JP3059972B2 - 有機系光学薄膜の製造法とその装置 - Google Patents

有機系光学薄膜の製造法とその装置

Info

Publication number
JP3059972B2
JP3059972B2 JP5052102A JP5210293A JP3059972B2 JP 3059972 B2 JP3059972 B2 JP 3059972B2 JP 5052102 A JP5052102 A JP 5052102A JP 5210293 A JP5210293 A JP 5210293A JP 3059972 B2 JP3059972 B2 JP 3059972B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
organic
substrate
organic optical
vacuum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP5052102A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06306181A (ja
Inventor
隆 平賀
哲郎 守谷
教雄 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Japan Science and Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd, Japan Science and Technology Corp filed Critical Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority to JP5052102A priority Critical patent/JP3059972B2/ja
Publication of JPH06306181A publication Critical patent/JPH06306181A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3059972B2 publication Critical patent/JP3059972B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、有機系光学薄膜の製
造方法とその装置に関するものである。さらに詳しく
は、この発明は、波長選択透過膜、反射膜、光非線形効
果膜、光電変換装置等の光技術、オプトエレクトロニク
ス技術に有用な、高機能性の光学薄膜として、有機系光
学薄膜を高品質、高効率で製造することのできる新しい
製造方法とそのための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、各種の組成からな
る光学薄膜が様々な応用分野において使用されており、
光の吸収あるいは干渉を利用した波長選択透過や反射機
能を利用したものが古くから知られている。そして特に
近年は、レーザー光を利用したオプトエレクトロニクス
の分野において、用途面では光の多重性を利用した情報
の多元並列高速処理のための応用や、現象面では光非線
形効果ないし光電気効果の応用のため、従来とは異なる
高い機能を有する光学薄膜の開発が盛んに進められてい
る。
【0003】このような新しい高機能光学薄膜を形成す
るための素材、その組成として注目されているものに有
機系光学材料がある。この有機系光学材料を用いた有機
系光学薄膜の製造方法についても各種の検討がこれまで
にも進められており、たとえば以下のような方法が知ら
れてもいる。 (1)溶液、分散液、または、展開液を用いる湿式法 塗布法、レードコート法、ロールコート法、スピンコ
ート法、ディッピング法、スプレー法などの塗工法、平
版、凸版、凹版、孔版、スクリーン、転写などの印刷
法、電着法、電解重合法、ミセル電解法(特開昭63−
243298)などの電気化学的手法、水の上に形成さ
せた単分子膜を移し取るラングミア・プロジェット法な
ど。 (2)原料モノマーの重合ないし重縮合反応を利用する
方法 モノマーが液体の場合、キャスティング法、リアクショ
ン・インジェクション・モールド法、プラズマ重合法、
光重合法など。 (3)気体分子を用いる方法(加熱による気化法) 昇華転写法、蒸着法、真空蒸着法、イオンビーム法、ス
パッタリング法、プラズマ重合法、光重合法など。 (4)溶融あるいは軟化を利用する方法 ホットプレス法(特開平4−99609)、射出成形
法、延伸法、溶融薄膜の単結晶化方法など。
【0004】しかしながら、これらの従来の製造方法の
場合には、対象とされる光学薄膜の組成、構造は比較的
単純なものに限られており、より高度な微細構造の制御
を可能とし、より高機能な有機系光学薄膜を製造するの
には適していないのが実情であった。たとえば、従来の
