成される。
【0043】さらに、請求項3又は4記載の発明のよう
に、請求項1又は2のいずれか1項記載の発明におい
て、蒸着重合させる高分子重合体がポリ尿素又はポリイ
ミドである場合に、容易に低比誘電率の高分子膜が得ら
れる。
【0044】また、請求項5記載の発明のように、請求
項1乃至4のいずれか1項記載の発明において、真空中
で原料モノマーを蒸発させ、基体上で蒸着重合させて低
分子量の蒸着膜を形成した後、この蒸着膜に紫外線の照
射及び(又は)熱処理を行い、架橋反応及び(又は)高
分子量化すれば、比誘電率がより低下するとともに、高
分子膜の耐熱性が向上する。
【0045】なお、蒸着重合させる高分子重合体がポリ
イミドである場合には、熱処理のみでも、低比誘電率で
耐熱性の高い高分子膜が得られる。
【0046】さらにまた、請求項6記載の発明のよう
に、金属配線が形成された半導体基体上に、請求項1乃
至5のいずれか1項記載の方法によって絶縁膜を形成す
れば、耐熱性が高く、かつ、安定した特性を有する低比
誘電率の層間絶縁膜が容易に得られる。
【0047】一方、請求項7記載の発明のように、真空
中で原料モノマーを蒸発させ、基体上で蒸着重合させて
蒸着膜を形成する蒸着重合手段を有する蒸着重合膜形成
室と、この基体を所定の温度に加熱する加熱手段を有す
る加熱室とを有する低比誘電率高分子膜形成装置によれ
ば、蒸着重合膜を形成する工程とこの蒸着重合膜を高分
子量化する工程を連続して行うことができる。
【0048】この場合、請求項8記載の発明のように、
請求項7記載の発明において、不活性ガスを加熱室内に
導入するための不活性ガス導入手段を備えれば、ポリイ
ミドを蒸着重合する際にイミド化時の酸化の影響がなく
なり耐熱性が向上する。
【0049】また、請求項9記載の発明のように、請求
項7又は8記載の発明において、基体上に形成された蒸
着膜に対して紫外線を照射する紫外線照射手段を有する
場合には、蒸着重合膜の未反応末端基の架橋反応が行わ
れ、比誘電率の低下と耐熱性の向上が促進される。
【0050】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面を参照して詳細に説明する。
【0051】図1は、本発明に係る成膜装置の一例を示
す概略構成図である。図1に示すように、この成膜装置
100は、蒸着重合膜形成室1と、紫外線照射室2と、
加熱室3とを備えたインライン型の成膜装置である。こ
れら蒸着重合膜形成室1、紫外線照射室2及び加熱室3
は、ゲートバルブ4b、4cを介して互いに連結されて
いる。また、蒸着重合膜形成室1は、ゲートバルブ4a
を介して仕込み室5に連結され、加熱室3は、ゲートバ
ルブ4dを介して取り出し室6に連結されている。そし
て、これら仕込み室5、蒸着重合膜形成室1、紫外線照
射室2、加熱室3及び取り出し室6は、それぞれ真空ポ
ンプ等の真空排気系7a〜7eに連結されている。
【0052】蒸着重合膜形成室1内には、後述の基板3
1が基板ホルダー8によって保持される。この基板ホル
ダー8は、図示しない搬送手段によって上述の各室内間
を搬送される。
【0053】蒸着重合膜形成室1の下方には、ポリ尿素
膜、ポリイミド膜等の高分子膜を形成するため、2種類
のモノマーの蒸発源9a、9bがそれぞれ配置される。
すなわち、各蒸発源9a、9bには、それぞれ蒸発用容
器12a、12bが設けられる。そして、各蒸発用容器
12a、12bの内部には、例えば、ポリ尿素膜、ポリ
イミド膜等を形成するための原料モノマーa、bがそれ
ぞれ注入され、さらに、各蒸発用容器12a、12bの
近傍には、各原料モノマーa、bを加熱するためのヒー
タ11a、bが設けられる。また、各蒸発源9a、bの
間には、原料モノマーa、b同士の蒸気の混合を防止す
るとともに、互いの熱の影響を防止するための仕切板1
2が配置される。
【0054】蒸発源9a、bの上方には、シャッター1
3が設けられる。このシャッター13の近傍には、例え
ば水晶発振式の膜厚モニター14a、14bがそれぞれ
設けられ、さらに、基板31の近傍にも、基板31上に
形成される蒸着重合膜の膜厚を制御するための同様の膜
厚モニター14cが設けられる。
