JP3957812B2 - 低比誘電性高分子膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、半導体装置の層間絶縁膜に適用可能な低比誘電性高分子膜、特にポリカルボジイミド膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSIの高集積化の進展により層間絶縁膜の低比誘電率化が大きな課題とされており、比誘電率が4以下の層間絶縁膜が要求されるようになっている。
このような要求を満たす材料として、例えばポリイミド、ポリ尿素等の高分子材料が近年注目されており、そのような高分子材料の一つとして、比誘電率のきわめて小さなポリカルボジイミドがある。
【0003】
従来、ポリカルボジイミドを合成する方法としては、芳香族ジイソシアナートモノマーをテトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の溶媒に溶解させ、このジイソシアナート溶液にリン系触媒(例えば3-メチル-1-フェニルホスフォレンオキシド)を加え、脱炭酸化反応を起こさせる方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来技術においては、次のような問題があった。
すなわち、この種の高分子材料の場合、キャスト法やスピンコート(回転塗布)法によって膜を作製するのが一般的であるが、芳香族モノマーから合成されるポリカルボジイミドは溶媒に対してほとんど不溶であるため成膜するのが困難で、特に半導体装置の層間絶縁膜に用いられるような薄膜を作製することは従来不可能であった。
【0005】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、簡単な工程でポリカルボジイミドの薄膜を形成しうる成膜方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ジイソシアナートを含むモノマーを用いて成膜した後、加熱条件を最適化することによって容易にポリカルボジイミドの薄膜を形成しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明はかかる知見に基づいてなされたもので、請求項1記載の発明は、ジイソシアナートモノマー溶液を用い、回転塗布法によって基体上に成膜する工程と、この基体上に形成された膜を加熱処理してポリカルボジイミドを生成させる加熱処理工程とを有し、
上記ジイソシアナートモノマーとして、パラフェニレンジイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4′-ビス(4-イソシアナートフェノキシ)ビフェニル、1,4-ビス(4-イソシアナートフェノキシ)ベンゼン、2,2′-ビス[4-(4-イソシアナートフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2′-ビス[4-(4-イソシアナートフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジイソシアナートビフェニル、3,3′-ジメチル-4,4′-ジイソシアナートビフェニルのいずれかのモノマーを用いることを特徴とする低比誘電性高分子膜の形成方法である。
【0008】
一方、請求項2記載の発明は、発明は、ジアミンモノマーとジイソシアナートモノマーの混合溶液を用い、回転塗布法によって基体上に成膜する工程と、この基体上に形成された膜を加熱処理してポリカルボジイミドを生成させる加熱処理工程とを有し、
上記ジアミンモノマーとして、 4,4 ′ - ジアミノジフェニルメタン、 4,4 ′ - ジアミノジフェニルエーテル、 4,4 ′ - ビス (4- アミノフェノキシ ) ビフェニル、 1,4- ビス ( 4 - アミノフェノキシ ) ベンゼン、 2,2 ′ - ビス [4-(4- アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2′-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノビフェニル又は3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジアミノビフェニルのいずれかモノマーを用い、
上記ジイソシアナートモノマーとして、パラフェニレンジイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4′-ビス(4-イソシアナートフェノキシ)ビフェニル、1,4-ビス(4-イソシアナートフェノキシ)ベンゼン、2,2′-ビス[4-(4-イソシアナートフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2′-ビス[4-(4-イソシアナートフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジイソシアナートビフェニル、3,3′-ジメチル-4,4′-ジイソシアナートビフェニルのいずれかのモノマーを用いることを特徴とする低比誘電性高分子膜の形成方法である。
