JPH0931655A - 硬質カーボン膜の形成方法 - Google Patents

硬質カーボン膜の形成方法

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JPH0931655A
JPH0931655A JP17841995A JP17841995A JPH0931655A JP H0931655 A JPH0931655 A JP H0931655A JP 17841995 A JP17841995 A JP 17841995A JP 17841995 A JP17841995 A JP 17841995A JP H0931655 A JPH0931655 A JP H0931655A
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JP
Japan
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sample
auxiliary electrode
carbon film
opening
hard carbon
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JP17841995A
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English (en)
Inventor
Osamu Sugiyama
杉山  修
Yukio Miya
宮  行男
Ryuta Koike
▲龍▼太 小池
Takashi Toida
孝志 戸井田
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Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
Citizen Watch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 試料11の開口内面に直流正電位に接続する
補助電極23を挿入するように試料を真空槽13内に配
置し、真空槽内を排気後、ガス導入口15から炭素を含
むガスを真空槽内に導入し、試料に直流電圧を印加しア
ノード31に直流電圧を印加しフィラメント33に交流
電圧を印加してプラズマを発生させて試料に硬質カーボ
ン膜を形成する。 【効果】 開口内面で同電位同士が対向することがなく
なり、異常放電であるホロー放電は発生しない。そのた
め、密着の良好な硬質カーボン膜を試料に形成すること
ができる。開口内面に形成する硬質カーボン膜の膜厚分
布の発生がなく、開口端面と開口中側とで均一な膜厚を
形成することができるという効果ももつ。さらに硬質カ
ーボン膜の膜形成速度は、補助電極に直流正電圧を印加
しないときに比らべて高くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硬質カーボン膜の形成方
法に関し、とくに開口部を有する試料に硬質カーボン膜
を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】硬質カーボン膜は黒色を有し、ダイヤモ
ンドによく似た性質をもつ。すなわち硬質カーボン膜
は、高い機械的硬度や低い摩擦係数や良好な電気的絶縁
性や高い熱伝導率や高い耐腐食性をもつ。そのため装飾
品や医療機器や磁気ヘッドや工具などに硬質カーボン膜
を被覆することが提案されている。
【0003】プラスマ化学気相成長法を用いた従来技術
における硬質カーボン膜の形成方法を、図4を用いて説
明する。図4は従来技術における硬質カーボン膜の形成
方法を示す断面図である。
【0004】図4に示すように、ガス導入口15と排気
口17とを有する真空槽13内に、硬質カーボン膜を形
成する試料11を配置する。
【0005】そして排気口17から真空槽13内を真空
排気後、この試料11には、直流電源25から直流電圧
を印加する。さらにアノード31にはアノード電源27
から直流電圧を印加し、さらにフィラメント33にはフ
ィラメント電源29から交流電圧を印加する。
【0006】その後、ガス導入口15から炭素を含むガ
スを真空槽13内に導入し、真空槽13内にプラズマを
発生させて、試料11に硬質カーボン膜を形成してい
る。
【0007】この図4に示す硬質カーボン膜の被膜形成
方法においては、試料11に印加する直流電圧により発
生するプラズマと、交流電圧を印加するフィラメント3
3と直流電圧を印加するアノード31で発生するプラズ
マとが発生する。
【0008】そして硬質カーボン膜を形成するときの真
空槽13内の圧力により、試料11周囲のプラズマか、
フィラメント33とアノード31近傍のプラズマかが主
になって、硬質カーボン膜を形成している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図4を用いて説明した
硬質カーボン膜の形成方法においては、真空槽13内の
圧力が3×10-3torr以上のときは、試料11の周
囲に発生するプラズマが主になって、炭素を含むガスを
分解して硬質カーボン膜を形成する。
【0010】このとき試料11の外周部には硬質カーボ
ン膜を均一性よく形成することができるが、試料11の
開口内面に形成する硬質カーボン膜は密着性が悪く、さ
らに硬度などの膜質が劣る。
【0011】これは、試料11には同じ電圧が印加され
ており、開口内面は同電位の電極どうしが対向している
空間となり、その開口内面でのプラズマはホロー放電と
呼ばれる異常放電を発生する。
【0012】このホロー放電によって形成される硬質カ
ーボン膜は、ポリマーライクな密着性の悪い被膜であ
り、試料11から剥離しやすく、その硬度も低い。
【0013】これに対して真空槽13内の圧力が3×1
-3torrより低いときは、試料11周囲のプラズマ
より、硬質カーボン膜の形成はフィラメント33とアノ
ード31近傍に発生するプラズマがおもに寄与する。
【0014】このとき試料11の外周部には硬質カーボ
ン膜を均一性よく形成することができるが、試料11の
開口内面に形成する硬質カーボン膜は試料11の長手方
向で膜厚を均一に形成することができない。
【0015】ここで、フィラメント33とアノード31
近傍に発生するプラズマでイオン化された炭素イオン
は、試料11に印加する直流負電位に引っ張られて堆積