【0055】紫外線照射室2内には、基板31の下方近
傍にUVランプ15が配置される。このUVランプ15
は、特にポリ尿素膜を形成する際に、未反応末端基を架
橋させることにより、耐熱性の向上と比誘電率の低下を
図るためのものである。
【0056】加熱室3内には、基板31の上方近傍にヒ
ータ等の加熱源16が配置される。この加熱源16は、
基板31上に形成された蒸着重合膜の高分子量化を図る
ためのものであり、特に、ポリイミド膜を形成する際に
は、イミド化反応を行うためのものである。
【0057】なお、加熱室3には、例えば、N2、Ar等
の不活性ガスを導入するための不活性ガス導入ライン1
7が接続されている。
【0058】この成膜装置を用いて基板上に高分子膜と
して層間絶縁膜を形成する場合には、例えば、次のよう
な工程により行う。
【0059】図2(a)〜(e)は、本発明を用いて半導体
装置の層間絶縁膜を形成する工程の一例を示すものであ
る。まず、図2(a)に示すように、例えばSiからなる
半導体基板20上に、所定の位置に窓開けがされたシリ
コン熱酸化膜21が形成され、その上に所定のパターニ
ングが施されて第1層目の配線22が形成された基板3
1を用意する。
【0060】この基板31を、図1に示す成膜装置10
0の仕込み室5内に挿入し、蒸着重合膜形成室1内に搬
送して、次のような工程により蒸着重合を行う。すなわ
ち、蒸着重合膜形成室1において、シャッター13を閉
じた状態で室内の圧力を所定の値に設定し、膜厚モニタ
ー14a、14bで各原料モノマーa、bの蒸発量を測
定しながらヒーター11a、11bによって各原料モノ
マーa、bを所定の温度に加熱する。
【0061】次いで、各原料モノマーa、bが所定の温
度に達して所要の蒸発量が得られた後に、シャッター1
3を開き、所定の析出速度で基板31上に原料モノマー
a、bを蒸着し、堆積させて所定の厚みの蒸着重合膜を
形成した後にシャッター13を閉じる。
【0062】その後、蒸着重合膜形成室1から基板31
を取り出して紫外線照射室2へ搬送し、紫外線源15か
ら蒸着膜の全面に対して230〜500nmの波長の紫
外線の照射を行い(図2(b))、未反応末端基を架橋
させる。
【0063】さらに、基板31を紫外線照射室2から加
熱室3へ搬送し、加熱源16により加熱を行う。この場
合、熱処理の条件は、ポリ尿素の場合、温度が200〜
400℃程度、時間は30〜60分程度で行う。また、
処理雰囲気は、不活性ガス又は真空中のどちらでもよ
い。これにより、蒸着重合膜の高分子量化が行われ、層
間絶縁膜23が形成される。
【0064】このようにして層間絶縁膜23が形成され
た基板31は、取り出し室6へ搬送され、その後装置外
部に取り出される。
【0065】その後、取り出された基板31の層間絶縁
膜23の表面に対し、レジストプロセスによりレジスト
パターン25を形成し(図2(c))、ドライエッチングを
行ってレジストパターン25の窓開け部分に露出した層
間絶縁膜23の部分を除去する(図2(d))。そして、
レジストパターン25を除去した後、配線薄膜を全面成
膜し、パターニングを施して第2層目の配線26を形成
する。すると、層間絶縁膜23が除去された窓開け部分
27で、第1層目の配線22と第2層目の配線26とが
電気的に接続され、その結果、多層配線を有する半導体
装置35を得ることができる(図2(e))。
【0066】本実施の形態によれば、低比誘電率化した
蒸着重合膜によって層間絶縁膜23を構成しているの
で、第1層目の配線22と第2層目の配線26との間で
形成されるコンデンサーの容量が小さくなり、半導体装
置35の動作速度を向上させることが可能になる。しか
も、本実施の形態によれば、安定した特性を有する半導
体装置を得ることができる。
【0067】特に、本実施の形態によれば、耐熱性が高
く、かつ、経時変化の少ない安定した特性を有する低比
誘電率の層間絶縁膜23を容易に得ることができる。
【0068】一方、蒸着重合膜形成室1と、紫外線照射
室2と、加熱室3とが連結された本実施の形態の装置に
よれば、蒸着重合膜の形成工程と、架橋反応及び高分子
量化工程とを連続して行うことができるため、効率良く
