JPH09320592A - リチウムイオン二次電池用負極材及びその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材及びその製造方法

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JPH09320592A
JPH09320592A JP8157418A JP15741896A JPH09320592A JP H09320592 A JPH09320592 A JP H09320592A JP 8157418 A JP8157418 A JP 8157418A JP 15741896 A JP15741896 A JP 15741896A JP H09320592 A JPH09320592 A JP H09320592A
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carbon
graphite
negative electrode
lithium
discharge
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JP8157418A
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Hiroshi Ejiri
宏 江尻
Norimune Yamazaki
典宗 山崎
Hideyuki Nakajima
秀行 中嶋
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PETOCA KK
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 塩化水素ガスを含有する不活性雰囲
気下、400〜1300℃で熱処理された炭素材又は黒
鉛材を使用するリチウムイオン2次電池用負極材。
炭素材又は黒鉛材が粉砕処理されたものであり、粉砕処
理後に塩化水素ガス含有不活性雰囲気下、400〜13
00℃で熱処理されていること。 不活性雰囲気がア
ルゴンガスであること。 【効果】 炭素材又は黒鉛材の内部或いは表面に存在す
るラジカルや含酸素官能基を、塩化水素ガスによる熱処
理により減少させて、従来の負極材の初回の充放電効
率、放電容量及びサイクル特性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の表面処理し
た炭素材又は黒鉛材を使用するリチウムイオン2次電池
用負極材に関する。詳細には、本発明は、塩化水素ガス
で表面処理された炭素材又は黒鉛材をリチウムイオン2
次電池用負極材として使用することで、充放電容量及び
充放電サイクル特性をより向上させることを目的とする
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、アルカリ金属、例えばリチウム
を負極活物質として用いた二次電池は、高エネルギー密
度及び高起電力である他、非水電解液を用いるために作
動温度範囲が広く、長期保存に優れ、さらに軽量小型で
ある等の多くの利点を有している。従って、このような
非水電解液リチウムイオン二次電池は、携帯用電子機器
電源をはじめとして、電気自動車、電力貯蔵用などの高
性能電池としての実用化が期待されている。
【0003】また、リチウムイオン二次電池用負極材と
して、炭素材或いは黒鉛材を利用することが検討されて
いる。この炭素材として、石炭、コークス、PAN系炭
素繊維、ピッチ系炭素繊維等が検討されている。ところ
が、これら炭素材の電極特性において、熱処理温度にも
よるが、初回の電池反応におけるリチウムイオンの充電
容量はかなり大きい容量をもつが放電容量は小さく、充
放電効率が低く、また、そのサイクル特性も悪く、10
回目も充放電を繰り返すと、その放電容量も数十mAh
/g程度に劣化してしまう問題があった。
【0004】また、天然黒鉛、人造黒鉛、合成黒鉛等の
黒鉛材料は、結晶構造上、黒鉛層面がかなり発達してお
り、黒鉛化度が高く、単位重量あたりの充放電可能容量
は相当に大きいが、無理なく取り出せる電流密度が小さ
く、また高電流密度での充放電を行うと、充放電効率が
