JPH093233A - 芳香族ポリエステル系樹脂発泡体の製造法 - Google Patents

芳香族ポリエステル系樹脂発泡体の製造法

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JPH093233A
JPH093233A JP15135995A JP15135995A JPH093233A JP H093233 A JPH093233 A JP H093233A JP 15135995 A JP15135995 A JP 15135995A JP 15135995 A JP15135995 A JP 15135995A JP H093233 A JPH093233 A JP H093233A
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resin
aromatic polyester
polyester resin
aromatic
molecule
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JP15135995A
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Masaki Amano
正樹 天野
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性および断熱性に優れた芳香族ポリエス
テル系樹脂発泡体の製造法を開発する。 【構成】 1分子中に少なくとも3個の水酸基を有する
多価アルコール単位を、全ポリオール単位の総モル数1
00モルに対して0.01〜5モルの割合で含む芳香族
コポリエステル系樹脂100重量部と、1分子中に酸無
水物基、エポキシ基およびイソシアナート基のいずれか
を2個以上有する化合物0.05〜5重量部とを含有す
る芳香族ポリエステル系樹脂組成物を溶融反応せしめ、
えられた溶融反応物を発泡剤と混練して低圧域に押し出
すことを特徴とする芳香族ポリエステル系樹脂発泡体の
製造法および該製造法によりえられた押出発泡体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性および断熱性に優
れた芳香族ポリエステル系樹脂発泡体の製造法および該
製造法によりえられた押出発泡体に関する。さらに具体
的には、たとえば食品容器、建材、緩衝包装材などに好
適に利用しうる芳香族ポリエステル系樹脂発泡体の製造
法および該製造法によりえられた押出発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートおよびポリ
ブチレンテレフタレートに代表される線状芳香族ポリエ
ステル系樹脂は、その耐熱性、機械的特性、耐薬品性、
寸法安定性などに優れていることから、射出成形品、繊
維、フィルムなど広範な用途に利用されている。
【0003】しかしながら、前記芳香族ポリエステル系
樹脂を押出発泡成形しようとすると、その溶融粘弾性が
小さく不充分であり、発泡剤であるガスが抜け易い、ま
た、微妙な温度制御が必要であるなどの欠点があり、そ
の押出発泡成形は困難である。
【0004】こうした問題を改善するため、線状芳香族
ポリエステル系樹脂を押出発泡成形する際に、ジエポキ
シ化合物とステアリン酸カルシウムや炭酸ナトリウムと
を該樹脂に混合する方法(特開昭53−24364号公
報)、ジエポキシ化合物とモンタンワックス塩またはモ
ンタンワックスエステル塩とを該樹脂に混合する方法
(特開昭54−50568号公報)、多官能グリシジル
エステルと多官能カルボン酸無水物とを該樹脂に混合す
る方法(特公平3−16977号公報)などにより、線
状芳香族ポリエステル系樹脂の溶融粘度を向上させるこ
とが提案されている。
【0005】また、1分子中に2個以上の酸無水物基を
有する化合物を線状芳香族ポリエステル系樹脂に混合す
る方法(特公平5−15736号公報)や同様の酸無水
物と特定の金属化合物とを組み合わせて該樹脂に混合す
る方法(特公平5−47575号公報)なども提案され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上に示された方法に
よって線状芳香族ポリエステル系樹脂の溶融粘弾性を改
善しようとするばあい、いずれの方法によっても溶融粘
弾性は急激に向上するが、混練を継続すると粘弾性は大
きく低下してゆき、樹脂の溶融粘弾性を安定して高く保
つことが困難である。
【0007】この結果、押出発泡成形を行なうのに必要
な操作域が狭く、発泡剤を均一に分散させるために充分
に混練を行なうことができないなどの問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前記のごとき従
来の技術の問題を改善し、溶融した芳香族ポリエステル
系樹脂の粘弾性が長時間混練しても押出発泡に適した範
囲に安定して保たれ、安定的に押出を行なうことがで
き、結果として破泡のない、セル径がより均一微細な発
泡体をうるためになされたものであり、1分子中に少な
くとも3個の水酸基を有する多価アルコール単位を、全
ポリオール単位の総モル数100モルに対して0.01
