JPH05307111A - カラーフィルターの製造方法 - Google Patents

カラーフィルターの製造方法

Info

Publication number
JPH05307111A
JPH05307111A JP4110998A JP11099892A JPH05307111A JP H05307111 A JPH05307111 A JP H05307111A JP 4110998 A JP4110998 A JP 4110998A JP 11099892 A JP11099892 A JP 11099892A JP H05307111 A JPH05307111 A JP H05307111A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
colored layer
organic dye
substrate
matrix
dispersed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP4110998A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Sakamoto
和夫 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP4110998A priority Critical patent/JPH05307111A/ja
Publication of JPH05307111A publication Critical patent/JPH05307111A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Filters (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 (i)有機色素の凝集を抑え、優れた分光特
性を得ることができる、(ii)製造を短時間で行なうこ
とができ、かつ形成した着色層に割れや亀裂が生じな
い、(iii)着色層の平滑性、膜厚の均一性に優れている
等の利点を有するカラーフィルターの製造方法を提供す
る。 【構成】 基板上に無機物と有機色素を真空蒸着または
スパッタリングすることにより、前記無機物のマトリッ
クス中に前記有機色素が分散された複合材料よりなる着
色層を、前記基板上に形成する工程を含むことを特徴と
するカラーフィルターの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカラー液晶表示素子、カ
ラー固体撮像素子などに使用するカラーフィルターの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】熱可
塑性樹脂または熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とし、
その中に有機顔料を着色剤として含む着色層を透明基板
上に設けたカラーフィルターは知られている。しかしこ
のカラーフィルターは、着色層のマトリックスが有機高
分子化合物であるため、耐熱性が低く、熱的処理により
劣化し高性能の表示素子が得られないという欠点があっ
た。
【0003】そこで有機高分子化合物の代りに金属酸化
物などの無機物を用いてカラーフィルターの耐熱性を向
上させる試みもなされており、例えば特開平3−202
801号公報には、有機顔料を分散させた金属酸化物薄
膜からなる着色層を透明基板上に設けたカラーフィルタ
ーが開示されている。しかし同特許公報に記載のカラー
フィルターにおいて、有機顔料分散金属酸化物薄膜から
なる着色層は、金属アルコキシドを溶剤に溶解させた溶
液中に有機顔料を分散させてインキ組成物を得、次いで
このインキ組成物を透明基板上に塗布した後、加熱によ
る縮合、加水分解、乾燥などの、いわゆるゾルゲル法処
理を行なって、金属アルコキシドを金属酸化物に転化す
ることにより得られたものであり、ゾルゲル法による上
記着色層形成方法は以下のような欠点がある。
【0004】(i)有機顔料を溶剤に分散させることが
難かしいため、分散液中で有機顔料が凝集し、均一に有
機顔料が分散した着色層が得られず、その結果カラーフ
ィルターの分光特性が低下する。 (ii)金属アルコキシドを含むインキ組成物を透明基板
上に塗布した後、ゾルゲル法処理を行なって金属酸化物
薄膜を得るのに長期間(例えば3〜5日)を要する。ま
た得られる金属酸化物薄膜に割れや亀裂が生じないよう
にするためには、乾燥条件等を厳密にコントロールする
必要がある。また厳密な乾燥条件下で行なっても大きな
着色層を形成すると割れや亀裂が生じることがある。 (iii)基板上に塗布された金属アルコキシドを含むイン
