JPH0931156A - エポキシ樹脂組成物及び半導体封止材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び半導体封止材料

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JPH0931156A
JPH0931156A JP17864695A JP17864695A JPH0931156A JP H0931156 A JPH0931156 A JP H0931156A JP 17864695 A JP17864695 A JP 17864695A JP 17864695 A JP17864695 A JP 17864695A JP H0931156 A JPH0931156 A JP H0931156A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂であ
り、その3%ジクロロメタン溶液のFT−IRで測定さ
れた3570〜3600cm-1の波長範囲の吸光度の最
大値が0.25以下の値で規定される水酸基含有量を有
するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物及び半
導体封止材料。 【効果】 該エポキシ樹脂組成物は成形時の硬化性、硬
化物の耐熱性が優れ、該半導体封止材料は、それらに加
え表面実装時の耐ハンダクラック性が優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な特に流動性、
硬化性、耐熱性、耐水性のバランスに優れるため、半導
体封止材料、積層部品材料、電気絶縁材料、繊維強化複
合材料、塗装材料、成型材料、接着材料などに極めて有
用なエポキシ樹脂組成物、並びにそれらの諸特性に加え
表面実装時の耐ハンダクラック性に優れた半導体封止材
料に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は、種々の硬化剤で硬化さ
せることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品
性、耐熱性、電気的性質などの優れた硬化物となり、接
着剤、塗料、積層板、成型材料、注型材料等、幅広い分
野に使用されている。
【0003】また、特に半導体封止材料用途において
は、近年、従来のピン挿入方式から表面実装方式に実装
方法が急速に移行しつつあり、優れた耐ハンダクラック
性を有する半導体封止材料が求められている。さらには
高実装密度化に対応するため半導体のパッケージが薄型
化する傾向にあり、厚さが1mm以下のTSOP型パッ
ケージも使用される様になった。従ってこれらに対応す
るため、耐ハンダクラック性に加え、低溶融粘度で流動
性が高い材料も求められている。
【0004】従来より、半導体封止材料用途には、オル
ソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ECN)が広
く使用されているが、当該樹脂は耐熱性には優れるもの
の、流動性と耐ハンダクラック性に劣るという欠陥を有
していた。
【0005】そこで高性能半導体封止材料としてジシク
ロペンタジエン型エポキシ樹脂を用いた封止材が、例え
ば特開昭61−293219号公報、特開昭61−29
1615号公報、特開昭61−168618号公報、特
開平4−199855号公報、USP4,701,48
1号公報に記載されている。
【0006】
【解決しようとする課題】しかし、上記の何れのエポキ
シ樹脂組成物も樹脂構造中に水酸基を多量に含んでお
り、その結果、得られる硬化物の耐熱性並びに組成物の
硬化性を著しく低下させる他、特に半導体封止材料用途
においては、成形性や封止硬化後の耐熱性、さらにはプ
リント基板へ実装する際の耐ハンダクラック性に劣ると
いう課題を有していた。
【0007】本発明が解決しようとする課題は、耐熱性
及び硬化性に著しく優れ、とりわけ半導体封止材料用途
における耐ハンダクラック性が著しく良好な、エポキシ
樹脂組成物並びに半導体封止材料を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討し
た結果、エポキシ樹脂としてフェノール類と不飽和脂環
式化合物との重付加反応物とエピハロヒドリンを反応さ
せて得らるものであって、かつその3%(重量/容量)
ジクロロメタン溶液について、フーリエ変換赤外分光光
度計(FT−IR)を用い、セル長2mmで測定した波
数3570〜3600cm-1における吸光度が特定値以
下であるエポキシ樹脂を用いることにより硬化物の耐熱
性並びに組成物の硬化性が改善され、上記課題が解決で
きることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0009】さらには、上記エポキシ樹脂のうち、分子
中の芳香核の核体数における2核体含有量が特定範囲
内、さらには溶融粘度が特定値以下及びエポキシ当量が
