JPH09147860A - リチウムイオン二次電池用負極材 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材

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JPH09147860A
JPH09147860A JP7327921A JP32792195A JPH09147860A JP H09147860 A JPH09147860 A JP H09147860A JP 7327921 A JP7327921 A JP 7327921A JP 32792195 A JP32792195 A JP 32792195A JP H09147860 A JPH09147860 A JP H09147860A
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 2,400℃以上の焼成によるピッ
チ系黒鉛質繊維ミルド(A)と550℃以上1,300
℃以下の焼成によるピッチ系炭素質繊維ミルド(B)の
両方を含み、且つ(A)、(B)の平均粒径=10μm
以上30μm以下、及び粒径5μm以下の繊維ミルドの
存在量が全繊維ミルドの10wt%以下のリチウムイオ
ン二次電池用負極材。 (A)/(B)混合割合=9
5/5以下40/60以上。 (A)が550℃以上
1,300℃以下の焼成によるピッチ系炭素質繊維ミル
ド(B)を更に2,400℃以上で黒鉛化したもの。
(A)が550℃以上1,300℃以下の焼成による
ピッチ系炭素質繊維ミルド(B)を更に2,400℃以
上で黒鉛化したものである方法。 (B)がメソフェ
ーズピッチを出発原料とする方法。 【効果】 易黒鉛化質のピッチ系炭素質繊維ミルドとピ
ッチ系黒鉛質繊維ミルドを混合することにより、安定化
時の容量が大きく、初期の充放電効率が高く、充放電サ
イクル特性に優れた負極材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素質繊維ミルド
及び黒鉛質繊維ミルドを主成分とするリチウムイオン二
次電池用負極材及びその製造方法に関する。更に、本発
明は、熱処理(炭化・黒鉛化)温度の異なる2種以上の
易黒鉛性ピッチ系繊維ミルド、特に2,400℃以上で
黒鉛化されたピッチ系黒鉛質繊維ミルド(A)と、55
0℃以上1,300℃以下で炭化されたピッチ系炭素質
繊維ミルド(B)とを主体とするリチウムイオン二次電
池用負極材に関する。更には、本発明は、ピッチ系黒鉛
質繊維ミルド(A)及びピッチ系炭素質繊維ミルド
(B)を単独で用いた場合よりも、安定化時の充放電容
量が大きく、高エネルギー密度を有し、且つ充放電サイ
クル特性に優れているリチウムイオン二次電池用負極材
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アルカリ金属、例えばリチウム
を負極活物質として用いた二次電池は、高エネルギー密
度及び高起電力である他、非水電解液を用いるために作
動温度範囲が広く、長期保存に優れ、さらに軽量小型で
ある等の多くの利点を有している。従って、このような
非水電解液リチウムイオン二次電池は、携帯用電子機器
電源をはじめとして、電気自動車、電力貯蔵用などの高
性能電池としての実用化が期待されている。
【0003】しかし、現状の試作電池は、リチウムイオ
ン二次電池が期待されている上記特性を充分に実現して
おらず、充放電容量、サイクル寿命、エネルギー密度な
どにおいて不十分であった。その理由の一つは、二次電
池に用いられる負極にあった。例えば、リチウムイオン
二次電池に金属リチウムからなる負極を用いた場合で
は、充電時に負極表面に析出するリチウムが針状のデン
ドライトを形成し、正・負極間の短絡を起こし易くなる
ため、サイクル寿命が短く、安全性が低かった。
【0004】また、リチウムは反応性が非常に高く、負
極表面付近での電解液の分解反応を起こさせるため、こ
の分解反応によって負極表面が変成され、反復使用によ
る電池容量の低下が発生する恐れがあった。従来より、
このようなリチウムイオン二次電池における問題点を解
決するために、種々の負極材の検討がなされている。例
えば、リチウムイオン二次電池用負極材として、リチウ
ムを含む合金、例えばリチウム−アルミニウム、ウッド
合金等を用いることが検討されている。しかし、このよ
うなリチウム合金製の負極では、作動温度及び充放電条
件の違いによって結晶構造が変化するなどの問題があっ
た。
【0005】また、リチウムイオン二次電池用負極材と
して、炭素材或いは黒鉛材を利用することが検討されて
いる。例えば、充電時に生成するリチウムイオンを、炭
素材或いは黒鉛材の中の黒鉛層間に取り込み(インター
カレーション)、いわゆる層間化合物を形成することに
より、デンドライトの生成を阻止しようとする試みがな
されている。この炭素材としては、石炭、コークス、P
