JPH09321185A - 熱伝導性高分子シートの製法 - Google Patents

熱伝導性高分子シートの製法

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JPH09321185A
JPH09321185A JP13851596A JP13851596A JPH09321185A JP H09321185 A JPH09321185 A JP H09321185A JP 13851596 A JP13851596 A JP 13851596A JP 13851596 A JP13851596 A JP 13851596A JP H09321185 A JPH09321185 A JP H09321185A
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JP
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heat
thermally conductive
sheet
conductive polymer
polymer sheet
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JP13851596A
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Yuusuke Takiguchi
裕右 瀧口
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱伝導性に優れ、かつ絶縁性にも優れ、しかも
成形体の柔軟性および耐衝撃性を確保することのできる
熱伝導性高分子成形体を提供する。 【解決手段】熱伝導性充填剤粒子をセラミックス系材料
で表面被覆処理する工程と、上記表面被覆処理した熱伝
導性充填剤粒子2と高分子材料1とを主成分とする熱伝
導性高分子シート3形成材料を調製する工程と、上記熱
伝導性高分子シート3形成材料をシート状に流延し、そ
の厚み方向に15〜150V/mmの直流電圧を印加し
ながら固化させてシート状成形体を得る工程とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、エレクト
ロニクス機器に用いられるIC基板、トランジスタ等の
放熱のために用いられる、熱伝導性、絶縁性および柔軟
性に優れた熱伝導性高分子シートの製法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から、IC基板、トランジスタ等の
エレクトロニクス機器では、使用時の発熱によって、エ
レクトロニクス機器の部品の寿命が短くなることから、
部品と部品との間に熱伝導性に優れた放熱シート等を挟
んで放熱を促すことが行われている。そして、上記放熱
シート等を作製する方法としては、エラストマー、熱可
塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の高分子材料中に高熱伝導率
の熱伝導性フィラーや短繊維(BeO、BN、MgO、
Al2 3 、SiC、AlN、SiN等)を配合し混合
して得られる材料をシート状に成形することが行われて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記製
法によって得られる高分子シートは、高熱伝導率を得る
ためには熱伝導性フィラー等を多量に添加しなければな
らず、このような多量添加では、高分子材料本来の特性
である柔軟性および耐衝撃性等が大幅に低下してしまう
という問題がある。そこで、上記熱伝導性フィラー等よ
りも熱伝導性に優れた炭素系充填剤(カーボンブラッ
ク、グラファイト、炭素繊維、膨張黒鉛等)を用いるこ
とも考えられるが、これらの炭素系充填剤は熱伝導性だ
けでなく導電性も高いため、これらを含有させた高分子
シートは電気的特性(絶縁性)が低下することになり、
エレクトロニクス機器の放熱材料に用いることはできな
い。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、熱伝導性に優れ、かつ絶縁性にも優れ、しかも
シート状成形体の柔軟性および耐衝撃性を確保すること