特定範囲内にあるエポキシ樹脂が一層上記特性上優れた
性能を有することが見いだし本発明を完成するに至っ
た。
【0010】即ち、本発明はエポキシ樹脂(A)と硬化
剤(B)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物におい
て、エポキシ樹脂(A)として、フェノール類と不飽和
脂環式化合物との重付加反応した構造を有する化合物と
エピハロヒドリンとの反応物であって、その3%(重量
/容量)ジクロロメタン溶液について、フーリエ変換赤
外分光光度計(FT−IR)を用い、セル長2mmで測
定した波数3570〜3600cm-1における吸光度の
最大値が0.25以下の値で規定される水酸基含有量を
有するものを用いることを特徴とするエポキシ樹脂組成
物、並びに、前記(A)及び(B)成分に加え、更に無
機充填材(C)を加えた半導体封止材料に関するもので
ある。
【0011】本発明で用いるエポキシ樹脂(A)は、フ
ェノール類と不飽和脂環式化合物との重付加反応した構
造を有する化合物にエピハロヒドリンを反応させて得ら
れる種々の構造並びに分子量のものが共存する樹脂成分
であり、かつ、その3%(重量/容量)ジクロロメタン
溶液について、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−I
R)を用い、セル長2mmで測定した波数3570〜3
600cm-1における吸光度の最大値が0.25以下の
値で規定される水酸基含有量を有するエポキシ樹脂であ
る。
【0012】本発明においては、使用するエポキシ樹脂
としてフーリエ変換赤外分光光度計での吸光度の最大値
が上記範囲を満足させることにより、硬化物の耐熱性と
組成物の硬化性を著しく向上させることができる。
【0013】一方、上記条件を満足しない同様分子構造
を有するエポキシ樹脂は、吸光度が0.25以下のエポ
キシ樹脂と比較し、その分子中により高濃度の水酸基を
含有する。ここでその水酸基とは、例えば生成したグリ
シジル基と未反応の芳香族水酸基との付加反応により副
成するアルコール性水酸基、エピハロヒドリンの水和物
であるグリシドールと芳香族水酸基の付加反応で副生す
るα−グリコール基中の水酸基、或いは反応溶剤にアル
コール系を用いた場合に生成するアルコールのグリシジ
ルエーテルと芳香族水酸基との付加反応で副生するアル
コール性水酸基や、エピハロヒドリンと芳香族水酸基と
の付加反応物の未閉環体である加水分解性塩素の近傍に
位置するアルコール性水酸基などの副生水酸基などを指
す。この水酸基濃度が特定量以上である場合には、耐熱
性に劣った硬化物となる他、硬化性にも劣った組成物し
か得られない。
【0014】本発明で使用されるエポキシ樹脂(A)を
誘導するフェノール類としては、フェノール、及びアル
キル基、アルケニル基、アリル基、アリール基、アラル
キル基或いはハロゲン基等が結合した置換フェノール類
が挙げられる。具体的に例示すると、クレゾール、キシ
レノール、エチルフェノール、イソプロピルフェノー
ル、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフ
ェノール、ビニルフェノール、イソプロペニルフェノー
ル、アリルフェノール、フェニルフェノール、ベンジル
フェノール、クロルフェノール、ブロムフェノール(各
々o、m、p−異性体を含む)、ビスフェノールA、ナ
フトール、ジヒドロキシナフタレン等が例示されるが、
これらに限定されるものではない。またこれらの混合物
を用いても構わない。これらの中でも流動性および硬化
性が優れる点からフェノール、クレゾールが特に好まし
い。
【0015】また不飽和脂環式化合物としては、1分子
中に不飽和二重結合を2つ以上有する脂肪族環状炭化水
素化合物であれば、特に限定されないが、例示するなら
ばジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、4−
ビニルシクロヘキセン、5−ビニルノルボナ−2−エ
ン、α−ピネン、β−ピネン、リモネン等が挙げられ
る。これらの中でも特性バランス、特に耐熱性、吸湿性
の点からジシクロペンタジエンが好ましい。またジシク
ロペンタジエンは石油留分中に含まれることから、工業
用ジシクロペンタジエンには他の脂肪族或いは芳香族性
ジエン類等が不純物として含有されることがあるが、耐
熱性、硬化性、成形性等を考慮すると、ジシクロペンタ
ジエンの純度90重量%以上の製品を用いることが望ま
しい。
【0016】また、上記フェノール類と不飽和脂環式化
合物との付加重合した構造の化合物に反応させるエピハ
ロヒドリンとしては、特に制限されるものではないが、
エピクロルヒドリン、エピヨードヒドリン、エピブロム
ヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等が挙げられ
るがなかでもエピクロルヒドリンが好ましい。
【0017】この様な、エポキシ樹脂(A)中に含まれ
るエポキシ化合物のうち、特に好ましい構造として例え