AN系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等が検討され
ている。ところが、これら炭素材は黒鉛結晶子の大きさ
が小さく結晶の配列も乱れているため、充放電容量が不
十分であり、充放電時の電流密度を高く設定すると電解
液の分解を生じ、サイクル寿命が低下するなど多くの課
題を有していた。
【0006】また、現在、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒
鉛材料がリチウムイオン二次電池負極材として最も注目
され、検討されている。天然黒鉛にあっては、黒鉛化度
が高い場合に、単位重量あたりの充放電可能容量は相当
に大きいが、無理なく取り出せる電流密度が小さく、ま
た高電流密度での充放電を行うと、充放電効率が低下す
るという問題があった。これらのリチウム系二次電池用
負極材として用いる黒鉛系材料には、天然黒鉛、人造黒
鉛、合成黒鉛等が知られている。また、炭素系負極材
は、リチウムの受放電容量には優れるが、初期充放電効
率が低く、またサイクル特性に劣り、一方、黒鉛系負極
材は、容量が低いこと、充放電速度が小さいことが問題
点としてあり、それらを補完する目的で、炭素系材料と
黒鉛系材料を混合使用することが研究されている。
【0007】例えば、特開平6−111818号公報に
は、球状の黒鉛粒子と黒鉛化炭素短繊維(気相成長炭素
繊維を黒鉛化したもの)とを適当量混合することで電極
シートの導電性が向上し高容量が発現でき、また、電極
強度も向上し、炭素材の脱落や集電基体からの脱落など
が防止でき、サイクル寿命が延長できることが開示され
ているが、条件によっては放電容量が低下し、混合の効
果が不十分であった。また、特開平5−283061号
公報には、炭素粒子と炭素繊維とを複合化することで、
導電性の向上とバルキーな構造となるため気孔を通じて
電解液の拡散が向上することにより、充放電速度、出力
密度及びサイクル特性に優れたリチウム二次電池が開示
されているが、放電容量が270mAh/gと低くまだ
不十分なものである。
【0008】また、特開平3−129664号公報に
は、微細繊維状黒鉛の繊維間に有機高分子材料の炭素質
物質を担持させた複合材料を負極に用いることで、電極
の充填密度を上げ、放電時の電圧平坦性や充放電サイク
ル特性を良くし、更にエネルギー密度を向上させること
が開示されているが、初回の充放電効率が67%と低
く、初回で不活性化するリチウムが多く実用的でなかっ
た。また、特開平6−150931号公報には、ピッチ
系炭素繊維の炭素体に、無定形粒状の黒鉛材を混合する
ことにより、炭素材の欠点である導電性の改善と、黒鉛
材の欠点である充放電速度の向上と、サイクル特性の改
善を計ろうとする試みが開示されているが、放電容量は
依然として200mAh/g程度と低いものである。
【0009】また、特開平7−161347号公報に
は、比抵抗の小さい高温炭化の高結晶性PAN系炭素繊
維と、比抵抗の大きな低温炭化の低結晶性PAN系炭素
繊維とを、等量混合することにより、両者の欠点をそれ
ぞれ補充し、高い放電容量を有し、且つ初期容量損失が
低い負極材を与えることが開示されているが、初期放電
容量が240mAh/g程度とまだ低く、また初期充放
電効率が依然として55%程度と低く、実用に耐えるも
のでなかった。さらに、特開平7−192724号公報
には、天然又は合成黒鉛粉末と難黒鉛化炭素材料及び/
又は易黒鉛化炭素材料のような炭素材粉末との共存体
(混合体)が、黒鉛の高真密度と炭素材のリチウムイオ
ンの高速拡散性を兼備して、高い充放電性と正極の安定
性を損なわない特徴を有することが開示されているが、
負極材として挙げられている黒鉛粉末は、天然黒鉛、有
機材料を炭素化しさらに高温熱処理し得られる人造黒鉛
であり、またその炭素材粉末との共有体における負極材
の電池特性は、断続充放電という特殊な操作で発現され
ており、一般的ではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、炭素系材料
と黒鉛系材料を混合した負極材の課題である、未だ充放
電容量が小さく、初期の充放電効率が低く、充放電速度
が遅く、さらにサイクル寿命が短い点を解決することを
目的とする。また、本発明は、従来の黒鉛系負極材が放
電の終了直前まで電位が平坦であるため容量の残量表示
が困難であった点をも、炭素系材料との混合により改善
することを目的とする。
【0011】通常、リチウムイオン二次電池負極材に要
求される特性としては、 1)充放電容量が大きいこと、 2)負極材の内部或いは表面でリチウムイオンが不活性
化する量が少ないこと(不可逆容量が少ないこと)、 3)電解液を分解させないこと、 4)サイクル特性として、負極材自身の構造を破壊させ
ないこと、等を挙げることができる。 これらの諸特性を満足させる炭素系及び黒鉛系の負極材