のできる熱伝導性高分子シートの製法の提供をその目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の熱伝導性高分子シートの製法は、熱伝導性
充填剤粒子をセラミックス系材料で表面被覆処理する工
程と、上記表面被覆処理した熱伝導性充填剤粒子と高分
子材料とを主成分とする熱伝導性高分子シート形成材料
を調製する工程と、上記熱伝導性高分子シート形成材料
をシート状に流延し、その厚み方向に15〜150V/
mmの直流電圧を印加しながら固化させてシート状成形
体を得る工程とを備えるという構成をとる。
【0006】なお、本発明において、「セラミックス系
材料」とは、シリカ、アルミナ等のセラミックス材料だ
けでなく、金属アルコキシド、アルコキシド、各種金属
化合物およびその反応生成物を含む総称のことであり、
またその前駆体をも含む趣旨で用いている。
【0007】すなわち、この発明者は、熱伝導性に優
れ、かつ絶縁性にも優れ、しかもシート状成形体の柔軟
性および耐衝撃性を確保することのできる熱伝導性高分
子シートの製法について、一連の研究を重ねた。その結
果、熱伝導性充填剤粒子をセラミックス系材料で表面被
覆処理する工程と、上記表面被覆処理した熱伝導性充填
剤粒子と高分子材料成分とを主成分とする熱伝導性高分
子シート形成材料を調製する工程と、上記熱伝導性高分
子シート形成材料をシート状に流延し、その厚み方向に
15〜150V/mmの直流電圧を印加しながら固化さ
せてシート状成形体を得る工程とを備える製法を用いる
ことにより、所期の目的を達成できることを見いだし、
本発明に到達した。
【0008】なお、上記熱伝導性充填剤粒子の表面被覆
処理方法として、ゾル・ゲル法を用いることにより、さ
らに絶縁性を向上させた熱伝導性高分子シートを得るこ
とができる。
【0009】また、上記熱伝導性充填剤として、炭素系
充填剤を用いることにより、より熱伝導性に優れた熱伝
導性高分子シートを得ることができる。
【0010】さらに、上記高分子材料として、シリコー
ンゴムを用いることにより、絶縁破壊強度が高く、しか
も柔軟性および耐衝撃性に優れた熱伝導性高分子シート
を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて説明する。
【0012】本発明の熱伝導性高分子シートの製法に用
いる高分子材料としては、液状シリコーンゴム(2液型
または1液型)、液状ウレタン樹脂、液状エポキシ樹脂
(2液型)、液状フェノール樹脂、半液状エポキシ樹脂
等があげられる。また、樹脂または未加硫ゴムを溶剤に
溶解して液状にしたものを用いてもよい。ただし、上記
溶剤は、不燃性であることが好適である。そして、上記
高分子材料は、最終的に熱または放射線等で架橋される
ものが好ましい。また、これら高分子材料のなかでも、
絶縁破壊強度、柔軟性および耐衝撃性の点で、液状シリ
コーンゴムが好ましい。
【0013】また、上記高分子材料に含有させる熱伝導
性充填剤粒子としては、グラファイト(高純度黒鉛、膨
張黒鉛)や炭素繊維等の炭素系充填剤、窒化ホウ素(B
N)、窒化アルミニウム(AlN)、マイカ、酸化ベリ
リウム(BeO)、酸化アルミニウム(Al2 3 )、
酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸
化チタン(TiO2 )、シリカ(SiO2 )等の無機物
や金属酸化物等、ニッケル(Ni)等の金属材料等が用
いられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上
併用してもよい。なかでも、熱伝導性に優れ、かつ軽量
で柔らかいグラファイトが好適である。
【0014】また、このような熱伝導性充填剤粒子の粒
径は、製造時の取り扱い性をよくするため、例えば高純
度黒鉛(炭素含有量99%以上)の場合、6〜100μ
mが好ましく、より好ましくは10〜40μmである。
さらに、膨張黒鉛の場合、20〜600μmが好まし
く、より好ましくは、40〜400μmである。また炭
素繊維の場合は、アスペクト比(長さ/直径)が5〜5
0が好ましく、より好ましくは7〜30である。
【0015】さらに、上記熱伝導性充填剤粒子を表面被
覆処理するために用いられるセラミックス系材料として
は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラフェノキシシラン、トリメトキシ(メチル)シラ