〜5モルの割合で含む芳香族コポリエステル系樹脂10
0部(重量部、以下同様)と、1分子中に酸無水物基、
エポキシ基およびイソシアナート基のいずれかを2個以
上有する化合物0.05〜5部とを含有する芳香族ポリ
エステル系樹脂組成物を溶融反応せしめ、えられた溶融
反応物を発泡剤と混練して低圧域に押し出すことを特徴
とする芳香族ポリエステル系樹脂発泡体の製造法(請求
項1)、1分子中に少なくとも3個の水酸基を有する多
価アルコールがグリセリンである請求項1記載の芳香族
ポリエステル系樹脂発泡体の製造法(請求項2)、1分
子中に少なくとも3個の水酸基を有する多価アルコール
単位を、全ポリオール単位の総モル数100モルに対し
て0.01〜5モルの割合で含む芳香族コポリエステル
系樹脂が、線状の芳香族ポリエステル系樹脂を含有する
樹脂である請求項1または2記載の芳香族コポリエステ
ル系樹脂発泡体の製造法(請求項3)、および1分子中
に少なくとも3個の水酸基を有する多価アルコール単位
を、全ポリオール単位の総モル数100モルに対して
0.01〜5モルの割合で含む芳香族コポリエステル系
樹脂100部と、1分子中に酸無水物基、エポキシ基お
よびイソシアナート基のいずれかを2個以上有する化合
物0.05〜5部とを含有する芳香族ポリエステル系樹
脂組成物からなる押出発泡体(請求項4)に関する。
【0009】
【作用および実施例】本発明においては、1分子中に少
なくとも3個の水酸基を有する多価アルコール単位を、
該芳香族ポリエステル系樹脂中に含まれる全ポリオール
単位の総モル数100モルに対して0.01〜5モルの
割合で含む芳香族コポリエステル系樹脂(以下、特定の
芳香族コポリエステル系樹脂ともいう)100部と、1
分子中に酸無水物基、エポキシ基およびイソシアナート
基のいずれかを2個以上有する化合物0.05〜5部と
を含有する芳香族ポリエステル系樹脂組成物(I)が使
用される。
【0010】特定の芳香族コポリエステル系樹脂は、芳
香族ポリエステル系樹脂組成物(I)の溶融混練を長時
間継続したばあいの溶融粘弾性特性を安定化させるため
に用いられる成分である。1分子中に2個以上の酸無水
物基や、エポキシ基、イソシアナート基を持つ化合物を
線状芳香族ポリエステル系樹脂に加え、溶融混練したば
あいに、混練の継続下、その溶融粘弾性特性を保つこと
が非常に困難であることを考えれば、特定の芳香族コポ
リエステル系樹脂主鎖上に存在する分岐構造が、このよ
うな溶融粘弾性特性の変化を抑えているものと考えられ
る。
【0011】特定の芳香族コポリエステル系樹脂は、芳
香族ジカルボン酸成分、ジオール成分および1分子中に
少なくとも3個の水酸基を有する多価アルコール成分の
重縮合によってえられる分岐を有する芳香族コポリエス
テルを含有するものであり、前記分岐を有する芳香族コ
ポリエステルのみで特定の芳香族コポリエステル系樹脂
を構成していてもよく、前記分岐を有する芳香族コポリ
エステルと線状芳香族ポリエステル系樹脂とで特定の芳
香族コポリエステル系樹脂を構成していてもよい。ただ
し、特定の芳香族コポリエステル系樹脂中に含まれる、
1分子中に少なくとも3個の水酸基を有する多価アルコ
ール単位の量は、特定の芳香族コポリエステル系樹脂中
の全ポリオール単位の総モル数100モルに対して0.
01〜5モル、好ましくは0.1〜3モル、より好まし
くは0.5〜3モルである。1分子中に少なくとも3個
の水酸基を有する多価アルコール成分単位の含有量が前
記範囲よりも少ないばあいには、芳香族ポリエステル系
樹脂組成物(I)が発泡に適する溶融粘弾性特性を充分
発現するに至らず、前記範囲をこえるばあいには、芳香
族ポリエステル系樹脂組成物(I)の溶融成形が容易で
なくなる。
【0012】特定の芳香族コポリエステル系樹脂におけ
る分岐を有する芳香族コポリエステル(以下、樹脂
(A)ともいう)に対する線状芳香族ポリエステル系樹
脂(以下、樹脂(B)ともいう)の割合は、樹脂(A)
および樹脂(B)、すなわち特定の芳香族コポリエステ
ル系樹脂に含まれる全ポリオール単位の総モル数100
モルに対して1分子中に少なくとも3個の水酸基を有す
る多価アルコール単位が0.01〜5モルの割合となる
ようにすればよいが、通常は、樹脂(A)100部に対
して樹脂(B)0〜1000部、好ましくは0〜500
部である。
【0013】特定の芳香族コポリエステル系樹脂の極限
粘度(フェノール/テトラクロロエタン=1/1の混合
物を溶媒として23℃で測定した値)は、好ましくは
0.4〜1.0dl/g、より好ましくは0.5〜1.
0dl/gである。極限粘度が前記範囲よりも小さいば
あいには、芳香族ポリエステル系樹脂組成物(I)が発
泡に適する溶融粘弾性特性を充分発現するに至らず、前
記範囲をこえるばあいには、芳香族ポリエステル系樹脂
組成物(I)の溶融混練が容易でなくなる傾向が生じ
る。
【0014】前記分岐を有する芳香族コポリエステル
(樹脂(A))の製造は、通常のポリエステルの製法に
よって行なうことができる。たとえば、所望の芳香族ジ
カルボン酸成分、ジオール成分および1分子中に少なく
とも3個の水酸基を有する多価アルコール成分を溶融状
態で混合し、3〜12時間程度にわたって0.2〜1.