【0009】
請求項1又は2記載の発明の場合、溶媒としては、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等種々のもの用いることができる。
【0010】
なお、ポリ尿素は溶媒に不溶であるため、請求項2記載の発明の場合は、ポリ尿素が重合されない温度(0℃程度)等の条件でジアミンモノマーとジイソシアナートモノマーの混合溶液の回転塗布を行うことが好ましい。
【0011】
上述した請求項1記載の発明の場合、基体上に形成されたジイソシアナートモノマーの膜を加熱処理することによって、ジイソシアナートが重合反応してポリカルボジイミドが生成され、これにより容易に低比誘電性の高分子薄膜を形成することができる。
【0012】
一方、請求項2記載の発明においては、基体上に形成されたジアミンモノマーとジイソシアナートモノマーの複合膜を加熱処理することによって一旦ポリ尿素膜が形成され、さらに加熱を行うことによって、ポリ尿素膜中のジアミン成分が解離(解重合)して蒸発し、これによりポリ尿素中のジイソシアナート末端基同士が反応してポリカルボジイミドが生成される。したがって、請求項2記載の発明によっても、容易に低比誘電性の高分子薄膜を形成することができる。
【0013】
本発明の場合、原料モノマーとして、種々のものを用いることができるが、例えば、ジイソシアナートモノマーとして、パラフェニレンジイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、4,4′-ビス(4-イソシアナートフェノキシ)ビフェニル、1,4-ビス(4−イソシアナートフェノキシ)ベンゼン、2,2′-ビス[4-(4-イソシアナートフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2′-ビス[4-(4-イソシアナートフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジイソシアナートビフェニル、3,3′-ジメチル-4,4′-ジイソシアナートビフェニル(TODI)のいずれかの芳香族モノマーを用いることができる。
【0014】
また、ジアミンモノマーとしては、4,4′-ジアミノジフェニルメタン(MDA)、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4′-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2′-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2′-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノビフェニル(OTD)又は3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジアミノビフェニルのいずれかの芳香族モノマーを用いることができる。
【0015】
また、ジイソシアナートモノマーを用いて成膜する場合、加熱処理工程としては、請求項3記載の発明のように、イソシアナートダイマーが生成される温度で前段の熱処理を行い、その後、2℃/min以下の昇温速度でポリカルボジイミドが生成される温度まで温度を上昇させて後段の加熱を行うことが好ましい。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、前段の熱処理によってジイソシアナートダイマーが形成されるため、より円滑にポリカルボジイミドを生成させて高分子量化を行うことができる。
【0017】
この場合、前段の熱処理の温度は150〜200℃程度とし、その時間は30〜60分程度とすることが好ましい。
【0018】
その後、温度を上昇させて後段の加熱を行うことにより、ジイソシアナートが重合反応してポリカルボジイミドが生成されるが、請求項7記載の発明のように、2℃/min以下の昇温速度で温度を上昇させることにより、ジイソシアナートを確実に重合させることができる。
【0019】
この場合、後段の加熱の昇温速度が0.1℃/minより小さいと、ポリカルボジイミドの生成に時間がかかりすぎ、他方、後段の加熱の昇温速度2℃/minより大きいと、ジイソシアナートモノマーがポリカルボジイミドが生成される前に蒸発してしまうという不都合がある。
【0020】
そして、ジイソシアナートをより確実に重合させるためには、後段の加熱の昇温速度を0.5〜1℃/minの範囲とすることが好ましい。
さらに、後段の加熱温度は、330〜400℃とすることが好ましい。
【0021】
一方、本発明の場合、処理雰囲気は、大気、不活性ガス又は真空中のどちらでもよいが、加熱処理工程においてモノマーの蒸発を抑えるためには、不活性ガス中が最も効果的であり、また、1〜2気圧程度に加圧することが好ましい。
【0022】
一方、ジアミンモノマーとジイソシアナートモノマーを用いて成膜する場合、加熱処理工程としては、請求項4記載の発明のように、ポリ尿素が解離しない上限の温度以下の温度で前段の熱処理を行い、その後、2℃/min以下の昇温速度でポリカルボジイミドが生成される温度まで温度を上昇させて後段の加熱を行うことが好ましい。