ば、下記一般式で示されるものが耐熱性、硬化性等の点
から好ましい。
【0018】
【化1】
【0019】(式中、Rは水素原子、メチル基、エチル
基、プロピル基、t−ブチル基を表わし、nは0〜4の
整数、mは1〜3の整数を表わす。)
【0020】本発明で用いるエポキシ樹脂(A)は、さ
らには前記した吸光度の条件を満たし、かつ、分子中の
芳香核の核体数における2核体含有量が40〜75重量
%の範囲内のものであることが組成物の流動性が優れた
ものとなり好ましい。
【0021】更に、150℃の溶融粘度が1.0ポイズ
以下のものであることが無機充填剤の高充填化が可能と
なる点から好ましく、更に、エポキシ当量が220〜2
80g/eqの範囲内にあることが一層流動性並びに粘
度の点から好ましい。
【0022】即ち、上記の吸光度、2核体含量、溶融粘
度及びエポキシ当量を満足するものは、低分子量であり
ながら、官能基濃度が高いため、流動性及び成形時の硬
化性、表面実装時の耐ハンダクラック性が著しく優れ
る。つまりは低分子量であるため、溶融粘度が低く、成
形時の流動性が優れ、さらには無機充填材を高充填率化
を図ることができるため、一層吸水率を低減できること
から、該エポキシ樹脂は優れた耐ハンダクラック性を有
する半導体封止材料を提供可能である。また低分子量で
ありながら、官能基であるエポキシ基濃度が高いため、
優れた硬化性と耐熱性をも兼備できる。
【0023】また、さらにはこの効果がより顕著になる
点から、この吸光度の最大値が0.18以下であり、か
つ2核体の含有量が45〜65重量%の範囲であり、か
つ150℃の溶融粘度が0.1〜0.6ポイズの範囲で
あり、かつエポキシ当量が230〜255g/eqの範
囲である条件を満足するエポキシ樹脂が、極めて優れた
性能を有しており好ましい。
【0024】また、ここで吸光度の測定法を詳述する
と、該エポキシ樹脂の3%(重量/容量)ジクロロメタ
ン溶液を、セル長2mmのKBr液体セルに入れ、フー
リエ変換赤外分光光度計(例えば、日本分光製 FT/
IR−7300)により、測定積算回数100回のフー
リエ変換赤外吸収スペクトルを測定し、波数3570〜
3600cm-1における吸光度の最大値をブランク(ジ
クロロメタン)に比較して求める。但し、測定時のゲイ
ンを1、リファレンス補正係数を1とする。また測定エ
ポキシ樹脂試料中のカールフィッシャー測定装置で測定
した水分濃度は、0.10%以下であることが測定条件
であるため、仮に0.10%以上であった場合は、0.
10%以下になるよう乾燥させた試料を用いる。また吸
光度の算出法は下記式の様に、3100〜3500cm
-1の最小吸光度値をベースラインの吸光度値として、
【0025】
【式1】式: 吸光度=(最大吸光度値)−(ベースラ
インの吸光度値) に則り算出する。
【0026】またここでいう2核体とは、不飽和脂環式
化合物とフェノール類の反応物中の、脂環式化合物を結
接基としたビスフェノール化合物のジグリシジルエーテ
ル物を指す。この含有量は、ゲルパーミュエーションク
ロマトグラフィー(GPC)によって分析された重量割
合で表される値である。
【0027】本発明で用いるエポキシ樹脂(A)を得る
には、特にその製造方法が限定されるものでなく、上述
したフェノール類と不飽和脂環式化合物との重付加反応
物を製造した後、エピハロヒドヒンを反応させれば良
い。
【0028】ここで、中間体である上記重付加反応物
は、特にその製造条件が限定されるものではないが、エ
ポキシ樹脂(A)の150℃での溶融粘度を1.0ポイ
ズ以下にし、かつ2核体成分の含有量を40〜75重量
%の範囲に設定するためには、反応時のフェノール類と
不飽和脂環式化合物のモル比率を調整することが好まし
く、不飽和脂環式化合物1モルに対してフェノール類を
4モル以上使用することが好ましい。なかでもフェノー
ル類/不飽和脂環式化合物=2.5/1〜15/1(モ
ル比率)の範囲内で合成すると、上述のエポキシ樹脂
(A)を得るに好ましい中間体樹脂が得られる。
【0029】さらに上記重付加物の製造法を詳述すれ
ば、溶融或いは溶液にしたフェノール類に、重付加触媒
を添加し、これに不飽和脂環式化合物を適下後、加熱攪
拌し重付加反応を進行させ、その後に過剰のフェノール
類を蒸留回収し、重付加反応物を得る。ここで重付加触
媒としては、塩酸、硫酸などの無機酸或いはパラトルエ
ンスルホン酸等の有機酸或いはAlCl3、BF3等のル
イス酸等が挙げられる。
【0030】次いで、この様にして得られた重付加反応
物とエピハロヒドリンとを反応させることによって、目
的とするエポキシ樹脂(A)とすることができるが、こ
の反応は公知の方法に従って良く、例えば次の反応が挙
げられる。
【0031】先ず、重付加反応物中の水酸基に対して2
〜15当量、中でもの溶融粘度の低減効果に優れる点か
ら好ましくは3〜10当量のエピハロヒドリンを添加し
て溶解し、その後、重付加反応物中の水酸基に対して
0.8〜1.2当量の10〜50%NaOH水溶液を5
