JPH09316281A - 摺動用樹脂組成物 - Google Patents

摺動用樹脂組成物

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JPH09316281A
JPH09316281A JP15184696A JP15184696A JPH09316281A JP H09316281 A JPH09316281 A JP H09316281A JP 15184696 A JP15184696 A JP 15184696A JP 15184696 A JP15184696 A JP 15184696A JP H09316281 A JPH09316281 A JP H09316281A
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Japan
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rubber
present
aromatic vinyl
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Application number
JP15184696A
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English (en)
Inventor
Hidemi Hishikawa
英海 菱川
Masayuki Sekiguchi
関口  正之
Masaaki Motai
政明 馬渡
Hisao Nagai
久男 永井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動性、剛性のバランスに優れ、広範囲の用
途に有用な摺動用樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)水添ジエン系ゴム質重合体の存在
下に単量体成分を重合して得られるゴム強化スチレン系
樹脂および(B)高密度ポリエチレン、あるいは上記
(A)成分、(B)成分および(C)上記(A)〜
(B)成分以外の他の熱可塑性重合体に対し、(D)
(変性)ポリエチレンワックス、(E)ポリテトラフル
オロエチレン、(F)シリコーンオイル、(G)難燃
剤、(H)充填材を配合した摺動性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水添ジエン系ゴム
質重合体(水添ゴム)をゴムベースとするゴム強化スチ
レン系樹脂および高密度ポリエチレンを必須成分とし、
摺動性、剛性に優れた摺動用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂などのスチレン系樹脂は、結
晶性樹脂に比べ寸法安定性が良いことから、電気・電子
分野、OA・家電分野の摺動部に幅広く使用されてい
る。これらのゴム強化スチレン系樹脂に摺動性を付与す
る手段としては、シリコーンオイル、各種滑剤、ポリテ
トラフルオロエチレンなどを添加することが一般的であ
る。しかしながら、これらの添加型摺動材のみでは、摺
動性が不充分である。特に、スチレン系樹脂は、結晶性
の摺動材であるポリアセタール、ポリアミドなどに比べ
耐摩耗性が劣るという問題がある。このような現状か
ら、スチレン系樹脂を用い、摺動性、特に耐摩耗性に優
れた材料が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、水添ゴムベースのゴ
ム強化スチレン系樹脂を使用し、さらに高密度ポリエチ
レンを使用することで、優れた摺動性、特に耐摩耗性お
よび剛性に優れた摺動用樹脂組成物を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)水添ジ
エン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物、
または芳香族ビニル化合物および芳香族ビニル化合物と
共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分を
重合して得られるゴム強化スチレン系樹脂、および
(B)高密度ポリエチレン1〜30重量%を主成分とす
る摺動用樹脂組成物(以下「第1組成物」ともいう)を
提供するものである。
【0005】なお、本発明では、(A)水添ジエン系ゴ
ム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物、または芳
香族ビニル化合物および芳香族ビニル化合物と共重合可
能な他のビニル系単量体からなる単量体成分を重合して
得られるゴム強化スチレン系樹脂、(B)高密度ポリエ
チレン、および(C)上記(A)〜(B)成分以外の他
の熱可塑性重合体を主成分とする摺動用樹脂組成物(以
下「第2組成物」ともいう)となしてもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の(A)成分である、ゴム
強化スチレン系樹脂は、水添ジエン系ゴム質重合体の存
在下に、芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合
物および芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル
系単量体からなる単量体成分を共重合して得られる。こ
こで、本発明に使用される水添ジエン系ゴム質重合体と
は、共役ジエンの単独重合体の水素化物、共役ジエンと
芳香族ビニル化合物からなる共重合体の水素化物であ
る。
【0007】(A)成分に使用される水添ジエン系ゴム
質重合体に用いられる共役ジエンとしては、1,3−ブ
タジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブ
タジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3
−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエ
チル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オ
クタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、工業的
に利用でき、また物性の優れた水添ジエン系ゴム質重合
体を得るには、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,
3−ペンタジエンが好ましく、より好ましくは1,3−
ブタジエンである。
【0008】また、水添ジエン系ゴム質重合体に用いら
れる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t−ブチ
ルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルス
チレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フル
オロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレ
ン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジ
フェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチ
ルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、
ビニルピリジンなどが挙げられ、スチレン、α−メチル
スチレンが好ましく、特に好ましくはスチレンである。
【0009】本発明の水添ジエン系ゴム質重合体に用い
られる共役ジエン系(共)重合体は、具体的には、少な
くとも1個の下記ブロックAまたは下記ブロックCと、
少なくとも1個の下記ブロックBまたはブロックA/B
とを含んでなる共重合体、あるいはブロックBもしくは
A/Bによる(共)重合体である。その具体的構造は、 A:芳香族ビニル化合物重合体ブロック、 B:共役ジエン重合体ブロック、 A/B:芳香族ビニル化合物/共役ジエンのランダム共
重合体ブロック、 C:共役ジエンと芳香族ビニル化合物の共重合体からな
り、かつ芳香族ビニル化合物が漸増するテーバーブロッ
ク、 とそれぞれ定義すると、次のような構造のものが挙げら
れる。
【0010】(1)A−B (2)A−B−A (3)A−B−C (4)A−B1 −B2(B1 のビニル結合は好ましくは
20%以上、B2 のビニル結合は好ましくは20%未
満) (5)B (6)A/B (7)A−A/B (8)A−A/B−C (9)A−A/B−A (10)B2 −B1 −B2(B1 のビニル結合は好まし
くは20%以上、B2 のビニル結合は好ましくは20%