低下するという問題があった。上記問題点を踏まえ、炭
素材及び黒鉛材に対し種々の改質処理が提案されてい
る。
【0005】例えば、特開平6ー20690公報には、
炭素質材料(グラファイト類も含む)の表面を表面酸化
法(薬液酸化、電解酸化及び気相酸化)によって非晶化
し、陽イオンのドープ、脱ドープ性能が大きく向上する
ことが指摘されているが、表面酸化処理されたコークス
粉末及びPAN系炭素繊維の放電容量は210〜280
mAh/gと低く、不十分なものだった。また、特開平
7ー105978公報では、メソフェーズカーボンをL
iAlH4 とジエチルエーテルとの溶液中に含浸する還
元処理を行って、メソフェーズカーボン表面に存在する
酸素を有する種々の官能基を還元除去し、良好な充放電
寿命を実現できることが指摘されているが放電容量の向
上が見られず、不十分であった。
【0006】また、特開平7ー57724公報には、気
相成長炭素繊維を高温水蒸気処理によって酸化し、繊維
表面に平均孔径が0.01〜2.5μmの孔を開けたも
のが放電容量を向上できることが指摘されているが、初
期放電容量が250mAh/g程度で低く、不十分であ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、炭素系材料
及び黒鉛系材料を用いた負極材の上記のようなそれぞれ
の課題を、解決することを目的とする。通常、リチウム
イオン二次電池負極材に要求される特性としては、 1)充放電容量が大きいこと、 2)負極材の内部或いは表面でリチウムイオンが不活性
化する量が少ないこと(不可逆容量が少ないこと)、 3)電解液を分解させないこと、 4)サイクル特性として、負極材自身の構造を破壊させ
ないこと、等を挙げることができる。
【0008】なお、炭素系及び黒鉛系の材料は、いわゆ
る無定形炭素、規則的構造を有する黒鉛、及びダイヤモ
ンド等と種々の構造をとり、更に無定形炭素から完全な
黒鉛結晶までの間には色々な中間的構造が存在し、極め
て複雑であり、構造自体完全には明らかにされていな
い。一般に、炭素系材料と呼ぶものは、構造上、無定形
炭素から完全な黒鉛結晶までの中間にあるものを言い、
多結晶体であることを意味している。これら炭素系材料
の構造は炭素前駆体の種類或いは処理方法等によって様
々に異なると言える。そして、リチウムイオンの充放電
機構もまた炭素材の種類によって様々と言える。
【0009】また、炭素系材料は、高温で熱処理(黒鉛
化)するとその構造は変化し、黒鉛構造に近づく。完全
な黒鉛結晶におけるリチウムイオンの充放電機構は、炭
素原子の六角網平面積層面の間に入り込んだり出たりす
る、いわゆるリチウムイオンの黒鉛層間(層間距離0.
3354nm)へのインターカレーション、デインター
カレーションという機構で説明され、その理論容量は、
常温、常圧でLiがインターカレートされ安定化するC
6 Liの状態の時の電気容量であって、372mAh/
gとなる。
【0010】また、黒鉛材は放電容量が大きく、且つL
iの不可逆容量も少ないためサイクル特性が良いが、電
解液を分解させるだけでなく、Liイオンの充放電の繰
り返しによって黒鉛層間は膨張・収縮を繰り返すことに
なり、構造破壊をきたすことが報告されている。また、
黒鉛材へのLiイオンのインターカレーションの機構に
ついてであるが、まず、溶媒和したLiイオンは黒鉛層
面末端のエッジ部から出入りし、Liイオンが層間に侵
入すると層間は0.37nmまで広げられると報告され
ている。
【0011】六角網平面間の距離が0.3354nmと
するとLiイオンが層間へインターカレーションするに
は黒鉛層間末端のエッジ部は拡散しやすいように広げら
れねばならない。この時Liイオンは拡散が阻害されて
表面で電解液とともに滞留する。その結果、黒鉛層面末
端に存在する炭素原子の不対電子や含酸素官能基と反応
しLi炭化物、Li水酸化物あるいは酸化物となった
り、電解液の分解が生じるものと考えられる。この現象
は粉砕によって黒鉛材の粒径が小さくなればなるほど黒
鉛層間末端のエッジ部が多くなるため電解液の分解が促
進される。初回の充放電効率は黒鉛材の粒径が小さくな
ればなるほど低下する。初回の充放電効率を低下させな
い為には黒鉛層面末端に存在する炭素原子の不対電子や