高分子膜を成膜することができる。
【0069】なお、本発明は上述の実施の形態に限られ
ることなく、種々の変更を行うことができる。例えば、
上述の実施の形態においては、蒸着重合膜形成室1、紫
外線照射室2及び加熱室3をインライン型に配置した
が、本発明はこれに限られず、各室をマルチチャンバー
式に配置するように構成してもよい。また、本発明は層
間絶縁膜のみならず、種々の絶縁膜に適用しうるもので
ある。
【0070】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を比較例とと
もに説明する。図3は、本発明の実施例のサンプル41
の構成を示す断面図である。図3に示すように、ガラス
基板42上にアルミニウムからなる下部電極43が形成
され、この下部電極43の上に、以下の実施例1〜5の
方法による高分子膜44が形成されている。さらに、こ
の高分子膜44の上にアルミニウムからなる上部電極4
5が形成されている。
【0071】〔実施例1〕本実施例においては、4,4´
−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)と4,
4′-ジアミノ-3,3′-ジフェニルメタン(MeMDA)を
用いてポリ尿素膜を形成した。
【0072】イソプロピルアルコール中で煮沸洗浄した
ガラス基板(コーニング#7059)42に対し、マス
ク蒸着により厚み100nmの下部電極43を形成した
ガラス基板42を用意し、このガラス基板42を仕込み
室5内に挿入した。蒸着重合膜形成室1の蒸発用容器1
2aには、原料モノマーaとして、MDIを充填し、蒸
発用容器12bには、原料モノマーbとして、MeMD
Aを充填した。この場合、MDIの蒸発温度を70℃、
MeMDAの蒸発温度は120℃となるように制御し
た。
【0073】それぞれの原料モノマーa、bの温度が安
定した時点で、上述のガラス基板42を蒸着重合膜形成
室1内に搬送し、シャッター13を開けて蒸着重合を行
い、膜厚モニター14cで蒸発速度を制御しながらポリ
尿素膜を1.0μm堆積させた。また、成膜中の蒸着重
合膜形成室1内の圧力は、4.0×10-3Pa、成膜速
度は0.5nm/s、ガラス基板42の温度は20℃程
度とした。
【0074】なお、本実施例の場合、MDIとMeMD
Aの組成比が化学量論比で1:1となるように制御し
た。
【0075】成膜終了後、シャッター13を閉じて基板
を紫外線照射室2へ搬送し、230〜500nmの波長
の紫外線をポリ尿素膜の全面に照射した。この場合、照
射時間は30分とした。
【0076】さらに、基板を加熱室3へ搬送し、窒素を
8.0×104 Pa封入した雰囲気中において、加熱源
16により300℃の熱処理を30分間行った。加熱終
了後、加熱室3を排気した後に、基板を取り出し室6へ
搬送して装置外部に取り出した。
【0077】その後、ポリ尿素膜に対し、上部電極45
として、マスク蒸着によりアルミニウム電極を100n
m形成して比誘電率測定用のサンプル41を作成した。
【0078】このサンプル41について、RFインピー
ダンスアナライザ(横河電機社製)により1MHzの静
電容量を測定し、式(1)から比誘電率を測定したとこ
ろ、2.8という低い値が得られ、メチル基を導入しな
い高分子膜に比べて比誘電率が低下することが確認され
た。
【0079】 ε/ε0(比誘電率)=(C×d)/(ε0×S) ・・・式(1) C:静電容量 d:膜厚 ε0:真空中の誘電率 S:電極面積
【0080】また、この高分子膜は、300℃まで安定
した耐熱性を示した。さらに、静電容量の変化を10日
間にわたって測定したところ、比誘電率の経時変化も見
られないことが確認された。
【0081】〔実施例2〕本実施例においては、MDI
と2,2′-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン(BAPP)を用いてポリ尿素膜を形成した。すなわ
ち、実施例1で使用したMeMDAモノマーの代わり
に、BAPPを用いてポリ尿素膜を形成した。
【0082】この場合、MDIは70℃、BAPPにつ
いては、210℃で蒸発させた。また、成膜速度は0.