【0023】
請求項4記載の発明の場合、ポリ尿素が解離しない上限の温度以下の温度で前段の熱処理を行うことによって、まずポリ尿素膜が形成される。
【0024】
この場合、熱処理の温度は250〜350℃程度とし、その時間は30〜60分程度とすることが好ましい。
【0025】
その後、温度を上昇させて後段の加熱を行うことにより、300〜350℃の温度でポリ尿素が解重合してジアミン成分が解離し、ジイソシアナート末端基同士が反応してポリカルボジイミドが生成されるが、2℃/min以下の昇温速度で温度を上昇させることにより、ポリ尿素の解重合が徐々に進行し、ジイソシアナート末端基同士を確実に反応させることができる。
【0026】
この場合、後段の加熱の昇温速度が0.1℃/minより小さいと、ポリカルボジイミドの生成に時間がかかりすぎ、他方、後段の加熱の昇温速度が2℃/minより大きいと、ポリ尿素の解重合が一気に進行するため、解離したモノマー成分がポリカルボジイミドが生成される前に蒸発してしまうという不都合がある。
【0027】
そして、ジイソシアナートをより確実に反応させるためには、後段の加熱の昇温速度を0.5〜1℃/minの範囲とすることが好ましい。
さらに、後段の加熱温度は、330〜400℃とすることが好ましい。
【0028】
一方、本発明の場合、処理雰囲気は、大気、不活性ガス又は真空中のどちらでもよいが、ジアミンモノマーの蒸発を最適のものとするためには、不活性ガス中で1〜2気圧とすることが最も効果的である。
【0029】
なお、半導体装置を作成する際には、上記加熱処理工程において、半導体装置の製造プロセスの最高温度以上に加熱すれば、その後のプロセスにおける高分子成分の分解を防ぐことができる。
【0030】
一方、請求項5記載の発明のように、加熱処理工程前の膜に対し、350nm以下の波長の紫外線を10mW/cm2以上照射すること、また、請求項6記載の発明のように、ポリカルボジイミドが生成された膜に対し、350nm以下の波長の紫外線を10mW/cm2以上照射することも効果的である。
【0031】
請求項5又は6記載の発明によれば、特定の波長の紫外線を一定量以上照射することによって、架橋構造をとるようになるため、高分子膜の耐熱性が向上する。
【0032】
この場合、耐熱性を向上させるためのより好ましい紫外線の波長の範囲は、350〜190nmであり、また、より好ましい紫外線の照射量は、50〜100mW/cm2である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明を実施するための成膜装置の参考例の概略構成図である。
図1に示すように、この成膜装置100においては、第1及び第2の処理室1、2が設けられ、これら第1及び第2の処理室1、2は、ゲートバルブ3を介して連結されている。なお、第1及び第2の処理室1、2は、図示しない真空ポンプ等の真空排気系に連結されている。
【0035】
第1の処理室1内には、処理すべき基板4が基板ホルダー5によって保持される。この基板ホルダー5は、第1の処理室1の外部に貫通して配置される搬送アーム6の先端部6aに取り付けられている。この搬送アーム6は、搬送モータ7の回転に伴って水平方向に移動自在となるように構成されている。すなわち、搬送モータ7のシャフト8にネジ部が形成される一方、搬送アーム6の先端部6aにもネジ部(図示せず)が形成され、これらの噛み合いによって搬送アーム6が矢印H方向に移動して第2の処理室2に入り込むように構成される。
【0036】
また、第1の処理室1の下方には、エレクトロンビーム加熱源9が配置される。このエレクトロンビーム加熱源9の上部には、蒸発材料として例えばアルミニウムが載置される。そして、基板4とエレクトロンビーム加熱源9との間には、シャッター11が設けられ、このシャッター11近傍には、基板4上に形成される薄膜の膜厚を検出するための膜厚モニター12が設けられている。
【0037】
一方、第2の処理室2の下方には、2種類の原料モノマーA、Bを蒸発させるための蒸着源13A、13Bが配置される。各蒸発源13A、13Bのハウジング14A、14Bには、それぞれ蒸発用容器15A、15Bが設けられる。そして、蒸発用容器15A、15Bの内部には、ポリ尿素を形成するための原料モノマーA、Bがそれぞれ注入されている。
【0038】
この場合、原料モノマーA、Bとしては、例えば、3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノビフェニル(OTD)と、3,3′-ジメチル-4,4′-ジイソシアナートビフェニル(TODI)が用いられる。
【0039】
さらに、各蒸発用容器15A、15Bの近傍には、各原料モノマーA、Bを加熱するためのヒーター16A、16Bが設けられる。
【0040】
また、各蒸発源13A、13Bの間には、原料モノマーA、B同士の蒸気の混合を防止し、かつ、それぞれの熱の影響を防止するための仕切板17が配置される。
【0041】