ン、トリエトキシ(メチル)シラン、トリメトキシ(フ
ェニル)シラン、トリエトキシ(フェニル)シラン、ト
リエトキシ(ビニル)シラン、γ−クロロプロピルトリ
メトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、ジヒドロキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチ
ルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシ(メ
チル)シラン、ジエトキシ(メチル)シラン、ジエトキ
シ(メチル)ビニルシラン、ジメトキシジフェニルシラ
ン、ジエトキシジフェニルシラン、〔N−(β−アミノ
エチル)−γ−アミノプロピル〕(ジメトキシ)メチル
シラン、γ−グリシドキシプロピル(ジメトキシ)メチ
ルシラン、γ−メタクリルオキシプロピル(ジメトキ
シ)メチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキ
シトリメチルシラン、エトキシ(ジメチル)ビニルシラ
ン等のシリケートや、ナトリウムメトキシド、ナトリウ
ムエトキシド、ナトリウム−tert−ブチラート、カ
リウムメトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、
マグネシウムジエトキシド、アルミニウムトリエトキシ
ド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウム
トリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリ−sec−ブ
トキシド、アルミニウムトリ−tert−ブトキシド、
トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、テトラエチ
ルオルトチタナート、クロロトリイソプロピルオルトチ
タナート、テトラ−n−プロピルオルトチタナート、チ
タニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラ−
n−ブトキシド、ジブチルジメトキシすず、トリメトキ
シひ素、トリエトキシひ素、トリ−n−プロポキシひ
素、トリ−n−ブトキシひ素等のアルコキシド等や、三
フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、ブロモ(ジメチ
ルスルフィド)銅(I)、ヘキサクロロロジウム(III)
酸ナトリウム二水和物、テトラクロロパラジウム(II)
酸カリウム、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸ナトリウ
ム六水和物、ヘキサクロロイリジウム(III)酸ナトリ
ウム二水和物、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム、ヘ
キサフルオロリン酸カリウム、酢酸パラジウム(II)等
の錯体や金属化合物等があげられる。これらは、単独で
用いてもよいし、2種以上併用してもよい。なかでも、
高熱伝導性およびシリコーンゴムとの親和性の点から、
アルミニウムまたはシリコンのアルコキシドが好適であ
る。
【0016】本発明の熱伝導性高分子シートの製法は、
これらの材料を用い、例えばつぎのようにして作製する
ことができる。
【0017】すなわち、まず、熱伝導性充填剤粒子をセ
ラミックス系材料で表面被覆処理する。この表面被覆処
理方法として、ゾル・ゲル法、コンバージョン法、ハイ
ブリダイゼーション法が用いられる。なかでも、均一な
薄膜が簡単にできる点から、ゾル・ゲル法が好ましい。
【0018】上記ゾル・ゲル法とは、セラミックス系材
料をプロパノール、エタノール、メタノール等の溶媒で
希釈した溶液に水分を加え、セラミックス系材料(例え
ば、金属アルコキシド等)を加水分解して作った希薄ゾ
ルに上記熱伝導性充填剤粒子を加えるという方法であ
る。なお、熱伝導性充填剤粒子に対し、所定厚みの被覆
層が形成されるように、セラミックス系材料の配合量
は、上記熱伝導性充填剤1cm3 に対し、1×10-3
1×10-2molの範囲に設定されていることが好まし
