JPH10280155A - 円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方法 - Google Patents

円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方法

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JPH10280155A
JPH10280155A JP9083733A JP8373397A JPH10280155A JP H10280155 A JPH10280155 A JP H10280155A JP 9083733 A JP9083733 A JP 9083733A JP 8373397 A JP8373397 A JP 8373397A JP H10280155 A JPH10280155 A JP H10280155A
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JP
Japan
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cylindrical member
hard carbon
carbon film
vacuum chamber
voltage
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Application number
JP9083733A
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English (en)
Inventor
Osamu Sugiyama
杉山  修
Yukio Miya
宮  行男
Ryuta Koike
▲龍▼太 小池
Takashi Toida
孝志 戸井田
Toshiichi Sekine
敏一 関根
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Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
Citizen Watch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 円筒状部材に密着性よく硬質カーボン膜を形
成することが可能な硬質カーボン膜の被膜形成方法を提
供する。 【解決手段】 円筒状部材11の開口内面に接地電位と
接続する補助電極71を挿入するように円筒状部材11
を真空槽61内に配置し、排気口65から真空槽61内
を排気した後、ガス導入口63から炭素を含むガスを真
空槽61内に導入し、リアクトル54を介して円筒状部
材11に直流電圧を印加しアノード79に直流電圧を印
加しフィラメント81に交流電圧を印加してプラズマを
発生させて円筒状部材11に硬質カーボン膜を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は硬質カーボン膜を円
筒状部材の内周面に形成するための被膜形成方法にかん
し、とくにブッシュやピストンリングやベアリングなど
の円筒状部材(部品)の内周面に硬質カーボン膜を形成
する被膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】円筒状部材の内周面に硬質カーボン膜を
被覆して、内周面の摩耗を抑制することが提案されてい
る。この硬質カーボン膜は黒色状の被膜で、ダイヤモン
ドによく似た性質をもつ。すなわち硬質カーボン膜は、
高い機械的硬度や低い摩擦係数や良好な電気的絶縁性や
高い熱伝導率や高い耐腐食性という優れた特性をもつ。
【0003】そのためブッシュやピストンリングやベア
リングなどに硬質カーボン膜を被覆することが提案さ
れ、実用化されている。そしてこの硬質カーボン膜は水
素化アモルファス・カーボン膜であり、前述のようにダ
イヤモンドとよく似た性質をもつため、ダイヤモンド・
ライク・カーボン膜(DLC)と呼ばれたり、あるいは
i−カーボン膜ともよばれている。
【0004】プラスマ化学気相成長法を用いた従来技術
における円筒状部材への硬質カーボン膜の形成方法を、
図5を用いて説明する。図5は、従来技術における硬質
カーボン膜の円筒状部材の内周面への形成方法を示す断
面図である。
【0005】図5に示すように、ガス導入口63と排気
口65とを有する真空槽61内に、硬質カーボン膜を形
成する円筒状部材11を配置する。このとき円筒状部材
11の開口内面には補助電極71を配置する。そしてこ
の補助電極71は接地電位に接続する。
【0006】そして、図5に図示しない排気手段によっ
て、排気口65から真空槽61の内部を、その真空度が
3×10-5torr以下の圧力になるように真空排気す
る。その後、ガス導入口63から炭素を含むガスを真空
槽61内に導入して、真空槽61内部の圧力を5×10
-3torrになるように調整する。
【0007】そしてこの円筒状部材11には、直流電源
73から直流電圧を印加する。また円筒状部材11に対
向するように配置するアノード79にはアノード電源7
5から直流電圧を印加し、さらにフィラメント81には
フィラメント電源77から交流電圧を印加する。このと
き、直流電源73から円筒状部材11に印加する直流電
圧は、マイナス3kVを印加し、さらにアノード電源7
5からアノード79に印加する直流電圧はプラス50V
を印加する。さらにフィラメント電源77からフィラメ
ント81に印加する電圧は30Aの電流が流れるように
10Vの交流電圧を印加する。
【0008】すると真空槽61内の円筒状部材11の開
口内面の補助電極71の周囲領域にプラズマが発生し
て、円筒状部材11の開口内面の被加工物と接触する内
周面に硬質カーボン膜を形成することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図5を用いて説明した
円筒状部材11への硬質カーボン膜の形成方法では、被
膜形成圧力である5×10-3torrにて、円筒状部材
11に直流電源73からマイナス3kVの直流電圧を印
加している。
【0010】このためプラズマ放電開始の瞬間に、円筒
状部材11に異常放電であるアーク放電が発生する。こ
のアーク放電が発生する理由を以下に記載する。すなわ
ち真空槽61内部の圧力が5×10-3torrのような
高い状態は、真空槽61内の空間に電子などの電荷が多
い状態であり、空間インピーダンスが低く、このような
状態ではアーク放電が発生しやすい。
【0011】さらにプラズマ放電開始のときは、硬質カ
ーボン膜の被膜形成初期でもある。この被膜形成初期に
形成される膜質によって、円筒状部材11との密着性を
左右する重要な時間である。したがって、プラズマ放電
の最初期に、異常放電であるアーク放電が発生すると、
硬質カーボン膜の密着性が低下し、円筒状部材から剥離
するという問題点が発生する。
【0012】〔発明の目的〕本発明の目的は、上記課題
を解決して、円筒状部材に密着性よく、硬質カーボン膜
を形成することが可能な硬質カーボン膜の被膜形成方法
を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明における円筒状部材内周面への硬質カーボン膜
の形成方法においては、下記記載の手段を採用する。
【0014】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、円筒状部材の開口内面に接
地電位と接続する補助電極を挿入するように円筒状部材
を真空槽内に配置し、排気口から真空槽内を排気した
後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入
し、リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印加し
アノードに直流電圧を印加しフィラメントに交流電圧を
印加してプラズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボ
ン膜を形成することを特徴とする。
【0015】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法は、円筒状部材の開口内面に接地電位と
接続する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽
内に配置し、排気口から真空槽内を排気した後、ガス導
入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、リアクト