し、試料11に硬質カーボン膜の被膜形成を行ってい
る。
【0016】前述の真空槽13内の圧力が3×10-3
orrより高いときは、硬質カーボン膜が化学気相成長
的に形成されるのに対して、圧力が3×10-3torr
より低いときは、硬質カーボン膜が物理気相成長的に形
成される。
【0017】このためにフィラメント33とアノード3
1近傍に発生するプラズマがおもに寄与する硬質カーボ
ン膜形成のときは、真空蒸着法などの物理気相成長法と
同様に、試料11の開口内面には開口端面から開口奥側
に向かう従って、硬質カーボン膜の膜厚が薄くなる。こ
の結果、試料11の開口内面に形成する硬質カーボン膜
は試料11の長手方向で膜厚を均一に形成することがで
きない。
【0018】本発明の目的は、上記課題を解決して、開
口内面に密着性よくしかも均一な膜厚で硬質カーボン膜
を形成することが可能な硬質カーボン膜の形成方法を提
供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の硬質カーボン膜の形成方法においては、下記
記載の手段を採用する。
【0020】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、試
料の開口内面に直流正電圧を印加する補助電極電源に接
続する補助電極を挿入するように試料を真空槽内に配置
し、真空槽内を排気後、ガス導入口から炭素を含むガス
を真空槽内に導入し、試料に直流電圧を印加しアノード
に直流電圧を印加しフィラメントに交流電圧を印加して
プラズマを発生させて試料に硬質カーボン膜を形成する
ことを特徴とする。
【0021】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、中
間層を形成した試料の開口内面に直流正電圧を印加する
補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試料
を真空槽内に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口か
ら炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に直流電圧
を印加しアノードに直流電圧を印加しフィラメントに交
流電圧を印加してプラズマを発生させて試料に硬質カー
ボン膜を形成することを特徴とする。
【0022】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、試
料の開口内面に直流正電圧を印加する補助電極電源に接
続する補助電極を挿入するように試料を真空槽内に配置
し、真空槽内を排気後、ガス導入口から炭素を含むガス
を真空槽内に導入し、試料に高周波電圧を印加し、プラ
ズマを発生させて試料に硬質カーボン膜を形成すること
を特徴とする。
【0023】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、中
間層を形成した試料の開口内面に直流正電圧を印加する
補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試料
を真空槽内に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口か
ら炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に高周波電
圧を印加し、プラズマを発生させて試料に硬質カーボン
膜を形成することを特徴とする。
【0024】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、試
料の開口内面に直流正電圧を印加する補助電極電源に接
続する補助電極を挿入するように試料を真空槽内に配置
し、真空槽内を排気後、ガス導入口から炭素を含むガス
を真空槽内に導入し、試料に直流電圧を印加し、プラズ
マを発生させて試料に硬質カーボン膜を形成することを
特徴とする。
【0025】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、中
間層を形成した試料の開口内面に直流正電圧を印加する
補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試料
を真空槽内に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口か
ら炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に直流電圧
を印加し、プラズマを発生させて試料に硬質カーボン膜
を形成することを特徴とする。
【0026】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、試
料の開口内面に直流正電圧を印加する補助電極電源に接
続する補助電極を挿入するように試料を真空槽内に配置
し、この真空槽内を排気後、ガス導入口から炭素を含む
ガスを真空槽内に導入し、試料に直流電圧を印加しアノ
ードに直流電圧を印加しフィラメントに交流電圧を印加
してプラズマを発生させて試料の外周部を被覆して開口
内面に硬質カーボン膜を形成することを特徴とする。
【0027】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、中
間層を形成した試料の開口内面に直流正電圧を印加する
補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試料
を真空槽内に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口か
ら炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に直流電圧
を印加しアノードに直流電圧を印加しフィラメントに交
流電圧を印加してプラズマを発生させて試料の外周部を
被覆して開口内面に硬質カーボン膜を形成することを特
徴とする。
【0028】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、試
料の開口内面に直流正電圧を印加する補助電極電源に接
続する補助電極を挿入するように試料を真空槽内に配置
し、真空槽内を排気後、ガス導入口から炭素を含むガス