0〜80℃の温度で3〜5時間要して適下する。適下後
その温度で0.5〜2時間程度攪拌を続けて、静置後下
層の食塩水を棄却する。次いで過剰のエピハロヒドリン
を蒸留回収し祖樹脂を得る。これにトルエン、MIBK
等の有機溶媒を加え、水洗−脱水−濾過−脱溶媒工程を
経て、目的の樹脂を得ることができる。また不純物塩素
量の低減等を目的に、反応の際ジオキサン、DMSO等
の溶媒を併用しても良い。
【0032】この様にして得られたエポキシ樹脂(A)
は、その150℃での溶融粘度が1.0ポイズ以下であ
り、且つ2核体成分含有量が40〜75重量%の範囲の
ものであるが、さらにそのエポキシ当量が220〜28
0g/eqの範囲のものが、より一層上述の優れた特性が際
だつことから、好ましいものである。
【0033】また、本発明に用いられる硬化剤(B)と
しては、通常エポキシ樹脂の硬化剤として常用されてい
る化合物はすべて使用することができ、特に限定される
ものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、オ
ルソクレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボ
ラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、フェノ
ール類−ジシクロペンタジエン重付加型樹脂、ジヒドロ
キシナフタレンノボラック樹脂、キシリデン基を結接基
とした多価フェノール類、フェノール−アラルキル樹
脂、ナフトール類樹脂ジエチレントリアミン、トリエチ
レンテトラミンなどの脂肪族アミン類、メタフェニレン
ジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェ
ニルスルホンなどの芳香族アミン類、ポリアミド樹脂お
よびこれらの変性物、無水マレイン酸、無水フタル酸、
無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸などの
酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミド、イミダゾール、
BF3 −アミン錯体、グアニジン誘導体等の潜在性硬化
剤等が挙げられる。中でも半導体封止材用としては、上
記フェノールノボラック樹脂等の芳香族炭化水素−ホル
ムアルデヒド樹脂が硬化性、成形性、耐熱性に優れるこ
と、またフェノール−アラルキル樹脂が硬化性、成形
性、低吸水率に優れる点から好ましい。
【0034】これらの硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂
を硬化せしめる量であれば何れでもよく、特に限定され
ないが、好ましくは用いるエポキシ樹脂の一分子中に含
まれるエポキシ基の数と、硬化剤中の活性水素の数が当
量付近となる量である。
【0035】上掲された如き各化合物を硬化剤として用
いる際は、硬化促進剤を適宜使用することができる。
【0036】硬化促進剤としては公知慣用のものがいず
れも使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミ
ン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯
塩、等が挙げられ、これらは単独のみならず2種以上の
併用も可能である。
【0037】また本発明のエポキシ樹脂組成物は、必須
成分である上述したエポキシ樹脂(A)に加え、さらに
その他のエポキシ樹脂(D)を併用しても構わない。こ
の際に用いられるエポキシ樹脂(D)としては、公知慣
用のものが何れも使用でき、例えばビスフェノールAジ
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラ
ック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エ
ポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹
脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、臭素
化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノ
ボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型2官能エポキシ
樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0038】また必要に応じて、着色剤、難燃剤、離型
剤、またはカップリング剤などの公知慣用の各種の添加
剤成分も適宜配合せしめることができる。また、本発明
のエポキシ樹脂組成物から成型材料を調製するには、エ
ポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、その他の添加剤をミ
キサー等によって十分に均一に混合した後、更に熱ロー