ルを介して円筒状部材に直流電圧を印加して、プラズマ
を発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜を形成するこ
とを特徴とする。
【0016】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法は、中間層を形成した円筒状部材の開口
内面に接地電位と接続する補助電極を挿入するように円
筒状部材を真空槽内に配置し、排気口から真空槽内を排
気した後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に
導入し、リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印
加しアノードに直流電圧を印加しフィラメントに交流電
圧を印加してプラズマを発生させて円筒状部材に硬質カ
ーボン膜を形成することを特徴とする。
【0017】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、中間層を形成した円筒状部
材の開口内面に接地電位と接続する補助電極を挿入する
ように円筒状部材を真空槽内に配置し、排気口から真空
槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含むガスを真
空槽内に導入し、リアクトルを介して円筒状部材に直流
電圧を印加して、プラズマを発生させて円筒状部材に硬
質カーボン膜を形成することを特徴とする。
【0018】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、円筒状部材の開口内面に直
流電源と接続する補助電極を挿入するように円筒状部材
を真空槽内に配置し、排気口から真空槽内を排気した
後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入
し、補助電極に直流正電圧を印加し、リアクトルを介し
て円筒状部材に直流電圧を印加しアノードに直流電圧を
印加しフィラメントに交流電圧を印加してプラズマを発
生させて円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを
特徴とする。
【0019】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、円筒状部材の開口内面に直
流電源と接続する補助電極を挿入するように円筒状部材
を真空槽内に配置し、排気口から真空槽内を排気した
後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入
し、補助電極に直流正電圧を印加し、リアクトルを介し
て円筒状部材に直流電圧を印加して、プラズマを発生さ
せて円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴
とする。
【0020】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、中間層を形成した円筒状部
材の開口内面に直流電源と接続する補助電極を挿入する
ように円筒状部材を真空槽内に配置し、排気口から真空
槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含むガスを真
空槽内に導入し、補助電極に直流正電圧を印加し、リア
クトルを介して円筒状部材に直流電圧を印加しアノード
に直流電圧を印加しフィラメントに交流電圧を印加して
プラズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜を形
成することを特徴とする。
【0021】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、中間層を形成した円筒状部
材の開口内面に直流電源と接続する補助電極を挿入する
ように円筒状部材を真空槽内に配置し、排気口から真空
槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含むガスを真
空槽内に導入し、補助電極に直流正電圧を印加し、リア
クトルを介して円筒状部材に直流電圧を印加して、プラ
ズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜を形成す
ることを特徴とする。
【0022】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、端面部にダミー部材を配置
した円筒状部材の開口内面に接地電位と接続する補助電
極を挿入するように円筒状部材を真空槽内に配置し、排
気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を
含むガスを真空槽内に導入し、リアクトルを介して円筒
状部材に直流電圧を印加しアノードに直流電圧を印加し
フィラメントに交流電圧を印加してプラズマを発生させ
て円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴と
する。
【0023】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、端面部にダミー部材を配置
した円筒状部材の開口内面に接地電位と接続する補助電
極を挿入するように円筒状部材を真空槽内に配置し、排
気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を
含むガスを真空槽内に導入し、リアクトルを介して円筒
状部材に直流電圧を印加して、プラズマを発生させて円
筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴とす
る。
【0024】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法は、端面部にダミー部材を配置し、さら
に中間層を形成した円筒状部材の開口内面に接地電位と
接続する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽
内に配置し、排気口から真空槽内を排気した後、ガス導
入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、リアクト
ルを介して円筒状部材に直流電圧を印加しアノードに直
流電圧を印加しフィラメントに交流電圧を印加してプラ
ズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜を形成す
ることを特徴とする。
【0025】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法は、端面部にダミー部材を配置し、さら
に中間層を形成した円筒状部材の開口内面に接地電位と
接続する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽
内に配置し、排気口から真空槽内を排気した後、ガス導
入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、リアクト
ルを介して円筒状部材に直流電圧を印加して、プラズマ
を発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜を形成するこ
とを特徴とする。
【0026】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、端面部にダミー部材を配置
した円筒状部材の開口内面に直流電源と接続する補助電
極を挿入するように円筒状部材を真空槽内に配置し、排
気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を
含むガスを真空槽内に導入し、補助電極に直流正電圧を
印加し、リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印
加しアノードに直流電圧を印加しフィラメントに交流電
圧を印加してプラズマを発生させて円筒状部材に硬質カ
ーボン膜を形成することを特徴とする。
【0027】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、端面部にダミー部材を配置
した円筒状部材の開口内面に直流電源と接続する補助電
極を挿入するように円筒状部材を真空槽内に配置し、排
気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を