方法においては、有機イオン結晶等の融点が存在しない
材料の場合には、加熱により分解してしまい、また融点
が存在しても気化温度において分解してしまうため、こ
れらの現象を制御することや、この制御により高機能な
有機系光学薄膜を実現することは困難であった。
【0005】そこで、この発明は、以上の通りの従来技
術の欠点を解消し、光学材料の熱分解をもたらすことな
く、より低温度において、しかもより高機能な有機系光
学薄膜を製造することができ、微細構造制御を可能とす
るための新しい有機系光学薄膜の製造方法とそのための
装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するために、溶液または分散液状態の有機系光学
材料を高真空容器内に噴霧して基板上に堆積させ、加熱
処理した後に加圧成形することを特徴とする有機系光学
薄膜の製造法を提供する。
【0007】さらに、この発明は、上記方法を実現する
ための装置として、真空容器とこの真空容器内に溶液ま
たは分散液状態の有機系光学材料を噴霧する手段と、真
空容器内において噴霧された有機系光学材料を堆積させ
る基板とその加熱手段、および真空容器の排気手段とを
備えた装置であって、有機系光学材料の噴霧手段は、
ードルバルブ構造を構成していることを特徴とする有機
系光学薄膜の製造装置をも提供する。
【0008】さらに以下詳しく説明すると、まず、この
発明の方法において対象とする有機系光学薄膜の製造に
は、それ自体が単独で、もしくは混合して、あるいは複
合化されて光学機能を実現する有機系光学材料が使用さ
れる。この材料には、揮発性を有する溶媒に溶解し、あ
るいは分散媒に分散できるものであれば任意の種類のも
のが用いられる。その際には、無機粒子と混合した状
態、複数種のものを混合した材料等として適宜に使用す
ることができる。
【0009】具体的には有機高分子材料の溶液や無機微
粒子を有機高分子材料の溶液に分散した液、有機低分子
化合物および有機高分子材料を共通の溶剤に溶解した
液、有機化合物の微粒子を有機高分子材料の溶液に分散
した液、液晶および有機高分子材料を共通の溶剤に溶解
した液等を適宜に使用することができる。以下、さらに
具体的に例示してみる。 [有機高分子材料]有機高分子化合物のうち、いわゆる
「光学的性質や機能」を有するものは、この発明の光学
薄膜の製造のための原材料として利用することができ
る。また、有機高分子化合物は、光機能性の有機低分子
化合物の分子または凝集体、および無機化合物の微粒子
を分散し保持する材料、すなわち「マトリクス材料」と
してもこの発明において利用することができる。
【0010】このような有機高分子材料の具体例として
は、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ
インデン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリビ
ニルピリジン、ポリビニルホルコール、ポリビニルアセ
タール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ
ビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエー
テル、ポリビニルベンジルエーテル、ポリビニルメチル
ケトン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(N−
ビニルピロリドン)、ポリアクリル酸メチル、ポリアク
リル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリ
ル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチ
ル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸ベンジ
ル、ポリメタクリル酸シクロヘキシル、ポリメタクリル
酸、ポリメタクリル酸アミド、ポリメタクリロニトリ
ル、ポリアセトアルデヒド、ポリクロラール、ポリエチ
レンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカ
ーボネイト類(ビスフェノール類+炭酸)、ポリ(ジエ
チレングリコール・ビスアリルカーボネイト)類、6−
ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、6,1
2−ナイロン、ポリアスパラギン酸エチル、ポリグルタ
ミン酸エチル、ポリリジン、ポリプロリン、ポリ(γ−
ベンジル−L−グルタメート)、メチルセルロース、エ
チルセルロール、ベンジルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アセチ
ルセルロース、セルローストリアセテート、セルロース