料の研究・開発、及びそれら負極材料のリチウムイオン
の充放電機構の解析が盛んに行われている。炭素系及び
黒鉛系の材料は、いわゆる無定形炭素、規則的構造を有
する黒鉛、及びダイヤモンド等と種々の構造をとり、更
に無定形炭素から完全な黒鉛結晶までの間には色々な中
間的構造が存在し、極めて複雑であり、構造自体完全に
は明らかにされていない。
【0012】一般に、炭素系材料と呼ぶものは、構造
上、無定形炭素から完全な黒鉛結晶までの中間にあるも
のを言い、多結晶体であることを意味している。これら
炭素系材料の構造は炭素前駆体の種類或いは処理方法等
によって様々に異なると言える。そして、リチウムイオ
ンの充放電機構もまた炭素材の種類によって様々と言え
る。また、炭素系材料は、高温で熱処理(黒鉛化)する
とその構造は変化し、黒鉛構造に近づく。
【0013】完全な黒鉛結晶におけるリチウムイオンの
充放電機構は、炭素原子の六角網平面積層面の間に入り
込んだり出たりする、いわゆるリチウムイオンの黒鉛層
間(層間距離0.3354nm)へのインターカレーシ
ョン、デインターカレーションという機構で説明されて
いる。また、このインターカレーションによって層間距
離が0.37nm程度に広がると言われている。黒鉛の
電池としての理論容量は、常温、常圧でLiがインター
カレートされ安定化するC6 Liの状態の時の電気容量
であって、372mAh/gとなる。
【0014】また、黒鉛材は放電容量が大きく、且つL
iの不可逆容量も少ないためサイクル特性が良いが、電
解液を分解させるだけでなく、Liイオンの充放電の繰
り返しによって黒鉛層間は膨張・収縮を繰り返すことに
なり、構造破壊をきたすことが報告されている。黒鉛層
構造が未発達の炭素材の場合は、リチウムイオンの充電
において広い層間スペースにリチウムイオンがクラスタ
ー(凝集状態)で存在すると言われている。また、炭素
材料は電解液を分解させず、構造破壊もきたさないが、
初回の充放電効率が低く(Liの不可逆容量が大き
い)、サイクル特性が低下する欠点があった。本発明
は、黒鉛材料と炭素材料の混合によって放電容量が大き
く、電解液の分解を抑え、サイクル特性の優れた負極材
料を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
種々検討し、出発原料の選択、製造方法等をふくめた炭
素系及び黒鉛系の適切な材料の選定、その形態、その組
み合わせ方、配合比率等を研究した結果、同一のピッチ
系易黒鉛材料から製造され、且つ黒鉛化度(焼成温度で
調整)の相違する、ピッチ系炭素質繊維ミルドとピッチ
系黒鉛質繊維ミルドを主体に混合することにより、従来
の炭素材と黒鉛材との混合負極材の課題を解決できるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】すなわち、本発明による負極材は: 2,400℃以上の焼成温度で得られるピッチ系黒
鉛質繊維ミルド(A)と550℃以上1,300℃以下
の焼成温度で得られるピッチ系炭素質繊維ミルド(B)
の両方を含み、且つ(A)と(B)の両方とも平均粒径
が10μm以上30μm以下、及び粒径が5μm以下の
繊維ミルドの存在割合が全繊維ミルドの10wt%以下
であるリチウムイオン二次電池用負極材を提供する。ま
た、 (A)と(B)との混合割合(重量比)(A)/
(B)が95/5以下40/60以上である点にも特徴
を有する。また、
【0017】 (A)が550℃以上1,300℃以
下の焼成温度で炭化後ミルド化し、更に2,400℃以
上の焼成温度で黒鉛化したものである点にも特徴を有す
る。また、 (A)が550℃以上1,300℃以下の焼成温度
で得られるピッチ系炭素質繊維ミルド(B)を更に2,
400℃以上の焼成温度で黒鉛化し製造する点にも特徴
を有する。また、 (A)と(B)がメソフェーズピッチを出発原料と
する点にも特徴を有する。なお、本発明においてミルド
化(粉砕)された繊維を繊維ミルドと称し、さらに炭素
系の繊維ミルドを炭素質繊維ミルド、黒鉛系の繊維ミル
ドを黒鉛質繊維ミルドと称す。
【0018】このように、本発明におけるリチウムイオ
ン二次電池用負極材は、ピッチ系炭素前駆体を原料と
し、紡糸して繊維化し、不融化後、炭素化したもの及び
黒鉛化したものであり、更に繊維形態のまま細かくミル
ド化した特定の粒径及び粒度分布を持つ主に円柱状の繊
維ミルドを主体とするものであり、以下の利点を有す。 1)ピッチ、特にメソフェーズピッチを原料とすること
により、芳香環ピッチ分子の配向が繊維内部まで促進さ
れ、負極材のリチウムイオンの出入りが容易となる。 2)両方とも同種の原料であるため、ミルド化した際の
粒度分布をほぼ同一に調整することが容易で、比較的に
均一な混合が容易となり、電池特性のバラツキを少なく
できる。
【0019】3)両方とも繊維ミルドとすることによ
り、表面積が大きくでき、かつ繊維ミルドが繊維の特徴