含むガスを真空槽内に導入し、補助電極に直流正電圧を
印加し、リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印
加して、プラズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボ
ン膜を形成することを特徴とする。
【0028】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法は、端面部にダミー部材を配置し、さら
に中間層を形成した円筒状部材の開口内面に直流電源と
接続する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽
内に配置し、排気口から真空槽内を排気した後、ガス導
入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、補助電極
に直流正電圧を印加し、リアクトルを介して円筒状部材
に直流電圧を印加しアノードに直流電圧を印加しフィラ
メントに交流電圧を印加してプラズマを発生させて円筒
状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴とする。
【0029】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、端面部にダミー部材を配置
し、さらに中間層を形成した円筒状部材の開口内面に直
流電源と接続する補助電極を挿入するように円筒状部材
を真空槽の内部に配置し、排気口から真空槽内を排気し
た後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入
し、補助電極に直流正電圧を印加し、リアクトルを介し
て円筒状部材に直流電圧を印加して、プラズマを発生さ
せて円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴
とする。
【0030】〔作用〕本発明の円筒状部材内周面への硬
質カーボン膜の形成方法においては、円筒状部材に直流
電圧を印加するための直流電源と円筒状部材とのあいだ
に、コイルにて構成するリアクトルを介在させる。この
リアクトルを設けて硬質カーボン膜を形成すると、プラ
ズマ放電を安定させることができ、異常放電であるアー
ク放電は発生しない。
【0031】このようにプラズマ放電開始の硬質カーボ
ン膜の被膜形成初期には、異常放電であるアーク放電は
発生しない。したがって、硬質カーボン膜の密着性を左
右する被膜形成初期に、異常放電であるアーク放電が円
筒状部材に発生せず、硬質カーボン膜の膜質や密着性を
向上させることができる。このため本発明の硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、硬質カーボン膜が円筒状部
材から剥離するという現象は発生しない。
【0032】このためプラズマ放電の不安定に起因す
る、円筒状部材の内周面に形成する硬質カーボン膜の膜
質劣化は、本発明では発生しない。この結果、硬質カー
ボン膜のもつ優れた特性を充分に発揮することが可能と
なる。したがって、円筒状部材の内周面に膜形成時間を
延長して、厚く硬質カーボン膜を形成しても、プラズマ
放電は安定で、円筒状部材に硬質カーボン膜を厚い膜厚
で形成することができる。この結果、本発明では円筒状
部材の長期使用に対する信頼性を向上させることができ
る。
【0033】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、円筒状部材の開口内面の開
口の中央部に、接地電位または直流正電圧に接続する補
助電極を配置して硬質カーボン膜を形成する。そして円
筒状部材には、負の直流電圧を印加する。
【0034】その結果、同電位の電極どうしが対向して
いる円筒状部材開口内面に、接地電位または直流正電圧
に接続する補助電極を設けることとなり、同電位どうし
が対向することがなくなる。このような電位状態は、プ
ラスマ化学気相成長法にとってもっとも望ましい状態で
あり、異常放電であるホロー放電は発生しない。そのた
め、密着性の良好な硬質カーボン膜を円筒状部材に形成
することができる。
【0035】そのうえ、本発明の円筒状部材内周面への
硬質カーボン膜の形成方法においては、前述のように円
筒状部材の開口内面に補助電極を配置しており、円筒状
部材の長手方向の開口内面で、電位特性が均一になる。
この結果、円筒状部材の開口内面に形成する硬質カーボ
ン膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥側とで
均一な膜厚を形成することができるという効果ももつ。
【0036】さらに本発明の円筒状部材内周面への硬質
カーボン膜の形成方法においては、円筒状部材に開口内
面に配置する補助電極に直流の正電圧を印加して硬質カ
ーボン膜を形成する手段を採用する。このように直流正
電圧を補助電極に印加すると、補助電極の周囲領域に電
子を集める効果を生じ、補助電極の周囲領域は電子密度
が高くなる。
【0037】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガスと電子との衝突確率が増えて、ガス分
子のイオン化が促進されて、その補助電極の周囲領域の
プラズマ密度が高くなる。このため硬質カーボン膜の被
膜形成速度は、補助電極に直流正電圧を印加しないとき
と比較して高くなる。
【0038】さらに本発明の円筒状部材内周面への硬質
カーボン膜の形成方法においては、円筒状部材の端面部
にダミー部材を配置して被膜形成している。このダミー
部材は以下に記載する役割をもつ。円筒状部材の端面は
電荷が集中しやすく、内面部に比較してて開口端面領域
は電位が高い状態であるエッジ効果を生じる。ここで円
筒状部材の端面近傍領域のプラズマ強度は、ほかの領域
より大きく、しかも不安定である。さらに円筒状部材の
端面領域は内面のプラズマと外周部のプラズマとの双方
のプラズマの影響を受けることになる。
【0039】そしてこのような状態で硬質カーボン膜を
形成すると、円筒状部材の開口端面から数mm奥側の領
域とほかの領域とでは、硬質カーボン膜の密着性が若干
異なり、さらに膜質も若干異なる。そこで円筒状部材の
開口端面にダミー部材を配置して硬質カーボン膜を形成
すれば、この膜質や密着性が異なる領域は円筒状部材の
内周面に形成されず、ダミー部材の開口内面に形成され
ることになる。したがって、このダミー部材を用いるこ
とによって、円筒状部材に形成する硬質カーボン膜の密
着性と膜質の向上を図ることができる。
【0040】そのうえさらに円筒状部材内周面に形成す
る硬質カーボン膜は、黒色状の被膜であり、ダイヤモン
ドによく似た性質をもつ。すなわち硬質カーボン膜は、
高い機械的硬度や低い摩擦係数や良好な電気的絶縁性や
高い熱伝導率や高い耐腐食性という優れた特性をもつ。
このため本発明の円筒状部材は、内周面の摩耗を抑える
ことができ、長期使用にたいする信頼性を向上させるこ
とができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明を実施
するための最良の実施形態における円筒状部材の内周面
への硬質カーボン膜の被膜形成方法を説明する。
【0042】〔硬質カーボン膜の形成方法の第1例:図
1〕円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方法に
おける実施形態を、図1を用いて説明する。図1は本発
明の実施形態における円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法を示す断面図である。
【0043】図1に示すように、ガス導入口63と排気
口65を有する真空槽61内部に、その内周面に硬質カ
ーボン膜を形成する円筒状部材11を配置する。円筒状
部材11は、リアクトル54を介して直流電源73に接
続する。このリアクトル54は銅(Cu)線を巻回して
構成し、そのリアクタンス値は100mH程度に設定す
る。
【0044】そして円筒状部材11の開口内面には、接
地電位に接続する補助電極71を挿入するように設け
る。このとき補助電極71は、円筒状部材11の開口中
央部になるように配置する。なおこの図1では図示して
いないが、円筒状部材11は真空槽61の底面に、支持
部材によって支持されている。
【0045】そして真空槽61内を真空度が3×10-5
torr以下になるように、図示しない排気手段によっ
て排気口65から真空排気する。その後、ガス導入口6