未満) (11)C−B (12)C−B−C (13)C−A/B−C (14)C−A−B また、これらの基本骨格を繰り返し有する(共)重合体
を挙げることができ、さらにそれらをカップリングして
得られる共役ジエン系(共)重合体であっても良い。
【0011】上記(4)のA−B1 −B2 の構造のもの
については、特開平2−133406号公報、上記
(5)のBおよび(6)のA/Bの構造のものについて
は、特開昭63−127400号公報に示されている。
また、上記(7)のA−A/Bおよび(8)のA−A/
B−Cの構造のものについては、特開平2−30581
4号公報、特開平3−72512号公報に示されてい
る。共役ジエン系(共)重合体中の芳香族ビニル化合物
/共役ジエンの割合は、重量比で0〜60/100〜4
0、好ましくは0〜50/100〜50であり、芳香族
ビニルを必須とする場合、好ましくは10〜50/90
〜50である。ここで、芳香族ビニル化合物の含有量が
60重量%を超えると、樹脂状となり得られる組成物の
耐衝撃性が低下する。
【0012】さらに、共役ジエン系(共)重合体中の共
役ジエン部分のビニル結合含量は、好ましくは10重量
%以上、さらに好ましくは20〜80重量%、特に好ま
しくは30〜60重量%である。10重量%未満では、
水添後の構造がポリエチレンに近くなり、組成物とした
場合に衝撃強度が低下することになり、一方、60重量
%を超えると、水添後はゴム的性質を失うため、やはり
衝撃強度が低下して好ましくない。
【0013】上記共役ジエン系(共)重合体としては、
好ましくは下記(I)、(II) で挙げられ、これを水添
した水添ジエン系ゴム質重合体を用いると、一段と優れ
た本発明の目的とする効果が得られる。さらに好ましい
共役ジエン系(共)重合体は、(II) である。 (I)上記(7)、(8)で示された芳香族ビニル化合
物重合体ブロックA、芳香族ビニル化合物と共役ジエン
とのランダム共重合体ブロックA/BとからなるA−A
/Bブロック共重合体、または芳香族ビニル化合物を主
体とする重合体ブロックCが上記A−A/Bブロック共
重合体に結合したA−A/B−Cブロック共重合体であ
って、(i)芳香族ビニル化合物/共役ジエンの割合が
重量比で5〜50/95〜50、(ii)ブロックAとブ
ロックCの芳香族ビニル化合物の合計量は、全共重合体
中の3〜40重量%、(iii)ブロックA/Bの共役ジエ
ン部分のビニル結合含量が15〜80重量%、であるブ
ロック共重合体。
【0014】(II) 上記(4)で示された分子中に、重
合体ブロックA、B1 およびB2 (ただし、Aは芳香族
ビニル化合物が90重量%以上の芳香族ビニル化合物を
主体とする重合体ブロック、B1 は1,2−ビニル結合
含量が30〜70%のポリブタジエン重合体ブロック、
2 は1,2−ビニル結合含量が30%未満のポリブタ
ジエン重合体ブロックである)をそれぞれ1個以上有す
るブロック共重合体であって、該ブロック共重合体中の
重合体ブロックAの含量が10〜50重量%、重合体B
1 の含量が30〜80重量%、重合体B2 の含量が5〜
30重量%であるブロック共重合体、または該ブロック
共重合体単位がカップリング剤残基を介して上記重合体
ブロックA、B1 およびB2 のうち少なくとも1つの重
合体ブロックと結合したブロック共重合体。
【0015】また、本発明で使用される水添ジエン系ゴ
ム質重合体は、共役ジエン部分の二重結合の少なくとも
70%、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95
%以上が水添されて飽和されていることが必要であり、
70%未満では耐熱性、耐候性が低下するので好ましく
ない。さらに、本発明で使用される水添ジエン系ゴム質
重合体は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、好まし
くは5,000〜1,000,000、さらに好ましく
は30,000〜300,000であり、5,000未
満では、重合体がゴム状とならず液状となり、一方、
1,000,000を超えると、加工性が低下する傾向
を示し好ましくない。さらに、水添ジエン系ゴム質重合
体の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/M
n)は、好ましくは10以下である。
【0016】この水添ジエン系ゴム質重合体にグラフト
重合させる芳香族ビニル化合物としては、水添ジエン系
ゴム質重合体の製造に用いられる芳香族ビニル化合物と
同様のものを挙げることができ、これらの芳香族ビニル
化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以
上を混合して用いることもできる。また、芳香族ビニル
化合物と共重合可能な他のビニル系単量体としては、シ
アン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、マ
レイミド系化合物などがあり、これらは、1種単独で使
用することも、あるいは2種以上を混合して用いること
もできる。
【0017】このうち、シアン化ビニル化合物として
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどがあ
り、アクリロニトリルが好ましい。上記(メタ)アクリ
ル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オク
チルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、
オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベ
ンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル、メチル
メタクリレート、プロピルメタクリレート、アミルメタ
クリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタク
リレート、2−エチルメタクリレート、シクロヘキシル
メタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシ
ルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジル
メタクリレートなどのメタクリル酸エステルが挙げら
れ、これらは、1種単独で使用することも、あるいは2
種以上を混合して用いることもできる。さらに、マレイ
ミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイ
ミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニ
ル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロ
ヘキシルマレイミドなどのα、β−不飽和ジカルボン酸
のイミド化合物が挙げられ、これらは、1種単独で使用
することも、あるいは2種以上を混合して用いることも
できる。
【0018】上記他のビニル系単量体としては、このほ
か、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン
酸などの不飽和酸無水物、グリシジルメタクリレート、
アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和
化合物、アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽
和カルボン酸アミド、3−ヒドロキシ−1−プロペン、
4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−
2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、
3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、ヒドロキシスチレンなどの水酸基含有不飽
和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基含
有不飽和化合物などを用いることができる。
【0019】好ましい単量体成分の組み合わせとして
は、芳香族ビニル化合物単独、芳香族ビニル化合物
/(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物
/シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物/(メ
タ)アクリル酸エステル/ビニルシアン化合物、芳香
族ビニル化合物/マレイミド系化合物、芳香族ビニル
化合物/シアン化ビニル化合物/マレイミド系化合物な