0mmHg程度の高真空にすれば、揮発性生成物の除去
につれて分子量が増大した樹脂(A)をうることができ
る。また、所望の芳香族ジカルボン酸成分およびジオー
ル成分からなる線状芳香族ポリエステル系樹脂と1分子
中に少なくとも3個の水酸基を有する多価アルコールと
を溶融状態、減圧下で混合することにより、揮発性生成
物の除去につれて樹脂(A)をうることができる。
【0015】樹脂(A)は1分子中に少なくとも3個の
水酸基を有する多価アルコールに由来する基を分子鎖中
に有するため、芳香族コポリエステル鎖中に分岐構造が
存在する。
【0016】なお、前記分岐構造には、芳香族コポリエ
ステルの主鎖から分岐鎖が伸びているもののみならず、
芳香族コポリエステルの主鎖上に分岐鎖が生成しうる水
酸基を有する構造も含まれる。このような分岐構造を導
入するのに、1分子中に少なくとも3個のカルボン酸基
を有する化合物を用いることも考えられるが、そのばあ
い、カルボン酸基の触媒作用によると考えられる分子量
低下が起こりやすいので好ましくない。
【0017】樹脂(A)の製造に用いられる芳香族ジカ
ルボン酸成分の具体例としては、たとえばテレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ
ルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボ
ン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などがあげられ
る。これらは単独で用いてもよく2種以上併用してもよ
い。前記芳香族ジカルボン酸成分のなかでは、工業的に
利用しやすく取扱いやすいという点から、テレフタル酸
が好ましい。
【0018】樹脂(A)の製造に用いられるジオール成
分の具体例としては、たとえばエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサン
ジメチロール、トリシクロデカンジメチロール、2,2
−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパ
ン、4,4′−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ジフェ
ニルスルホンなどがあげられる。これらは単独で用いて
もよく2種以上併用してもよい。前記ジオール成分のな
かでは、工業的に利用しやすく取扱いやすいという点か
ら、エチレングリコール、ブタンジオールが好ましい。
【0019】樹脂(A)の製造に用いられる1分子中に
少なくとも3個、好ましくは3〜4個の水酸基を有する
多価アルコール成分の具体例としては、たとえばグリセ
リン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、ペンタエリスリトールなどのトリまたはテトラオー
ル類などがあげられる。これらは単独で用いてもよく2
種以上併用してもよい。前記多価アルコール成分のうち
では、液状で取扱いやすいなどの点から、グリセリンが
とくに好ましい。
【0020】前記の構成単位からなる樹脂(A)の具体
例としては、たとえば主たるジカルボン酸成分および主
たるジオール成分としてそれぞれテレフタル酸とエチレ
ングリコール、テレフタル酸とブタンジオール、ナフタ
レンジカルボン酸とエチレングリコール、またはテレフ
タル酸とシクロヘキサンジメチロールなどを使用し、1
分子中に少なくとも3個の水酸基を有する多価アルコー
ル成分としてグリセリン、トリメチロールプロパンなど
を使用したものなどがあげられる。これら樹脂(A)の
具体例のうちでは、主たるジカルボン酸成分がテレフタ
ル酸、主たるジオール成分がエチレングリコールである
ものが、工業的利用価値の高さおよび取扱いのし易さの
点から好ましい。
【0021】前記主たるとは、その成分が85モル%以
上であることを意味し、ジカルボン酸成分、ジオール成
分としてそれぞれ1種以上の副成分を15モル%以下の
範囲で用いることができる。副成分の具体例としては、
樹脂(A)の製造に用いられる成分としてあげたものか
ら1種以上の副成分を選んで用いてもよく、また、他に
用いることのできるジカルボン酸成分であるマロン酸、
コハク酸、マレイン酸など、ジオール成分であるナフタ
レンジオール、ヒドロキノン、カテコール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコールなどから1種以上
を選んで用いてもよい。
【0022】このばあいの樹脂(A)は同じ分子鎖上に
主たる成分と副成分とがともに含まれていてもよく、ま
た、主たる成分と副成分とが同じ分子鎖上には含まれて
いなくてもよい。
【0023】樹脂(A)のみを特定の芳香族コポリエス
テル系樹脂として使用するばあいには、1分子中に少な
くとも3個の水酸基を有する多価アルコール単位を全ポ
リオール単位(1分子中に少なくとも3個の水酸基を有
する多価アルコール単位およびジオール単位)の総モル
数100モルに対して0.01〜5モル、好ましくは
0.1〜3モル、より好ましくは0.5〜3モルの割合
で含有したものからの樹脂(A)が使用される。
【0024】一方、樹脂(A)および樹脂(B)を特定
の芳香族コポリエステル系樹脂として使用するばあいに
は、1分子中に少なくとも3個の水酸基を有する多価ア
ルコール単位を全ポリオール単位の総モル数100モル
に対して0.1〜7モル、好ましくは0.1〜5モル、
より好ましくは0.5〜5モルの割合で含有したものか
らの樹脂(A)が使用される。
【0025】1分子中に少なくとも3個の水酸基を有す
る多価アルコール成分単位の含有量が前記範囲よりも少
ないばあいには、樹脂(A)または樹脂(A)および樹
脂(B)を用いて調製した芳香族ポリエステル系樹脂組
成物(I)が発泡に適する溶融粘弾性特性を充分発現す
るに至らず、前記範囲をこえるばあいには、芳香族ポリ
エステル系樹脂組成物(I)の溶融混練が容易でなくな
る。
【0026】なお、前記のごとき樹脂(A)の極限粘度
は、好ましくは0.4〜1.0dl/g、より好ましく
は0.5〜1.0dl/gである。
【0027】前記線状芳香族ポリエステル系樹脂(樹脂
(B))は、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分と
を重縮合させることにより製造される。
【0028】樹脂(B)の製造に用いられる芳香族ジカ
ルボン酸成分およびジオール成分の具体例としては、樹
脂(A)の製造に用いられるものと同じものが用いられ
る。樹脂(B)の具体例としては、樹脂(A)の具体例
の製造に用いた成分から1分子中に少なくとも3個の水
酸基を有する多価アルコールを除いたものからの樹脂
(たとえば主たるジカルボン酸成分および主たるジオー
ル成分としてそれぞれテレフタル酸とエチレングリコー
ル、テレフタル酸とブタンジオール、ナフタレンジカル
ボン酸とエチレングリコール、またはテレフタル酸とシ
クロヘキサンジメチロールなどを使用したもの)があげ
られる。樹脂(B)のジカルボン酸成分、ジオール成分
として樹脂(A)と同じ種類、組成のものを使用するこ
とは必ずしも必要ではないが、主たるジカルボン酸成
分、主たるジオール成分を樹脂(A)と同じにしたもの
が好ましく用いられる。
【0029】樹脂(B)の極限粘度は、好ましくは0.