である円柱形状を保持するので、リチウムイオンの出入
りが容易となる。すなわち、ピッチ系繊維ミルドは、ピ
ッチ分子が配向し、リチウムイオンの出入口としての層
間空隙を周面及び上下端面の全面に有しており、天然黒
鉛又はピッチや有機高分子を炭化或いは黒鉛化して粉砕
したもの、或いはピッチや有機高分子の粉体を炭化或い
は黒鉛化したものとは本質的に異なる特性を持つもので
ある。 4)両方とも繊維ミルドとすることにより、例えばシー
ト状に負極材を形成する場合、二次元的配向がしやす
く、シート化が容易であると共にシートの充填密度を上
げられる。
【0020】以下、本発明を具体的に説明する。 (I)繊維ミルドについて: <原料ピッチ>本発明に用いる炭素質繊維ミルドあるい
は黒鉛質繊維ミルドの出発原料は、石油ピッチ系、石炭
ピッチ系、合成ピッチ系のいずれに限定されるものでは
ないが、特に易黒鉛化質であるメソフェーズ系ピッチと
することが好ましい。該メソフェーズ系ピッチとしては
紡糸可能ならば特に限定されるものでないが、メソフェ
ーズ含有量100%のものが望ましい。原料ピッチの軟
化点は特に限定されるものではないが、紡糸温度との関
係から、軟化点が低くて且つ不融化反応速度の速いもの
が、製造コスト及び安定性の面から有利である。従っ
て、原料ピッチの軟化点は230℃以上350℃以下、
好ましくは250℃以上310℃以下である。
【0021】<紡糸>原料ピッチを溶融紡糸する方法は
特に限定されるものではなく、メルトスピニング、メル
トブロー、遠心紡糸等種々の方法を使用することが出来
るが、紡糸時の生産性や得られる繊維の品質の観点か
ら、メルトブロー法が好ましい。この時の紡糸孔の大き
さは、0.1mmΦ以上0.5mmΦ以下、好ましくは
0.15mmΦ以上0.3mmΦ以下である。また、紡
糸速度は毎分500m以上、好ましくは毎分1,500
m以上、より好ましくは毎分2,000m以上である。
【0022】紡糸温度は使用する原料ピッチにより幾分
変更されるが、原料ピッチの軟化点以上でピッチが変質
しない温度であれば良く、300℃以上400℃以下、
好ましくは300℃以上380℃以下である。なかで
も、本発明に用いる原料ピッチは、数十ポイズ以下とい
う低粘度で紡糸し、且つ、高速冷却することにより、黒
鉛層面が繊維軸表面に開口するように配列させるために
メソフェーズ系ピッチの使用が最も好ましい。このよう
にして製造されたピッチ繊維から得られた炭素繊維は、
黒鉛層面が繊維表面に開口しつつも、黒鉛層面が繊維円
周状に沿った疑似オニオン層が繊維表層に形成され、充
放電速度を早くしても容量低下が少なく、さらに、充放
電を繰り返しても容量低下は殆どないと言う長所を示
す。
【0023】<不融化>不融化方法としては、二酸化窒
素や酸素等の酸化性ガス雰囲気中で加熱処理する方法
や、硝酸やクロム酸等の酸化性水溶液中で処理する方
法、さらには、光やγ線等による重合処理方法も可能で
ある。より簡便な不融化方法は、空気中で200〜35
0℃で一定時間加熱処理する方法であり、その時の平均
昇温速度は3℃/分以上、好ましくは5℃/分以上であ
る。
【0024】<炭化、ミルド化、黒鉛化> (a)ピッチ繊維の炭化:不融化したピッチ繊維は、不
活性ガス中や或いは酸化性ガスの非存在下で加熱処理す
ることにより炭素質繊維とすることができる。この時の
昇温速度や保持時間は特に限定されるものでない。ピッ
チ繊維の炭化は常法に従って、不活性ガス雰囲気下25
0℃以上2,000℃以下の温度で実施することができ
る。ただし、本発明の炭素質繊維ミルドの場合、炭化温
度は、550℃以上1,300℃以下、好ましくは65
0℃以上1200℃以下であることを要する。
【0025】550℃未満の場合は、炭素質繊維ミルド
自体が未だ水素や酸素あるいはその他の炭素以外の元素
を多く含み、電気化学的に不安定であるとともに導電性
に劣るためサイクル特性が問題となる。一方、1,30
0℃を超えて高温熱処理した炭素質繊維ミルドの場合、
繊維のほとんどが炭素元素のみとなり化学安定性や導電
性の観点では優れた炭素材となるが、リチウムの受入れ
量が小さく本発明に対しては好ましくない。このように
炭化し製造された炭素質繊維ミルドの結晶化程度をX線
回折データで示すと、黒鉛層間距離(d002)が0.3
50nm以上、C軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が5
nm以下となっている。
【0026】(b)ピッチ繊維のミルド化:通常の炭素
繊維では、繊維表面からのリチウムイオンの進入が困難
であり、繊維断面方向からの出入りのみであるため、充
放電速度を早くすると容量低下が著しい傾向を示す。そ
のために、繊維長を短く、すなわち繊維断面表面積を出
来るだけ大きくし、断面方向からのリチウムイオンの出
入りが行いやすくすることが望ましい。このために、繊
維形態を保持したまま繊維断面を多くするようミルド化