どである。
【0020】本発明の(A)成分中のゴム質重合体と単
量体成分の使用割合は、ゴム質重合体が好ましくは5〜
80重量%、さらに好ましくは10〜70重量%、特に
好ましくは20〜60重量%、単量体成分が好ましくは
95〜20重量%、さらに好ましくは90〜30重量
%、特に好ましくは80〜40重量%〔ただし、ゴム質
重合体+単量体成分=100重量%〕である。ゴム質重
合体の量が5重量%未満であると、耐衝撃性、成形品表
面外観が劣り、一方、80重量%を超えると、成形品表
面にフローマークなどの外観不良が生じやすく、また、
剛性、耐衝撃性が劣る。
【0021】(A)成分のグラフト率は、10〜70%
程度であり、好ましくは10〜60%、さらに好ましく
は20〜60%、特に好ましくは20〜50%である。
また、(A)成分のメチルエチルケトン可溶分の固有粘
度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中)は、0.2
〜1dl/gが好ましい。ここで、グラフト率とは、グ
ラフト重合体のゴム量に対し、ゴムに直接グラフト結合
している重合体成分の割合をいう。このグラフト率は、
重合開始剤、連鎖移動剤、重合溶媒などの種類や使用
量、重合温度などを適宜選択することにより、調節する
ことができる。グラフト率が10%未満では、耐衝撃性
は充分であるが成形外観が悪くなる。一方、70%を超
えると、耐衝撃性が劣る。
【0022】グラフト率は、次の方法によって測定する
ことによって求められる。すなわち、ゴム強化スチレン
系樹脂1g(x)を25mlのメチルエチルケトン(M
EK)に溶解させ、この溶液より不溶解分(y)を遠心
分離機にて分離、乾燥し、不溶分を得る。グラフト率
は、次式により算出する。 グラフト率(%)={〔y−(x×ゴム強化スチレン系
樹脂中のゴム分率)〕/〔x×ゴム強化スチレン系樹脂
中のゴム分率〕}×100
【0023】次に、本発明の(B)成分である高密度ポ
リエチレンとは、一般に、密度0.924g/cm3
上、好ましくは0.945g/cm3 以上のポリエチレ
ンを指す。この高密度ポリエチレンとしては、市販の高
密度ポリエチレンである各種のグレードが全て問題なく
使用できる。また、高密度ポリエチレンを主成分とし、
他のポリエチレン、例えば、中密度ポリエチレン、分枝
状低密度および直鎖状低密度の各種ポリエチレンを含有
しているものでも良い。このとき、高密度ポリエチレン
の含有量は、好ましくは50重量%以上、さらに好まし
くは70重量%以上である。高密度ポリエチレンの含有
量が50重量%未満では、摺動性が劣り好ましくない。
ここで、高密度ポリエチレン単体では、摺動性が一段と
向上することから好ましく、また、他のポリエチレンを
含有することで、ヒンジ特性が向上するため好ましい。
【0024】また、本発明で用いられる(B)高密度ポ
リエチレンは、その溶融時の流れ性の指針であるメルト
フローレート(MFR)が、190℃、荷重2.16k
gで、好ましくは0.1〜50g/10分、さらに好ま
しくは1〜40g/10分、特に好ましくは5〜30g
/10分である。MFRが0.1g/10分未満では、
成形加工性および摺動性が劣り、一方、50g/10分
を超えると、剛性が低下し、好ましくない。
【0025】次に、本発明の(C)成分は、上記(A)
〜(B)成分以外の他の熱可塑性重合体であり、公知の
熱可塑性樹脂を何ら制限無く使用することができる。こ
の(C)他の熱可塑性重合体としては、例えばABS樹
脂、AS樹脂、HIPS、PS、MBS、MS、AE
S、AAS、などの(ゴム強化)スチレン系樹脂、ポリ
プロピレン、ポリブテン−1、エチレン−酢酸ビニル共
重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合
体(EVOH)などのポリオレフィン系樹脂、ポリアミ
ド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート
系樹脂、全芳香族ポリエステル、PPS樹脂、LCP、
塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリスルホン、ポリエー
テルエーテルケトン、(変性)ポリフェニレンエーテル
樹脂、ポリオキシメチレン(POM)、ポリメチルメタ
クリレート(PMMA)などが挙げられる。これらの
(C)他の熱可塑性重合体は、1種単独で使用すること
も、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0026】ここで、使用されるポリアミド樹脂として
は、通常、一般式 H2 N−(CH2X −NH2 (式中、Xは4〜12の整数を示す。)で表される線状
ジアミンと、一般式 HO2 C−(CH2Y −CO2 H (式中、Yは2〜12の整数を示す。)で表される線状
ジカルボン酸との重縮合によって製造されるものなどが
使用できる。これらのポリアミド樹脂の好ましい例とし
ては、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン
6,12、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン11、
ナイロン4,6などが挙げられる。
【0027】また、ナイロン6/6,6、ナイロン6/
6,10、ナイロン6/12、ナイロン6/6,12、
ナイロン6/6,6/6,10、ナイロン6/6,6/
12などの共重合ポリアミド類も使用できる。また、ナ
イロン6/6,T(T;テレフタル酸成分)、テレフタ
ル酸、イソフタル酸のような芳香族ジカルボン酸とメタ
キシリレンジアミン、あるいは脂環族ジアミンから得ら
れる半芳香族ポリアミド類、メタキシリレンジアミンと
上記線状ジカルボン酸から得られるポリアミド類、ポリ
エステルアミドなどを用いることもできる。なお、ポリ
アミド樹脂は、単独でもよく、また2種以上を併用する
こともできる。
【0028】熱可塑性ポリエステル樹脂としては、芳香
族ジカルボン酸またはそのエステルもしくはエステル形
成誘導体と、ジオールとを、公知の方法により重縮合さ
せて得られるものなどが挙げられる。上記芳香族ジカル
ボン酸の例としては、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸などのナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、アジピン酸、セバ
シン酸などが挙げられ、これらのエステル形成誘導体
も、熱可塑性ポリエステル樹脂に用いられる。上記ジオ
ールの例としては、エチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2〜6個
の炭素原子を有するポリメチレングリコール、または、
1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、
およびこれらのエステル形成誘導体が挙げられる。
【0029】熱可塑性ポリエステル樹脂の具体例として
は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)、ビスフェノールAイソ
フタレートなどが挙げられ、なかでも、PBT、PET
が好ましい。これらの熱可塑性ポリエステル樹脂は、1
種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して
用いることもできる。
【0030】(C)成分に用いられる好ましい他の熱可
塑性重合体は、上記ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド
樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、変性ポリフェニレン
エーテル、ポリカーボネート、(ゴム強化)スチレン系
樹脂であり、さらに好ましくはポリオレフィン系樹脂、
(ゴム強化)スチレン系樹脂であり、特に好ましくは
(ゴム強化)スチレン系樹脂である。
【0031】本発明の樹脂組成物の(C)成分として特
に好ましく用いられる(ゴム強化)スチレン系樹脂は、
ゴム質重合体の存在下または非存在下に、芳香族ビニル
化合物または芳香族ビニル化合物および芳香族ビニル化
合物と共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体
成分を重合してなる(グラフト)重合体である。ここで
使用されるゴム質重合体としては、例えば、ポリブタジ
エン、ポリイソプレン、ブチルゴム、スチレン−イソプ
レン共重合体(スチレン含量5〜60重量%が好まし
い)、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体、エチレン−α−オレフィン系