ルまたはニーダ−等で溶融混練し、射出あるいは冷却後
粉砕するなどして得ることができる
【0039】この様にして得られる本発明のエポキシ樹
脂組成物は、特にその用途が限定されるものではなく、
例えば、半導体封止材料や、エポキシ樹脂の溶剤溶解性
に優れるために電気積層板用途でのワニス等が挙げられ
る。また、本発明のエポキシ樹脂を臭素化多価フェノー
ル類で変性を施したオリゴマー型エポキシ樹脂を積層板
用途に用いることもできる。さらにはこれに多官能型エ
ポキシ樹脂を配合或いは変性し耐熱性を付与させたシス
テムも使用できる。
【0040】また高分子タイプエポキシ樹脂を得るため
に、2段法反応の原料樹脂として当該樹脂を使用するこ
とも可能である。これらの用途の中でも、特に耐ハンダ
クラック性に著しく優れる等の利点から半導体封止材料
用途が極めて有用である。
【0041】以下に本発明の半導体封止材料について詳
述する。本発明の半導体封止材料は、上述したエポキシ
樹脂(A)及び硬化剤(B)に加え、更に無機充填剤
(C)を必須の成分として含有するものである。
【0042】本発明の半導体封止材料は、半導体を封止
する際の成形時の流動性、硬化性、成形性や封止硬化後
の耐熱性、さらにはプリント基板へ実装する際の耐ハン
ダクラック性等の全ての要求特性を満足している。
【0043】本発明の半導体封止材料で用いる無機充填
剤(C)は、硬化物の機械強度、硬度を高めることのみ
ならず、低吸水率、低線膨張係数を達成し、耐ハンダク
ラック性を高めるための必須成分である。
【0044】その配合量は、特に限定されるものではな
いが、組成物中75〜95重量%の範囲で用いること
が、特にそれらの特性が際立つものとなり、特に半導体
封止剤用途において耐ハンダクラック性が非常に優れる
点から好ましい。
【0045】また、ここで特筆すべき点は、本発明にお
いて75重量%以上無機充填剤を添加しても流動性、成
形性を全く損なうことがないことである。
【0046】この様な無機充填剤(C)としては、特に
限定されないが溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、タ
ルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられる。これらの中
でも、特に半導体封止材料用途においては溶融シリカ、
結晶シリカが一般的に用いられており、特に流動性に優
れる点から溶融シリカが好ましい。また球状シリカ、粉
砕シリカ等も使用できる。
【0047】また、本発明においては上記した各成分の
他にテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブ
ロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化
エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、ヘキサブロモベンゼ
ン等の難燃剤、カ−ボンブラック、ベンガラ等の着色
剤、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤及びシリコ
ンオイル、合成ゴム、シリコーンゴム等の低応力添加剤
等の種々の添加剤を適宜配合してもよい。
【0048】また本発明の半導体封止材料は、必須成分
である上述したエポキシ樹脂(A)に加え、さらにその
他のエポキシ樹脂(D)を併用しても構わない。この際
に用いられるエポキシ樹脂(D)としては、公知慣用の
ものが何れも使用でき、例えばビスフェノールAジグリ
シジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック
型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、
ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フ
ェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラ
ック型エポキシ樹脂、ビフェニル型2官能エポキシ樹脂
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、特に耐熱性に優れる点からオルソクレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂が、また流動性に優れ
る点からビフェニル型2官能エポキシ樹脂が好ましい。
【0049】また必要に応じて、着色剤、難燃剤、離型
剤、またはカップリング剤などの公知慣用の各種の添加
剤成分も適宜配合せしめることができる。また、本発明
のエポキシ樹脂組成物から成型材料を調製するには、エ
ポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、その他の添加剤をミ
キサー等によって十分に均一に混合した後、更に熱ロー
ルまたはニーダ−等で溶融混練し、冷却後粉砕し、タブ