3から炭素を含むガスとしてベンゼン(C6 H6 )を真
空槽61内に導入して、真空槽61内の圧力を5×10
-3torrになるように制御する。
【0046】その後、円筒状部材11には直流電源73
に直列接続したリアクトル54を介して直流電源73か
ら直流電圧を印加し、さらにアノード79にはアノード
電源75から直流電圧を印加し、さらにフィラメント8
1にはフィラメント電源77から交流電圧を印加する。
【0047】このとき、直流電源73から円筒状部材1
1に印加する直流電圧はマイナス3kVを印加し、さら
にアノード電源75からアノード79に印加する直流電
圧はプラス50Vを印加する。さらにフィラメント電源
77からフィラメント81に印加する電圧は30Aの電
流が流れるように10Vの交流電圧を印加する。すると
真空槽61内の円筒状部材11の周囲領域にプラズマが
発生して、円筒状部材11の内周面に硬質カーボン膜を
形成している。このとき硬質カーボン膜は1μmから5
μmの膜厚で形成する。
【0048】このように本発明の硬質カーボン膜の形成
方法では、円筒状部材11と直流電源73とのあいだに
リアクトル54を設け、円筒状部材11の内周面に硬質
カーボン膜を形成している。このリアクトル54を設け
ることにより、本発明においては、プラズマ放電を安定
させることができる。さらに硬質カーボン膜の膜質を左
右する被膜形成初期に、異常放電であるアーク放電が円
筒状部材11に発生せず、硬質カーボン膜の膜質や密着
性を向上させることができる。
【0049】この円筒状部材11の開口内面に挿入する
ように配置する補助電極71によって、開口内面領域に
おいては、同電位どうしが対向することがなくなる。こ
のため、本発明では異常放電であるホロー放電の発生は
なく、円筒状部材11の開口内面に形成する硬質カーボ
ン膜の密着性が向上する。さらに円筒状部材11の長手
方向の開口内面では補助電極71により、電位特性が均
一になり、開口内面に形成する硬質カーボン膜の膜厚分
布の発生がない。このため本発明の円筒状部材11は、
開口端面と開口奥側とで均一な膜厚を形成することがで
きる。
【0050】この補助電極71は、円筒状部材11の開
口大きさより小さければよく、好ましくは4mm程度の
隙間であるプラズマ形成領域を設けるようにする。この
補助電極71の径と円筒状部材11の内周面11bの径
の寸法比を1/10以下にすることが望ましく、補助電
極71を細くするときは線状にすることもできる。そし
てこの補助電極71は、ステンレスのような金属材料や
タングステン(W)またはタンタル(Ta)のような高
融点の金属材料で形成すればよい。
【0051】さらにこの補助電極71の断面形状は円形
状とする。そして、円筒状部材11に補助電極71を挿
入したとき、円筒状部材11の開口端面と揃えるような
長さとするか、あるいは円筒状部材11端面から補助電
極71を突出するような長さとするか、あるいは円筒状
部材11端面より突出せず端面から1mm〜2mm奥側
になるような長さとなるように構成する。
【0052】〔硬質カーボン膜の形成方法の第2例:図
2〕つぎに円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成
方法における実施形態を、図2を用いて説明する。図2
は本発明の実施形態における円筒状部材内周面への硬質
カーボン膜の形成方法を示す断面図である。
【0053】図2に示すように、ガス導入口63と排気
口65を有する真空槽61内部に、その内周面に硬質カ
ーボン膜を形成する円筒状部材11を配置する。円筒状
部材11は、リアクトル54を介して直流電源73に接
続する。このリアクトル54は、銅(Cu)線を巻回し
て構成し、そのリアクタンス値は100mH程度に設定
する。
【0054】そして円筒状部材11の開口内面には、図
2に示すように、接地電位に接続する補助電極71を挿
入するように設ける。このとき補助電極71は、円筒状
部材11の開口中央部になるように配置する。なおこの
図2では図示していないが、円筒状部材11は真空槽6
1の底面に、支持部材によって支持されている。
【0055】そして排気口65から真空槽61内を、真
空度が3×10-5torr以下になるように、図示しな
い排気手段によって真空排気する。その後、ガス導入口
63から炭素を含むガスとしてメタンガス(CH4 )を
真空槽61内に導入し、真空度を0.1torrになる
ように調整する。
【0056】そして円筒状部材11には、リアクトル5
4を介して直流電源73からマイナス600Vの直流負
電圧を印加する。さらに円筒状部材11の開口内面でし
かも開口中央部には、接地電位に接続する補助電極71
を挿入するように配置して、プラズマを発生させて、円
筒状部材11の内周面に硬質カーボン膜15を形成して
いる。このとき硬質カーボン膜は1μmから5μmの膜
厚で形成する。
【0057】このように本発明の硬質カーボン膜の形成
方法では、円筒状部材11と直流電源73とのあいだに
リアクトル54を設け、円筒状部材11の内周面に硬質
カーボン膜を形成している。このリアクトル54を設け
ることにより、本発明においては、プラズマ放電を安定
させることができる。さらに硬質カーボン膜の膜質を左
右する被膜形成初期に、異常放電であるアーク放電が円
筒状部材11に発生せず、硬質カーボン膜の膜質や密着
性を向上させることができる。
【0058】この円筒状部材11の開口内面に挿入する
ように配置する補助電極71によって、開口内面領域に
おいては同電位どうしが対向することがなくなる。この
ため、異常放電であるホロー放電の発生はなく、円筒状
部材11の開口内面に形成する硬質カーボン膜の密着性
が向上する。さらに円筒状部材11の長手方向の開口内
面で、電位特性が均一になり、開口内面に形成する硬質
カーボン膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥
側とで均一な膜厚を形成することができる。
【0059】この補助電極71は、円筒状部材11の開
口大きさより小さければよく、好ましくは4mm程度の
隙間であるプラズマ形成領域を設けるようにする。この
補助電極71の径と円筒状部材11の内周面11bの径
の寸法比を1/10以下にすることが望ましく、補助電
極71を細くするときは線状にすることもできる。そし
てこの補助電極71は、ステンレスのような金属材料や
タングステン(W)またはタンタル(Ta)のような高
融点の金属材料で形成すればよい。
【0060】さらにこの補助電極71の断面形状は円形
状とし、円筒状部材11に補助電極71を挿入したと
き、円筒状部材11の開口端面と揃えるような長さとす
るか、あるいは円筒状部材11端面から補助電極71を
突出するような長さとするか、あるいは円筒状部材11
端面より突出せず端面から1mm〜2mm奥側になるよ
うな長さとなるように構成する。
【0061】〔硬質カーボン膜の形成方法の第3例:図
3〕円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方法に
おける実施形態を、図3を用いて説明する。図3は本発
明の実施形態における円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法を示す断面図である。
【0062】図3に示すように、ガス導入口63と排気
口65を有する真空槽61内部に、その内周面に硬質カ
ーボン膜を形成する円筒状部材11を配置する。円筒状
部材11は、リアクトル54を介して直流電源73に接
続する。このリアクトル54は銅(Cu)線を巻回して
構成し、そのリアクタンス値は100mH程度に設定す
る。
【0063】そして円筒状部材11の開口端面には、ダ
ミー部材53を配置する。このダミー部材53は、円柱
状の形状を有し、その中心に円筒状部材11の内周面の
開口寸法とほぼおなじ内径寸法の開口を設ける。このダ
ミー部材53の外径寸法は、円筒状部材11の外径寸法
の大きさと同じ大きさとする。つまりダミー部材53は
リング状の形状を有する。
【0064】そして円筒状部材11の開口内面には、接
地電位に接続する補助電極71を挿入するように配置す
る。このとき補助電極71は、円筒状部材11とダミー
部材53の開口中央部になるように配置する。なおこの
図3では図示していないが、円筒状部材11とダミー部
材53は真空槽61の底面に、支持部材によって支持さ
れている。
【0065】そして真空槽61内を真空度が3×10-5
torr以下になるように、図示しない排気手段によっ
て排気口65から真空排気する。その後、ガス導入口6