トリブチレート、アルキド樹脂(無水フタル酸+グリセ
リン)、脂肪酸変性アルキド樹脂(脂肪酸+無水フタル
酸+グリセリン)、不飽和ポリエステル樹脂(無水マレ
イン酸+無水フタル酸+プロピレングリコール)、エポ
キシ樹脂(ビスフェノール類+エピクロルヒドリン)、
ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミ
ン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂
などの樹脂、ポリ(フェニルメチルシラン)などの有機
ポリシラン、有機ポリゲルマンおよびこれらの共重合・
共重縮合体、および、二硫化炭素、四フッ化炭素、エチ
ルベンゼン、パーフルオロベンゼン、パーフルオロシク
ロヘキサン、トリメチルクロロシランなどの、通常では
重合性のない化合物をプラズマ重合して得た高分子化合
物などを挙げることができる。
【0011】また、これらの有機高分子化合物は有機色
素や光非線形効果を示す有機低分子化合物の残基をモノ
マー単位の側鎖として、あるいは架橋基として、共重合
モノマー単位として、または重合開始末端として含有し
ていてもよい。しかも、これらの有機高分子化合物は複
数種混合して用いてもよく、「ミクロ相分離」する組合
せにおいて使用してもよい。 [無機微粒子/有機高分子材料]上記の有機高分子材料
と組み合わせて、この発明の光学薄膜の形成材料として
使用できる無機微粒子の具体例としては、セレン、テル
ル、ゲルマニウム、珪素、シリコンカーバイド、Cd−
Zn−Mn−Se−Te−S−OxやGa−In−Al
−As−Pなどの半導体微粒子や金コロイドなどの貴金
属超微粒子を挙げることができる。 [有機低分子/有機高分子材料]上記の有機高分子材料
と組み合わせて、この発明の光学薄膜の形成材料に用い
られる有機低分子化合物の具体例としては、尿素および
その誘導体、m−ニトロアニリン、2−メチル−4−ニ
トロ−アニリン、2−(N,N−ジメチルアミノ)−5
−ニトロアセトアニリド、N,N′−ビス(4−ニトロ
フェニル)メタンジアミンなどのベンゼン誘導体、4−
メトキシ−4′−ニトロビフェニルなどのビフェニル誘
導体、4−メトキシ−4′−ニトロスチルベンなどのス
チルベン誘導体、4−ニトロ−3−ピコリン=N−オキ
シド、(S)−(−)−N−(5−ニトロ−2−ピリジ
ル)−プロリノールなどのピリジン誘導体、2′,
4′,4′−トリメトキシカルコンなどのカルコン誘導
体、チエニルカルコン誘導体などの2次非線形光学活性
物質の他、各種の有機色素、有機顔料などを挙げること
ができる。
【0012】前述のように、これら有機低分子化合物の
残基と有機高分子化合物は化学結合を形成していても良
い。 [液晶]さらにまた、上記の有機高分子材料と組み合わ
せて、この発明の光学薄膜の形成材料に用いられる液晶
の具体例としては、種々のコレステロール誘導体、4′
−n−ブトキシベンジリデン−4−シアノアニリン、
4′−n−ヘキシルベンジリデン−4−シアノアニリン
などの4′−アルコキシベンジリデン−4−シアノアニ
リン類、4′−エトキシベンジリデン−4−n−ブチル
アニリン、4′−メトキシベンジリデンアミノアゾベン
ゼン、4−(4′−メトキシベンジリデン)アミノビフ
ェニル、4−(4′−メトキシベンジリデン)アミノス
チルベンなどの4′−アルコキシベンジリデンアニリン
類、4′−シアノベンジリデン−4−n−ブチトキシア
ニリン、4′−シアノベンジリデン−4−n−ヘキシル
オキシアニリンなどの4′−シアノベンジリデン−4−
アルコキシアニリン類、4′−n−ブトキシカルボニル
オキシベンジリデン−4−メトキシアニリン、p−カル
ボキシフェニルn−アミルカーボネート、n−ヘプチル
4−(4′−エトキシフェノキシカルボニル)フェニル
カーボネートなどの炭酸エステル類、4−n−ブチル安
息香酸4′−エトキシフェニル、4−n−ブチル安息香
酸4′−オクチルオキシフェニル、4−n−ペンチル安
息香酸4′−ヘキシルルオキシフェニルなどの4−アル
キルル安息香酸4′−アルコキシフェニルエステル類、
4,4′−ジ−n−アミルオキシアゾキシベンゼン、
4,4′−ジ−n−ノニルオキシアゾキシベンゼンなど
のアゾキシベンゼン誘導体、4−シアノ−4′−n−オ
クチルビフェニル、4−シアノ−4′−n−ドデシルビ
フェニルなどの4−シアノ−4′−アキルルルビフェニ
ル類などの液晶、および(2S,3S)−3−メチル−
2−クロロペンタノイック酸4′,4″−オクチルオキ
シビフェニル、4′−(2−メチルブチル)ビフェニル
−4−カルボン酸4−ヘキシルオキシフェニル、4′−
オクチルビフェニル−4−カルボン酸4−(2−メチル
ブチル)フェニルなどの強誘電性液晶を挙げることがで
きる。
【0013】たとえば以上の通り例示することのできる
有機高分子材料や有機低分子化合物、無機粒子、さらに