レット化するなどして得ることができる。
【0050】
【発明の実施の形態】ジシクロペンタジエンとフェノー
ルとの重付加反応体にエピハロヒドリンを反応させたエ
ポキシ樹脂であって、その3%(重量/容量)ジクロロ
メタン溶液について、フーリエ変換赤外分光光度計(F
T−IR)を用い、セル長2mmで測定した波数357
0〜3600cm-1における吸光度の最大値が0.25
以下の値で規定される水酸基含有量を有するものを用
い、硬化剤並びに無機充填剤を配合して半導体封止材料
とする。
【0051】
【実施例】次に本発明を製造例、実施例およびその比較
例により具体的に説明する。尚、例中において部は特に
断りのない限りすべて重量部である。
【0052】尚、溶融粘度は50HzのもとにおいてR
eseach equipmentLTD.製「ICI
CONE & PLATE VISCOMETER」で
測定した。また2核体成分含有量は、東ソー(株)製
「ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GP
C)」(測定条件:流速=1.0ml/分間,圧力=92
Kg/cm2,カラム=G4,3,2,2HXL,検出
器=RI 32×10-6RIUFS)で測定した。軟化
点は明峰社製作所(株)製「軟化点測定器」(加熱器:H
U−MK,検出器ASP−M2)で測定した。
【0053】また、FT−IRでの吸光度の測定は、エ
ポキシ樹脂の3%(重量/容量)ジクロロメタン溶液
を、セル長2mmのKBr液体セルに入れ、フーリエ変
換赤外分光光度計(例えば、日本分光製 FT/IR−
7300)により、測定積算回数100回のフーリエ変
換赤外吸収スペクトルを測定し、波数3570〜360
0cm-1における吸光度の最大値をブランク(ジクロロ
メタン)に比較して求めた。但し、測定時のゲインを
1、リファレンス補正係数を1とする。
【0054】また、測定エポキシ樹脂試料中のカールフ
ィッシャー測定装置で測定した水分濃度が0.10%以
下であることを確認した上で測定を行なった。また、吸
光度の算出法は下記式の様に、3100〜3500cm
-1の最小吸光度値をベースラインの吸光度値として、
【0055】
【式2】式: 吸光度=(最大吸光度値)−(ベースラ
インの吸光度値) に則り算出した。
【0056】製造例1 攪拌機、温度計、4つ口フラスコにフェノール1128
g(12モル)を、BF3・フェノール錯体20gを添
加し充分混合した。その後ジシクロペンタジエン198
g(1.5モル)を系内温度を110〜120℃に保ち
ながら2時間要して添加した。その後系内温度を120
℃に保ち、6時間加熱攪拌し、得られた反応生成物溶液
にマグネシウム化合物「KW-1000」(商品名;協和化学
工業(株)社製)45gを添加し、20分間攪拌して触媒
を失活させた後、反応溶液を濾過した。得られた透明溶
液から過剰のフェノールを蒸留回収して褐色の固形樹脂
394gを得た。この樹脂の軟化点は94℃、水酸基当
量は170g/eqであった。
【0057】この樹脂340gにエピクロルヒドリン7
40g(8モル)を加え溶解する。それに80℃で20
%NaOH440g(2.2モル)を8時間かけて攪拌
しながら滴下し、さらに30分間攪拌を続けてその後静
置した。下層の食塩水を棄却し、エピクロルヒドリンを
150℃で蒸留回収した後、粗樹脂にMIBK750g
を加え、さらに水250gを加え80℃にて水洗した。
そして下層の水洗水を棄却した後、脱水、濾過を経てM
IBKを150℃で脱溶剤して目的のエポキシ樹脂
(I)402gを得た。この樹脂は褐色固体で、カール
フィッシャー測定装置で測定した水分濃度は0.05%
であり、そのままFT−IRの測定に供し、その吸光度
は0.24であった。また、軟化点60℃、150℃で
の溶融粘度0.7ポイズ、2核体成分含有量53重量
%、エポキシ当量は261g/eqであった。
【0058】製造例2 製造例1で得られた中間体を使用し、エピクロルヒドリ
ンを1110g(12モル)に変更した以外は実施例1
と同様にして、エポキシ樹脂(II)402gを得た。こ
の樹脂は褐色固体で、カールフィッシャー測定装置で測
定した水分濃度は0.03%であり、そのままFT−I
Rの測定に供し、その吸光度は0.18であった。ま
た、軟化点59℃、150℃での溶融粘度0.3ポイ
ズ、2核体成分含有量58重量%、エポキシ当量は23
9g/eqであった。
【0059】製造例3 中間体を製造する際のフェノールを1504g(16モ
ル)に変更した以外は、製造例1と同様にして軟化点8
7℃、水酸基当量164g/eqの中間体を得た。これを原
料に用い、エピクロルヒドリンを555g(6モル)に
変更した以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂
(III)411gを得た。この樹脂は褐色固体で、FT
−IRの吸光度0.21、軟化点54℃、150℃での
溶融粘度0.4ポイズ、2核体成分含有量59重量%、
エポキシ当量は249g/eqであった。