キ組成物はゾルゲル処理において加熱され、溶剤が揮散
されるので、得られた金属酸化物膜の平滑性、膜厚の均
一性を保持することが難かしい。
【0005】従って本発明の目的は、(i)有機色素の
凝集を抑え、優れた分光特性を得ることができる、(i
i)製造を短時間で行なうことができ、かつ形成した着
色層に割れや亀裂が生じない、(iii)着色層の平滑性、
膜厚の均一性に優れている等の利点を有するカラーフィ
ルターの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、基
板上に無機物と有機色素を真空蒸着またはスパッタリン
グすることにより、前記無機物のマトリックス中に前記
有機色素が分散された複合材料よりなる着色層を前記基
板上に形成する工程を含むことを特徴とするカラーフィ
ルターの製造方法によって達成された。
【0007】以下本発明を詳説する。本発明のカラーフ
ィルターの製造方法においては、着色層を形成する材料
として無機物と有機色素を用いる。
【0008】用いられる無機物としては、可視光に対し
て透明なものであればその種類は問わないが、例えばS
iO2 、TiO2 、Al2 3 、MgO、Si2 3
HfO2 、ZrO2 、ZnO、SnO2 などの金属酸化
物や、MgF2 、CaF2 、CeF3 、LaF3 、Pb
2 、YF3 などの金属フッ化物が好ましく用いられ
る。これらの無機物は2種以上用いても良く、この場
合、各々の無機物に対して少なくとも1個以上の蒸発源
を用いて各々の蒸発速度を独立に制御することによっ
て、所望の混合比の無機物マトリックスを得ることがで
きる。
【0009】また用いられる有機色素としては、適当な
手段で蒸発又は昇華可能なものであればその種類を問わ
ないが、分解温度が250℃以上のものを用いるのが好
ましい。これは有機色素を基板上に蒸着する際の基板の
温度上昇に対して安定である必要があるからである。こ
のような有機色素としては、フタロシアニン系色素、ア
ゾ系色素、キナクリドン系色素、アントラキノン系色
素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、イソインド
リン系色素、チオインジゴ系色素、インダンスレン系色
素、アンスラピリミジン系色素などが挙げられる。
【0010】本発明においては、上記無機物および有機
色素を真空蒸着法またはスパッタリング法により基板上
に蒸着する。真空蒸着法およびスパッタリング法のう
ち、真空蒸着法の方が好ましいので、先ず真空蒸着法を
用いる方法について説明する。真空蒸着法は真空槽内に
基板を置きその下方に設置した蒸発源から原料物質を蒸
発させて基板表面に膜を形成する方法である。本発明の
カラーフィルターの製造方法においては、少なくとも一
種類の無機物の蒸発源と少なくとも一種類の有機色素の
蒸発源を備え、無機物と有機色素の蒸発速度を制御しつ
つそれらを基板上に実質的に同時に真空蒸着する。無機
物の蒸発は原料をボートに入れボートを抵抗加熱する方
式あるいは原料を電子ビームによって加熱する方法など
が用いられ、その蒸発速度はボートの温度、電子ビーム
の強度によって調整される。一方、有機色素はその分解
温度以下に加熱して蒸発させる。しかし有機色素は熱伝
導率が金属など通常の蒸着原料に比べて低いので、ボー
トの上に有機色素を置きボートを抵抗加熱する方式で
は、有機色素の一部が過度に熱せられやすいので有機色
素の分解が起こることがあり、また有機色素の蒸発速度
を制御することが困難である。本発明で好ましく用いら
れる有機色素の蒸発方法はクヌーセンセル式のるつぼの
中に有機色素を入れて加熱する方式である。クヌーセン
セル式のるつぼについては例えば「薄膜ハンドブック」
(日本学術振興会薄膜第131委員会編、オーム社、第
49ページ)に記載がある。クヌーセンセル式のるつぼ
は、基本的に密閉され、そのひとつの面に孔が開けられ
ている構造を持つ加熱容器である。図1に本発明におい
て有機色素を収容する典型的なるつぼの断面図を示す。
図中、1はるつぼ本体、2はるつぼに付けられる蓋、3
は蓋に開けられた孔であり、蓋2に開けられた孔3から
有機色素4が放出される。るつぼの材質は熱伝導性の良
い金属、たとえば銅、アルミニウムなど、あるいは窒化
ホウ素などの熱伝導性の良いセラミックスが好ましく用
いられる。るつぼの加熱には周囲にヒーターを巻く方
法、るつぼの内部にヒーターを埋め込む方法、外部より
ランプによって加熱する方法などが可能である。るつぼ
のなるべく蒸発源に近い位置に熱電対が取りつけられ、
電気的フィードバック方式によって加熱機構を調整しる
つぼの温度が制御される。このようにすることにより有
機色素は全体的に均一に加熱されるため過度に熱せられ
ることがなく、また蒸発速度の制御も容易である。るつ