一方、各蒸発源13A、13Bの上方には、シャッター18A、18Bがそれぞれ設けられ、これらのシャッター18A、18Bの近傍には、上述した膜厚モニター12A、12Bがそれぞれ設けられている。
【0042】
図2は、モノマーの塗布を行うための装置の概略構成を示すものである。
図2に示すように、この塗布装置200は、図示しないモータ等の回転駆動源によって所定の回転数で回転可能なチャック201を有し、このチャック201の上に、基板4が装着される。そして、先端に設けられたノズルから所定のモノマー溶液202を基板4上に塗布するためのアーム203が、基板4の上方に設けられる。このアーム203は、基板4の回転中心と基板4上から待避した位置との間で移動可能に設けられる。さらに、基板4の周囲には、基板4の回転に伴って振り切られるモノマー溶液202を受けるための受け部204が設けられている。
【0043】
図3(a)(b)は、本発明に係る低比誘電性高分子膜の形成方法の一例を示すものであり、図3(a)は、ジイソシアナートモノマーを用いてポリカルボジイミド膜を形成する場合、図3(b)は、ジアミンモノマーとジイソシアナートモノマーを用いてポリカルボジイミド膜を形成する場合を示すものである。
【0044】
図3(a)に示すように、ジイソシアナートモノマーを用いてポリカルボジイミド膜を形成する場合には、まず、図2示す塗布装置200を用い、回転塗布法によって基板4上に、例えば3,3′-ジメチル-4,4′-ジイソシアナートビフェニル(TODI)のテトラヒドロフラン溶液の膜を形成する(工程1)。
【0045】
次いで、この膜に対し、波長350nm以下の紫外線を10mW/cm2以上照射する(工程2)。
【0046】
さらに、この膜に対して以下のような加熱処理を行う(工程3)。
すなわち、昇温速度5℃/min程度で200℃程度まで加熱し、その状態を30分間保持してTODIのダイマーを生成させ(工程3A)、その後、昇温速度1℃/min程度で300℃程度まで加熱することによりポリカルボジイミドを重合生成させる(工程3B)。なお、処理雰囲気は、モノマーの蒸発を抑えるため例えば2気圧程度の窒素雰囲気中とする。
【0047】
そして、このような工程により、基板4上にポリカルボジイミド膜が形成される(工程4)。
【0048】
一方、図3(b)に示すように、ジアミンモノマーとジイソシアナートモノマーを用いてポリカルボジイミド膜を形成する場合には、まず、図2示す塗布装置200を用い、回転塗布法によって基板4上に、例えば、3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノビフェニル(OTD)とTODIのテトラヒドロフランの混合溶液の膜(複合膜)を形成する(工程1)。
【0049】
なお、ポリ尿素は溶媒に不溶であるため、ポリ尿素が重合されない温度(0℃程度)等の条件でOTDとTODIの混合溶液の回転塗布を行うことが好ましい。
【0050】
次いで、この膜に対し、波長350nm以下の紫外線を10mW/cm2以上照射する(工程2)。
【0051】
次いで、以下に述べるような加熱処理を行う(工程3)。
すなわち、昇温速度10℃/min程度で300℃程度まで加熱し、その状態を30分間保持することによりポリ尿素膜の形成を行う(工程3A)。
【0052】
さらに、昇温速度1℃/min程度で350℃程度まで加熱することにより、ポリ尿素が解重合してジアミン成分が解離し、ジイソシアナート末端基同士が反応してポリカルボジイミドが生成される(工程3B)。なお、処理雰囲気は、ジアミンモノマーを蒸発させるため例えば1気圧程度の窒素雰囲気中とする。
【0053】
そして、このような工程により、基板4上にポリカルボジイミド膜が形成される(工程4)。
【0054】
以上述べたように本実施の形態によれば、基板4上にポリカルボジイミドの薄膜が形成され、これにより比誘電率が2.0以下の低比誘電率の高分子膜を得ることができる。
【0055】
図4(a)〜(f)は、本発明を用いて半導体装置の層間絶縁膜を形成する工程の一例を示すものである。
【0056】
まず、図4(a)に示すように、例えばシリコン(Si)からなる半導体基板21と、この半導体基板21表面に形成され、所定の位置に窓開けがされたシリコン熱酸化膜22と、その上に成膜され、パターニングが施された第1層目の配線23とを有する基板31を用意する。
【0057】
この基板31の表面に、上述した回転塗布法又は真空蒸着法により、ジイソシアナートモノマーを含む膜24aを所望の厚みに全面成膜し、この膜24aに対して波長350nm以下の紫外線を10mW/cm2以上照射する(図4(b))。
【0058】
さらに、上述の条件で加熱処理を行ってポリカルボジイミドを生成させ、層間絶縁膜24を形成する(図4(c))。
【0059】
次いで、その層間絶縁膜24の表面に対し、レジストプロセスにより所定のパターニングが施されたレジスト膜25を形成し(図4(d))、ドライエッチングを行うことにより、レジスト膜25の窓開け部分に露出した層間絶縁膜24を除去する(図4(e))。そして、上述のレジスト膜25を除去した後、配線薄膜を全面成膜し、パターニングを施して第2層目の配線26を形成する。