は液晶物質は、この発明においては適宜な溶媒に溶解す
るか、あるいは分散媒に分散させて高真空容器内に噴霧
する。この際の溶媒もしくは分散媒についても各種のも
のを使用することができるが、上記のような有機系光学
材料を溶解または分散する溶剤であって、揮発性を有
し、腐食性のないものであれば、任意のものが使用でき
る。
【0014】具体的にはメタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール、n−ブタノール、アミルアルコー
ル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどのア
ルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、グリセリンなどの多価アルコール類、酢酸エチル、
酢酸n−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソプロピルなどの
エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジ
エチルエーテル、ジブチルエーテル、メトキシエタノー
ル、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、カルビ
トールなどのエーテル類、テトラヒドロフラン、1,4
−ジオキサンなどの環状エーテル類、ジクロロメタン、
クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、
1,1,2−トリクロロエタン、トリクレンなどのハロ
ゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ク
ロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼ
ン、アニソール、α−クロロナフタレンなどの芳香族炭
化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどのアミド
類、N−メチルピロリドンなどの環状アミド類、テトラ
メチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
などの尿素誘導体類、ジメチルスルホキシドなどのスル
ホキシド類、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどの炭酸
エステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベン
ゾニトリルなどのニトリル類、ピリジン、キノリンなど
の含窒素複素環化合物類、トリエチルアミン、トリエタ
ノールアミン、ジエチルアミノアルコール、アニリンな
どのアミン類、などの他、水、ニトロメタン、二硫化炭
素、スルホランなどの溶剤を用いることができる。
【0015】これらの溶剤は、また、複数の種類のもの
を混合して用いてもよい。これらの溶媒もしくは分散媒
に溶解または分散させた状態で有機系光学材料を高真空
容器内に噴霧して薄膜形成することをこの発明は特徴と
しているが、この方法の実施に際しては、たとえば以下
の通りの装置とその操作法の採用によって薄膜形成を可
能とすることができる。
【0016】すなわち、まず、この発明の光学薄膜の製
造装置の構成は、図1に例示することができ、有機系光
学材料の溶液または分散液をたとえば圧力1×10-4
a以下の真空中へ噴霧するための制御ノズル部(1)お
よび制御ノズル部の開閉機構部(2)を真空容器(3)
内に有し、さらにこの真空容器(3)内で揮発した溶媒
等の蒸気を迅速に排気し、圧力を1×10-4Pa以下に
保つ真空ポンプ(4)を備えている。また、この装置に
は、前記真空容器(3)内に設置した圧力測定装置
(5)、真空容器(3)内で揮発した溶媒等の蒸気が真
空ポンプ(4)へ到ることを防止するためのコールドト
ラップ(6)、ノズル部(1)と基板の間を遮蔽するシ
ャッター(7)、基板加熱装置(8)、および基板温度
測定装置(9)を備え、さらには、真空中で熱間圧延処
理を施すためのホットプレスを備えていてもよく、真空
容器(3)内の基板(19)表面に有機系光学薄膜を形
成することができるようにしている。
【0017】この装置には、必要に応じて、真空容器
(3)のベーキング装置(10)、ゲート弁(11)、
イオン化装置(12)、質量分析装置(13)、基板導
入装置(14)、マニュピュレーター(15)およこれ
らの制御装置を設けることが好ましい。真空ポンプは、
真空容器(4)を大気圧から高真空、より好ましくは、
1×10-4Pa以下の圧力へできる限り迅速に排気し、
かつ真空容器内で揮発し、コールドトラップに捕獲され
きれなかった溶媒等の気体成分を迅速に排気し、真空容
器内の圧力を1×10-4Pa以下に保つことができるも