い。そして、上記希薄ゲルに熱伝導性充填剤粒子を加え
ることにより熱伝導性充填剤粒子表面においてゾルの縮
重合を進行させ、乾燥し、加熱(焼成)して、酸・水酸
化物を固着させる。この反応は、下記の式(1)で示す
ことができる。そして、熱伝導性充填剤粒子の表面はこ
の反応で得られたセラミックス系材料(最終生成物およ
び前駆体)で表面被覆処理されている。なお、この際、
未反応の前駆体が残っていると、触媒としての酸等も残
っていることになり、この酸が成形時に発泡するおそれ
があるため、最終生成物のみで熱伝導性充填剤粒子の表
面が被覆されていることが好ましい。
【0019】
【化1】
【0020】ついで、上記表面被覆処理した熱伝導性充
填剤と高分子材料とを主成分とする熱伝導性高分子シー
ト形成材料を調製する。この調製方法としては、例え
ば、上記熱伝導性充填剤と高分子材料とを主成分とする
形成材料をミル等を用いて混合する方法等が用いられ
る。
【0021】つぎに、公知のシート製造機のシート成形
凹部枠内に上記熱伝導性高分子シート形成材料を流延し
て加熱硬化させる。この加熱時に、シート厚み方向の両
側から形成材料に直流電圧を印加する。このようにし
て、図1に示すように、高分子材料1からなるマトリッ
クス中に、表面被覆処理した熱伝導性充填剤粒子2が厚
み方向に一定に配向した熱伝導性高分子シート3を得る
ことができる。なお、この際、上記熱伝導性高分子シー
ト3のマトリックスは架橋されている。
【0022】このようにして得られた熱伝導性高分子シ
ートは、上記特殊な熱伝導性充填剤粒子が高分子マトリ
ックス中に厚み方向に一定に配向されているため、粒子
自体の熱伝導性と、セラミックス系材料の絶縁性がとも
に発揮される。したがって、絶縁性および熱伝導性の双
方に優れている。そして、高い熱伝導性を有する充填剤
材料を選択することができるため、熱伝導率の低い充填
剤を多量に用いなくともよく、マトリックスとなる高分
子材料の柔軟性および衝撃強度が損なわれることがない
という利点を有する熱伝導性高分子シートを得ることが
できる。
【0023】なお、上記製法において、印加する直流電
圧は、15〜150V/mmに設定しなければならな
い。より好ましくは、20〜100V/mmである。す
なわち、直流電圧が15V/mm未満では、熱伝導性充
填剤粒子が厚み方向に一定に配向されないからであり、
直流電圧が150V/mmを超えると、粒子が配向する
とともに過大な電流が流れ発泡して熱伝導性高分子シー
トが作製できなくなり、しかも発火するおそれがあるか
らである。
【0024】また、上記製法において、適当な熱伝導
性、絶縁性、柔軟性および耐衝撃性を維持するため、表
面被覆処理した熱伝導性充填剤粒子の体積分率〔表面被
覆処理した熱伝導性充填剤粒子の容量/(高分子材料の
容量+表面被覆処理した熱伝導性充填剤粒子の容量)〕
を、0.05〜0.25の範囲に設定することが好まし
い。より好ましくは、0.1〜0.2である。すなわ
ち、0.05未満であると、高熱伝導率を確保できなく
なるおそれがあり、0.25を超えると、成形品の絶縁
性を維持できないおそれがあるからである。
【0025】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0026】
【実施例1〜3】アルミニウムトリイソプロポキシド3
8gを80℃の2−プロパノール200gに溶解した
後、攪拌しながら69%硝酸1.7gと蒸留水6.7g
および2−プロパノール200gの混合物を滴下し、ア
ルミナゾルを調製した。そして、このアルミナゾルに高
純度黒鉛(日本黒鉛社製、J−SP、平均粒径10μ
m、炭素含量99.5%)100g(44.4cm3
を投入し室温で2時間攪拌してスラリー状混合物を得
た。このスラリー状混合物を150℃で5時間乾燥し、
一部固形化したものを粉砕して、さらに150℃×3時
間真空乾燥して、アルミナゲルで表面を被覆した高純度
黒鉛を得た。さらに、このアルミナゲルで表面を被覆し
た高純度黒鉛を昇温速度100℃/hで650℃まで昇
温し、その温度で2時間保持した後冷却して、アルミナ
で表面被覆処理した高純度黒鉛を得た。ついで、このア
ルミナで表面被覆処理した高純度黒鉛を液状シリコーン
ゴム(東芝シリコーン社製のTSE−3033AとTS
E−3033Bとを1:1で混合したもの)中に下記の