することが、電池の性能を向上させるために必要とな
る。しかしながら、繊維をいたずらに微粉化すると、逆
に活性な黒鉛層が露出し電解液と反応するために容量低
下等のデメリットが発生する。
【0027】(i) ピッチ系炭素質繊維のミルド化:
本発明のピッチ系炭素質繊維ミルドを製造する方法とし
ては、メソフェーズピッチを紡糸し不融化しさらに要求
される所定の温度で不活性ガス中で炭化した後、ビクト
リーミル、ジェットミル、クロスフローミル等でミルド
化することが有効である。なお、繊維のミルド化を効率
良く実施するためには、上記方法に共通することである
が、例えばプレートを取り付けたローターを高速に回転
することにより、繊維軸に対し直角方向に繊維を寸断す
る方法が適切である。
【0028】ミルド化されたピッチ系炭素質繊維に適す
る繊維長は、ローターの回転数、プレートの角度及びロ
ーターの周辺に取り付けられたフィルターの目の大きさ
等を調整することによりコントロールすることが可能で
ある。該ミルド化には、ヘンシェルミキサーやボールミ
ル、擂潰機等による方法もあるが、これらの方法による
と繊維の直角方向への加圧力が働き、繊維軸方向への縦
割れの発生が多くなり好ましくない。また、この方法は
ミルド化に長時間を要し、適切なミルド化方法とは言い
難い。
【0029】(ii)ピッチ系黒鉛質繊維のミルド化:
通常、熱処理(特に黒鉛化)を効率よく行うためには、
容積当りの充填量を高くすることが良い。すなわち、ミ
ルド化処理した後に黒鉛化処理することが焼成コストを
低減させる上で有利である。このため、ピッチ系黒鉛質
繊維ミルドを製造する方法としては、黒鉛化後ミルド化
する方法も考えられるが、不融化処理したまま、あるい
は不融化後に250℃以上1,500℃以下の温度で不
活性ガス中で炭化した後、ミルド化し黒鉛化する方法が
有利である。さらに本発明の場合、550℃以上1,3
00℃以下の温度で不活性ガス中で炭化処理した後ミル
ド化することがより好ましい。
【0030】550℃以上1,300℃以下で炭化処理
した後ミルド化し、さらに黒鉛化処理することによりミ
ルド化後の繊維の縦割れが防げると共に、ミルド化時に
新たに表面に露出した黒鉛層面がより高温の黒鉛化時に
縮重合・環化反応が進み、その表面の活性度が低下する
ことも、電解液の分解を阻止する上で効果がある。1,
300℃を越えた温度で不活性ガス中で焼成して黒鉛化
した後にミルド化すると、繊維軸方向に発達した黒鉛層
面に沿って開裂が発生し易くなり、製造されたミルド化
された黒鉛繊維の全表面積中に占める破断面表面積の割
合が大きくなり、破断黒鉛層面における電子の局在化に
よる電解液の分解が起こり好ましくない。また、炭素質
繊維ミルドの炭化温度と範囲を合わせることにより、工
程管理の簡略化にもつながる。
【0031】(c)ピッチ繊維の黒鉛化:ピッチ繊維の
黒鉛化は、通常2,000℃以上の温度で実施される
が、電池の容量を高容量化させるためには、本発明で使
用するようなピッチ系炭素繊維の場合、より黒鉛化を進
める(焼成温度を高くする)ことが要求され。このた
め、本発明ではピッチ繊維を2,400℃以上、好まし
くは2,500℃以上の温度で焼成(黒鉛化)したもの
を使用することが好適である。また、より黒鉛化が進ん
だものの方が、炭素系の材料との混合効果が、性質の差
が大きくなるためか、発現し易く好ましい。
【0032】このように、焼成(黒鉛化)温度は、高い
方が容量等の点で好ましいが、生産コストが黒鉛化温度
とともに急激に高くなり、また3,000℃を超える焼
成温度では、黒鉛化を行う炉材の耐久性の観点で商業的
に安定的生産することが困難となるため、その目的に合
わせ適宜選択する必要がある。また、黒鉛化度をより発
達させるためには、ホウ素化合物等を添加して黒鉛化す
る方法も使用できる。このようにして製造されたピッチ
系黒鉛質繊維ミルドの結晶化程度をX線回折データで示
すと、黒鉛層間隔距(d002 )が0.338nm以下、
C軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が35nm以上、a
軸方向の結晶子の大きさ(La)が50nm以上、(1
01)回折ピークと(100)回折ピークのピーク比
(P101/P100 )が1.0以上である。
【0033】ここで、X線回折法とは、CuKαをX線
源、標準物質に高純度シリコンを使用し、炭素繊維に対
し回折パターンを測定するものである。そして、その0
02回折パターンのピーク位置、半値幅から、それぞれ
格子面間隔d(002) 、c軸の結晶子の大きさL
(002) 、及び110回折パターンのピーク位置、半値
幅からa軸方向の結晶子の大きさLa(110) を算出す
る。算出方法は学振法に基づき算出する。101/10
0のピーク比の測定は、得られた回折線図にベースライ
ンを引き、このベースラインから101(2θ≒44.