のであれば、任意のものが使用可能である。具体的には
ターボ分子ポンプとロータリーポンプの組合せや、油拡
散ポンプとロータリーポンプの組合せを使用することが
できる。
【0018】また、図1に例示したように真空容器
(3)に備えたイオン化装置(12)および質量分析装
置(13)、および基板導入装置(14)部には別系統
の真空ポンプ(16)(17)を設けることが好まし
い。なお、圧力測定装置(5)については、一般的には
1×10-2Pa以下の圧力を正確に測定できるものであ
れば公知の任意のものを使用することができる。たとえ
ば具体的には、Bayard−Alpert型などの電離真空計を使
用できる。
【0019】真空容器(3)については、装置構成部品
を、真空の容積が最小になるように配置する形態のも
のが好ましい。材質は高真空仕様のアルミニウムまたは
ステンレスが好ましい。基板加熱装置(8)はヒーター
部分を真空系内に置く形式と、真空系外から加熱する方
式のいずれでも良く、基板(19)の形態に応じて、任
意のものが使用可能である。
【0020】なお、この基板加熱装置(8)は基板温度
を所定の値に制御する機構を含むものとする。基板温度
測定装置(9)は基板(19)の温度を測定するもので
あり、熱電対など測温部を高真空下に置いても作動する
ものであれば任意のものが使用できる。
【0021】ベーキング装置(10)は真空系を構成す
る部品全てを加熱処理できるものが好ましい。コールド
トラップ(6)は高真空容器内で揮発した溶媒等の蒸気
を確実に捕捉し、かつ排気の妨げにならないものであれ
ば、任意の方式のものが使用できる。イオン化装置(1
2)および質量分析装置(13)は必ずしも必要ではな
いが、基板(19)上の堆積物から発生する揮発成分が
完全に除去されたことを確認する上で有用である。
【0022】ゲート弁(11)はイオン化装置(12)
および質量分析装置(13)と真空容器(3)の間を適
時遮蔽するものであり、必ずしも設ける必要はないが、
真空系内に噴霧された成分および溶剤などが飛来して質
量分析装置(13)を汚染することを防ぐ上で有用であ
る。ゲート弁(11)を設ける場合は真空容器(3)お
よび質量分析装置(13)部分に別系統の真空排気系
(16)を接続することが好ましい。
【0023】イオン化装置(12)は該真空系内に存在
する揮発成分をイオン化する形式のものであれば公知の
各種のものが使用可能である。具体的にはガス放電式、
アーク放電式、電子衝撃式などのイオン化装置を使用す
ることができる。質量分析装置(13)はイオン化装置
(12)で発生させたイオンの質量mをそのイオンの電
荷eで除した数m/eに応じて質量を分離する部分(質
量分離系)と、m/eに応じて分離されたイオンの数を
電気的に計数する部分(検出・記録系)からなるもので
あれば、公知の各種のものが使用できる。
【0024】質量分離系は磁界および/あるいは電界を
制御してm/eに応じてイオンを分離するものであり、
パラボラ型、速度収束型、方向収束型、二重収束型、お
よび飛行時間型などの形式のいずれでもよい。検出・記
録系としてはファラデー箱と高感度直流増幅器の組合
せ、二次電子増倍装置と高感度直流増幅器の組合せなど
の方式のものを使用することができる。
【0025】基板導入装置(14)は、必ずしも設ける
必要はないが、高真空容器()内へ基板(19)を設
置する際の排気時間を短縮する上で有効である。基板導
入装置(14)は真空容器、外部から試料を導入するた
めの蓋またはゲート弁、磁気カップリング式またはベロ
ーズ式の直線導入機、測定装置の真空容器との間のゲー
ト弁、真空ポンプ、および圧力測定装置から構成するこ
とができる。
【0026】マニュピュレーター(15)は、必ずしも
設ける必要はないが、ノズル部(1)に対する基板(1
9)の位置や向きを微調整する際に有用である。材料の
溶液、分散液、または溶融液を真空容器内へ噴霧するた
めの制御ノズル部(1)はこの発明の光学薄膜の製造装
置の中で、特に重要な部分である。そして、制御ノズル
部から噴霧させる液体が制御ノズル部分で固化してノズ
ルを閉塞させることを避け、噴霧量を制御することもで
きるノズル開閉機構を備える必要がある。
【0027】閉塞を解消する機構としては、真空系外か
ら操作するワイパーを使用することができるが、操作性
および効果の点で難点がある。制御ノズルとしては様々
な構造のものが使用できるが、図2に断面図を例示した
ように、精度高く噴霧量を制御することが可能なニード
ルバルブが最も好ましい。すなわち、制御ノズル部
(1)には、ニードルバルブ(100)を設け、ノズル
部の開閉機構部(2)によってこのニードルバルブ(1
00)を動かし、制御ノズル部(1)からの有機系光学
材料液の噴霧量を調整し、その閉塞を防止する。
【0028】有機系光学材料の液は、液体溜め(18)
より制御ノズル部(1)に供給する。たとえば以上の装