5nm/s、成膜中の蒸着重合膜形成室1内の圧力は
3.3×10-3Paとした。一方、紫外線の照射及び熱
処理の条件については、実施例1と同様とした。
【0083】実施例2について、実施例1と同様の方法
により比誘電率を測定したところ、2.7と低い値が得
られた。また、実施例1の場合と同様に、300℃まで
安定した耐熱性を示すことが確認された。さらに、実施
例1と同様に、静電容量の変化を10日間にわたって測
定したところ、比誘電率の経時変化も見られないことが
確認された。
【0084】〔実施例3〕本実施例においては、MDI
と、4,4′-ジアミノ-3,3′-t-ブチルジフェニルメタン
(t−BuMDA)を用いてポリ尿素膜を形成した。す
なわち、実施例1で使用したMeMDAモノマーの代わ
りに、t−BuMDAを用いてポリ尿素膜を形成した。
【0085】この場合、MDIは70℃、BAPPにつ
いては、180℃で蒸発させた。また、成膜速度は0.
3nm/s、成膜中の蒸着重合膜形成室1内の圧力は
3.3×10-3Paとした。一方、紫外線の照射及び熱
処理のについては、実施例1と同様とした。
【0086】実施例3について、実施例1と同様の方法
により比誘電率を測定したところ、2.5と低い値が得
られた。また、実施例1の場合と同様に、300℃まで
安定した耐熱性を示すことが確認された。さらに、実施
例1と同様に、静電容量の変化を10日間にわたって測
定したところ、比誘電率の経時変化も見られないことが
確認された。
【0087】〔実施例4〕本実施例においては、ピロメ
リット酸二無水物(PMDA)と上述のMeMDAを用
いてポリイミド膜を形成した。
【0088】本実施例の場合、実施例1と同様の下部電
極43を形成したガラス基板42を用意し、蒸発用容器
12aにPMDAを充填するとともに、蒸発用容器12
bにMeMDAを充填した。そして、PMDAの蒸発温
度を140℃、MeMDAの蒸発温度を120℃となる
ように制御し、それぞれの温度が安定した時点で、上述
のガラス基板42を蒸着重合膜形成室1内に搬送し、シ
ャッター13を開けて蒸着重合を行い、膜厚モニター1
4cで蒸発速度を制御しながらガラス基板42及び下部
電極43上にポリアミド酸膜を1.0μm堆積させた。
また、成膜中の蒸着重合膜形成室1内の圧力は1.33
×10-3Pa、成膜速度は0.5nm/s、ガラス基板
42の温度は30℃程度とした。
【0089】なお、本実施例の場合、PMDAとMeM
DAの組成比が化学量論比で1:1となるように制御し
た。
【0090】成膜終了後、シャッター13を閉じて基板
を加熱室3へ搬送し、窒素を8.0×104 Pa封入し
た雰囲気中において、加熱源16により400℃の熱処
理を30分間行い、ポリイミド膜を形成した。加熱終了
後、加熱室3を排気した後に、基板を取り出し室6へ搬
送して装置外部に取り出した。
【0091】その後、ポリイミド膜上に、上部電極45
として、マスク蒸着により膜厚100nmのアルミニウ
ム電極を形成して比誘電率測定用のサンプル41を作成
した。
【0092】実施例4について、実施例1と同様の方法
により比誘電率を測定したところ、2.8と低い値が得
られた。また、450℃まで安定した耐熱性を示すこと
が確認された。さらに、実施例1と同様に、静電容量の
変化を10日間にわたって測定したところ、比誘電率の
経時変化も見られないことが確認された。
【0093】〔実施例5〕本実施例においては、実施例
4で使用したMeMDAの代わりに、BAPPを用いて
ポリイミド膜を形成した。
【0094】この場合、BAPPについては、180℃
で蒸発させた。蒸着重合や熱処理等の他の条件について