3から炭素を含むガスとしてベンゼン(C6 H6 )を真
空槽61内に導入して、真空槽61内の圧力を5×10
-3torrになるように制御する。
【0066】その後、円筒状部材11には直流電源73
に直列接続したリアクトル54を介して直流電源73か
ら直流電圧を印加し、さらにアノード79にはアノード
電源75から直流電圧を印加し、さらにフィラメント8
1にはフィラメント電源77から交流電圧を印加する。
【0067】このとき、直流電源73から円筒状部材1
1に印加する直流電圧はマイナス3kVを印加し、さら
にアノード電源75からアノード79に印加する直流電
圧はプラス50Vを印加する。さらにフィラメント電源
77からフィラメント81に印加する電圧は30Aの電
流が流れるように10Vの交流電圧を印加する。すると
真空槽61内の円筒状部材11の周囲領域にプラズマが
発生して、円筒状部材11の内周面に硬質カーボン膜を
形成している。このとき硬質カーボン膜は1μmから5
μmの膜厚で形成する。
【0068】このように本発明の硬質カーボン膜の形成
方法では、円筒状部材11と直流電源73とのあいだに
リアクトル54を設け、円筒状部材11の内周面に硬質
カーボン膜を形成している。このリアクトル54を設け
ることにより、本発明においては、プラズマ放電を安定
させることができる。さらに硬質カーボン膜の膜質を左
右する被膜形成初期に、異常放電であるアーク放電が円
筒状部材11に発生せず、硬質カーボン膜の膜質や密着
性を向上させることができる。
【0069】この円筒状部材11の開口内面に挿入する
ように配置する補助電極71によって、開口内面領域に
おいては、同電位どうしが対向することがなくなる。こ
のため、本発明では異常放電であるホロー放電の発生は
なく、円筒状部材11の開口内面に形成する硬質カーボ
ン膜の密着性が向上する。さらに円筒状部材11の長手
方向の開口内面では補助電極71により、電位特性が均
一になり、開口内面に形成する硬質カーボン膜の膜厚分
布の発生がない。このため本発明の円筒状部材11は、
開口端面と開口奥側とで均一な膜厚を形成することがで
きる。
【0070】この補助電極71は、円筒状部材11の開
口大きさより小さければよく、好ましくは4mm程度の
隙間であるプラズマ形成領域を設けるようにする。この
補助電極71の径と円筒状部材11の内周面11bの径
の寸法比を1/10以下にすることが望ましく、補助電
極71を細くするときは線状にすることもできる。そし
てこの補助電極71は、ステンレスのような金属材料や
タングステン(W)またはタンタル(Ta)のような高
融点の金属材料で形成すればよい。
【0071】さらにこの補助電極71の断面形状は円形
状とする。そして、円筒状部材11に補助電極71を挿
入したとき、ダミー部材53の開口端面と揃えるような
長さとするか、あるいはダミー部材53端面から補助電
極71を突出するような長さとするか、あるいはダミー
部材53端面より突出せず端面から1mm〜2mm奥側
になるような長さとなるように構成する。
【0072】さらに前述のように円筒状部材11の開口
端面にはダミー部材53を配置している。そして前述の
ように、このダミー部材53の中心部の開口大きさと、
円筒状部材11の開口大きさとはほぼ同じ大きさとして
いる。このダミー部材53は以下に記載する役割を果た
す。すなわち、図3に示す硬質カーボン膜の形成方法に
おいては、円筒状部材11の内面と円筒状部材11の外
周部とにプラズマが発生する。
【0073】そして円筒状部材11の端面は電荷が集中
しやすく、円筒状部材11の内面に比らべて円筒状部材
11の端面領域は電荷が高い状態、いわゆるエッジ効果
が発生する。ここで円筒状部材11端面近傍のプラズマ
強度はほかの領域より大きく、しかも不安定でもある。
さらに円筒状部材11の端部領域は、円筒状部材内面の
プラズマと円筒状部材外周部のプラズマとの双方のプラ
ズマの影響を受けることになる。
【0074】そしてこのような状態で硬質カーボン膜を
形成すると、円筒状部材11の開口端面から数mm奥側
の領域と他の領域とでは、硬質カーボン膜の密着性が若
干劣り、さらに膜質も若干異なる。そこで円筒状部材1
1の開口端面にダミー部材53を配置して硬質カーボン
膜を形成すれば、この膜質や密着性が異なる領域は円筒
状部材11内面に形成されず、ダミー部材53の開口内
面に形成されることになる。
【0075】図3に示すような装置を用いて硬質カーボ
ン膜を形成したときは、実験によれば円筒状部材11の
開口端面から4mm程度奥側に、幅寸法が1mmから2
mmの膜質や密着性が異なる領域が形成された。そこで
円筒状部材11の開口寸法とほぼ同じ開口寸法をもち、
長さ寸法が10mmのダミー部材53を円筒状部材11
の開口端面に配置して、前述の硬質カーボン膜の形成条
件で被膜形成を行った。この結果、膜質や密着性が異な
る領域はダミー部材53に形成され、円筒状部材11の
内面には膜質や密着性が異なる領域はまったく形成され
なかった。なおダミー部材53を円筒状部材11の開口
端面に配置することを省略してもその影響が小さいとき
は、ダミー部材は使用しなくてもよい。
【0076】〔硬質カーボン膜の形成方法の第4例:図
4〕つぎに円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成
方法における実施形態を、図4を用いて説明する。図4
は本発明の実施形態における円筒状部材内周面への硬質
カーボン膜の形成方法を示す断面図である。
【0077】図4に示すように、ガス導入口63と排気
口65を有する真空槽61内部に、その内周面に硬質カ
ーボン膜を形成する円筒状部材11を配置する。円筒状
部材11は、リアクトル54を介して直流電源73に接
続する。このリアクトル54は、銅(Cu)線を巻回し
て構成し、そのリアクタンス値は100mH程度に設定
する。
【0078】そして円筒状部材11の開口端面には、ダ
ミー部材53を配置する。このダミー部材53は、円柱
状の形状を有し、その中心に円筒状部材11の内周面の
開口寸法とほぼおなじ内径寸法の開口を設ける。このダ
ミー部材53の外径寸法は、円筒状部材11の外径寸法
の大きさと同じ大きさとする。つまりダミー部材53は
リング状の形状を有する。
【0079】そして円筒状部材11の開口内面には、図
4に示すように、接地電位に接続する補助電極71を挿
入するように設ける。このとき補助電極71は、円筒状
部材11とダミー部材53の開口中央部になるように配
置する。なおこの図4では図示していないが、円筒状部
材11とダミー部材53は真空槽61の底面に、支持部
材によって支持されている。
【0080】そして排気口65から真空槽61内を、真
空度が3×10-5torr以下になるように、図示しな
い排気手段によって真空排気する。その後、ガス導入口
63から炭素を含むガスとしてメタンガス(CH4 )を
真空槽61内に導入し、真空度を0.1torrになる
ように調整する。
【0081】そして円筒状部材11には、リアクトル5
4を介して直流電源73からマイナス600Vの直流負
電圧を印加する。さらに円筒状部材11の開口内面でし
かも開口中央部には、接地電位に接続する補助電極71
を挿入するように配置して、プラズマを発生させて、円
筒状部材11の内周面に硬質カーボン膜15を形成して
いる。このとき硬質カーボン膜は1μmから5μmの膜
厚で形成する。
【0082】このように本発明の硬質カーボン膜の形成
方法では、円筒状部材11と直流電源73とのあいだに
リアクトル54を設け、円筒状部材11の内周面に硬質
カーボン膜を形成している。このリアクトル54を設け
ることにより、本発明においては、プラズマ放電を安定
させることができる。さらに硬質カーボン膜の膜質を左
右する被膜形成初期に、異常放電であるアーク放電が円
筒状部材11に発生せず、硬質カーボン膜の膜質や密着
性を向上させることができる。
【0083】この円筒状部材11の開口内面に挿入する
ように配置する補助電極71によって、開口内面領域に
おいては同電位どうしが対向することがなくなる。この
ため、異常放電であるホロー放電の発生はなく、円筒状
部材11の開口内面に形成する硬質カーボン膜の密着性
が向上する。さらに円筒状部材11の長手方向の開口内
面で、電位特性が均一になり、開口内面に形成する硬質
カーボン膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥
側とで均一な膜厚を形成することができる。
【0084】この補助電極71は、円筒状部材11の開
口大きさより小さければよく、好ましくは4mm程度の