置においては、前記の制御ノズル部(1)より有機系光
学材料を溶液または分散液の状態で高真空容器(3)内
において噴霧し、溶媒または分散媒体を真空蒸発させな
がら、基板(19)上に有機系光学材料による薄膜を堆
積させる。
【0029】そして、この発明においては、この基板
(19)を堆積物の熱分解温度を越えない温度まで加熱
して揮発成分を除去し、さらに必要に応じて基板上の堆
積物を加熱および/あるいは加圧して所要のものに成形
する。もちろん基板(19)の種類に特に限定はなく、
ガラス、石英をはじめ、セラミックス、Si、ポリマー
等の任意のものであってよい。そしてこの基板(19)
上の堆積物の加熱処理は、基板(19)の加熱として行
うこともできるし、あるいは、図1に示した基板の表面
加熱装置(20)によって堆積物を加熱してもよい。こ
の表面加熱装置(20)としては、電熱ヒーターや、そ
の他適宜な手段が採用できる。
【0030】また、さらにこの出願の発明では、成形の
ための加圧、熱間圧延処理(たとえば特開平4−99
609号)で行う。例えば、ホットプレスを高真空容器
内に設けるとよい。ホットプレスは、通常ノズル部
(1)から離れた位置にあることが好ましく、試料溶液
の噴霧、堆積、加熱処理工程終了後、試料を挟むように
移動させたり、逆に薄膜が形成された基板をホットプレ
ス間に移動したりでき、熱間圧延操作が可能となる。
ずれにしてもこの発明の製造方法とそのための装置によ
って、より低温度で、光学材料を熱分解させることな
く、高品質で、高機能な有機系光学薄膜の形成が容易と
なる。そして、この発明によって、1種または2種類以
上の有機系高分子化合物や低分子化合物およびそれらと
無機化合物の混合状態でマイクロメートル未満の微細領
域で制御された有機系光学薄膜の形成が可能となる。
【0031】また、特に、数百MW/cm2 ないし数百
GW/cm2 の高パワー密度レーザー光に耐える有機系
光学薄膜の作成も可能となる。以下実施例を示し、さら
に詳しくこの発明の方法について説明する。
【0032】
【実施例】図1および図2にその構成を例示した装置を
用いて光学薄膜を製造した。すなわち、真空容器(3)
内を真空排気装置(4)、たとえばターボ分子ポンプ及
び油回転ポンプにより真空排気後、容器(3)内の圧力
を圧力測定装置(5)により測定し、1×10-4Pa以
下の圧力であることを確認する。
【0033】有機系光学材料としての3,3′−Diethy
loxadicarbocyanine Iodide (DODCI)を適当な溶
媒、たとえば、アセトンに10-2モル/リットルの濃度
で溶解し、液溜め(18)に充填した後、制御ノズル部
(1)より毎分100マイクロリットルの割合で、真空
容器(3)内に噴霧する。この時、有機系光学薄膜の堆
積を行う基板(19)は、基板加熱装置(8)および基
板温度測定装置(9)により、たとえば40℃に加熱す
る。
【0034】膜厚制御は噴霧時間により行うこととし、
たとえば10分間の噴霧により0.5ミクロンのDOD
CI膜を形成する。基板(19)表面より除去された溶
媒等の揮発成分は、真空容器(3)内に設置されたコー
ルドトラップ(6)に捕獲され、真空ポンプ(4)へ到
ることを防止する。
【0035】また、たとえば1ミクロン以上の膜厚を有
する薄膜を堆積する際には、赤外線等による表面加熱装
置(20)によって基板加熱を行い、基板表面に到達し
た揮発成分の除去を速やかに行う。堆積されたDODC
I薄膜のDODCIの粒子径を、たとえばX線小角散乱
法により測定すると、約50ナノメートルであった。
【0036】一方、前記のDODCIをポリマー中、た
とえばポリメチルメタクリレート(PMMA)中に分散
させる場合には、DODCI及びPMMAの双方を溶解
する適当な溶媒、たとえばアセトンにDODCIを10
-3モル/リットルの濃度で、PMMAを10-2モル/リ
ットルの濃度でそれぞれ溶解して溶解溜め(18)に充
填した後、制御ノズル部(1)より毎分100マイクロ
リットルの割合で、真空容器(3)内に噴霧する。
【0037】この時の基板温度等の条件は上記と同様に
設定する。堆積されたDODCIを含有するPMMA薄
膜(DODCI/PMMA)は、ホットプレスにより真
空中にて加熱・加圧処理し、光学的に透明な薄膜を得
た。この場合、たとえば、150℃の温度で、50kg
/cm2 の静水圧プレスにより、10分間保持する。
【0038】このDODCI/PMMA薄膜内のDOD
CIの粒子径を、たとえばX線小角散乱法により測定す
ると、約30ナノメートルであった。表1は、以上得ら
れた薄膜のX線小角散乱法によって測定された結晶粒径
とその割合(重合比)の測定結果を示したものである。
微細構造組織が実現されていることがわかる。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、有機系光材料の分解・変性温度よりもはるかに低