5)、100(2θ≒42.5)の各ピークの高さを測
定し、101の回折ピーク高さを100回折ピーク高さ
で除して求める。
【0034】(d)繊維ミルドの粒径、粒度分布:この
ようにして製造されたピッチ系炭素質繊維ミルド(B)
及びピッチ系黒鉛質繊維ミルド(A)の粒度は、レーザ
ー回折方式による粒度分布で表示すると、10%、50
%、90%の累積径がそれぞれ8〜15μm、10〜2
0μm、30〜60μmの範囲であり、平均粒径は10
〜30μmの範囲であることが好ましい。更に、本発明
においては粒径が5μm以下の繊維ミルドが存在する割
合が全繊維ミルドの10wt%以下、好ましくは5wt
%以下であり、また、繊維長が125μm以上の繊維ミ
ルドが存在する割合は1wt%以下、好ましくは検出さ
れないことが望ましい。
【0035】粒径が5μm以下の繊維ミルドが全繊維ミ
ルドの10wt%を越え存在すると活性な表面を持つ微
細粒子が多くなり、電解液の分解が激しくなり、初回の
充放電効率が低下し、サイクル特性も低下する。また、
繊維長が125μm以上の繊維ミルドが全体の1wt%
を越え存在すると、シート化時に厚みむらを引き起こす
原因となるので好ましくない。なお、平均粒径や粒度分
布を調整する際、ミルド化処理、混合処理等の任意の段
階で、必要に応じ、分級機、篩い等による処理を行うこ
とができる。また、粒度分布においては、ピッチ系炭素
質繊維ミルド(B)とピッチ系黒鉛質繊維ミルド(A)
の両方とも同程度の粒度分布範囲を持つものを混合する
ことが均一分散性、充填密度の向上並びに均一な厚みの
電極の電極シートを製造する面においても重要である。
【0036】また、負極特性において、均一に分散され
ているシートでは、局部的な分極は起こり難く、ピッチ
系炭素質繊維ミルド(B)及びピッチ系黒鉛質繊維ミル
ド(A)の持つ性能を十分に発現できる。その意味にお
いては、同程度の粒度分布範囲を持たせるには、ピッチ
系黒鉛質繊維ミルド(A)の製造に際し、混合使用する
ピッチ系炭素質繊維ミル(B)と同じものを、更に黒鉛
化することが最適となる。また、これにより製造の簡素
化も計れコストの低下が期待でき好ましい。なお、ピッ
チ系炭素質繊維ミルドを、更に黒鉛化した場合、黒鉛化
処理により繊維直径が細くなり、比表面積も小さくなる
傾向が見られるが粒度分布に対しては顕著な差は見られ
ず、同程度の粒度分布範囲を保つことが可能である。
【0037】<負極材の純度>本発明の複合化された負
極材は、高純度のものであることが充放電効率を高くす
る上で望ましい。ピッチ系炭素繊維は、出発原料にもよ
るが、窒素、酸素、硫黄或いは種々の金属成分等の炭素
以外の元素を含む。二次電池において、リチウムは炭素
以外の元素、例えば、硫黄、窒素、ハロゲン等の元素と
反応してリチウム化合物を形成するため、この様な不純
物を多く含む負極材は、負極の充放電効率、特に、初回
の充放電効率が著しく低下する。これら不純物の総量
は、1,000ppm以下、好ましくは300ppm以
下に抑えることが肝要である。
【0038】一般にピッチ系炭素繊維の純度はその出発
原料によるところが大きく、原料であるピッチの不純物
の少ないものを使用すること、及び濾過等で不純物を除
去することが好ましい。また、不純物は、大部分が炭化
・黒鉛化の熱処理時に系外にガス状となり排出されるが
より高純度化するためには、炭化・黒鉛化の際に塩素等
ハロゲンガスを導入し、不純物と反応させることが好ま
しい。なお、不純物の含有量は、熱処理温度が高い程低
下する傾向が見られ、この観点からは黒鉛化したものの
ほうが優れている。
【0039】(II)負極の構成:本発明により得られ
た各繊維ミルド及びそれらの混合繊維ミルドは、通常の
手法により負極とすることが出来る。すなわち、ポリエ
チレンやポリテトラフルオロエチレン等のバインダーを
添加し、有機溶媒あるいは水溶媒を用いスラリー状と
し、厚さ10〜50μmの銅、ニッケル等からなる金属
箔上の片面または両面に塗布し、これを圧延、乾燥を行
い、厚さ50〜200μm程度のシート状物とする方法
が広く用いられている。その後、所定の幅・長さにスリ
ットし、正極及びセパレーターと共に巻取り製缶する方
法が一般的である。
【0040】各繊維ミルドを混合使用する際の混合割合
としては、焼成温度が2,400℃以上のピッチ系黒鉛
質繊維ミルド(A)/焼成温度が550℃以上1,30
0℃以下のピッチ系炭素質繊維ミルド(B)が重量比で
95/5以下40/60以上、好ましくは90/10以
下60/40以上である。混合割合(A)/(B)が、
40/60未満では、黒鉛系の配合比率の低下に伴なつ
て黒鉛系の利点の発現が急激に低下し、初期効率が低く
なると共にサイクル特性にも劣るようになる。一方、混