を真空槽内に導入し、試料に高周波電圧を印加し、プラ
ズマを発生させて試料の外周部を被覆して開口内面に硬
質カーボン膜を形成することを特徴とする。
【0029】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、中
間層を形成した試料の開口内面に直流正電圧を印加する
補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試料
を真空槽内に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口か
ら炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に高周波電
圧を印加し、プラズマを発生させて試料の外周部を被覆
して開口内面に硬質カーボン膜を形成することを特徴と
する。
【0030】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、試
料の開口内面に直流正電圧を印加する補助電極電源に接
続する補助電極を挿入するように試料を真空槽内に配置
し、真空槽内を排気後、ガス導入口から炭素を含むガス
を真空槽内に導入し、試料に直流電圧を印加し、プラズ
マを発生させて試料の外周部を被覆して開口内面に硬質
カーボン膜を形成することを特徴とする。
【0031】本発明の硬質カーボン膜の形成方法は、中
間層を形成した試料の開口内面に直流正電圧を印加する
補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試料
を真空槽内に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口か
ら炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に直流電圧
を印加し、プラズマを発生させて試料の外周部を被覆し
て開口内面に硬質カーボン膜を形成することを特徴とす
る。
【0032】
【作用】本発明の硬質カーボン膜の形成方法において
は、試料の開口内面の開口の中央部に、直流正電圧を印
加する補助電極電源に接続する補助電極を配置して硬質
カーボン膜を形成する。そして硬質カーボン膜を形成す
る試料には、負の直流電圧あるいは高周波電圧を印加す
る。
【0033】その結果、同電位の電極どうしが対向して
いる開口内面に、直流正電圧を印加する補助電極電源に
接続する補助電極を設けることとなり、同電位同士が対
向することがなくなる。
【0034】このような電位状態は、プラスマ化学気相
成長法にとってもっとも望ましい状態であり、異常放電
であるホロー放電は発生しない。そのため、密着性の良
好な硬質カーボン膜を試料に形成することができる。
【0035】さらに本発明の硬質カーボン膜の形成方法
においては、直流正電圧を印加する補助電極を試料の開
口内面に配置しており、試料の長手方向の開口内面で電
位特性が均一になる。
【0036】この結果、開口内面に形成する硬質カーボ
ン膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥側とで
均一な膜厚を形成することができるという効果ももつ。
【0037】さらにまた本発明の硬質カーボン膜の形成
方法においては、試料の開口内面の中央部に設ける補助
電極に、補助電極電源からの直流の正電圧を印加して硬
質カーボン膜を形成している。このため直流正電圧を印
加する補助電極の周囲領域に電子を集める効果が生じ、
この補助電極の周囲領域は電子密度が高くなる。
【0038】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガス分子と電子との衝突確率が増え、ガス
分子のイオン化が促進されて、その補助電極の周囲領域
のプラズマ強度が高くなる。
【0039】このため補助電極に直流の正電圧を印加す
る本発明の硬質カーボン膜の形成方法においては、硬質
カーボン膜の膜形成速度は、補助電極に直流の正電圧を
印加しないときと比らべて高くなる。
【0040】さらに試料の開口大きさが小さくなり、開
口内面と補助電極との隙間が小さくなると、補助電極に
直流の正電圧を印加しないで硬質カーボン膜を形成する
と、開口内面にはプラズマが発生せず、被膜形成ができ
ない。
【0041】これに対して本発明の硬質カーボン膜の形
成方法においては、開口内面に配置する補助電極に補助
電極電源からの直流正電圧を印加して電子を強制的に補
助電極の周囲領域の開口内面に集めているので、補助電
極の周囲にプラズマを発生させることができる。
【0042】したがって、直流の正電圧を印加しない補
助電極を用いた硬質カーボン膜の形成では被膜形成がで
きない開口大きさが小さい試料にも、直流正電圧を印加
した補助電極を用いる本発明の硬質カーボン膜の形成方
法を適用すれば被膜形成が可能となる。
【0043】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例における
硬質カーボン膜の形成方法を説明する。図1は本発明の
実施例における硬質カーボン膜の形成方法を示す断面図
である。
【0044】図1に示すように、ガス導入口15と排気
口17とを有する真空槽13内に、硬質カーボン膜を形
成する試料11を配置する。そしてこの試料11の開口
内面には、直流正電位に接続する補助電極23を挿入す
るように設ける。このとき補助電極23が試料11の開
口中央部になるように配置する。
【0045】そして真空槽13内を真空度が3×10-5
torrになるように排気口17から、図示しない排気
手段によって真空排気する。
【0046】その後、ガス導入口15から炭素を含むガ
スとしてベンゼンを真空槽13内に導入して、真空槽1
3内の圧力を5×10-3torrになるように制御す
る。
【0047】そして試料11には直流電源25から直流
電圧を印加し、さらにアノード31にはアノード電源2
7から直流電圧を印加し、さらにフィラメント33には
フィラメント電源29から交流電圧を印加する。さらに
また補助電極23には補助電極電源35から直流の正電
圧を印加する。
【0048】このとき、補助電極23には補助電極電源
35から直流のプラス20Vを印加する。さらに直流電
源25から試料11に印加する直流電圧はマイナス3k
Vを印加し、さらにアノード電源27からアノード31