4〜1.0dl/g、より好ましくは0.5〜1.0d
l/gであり、極限粘度が前記範囲よりも小さいばあい
には、樹脂(B)を用いて調製した芳香族ポリエステル
系樹脂組成物(I)が発泡に適する溶融粘弾性特性を充
分発現するに至らず、前記範囲よりも大きいばあいに
は、前記芳香族ポリエステル系樹脂組成物の溶融混練が
容易でなくなる傾向が生じる。
【0030】特定の芳香族コポリエステル系樹脂ととも
に芳香族ポリエステル系樹脂組成物(I)の製造に用い
られる、1分子中に酸無水物基、エポキシ基およびイソ
シアナート基のいずれかを2個以上有する化合物(以
下、化合物(C)ともいう)は、特定の芳香族コポリエ
ステル系樹脂との反応を通じて芳香族ポリエステル系樹
脂組成物(I)の溶融時の粘弾性特性を発泡に適したレ
ベルにするために使用される成分である。化合物(C)
の詳細な作用については明らかではないが、特定の芳香
族コポリエステル系樹脂の分子鎖中に存在する水酸基な
どと、化合物(C)が有する酸無水物基、エポキシ基お
よびイソシアナート基のいずれかの官能基との間に結合
が生じ、単に分子量が増加するだけでなく、一部架橋も
おこり、粘弾性特性を安定化するものと考えられる。
【0031】化合物(C)としては、1分子中に酸無水
物基、エポキシ基およびイソシアナート基のいずれかを
2個以上有するものであればとくに制限はない。
【0032】このような(C)成分の具体例としては、
酸無水物基を有する、たとえば無水ピロメリット酸(ピ
ロメリット酸2無水物)、ナフタレンテトラカルボン酸
2無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物、
シクロペンタンテトラカルボン酸2無水物、エチレング
リコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセ
ロール−トリス(アンヒドロトリメリテート)など、エ
ポキシ基を有する、たとえばジグリシジルフタレート、
ジグリシジルテレフタレート、ヘキサヒドロフタル酸ジ
グリシジルエステル、レゾルシノールジグリシジルエー
テル、グリセリントリグリシジルエーテルなど、イソシ
アナート基を有する、たとえばトルエンジイソシアナー
ト、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレ
ンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナ
ートなどがあげられる。これらのうちでは、押出機中で
の樹脂の平均溶融混練時間などの変動に伴う樹脂の粘弾
性の変化が小さいという理由からエポキシ基を有する化
合物が好ましく、その中でも芳香族ポリエステル系樹脂
組成物(I)の溶融粘弾性向上の効果が比較的大きいと
いう理由からジグリシジルフタレート、ジグリシジルテ
レフタレートがとくに好ましい。また、着色異物の発生
がない、水酸基との反応が速く進むなどの理由から酸無
水物基を有するものが好ましく、また、取扱いが容易と
いう理由からピロメリット酸2無水物、ベンゾフェノン
テトラカルボン酸2無水物がとくに好ましい。
【0033】前記1分子中に酸無水物基、エポキシ基お
よびイソシアナート基のいずれかを2個以上有する化合
物は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
【0034】化合物(C)は、特定の芳香族コポリエス
テル系樹脂100部に対して0.05〜5部、好ましく
は0.1〜3部、より好ましくは0.2〜1.5部使用
される。(C)成分の使用量が前記範囲よりも少ないば
あいには、芳香族ポリエステル系樹脂組成物(I)が発
泡に適する溶融粘弾性特性を充分発現するに至らず、前
記範囲よりも多いばあいには、ゲル化が進行しすぎるた
め、いずれのばあいも良好な発泡成形を行なうことがで
きなくなる。
【0035】本発明では、芳香族ポリエステル系樹脂組
成物(I)が溶融反応せしめられ、溶融物が発泡剤と混
練せしめられるが、そのときの芳香族ポリエステル系樹
脂組成物(I)の溶融温度は265〜310℃、さらに
は265〜300℃で、平均溶融混練時間は30秒以上
30分以内、さらには1〜20分が好ましい。溶融混練
の際に、特定の芳香族コポリエステル系樹脂と化合物
(C)とが溶融・反応して芳香族ポリエステル系樹脂組
成物(I)が発泡に適する溶融粘弾性特性を発現するに
至ると考えられるが、溶融温度が260℃より低いばあ
いには、芳香族ポリエステル系樹脂組成物(I)が均一
に溶融しにくくなり、また310℃よりも高いばあいに
は熱分解などによると考えられるが、芳香族ポリエステ
ル系樹脂組成物(I)の溶融粘弾性が充分向上しなくな
る傾向が生じる。また、平均溶融混練時間が30秒未満
のばあいには、溶融した芳香族ポリエステル系樹脂組成
物(I)が発泡に適する溶融粘弾性を充分発現するに至
らず、平均溶融混練時間が30分をこえるばあいには、
熱分解などによると考えられるが、溶融粘弾性特性が低
下する傾向にある。
【0036】たとえば芳香族ポリエステル系樹脂組成物
(I)として、主たるジカルボン酸成分としてテレフタ
ル酸、主たるジオール成分としてエチレングリコールを
用い、全ポリオールの総モル数100モルに対して0.