い温度において薄膜形成が可能となる。そして、この発
明の光学薄膜の方法に使用される有機系光学材料は、加
熱および加圧により成形することが可能なものであれ
ば、最適な溶媒の選択により任意のものを使用すること
ができ、この発明は、有機系光学材料を開発、改良する
上で極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の装置構成を例示した構成図である。
【図2】制御ノズル部を拡大した構成断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 守谷 哲郎 茨城県つくば市梅園1−1−4 通商産 業省工業技術院 電子技術総合研究所内 (72)発明者 田中 教雄 東京都足立区堀之内1丁目9番4号 大 日精化工業株式会社 東京製造事業所内 審査官 村上 騎見高 (56)参考文献 特開 平3−151039(JP,A) 特開 平2−281029(JP,A) 特開 平4−99609(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液または分散液状態の有機系光学材料
    を高真空容器内に噴霧して基板上に堆積させ、加熱処理
    した後に加圧形成することを特徴とする有機系光学薄膜
    の製造法。
  2. 【請求項2】 真空容器と、この真空容器内に溶液また
    は分散液状態の有機系光学材料を噴霧する手段と、真空
    容器内において噴霧された有機系光学材料を堆積させる
    基板とその加熱手段、および真空容器の排気手段とを備
    えた装置であって、有機系光学材料の噴霧手段は、ニー
    ドルバルブ構造を構成していることを特徴とする有機系
    光学薄膜の製造装置。
JP5052102A 1993-03-12 1993-03-12 有機系光学薄膜の製造法とその装置 Expired - Lifetime JP3059972B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5052102A JP3059972B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 有機系光学薄膜の製造法とその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5052102A JP3059972B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 有機系光学薄膜の製造法とその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06306181A JPH06306181A (ja) 1994-11-01
JP3059972B2 true JP3059972B2 (ja) 2000-07-04

Family

ID=12905494

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5052102A Expired - Lifetime JP3059972B2 (ja) 1993-03-12 1993-03-12 有機系光学薄膜の製造法とその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3059972B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3030309B2 (ja) * 1994-03-09 2000-04-10 工業技術院長 薄膜製造装置
JP3455791B2 (ja) * 1995-12-25 2003-10-14 独立行政法人産業技術総合研究所 光演算処理装置
JP3162313B2 (ja) 1997-01-20 2001-04-25 工業技術院長 薄膜製造方法および薄膜製造装置
JP3012547B2 (ja) * 1997-02-25 2000-02-21 日本ビクター株式会社 光記録媒体及びその製造方法
TW490714B (en) 1999-12-27 2002-06-11 Semiconductor Energy Lab Film formation apparatus and method for forming a film
US20030166311A1 (en) * 2001-09-12 2003-09-04 Seiko Epson Corporation Method for patterning, method for forming film, patterning apparatus, film formation apparatus, electro-optic apparatus and method for manufacturing the same, electronic equipment, and electronic apparatus and method for manufacturing the same