共重合体、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合
体、シリコーンゴム、アクリルゴム、ブタジエン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共
重合体、エチレン系アイオノマーなどが挙げられる。
【0032】なお、上記スチレン−ブタジエンブロック
共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体に
は、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロ
ック型の構造を有するものなどが含まれる。これらのゴ
ム質重合体は、1種単独で使用することも、あるいは2
種以上を混合して用いることもできる。
【0033】なお、(ゴム強化)スチレン系樹脂として
は、耐衝撃性の面から、ゴム質重合体の存在下に得られ
るゴム強化スチレン系樹脂、またはゴム質重合体の存在
下に得られるゴム強化スチレン系樹脂とゴム質重合体の
非存在下に重合して得られるスチレン系樹脂との混合物
を使用することが好ましい。(ゴム強化)スチレン系樹
脂に使用される芳香族ビニル化合物としては、上記のも
のを全て適用することができる。好ましくはスチレン、
α−メチルスチレンである。これらの芳香族ビニル化合
物は、単独であるいは2種以上を混合して用いられる。
芳香族ビニル化合物の使用量は、単量体成分中に好まし
くは20〜100重量%、さらに好ましくは30〜90
重量%、特に好ましくは40〜80重量%であり、20
重量%未満では重量部成形加工性が得られない。
【0034】また、他のビニル系単量体としては、上記
のシアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステ
ル、不飽和酸無水物、不飽和酸、α,β−不飽和ジカル
ボン酸のイミド化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、
不飽和カルボン酸アミド、アミノ基含有不飽和化合物、
水酸基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化
合物などを全て適用できる。これらの他のビニル系単量
体は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を
混合して用いることもできる。なお、芳香族ビニル化合
物とα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物との
(グラフト)重合体において、上記芳香族ビニル化合物
と上記不飽和酸無水物との共重合体を、後イミド化(完
全または部分)したものも、本発明の(ゴム強化)スチ
レン系樹脂に含まれる。これらの他のビニル系単量体の
使用量は、単量体成分中に好ましくは80〜0重量%、
さらに好ましくは70〜10重量%、特に好ましくは6
0〜20重量%である。
【0035】好ましい(ゴム強化)スチレン系樹脂とし
ては、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物お
よびシアン化ビニル化合物、さらに必要に応じて共重合
可能な他のビニル系単量体を重合してなるゴム強化スチ
レン系樹脂と、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニ
ル化合物、さらに必要に応じて共重合可能な他のビニル
系単量体からなるスチレン系樹脂を併用したものが挙げ
られる。なお、ゴム強化スチレン系樹脂中の好ましいゴ
ム質重合体の量は、溶融粘度および耐衝撃性の面から、
好ましくは5〜80重量%、さらに好ましくは10〜7
0重量%、特に好ましくは20〜55重量%である。ま
た、ゴム強化スチレン系樹脂中のゴム質重合体の分散粒
子の平均粒径は、溶融粘度および耐衝撃性の面から、好
ましくは0.05〜30μmである。
【0036】本発明の(C)成分に用いられる(ゴム強
化)スチレン系樹脂は、ゴム質重合体の存在下または非
存在下に、芳香族ビニル化合物を主成分とする単量体成
分を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などで、
ラジカル(グラフト)重合を行い、製造することができ
る。好ましくは、乳化重合である。この際、乳化重合に
は、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化
剤、水などが用いられる。なお、以上の単量体あるいは
単量体成分は、反応系に一括または連続的に添加するこ
とができる。
【0037】重合開始剤としては、クメンヒドロキシパ
ーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオ
キサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで
代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリ
ン酸処方、スルホキシレート処方などで代表される還元
剤との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸
塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキ
サイドなどの過酸化物が使用される。好ましくは、油溶
性開始剤であり、クメンハイドロパーオキサイド、ジイ
ソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメン
タンハイドロパーオキサイドと含糖ピロリン酸処方、ス
ルホキシレート処方などで代表される還元剤との組み合
わせによるレドックス系が良い。また、上記油溶性開始
剤と水溶性開始剤とを組み合わせても良い。組み合わせ
る場合の水溶性開始剤の添加比率は、全添加量の好まし
く50重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下で
ある。さらに、重合開始剤は、重合系に一括または連続
的に添加することができる。重合開始剤の使用量は、単
量体成分に対し、通常、0.1〜1.5重量%、好まし
くは0.2〜0.7重量%である。
【0038】また、連鎖移動剤としては、オクチルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメ
ルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テト
ラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン
などのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィ
ド、四塩化炭素、臭化エチレンおよびペンタフェニルエ
タンなどの炭化水素類、またはアクロレイン、メタクロ
レイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグ
リコレート、α−メチルスチレンのダイマーなどが挙げ
られる。これらの連鎖移動剤は、単独でまたは2種以上
を組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の使
用方法は、一括添加、分割添加、または連続添加のいず
れの方法でも差し支えない。連鎖移動剤の使用量は、単
量体成分に対し、通常、0.05〜2.0重量%程度で
ある。
【0039】乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、
ノニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が挙げら
れる。このうち、アニオン性界面活性剤としては、例え
ば、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼン
スルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系、脂肪酸
塩などが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤とし
ては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステ
ル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル
型などが用いられる。さらに、両性界面活性剤として
は、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル
塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩をカチオン部分と
してアミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つものが
挙げられる。乳化剤の使用量は、単量体成分に対し、通
常、0.3〜5.0重量%程度である。
【0040】なお、(ゴム強化)スチレン系樹脂は、重
合温度10〜120℃、好ましくは30〜110℃の条
件下で乳化重合することが望ましい。また、ゴム強化ス
チレン系樹脂のグラフト率は、好ましくは5〜150
%、さらに好ましくは10〜150%である。グラフト
率が5%未満では、ゴム成分の添加効果が充分発揮され
ず、充分な衝撃強さが得られない。一方、150%を超
えると、成形加工性が低下する。ここで、グラフト率
は、上記(A)ゴム強化スチレン系樹脂におけるグラフ
ト率の測定と同様の方法で求められる。
【0041】また、(ゴム強化)スチレン系樹脂の分子
量は、極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン可溶分、3
0℃)が、好ましくは0.3〜2dl/gである。この
極限粘度〔η〕が0.3dl/g未満であると、剛性と
衝撃強さとの高い物性バランスが得られず、一方、2d
l/gを超えると、成形加工性が低下する。
【0042】なお、(グラフト)重合する際、単量体成
分を2種以上使用する場合、その好ましい組み合わせは
以下のとおりである。 (1)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物 (2)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステ
ル (3)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
(メタ)アクリル酸エステル (4)芳香族ビニル化合物/α,β−不飽和ジカルボン
酸のイミド化合物 (5)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化物 (6)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステ
ル/α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化物 (7)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/不
飽和酸無水物 (8)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステ
ル/不飽和酸無水物 (9)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
(メタ)アクリル酸エステル/不飽和酸無水物 (10)芳香族ビニル化合物/α,β−不飽和ジカルボ
ン酸のイミド化合物/不飽和酸無水物 (11)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
水酸基含有不飽和化合物 (12)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
エポキシ基含有不飽和化合物 (13)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/
オキサゾリン基含有不飽和化合物 上記組み合わせ中、(ゴム質重合体にグラフトしたグラ
フト鎖中に)芳香族ビニル化合物に由来する単位が、1
〜100重量%、好ましくは10〜90重量%占めるこ
とが好ましい。
【0043】本発明の摺動性樹脂組成物は、以上の
(A)〜(B)成分、あるいは(A)〜(C)成分を主
成分とするが、各成分の配合割合は次のとおりである。
すなわち、第1組成物にあっては、(A)成分量は、
(A)+(B)成分の合計100重量%中、好ましくは
70〜99重量%、さらに好ましくは80〜99重量
%、特に好ましくは90〜99重量%である。(A)成
分量が上記範囲内であると、剛性、摺動性に優れる。ま
た、第1組成物に用いられる(B)成分量は、(A)+
(B)成分の合計100重量%中、好ましくは1〜30
重量%、さらに好ましくは1〜20重量%、特に好まし
くは1〜10重量%である。(B)成分量が上記範囲内
にあると、摺動性、剛性が優れる。
【0044】他方、第2組成物にあっては、(A)成分
量は、(A)+(B)+(C)成分の合計100重量%
中、好ましくは9〜98重量%、さらに好ましくは20
〜90重量%、特に好ましくは30〜80重量%であ
る。(A)成分量が上記範囲内にあると、衝撃強度、摺
動性に優れる。また、第2組成物に用いられる(B)成
分量は、(A)+(B)+(C)成分の合計100重量
%中、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは1
〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
(B)成分量が上記範囲内にあると、摺動性、剛性、衝
撃強度に優れる。さらに、第2組成物に用いられる
(C)成分の使用量は、(A)+(B)+(C)成分1
00重量%中、好ましくは1〜90重量%、さらに好ま
しくは9〜79重量%、特に好ましくは19〜69重量
%である。(C)成分が上記範囲内にあると、衝撃強
度、摺動性に優れる。
【0045】本発明の組成物(第1〜2組成物)には、
(D)(変性)ポリオレフィンワックスを配合すること
ができる。ここで、(D)(変性)ポリオレフィンワッ
クスは、エチレンの単独重合体や、プロピレン、1−ブ
テンなどのα−オレフィン類の単独重合体、もしくはこ
れらの共重合体の変性物である。本発明の(C)成分
を、上記第1〜2組成物に加えることで、摺動性が一段
と向上することから好ましい。ここで、(変性)ポリオ
レフィンワックスは、好ましくは酸化オレフィン系ワッ
クスであり、さらに好ましくは酸化ポリエチレンワック
スである。
【0046】酸化ポリエチレンワックスは、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンとカルボキシ
ル基含有不飽和化合物とを共重合する方法、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンまたはその分解物を後酸化し、水酸
基やカルボキシル基を生成させる方法などで得ることが
できる。酸化ポリエチレンワックスは、好ましくは高密
度酸化ポリエチレンワックスであり、例えは、ポリエチ
レンを酸化することにより得られ、水酸基、カルボキシ
ル基などを含有するポリエチレンである。高密度酸化ポ
リエチレンワックスを使用することで、本発明の樹脂組
成物の摺動性が一段と向上することから好ましい。
【0047】本発明の(D)成分の滴点、融点、軟化点
の何れかは、好ましくは80〜130℃、さらに好まし
くは100〜120℃、特に好ましくは105〜120
℃である。なお、滴点は、DFF標準法により測定した
値である。融点、軟化点は、DSCにより測定した値で
ある。また、本発明の(D)成分の酸化値は、好ましく
は10〜40、さらに好ましくは15〜30、特に好ま
しくは15〜25である。なお、酸化値は、DFF標準
法により測定した値である。また、本発明の(D)成分
の数平均分子量は、好ましくは500〜20,000、
さらに好ましくは1,500〜5,000、特に好まし
くは2,000〜4,500である。本発明の(D)成
分を上記範囲内にすることで、摺動性が一段と優れる本
発明の樹脂組成物を得ることができる。
【0048】(D)成分の添加方法としては、第1組成
物にあっては、上記(A)、(B)成分からなる組成物
をペレット化する際に(D)成分を添加する方法、また
は(A)、(B)成分からなる組成物のペレットを射出
または押出成形する際に(D)成分を添加(まぶし)す
る方法も挙げられる。また、第2組成物にあっては、上
記(A)、(B)、(C)成分からなる組成物をペレッ
ト化する際に(D)成分を添加する方法、または
(A)、(B)、(C)成分からなる組成物のペレット
を射出または押出成形する際に(D)成分を添加(まぶ
し)する方法も挙げられる。
【0049】本発明に用いられる(D)成分の使用量
は、(A)+(B)成分(第1組成物)、あるいは
(A)+(B)+(C)成分(第2組成物)100重量
部に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは1
〜5重量部、特に好ましくは1〜3重量部である。
(D)成分が0.1重量部未満では、使用による摺動性
向上効果が現れず、一方、10重量部を超えると、剛性
が劣る。
【0050】本発明の組成物(第1〜2組成物)には、
(E)ポリテトラフルオロエチレンを配合することがで
きる。ここで、(E)ポリテトラフルオロエチレンは、