に印加する直流電圧はプラス10Vを印加する。さらに
またフィラメント電源29からフィラメント33に印加
する電圧は30Aの電流が流れるように10Vの交流電
圧を印加する。
【0049】真空槽13内の試料11の周囲領域にプラ
ズマを発生させて、試料11に硬質カーボン膜を形成し
ている。
【0050】このときの補助電極電源35を用いて補助
電極23に印加する直流正電圧と、試料開口内面に形成
する硬質カーボン膜厚との関係を、図5のグラフに示
す。
【0051】図5のグラフにおいては、補助電極23に
印加する直流の正電圧をゼロVから30Vまで変化さ
せ、さらに試料11の開口内面と補助電極23との間の
隙間寸法が3mmと5mmのときの硬質カーボン膜の膜
厚を示す。なお曲線51が試料11の開口内面と補助電
極23との間の隙間が3mmのときの特性を示し、曲線
53が試料11の開口内面と補助電極23との間の隙間
が5mmのときの特性を示す。
【0052】図5の曲線51、53に示すように、補助
電極電源35から補助電極23に印加する直流正電圧を
増加させると、硬質カーボン膜の膜形成速度は向上す
る。さらにまた試料11の開口内面と補助電極23との
間の隙間寸法が大きいほど、硬質カーボン膜の膜形成速
度は向上している。
【0053】そして曲線51、すなわち試料11の開口
内面と補助電極23との間の隙間寸法が3mmのとき
は、補助電極23に印加する電位がゼロVの接地電圧で
は、試料23開口内面にプラズマが発生せず、硬質カー
ボン膜は形成できない。
【0054】しかし試料11の開口内面と補助電極23
との間の隙間が3mmのときでも、補助電極23に印加
する補助電極電源35からの直流正電圧を高くしていく
と、補助電極23周囲の開口内面にプラズマが発生し、
硬質カーボン膜を形成することができる。
【0055】この図1に示す硬質カーボン膜の被膜形成
方法においては、試料11の開口内面に挿入するように
配置し、直流の正電圧を印加する補助電極23によっ
て、試料11の外周部だけでなく、試料11開口内面に
もプラズマを形成することができる。
【0056】この試料11の開口内面に挿入する補助電
極23により、異常放電であるホロー放電の発生はな
く、硬質カーボン膜の密着性が向上する。
【0057】さらに試料11の長手方向の開口内面で、
その電位特性が均一になり、開口内面に形成する硬質カ
ーボン膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥側
とで均一な膜厚を形成することができる。
【0058】さらにまた本発明の硬質カーボン膜の形成
方法においては、試料11の開口内面の中央部に設ける
補助電極23に、補助電極電源35からの直流の正電圧
を印加して硬質カーボン膜を形成している。このため直
流正電圧を印加する補助電極23の周囲領域に電子を集
める効果が生じ、この補助電極23の周囲領域は電子密
度が高くなる。
【0059】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガス分子と電子との衝突確率が増え、ガス
分子のイオン化が促進されて、試料11の開口内面領域
のプラズマ強度が高くなる。
【0060】このため補助電極23に直流の正電圧を印
加する本発明の硬質カーボン膜の形成方法においては、
硬質カーボン膜の膜形成速度は、補助電極23に直流の
正電圧を印加しないときと比らべて高くなる。
【0061】さらに試料11の開口大きさが小さくな
り、開口内面と補助電極23との隙間が小さくなると、
補助電極23に直流の正電圧を印加しないで硬質カーボ
ン膜を形成すると、開口内面にはプラズマが発生せず、
膜形成ができない。
【0062】これに対して本発明の硬質カーボン膜の被
膜形成方法においては、試料11開口内面に配置する補
助電極23に補助電極電源35からの直流正電圧を印加
しているので、電子を強制的に補助電極23の周囲領域
の開口内面に集めて、補助電極23周囲にプラズマを発
生させることができる。
【0063】したがって、直流の正電圧を印加しない補
助電極を用いた硬質カーボン膜の形成では被膜形成がで
きない開口大きさが小さい試料にも、補助電極電源35
からの直流正電圧を印加した補助電極を用いる本発明の
硬質カーボン膜の形成方法を適用すれば被膜形成が可能
となる。
【0064】この補助電極23は、試料11の開口大き
さより小さければよく、好ましくは4mm程度の隙間、
すなわちプラズマ形成領域を設けるようにする。そして
この補助電極23は、ステンレスのような金属材料で形
成すればよい。
【0065】さらに補助電極23の断面形状は円形と
し、試料11に補助電極23を挿入したとき開口長さと
ほぼ同じにするか、あるいは試料より補助電極23を突
出するように構成する。
【0066】ここで補助電極23の断面形状は、試料1
1の開口の断面形状に合わせてもよい。すなわち試料1
1開口の断面形状が四角形であれば補助電極23の断面
形状は四角形とし、試料11開口の断面形状が円形であ
れば補助電極23の断面形状は円形とする。
【0067】つぎに以上の説明と異なる実施例における
硬質カーボン膜の形成方法を説明する。図2は本発明の
実施例における硬質カーボン膜の形成方法を示す断面図
である。
【0068】図2に示すように、ガス導入口15と排気
口17とを有する真空槽13内に、硬質カーボン膜を形
成する試料11を配置する。
【0069】そして排気口17から真空槽13内を図示
しない排気手段により真空排気後、ガス導入口15から
炭素を含むガスとしてメタンガスを真空槽13内に導入
し、真空度を0.1torrになるように調整する。
【0070】そして試料11には、マッチング回路19
を介して13.56MHzの発振周波数を有する高周波
電源21から高周波電圧を印加する。
【0071】さらに試料11の開口内面で、しかも開口
中央部には、補助電極電源35から印加する直流正電圧
を接続する補助電極23を挿入するように配置して、プ
ラズマを発生させる。
【0072】このときプラズマは、試料11の外周部だ
けでなく、試料11の開口内面にもプラズマは発生して
いるので、試料11の開口内面にも硬質カーボン膜を形
成することができる。そして硬質カーボン膜は、外周部
と開口内面とではその膜質に差は発生していない。
【0073】このときの補助電極電源35を用いて補助
電極23に印加する直流正電圧と、試料11開口内面に