EP1369499A3 (en) 2002-04-15 2004-10-20 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Method of fabricating light-emitting device and apparatus for manufacturing light-emitting device
JP2016095324A (ja) * 2013-02-25 2016-05-26 パナソニック株式会社 複合光学素子
JP2014056839A (ja) * 2013-11-22 2014-03-27 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 装置
CN109207932A (zh) * 2017-06-30 2019-01-15 株式会社新柯隆 成膜装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06306181A (ja) 1994-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3162313B2 (ja) 薄膜製造方法および薄膜製造装置
US5633043A (en) Process for fabricating thin films
JP3059972B2 (ja) 有機系光学薄膜の製造法とその装置
CN102985857B (zh) 超材料的制造方法及超材料
JP4078455B2 (ja) 異方性結晶膜を得る方法
Feng et al. Single crystal texture by directed molecular self-assembly along dual axes
JP3740557B2 (ja) 有機薄膜作製方法および有機薄膜作製装置
JP2599569B2 (ja) 複合型光学薄膜の製造方法とその製造装置
NL1001346C2 (nl) Werkwijze en inrichting voor het aanbrengen van oriënteringslagen op een substraat voor het richten van moleculen van vloeibare kristallen.
US7041332B2 (en) Modification method of surface layer of molded resin article, and modification apparatus of surface layer of molded resin article
JPH10156228A (ja) 薄膜の製造方法および薄膜製造装置
JP4084251B2 (ja) 記録媒体の製造方法および製造装置
Manoravi et al. Pulsed laser ablation—thin film deposition of polyethylene oxide
US20210163766A1 (en) Chalcogenide glass based inks obtained by dissolution or nanoparticles milling
JP3072299B2 (ja) 有機系光学材料とその成形製造方法
Hsiao et al. Evaporation‐Assisted Formation of Three‐Dimensional Photonic Crystals
JP3928066B2 (ja) 積層型光学薄膜およびその製造方法
JP4736034B2 (ja) 機能性傾斜構造薄膜の製造装置
JP2819170B2 (ja) 半導体超微粒子を分散した高分子膜の形成方法
JP3364687B2 (ja) 色素分散高分子膜およびその形成方法
Watanabe et al. Third order nonlinear optical susceptibility for transparent tin oxide thin films
JP2760356B2 (ja) 非線形光学材料の製造方法
JPH05307111A (ja) カラーフィルターの製造方法
JPH10279649A (ja) 低比誘電性高分子膜の形成方法及び層間絶縁膜の形成方法
JPH0376110A (ja) 半導体超微粒子及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428

Year of fee payment: 10

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term