ぼに開けられる孔は有機色素の蒸発速度によって適当な
大きさが選ばれる。色度調整の目的で複数の有機色素を
混合する場合は、各々の有機色素に対して少なくとも1
個以上の蒸発源を用いて各々の蒸発速度を独立に制御す
ることによって所望の混合比を得ることができる。
【0011】上述のように無機物と有機色素を真空蒸着
することにより、無機物マトリックス中に有機色素が分
散された複合材料よりなる着色層が基板上に形成され
る。着色層における無機物と有機色素の混合比は各々の
蒸発速度を増減することにより制御される。蒸発速度は
たとえば水晶振動子式の膜厚測定装置によってモニター
される。
【0012】着色層中の無機物の割合は着色層全体に対
して50体積%以上、好ましくは60体積%以上であ
る。無機物が50体積%未満であると有機色素が多くな
り、無機物マトリックスが有機色素を包埋する構造が実
現しにくくなる。
【0013】有機色素は分子状態で分散している場合、
あるいは分子が集合して微粒子状態で分散している場合
がともに可能である。但し微粒子状態で分散している場
合、粒子の大きさは可視光の波長よりも小さいことが必
要であり、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは
0.1μm以下である。0.3μmより大きいと光の散
乱が増大しカラーフィルターの透過率が低下する。
【0014】本発明の好ましい態様によれば、無機物が
金属酸化物である場合には、真空蒸着法として、酸素を
真空槽に導入する反応性蒸着を用いることができる。反
応性蒸着では着色層の応力が低減され、基板との密着性
がさらに向上する。
【0015】たとえば基板上に蒸着すべき無機物がSi
2 である場合、蒸発源にSiO2よりも酸素が欠損し
た状態にあるSiOを用い、真空槽に酸素を導入しつつ
蒸着することにより可視光にたいして透明なSiO2
トリックスが得られる。この際酸素の分圧は1×10-5
Torr〜5×10-4Torrとするのが好ましい。そ
の理由は、5×10-4Torrより高い圧力では有機色
素の平均自由行程が短く有機色素が基板に到達しにくい
ため、無機物と有機色素の所望の混合比を得ることが難
しく、一方1×10-5Torr未満の圧力では、形成さ
れる着色層が酸素不足になり、透明性が損なわれるから
である。特に好ましい酸素分圧は3×10-5Torr〜
2×10-4Torrである。反応性蒸着において蒸発源
に用いる酸素欠損型金属酸化物としては、SiO以外
に、TiO2 よりも酸素が欠損した状態にあるTiO、
Ti2 3 などが挙げられる。またIn2 3 は化学量
論組成を有するが、蒸発すると酸素が欠損した状態とな
るので、酸素を導入する反応性蒸着を行なうのが好まし
い。
【0016】以上、真空蒸着法により着色層を形成する
場合について説明してきたが、真空蒸着法の代りにスパ
ッタリング法を用いることもできる。またスパッタリン
グ法により無機物を、真空蒸着法により有機色素をそれ
ぞれ基板上に蒸着させて着色層を形成することもでき
る。
【0017】本発明のカラーフィルターの製造方法によ
れば、基板上に単一色の着色層を有するカラーフィルタ
ーを製造することもでき、また基板上に例えば、赤、
緑、青からなる3色の着色層パターンを有する多色カラ
ーフィルターを製造することもできる。以下に多色カラ
ーフィルターの製造例を図2、図3および図4を参照し
ながら説明する。
【0018】(1)図2(A)に示すように透明基板1
1の上にフォトレジスト12を、形成しようとする着色
層パターンの厚さよりも厚くなるように塗布する。 (2)フォトレジスト12をパターン露光し、現像する
ことにより、図2(B)に示すように青色の着色パター
ンを形成すべき部分以外の部分にフォトレジストパター
ン12Pを形成する。 (3)上で詳述した真空蒸着法(又はスパッタリング
法)により、図2(C)に示すように透明基板11上お
よびフォトレジストパターン12P上に、無機物マトリ
ックス中に青色有機色素が分散した青色着色層13Bを
形成する。 (4)フォトレジストパターン12Pおよびその上の青
色着色層13Bを溶解除去して、図2(D)に示すよう
に青色着色層13Bのパターンを形成する。 (5)次に上記(1)〜(4)と同様の手法で、透明基
板11上に、無機物マトリックス中に緑色有機色素が分
散した緑色着色層13Gのパターンを青色着色層13B
のパターンの隣りに形成する(図3(E),(F),
(G),(H)参照)。 (6)次に上記(1)〜(4)と同様の手法で、透明基
板11上に、無機物マトリックス中に赤色有機色素が分
散した赤色着色層13Rのパターンを青色着色層13B
のパターンと緑色着色層13Gのパターンとの間に形成
する(図4(I),(J),(K),(L)参照)。こ