形成する硬質カーボン膜の膜厚との関係を、図6のグラ
フに示す。
【0074】図6のグラフにおいては、補助電極電源3
5を用いて補助電極23に印加する直流の正電圧をゼロ
Vから30Vまで変化させ、さらに試料11の開口内面
と補助電極23との間の隙間寸法が3mmと5mmのと
きの硬質カーボン膜の膜厚を示す。なお曲線55が試料
11の開口内面と補助電極23との間の隙間が3mmの
ときの特性を示し、曲線57が試料11の開口内面と補
助電極23との間の隙間が5mmのときの特性を示す。
【0075】図6の曲線55、57に示すように、補助
電極23に補助電極電源35から印加する直流正電圧を
増加させると、硬質カーボン膜の膜形成速度は向上す
る。さらにまた試料11の開口内面と補助電極23との
間の隙間寸法が大きいほど、硬質カーボン膜の膜形成速
度は向上している。
【0076】そして曲線55、すなわち試料11の開口
内面と補助電極23との間の隙間寸法が3mmのとき
は、補助電極23に印加する電圧がゼロVの接地電位で
は、試料23の開口内面にプラズマが発生せず、硬質カ
ーボン膜は形成できない。
【0077】しかしながら試料11の開口内面と補助電
極23との間の隙間が3mmのときでも、補助電極電源
35を用いて補助電極23に印加する直流正電圧を高く
していくと、補助電極23周囲の開口内面にプラズマが
発生し、硬質カーボン膜を形成することができる。
【0078】この図2に示す硬質カーボン膜の被膜形成
方法においては、試料11の開口内面に挿入するように
配置し、補助電極電源35から直流正電圧を印加する補
助電極23によって、試料11の外周部だけでなく、試
料11開口内面にもプラズマを形成することができる。
【0079】この試料11の開口内面に挿入するように
設ける補助電極23により、異常放電であるホロー放電
の発生はなく、硬質カーボン膜の密着性が向上する。
【0080】さらに試料11の長手方向の開口内面で、
電位特性が均一になり、開口内面に形成する硬質カーボ
ン膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥側とで
均一な膜厚を形成することができる。
【0081】さらにまた本発明の硬質カーボン膜の形成
方法においては、試料11の開口内面の中央部に設ける
補助電極23に、補助電極電源35からの直流の正電圧
を印加して硬質カーボン膜を形成している。このため直
流正電圧を印加する補助電極23の周囲領域に電子を集
める効果が生じ、この補助電極23の周囲領域は電子密
度が高くなる。
【0082】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガス分子と電子との衝突確率が増え、ガス
分子のイオン化が促進されて、試料11の開口内面領域
のプラズマ強度が高くなる。
【0083】このため補助電極23に直流の正電圧を印
加する本発明の硬質カーボン膜の形成方法においては、
硬質カーボン膜の膜形成速度は、補助電極23に直流の
正電圧を印加しないときと比らべて高くなる。
【0084】さらに試料11の開口大きさが小さくな
り、開口内面と補助電極23との隙間が小さくなると、
補助電極23に直流の正電圧を印加しないで硬質カーボ
ン膜を形成すると、開口内面にはプラズマが発生せず、
被膜形成ができない。
【0085】これに対して本発明の硬質カーボン膜の形
成方法においては、試料11開口内面に配置する補助電
極23に直流正電圧を印加し、電子を強制的に補助電極
23の周囲領域の開口内面に集めているので、補助電極
23周囲にプラズマを発生させることができる。
【0086】したがって直流の正電圧を印加しない補助
電極を用いた硬質カーボン膜の形成では被膜形成ができ
ない開口大きさが小さい試料にも、補助電極電源35か
らの直流正電圧を印加した補助電極を用いる本発明の硬
質カーボン膜の形成方法を適用すれば被膜形成が可能と
なる。
【0087】この補助電極23は、試料11の開口大き
さより小さければよく、好ましくは4mm程度の隙間、
すなわちプラズマ形成領域を設けるようにする。そして
この補助電極23は、ステンレスのような金属材料で形
成すればよい。
【0088】さらに補助電極23の断面形状は円形と
し、試料11に補助電極23を挿入したとき開口長さと
ほぼ同じにするか、あるいは試料より補助電極23を突
出するように構成する。
【0089】ここで補助電極23の断面形状は、試料1
1の開口の断面形状に合わせてもよい。すなわち試料1
1開口の断面形状が四角形であれば補助電極23の断面
形状は四角形とし、試料11開口の断面形状が円形であ
れば補助電極23の断面形状は円形とする。
【0090】つぎに以上の説明と異なる実施例における
硬質カーボン膜の形成方法を説明する。図3は本発明の
実施例における硬質カーボン膜の形成方法を示す断面図
である。
【0091】図3に示すように、ガス導入口15と排気
口17とを有する真空槽13内に、硬質カーボン膜を形
成する試料11を配置する。
【0092】そして排気口17から真空槽13内を図示
しない排気手段により真空排気後、ガス導入口15から
炭素を含むガスとしてメタンガスを真空槽13内に導入
し、真空度を0.1torrになるように調整する。
【0093】その後、この試料11には、直流電源25
からマイナス600Vの直流電圧を印加する。
【0094】さらに試料11の開口内面で、しかも開口
中央部には、補助電極電源35から印加する直流正電圧
に接続する補助電極23を挿入するように配置し、プラ
ズマを発生させる。
【0095】このときプラズマは、試料11の外周部だ
けでなく、試料11の開口内面にもプラズマは発生して
いるので、試料11の開口内面にも硬質カーボン膜を形
成することができる。そして硬質カーボン膜は、外周部
と開口内面とではその膜質に差は発生していない。
【0096】このときの補助電極電源35を用いて補助
電極23に印加する直流正電圧と、試料11の開口内面
に形成する硬質カーボン膜の膜厚との関係を、図7のグ
ラフに示す。
【0097】図7のグラフにおいては、補助電極電源3
5を用いて補助電極23に印加する直流の正電圧をゼロ
Vから30Vまで変化させ、さらに試料11の開口内面
と補助電極23との間の隙間寸法が3mmと5mmのと
きの硬質カーボン膜の膜厚を示す。なお曲線59が試料
11の開口内面と補助電極23との間の隙間が3mmの