含酸素官能基を極力取り除く必要がある。
【0012】本発明者らは黒鉛層面末端に存在する欠陥
部の炭素ラジカルや含酸素官能基を除去することによっ
て初回の充放電効率やサイクル特性を著しく向上させる
ことを見出した。一方、黒鉛層構造が未発達の炭素材の
場合は、リチウムイオンの充電において広い層間スペー
スにリチウムイオンがクラスター(凝集状態)で存在す
ると言われている。また、炭素材料は層間が広いためL
iイオンの拡散速度が早く、電解液を分解させず、構造
破壊もきたさないが、初回の充放電効率が低く(Liの
不可逆容量が大きい)、サイクル特性が低下する欠点が
あった。
【0013】この原因については炭素材料自身の構造と
密接に関連している。つまり、炭素材料は結晶構造が未
発達のため、その内部や表面において構造の欠陥部が黒
鉛材料より多く存在しているのみならず、表面では炭素
原子が空気や水分によって酸化を受け、より多くの含酸
素官能基(水酸基、カルボキシル基等)が存在してい
る。また、含酸素官能基が多いと空気中の水分を吸着し
易い。そのため、Liイオンのインターカレーション、
デインターカレーションの際に、その構造欠陥部の炭素
ラジカルにトラップされたり、含酸素官能基や水分と反
応して水酸化リチウムや炭酸リチウム等の無機物を生成
したりして安定化する現象が生じ、これが初回の充放電
効率やサイクル特性の低下を引き起こしているものと考
えた。
【0014】そして、本発明者らはこの考えに基き、内
部或いは表面に存在する欠陥部のラジカル濃度を減少さ
せつつ、主に表面に存在する含酸素官能基を除去するこ
とによって、Liの不可逆容量を少なくし、初回の充放
電効率やサイクル特性を著しく向上させることを見出し
た。また、炭素材の場合は層間が比較的広いため、粒径
が小さければ小さいほどLiイオンの出入りする層間が
多くなり、初回の充放電効率やサイクル特性が向上す
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
種々検討し、炭素材又は黒鉛材の内部或いは表面に存在
するラジカルや含酸素官能基を、塩化水素ガスによる熱
処理により減少させることで、従来の負極材の初回の充
放電効率、放電容量及びサイクル特性を向上させること
を見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明
による負極材は; 塩化水素ガスを含有する不活性雰囲気下、400℃
以上1300℃以下の温度で熱処理された炭素材又は黒
鉛材を使用することを特徴とするリチウムイオン2次電
池用負極材を提供する。また、 炭素材又は黒鉛材が粉砕処理されたものであり、且
つ粉砕処理後に塩化水素ガスを含有する不活性雰囲気
下、400℃以上1300℃以下の温度で熱処理されて
いることにも特徴を有する。また 不活性雰囲気がアルゴンガス雰囲気であることにも
特徴を有する。
【0016】以下、本発明を具体的に説明する。 (I)炭素材及び黒鉛材 まず、本発明に供される炭素材及び黒鉛材は、種々の有
機化合物の熱分解、又は熱処理(炭化・黒鉛化)によっ
て得られるものであり、一般的にいわれている易黒鉛化
材料及び難黒鉛化材料の両方を含み特に限定されるもの
ではなく、また、通常の天然黒鉛、人造黒鉛、コーク
ス、メソカーボンマイクロビーズ等も含まれる。また、
その形状としては、燐片状・針状・球状等の粉体状、円
柱状等の繊維状、炭素繊維のフェルト状や織物状或いは
それらの混合系等、特に制限されるものではないが、電
極シートの構成上粉体状であることが好ましい。
【0017】また、その粉体の粒径としては電極シート
の厚みむらが出ない程度に微小に粉砕されていれば、特
に限定はない。また、粒度を均一にするために、塊状あ
るいは繊維状の炭素材及び黒鉛材をビクトリーミル、ジ
ェットミル、クロスフローミル等で粉砕したり、サイク
ロン等分級機等で粒度をコントロールすることは有効で
ある。
【0018】(II)改質処理 このような炭素材及び黒鉛材において、その内部や表面
には多くの構造欠陥部が存在している。この構造欠陥部
に存在する活性な炭素原子(ラジカル)は空気や水分に
よって酸化され、水酸基やカルボキシル基等含酸素官能
基として存在する場合が多い。このような炭素材又は黒