のようにして赤、緑、青からなる3色の着色層パターン
を有する多色カラーフィルターが得られる。
【0019】カラーパターンを形成する他の方法の一例
としては蒸発源と基板の中間に蒸着すべき位置に穿孔し
たシャドーマスクを用いてパターン上に有機色素分散無
機物を蒸着する方法がある。この方法はレジスト工程が
不要である点で有利である。これらの方式は要求される
パターンの精細度などに応じて適宜選択される。
【0020】
【作用】本発明のカラーフィルターの製造方法におい
て、着色層を形成すべき無機物および有機色素は、原子
あるいは分子状態で基板上に到達する。基板に到達した
無機物は3次元的架橋構造を形成し、その中に有機色素
が分散した複合材料からなる着色層を形成する。すなわ
ち得られた着色層において、透明な無機物がマトリック
スであり、その中に分散された有機色素がカラーフィル
ターとしての発色を実現する。
【0021】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。
【0022】実施例1 無機物としてSiO2 を、有機色素として銅フタロシア
ニン(C.I.ピグメントブルー15)を用いた。また
基板として表面を清浄化したガラス基板を用いた。
【0023】本実施例に用いた真空蒸着槽および同槽内
の蒸発源と基板の配置を図5に示す。図中、21は真空
槽、22は回転機構のついた基板ホルダー、23はガラ
ス基板、24は無機物(SiO2 )を収容する容器、2
5は電子ビーム発生源、26は電子ビーム、27は有機
色素(銅フタロシアニン)を収容するためのるつぼ、3
2はるつぼを加熱するためのヒーター、28と29はシ
ャッター、30と31は各々SiO2 と銅フタロシアニ
ンの膜厚モニターである。
【0024】真空槽21内を真空度2×10-6Torr
まで排気した後、電子ビーム発生源25からの電子ビー
ム26を容器24中のSiO2 に照射してSiO2 を蒸
発させ、同時にるつぼ27を加熱して銅フタロシアニン
を蒸発させて、それぞれを基板23上に蒸着させてSi
2 マトリックスに銅フタロシアニンが分散した複合材
料からなる着色層を形成した。
【0025】なお、SiO2 については、電子ビーム強
度を、銅フタロシアニンについてはるつぼの温度をコン
トロールしてSiO2 、銅フタロシアニンの蒸発速度を
それぞれ約3A(オングストローム)/秒、約2A/秒
となるように調整した。得られた着色層は膜厚が500
0Aであり、60 vol%のSiO2 と40 vol%の銅フ
タロシアニンからなっていた。
【0026】得られた着色層はガラス基板をエタノー
ル、アセトンにそれぞれ浸漬し、超音波振動を5分間印
加したが、着色層の剥離、溶解はなく、優れた密着性、
耐溶剤性が示された。
【0027】また着色層の基板への付着強度をJIS
D0202に準拠して測定した。すなわちカッターナイ
フで着色層の表面に切り込みを入れ、2mm間隔で縦10
個×横10個=100個のゴバン目を作り、接着テープ
(ニチバン(株)製セロテープ No.405)を着色
層の表面に貼り付け、これを瞬間的に剥がした時、剥離
しなかったゴバン目の数を数えた。3回の測定の結果、
剥離せずに残ったゴバン目の数は100/100、97
/100、99/100であり優れた付着強度を示し
た。またスチールウールで表面を払拭しても着色層は全
く剥離しなかった。
【0028】着色層の平坦性を表面粗さ計で測定したと
ころ、膜厚誤差±200A(4800〜5200Aの範
囲の膜厚)であり、平坦性が優れていた。
【0029】JIS規格K6714に準拠し着色層の曇
度をヘーズメーター(東京電色(株)製)で測定したと
ころ0.2%であり、散乱がすくなくすぐれた透過性を
示し、青のカラーフィルターの着色層として好適であっ
た。
【0030】この着色層の構造と組成を透過電子顕微鏡
により調べた。試料は上記と同様の方法で作製した厚さ
約800Aの着色層である。形態観察の結果、着色層は
均一であり、0.3μm以上の大きさの粒子はなかっ
た。また制限視野元素分析により各部分の元素分析を行
ったところ、どの部分にも銅が平均して存在していた。
以上より銅フタロシアニンが均一に分散していることが
確認された。
【0031】比較例1 本比較例においては、無機物を用いずに有機色素のみを
用いて真空蒸着を行ない、基板上に有機色素のみからな
る着色層を形成した。すなわち、図5に示した真空蒸着
槽21において、るつぼ27に銅フタロシアニンを原料
として仕込み、透明なガラス基板上に銅フタロシアニン
のみを約2000Aの膜厚となるように蒸着し、銅フタ
ロシアニンのみからなる青色の着色層を得た。エタノー
ル又はアセトンを用い耐溶剤性を調べると、溶剤に浸漬
して間もなく膜が基板より脱落した。また着色層をスチ