ときの特性を示し、曲線61が試料11の開口内面と補
助電極23との間の隙間が5mmのときの特性を示す。
【0098】図7の曲線59、61に示すように、補助
電極電源35から補助電極23に印加する直流正電圧を
増加させると、硬質カーボン膜の膜形成速度は向上す
る。さらにまた試料11の開口内面と補助電極23との
間の隙間寸法が大きいほど、硬質カーボン膜の膜形成速
度は向上している。
【0099】そして曲線59、すなわち試料11の開口
内面と補助電極23との間の隙間寸法が3mmのとき
は、補助電極23に印加する電圧がゼロVの接地電位で
は、試料23開口内面にプラズマが発生せず、硬質カー
ボン膜は形成できない。
【0100】しかし試料11の開口内面と補助電極23
との間の隙間が3mmのときでも、補助電極23に印加
する補助電極電源35からの直流正電圧を高くしていく
と、補助電極23周囲の開口内面にプラズマが発生し、
硬質カーボン膜を形成することができる。
【0101】この図3に示す硬質カーボン膜の被膜形成
方法においては、試料11の開口内面に挿入するように
設け、補助電極電源35から直流正電圧を印加する補助
電極23により、試料11の外周部だけでなく、試料1
1開口内面にもプラズマを形成することができる。
【0102】この試料11の開口内面に挿入するように
配置する補助電極23によって、異常放電であるホロー
放電の発生はなく、硬質カーボン膜の密着性が向上す
る。
【0103】さらに試料11の長手方向の開口内面で、
電位特性が均一になり、開口内面に形成する硬質カーボ
ン膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥側とで
均一な膜厚を形成することができる。
【0104】さらにまた本発明の硬質カーボン膜の形成
方法においては、試料11の開口内面の中央部に設ける
補助電極23に、補助電極電源35からの直流の正電圧
を印加して硬質カーボン膜を形成している。このため直
流正電圧を印加する補助電極23の周囲領域に電子を集
める効果が生じ、この補助電極23の周囲領域は電子密
度が高くなる。
【0105】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガス分子と電子との衝突確率が増え、ガス
分子のイオン化が促進されて、試料11の開口内面領域
のプラズマ強度が高くなる。
【0106】このため補助電極23に直流の正電圧を印
加する本発明の硬質カーボン膜の形成方法においては、
硬質カーボン膜の膜形成速度は、補助電極23に直流の
正電圧を印加しないときと比らべて高くなる。
【0107】さらに試料11の開口大きさが小さくな
り、開口内面と補助電極23との隙間が小さくなると、
補助電極23に直流の正電圧を印加しないで硬質カーボ
ン膜を形成すると、開口内面にはプラズマが発生せず、
膜形成ができない。
【0108】これに対して本発明の硬質カーボン膜の被
膜形成方法においては、試料11の開口内面に配置する
補助電極23に補助電極電源35を用いて直流正電圧を
印加し、電子を強制的に補助電極23の周囲領域の開口
内面に集めているので、補助電極23周囲にプラズマを
発生させることができる。
【0109】したがって、直流の正電圧を印加しない補
助電極を用いた硬質カーボン膜の形成では被膜形成がで
きない開口大きさが小さい試料にも、補助電極電源35
からの直流正電圧を印加した補助電極を用いる本発明の
硬質カーボン膜の形成方法を適用すれば被膜形成が可能
となる。
【0110】この補助電極23は、試料11の開口大き
さより小さければよく、好ましくは4mm程度の隙間、
すなわちプラズマ形成領域を設けるようにする。そして
この補助電極23は、ステンレスのような金属材料で形
成すればよい。
【0111】さらに補助電極23の断面形状は円形と
し、試料11に補助電極23を挿入したとき開口長さと
ほぼ同じにするか、あるいは試料より補助電極23を突
出するように構成する。
【0112】ここで補助電極23の断面形状は、試料1
1の開口の断面形状に合わせてもよい。すなわち試料1
1開口の断面形状が四角形であれば補助電極23の断面
形状は四角形とし、試料11開口の断面形状が円形であ
れば補助電極23の断面形状は円形とする。
【0113】図1から図3を用いて説明した本発明の硬
質カーボン膜の形成方法における以上の説明において
は、試料11の外周部と開口内面とに硬質カーボン膜を
形成する実施例で説明したが、開口内面にのみに硬質カ
ーボン膜を形成するすることができる。
【0114】そのときは、試料11の外周部に被覆部材
を配置する方法や、簡易的にはアルミニウム箔を試料1
1の外周部に巻き付けるように形成してもよい。
【0115】さらに図1から図3を用いて説明した本発
明の硬質カーボン膜の形成方法における以上の説明にお
いては、試料11に直接硬質カーボン膜を形成する実施
例で説明したが、中間層を介して硬質カーボン膜を形成
してもよい。
【0116】そのときは、この中間層としては、周期律
表第IV族のシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)
や、あるいはシリコンやゲルマニウムの化合物でもよ
い。あるいはこの中間層としては、シリコンカーバイト
(SiC)やチタンカーバイト(TiC)のような炭素
を含む化合物でもよい。
【0117】さらに中間層としては、チタン(Ti)や
クロム(Cr)と、シリコンやゲルマニウムとの2層膜
でもよい。このとき中間層の下層のチタンやクロムは試
料との密着性を保つ役割をもち、中間層の上層のシリコ
ンやゲルマニウムは硬質カーボン膜と共有結合して、こ
の硬質カーボン膜と強く結合する役割をもつ。
【0118】さらにまた中間層としては、チタン化合物
やクロム化合物とシリコン化合物やゲルマニウム化合物
との2層膜でもよく、あるいはチタンやクロムとシリコ
ン化合物やゲルマニウム化合物との2層膜でもよく、あ
るいはチタン化合物やクロム化合物とシリコンやゲルマ
ニウムとの2層膜としてもよい。
【0119】そしてこの中間層の形成方法としては、ス
パッタリング法やイオンプレーティング法や化学気相成
長(CVD)法や溶射法を適用すればよい。
【0120】さらにまた図1から図3を用いて説明した
本発明の硬質カーボン膜の形成方法における以上の本発
明の硬質カーボン膜の形成方法の説明においては、炭素
を含むガスとしてメタンガスやベンゼンガスを用いる実