鉛材をリチウムイオン2次電池用負極材に用いると、活
性な炭素原子とリチウムイオンが反応したり、含酸素官
能基と反応し水酸化リチウムや炭酸リチウム等の無機物
を生成したりして、Liの不可逆容量を増加させる。
【0019】また、吸着水分についても水酸化リチウム
を生成し、同様にLiの不可逆容量を増加させ、その結
果、初回の充放電効率を低下させたり、サイクル特性を
低下させるのである。従って、これらの構造欠陥部及び
含酸素官能基を極力減少させる必要がある。本発明者ら
は、これらの減少方法を、種々研究した結果、塩化水素
を含有する不活性雰囲気中で処理することが有効である
ことを見いだし本発明を完成するに至った。
【0020】塩化水素は、炭素表面或いは表層部に存在
する炭素ラジカルに対し、縮重合・環化反応を促進させ
る効果があり、かつ含酸素官能基に対して、脱離させ、
炭素ラジカルを発生させると共に同様に縮重合・環化を
促進させる効果があり、このため充放電に際し、その不
可逆容量の原因とされる炭素ラジカル及び含酸素官能基
等を減少させることができると考えられる。この結果、
初回の充放電効率、放電容量及びサイクル特性が著しく
向上すると考えられる。
【0021】また、本処理により、炭素ラジカルの生成
及び再結合の過程で、炭素以外の不純物元素、例えばF
e、Ni等金属元素や窒素、イオウ等ヘテロ元素等を効
率的に除去することができ、炭素材の純度が向上すると
いう副次的効果も得られる利点があり、これらの総合に
より初回の充放電効率及びサイクル特性が著しく向上す
るものと考えられる。本発明における塩化水素ガスを含
有する不活性雰囲気での熱処理温度は400℃以上13
00℃以下の温度であることを要する。
【0022】400℃未満の熱処理温度では、炭素ラジ
カルや含酸素官能基を減少させるのに長時間を要し、1
300℃を越える熱処理では処理の効果み殆ど差はな
く、また炭素材においては表層部の結晶構造が発達し、
リチウムの受入量が少なくなる等性状が大幅に変化する
恐れがあり好ましくない。また、本発明において、40
0℃以上950℃以下の比較的低温で炭化された炭素材
が、950℃以上で炭化されたものよりこの改質の効果
が大きい値を示し好ましい。
【0023】これは、950℃を越える温度で炭化され
た炭素材はLiイオンのインターカレーション、デイン
ターカレーションの機構がクラスター的なものからより
黒鉛的な機構に変化する途中にあるためと考えられる。
このような炭化温度の炭素材の結晶構造は、粉末X線回
折法で測定される層間距離d002 が0.35nm以上、
Lcが5nm以下となっている。
【0024】なお、400℃以上950℃の比較的低温
で炭化された炭素材の塩化水素ガスの熱処理温度は、上
記理由もあり400℃以上1000℃以下とすることが
より好ましい。また、黒鉛材料は黒鉛層面末端の炭素原
子が多く存在する材料のほうが、改質の効果が大きく、
このため下記のように粉砕処理後の黒鉛材料に適用する
ことが効果の面で特に適している。
【0025】黒鉛層面末端の炭素原子が多く存在する黒
鉛粒子表面では、構造欠陥部が多く存在し、空気や水分
によって酸化され、水酸基やカルボキシル基のような含
酸素官能基となっている可能性がある。これらの部分で
はLiイオンが反応した場合、Li炭化物、Li水酸化
物あるいはLi酸化物となって不可逆成分となって、初
回の充放電効率を低下させる原因になるためと考えら
れ、これらの部分についても同様に、不活性化あるいは
除去する必要があると考えられる。
【0026】なお、本発明の黒鉛材としては、粉末X線
回折法で測定される層間距離d002が0.344nm以
下、Lcが3mm以上の結晶構造のものが、電池の性能
面で優れており好ましい。また、黒鉛材は、適度に微粉
化された粉体状のほうが電池の性能面で好ましく、この
ため粉砕処理及び粒径の調整が要求される。粉砕処理さ
れた後の黒鉛材は破断面を持ち、構造欠陥(炭素ラジカ
ル)や含酸素官能基が多くなり、表面がより活性となる
ため、本発明の処理の効果が大きくなると考えられる。
炭素材及び黒鉛材の塩化水素ガスの処理における塩化水
素の含有量については特に限定されるものでないが、処
理の効率性、装置への腐食性、排ガス処理及び経済性の