表1に示す体積分率となるよう混合し、100℃で加熱
(架橋)と同時に20V/mmの電界をシートの厚み方
向に印加して15分間保持し、アルミナで表面被覆処理
した高純度黒鉛が厚み方向に配向している熱伝導性高分
子シート(50×50×2mm)を作製した。
【0027】
【実施例4、5】実施例1と同様にして、アルミナゾル
を作製した。そして、このアルミナゾルに炭素繊維(ペ
トカ社製、10μm×70μm、アスペクト比:7)1
00g(48.5cm3 )を投入し室温で2時間攪拌し
てスラリー状混合物を得た。このスラリー状混合物を1
50℃で5時間乾燥し、一部固形化したものを粉砕し
て、さらに150℃で3時間真空乾燥して、アルミナゲ
ルで表面を被覆した炭素繊維を得た。さらに、このアル
ミナゲルで表面を被覆した炭素繊維を昇温速度100℃
/hで650℃まで昇温し、その温度で2時間保持して
冷却し、アルミナで表面被覆処理した炭素繊維を得た。
ついで、このアルミナで表面被覆処理した炭素繊維を液
状シリコーンゴム(東芝シリコーン社製のTSE−30
33AとTSE−3033Bとを1:1で混合したも
の)中に下記の表1に示す体積分率となるよう混合し、
100℃で加熱(架橋)と同時に100V/mmの電界
をシートの厚み方向に印加して15分間保持し、アルミ
ナで表面被覆処理した炭素繊維が厚み方向に配向してい
る熱伝導性高分子シート(50×50×2mm)を作製
した。
【0028】
【実施例6】印加電圧を15V/mmとしたこと以外
は、実施例1と同様にして、熱伝導性高分子シートを作
製した。
【0029】
【実施例7】印加電圧を150V/mmとしたこと以外
は、実施例1と同様にして、熱伝導性高分子シートを作
製した。
【0030】
【比較例1】印加電圧を10V/mmとしたこと以外
は、実施例1と同様にして、熱伝導性高分子シートを作
製した。
【0031】
【比較例2】印加電圧を160V/mmとしたこと以外
は、実施例1と同様にして、熱伝導性高分子シートの作
製を試みたが、スパークのため作製できなかった。
【0032】
【比較例3、4】表面被覆処理されていない高純度黒鉛
(日本黒鉛社製、J−SP、平均粒径10μm、炭素含
量99.5%)を液状のシリコーンゴム(東芝シリコー
ン社製のTSE−3033AとTSE−3033Bとを
1:1で混合したもの)中に下記の表3に示す体積分率
となるよう配合した以外は、実施例1と同様にして、熱
伝導性高分子シートの作製を試みたが、スパークのため
作製できなかった。
【0033】
【比較例5、6】表面被覆処理されていない炭素繊維
(ペトカ社製、10μm×70μm、アスペクト比:
7)を液状のシリコーンゴム(東芝シリコーン社製のT
SE−3033AとTSE−3033Bとを1:1で混
合したもの)中に下記の表3に示す体積分率となるよう
配合した以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性高分
子シートの作製を試みたが、スパークのため作製できな
かった。
【0034】
【比較例7】表面被覆処理されていないアルミナ(昭和
電工社製、AS−30)を液状のシリコーンゴム(東芝
シリコーン社製のTSE−3033AとTSE−303
3Bとを1:1で混合したもの)中に体積分率0.20
となるよう配合した以外は、実施例1と同様にして、熱
伝導性高分子シートを得た。
【0035】
【比較例8、9】印加電圧を0V/mmとしたこと以外
は、比較例3および比較例4と同様にして、熱伝導性高
分子シートを得た。
【0036】
【比較例10、11】印加電圧を0V/mmとしたこと
以外は、比較例5および比較例6と同様にして、熱伝導
性高分子シートを得た。
【0037】上記実施例1品〜7品および比較例1品〜
11品の熱伝導性高分子シートの熱伝導率、電気伝導度
を測定し、その結果を下記の表1〜表4に示した。な
お、各測定方法は以下の通りである。
【0038】〔熱伝導率〕定常法(ガーデッドホットプ
レート法)により、測定温度60℃で測定した。
【0039】〔電気伝導度〕KEITHLEY237を
用い、体積方向に電圧(0.1〜100V)を印加し、
そのときの電流値から計算して求めた。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】上記結果から、実施例1品〜7品は全て、