【0060】
これにより、層間絶縁膜24が除去された窓開け部分27で、第1層目の配線23と第2層目の配線26とが電気的に接続され、その結果、多層配線を有する半導体装置35を得ることができる(図4(f))。
【0061】
このような方法によれば、低比誘電率化したポリカルボジイミド膜によって層間絶縁膜24が構成されるため、第1層目の配線23と第2層目の配線26との間で形成されるコンデンサーの容量が非常に小さくなり、半導体装置35の動作速度を大幅に向上させることができる。
【0062】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上述の実施の形態においては、回転塗布法によって形成したジイソシアナートモノマーを含む膜に対し、加熱処理を行う前に紫外線を照射するようにしたが、本発明はこれに限られず、加熱処理によってポリカルボジイミドを生成した後にさらに紫外線を照射するようにしてもよい。
【0063】
また、本発明の場合、そのような紫外線の照射は必ずしも必要とされるものではない。ただし、上述したように特定の紫外線を照射すれば、ポリカルボジイミド膜の耐熱性を向上させることができるものである。
【0064】
さらに、本発明は半導体装置の層間絶縁膜のみならず、種々の絶縁膜に適用しうるものである。
【0065】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。
【0066】
〔実施例1〕
3,3′-ジメチル-4,4′-ジイソシアナートビフェニル(TODI)を溶媒であるテトラヒドロフランに溶解した溶液(0.5mol/l)を用い、図2に示す塗布装置200によって上記基板4上にTODIの膜を塗布形成した。この場合、溶媒を蒸発させた後の膜厚は100nmであった。そして、この操作を20回繰り返し、厚み2μmの膜を形成した。
【0067】
次に、この膜に対し、昇温速度10℃/minで200℃になるまで加熱して30分間保持し、TODIのダイマーを生成した。さらに、昇温速度1℃/minで300℃になるまで後段の加熱を行った。
【0068】
この場合、処理雰囲気は、モノマーの蒸発を抑えるために2気圧に加圧した窒素ガス雰囲気とした。
【0069】
〔参考例1〕
上記TODIを、1×10-4Pa以下の真空中で上記基板4上に蒸着し、厚み2μmの膜を形成した。
次いで、この膜に対し、実施例1と同様の条件で加熱処理を行った。
【0070】
〔実施例2〕
3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノビフェニル(OTD)と上記TODIを溶媒であるテトラヒドロフランに溶解した溶液(0.5mol/l)を用い、図2に示す塗布装置200によって上記基板4上に混合溶液の膜を塗布形成した。この場合、溶媒を蒸発させた後の膜厚は200nmであった。そして、この操作を10回繰り返し、厚み2μmの膜を形成した。
【0071】
次に、この膜に対し、昇温速度10℃/minで300℃になるまで加熱して30分間保持し、ポリ尿素膜を形成した。さらに、昇温速度1℃/minで350℃になるまで加熱処理を行った。
なお、処理雰囲気は、OTDの蒸発を促進するため、1気圧の窒素雰囲気中とした。
【0072】
〔参考例2〕
図1に示す成膜装置100を用い、上記OTDとTODIを、1×10-4Pa以下の真空中で上記基板4上に共蒸着した。この場合、基板4の温度は30℃とし、OTDとTODIの組成比(化学量論比)が1:1となるようにそれぞれの蒸発速度を制御した。
次いで、この膜に対し、実施例2と同じ条件で加熱処理を行った。
【0073】
実施例及び参考例の方法により形成した膜について赤外吸収スペクトルを測定した結果、2100〜2150cm-1にカルボジイミドの吸収が観測され、この膜がポリカルボジイミドであることを確認した。
【0074】
一方、図1に示す成膜装置100を用い、実施例及び参考例のポリカルボジイミド膜にアルミニウムを蒸着して上部及び下部電極を形成し、比誘電率測定用の素子を作成した。
【0075】
これらの素子について比誘電率を測定したところ、1〜2の範囲内であった。この場合、比誘電率の値は、横河ヒューレットパッカード社製のマルチ・フリケンシLCRメータ(モデル4275A)を使用して静電容量を測定し、計算によって求めた。
【0076】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、ジイソシアナートモノマーを含むモノマーを用いて成膜した後、所定の条件で加熱処理を行うことによりポリカルボジイミドの薄膜を形成することができ、これにより非常に低比誘電率の高分子膜を得ることができる。
したがって、本発明を用いて半導体装置の多層配線の層間絶縁膜を形成すれば、動作速度が大きい半導体装置を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための成膜装置の一例の概略構成図
【図2】モノマーの塗布を行うための装置の一例の概略構成図