5〜1モルの割合でグリセリンを共重合させた極限粘度
0.6〜0.7の特定の芳香族コポリエステル系樹脂1
00部とジグリシジルフタレート0.5〜1部との混合
物のごとき組成物を用い、270〜280℃で10〜2
0分間程度溶融混練するばあい、特定の芳香族コポリエ
ステル系樹脂のみの溶融粘度が270℃で10分混練し
たとき0.3〜0.5×104P、20分混練したとき
0.1〜0.2×104Pであるものが、270℃で1
0分混練したとき3.0〜4.0×104P、20分混
練したとき2.5〜3.5×104Pとなるというよう
に、溶融粘度が大きく上昇し、しかも上昇した溶融粘度
が長時間にわたって安定して保持される。
【0037】芳香族ポリエステル系樹脂組成物(I)の
平均溶融混練時間とは、芳香族ポリエステル系樹脂組成
物(I)がホッパー下部から押出成形機中に供給されて
からその溶融物が発泡剤と混練されたのちに低圧域に押
し出されるまでの平均時間のことであり、芳香族ポリエ
ステル系樹脂組成物(I)と発泡剤とを混練している時
間を含む。
【0038】芳香族ポリエステル系樹脂組成物(I)の
溶融反応物をうる具体的な方法としては以下の方法が考
えられるが、それらに限定されるものではない。
【0039】樹脂(A)および化合物(C)からなる芳
香族ポリエステル系樹脂組成物(I)を例にとって説明
すると、たとえばつぎの方法によって溶融物をうること
ができる。
【0040】樹脂(A)のペレットに化合物(C)を
両成分の融点以下の温度で混合したのち、押出機に供給
する方法。
【0041】あらかじめ樹脂(A)の一部と化合物
(C)とを溶融混合してペレットをつくり、このペレッ
トと樹脂(A)の残りとを混合したのち、押出機に供給
する方法。
【0042】押出機中で溶融した樹脂(A)に押出機
のシリンダーに設けられた供給口から化合物(C)を供
給して溶融混合する方法。
【0043】また、樹脂(A)、樹脂(B)および化合
物(C)からなる芳香族ポリエステル系樹脂組成物を例
にとって説明すると、たとえばつぎの方法によって溶融
物をうることができる。
【0044】樹脂(A)のペレットおよび樹脂(B)
のペレットに化合物(C)を各成分の融点以下の温度で
混合したのち、押出機に供給する方法。
【0045】あらかじめ樹脂(A)および樹脂(B)
を溶融混合してペレットをつくり、このペレットおよび
化合物(C)とを混合したのち、押出機に供給する方
法。
【0046】あらかじめ樹脂(A)の一部および樹脂
(B)の一部と化合物(C)とを溶融混合してペレット
をつくり、このペレットと残りの樹脂(A)および残り
の樹脂(B)とを混合したのち、押出機に供給する方
法。
【0047】あらかじめ樹脂(A)の一部と化合物
(C)とを溶融混合してペレットをつくり、このペレッ
トと残りの樹脂(A)および樹脂(B)とを混合したの
ち、押出機に供給する方法。
【0048】あらかじめ樹脂(B)の一部と化合物
(C)とを溶融混合してペレットをつくり、このペレッ
トと樹脂(A)および残りの樹脂(B)とを混合したの
ち、押出機に供給する方法。
【0049】押出機中で溶融した樹脂(A)および樹
脂(B)に、押出機シリンダーに設けられた供給口より
化合物(C)を供給して溶融混合する方法。
【0050】前記方法の中でも、の方法が、あらかじ
め樹脂(A)が平均に分散された樹脂組成物を作ること
ができるという点から好ましく、一方、の方法は工程
の簡略化という点から好ましい。
【0051】本発明の発泡体の製造法に用いる押出機と
しては、たとえば単軸押出機、多軸押出機、タンデム型
押出機などがあげられる。これらは目的に応じて使い分
けられる。たとえば多軸押出機を用いることにより、よ
り短い押出機で溶融した芳香族ポリエステル系樹脂組成
物(I)を均一に混合することができ、タンデム型押出
機を用いることにより、押出条件をより広く変化させる
ことができ、また、発泡剤を溶融した芳香族ポリエステ
ル系樹脂組成物(I)中で均一分散させることができ
る。
【0052】本発明に用いられる発泡剤としては、通
常、物理的発泡剤として使用される(加熱によって気化
ないし膨張する性質を有する)ものであれば用いること
ができる。かかる発泡剤の代表例としては、たとえば不
活性ガス、飽和脂肪族炭化水素、飽和脂環族炭化水素、
芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケト
ンなどがあげられ、このような発泡剤の具体例として
は、たとえば炭酸ガス、チッ素などの不活性ガス、メタ
ン、エタン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペ
ンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサ
ン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2
−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタンなどの飽和
脂肪族炭化水素、メチルシクロプロパン、シクロペンタ
ン、エチルシクロブタン、1,1,2−トリメチルシク
ロプロパンなどの飽和脂環族炭化水素、ベンゼンなどの
芳香族炭化水素、トリクロロモノフルオロメタン、ジク
ロロフルオロメタン、モノクロロジフルオロメタン、ト
リクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロ
エタンなどのハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、
2−エトキシエタノールなどのエーテル、アセトン、メ
チルエチルケトン、アセチルアセトンなどのケトンなど
があげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上併
用してもよい。
【0053】本発明における発泡剤の使用量は、目的と
する発泡倍率に合わせて調整すればよいが、芳香族ポリ
エステル系樹脂組成物(I)100部に対して、とくに
発泡倍率が10倍以下であるような押出発泡シートのご
とき発泡体を製造するためには、1〜4部程度が好まし
く、1〜2部程度がさらに好ましい。また、とくに発泡
倍率が20〜40倍程度であるような押出発泡ボードの
ごとき発泡体を製造するためには、5〜15部程度が好
ましく、5〜10部程度がさらに好ましい。
【0054】本発明において、押出機に供給された芳香
族ポリエステル系樹脂組成物(I)に発泡剤を加える時
期としては、芳香族ポリエステル系樹脂組成物(I)を
溶融反応せしめ、平均溶融混練時間の15〜20%程度
経過したとき以降30〜40%程度経過するまでに一度
に、または複数回にわけて加えるのが、発泡剤を溶融反
応物中に均一に溶解させることができるという点から好
ましい。
【0055】このようにして調製された265〜280
℃で30〜200kg/cm2の高圧下にある発泡剤を
含む溶融反応物は、押出機から大気圧程度の低圧域に押
し出され、本発明の方法による芳香族ポリエステル系樹
脂発泡体が製造される。
【0056】本発明の発泡体を製造する際に、必要に応
じて安定剤、タルクなどの造核剤、顔料、充填剤、難燃
剤、帯電防止剤などを用いてもよい。
【0057】このようにして製造される発泡体は、シー
ト、ボードなどとしてえられ、通常シートとしては発泡
倍率6〜10倍、ボードとしては20〜40倍、独立気
泡率は70〜90%、外観美麗で、均一微細なセルを有
するものであり、200℃においても変形しないという
ように耐熱性に優れ、また、高い独立気泡率を有してい
るため、断熱性も良好なものである。そして、それら
は、たとえば耐熱容器、断熱容器、緩衝包装材などの製
造に好適に用いられる。
【0058】つぎに本発明の発泡体の製造法を実施例に
基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施
例のみに限定されるものではない。
【0059】製造例1 極限粘度0.65の線状ポリエチレンテレフタレート1
00部に対して、グリセリン1.4部、安定剤としてリ
ン酸トリフェニル0.52部およびアデカスタブAO−
60(旭電化工業(株)製)0.34部、触媒として三
酸化アンチモン0.03部を加えた混合物を製造したの
ち、この混合物を、攪拌機付きの横型連続反応装置に供
給し、280℃で75分間、100Torrの減圧下で
溶融し、揮発成分を除去して極限粘度0.69の芳香族
コポリエステル系樹脂(a)をえた。
【0060】バリアンインスツルメント社製XL−30
0を用い、室温、トリフルオロ酢酸−d中、測定周波数
300MHzの条件で1H NMR測定を行なって求め
た芳香族コポリエステル系樹脂(a)中のグリセリン含
量は全ポリオール単位の総モル数100モルに対して
2.7モルであった。
【0061】えられた芳香族コポリエステル系樹脂
(a)を140℃の除湿乾燥機中で4時間乾燥させたの
ち、該芳香族コポリエステル系樹脂(a)100部に対
してジグリシジルフタレート0.5部、核剤としてタル
ク0.5部を加え、リボンブレンダーで混合して芳香族
ポリエステル系樹脂組成物(I−a)をえた。
【0062】えられた芳香族ポリエステル系樹脂組成物
(I−a)をシリンダー温度280〜290℃に調整し
た口径40mmの押出機に供給し、2分間溶融混練して
反応させたのち押し出し、20℃の水中で急冷して溶融
反応物(a−1)をえた。また、口径40mmの押出機
と直列にシリンダー温度280〜285℃に調節した口
径50mmの押出機を接続して、さらに10分間溶融混
練して反応させたのち、前記と同様に押し出し、急冷を
行ない、溶融反応物(a−2)をえた。
【0063】えられた溶融反応物(a−1)、(a−
2)を用いて、キャピログラフ(東洋精機(株)製)を
用い、測定温度280℃、測定剪断速度60.8S-1
オリフィス1mmφ×10mmの条件で溶融粘度を測定
した。結果を表1に示す。
【0064】製造例2 製造例1でえられた芳香族コポリエステル系樹脂(a)
および極限粘度0.65の線状ポリエチレンテレフタレ
ートを1/2の重量比でリボンブレンダーを用いて混合
したもの(芳香族コポリエステル系樹脂(b))100
部を用いたほかは製造例1と同様にして芳香族ポリエス
テル系樹脂組成物(I−b)、ついで溶融反応物(b−
1)、(b−2)をえ、溶融粘度を測定した。結果を表
1に示す。
【0065】製造例3 製造例1におけるグリセリンの仕込量を0.47部にか
えたほかは製造例1と同様にして極限粘度0.51、グ
リセリン含量が全ポリオール単位の総モル数100モル
に対して0.92モルである芳香族コポリエステル系樹
脂(c)をえた。
【0066】えられた芳香族コポリエステル系樹脂
(c)100部を用いたほかは製造例1と同様にして芳