は、実施例4と同様とした。
【0095】実施例5について、実施例1と同様の方法
により比誘電率を測定したところ、2.7と低い値が得
られた。また、実施例4の場合と同様に、450℃まで
安定した耐熱性を示すことが確認された。さらに、実施
例4と同様に、静電容量の変化を10日間にわたって測
定したところ、比誘電率の経時変化も見られないことが
確認された。
【0096】
【発明の効果】以上述べたように請求項1記載の発明に
よれば、真空中で原料モノマーを蒸発させ、基体上で蒸
着重合させて高分子膜を形成する際に、この原料モノマ
ーとして、炭素数1〜4の低級アルキル基若しくはアル
コキシ基又はフェニル基からなる立体障害の大きな置換
基を側鎖に有するものを用いることにより、蒸着重合に
よって形成される高分子膜の低比誘電率化を図ることが
できる。また、請求項1記載の発明によれば、経時変化
の少ない安定した特性を有する高分子膜を簡易な工程で
得ることができる。
【0097】この場合、請求項2記載の発明のように、
立体障害の大きな置換基として、メチル基、メトキシ基
又はt−ブチル基を有する原料モノマーを用いることに
より、容易に高分子膜の低比誘電率化を達成することが
できる。
【0098】さらに、請求項3又は4記載の発明のよう
に、請求項1又は2のいずれか1項記載の発明におい
て、蒸着重合させる高分子重合体がポリ尿素又はポリイ
ミドである場合に、一層容易に低比誘電率の高分子膜を
得ることができる。
【0099】さらにまた、請求項5記載の発明のよう
に、請求項1乃至4のいずれか1項記載の発明におい
て、真空中で原料モノマーを蒸発させ、基体上で蒸着重
合させて低分子量の蒸着膜を形成した後、この蒸着膜に
紫外線の照射及び(又は)熱処理を行い、架橋反応及び
(又は)高分子量化することにより、比誘電率をより低
下させ、高分子膜の耐熱性を向上させることができる。
【0100】加えて、請求項6記載の発明のように、金
属配線が形成された半導体基体上に、請求項1乃至5の
いずれか1項記載の方法によって絶縁膜を形成すること
により、耐熱性が高く、かつ、経時変化の少ない安定し
た特性を有する低比誘電率の層間絶縁膜を容易に得るこ
とができる。したがって、本発明を用いて多層配線の層
間絶縁膜を形成すれば、動作速度が大きく、かつ、安定
した特性を有する半導体装置を得ることができる。
【0101】一方、請求項7記載の発明のように、真空
中で原料モノマーを蒸発させ、基体上で蒸着重合させて
蒸着膜を形成する蒸着重合手段を有する蒸着重合膜形成
室と、この基体を所定の温度に加熱する加熱手段を有す
る加熱室とを有する低比誘電率高分子膜形成装置によれ
ば、蒸着重合膜を形成する工程とこの蒸着重合膜を高分
子量化する工程を連続して行うことができ、高分子膜の
成膜効率を向上させることができる。
【0102】この場合、請求項8記載の発明のように、
請求項7記載の発明において、不活性ガスを加熱室内に
導入するための不活性ガス導入手段を備えることによ
り、不活性ガス中で熱処理を行い、膜の酸化を防ぎなが
ら高分子量化することができるので、耐熱性を向上させ
ることができる。
【0103】また、請求項9記載の発明のように、請求
項7又は8記載の発明において、基体上に形成された蒸
着膜に対して紫外線を照射する紫外線照射手段を有する
ことにより、容易に比誘電率の低下と耐熱性の向上を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る成膜装置の一例の概略構成図
【図2】(a)〜(e):本発明を用いて半導体装置の層間絶
縁膜を形成する工程の一例を示す工程図