例えば、乳化重合、懸濁重合などの公知の重合法によ
り、テトラフルオロエチレンを重合したもの、および該
テトラフルオロエチレン重合体を主成分とするフッ素含
有ポリマーであり、公知のものをなんら制限無く使用す
ることができる。本発明の(E)成分を上記成分に加え
ることで、摺動性がより向上し、また、成形加工性が向
上するため好ましい。ここで、乳化重合品を使用した場
合には、本発明の樹脂組成物の摺動性が一段と向上し、
また、懸濁重合品を使用した場合には、成形加工性が向
上することから好ましい。また、テトラフルオロエチレ
ン重合体を主成分とするフッ素含有ポリマーの場合、テ
トラフルオロエチレン成分量は、好ましくは50重量%
以上、さらに好ましくは70重量%、特に好ましくは9
0重量%以上である。テトラフルオロエチレン量が50
重量%未満では、摺動性が劣り好ましくない。また、テ
トラフルオロエチレン単独重合体では、摺動性と成形加
工性バランスが一段と向上することから好ましい。
【0051】なお、本発明の(E)成分の融点、滴点、
軟化点のいずれかは、好ましくは250〜450℃、さ
らに好ましくは300〜400℃である。ここで、滴点
はDFF標準法により測定した値であり、融点、軟化点
はDSCにより測定した値である。また、本発明の
(E)成分の重量平均分子量は、好ましくは10万〜5
00万、さらに好ましくは10万〜300万、特に好ま
しくは10万〜100万である。さらに、(E)成分の
平均粒径(重量基準)は、好ましくは0.5〜70μm
であり、さらに好ましくは1〜50μmであり、特に好
ましくは5〜25μmである。本発明の(E)成分を上
記範囲内にすることで、本発明の樹脂組成物の摺動性が
一段と向上することから好ましい。
【0052】本発明に用いられる(E)成分の使用量
は、(A)+(B)成分(第1組成物)、あるいは
(A)+(B)+(C)成分(第2組成物)100重量
部に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは1
〜5重量部、特に好ましくは1〜3重量部である。
(E)成分が0.1重量部未満では、使用による摺動性
向上効果が現れず、一方、10重量部を超えると、剛性
が劣る。
【0053】本発明の組成物(第1〜2組成物)には、
(F)シリコーンオイルを配合することができる。本発
明の(F)成分のシリコーンオイルは、ポリジメチルシ
ロキサンを主成分とするジメチルシリコーンオイルであ
る。本発明の(F)成分を上記成分に加えることで、摺
動性が一段と向上し、また、耐傷性が向上することから
好ましい。(F)成分は、ポリジメチルシロキサン単
独、またはジメチルシロキサンとメチルフェニルシロキ
サンや各種有機酸を含む変性シリコーンとの共重合体、
またはこれら重合体の混合物であっても良い。ここで、
ジメチルシロキサン含有量は、好ましくは50重量%以
上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは
90重量%以上である。ジメチルシロキサン成分量が5
0重量%未満では、摺動性が低下し好ましくない。
(F)成分として、好ましくは、ポリジメチルシロキサ
ン単独品であり、ポリジメチルシロキサン単独品を使用
することで、本発明の樹脂組成物の機械的特性および摺
動性が一段と向上する。また、変性シリコーン成分を有
すると塗装性および成形性の観点から好ましい。
【0054】本発明の(F)成分のシリコーンオイルの
30℃における粘度は、好ましくは30,000CS以
下、さらに好ましくは10,000CS以下、特に好ま
しくは1,000CS以下、最も好ましくは1〜300
CSである。(F)成分の30℃における粘度が30,
000CSを超えると、成形加工性および摺動性が低下
し、好ましくない。
【0055】本発明に用いられる(F)成分の使用量
は、(A)+(B)成分(第1組成物)、あるいは
(A)+(B)+(C)成分(第2組成物)100重量
部に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは1
〜5重量部、特に好ましくは1〜2重量部である。
(F)成分が0.1重量部未満では、使用による摺動性
向上効果が現れず、一方、10重量部を超えると、剛性
が劣る。
【0056】本発明の組成物(第1〜2組成物)には、
(G)難燃剤を配合することができる。本発明の(G)
難燃剤としては、公知の難燃剤が全て使用できるが、好
ましくはハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、および分子
中にリンとハロゲンを同時に含有する難燃剤などが挙げ
られる。本発明の(G)成分を上記成分に加えること
で、難燃性の良好な摺動性樹脂組成物となるため好まし
い。このうち、ハロゲン系難燃剤としては、例えば下記
式(1)で表される両末端にエポキシ基を有するハロゲ
ン含有化合物が挙げられる。
【0057】
【化1】
【0058】〔式(1)中、Xは臭素原子または塩素原
子、a〜dは1〜4の自然数、pは0または自然数であ
る。) 上記式(1)で表されるハロゲン含有化合物は、含ハロ
ゲンビスフェノールAと含ハロゲンビスフェノールA型
エポキシ樹脂の反応生成物として得られる。ここで、含
ハロゲンビスフェノールAとしては、例えば、テトラブ
ロモビスフェノールA、ジクロロビスフェノールA、テ
トラクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノール
Aなどが挙げられる。また、含ハロゲンビスフェノール
A型エポキシ樹脂としては、例えばテトラブロモビスフ
ェノールAのジグリシジルエーテル、テトラクロロビス
フェノールAのジグリシジルエーテル、ジクロロビスフ
ェノールAのジグリシジルエーテル、ジブロモビスフェ
ノールAのジグリシジルエーテルなどが挙げられる。特
に好ましくは、テトラブロモビスフェノールAとテトラ
ブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテルとの反
応生成物である。また、ハロゲン系難燃剤として、下記
式(2)で表されるハロゲン含有化合物を挙げることが
できる。
【0059】
【化2】
【0060】〔式(2)中、X,a〜dは化1に同じ、
qは1〜5の自然数である。) 式(2)の難燃剤は、式(1)の難燃剤を構成する、ハ
ロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂とトリブロモ
フェノール、ジブロモフェノール、トリクロロフェノー
ル、ジクロロクレゾールなどのハロゲン化フェノール類
とを、塩素性触媒の存在下に加熱反応させることによっ
て得られる。さらに、ハロゲン系難燃剤として、下記式
(3)で表されるブロム化ポリスチレンを挙げることが
できる。
【0061】
【化3】
【0062】〔式(3)中、Xは臭素原子または塩素原
子、eは1〜5の自然数、nは自然数である。) 式(3)の難燃剤としては、好ましくはポリスチレンの
後臭素化または臭素化スチレンを重合して得られる、ブ
ロム化ポリスチレンであり、臭素含有率は68〜72重
量%が好ましく、さらに好ましくは68〜70重量%で
ある。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)換算の重量平均分子量は、1,500〜1
5,000の範囲にあることが好ましい。さらに、ハロ
ゲン系難燃剤として、下記式(4)で表される臭素化フ
タルイミドを挙げることができる。
【0063】
【化4】
【0064】〔式(4)中、Xは臭素原子または塩素原
子、f,gは1〜4の自然数である。) その他のハロゲン系難燃剤としては、芳香族ハロゲン化
合物、ハロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化ポリカ
ーボネートオリゴマー、ハロゲン化シアヌレート樹脂、
ハロゲン化ポリフェニレンエーテルなどが挙げられ、好
ましくはデカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロ
モジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノール
A、テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート
オリゴマー、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹
脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート、ブロ
ム化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオ
キサライド縮合物、含ハロゲンリン酸エステルなどが挙