隙間であるプラズマ形成領域を設けるようにする。この
補助電極71の径と円筒状部材11の内周面11bの径
の寸法比を1/10以下にすることが望ましく、補助電
極71を細くするときは線状にすることもできる。そし
てこの補助電極71は、ステンレスのような金属材料や
タングステン(W)またはタンタル(Ta)のような高
融点の金属材料で形成すればよい。
【0085】さらにこの補助電極71の断面形状は円形
状とし、円筒状部材11に補助電極71を挿入したと
き、ダミー部材53の開口端面と揃えるような長さとす
るか、あるいはダミー部材53端面から補助電極71を
突出するような長さとするか、あるいはダミー部材53
端面より突出せず端面から1mm〜2mm奥側になるよ
うな長さとなるように構成する。
【0086】さらに前述のように円筒状部材11の開口
端面にはダミー部材53を配置している。そして前述の
ように、このダミー部材53の中心部の開口大きさと、
円筒状部材11の開口大きさとはほぼ同じ大きさとして
いる。このダミー部材53は以下に記載する役割を果た
す。すなわち、図4に示す硬質カーボン膜の形成方法に
おいては、円筒状部材11の内面と円筒状部材11の外
周部とにプラズマが発生する。
【0087】そして円筒状部材11の端面は電荷が集中
しやすく、円筒状部材11の内面に比らべて円筒状部材
11の端面領域は電荷が高い状態、いわゆるエッジ効果
が発生する。ここで円筒状部材11端面近傍のプラズマ
強度はほかの領域より大きく、しかも不安定でもある。
さらに円筒状部材11の端部領域は、円筒状部材内面の
プラズマと円筒状部材外周部のプラズマとの双方のプラ
ズマの影響を受けることになる。
【0088】そしてこのような状態で硬質カーボン膜を
形成すると、円筒状部材11の開口端面から数mm奥側
の領域と他の領域とでは、硬質カーボン膜の密着性が若
干劣り、さらに膜質も若干異なる。そこで円筒状部材1
1の開口端面にダミー部材53を配置して硬質カーボン
膜を形成すれば、この膜質や密着性が異なる領域は円筒
状部材11内面に形成されず、ダミー部材53の開口内
面に形成されることになる。
【0089】図4に示すような装置を用いて硬質カーボ
ン膜を形成したときは、実験によれば円筒状部材11の
開口端面から4mm程度奥側に、幅寸法が1mmから2
mmの膜質や密着性が異なる領域が形成された。そこで
円筒状部材11の開口寸法とほぼ同じ開口寸法をもち、
長さ寸法が10mmのダミー部材53を円筒状部材11
の開口端面に配置して、前述の硬質カーボン膜の形成条
件で被膜形成を行った。この結果、膜質や密着性が異な
る領域はダミー部材53に形成され、円筒状部材11の
内面には膜質や密着性が異なる領域はまったく形成され
なかった。なおダミー部材53を円筒状部材11の開口
端面に配置することを省略してもその影響が小さいとき
は、ダミー部材は使用しなくてもよい。
【0090】なお、以上説明した本発明の円筒状部材内
周面への硬質カーボン膜の形成方法は、真空槽61内に
配置する円筒状部材は単個または複数個のいずれにも適
用することができる。
【0091】さらに硬質カーボン膜と円筒状部材とのあ
いだに中間層を設けてもよい。そのときは中間層として
は、周期律表第IVb族のシリコン(Si)やゲルマニ
ウム(Ge)や、あるいはシリコンやゲルマニウムの化
合物でもよい。あるいは中間層としてシリコンカーバイ
ト(SiC)やチタンカーバイト(TiC)のような炭
素を含む化合物でもよい。さらに中間層としてはチタン
(Ti)やクロム(Cr)と、シリコンやゲルマニウム
あるいはシリコンやゲルマニウムの炭化物との2層膜構
造としてもよい。このときは中間層下層のチタンやクロ
ムは円筒状部材との密着性を保つ役割をもち、中間層上
層のシリコンやゲルマニウムあるいはシリコンやゲルマ
ニウムの炭化物は硬質カーボン膜と共有結合して、この
硬質カーボン膜と強く結合する役割をもつ。この中間層
は、たとえばスパッタリング法によって形成すればよ
い。
【0092】さらに以上説明した本発明の硬質カーボン
膜の形成方法における実施形態の説明においては、炭素
を含むガスとしてメタンガスやベンゼンガスを用いる実
施形態で説明したが、メタン以外にエチレンなどの炭素
を含むガスや、あるいはヘキサンなどの炭素を含む液体
の蒸発蒸気も使用することができる。
【0093】さらに炭素を含むガスであるメタンガスや
ベンゼンガスやエチレンガスにアルゴン(Ar)ガスや
窒素(N2 )ガスやヘリウム(He)ガスや水素(H2
)ガスを添加してもよい。
【0094】このように炭素を含むガスにアルゴンガス
や窒素ガスを添加すると、膜形成速度を制御することが
できる。このため硬質カーボン膜を緻密化することがで
き、さらに窒素やアルゴンにて硬質カーボン膜表面をス
パッタし、密着性や膜質が悪い硬質カーボン膜を除去す
ることができ、膜質が向上する。さらに炭素を含むガス
に水素を添加すると、炭素のダングリングボンドを水素
で埋めることができ、硬質カーボン膜の膜質を向上させ
る効果がある。
【0095】さらに本発明の円筒状部材11内周面への
硬質カーボン膜の形成方法においては、円筒状部材11
に開口内面に配置する補助電極71は接地電位に接続す
る実施形態で説明したが、この補助電極71には直流の
正電圧を印加して硬質カーボン膜を形成する手段を採用
してもよい。このように直流正電圧を補助電極71に印
加すると、補助電極71の周囲領域に電子を集める効果
を生じ、補助電極71の周囲領域は電子密度が高くな
る。
【0096】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガスと電子との衝突確率が増えて、ガス分
子のイオン化が促進されて、その補助電極71の周囲領
域のプラズマ密度が高くなる。このため硬質カーボン膜
の被膜形成速度は、補助電極に直流正電圧を印加しない
ときと比較して高くなる。
【0097】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方法にお
いては、円筒状部材に直流電圧を印加するための直流電
源と円筒状部材とのあいだに、コイルにて構成するリア
クトルを介在させる。このリアクトルを設けて硬質カー
ボン膜を形成すると、プラズマ放電を安定させることが
でき、異常放電であるアーク放電は発生しない。
【0098】このようにプラズマ放電開始の硬質カーボ
ン膜の被膜形成初期には、異常放電であるアーク放電は
発生しない。したがって、硬質カーボン膜の密着性を左
右する被膜形成初期に、異常放電であるアーク放電が円
筒状部材に発生せず、硬質カーボン膜の膜質や密着性を
向上させることができる。このため本発明の硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、硬質カーボン膜が円筒状部
材から剥離するという現象は発生しない。
【0099】このためプラズマ放電の不安定に起因す
る、円筒状部材の内周面に形成する硬質カーボン膜の膜
質劣化は、本発明では発生しない。この結果、硬質カー
ボン膜のもつ優れた特性を充分に発揮することが可能と
なる。したがって円筒状部材の内周面に膜形成時間を延
長して、厚く硬質カーボン膜を形成しても、プラズマ放
電は安定で、円筒状部材に硬質カーボン膜を厚い膜厚で
形成することができる。この結果、本発明では円筒状部
材の長期使用に対する信頼性を向上させることができ
る。
【0100】本発明の円筒状部材内周面への硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、円筒状部材の開口内面の開
口の中央部に、接地電位または直流正電圧に接続する補
助電極を配置して硬質カーボン膜を形成する。そして円
筒状部材には、負の直流電圧を印加する。
【0101】その結果、同電位の電極どうしが対向して
いる円筒状部材開口内面に、接地電位または直流正電圧
に接続する補助電極を設けることとなり、同電位どうし
が対向することがなくなる。このような電位状態は、プ
ラスマ化学気相成長法にとってもっとも望ましい状態で
あり、異常放電であるホロー放電は発生しない。そのた
め、密着性の良好な硬質カーボン膜を円筒状部材に形成
することができる。
【0102】そのうえ本発明の円筒状部材内周面への硬
質カーボン膜の形成方法においては、前述のように円筒
状部材の開口内面に補助電極を配置しており、円筒状部
材の長手方向の開口内面で、電位特性が均一になる。こ
の結果、円筒状部材の開口内面に形成する硬質カーボン
膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥側とで均
一な膜厚を形成することができるという効果ももつ。