施例で説明したが、メタン以外にエチレンなどの炭素を
含むガスや、あるいはヘキサンなどの炭素を含む液体の
蒸発蒸気も使用することができる。
【0121】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
硬質カーボン膜の形成方法では、試料の開口内面に、補
助電極電源からの直流正電圧に接続する補助電極を配置
して硬質カーボン膜を形成している。そして試料には、
高周波電圧あるいは負の直流電圧を印加する。
【0122】このため、同電位の電極どうしが対向して
いる開口内面に、直流正電位に接続する補助電極を設け
ることとなり、同電位どうしが対向することがなくな
り、異常放電であるホロー放電は発生しない。そのた
め、密着性が良好な硬質カーボン膜を試料に形成するこ
とができる。
【0123】さらに本発明の硬質カーボン膜の形成方法
においては、直流正電圧に接続する補助電極を試料の開
口内面に配置して被膜形成しており、試料の長手方向の
開口内面で、電位特性を均一にすることができる。この
結果、開口内面に形成する硬質カーボン膜の膜厚分布の
発生がなく、開口端面と開口中側とで均一な膜厚を形成
することができるという効果ももつ。
【0124】さらにまた本発明の硬質カーボン膜の形成
方法においては、試料の開口内面の中央部に設ける補助
電極に、直流の正電圧を印加して硬質カーボン膜を形成
している。このため直流正電圧を印加する補助電極の周
囲領域に電子を集める効果が生じ、この補助電極の周囲
領域は電子密度が高くなる。
【0125】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガス分子と電子との衝突確率が増え、ガス
分子のイオン化が促進されて、その補助電極の周囲領域
のプラズマ強度が高くなる。
【0126】このため補助電極に直流の正電圧を印加す
る本発明の硬質カーボン膜の形成方法においては、硬質
カーボン膜の膜形成速度は、補助電極に直流の正電圧を
印加しないときと比らべて高くなる。
【0127】さらに試料の開口大きさが小さくなり、開
口内面と補助電極との隙間が小さくなると、補助電極に
直流の正電圧を印加しないで硬質カーボン膜を形成する
と、開口内面にはプラズマが発生せず、被膜形成ができ
ない。
【0128】これに対して本発明の硬質カーボン膜の形
成方法においては、開口内面に配置する補助電極に直流
正電圧を印加しているので、電子を強制的に補助電極の
周囲領域の試料開口内面に集めて、補助電極の周囲にプ
ラズマを発生させることができる。
【0129】したがって、直流の正電圧を印加しない補
助電極を用いた硬質カーボン膜の形成では被膜形成がで
きない開口大きさが小さい試料にも、直流正電圧を印加
する補助電極を用いる本発明の硬質カーボン膜の形成方
法を適用すれば被膜形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における硬質カーボン膜の形成
方法を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例における硬質カーボン膜の形成
方法を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例における硬質カーボン膜の形成
方法を示す断面図である。
【図4】従来技術における硬質カーボン膜の形成方法を
示す断面図である。
【図5】本発明の実施例における硬質カーボン膜の形成
方法の補助電極に印加する直流正電圧と硬質カーボン膜
の膜形成速度との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例における硬質カーボン膜の形成
方法の補助電極に印加する直流正電圧と硬質カーボン膜
の膜形成速度との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例における硬質カーボン膜の形成
方法の補助電極に印加する直流正電圧と硬質カーボン膜
の膜形成速度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
11 試料 13 真空槽 15 ガス導入口 17 排気口 21 高周波電源 23 補助電極 25 直流電源 35 補助電極電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸井田 孝志 埼玉県所沢市大字下富字武野840番地 シ チズン時計株式会社技術研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の開口内面に直流正電圧を印加する
    補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試料
    を真空槽の中に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口
    から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に直流電
    圧を印加しアノードに直流電圧を印加しフィラメントに
    交流電圧を印加してプラズマを発生させて試料に硬質カ
    ーボン膜を形成することを特徴とする硬質カーボン膜の
    形成方法。
  2. 【請求項2】 中間層を形成した試料の開口内面に直流
    正電圧を印加する補助電極電源に接続する補助電極を挿
    入するように試料を真空槽内に配置し、真空槽内を排気
    後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入
    し、試料に直流電圧を印加しアノードに直流電圧を印加
    しフィラメントに交流電圧を印加してプラズマを発生さ
    せて試料に硬質カーボン膜を形成することを特徴とする
    硬質カーボン膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 試料の開口内面に直流正電圧を印加する
    補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試料
    を真空槽内に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口か