【0060】製造例4 エピクロルヒドリンを1110g(12モル)に変更し
た以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂(IV)4
21gを得た。この樹脂は褐色固体で、カールフィッシ
ャー測定装置で測定した水分濃度は0.03%であり、
そのままFT−IRの測定に供し、その吸光度は0.1
5であった。また、軟化点51℃、150℃での溶融粘
度0.2ポイズ、2核体成分含有量60重量%、エポキ
シ当量は230g/eqであった。
【0061】製造比較例1 製造例1で得られた中間体を使用し、エピクロルヒドリ
ンを416g(4.5モル)に変更した以外は製造例1
と同様にして、エポキシ樹脂(V)400gを得た。こ
の樹脂は褐色固体で、カールフィッシャー測定装置で測
定した水分濃度は0.05%であり、そのままFT−I
Rの測定に供し、その吸光度は0.29であった。ま
た、軟化点64℃、150℃での溶融粘度1.2ポイ
ズ、2核体成分含有量50重量%、エポキシ当量は27
2g/eqであった。
【0062】製造比較例2 中間体を製造する際のフェノールを752g(8モル)
に変更した以外は、製造例1と同様にして軟化点113
℃の中間体を421g得た。これの水酸基当量は181
g/eqであった。この中間体を使用して製造例1同様にし
てエポキシ樹脂(VI)402gを得た。この樹脂は褐色
固体で、カールフィッシャー測定装置で測定した水分濃
度は0.04%であり、そのままFT−IRの測定に供
し、その吸光度は0.31であった。また、軟化点82
℃、150℃での溶融粘度4.0ポイズ、2核体成分含
有量32重量%、エポキシ当量は291g/eqであった。
【0063】実施例1〜8及び比較例1〜4 第1表及び第2表で表される配合に従って調製した混合
物を熱ロールにて100℃・8分間混練りし、その後粉
砕したものを1200〜1400Kg/cm2の圧力に
てタブレットを作製し、それを用いてトランスファー成
形機にてプランジャー圧力80Kg/cm2、金型温度175
℃、成形時間100秒の条件下にて封止し、厚さ2mmの
フラットパッケージを評価用試験片として作成した。そ
の後175℃で8時間の後硬化を施した。その際の流動
性の指標として、試験用金型を用い、175℃。70k
g/cm2、 120秒の条件でスパイラルフローを測定
した。
【0064】この評価用試験片を用い、85℃・85%
RH条件下での吸水率、DMAによるガラス転移温度、
及び20個の試験片を85℃・85%RHの雰囲気下中
168時間放置し、吸湿処理を行った後、これを260
℃のハンダ浴に10秒浸せきた際の、クラック発生率を
第1表及び第2表に示す。
【0065】ここで、DCE−400はジシクロペンタ
ジエン−クレゾール重付加物型エポキシ樹脂(山陽国策
パルプ(株)製 商品名:DCE−400、FT−IR
の吸光度0.43、軟化点92℃、エポキシ当量310
g/eq、2核体成分含有量28重量%、150℃の溶融粘
度15ポイズ)、N−665はオルソクレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製
商品名:EPICLON N−665、軟化点68℃、
エポキシ当量208g/eq、150℃の溶融粘度3.0ポ
イズ)、153はテトラブロモビスフェノールA型エポ
キシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:E
PICLON 153、軟化点70℃、エポキシ当量4
01g/eq)、TD−2131はフェノールノボラック樹
脂(大日本インキ化学工業(株)製 商品名:フェノラ
イトTD−2131、軟化点80℃、水酸基当量104
g/eq)を示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性並びに硬化性に
著しく優れ、とりわけ半導体封止材料用途における耐ハ
ンダクラック性が著しく良好な、エポキシ樹脂組成物並
びに半導体封止材料を提供できる。
【0069】更に、使用するエポキシ樹脂の分子中の芳
香核の核体数における2核体含有量、溶融粘度及びエポ
キシ当量を、前記した特定範囲内にすることにより、流
動性及び成形時の硬化性、表面実装時の耐ハンダクラッ
ク性を著しく向上させることができる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を必
    須成分とするエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹
    脂(A)として、フェノール類と不飽和脂環式化合物と
    の重付加反応した構造を有する化合物とエピハロヒドリ
    ンとの反応物であって、その3%(重量/容量)ジクロ
    ロメタン溶液について、フーリエ変換赤外分光光度計
    (FT−IR)を用い、セル長2mmで測定した波数3
    570〜3600cm-1における吸光度の最大値が0.