香族ポリエステル系樹脂組成物(I−c)、ついで溶融
反応物(c−1)、(c−2)をえ、溶融粘度を測定し
た。結果を表1に示す。
【0067】製造例4 製造例1におけるグリセリンの仕込量を0.23部にか
えたほかは製造例1と同様にして極限粘度0.45、グ
リセリン含量が全ポリオール単位の総モル数100モル
に対して0.43モルである芳香族コポリエステル系樹
脂(d)をえた。
【0068】えられた芳香族コポリエステル系樹脂
(d)100部を用いたほかは製造例1と同様にして芳
香族ポリエステル系樹脂組成物(I−d)、ついで溶融
反応物(d−1)、(d−2)をえ、溶融粘度を測定し
た。結果を表1に示す。
【0069】製造例5 ジグリシジルフタレートのかわりにピロメリット酸2無
水物0.2部を用いたほかは製造例1と同様にして芳香
族ポリエステル系樹脂組成物(I−e)、ついで溶融反
応物(e−1)、(e−2)をえ、溶融粘度を測定し
た。結果を表1に示す。
【0070】製造例6 ジグリシジルフタレートのかわりにピロメリット酸2無
水物0.3部を用いたほかは製造例3と同様にして芳香
族ポリエステル系樹脂組成物(I−f)、ついで溶融反
応物(f−1)、(f−2)をえ、溶融粘度を測定し
た。結果を表1に示す。
【0071】製造例7 製造例2で用いたジグリシジルフタレートのかわりにト
ルエンジイソシアナート0.3部を用いたほかは製造例
2と同様にして芳香族ポリエステル系樹脂組成物(I−
g)、ついで溶融反応物(g−1)、(g−2)をえ、
溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0072】比較製造例1 芳香族コポリエステル系樹脂(a)のかわりに極限粘度
0.65の線状ポリエチレンテレフタレート100部を
用い、さらに無水炭酸ナトリウム0.1部を加えたほか
は製造例1と同様にして芳香族ポリエステル系樹脂組成
物(イ)、ついで溶融反応物(イ−1)、(イ−2)を
え、溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0073】比較製造例2 芳香族コポリエステル系樹脂(a)のかわりに極限粘度
0.65の線状ポリエチレンテレフタレート100部を
用い、ジグリシジルフターレト0.5部のかわりにジグ
リシジルフタレート0.3部と無水ピロメリット酸0.
2部を用いたほかは製造例1と同様にして芳香族ポリエ
ステル系樹脂組成物(ロ)、ついで溶融反応物(ロ−
1)、(ロ−2)をえ、溶融粘度を測定した。結果を表
1に示す。
【0074】比較製造例3 製造例2においてジグリシジルフタレートを用いなかっ
たほかは製造例2と同様にして芳香族ポリエステル系樹
脂組成物(ハ)、ついで溶融反応物(ハ−1)、(ハ−
2)をえ、溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】表1の結果より、基材樹脂として特定の芳
香族コポリエステル系樹脂を、1分子中にエポキシ基、
イソシアナート基のいずれかを2個以上有する化合物と
併用して用いたばあいに、溶融押出時の溶融粘性向上の
効果が極めて大であり、押出機内で混練を継続したばあ
いにも高い溶融粘度を保持することがわかる。
【0077】一方、1分子中に少なくとも3個の水酸基
を有する多価アルコール成分を用いないばあいには、口
径40mmの押出機の出口では溶融粘度向上の効果が見
られるが、その効果は小さく、口径50mmの押出機に
おける混練でその溶融粘度が著しく低下することがわか
る。
【0078】実施例1 製造例1と同様に口径40mmの押出機と口径50mm
の押出機を直列に接続したばあいにおいて、口径40m
mの押出機の先端部より芳香族ポリエステル系樹脂組成
物(I−a)100部に対して発泡剤としてイソペンタ
ン1.6部を圧入して、2つの押出機における平均溶融
混練時間が11〜13分となるように溶融混練したの
ち、口金として用いたサーキュラー金型(径75mm、
クリアランス0.4mm)の環状出口より筒状体を大気
中に押し出し、発泡体を引き取りつつ円筒型マンドレル
(径210mm)の外径に接触させて発泡体を冷却さ
せ、円筒型に成形し、この円筒型発泡体の一部を切開し
て巻き取る方法で発泡シートを製造した。
【0079】えられたシートは、セルが細かく、外観が
美麗で、幅は650mm、下記の方法によって求めた密
度0.21g/cm3、発泡倍率6.6倍、独立気泡率
90%であった。
【0080】(発泡体の密度)発泡シートを3cm×4
cmの大きさになるように切り取り、5枚を一組にして
重量および水没法によって体積を求めて算出した。
【0081】(発泡倍率)未発泡樹脂の密度(1.40
g/cm3)/発泡体の密度から求めた。
【0082】(独立気泡率)ピクノメーター(湯浅アイ
オニクス(株)製)を用い、ASTM−2856にした
がって測定した。
【0083】実施例2 芳香族コポリエステル系樹脂(a)のかわりに製造例2
でえられた芳香族コポリエステル系樹脂(b)を用いた
ほかは実施例1と同様にして発泡シートを製造し、評価
した。
【0084】えられたシートは、セルが細かく、外観が
美麗で、密度0.20g/cm3、発泡倍率7.0倍、
独立気泡率90%であった。
【0085】実施例3 芳香族コポリエステル系樹脂(a)のかわりに製造例3
でえられた芳香族コポリエステル系樹脂(c)を用いた