ールウールで払拭したところ、容易に着色層が剥れてし
まった。また曇度を実施例1と同様にして測定したとこ
ろ1.2%であり、実施例1の数倍であった。すなわち
耐溶剤性、透明性ともに実施例1に比べて大きく劣って
いた。
【0032】実施例2 図2,3,4に示した工程によって赤緑青のストライプ
パターンを作製した。まず透明なガラス板上にフォトレ
ジストを塗布した後、パターン露光、現像を行なうこと
によって開口部の幅が20μm、ピッチが60μmであ
るストライプ状のフォトレジストパターンを形成した。
次に、実施例1と同様にしてこの上に無機物としてのS
iO2 と青の有機色素としての銅フタロシアニン(C.
I.ピグメントブルー15)とからなる複合膜を約50
00Aの膜厚で蒸着した。ついでフォトレジストを現像
液中に浸漬撹拌してレジストパターンを溶解しながら蒸
着膜の不要部分を除去することによって青色ストライプ
状着色層を得た。
【0033】つぎに顔料として順に緑の有機色素として
ハロゲン化銅フタロシアニン(C.I.ピグメントグリ
ーン36)、赤の有機色素としてアントラキノン顔料
(C.I.ピグメントレッド177)をそれぞれ選び、
上記青色ストライプ状着色層の形成の場合と同様の工程
を順次繰り返すことにより青、緑、赤よりなるストライ
プ状カラーフィルターを得た。この工程においてパター
ンの欠け(白ヌケ)は全く発生せず、各パターンの表面
の平坦性は非常に優れていた。その他の性質も実施例1
と同様に優れていた。
【0034】実施例3 反応性蒸着法により、SiO2 をマトリックスとし、こ
れに青色の銅フタロシアニンが分散した複合材料からな
る着色層を基板上に形成した。その詳細は以下のとおり
である。表面を清浄化したガラス基板を真空蒸着槽内に
設置し、抵抗加熱ボートにSiO粉末、るつぼに銅フタ
ロシアニンを仕込んだ。このとき銅フタロシアニンのる
つぼとガラス基板との距離を15cmとした。真空槽を真
空度2×10-6Torrまで排気した後、酸素を流量調
節バルブを通して導入し、真空度を1×10-4Torr
とした。
【0035】抵抗加熱ボートを加熱するとSiOが蒸発
し、真空槽内の酸素と結合しながらSiO2 の膜を形成
する。抵抗加熱ボートとるつぼの温度をコントロールし
て、SiO2 と銅フタロシアニンの蒸着速度が各々約3
A/秒、約2A/秒となるように調整しつつガラス基板
上に厚さ約5000Aの着色層を形成した。この着色層
においてはSiO2 をマトリックスとし、その中に青色
の銅フタロシアニンが分散されている。この着色層は、
実施例1で形成した着色層よりも耐溶剤性が一段と優れ
ていた。また着色層の基板への付着強度を実施例1と同
様にテープ剥離テストによって評価したところ、3回の
測定の結果、剥離せずに残ったゴバン目の数はいずれも
100/100であり、実施例1よりもさらに優れた付
着強度が得られた。またスチールウールで表面を払拭し
ても着色層の剥離は全く見られなかった。また平坦性、
透過性などのその他の性質も優れていた。
【0036】実施例4 無機物としてMgF2 を、有機色素として青色の銅フタ
ロシアニンを用いて、MgF2 マトリックス中に銅フタ
ロシアニンが分散した複合材料からなる着色層をガラス
基板上に形成した。その詳細は以下のとおりである。図
5の真空蒸着槽21において、容器24にMgF2 、る
つぼ27に銅フタロシアニンを仕込み、真空槽21を真
空度2×10-6Torrまで排気した後、電子ビーム2
6の強度とるつぼ27の温度をコントロールして、Mg
2 と銅フタロシアニンの蒸着速度を各々約4A/秒、
約2A/秒となるように調整しつつ、表面を清浄化した
ガラス基板上に厚さ約5000Aの着色層を形成した。
この後、着色層付き基板をアルゴンガス雰囲気中で20
0℃、約1時間加熱した。この加熱処理は着色層のガラ
ス基板への密着性を高めるために行なった。着色層の透
過スペクトルは実施例1で得られたものと同等であっ
た。着色層付きガラス基板をエタノールに浸漬し、超音
波振動を5分間印加したが、着色層の剥離、溶解はな
く、すぐれた耐溶剤性と密着性を示した。表面の平坦性
もすぐれており、膜厚誤差は、±200Aであった。
【0037】
【発明の効果】本発明のカラーフィルターの製造方法に
よれば、真空蒸着法またはスパッタリング法を用いるこ
とにより、無機物マトリックス中に有機色素粒子が均一
に分散した着色層を形成することが可能となる。このよ
うな着色層は、光の散乱が少なく透過率が高いという特
長を有し、得られたカラーフィルターの分光特性を向上
させる。また基板とその上に形成された着色層との密着
性に優れており、着色層の割れ、亀裂、剥離がなく、大
きな着色層を形成することが可能となる。また基板上に