    ら炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に高周波電
    圧を印加し、プラズマを発生させて試料に硬質カーボン
    膜を形成することを特徴とする硬質カーボン膜の形成方
    法。
  4. 【請求項4】 中間層を形成した試料の開口内面に直流
    正電圧を印加する補助電極電源に接続する補助電極を挿
    入するように試料を真空槽内に配置し、真空槽内を排気
    後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入
    し、試料に高周波電圧を印加し、プラズマを発生させて
    試料に硬質カーボン膜を形成することを特徴とする硬質
    カーボン膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 試料の開口内面に直流正電圧を印加する
    補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試料
    を真空槽内に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口か
    ら炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に直流電圧
    を印加し、プラズマを発生させて試料に硬質カーボン膜
    を形成することを特徴とする硬質カーボン膜の形成方
    法。
  6. 【請求項6】 中間層を形成した試料の開口内面に直流
    正電圧を印加する補助電極電源に接続する補助電極を挿
    入するように試料を真空槽内に配置し、真空槽内を排気
    後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入
    し、試料に直流電圧を印加し、プラズマを発生させて試
    料に硬質カーボン膜を形成することを特徴とする硬質カ
    ーボン膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 試料の開口内面に直流正電圧を印加する
    補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試料
    を真空槽内に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口か
    ら炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に直流電圧
    を印加しアノードに直流電圧を印加しフィラメントに交
    流電圧を印加してプラズマを発生させて試料の外周部を
    被覆して開口内面に硬質カーボン膜を形成することを特
    徴とする硬質カーボン膜の形成方法。
  8. 【請求項8】 中間層を形成した試料の開口内面に直流
    正電圧を印加する補助電極電源に接続する補助電極を挿
    入するように試料を真空槽内に配置し、真空槽内を排気
    後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入
    し、試料に直流電圧を印加しアノードに直流電圧を印加
    しフィラメントに交流電圧を印加してプラズマを発生さ
    せて試料の外周部を被覆して開口内面に硬質カーボン膜
    を形成することを特徴とする硬質カーボン膜の形成方
    法。
  9. 【請求項9】 試料の開口内面に直流正電圧を印加する
    補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試料
    を真空槽内に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口か
    ら炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に高周波電
    圧を印加し、プラズマを発生させて試料の外周部を被覆
    して開口内面に硬質カーボン膜を形成することを特徴と
    する硬質カーボン膜の形成方法。
  10. 【請求項10】 中間層を形成した試料の開口内面に直
    流正電圧を印加する補助電極電源に接続する補助電極を
    挿入するように試料を真空槽内に配置し、真空槽内を排
    気後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入
    し、試料に高周波電圧を印加し、プラズマを発生させて
    試料の外周部を被覆して開口内面に硬質カーボン膜を形
    成することを特徴とする硬質カーボン膜の形成方法。
  11. 【請求項11】 試料の開口内面に直流正電圧を印加す
    る補助電極電源に接続する補助電極を挿入するように試
    料を真空槽内に配置し、真空槽内を排気後、ガス導入口
    から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、試料に直流電
    圧を印加し、プラズマを発生させて試料の外周部を被覆
    して開口内面に硬質カーボン膜を形成することを特徴と
    する硬質カーボン膜の形成方法。
  12. 【請求項12】 中間層を形成した試料の開口内面に直
    流正電圧を印加する補助電極電源に接続する補助電極を
    挿入するように試料を真空槽内に配置し、真空槽内を排
    気後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入
    し、試料に直流電圧を印加し、プラズマを発生させて試
    料の外周部を被覆して開口内面に硬質カーボン膜を形成
    することを特徴とする硬質カーボン膜の形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1998001600A1 (fr) * 1996-07-08 1998-01-15 Citizen Watch Co., Ltd. Bague de guidage et procede de formation d'un film sur une bague de guidage
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