【0103】さらに本発明の円筒状部材内周面への硬質
カーボン膜の形成方法においては、円筒状部材に開口内
面に配置する補助電極に直流の正電圧を印加して硬質カ
ーボン膜を形成する手段を採用する。このように直流正
電圧を補助電極に印加すると、補助電極の周囲領域に電
子を集める効果を生じ、補助電極の周囲領域は電子密度
が高くなる。
【0104】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガスと電子との衝突確率が増えて、ガス分
子のイオン化が促進されて、その補助電極の周囲領域の
プラズマ密度が高くなる。このため硬質カーボン膜の被
膜形成速度は、補助電極に直流正電圧を印加しないとき
と比較して高くなる。
【0105】さらに本発明の円筒状部材内周面への硬質
カーボン膜の形成方法においては、円筒状部材の端面部
にダミー部材を配置して被膜形成している。このダミー
部材は以下に記載する役割をもつ。円筒状部材の端面は
電荷が集中しやすく、内面部に比較してて開口端面領域
は電位が高い状態であるエッジ効果を生じる。ここで円
筒状部材の端面近傍領域のプラズマ強度は、ほかの領域
より大きく、しかも不安定である。さらに円筒状部材の
端面領域は内面のプラズマと外周部のプラズマとの双方
のプラズマの影響を受けることになる。
【0106】そしてこのような状態で硬質カーボン膜を
形成すると、円筒状部材の開口端面から数mm奥側の領
域とほかの領域とでは、硬質カーボン膜の密着性が若干
異なり、さらに膜質も若干異なる。そこで円筒状部材の
開口端面にダミー部材を配置して硬質カーボン膜を形成
すれば、この膜質や密着性が異なる領域は円筒状部材の
内周面に形成されず、ダミー部材の開口内面に形成され
ることになる。したがってこのダミー部材を用いること
によって、円筒状部材に形成する硬質カーボン膜の密着
性と膜質の向上を図ることができる。
【0107】そのうえさらに円筒状部材内周面に形成す
る硬質カーボン膜は、黒色状の被膜であり、ダイヤモン
ドによく似た性質をもつ。すなわち硬質カーボン膜は、
高い機械的硬度や低い摩擦係数や良好な電気的絶縁性や
高い熱伝導率や高い耐腐食性という優れた特性をもつ。
このため本発明の円筒状部材は、内周面の摩耗を抑制る
ことができ、長期使用にたいする信頼性を向上させこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における円筒状部材内周面
への硬質カーボン膜の形成方法を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における円筒状部材内周面
への硬質カーボン膜の形成方法を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態における円筒状部材内周面へ
の硬質カーボン膜の形成方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態における円筒状部材内周面へ
の硬質カーボン膜の形成方法を示す断面図である。
【図5】従来技術における円筒状部材内周面への硬質カ
ーボン膜の形成方法を示す断面図である。
【符号の説明】
11 円筒状部材 53 ダミー部材 54 リアクトル 61 真空槽 63 ガス導入口 65 排気口 69 高周波電源 71 補助電極 73 直流電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸井田 孝志 埼玉県所沢市大字下富字武野840番地 シ チズン時計株式会社所沢事業所内 (72)発明者 関根 敏一 東京都田無市本町6丁目1番12号 シチズ ン時計株式会社田無製造所内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状部材の開口内面に接地電位と接続
    する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽内に
    配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印加しアノ
    ードに直流電圧を印加しフィラメントに交流電圧を印加
    してプラズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜
    を形成することを特徴とする円筒状部材内周面への硬質
    カーボン膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 円筒状部材の開口内面に接地電位と接続
    する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽内に
    配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印加して、
    プラズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜を形
    成することを特徴とする円筒状部材内周面への硬質カー
    ボン膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 中間層を形成した円筒状部材の開口内面
    に接地電位と接続する補助電極を挿入するように円筒状
    部材を真空槽内に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印加しアノ
    ードに直流電圧を印加しフィラメントに交流電圧を印加
    してプラズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜
    を形成することを特徴とする円筒状部材内周面への硬質
    カーボン膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 中間層を形成した円筒状部材の開口内面
    に接地電位と接続する補助電極を挿入するように円筒状
    部材を真空槽内に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印加して、
    プラズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜を形
    成することを特徴とする円筒状部材内周面への硬質カー
    ボン膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 円筒状部材の開口内面に直流電源と接続
    する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽内に
    配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 補助電極に直流正電圧を印加し、リアクトルを介して円
    筒状部材に直流電圧を印加しアノードに直流電圧を印加
    しフィラメントに交流電圧を印加してプラズマを発生さ
    せて円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴
    とする円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方
    法。
  6. 【請求項6】 円筒状部材の開口内面に直流電源と接続
    する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽内に
    配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 補助電極に直流正電圧を印加し、リアクトルを介して円
    筒状部材に直流電圧を印加して、プラズマを発生させて
    円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴とす
    る円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 中間層を形成した円筒状部材の開口内面
    に直流電源と接続する補助電極を挿入するように円筒状
    部材を真空槽内に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 補助電極に直流正電圧を印加し、リアクトルを介して円
    筒状部材に直流電圧を印加しアノードに直流電圧を印加
    しフィラメントに交流電圧を印加してプラズマを発生さ