形成された着色層の平滑性、膜厚の均一性に優れてい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルターの製造方法におい
て、有機色素を収容するるつぼの概略断面図である。
【図2】本発明のカラーフィルターの製造方法を具体的
に示す工程図である。
【図3】本発明のカラーフィルターの製造方法を具体的
に示す工程図である。
【図4】本発明のカラーフィルターの製造方法を具体的
に示す工程図である。
【図5】本発明のカラーフィルターの製造方法において
用いられる真空蒸着槽の概略断面図である。
【符号の説明】
1 るつぼ本体 2 蓋 3 孔 4 有機色素 11 基板 12 フォトレジスト 12P フォトレジストパターン 13B 青色着色層 13G 緑色着色層 13R 赤色着色層 21 真空槽 22 基板ホルダー 23 ガラス基板 24 無機物収容容器 25 電子ビーム発生源 26 電子ビーム 27 有機色素収容るつぼ 28,29 シャッター 30,31 膜厚モニター

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に無機物と有機色素を真空蒸着ま
    たはスパッタリングすることにより、前記無機物のマト
    リックス中に前記有機色素が分散された複合材料よりな
    る着色層を前記基板上に形成する工程を含むことを特徴
    とするカラーフィルターの製造方法。
  2. 【請求項2】 着色層中の無機物の割合を着色層全体に
    対して50体積%以上とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 無機物が金属酸化物または金属フッ化物
    である、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 蒸発源として金属酸化物を用い、真空槽
    内に酸素を導入して、前記金属酸化物を前記酸素と反応
    させながら蒸発させ、かつ有機色素を蒸発させることに
    よって、化学量論組成の金属酸化物のマトリックス中に
    前記有機色素が分散された複合材料よりなる着色層を形
    成する、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 真空槽内の酸素の分圧が1×10-5To
    rr〜5×10-4Torrである、請求項4に記載の方
    法。
JP4110998A 1992-04-30 1992-04-30 カラーフィルターの製造方法 Withdrawn JPH05307111A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4110998A JPH05307111A (ja) 1992-04-30 1992-04-30 カラーフィルターの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4110998A JPH05307111A (ja) 1992-04-30 1992-04-30 カラーフィルターの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05307111A true JPH05307111A (ja) 1993-11-19

Family

ID=14549815

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4110998A Withdrawn JPH05307111A (ja) 1992-04-30 1992-04-30 カラーフィルターの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05307111A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0875915A (ja) * 1994-08-31 1996-03-22 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 着色ミクロパターンの形成方法
JP2004347851A (ja) * 2003-05-22 2004-12-09 Dainippon Printing Co Ltd 硬化収縮性パターン形成用材料、パターン形成方法及びカラーフィルター
EP2193558A1 (de) * 2007-09-27 2010-06-09 OSRAM Opto Semiconductors GmbH Lichtemittierendes bauelement mit wellenlängenkonverter und herstellungsverfahren