合割合(A)/(B)が、95/5を越えると混合の効
果が薄れるとともに、黒鉛系の性能により近づき放電終
了直前まで電位が平坦となり、容量表示のが困難な点が
何等改善されない。なお、(A)及び(B)は、それぞ
れの条件が満足すれば、それぞれ単独(1種類)であっ
ても、2種類以上であってもよく、電池性能面と製造面
を勘案し適宜選択すればよい。
【0041】(III)電池:本発明による各繊維ミル
ド及びそれらの混合繊維ミルドを負極に用い、リチウム
イオン二次電池を作製する場合には、電解液としてはリ
チウム塩を溶解し得るものであればよいが、特に非プロ
トン性の誘電率が大きい有機溶媒が好ましい。このよう
にして作られた繊維ミルドからの負極は、単位体積当た
りの充放電容量が大きく、電池の小型化に好適である。
また、上記有機溶媒としては、例えば、プロピレンカー
ボネート、エチレンカーボネート、テトラヒドロフラ
ン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4
−メチル−ジオキソラン、アセトニトリル、ジメチルカ
ーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカー
ボネート等を挙げることができる。これらの溶媒を単独
あるいは適宜混合して用いることが可能である。
【0042】電解質としては、安定なアニオンを生成す
るリチウム塩、例えば、過塩素酸リチウム、ホウフッ化
リチウム、六塩化アンチモン酸リチウム、六フッ化アン
チモン酸リチウム(LiPF6 )等が好適である。ま
た、リチウムイオン二次電池の正極としては、例えば、
酸化クロム、酸化チタン、酸化コバルト、五酸化バナジ
ウム等の金属酸化物や、リチウムマンガン酸化物(Li
Mn24 )、リチウムコバルト酸化物(LiCo
2 )、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2 )等の
リチウム金属酸化物;硫化チタン、硫化モリブデン等の
遷移金属のカルコゲン化合物;及びポリアセチレン、ポ
リパラフェニレン、ポリピロール等の導電性を有する共
役系高分子物質等を用いることが出来る。
【0043】これらの正極と負極との間に合成繊維製又
はガラス繊維製の不織布、織布やポリオレフィン系多孔
質膜、ポリテトラフルオロエチレンの不織布等のセパレ
ータを設ける。本発明の二次電池は、前記セパレータ、
集電体、ガスケット、封口板、ケース等の電池構成要素
と本発明の特定の負極を用い、常法に従って円筒型、角
型或いはボタン型等の形態のリチウムイオン二次電池に
組立てることができる。
【0044】
【作用】ピッチ系炭素質繊維ミルドとピッチ系黒鉛質繊
維ミルドとを一定の混合比率で混合することにより、そ
れぞれの繊維ミルドを単独で用いるよりも安定化時(便
宜上10回目における)の充放電容量が向上し、且つ負
極コストを低減できるばかりではなく、放電末期におけ
る電位の変化を利用して、容量の残量表示が可能となる
負極材を提供することが可能となった。
【0045】
【実施例】本発明を以下の実施例により更に具体的に説
明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではな
い。 (実施例1)光学的異方性で比重1.25の石油系メソ
フェーズピッチを原料として、幅3mmのスリットの中
に直径0.2mmφの紡糸孔を一列に500個有する口
金を用い、スリットから加熱空気を噴出させて、溶融ピ
ッチを牽引して平均直径13μmのピッチ繊維を製造し
た。この時、紡糸温度は360℃、吐出量は0.8g/
H・分であった。紡出されたピッチ繊維を、捕集部分が
20メッシュのステンレス製金網で出来たベルトの背面
から吸引しつつベルト上に捕集した。
【0046】この捕集したマットを空気中、室温から3
00℃まで平均昇温速度6℃/分で昇温して不融化処理
を行った後、750℃で炭化処理し、さらに、この炭素
質繊維をクロスフローミルで粉砕し、ピッチ系炭素質繊
維ミルド(B)とした。この粉体を島津製作所製のレー
ザー回折法による粉体粒度測定装置、SALD−300
0を用い、粒子の屈折率を1.80−0.20iとして
粒度を測定した結果、平均粒径19.5μm、5μm以
下の炭素質繊維ミルドの存在割合が1.3wt%であ
り、10%、50%及び90%累積径がそれぞれ11.
0μm、17.5μm及び45.2μmであった。
【0047】上記ピッチ系炭素質繊維ミルド(B)の一
部を、2,900℃まで3℃/分の速度で昇温し、更に
2,900℃で1時間保持し、黒鉛化してピッチ系黒鉛
質繊維ミルド(A)を得た。この粉体を同様に粉体粒度
測定装置を用い、粒度を測定した結果、平均粒径17.