    せて円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴
    とする円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方
    法。
  8. 【請求項8】 中間層を形成した円筒状部材の開口内面
    に直流電源と接続する補助電極を挿入するように円筒状
    部材を真空槽内に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 補助電極に直流正電圧を印加し、リアクトルを介して円
    筒状部材に直流電圧を印加して、プラズマを発生させて
    円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴とす
    る円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方法。
  9. 【請求項9】 端面部にダミー部材を配置した円筒状部
    材の開口内面に接地電位と接続する補助電極を挿入する
    ように円筒状部材を真空槽内に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印加しアノ
    ードに直流電圧を印加しフィラメントに交流電圧を印加
    してプラズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜
    を形成することを特徴とする円筒状部材内周面への硬質
    カーボン膜の形成方法。
  10. 【請求項10】 端面部にダミー部材を配置した円筒状
    部材の開口内面に接地電位と接続する補助電極を挿入す
    るように円筒状部材を真空槽内に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印加して、
    プラズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜を形
    成することを特徴とする円筒状部材内周面への硬質カー
    ボン膜の形成方法。
  11. 【請求項11】 端面部にダミー部材を配置し、さらに
    中間層を形成した円筒状部材の開口内面に接地電位と接
    続する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽内
    に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印加しアノ
    ードに直流電圧を印加しフィラメントに交流電圧を印加
    してプラズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜
    を形成することを特徴とする円筒状部材内周面への硬質
    カーボン膜の形成方法。
  12. 【請求項12】 端面部にダミー部材を配置し、さらに
    中間層を形成した円筒状部材の開口内面に接地電位と接
    続する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽内
    に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 リアクトルを介して円筒状部材に直流電圧を印加して、
    プラズマを発生させて円筒状部材に硬質カーボン膜を形
    成することを特徴とする円筒状部材内周面への硬質カー
    ボン膜の形成方法。
  13. 【請求項13】 端面部にダミー部材を配置した円筒状
    部材の開口内面に直流電源と接続する補助電極を挿入す
    るように円筒状部材を真空槽内に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 補助電極に直流正電圧を印加し、リアクトルを介して円
    筒状部材に直流電圧を印加しアノードに直流電圧を印加
    しフィラメントに交流電圧を印加してプラズマを発生さ
    せて円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴
    とする円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方
    法。
  14. 【請求項14】 端面部にダミー部材を配置した円筒状
    部材の開口内面に直流電源と接続する補助電極を挿入す
    るように円筒状部材を真空槽内に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 補助電極に直流正電圧を印加し、リアクトルを介して円
    筒状部材に直流電圧を印加して、プラズマを発生させて
    円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴とす
    る円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方法。
  15. 【請求項15】 端面部にダミー部材を配置し、さらに
    中間層を形成した円筒状部材の開口内面に直流電源と接
    続する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽内
    に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 補助電極に直流正電圧を印加し、リアクトルを介して円
    筒状部材に直流電圧を印加しアノードに直流電圧を印加
    しフィラメントに交流電圧を印加してプラズマを発生さ
    せて円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴
    とする円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方
    法。
  16. 【請求項16】 端面部にダミー部材を配置し、さらに
    中間層を形成した円筒状部材の開口内面に直流電源と接
    続する補助電極を挿入するように円筒状部材を真空槽内
    に配置し、 排気口から真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素
    を含むガスを真空槽内に導入し、 補助電極に直流正電圧を印加し、リアクトルを介して円
    筒状部材に直流電圧を印加して、プラズマを発生させて
    円筒状部材に硬質カーボン膜を形成することを特徴とす
    る円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方法。
JP9083733A 1997-04-02 1997-04-02 円筒状部材内周面への硬質カーボン膜の形成方法 Pending JPH10280155A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008223092A (ja) * 2007-03-13 2008-09-25 Hoya Corp モールドプレス成形型、及びその製造方法、並びにガラス光学素子の製造方法
US10673067B2 (en) 2016-12-27 2020-06-02 Nichia Corporation Positive electrode material for non-aqueous secondary batteries, non-aqueous secondary battery, and method for producing positive electrode material for non-aqueous secondary batteries

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US10978694B2 (en) 2016-12-27 2021-04-13 Nichia Corporation Positive electrode material for non-aqueous secondary batteries, non-aqueous secondary battery, and method for producing positive electrode material for non-aqueous secondary batteries

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