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0875915A (ja) * 1994-08-31 1996-03-22 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 着色ミクロパターンの形成方法
JP2004347851A (ja) * 2003-05-22 2004-12-09 Dainippon Printing Co Ltd 硬化収縮性パターン形成用材料、パターン形成方法及びカラーフィルター
EP2193558A1 (de) * 2007-09-27 2010-06-09 OSRAM Opto Semiconductors GmbH Lichtemittierendes bauelement mit wellenlängenkonverter und herstellungsverfahren
JP2010541138A (ja) * 2007-09-27 2010-12-24 オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 波長変換器を備えた発光デバイスおよび波長変換器を備えた発光デバイスの製造方法
US8487329B2 (en) 2007-09-27 2013-07-16 Osram Opto Semiconductors Gmbh Light-emitting component having a wavelength converter and production method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6208393B1 (en) Liquid crystal color filter with integrated infrared blocking
JP3808917B2 (ja) 薄膜の製造方法及び薄膜
CA2279908C (en) Method for preparing a multilayer optic material with cross-linking/densification by exposure to ultraviolet rays and optic material so prepared
CN102385075A (zh) 光学部件、其制备方法和光学系统
JP3387204B2 (ja) 偏光板、偏光板の製造方法および液晶表示装置
JP4337164B2 (ja) 光学製品及びその製造方法
US8367191B2 (en) Optical thin-films and optical elements comprising same
JPH05307111A (ja) カラーフィルターの製造方法
JPH08134638A (ja) チタン酸化物膜の成膜方法
JPH07252671A (ja) 複合型光学薄膜の製造方法とその製造装置
JP2011084819A (ja) 高屈折率光学層を製造するための蒸着材料
KR20050102661A (ko) 고 굴절률의 광학 층을 제조하기 위한 증착 물질
JP5008807B2 (ja) 高屈折率光学層製造用蒸着材料および蒸着材料の製造方法
CN108290779A (zh) 获得着色玻璃板的方法和设备
JP2003114313A (ja) 反射鏡およびこれを用いた映像プロジェクタ装置
US20090091033A1 (en) Fabrication of metal oxide films
JPH09189801A (ja) 耐熱性反射防止膜付き光学部品
US20190169739A1 (en) An interference coating or its part consisting layers with different porosity
CN111218659A (zh) 成膜方法及成膜装置
JPWO2020129424A1 (ja) 誘電体膜、その製造方法及びそれを用いた光学部材
Pulker Coatings on glass substrates
JP2004075430A (ja) 透明な酸化イットリウム膜とその製造方法
Tsai et al. Comparative study of ultraviolet-infrared cutoff filters prepared by reactive electron-beam deposition and reactive ion-assisted deposition
JP2003344647A (ja) 薄片状または粉末状光学薄膜の製造方法及び製造装置
JPH11189861A (ja) 有機着色薄膜の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990706