げられる。リン系難燃剤としては、ポリリン酸アンモニ
ウムなどの無機系リン酸塩、トリフェニルホスフェート
などの芳香族リン酸エステル、トリエチルホスフェート
などのアルキルリン酸エステル、酸性リン酸エステル、
塩化ホスホニトリル誘導体などの含チッソリン化合物、
ビニルホスフェート、アリルホスホネートなどの重合性
リン化合物、および赤リン系難燃剤が挙げられる。
【0065】これらの(G)難燃剤は、1種単独で使用
することも、あるいは2種以上を混合して用いることも
できる。上記(G)難燃剤のうち、樹脂中での分散の面
で、両末端にエポキシ基を有する上記式(1)で表され
るハロゲン系難燃剤が特に好ましく、また加工性の面で
リン系難燃剤が好ましい。式(1)で表されるハロゲン
系難燃剤の使用量は、(G)難燃剤中、好ましくは1〜
100重量%、さらに好ましくは10〜100重量%、
特に好ましくは20〜80重量%である。
【0066】本発明に用いられる(G)成分の使用量
は、(A)+(B)成分(第1組成物)、あるいは
(A)+(B)+(C)成分(第2組成物)100重量
部に対して、1〜50重量部であり、好ましくは10〜
40重量部、特に好ましくは12〜20重量部である。
(G)成分が1重量部未満では、難燃性が劣り、一方、
50重量部を超えると、剛性が劣る。なお、(G)難燃
剤には、難燃助剤を併用することができる。この難燃助
剤としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五
酸化アンチモン、塩素化ポリエチレンなどが挙げられ、
1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合し
て用いることもできる。ここで、難燃助剤の使用量は、
(A)+(B)成分(第1組成物)、あるいは(A)+
(B)+(C)成分(第2組成物)の合計量100重量
部に対し、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ま
しくは0.5〜10重量部である。
【0067】本発明の組成物(第1〜2組成物)には、
(H)充填材を配合することができる。本発明の(H)
成分の充填材としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、
ガラスビーズ、ガラス繊維のミルドファイバー、中空ガ
ラス、炭素繊維、炭素繊維のミルドファイバー、タル
ク、マイカ、金属繊維、ワラストナイト、カオリン、硫
酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化亜鉛ウィス
カー、酸化マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカ
ー、ロックフィラー、炭酸カルシウム、セラミック、金
属光沢を有する金属粒子・金属粉、酸化チタン、カーボ
ンブラック、チタンイエローなどの顔料、抗菌剤、防カ
ビ剤、セルロース系物質などが挙げられる。これらの
(H)充填材は、1種単独で使用することも、あるいは
2種以上を混合して用いることもできる。
【0068】本発明の(H)成分を上記成分に加えるこ
とで、剛性が一段と向上することから好ましい。これら
の充填材のうち、ガラス繊維、炭素繊維の形状として
は、5〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有
するものが好ましい。また、これらの繊維は、チョップ
ドストランドを本発明の樹脂組成物製造時に添加して用
いてもよく、またロービングに予め本発明の(A)成分
を含浸・コーティングしたのち、適宜切断したものを用
いても良い。これらの繊維は、公知の表面処理剤や集束
剤を使用したものを用いても良い。また、本発明の
(H)成分において、金属粒子、金属粉は、ニッケル、
アルミニウム、銀、銅、クロム、亜鉛、スズ、鉛、コバ
ルト、モリブデン、マンガン、タングステン、金、チタ
ン、アンチモン、ケイ素、プラチニウムおよびマグネシ
ウムなどの群から選ばれた少なくとも1種の金属、ある
いはこれらの金属のアロイ、酸化物、硫化物などの化合
物もしくは混合物であり、また形状については特に限定
されないが、多面体粒子、平板、球、粉状などが挙げら
れる。
【0069】さらに、抗菌剤、防カビ剤としては、公知
のものが全て使用できる。好ましい抗菌剤・防カビ剤
は、銀系抗菌剤である。この銀系抗菌剤としては、有
機系・無機系の銀化合物、無機物質に銀化合物および
/または銀錯塩を担持させたもの、イオン交換能を有
する無機物質に、銀イオンをイオン交換させたもの、
ホウ酸系ガラスに銀化合物を含有させたものなどが挙げ
られる。ここで使用される銀化合物・銀錯塩としては、
酸化銀、塩化銀、硝酸銀、硫酸銀、酢酸銀、塩素酸銀、
臭化銀、フッ化銀、ピクリン酸銀、プロティン銀、コロ
イダル銀、カルボン酸化合物の銀塩、リン酸もしくは亜
リン酸のアルキルエステル、フェニルエステルもしくは
アルキルフェニルエステルの銀塩などが挙げられる。ま
た、イオン交換能を有する無機物質としては、ゼオライ
ト、リン酸ジルコニウムなどが挙げられる。ここで、ゼ
オライトとしては、天然品、合成品とも使用可能であ
る。さらに、ホウ酸系ガラスとしては、特に限定されな
いが、ホウ酸の酸化物(B23 )を含有するものであ
る。B23 の含有量としては、5〜70重量%が好ま
しく、さらに好ましくは10〜60重量%、特に好まし
くは15〜60重量%である。このホウ酸系ガラスは、
通常、ほかにSiO2 を含有し、またM2 O(Mはリチ
ウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子を
示す)を含有することができる。
【0070】さらに、セルロース系物質としては、木
粉、紙、パルプ、モミガラ、バガスなどの植物性物質、
またはこれらの粉砕品が挙げられる。このうち、木粉と
しては、種々の樹木のものが限定されずに使用可能であ
る。この樹木としては、例えば、エゾマツ、トドマツ、
カラマツなどのマツ類、ツガ、サクラ、スギ、ナラ、カ
エデ、カバ、ニレ、ヒノキ、ゴムの木、トウヒ、シナノ
キ、ヒバ、ドロノキ、ブナ、ラワン、モミなどが挙げら
れる。また、木粉としては、竹草類も使用可能である。
また、これらの樹木や竹草類の脱リグニン品も使用する
ことができる。これらの木粉は、粉砕品を使用すること
が好ましく、特に好ましくは50メッシュパス分以上の
粉末のものである。
【0071】本発明に用いられる(H)成分の使用量
は、(A)+(B)成分(第1組成物)、あるいは
(A)+(B)+(C)成分(第2組成物)100重量
部に対して、1〜200重量部であり、好ましくは1〜
100重量部であり、特に好ましくは1〜30重量部で
ある。(H)成分が1重量部未満では、使用による剛性
の向上効果が現れず、一方、200重量部を超えると、
摺動性が劣る。
【0072】なお、本発明の樹脂組成物中における
(A)成分であるゴム強化スチレン系樹脂中のゴムの分
散粒子径(重量基準)は、好ましくは0.05〜1.0
μmであり、さらに好ましくは0.1〜0.5μmであ
る。ゴムの分散粒子径を上記範囲にすることで、本発明
の樹脂組成物の摺動性がより一段と向上することから好
ましい。
【0073】また、本発明の樹脂組成物の摺動性を表す
動摩擦係数は、好ましくは0.4以下、さらに好ましく
は0.3以下、特に好ましくは0.2以下である。さら
に、同様に摺動性の指標である摩耗量は、好ましくは1
0mg以下、さらに好ましくは5mg以下、特に好まし
くは1mg以下である。ここでの摺動試験条件は、鈴木
式摺動試験機で、相手材としてスチール(S45C)を
し、試験片形状は、外径25.6mm、内径20.0m
mの中空円筒状であり、相手材も同様の形状のものであ
る。また、摩耗量の測定は、室温23℃、湿度50%の
雰囲気中で荷重0.5kg、走行速度50cm/秒で測
定した値であり、動摩擦係数は、次式によって算出した
値である。 μ=[3×F×(r2 2−r1 2)]/[P×(r2 3
1 3)] (式中、μは動摩擦係数、Fはロードセルに与える力、
Pは荷重、Rはロードセルまでのアーム長、r1 は内
径、r2 は外径を表す。)
【0074】本発明の摺動用樹脂組成物には、公知の各
種添加剤を添加しても良い。例えば、カップリング剤、
酸化防止剤、可塑剤、脂肪酸エステルなどの滑剤、帯電
防止剤、耐候(光)剤などが挙げられ、好ましい使用量
は、(A)+(B)成分(第1組成物)、あるいは
(A)+(B)+(C)成分(第2組成物)100重量
部に対して、0.01〜20重量部である。また、本発
明の摺動用樹脂組成物には、顔料、染料などの着色剤を
用いることができる。特に、顔料において、硫化亜鉛を
用いることは、摺動性を損ねることがないので好まし
い。好ましい使用量は、(A)+(B)成分(第1組成
物)、あるいは(A)+(B)+(C)成分(第2組成