3μm、5μm以下の黒鉛質繊維ミルドの存在割合が
2.9wt%であり、10%、50%及び90%累積径
がそれぞれ8.7μm、16.0μm及び45.8μm
であった。
【0048】このようにして得られたピッチ系黒鉛質繊
維ミルド(A)とピッチ系炭素質繊維ミルド(B)を重
量比で95:5、80:20、40:60の割合で均一
に混合した後、ポリテトラフルオロエチレンを繊維ミル
ドに対して3wt%添加混練しペレットを作製し負極と
した後、それぞれ3極セルで充放電試験を行った。試験
は、陽極に金属リチウムを用い、エチレンカーボネート
(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)を容量比で
1/1に調整した混合炭酸エステル溶媒に、電解質とし
て過塩素酸リチウム(LiCl04)を1モルの濃度で
溶解させた電解液中で実施し、充放電容量特性を測定し
た。充放電容量特性の測定は、100mAh/gの定電
流で行い、放電容量は電池電圧が2Vに低下するまでの
容量とし、10回繰返し測定とした。混合使用すること
により10回目の充放電容量が、単独使用の場合より向
上しており、また、放電末期における電位が、ピッチ系
黒鉛質繊維ミルド(A)を単独で用いた場合より緩やか
な変化を示し、容量の残量表示にも適して性能を示し
た。その測定結果を表1に示す。
【0049】(比較例1)実施例1で得られたピッチ系
黒鉛質繊維ミルド(A)とピッチ系炭素質繊維ミルド
(B)をそれぞれ単独で使用した以外は実施例1と同様
に負極を作製し充放電試験を行った。電極特性の測定結
果を合わせて表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】(実施例2)実施例1と同様にして炭化温
度のみ変化させ、表2に示す焼成温度のピッチ系炭素質
繊維ミルド(B)を各種作製した。各炭素質繊維ミルド
の粒度を実施例1と同様に測定した結果も表2に示す。
このようにして得られたピッチ系炭素質繊維ミルド
(B)と実施例1で得られた2,900℃焼成のピッチ
系黒鉛質繊維ミルド(A)とを重量比で20:80でそ
れぞれ均一に混合した後、実施例1と同様にして負極材
を作製し、3極セルで充放電試験を行った。電極特性の
測定結果も合わせて表2に示す。
【0052】(比較例2)実施例2と同様にして炭化温
度が500℃及び1,400℃のピッチ系炭素質繊維ミ
ルド(B)を作製した。各炭素質繊維ミルドの粒度を実
施例1と同様に測定した結果を表2に示す。このように
して得られたピッチ系炭素質繊維ミルド(B)と実施例
1で得られた2,900℃焼成のピッチ系黒鉛質繊維ミ
ルド(A)とを重量比で20:80でそれぞれ均一に混
合した後、実施例1と同様にして負極材を作製し、3極
セルで充放電試験を行った。電極特性の測定結果も合わ
せて表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】(実施例3)実施例1で得られたピッチ系
炭素質繊維ミルド(B)と、実施例1と同様にして黒鉛
化温度を2,400℃と3,100℃に変化させて作製
したピッチ系黒鉛質繊維ミルド(A)とを重量比でそれ
ぞれ20:80でそれぞれ均一に混合した後、それぞれ
実施例1と同様にして、粒度の測定及び充放電試験を行
った。粒度及び電極特性の測定結果を表3に示す。
【0055】(比較例3)実施例1で得られたピッチ系
炭素繊維ミルド(B)と、黒鉛化温度を2,300℃と
した以外実施例1と同様にして得られたピッチ系黒鉛質
繊維ミルド(A)とを重量比でそれぞれ20:80でそ
れぞれ均一に混合した後、実施例1と同様にして粒度の
測定及び充放電試験を行った。粒度及び電極特性の測定
結果を合わせて表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】(実施例4)実施例1及び2で得られた7
50℃及び950℃焼成のピッチ系炭素質繊維ミルド
(Bとして2種使用)と、実施例1で得られたピッチ系
黒鉛質繊維ミルド(A)とを重量比で、10:30:6
0にて均一に混合した後、実施例1と同様にして充放電
試験を行った。電極特性の測定結果を表4に示す。
【0058】(実施例5)実施例1と同様にして得られ
た750℃焼成のピッチ系炭素質繊維ミルド(B)と、
2,900℃焼成のピッチ系黒鉛質繊維ミルド(A)、
およびアセチレンブラック(平均粒径1μm)を重量比
にしてそれぞれ15:80:5の割合で均一混合した
後、実施例1と同様にしてポリテトラフルオロエチレン
を炭素材に対して3wt%添加混練しペレットを作製し
3極セルで充放電試験を行った。電極特性の測定結果を
表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
【発明の効果】本発明により、易黒鉛化質のピッチ系炭
素質繊維ミルドとピッチ系黒鉛質繊維ミルドを混合する
ことにより、それぞれ単独で用いるよりも安定化時の容
量が大きく、さらに、初期の充放電効率が高く、且つ充
放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用負
極に適した、炭素材を提供することを可能にした。
フロントページの続き (72)発明者 西村 嘉介 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 株式会 社ペトカ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2,400℃以上の焼成温度で得られる
    ピッチ系黒鉛質繊維ミルド(A)と550℃以上1,3
    00℃以下の焼成温度で得られるピッチ系炭素質繊維ミ
    ルド(B)の両方を含み、且つ(A)と(B)の両方と
    も平均粒径が10μm以上30μm以下、及び粒径が5
    μm以下の繊維ミルドの存在割合が全繊維ミルドの10
    wt%以下であることを特徴とするリチウムイオン二次
    電池用負極材。
  2. 【請求項2】 (A)と(B)との混合割合(重量比)
    (A)/(B)が95/5以下40/60以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池
    用負極材。
  3. 【請求項3】 (A)が550℃以上1,300℃以下
    の焼成温度で炭化後ミルド化し、更に2,400℃以上
    の焼成温度で黒鉛化したものであることを特徴とする請
    求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
  4. 【請求項4】 (A)が550℃以上1,300℃以下
    の焼成温度で得られるピッチ系炭素質繊維ミルド(B)
    を更に2,400℃以上の焼成温度で黒鉛化したもので
    あることを特徴とする請求項3記載のリチウムイオン二
    次電池用負極材の製造方法。
  5. 【請求項5】 (B)がメソフェーズピッチを出発原料
    とすることを特徴とする請求項4記載のリチウムイオン
    二次電池用負極材の製造方法。
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