ほかは実施例1と同様にして発泡シートを製造し、評価
した。
【0086】えられたシートは、セルが細かく、外観が
美麗で、密度0.23g/cm3、発泡倍率6.0倍、
独立気泡率81%であった。
【0087】実施例4 ジグリシジルフタレートのかわりにピロメリット酸2無
水物0.2部を用いたほかは実施例1と同様にして発泡
シートを製造し、評価した。
【0088】えられたシートは、セルが細かく、外観が
美麗で、密度0.22g/cm3、発泡倍率6.6倍、
独立気泡率89%であった。
【0089】実施例5 芳香族コポリエステル系樹脂(a)のかわりに製造例3
でえられた芳香族コポリエステル系樹脂(c)を用い、
ジグリシジルフタレートのかわりにピロメリット酸2無
水物0.3部を用いたほかは実施例1と同様にして発泡
シートを製造し、評価した。
【0090】えられたシートは、セルが細かく、外観が
美麗で、密度0.19g/cm3、発泡倍率7.3倍、
独立気泡率82%であった。
【0091】比較例1 芳香族コポリエステル系樹脂(a)のかわりに極限粘度
0.65の線状ポリエチレンテレフタレート100部を
用い、さらに無水酸化ナトリウム0.1部を加えたほか
は実施例1と同様にして発泡シートを製造し、評価し
た。
【0092】えられたシートは、セルが粗く、破泡がみ
られ、密度0.34g/cm3、発泡倍率4.1倍、独
立気泡率32%といずれも不満足なものであった。
【0093】比較例2 芳香族コポリエステル系樹脂(a)のかわりに極限粘度
0.65の線状ポリエチレンテレフタレート100部を
用い、ジグリシジルフタレート0.5部のかわりにジグ
リシジルフタレート0.3部と無水ピロメリット酸0.
2部を用いたほかは実施例1と同様にして発泡シートを
製造し、評価した。
【0094】えられたシートは、セルが粗く、破泡がみ
られ、密度0.44g/cm3、発泡倍率3.2倍、独
立気泡率35%といずれも不満足なものであった。
【0095】以上の結果から、特定の芳香族コポリエス
テル系樹脂と、1分子中に酸無水物基、エポキシ基およ
びイソシアナート基のいずれかを2個以上有する化合物
を併用した芳香族ポリエステル系樹脂組成物を用いたば
あいにのみ長時間の混練後も押出発泡に適した溶融粘弾
性を保っており、また、それを用いて製造した発泡体
が、破泡の見られない均一微細なセルを有していること
がわかる。
【0096】
【発明の効果】本発明においては、1分子中に少なくと
も3個の水酸基を有する多価アルコール単位を、全ポリ
オール単位の総モル数100モルに対して0.01〜5
モルの割合で含む芳香族コポリエステル系樹脂100部
と、1分子中に酸無水物基、エポキシ基およびイソシア
ナート基のいずれかを2個以上有する化合物0.05〜
5部からなる芳香族ポリエステル系樹脂組成物を用いて
いるため、該組成物の溶融時の溶融粘弾性向上の効果が
極めて大であって、さらに、押出機内で混練を継続して
も安定的に押出発泡に適した溶融粘弾性を保つために、
溶融物および発泡剤を均一に混合することができ、微細
なセルが均一に分散した発泡体をうることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1分子中に少なくとも3個の水酸基を有
    する多価アルコール単位を、全ポリオール単位の総モル
    数100モルに対して0.01〜5モルの割合で含む芳
    香族コポリエステル系樹脂100重量部と、1分子中に
    酸無水物基、エポキシ基およびイソシアナート基のいず
    れかを2個以上有する化合物0.05〜5重量部とを含
    有する芳香族ポリエステル系樹脂組成物を溶融反応せし
    め、えられた溶融反応物を発泡剤と混練して低圧域に押
    し出すことを特徴とする芳香族ポリエステル系樹脂発泡
    体の製造法。
  2. 【請求項2】 1分子中に少なくとも3個の水酸基を有
    する多価アルコールがグリセリンである請求項1記載の
    芳香族ポリエステル系樹脂発泡体の製造法。
  3. 【請求項3】 1分子中に少なくとも3個の水酸基を有
    する多価アルコール単位を、全ポリオール単位の総モル
    数100モルに対して0.01〜5モルの割合で含む芳
    香族コポリエステル系樹脂が、線状の芳香族ポリエステ
    ル系樹脂を含有する樹脂である請求項1または2記載の
    芳香族コポリエステル系樹脂発泡体の製造法。
  4. 【請求項4】 1分子中に少なくとも3個の水酸基を有
    する多価アルコール単位を、全ポリオール単位の総モル
    数100モルに対して0.01〜5モルの割合で含む芳
    香族コポリエステル系樹脂100重量部と、1分子中に
    酸無水物基、エポキシ基およびイソシアナート基のいず
    れかを2個以上有する化合物0.05〜5重量部とを含
    有する芳香族ポリエステル系樹脂組成物からなる押出発
    泡体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9178268B2 (en) 2012-07-03 2015-11-03 Apple Inc. Antennas integrated with speakers and methods for suppressing cavity modes

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