【図3】本発明の実施例のサンプルの構成を示す断面図
【符号の説明】
1…蒸着重合膜形成室、2…紫外線照射室、3…加熱
室、4a、4b、4c、4d…ゲートバルブ、5…仕込
み室、6…取り出し室、7a、7b、7c、7d、7e
…真空排気系、8…基板ホルダー、9a、9b…蒸発
源、10a、10b…蒸発用容器、11a、11b…ヒ
ータ、13…シャッター、14a、14b、14c…膜
厚モニター、15…紫外線源、16…加熱源、17…不
活性ガス導入ライン、20…半導体基板、21…シリコ
ン熱酸化膜、22…配線、23…層間絶縁膜、24…紫
外線、25…レジストパターン、26…配線、31…基
板、35…半導体装置、41…サンプル、42…ガラス
基板、43…下部電極、44…高分子膜、45…上部電
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C23C 16/30 H01L 21/95

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空中で原料モノマーを蒸発させ、基体上
    で蒸着重合させて高分子膜を形成する際に、上記原料モ
    ノマーとして、炭素数1〜4の低級アルキル基若しくは
    アルコキシ基又はフェニル基からなる立体障害の大きな
    置換基をその側鎖に有するものを用いることを特徴とす
    る低比誘電率高分子膜の形成方法。
  2. 【請求項2】立体障害の大きな置換基が、メチル基、メ
    トキシ基又はt−ブチル基であることを特徴とする請求
    項1記載の低比誘電率高分子膜の形成方法。
  3. 【請求項3】蒸着重合させる高分子重合体がポリ尿素で
    あることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記
    載の低比誘電率高分子膜の形成方法。
  4. 【請求項4】蒸着重合させる高分子重合体がポリイミド
    であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項
    記載の低比誘電率高分子膜の形成方法。
  5. 【請求項5】真空中で原料モノマーを蒸発させ、基体上
    で蒸着重合させて低分子量の蒸着膜を形成した後、この
    蒸着膜に紫外線の照射及び(又は)熱処理を行い、架橋
    反応及び(又は)高分子量化することを特徴とする請求
    項1乃至4のいずれか1項記載の低比誘電率高分子膜の
    形成方法。
  6. 【請求項6】金属配線が形成された半導体基体上に、請
    求項1乃至5のいずれか1項記載の方法によって低比誘
    電率高分子膜を形成する工程を有することを特徴とする
    層間絶縁膜の形成方法。
  7. 【請求項7】真空中で原料モノマーを蒸発させ、基体上
    で蒸着重合させて蒸着膜を形成する蒸着重合手段を有す
    る蒸着重合膜形成室と、上記基体を所定の温度に加熱す
    る加熱手段を有する加熱室とを有することを特徴とする
    低比誘電率高分子膜形成装置。
  8. 【請求項8】不活性ガスを加熱室内に導入するための不
    活性ガス導入手段を備えたことを特徴とする請求項7記
    載の低比誘電率高分子膜形成装置。
  9. 【請求項9】基体上に形成された蒸着膜に対して紫外線
    を照射する紫外線照射手段を有することを特徴とする請
    求項7又は8のいずれか1項記載の低比誘電率高分子膜
    形成装置。
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