【図3】本発明に係る低比誘電性高分子膜の形成方法の一例を示す工程図で、図3(a)は、ジイソシアナートモノマーを用いてポリカルボジイミド膜を形成する場合、図3(b)は、ジアミンモノマーとジイソシアナートモノマーを用いてポリカルボジイミド膜を形成する場合
【図4】(a)〜(f):本発明を用いて半導体装置の層間絶縁膜を形成する工程の一例を示す工程図
【符号の説明】
1……第1の処理室 2……第2の処理室 3……ゲートバルブ 4……基板 5……基板ホルダー 9……エレクトロンビーム加熱源 9a……エレクトロンビーム源 10……蒸発材料 13A、13B……蒸発源 15A、15B……蒸発用容器 16A、16B……ヒーター 18A、18B……シャッター 21……半導体基板 22……シリコン熱酸化膜 23……第1層目の配線 24……層間絶縁膜 24a……ジイソシアナートモノマーを含む膜 25……レジスト膜 26……第2層目の配線 31……基板 35……半導体装置 100……成膜装置 200……塗布装置A、B……原料モノマー EB……エレクトロンビーム
Claims (6)
- ジイソシアナートモノマー溶液を用い、回転塗布法によって基体上に成膜する工程と、
該基体上に形成された膜を加熱処理してポリカルボジイミドを生成させる加熱処理工程とを有し、
上記ジイソシアナートモノマーとして、パラフェニレンジイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4′-ビス(4-イソシアナートフェノキシ)ビフェニル、1,4-ビス(4-イソシアナートフェノキシ)ベンゼン、2,2′-ビス[4-(4-イソシアナートフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2′-ビス[4-(4-イソシアナートフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジイソシアナートビフェニル、3,3′-ジメチル-4,4′-ジイソシアナートビフェニルのいずれかのモノマーを用いることを特徴とする低比誘電性高分子膜の形成方法。 - ジアミンモノマーとジイソシアナートモノマーの混合溶液を用い、回転塗布法によって基体上に成膜する工程と、
該基体上に形成された膜を加熱処理してポリカルボジイミドを生成させる加熱処理工程とを有し、
上記ジアミンモノマーとして、 4,4 ′ - ジアミノジフェニルメタン、 4,4 ′ - ジアミノジフェニルエーテル、 4,4 ′ - ビス (4- アミノフェノキシ ) ビフェニル、 1,4- ビス ( 4 - アミノフェノキシ ) ベンゼン、 2,2 ′ - ビス [4-(4- アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2′-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノビフェニル又は3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジアミノビフェニルのいずれかモノマーを用い、
上記ジイソシアナートモノマーとして、パラフェニレンジイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4′-ビス(4-イソシアナートフェノキシ)ビフェニル、1,4-ビス(4-イソシアナートフェノキシ)ベンゼン、2,2′-ビス[4-(4-イソシアナートフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2′-ビス[4-(4-イソシアナートフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジイソシアナートビフェニル、3,3′-ジメチル-4,4′-ジイソシアナートビフェニルのいずれかのモノマーを用いることを特徴とする低比誘電性高分子膜の形成方法。 - 加熱処理工程として、イソシアナートダイマーが生成される温度で前段の熱処理を行い、その後、2℃/min以下の昇温速度でポリカルボジイミドが生成される温度まで温度を上昇させて後段の加熱を行うことを特徴とする請求項1記載の低比誘電性高分子膜の形成方法。
- 加熱処理工程として、ポリ尿素が解離しない上限の温度以下の温度で前段の熱処理を行い、その後、2℃/min以下の昇温速度でポリカルボジイミドが生成される温度まで温度を上昇させて後段の加熱を行うことを特徴とする請求項2記載の低比誘電性高分子膜の形成方法。
- 加熱処理工程前の膜に対し、350nm以下の波長の紫外線を10mW/cm2 以上照射することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の低比誘電性高分子膜の形成方法。
- ポリカルボジイミドが生成された膜に対し、350nm以下の波長の紫外線を10mW/cm2 以上照射することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の低比誘電性高分子膜の形成方法。
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