観点から、10vol %以下、好ましくは0.5vol %以
上10vol %以下、より好ましくは1vol %以上5vol
%以下である。
【0027】また、塩化水素ガスを含有する雰囲気とし
ては、爆発性を有する塩化窒素等を生成しない不活性雰
囲気であれば良く、特に希ガス、中でもアルゴンガス雰
囲気が好ましい。本発明の表面改質された炭素材及び黒
鉛材は、それぞれ単独でLiイオン2次電池用負極材と
して使用でき、処理前のものに比べ、初回の充放電効
率、放電容量及びサイクル特性が著しく向上する効果が
あるが、例えば、炭素材に導電性の付与の観点から黒鉛
材を混合する等、他の材料と混合使用することや、表面
改質された炭素材及び黒鉛材を混合して使用することも
できる。
【0028】(III)負極の構成:本発明により得ら
れた炭素材及び黒鉛材は、通常の手法により負極とする
ことが出来る。すなわち、ポリエチレンやポリテトラフ
ルオロエチレン等のバインダーを添加し、有機溶媒ある
いは水溶媒を用いスラリー状とし、厚さ10〜50μm
の銅、ニッケル等からなる金属箔上の片面または両面に
塗布し、これを圧延、乾燥を行い、厚さ50〜200μ
m程度のシート状物とする方法が広く用いられている。
その後、所定の幅・長さにスリットし、正極及びセパレ
ーターと共に巻取り製缶する方法が一般的である。
【0029】(IV)電池:本発明による炭素材及び黒
鉛材を負極に用い、リチウムイオン二次電池を作製する
場合には、電解液としてはリチウム塩を溶解し得るもの
であればよいが、特に非プロトン性の誘電率が大きい有
機溶媒が好ましい。このようにして作られた負極は、単
位体積当たりの充放電容量が大きく、電池の小型化に好
適である。
【0030】また、上記有機溶媒としては、例えば、プ
ロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、テトラ
ヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキ
ソラン、4−メチル−ジオキソラン、アセトニトリル、
ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジ
エチルカーボネート等を挙げることができる。これらの
溶媒を単独あるいは適宜混合して用いることが可能であ
る。電解質としては、安定なアニオンを生成するリチウ
ム塩、例えば、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウ
ム、六塩化アンチモン酸リチウム、六フッ化アンチモン
酸リチウム(LiPF6 )等が好適である。
【0031】また、リチウムイオン二次電池の正極とし
ては、例えば、酸化クロム、酸化チタン、酸化コバル
ト、五酸化バナジウム等の金属酸化物や、リチウムマン
ガン酸化物(LiMn2 4 )、リチウムコバルト酸化
物(LiCoO2 )、リチウムニッケル酸化物(LiN
iO2 )等のリチウム金属酸化物;硫化チタン、硫化モ
リブデン等の遷移金属のカルコゲン化合物;及びポリア
セチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール等の導電
性を有する共役系高分子物質等を用いることが出来る。
【0032】これらの正極と負極との間に合成繊維製又
はガラス繊維製の不織布、織布やポリオレフィン系多孔
質膜、ポリテトラフルオロエチレンの不織布等のセパレ
ータを設ける。本発明の二次電池は、前記セパレータ、
集電体、ガスケット、封口板、ケース等の電池構成要素
と本発明の特定の負極を用い、常法に従って円筒型、角
型或いはボタン型等の形態のリチウムイオン二次電池に
組立てることができる。
【0033】
【実施例】本発明を以下の実施例により更に具体的に説
明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではな
い。 (実施例1)メソフェーズピッチを出発原料とし、公知
の方法により溶融紡糸、不融化及び炭化(650℃)さ
れた、目付400g/m2 の炭素繊維フェルトをクロス
フローミルで粉砕し、平均粒径5.8μmの炭素質繊維
ミルドを得た。該炭素質繊維ミルドの一部を、アルゴン