熱伝導性に優れかつ絶縁性にも優れている。しかも、熱
伝導性充填剤粒子の配合量が比較的少ないため、熱伝導
性高分子成形体の柔軟性および耐衝撃性も損なわれてい
ない。これに対して、表面処理されていない熱伝導性充
填剤粒子(高純度黒鉛)を用いた比較例3品、4品およ
び表面被覆処理されていない熱伝導性充填剤粒子(炭素
繊維)を用いた比較例5品、6品は、印加電圧(20V
/mm)をかけると、スパークしてしまい熱伝導性高分
子シートを得ることができなかった。そこで、印加電圧
をかけないで得た熱伝導性高分子シート(比較例8品〜
11品)では、熱伝導性および電気伝導度の少なくとも
一方が劣っていた。また、比較例7品は、表面被覆処理
に用いるセラミックス系材料そのもの(アルミナ)を熱
伝導性充填剤粒子として用いているが、充分な熱伝導性
が得られていない。そして、実施例6品、7品および比
較例1品、2品より、高分子マトリックス中で熱伝導性
充填剤粒子が厚み方向に一定に配向したものを得るに
は、印加電圧を15〜150V/mmの範囲に設定しな
ければならないことがわかる。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明の熱伝導性高分子
シートの製法は、セラミックス系材料で表面被覆処理し
た熱伝導性充填剤粒子を高分子材料中に配合して熱伝導
性高分子シート形成材料を調製し、この熱伝導性高分子
シート形成材料をシート状に流延し、その厚み方向に特
定の範囲内で直流電圧を印加してシート状成形体を得る
ようにしたものである。この製法によれば、表面被覆処
理した熱伝導性充填剤粒子が、厚み方向に一定に配合し
た状態で高分子マトリックス中に含有されているため、
熱伝導性充填剤粒子の優れた熱伝導性と、セラミックス
系材料の絶縁性とがともに効果的に発揮される。そし
て、高い熱伝導性を有する充填剤材料を選択できるた
め、所定の熱伝導性を得るために低熱伝導性充填剤を多
量に用いなくともよいので、高分子材料の本来の特性で
ある柔軟性および耐衝撃性が損なわれることがない。
【0046】特に、本発明の熱伝導性高分子シートにお
いて、熱伝導性充填剤粒子をゾル・ゲル法によって表面
被覆処理することにより、熱伝導性充填剤粒子表面上に
均一な薄膜を容易に作製することができ、しかもより絶
縁性に優れた熱伝導性高分子成形体を得ることができ
る。
【0047】また、上記熱伝導性充填剤として、炭素系
充填剤を用いることにより、より熱伝導性に優れた熱伝
導性高分子シートを得ることができる。
【0048】さらに、上記高分子材料として、シリコー
ンゴムを用いることにより、しかも柔軟性および耐衝撃
性に優れた熱伝導性高分子シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱伝導性高分子シートにおける熱伝導
性充填剤の配向状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 高分子材料 2 表面被覆処理した熱伝導性充填剤粒子 3 熱伝導性高分子シート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱伝導性充填剤粒子をセラミックス系材
    料で表面被覆処理する工程と、上記表面被覆処理した熱
    伝導性充填剤粒子と高分子材料とを主成分とする熱伝導
    性高分子シート形成材料を調製する工程と、上記熱伝導
    性高分子シート形成材料をシート状に流延し、その厚み
    方向に15〜150V/mmの直流電圧を印加しながら
    固化させてシート状成形体を得る工程とを備えることを
    特徴とする熱伝導性高分子シートの製法。
  2. 【請求項2】 上記表面被覆処理する方法がゾル・ゲル
    法である請求項1記載の熱伝導性高分子シートの製法。
  3. 【請求項3】 上記熱伝導性充填剤が炭素系充填剤であ
    る請求項1または2記載の熱伝導性高分子シートの製
    法。
  4. 【請求項4】 上記高分子材料がシリコーンゴムである
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導性高分子シ
    ートの製法。
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