物)100重量部に対して、0.01〜5重量部であ
り、特に好ましくは0.1〜1.2重量部である。ま
た、硫化亜鉛の粒径は、0.25〜0.5μmが好まし
い。
【0075】本発明の摺動用樹脂組成物は、各種押出
機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用
い、各成分を混練する事によって得られる。好ましい製
造方法は、押出機を用いる方法である。また、各成分を
混練するに際して各成分を一括して混練りしてもよく、
多段添加方式で混練しても良い。このようにして得られ
る本発明の摺動用樹脂組成物は、射出成形、シート押出
成形、異形成形、発泡成形、インジェクションプレス、
プレス成形、ブロー成形などによって各種成形品を成形
することができる。上記成形法によって得られる各種成
形品は、その優れた性質を利用して、OA・家電機器分
野、特に各種ディスク用トレー用途、電気・電子分野、
通信機器分野、サニタリー分野、自動車分野、雑貨分野
などの各パーツ、ハウジング、シャーシなどに使用する
ことができる。
【0076】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中、部および%は特に断らな
い限り重量基準である。また、実施例中の各評価は、次
のようにして測定したものである。摺動性 上記に記載したとおり。難燃性(燃焼性 ) UL94規格に基づいて、肉厚1/16″のV試験を行
った。衝撃強度 ASTM D−256にて、厚さ1/4″試験片を、2
3℃、ノッチ付きの試験条件で測定した。剛性 ASTM D−790にて、厚さ1/8″試験片を、曲
げ速度15mm/min、23℃の試験条件で測定し
た。
【0077】実施例および比較例で使用する各成分は、
次のとおりである。水添ジエン系ゴム質重合体a−1〜3 本発明の(A)成分に用いられる水添ジエン系ゴム質重
合体としては、表1に示すものを使用した。ゴム質重合体a−4(比較例 ) 本発明の(A)成分以外のゴム質重合体を、表2に示
す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】ゴム強化スチレン系樹脂(A)−1〜6 上記水添ジエン系ゴム質重合体a−1〜3の存在下に、
スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチルなど
の単量体成分を重合した樹脂、およびこれら単量体成分
だけで、重合した樹脂を得た。これらの樹脂組成表を、
表3に示す。スチレン系樹脂(A)−7(比較例 ) ゴム質重合体a−4の存在下に、スチレンおよびアクリ
ロニトリルからなる単量体成分を重合してスチレン系樹
脂を得た。この樹脂組成表を、表3に示す。
【0081】
【表3】
【0082】高密度ポリエチレン(B)の調製 B−1:三菱化学(株)製、HJ390(メルトフロー
レート:28g/10min)を用いた。 B−2:三菱化学(株)製、HJ560(メルトフロー
レート:7g/10min)を用いた。
【0083】ゴム質重合体(c)−1、(c)−2の調
本発明の(C)他の熱可塑性重合体に用いられるゴム質
重合体として、下記のものを用いた。 c−1:ポリブタジエン(ラテックス、平均粒径=3,
500オングストローム) c−2:エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネ
ン共重合体重合体(C)−1〜(C)−6の調製 上記c−1、c−2の存在下または非存在下に、表4に
示す単量体成分を共重合した。なお、重合体C−1〜C
−4は乳化重合で、C−5、C−6は溶液重合で製造し
た。
【0084】
【表4】
【0085】重合体(C)−7、(C)−8 (C)他の熱可塑性重合体として、以下のものを使用し
た。 C−7:粘度平均分子量=23,000のポリカーボネ
ート C−8:ナイロン6〔東レ(株)製、アミラン CM1
017〕
【0086】(変性)ポリエチレンワックス(D)の調
D−1:高密度酸化ポリエチレンワックス(数平均分子
量=2,000)を用いた。ポリテトラフルオロエチレン(E)の調製 E−1:三井デュポンフロロケミカル(株)製、MP1
500Jを用いた。シリコーンオイル(F)の調製 F−1:粘度100センチストークスのシリコーンオイ
ルを用いた。難燃剤(G)の調製 G−1:難燃剤として、大日本インキ(株)製、プラサ
ームEC−20(臭素化エポキシ樹脂)を用いた。 G−2:難燃助剤として、三酸化アンチモンを用いた。充填材(H)の調製 H−1:ガラス繊維を用いた。
【0087】実施例1〜19、比較例1〜8(第1組成
物の製造) 表5〜6に示す配合処方により、ミキサーで3分間混合
し、50mm押出機でシリンダー温度180〜210℃
で溶融押し出しし、ペレットを得た。このペレットをシ
リンダー温度200℃、金型温度50℃で射出成形し、
各種評価用試験片を得た。これらの試験片での評価結果
を表5〜6に示す。表5の実施例1〜19より明らかな
ように、本発明の樹脂組成物は、摺動性、剛性に優れて
いる。また、実施例11〜13、18については、難燃
性にも優れている。
【0088】これに対し、表6から明らかなように、比
較例1は、(A)成分に用いられるゴム質重合体が本発
明以外のゴムを用いたもので、摺動性に劣る。比較例2
は、(A)成分と(B)成分使用量が本発明の範囲外で
あり、摺動性に劣る。比較例3は、(B)成分の高密度
ポリエチレンが本発明の範囲外で少ない場合であり、摺
動性に劣る。比較例4は、(D)成分の(変性)ポリエ
チレンワックスが本発明の範囲外で多い場合であり、剛
性に劣る。比較例5は、(E)成分のポリテトラフルオ
ロエチレンが本発明の範囲外で多い場合であり、剛性に
劣る。比較例6は、(F)成分のシリコーンオイルが本
発明の範囲外で多い場合であり、剛性に劣る。比較例7
は、(G)成分の難燃剤が本発明の範囲外で多い場合で
あり、剛性に劣る。比較例8は、(H)成分の充填材が
本発明の範囲外で多い場合であり、摺動性に劣る。
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】
【0091】実施例20〜38、比較例9〜17(第2
組成物の製造) 表7〜8に示す配合処方により、ミキサーで3分間混合
し、50mm押出機でシリンダー温度180〜210℃
で溶融押し出しし、ペレットを得た。このペレットをシ
リンダー温度200℃、金型温度50℃で射出成形し、
各種評価用試験片を得た。これらの試験片での評価結果
を表7〜8に示す。表7の実施例20〜38より明らか
なように、本発明の樹脂組成物は、摺動性、剛性、衝撃
強度に優れている。また、実施例30〜32、37につ
いては、難燃性にも優れている。
【0092】これに対し、表8から明らかなように、比
較例9は、(A)成分、(B)成分、(C)成分の使用
量が本発明の範囲外であり、摺動性に劣る。比較例10
は、(A)成分の使用量が本発明の範囲外であり、衝撃
強度に劣る。比較例11は、(B)成分の使用量が本発
明の範囲外であり、剛性、衝撃強度に劣る。比較例12
は、(C)成分の使用量が本発明の範囲外であり、摺動
性に劣る。比較例13は、(D)成分の使用量が本発明
の範囲外であり、剛性に劣る。比較例14は、(E)成
分の使用量が本発明の範囲外であり、衝撃強度、剛性に
劣る。比較例15は、(F)成分の使用量が本発明の範
囲外であり、衝撃強度、剛性に劣る。比較例16は、
(G)成分の使用量が本発明の範囲外であり、衝撃強
度、剛性に劣る。比較例17は、(H)成分の使用量が
本発明の範囲外であり、摺動性、衝撃強度に劣る。
【0093】
【表7】
【0094】
【表8】
【0095】
【発明の効果】本発明の摺動用樹脂組成物は、摺動性、
剛性のバランスに優れたものであり、広範囲の用途、例
えば、OA家電機器分野、特に各種ディスク用トレー用
途、電気・電子分野、通信機器分野、サニタリー分野、
自動車分野、雑貨分野などの各パーツ、ハウジング、シ
ャーシなどに使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 久男 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)水添ジエン系ゴム質重合体の存在
    下に、芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物
    および芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系
    単量体からなる単量体成分を重合して得られるゴム強化
    スチレン系樹脂、および(B)高密度ポリエチレンを主
    成分とする摺動用樹脂組成物。
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