雰囲気下、600℃まで3℃/minの速度で昇温し、ア
ルゴンガスのみから塩化水素ガスを2vol%含有する
アルゴンガスに切り替え、更に600℃で2時間保持
し、またアルゴンガスのみに切り替え、常温まで冷却し
た。
【0034】このようにして得られた表面改質炭素質繊
維ミルドに対してポリテトラフルオロエチレンを3wt
%添加混練しペレットを作製し負極とした後、それぞれ
3極セルで充放電試験を行った。試験は、陽極に金属リ
チウムを用い、エチレンカーボネート(EC)/ジメチ
ルカーボネート(DMC)を容量比で1/1に調整した
混合炭酸エステル溶媒に、電解質として過塩素酸リチウ
ム(LiClO4 )を1モルの濃度で溶解させた電解液
中で実施し、充放電容量特性を測定した。充放電容量特
性の測定は、100mA/gの定電流で行い、放電容量
は電池電圧が2Vに低下するまでの容量とし、10回繰
返し測定とした。電極特性の結果を表1に示す。
【0035】(比較例1)実施例1で得られた平均粒径
5.8μmの未処理の炭素質繊維ミルドとそれを窒素雰
囲気中、同様の条件で昇温し、更に600℃で2hr保
持して得た再炭化炭素質繊維ミルドを得た。実施例1と
同様にして負極材を作製し、3極セルで充放電試験を行
った。電極特性の結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】(実施例2・比較例2)ロンザ社製人造黒
鉛粉末(商品名SFG15)をサイクロンよって分級処
理して得られた黒鉛粉末(平均粒径8.7μ)を4vo
l%塩化水素含有のアルゴン雰囲気下で、実施例1と同
様の焼成条件で表面処理を行った。この黒鉛粉末を実施
例1と同様にして負極材を作製し、3極セルで充放電試
験を行った。また、比較例として未処理の黒鉛粉末につ
いて同様に充放電試験を行った。 それぞれの電極特性
の結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】(実施例3、比較例3)フルフリルアルコ
ールをビーカーからの塩酸蒸気中にて、常温で一昼夜ド
ラフト内に放置し、硬化させた。その後、空気中にて1
50℃、3hr後硬化を行い、更に、窒素雰囲気中にて
500℃、5hr保持し、炭化物を得、これを粉砕し平
均粒径22μmの炭素材粒子を得た。更にこの粉砕物を
6vol%の塩化水素を含有するアルゴン雰囲気中、1
000℃、6hrの改質処理を行った。この改質処理を
施した炭化物に対し実施例1と同様にして負極材を作製
し、充放電試験を行った。また、比較例として上記粉砕
物に対し、窒素雰囲気中、1000℃6hrの炭化処理
を施し、同様にして負極材を作製し、3極セルで充放電
試験を行った。 それぞれの電極特性の測定結果を表3
に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】以上の通り、本発明は、炭素材又は黒鉛
材の内部或いは表面に存在するラジカルや含酸素官能基
を、塩化水素ガスによる熱処理により減少させること
で、従来の負極材の初回の充放電効率、放電容量及びサ
イクル特性を向上させることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化水素ガスを含有する不活性雰囲気
    下、400℃以上1300℃以下の温度で熱処理された
    炭素材又は黒鉛材を使用することを特徴とする、リチウ
    ムイオン2次電池用負極材。
  2. 【請求項2】 炭素材又は黒鉛材が粉砕処理されたもの
    であり、且つ粉砕処理後に塩化水素ガスを含有する不活
    性雰囲気下、400℃以上1300℃以下の温度で熱処
    理されていることを特徴とする、請求項1記載のリチウ
    ムイオン2次電池用負極材。
  3. 【請求項3】 不活性雰囲気がアルゴンガス雰囲気であ
    ることを特徴とする、請求項1又は2記載のリチウムイ
    オン2次電池用負極材。
JP8157418A 1996-05-30 1996-05-30 リチウムイオン二次電池用負極材及びその製造方法 Pending JPH09320592A (ja)

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