    25以下の値で規定される水酸基含有量を有するものを
    用いることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 エポキシ樹脂(A)が、分子中の芳香核
    の核体数における2核体の含有量が、40〜75重量%
    の範囲のものである請求項1記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂(A)が、150℃におけ
    る溶融粘度が1.0ポイズ以下のものである請求項1ま
    たは2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 エポキシ樹脂(A)が、エポキシ当量2
    20〜280g/eqの範囲のものである請求項1、2
    または3記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 フェノール類がフェノールであり、不飽
    和脂環式化合物がジシクロペンタジエンである請求項
    1、2、3または4記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 エポキシ樹脂(A)が、その3%(重量
    /容量)ジクロロメタン溶液について、フーリエ変換赤
    外分光光度計(FT−IR)を用い、セル長2mmで測
    定した波数3570〜3600cm-1における吸光度の
    最大値が0.18以下であり、分子中の芳香核の核体数
    における2核体の含有量が45〜65重量%の範囲であ
    り、かつ150℃の溶融粘度が0.1〜0.6ポイズの
    範囲であり、かつエポキシ当量が230〜255g/e
    qの範囲の範囲のものである請求項1〜5の何れか1つ
    に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)と無
    機充填材(C)を必須成分とする半導体封止材料におい
    て、エポキシ樹脂(A)として、フェノール類と不飽和
    脂環式化合物との重付加反応した構造を有する化合物と
    エピハロヒドリンとの反応物であって、その3%(重量
    /容量)ジクロロメタン溶液について、フーリエ変換赤
    外分光光度計(FT−IR)を用い、セル長2mmで測
    定した波数3570〜3600cm-1における吸光度の
    最大値が0.25以下の値で規定される水酸基含有量を
    有するものを用いることを特徴とする半導体封止材料。
  8. 【請求項8】 エポキシ樹脂(A)が、分子中の芳香核
    の核体数における2核体の含有量が、40〜75重量%
    の範囲のものである請求項7記載の半導体封止材料。
  9. 【請求項9】 エポキシ樹脂(A)が、150℃におけ
    る溶融粘度が1.0ポイズ以下のものである請求項7〜
    8記載のエポキシ樹脂を必須成分とするエポキシ樹脂組
    成物。
  10. 【請求項10】 エポキシ樹脂(A)が、エポキシ当量
    220〜280g/eqの範囲のものである請求項7〜
    9記載の半導体封止材料。
  11. 【請求項11】 フェノール類がフェノールであり、不
    飽和脂環式化合物がジシクロペンタジエンである請求項
    7〜10記載のエポキシ樹脂を必須成分とする半導体封
    止材料。
  12. 【請求項12】 エポキシ樹脂(A)が、その3%(重
    量/容量)ジクロロメタン溶液について、フーリエ変換
    赤外分光光度計(FT−IR)を用い、セル長2mmで
    測定した波数3570〜3600cm-1における吸光度
    の最大値が0.18以下であり、分子中の芳香核の核体
    数における2核体の含有量が45〜65重量%の範囲で
    あり、かつ150℃の溶融粘度が0.1〜0.6ポイズ
    の範囲であり、かつエポキシ当量が230〜255g/
    eqの範囲の範囲のものである請求項7〜11記載の半
    導体封止材料。
  13. 【請求項13】 無機充填材がシリカであって、かつそ
    の含有量が、70〜95重量%であることを特徴とする
    請求項7〜12記載の半導体封止材料。
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