JPH09309903A - 塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂の製造方法

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JPH09309903A
JPH09309903A JP12573496A JP12573496A JPH09309903A JP H09309903 A JPH09309903 A JP H09309903A JP 12573496 A JP12573496 A JP 12573496A JP 12573496 A JP12573496 A JP 12573496A JP H09309903 A JPH09309903 A JP H09309903A
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vinyl chloride
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suspension
fatty acid
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JP12573496A
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Yoshihiko Eguchi
吉彦 江口
Hideaki Yoshitomi
英明 吉富
Mamoru Hino
守 日野
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 嵩比重が高い割りに多孔性に富み、かつ成形
加工性に優れた塩化ビニル系樹脂の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 塩化ビニル単量体単独又はこれを主体と
する単量体組成物からなる塩化ビニル系単量体を水性媒
体中で懸濁重合させる際に、塩化ビニル系単量体の重合
懸濁液に、さらに該塩化ビニル系単量体、部分ケン化ポ
リビニルアルコール、ソルビタン高級脂肪酸エステル、
高級脂肪酸及び水からなる原料懸濁液を添加して懸濁重
合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系樹脂
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系単量体の重合は、一般にバ
ッチ方式による水懸濁重合方法が採用されているが、生
産性を高めるために、従来より嵩比重の高い塩化ビニル
重合体の製造方法が提案されている。例えば、特開昭5
7−7600号公報には、高ケン化ポリビニルアルコー
ルを使用する方法が、特開昭63−264611号公
報、特開平4−323202号公報、特開平4−323
208号公報及び特開平5−39310号公報には、部
分ケン化ポリビニルアルコールとヒドロキシプロピルメ
チルセルロースとを組み合わせる方法が提案されてい
る。しかしながら、上記の方法では、フィッシュアイを
皆無にすることはできず、ガラス玉状の樹脂が存在し
て、成形加工性が劣るという問題点があった。
【0003】一方、塩化ビニル系樹脂の表面のスキン部
分を少なくし、内部の一次粒子間の細孔を均一で大きく
して、成形加工性を向上する方法が種々提案されてい
る。例えば、特公昭36−22445号公報には、ソル
ビタン高級脂肪酸エステルとポリオキシエチレンソルビ
タン高級脂肪酸エステルとを併用する懸濁重合方法が開
示されている。しかしながら、この方法では、得られる
塩化ビニル系樹脂は多孔性が乏しく、スキンの残ってい
る割合が多くなるという問題点があった。
【0004】また、例えば、特開昭50−135192
号公報には、アルカリ性化合物の存在下で親油性のソル
ビタン高級脂肪酸エステルと親水性のポリオキシエチレ
ンソルビタン高級脂肪酸エステルとを組み合わせた分散
剤を使用し、重合転化率が5〜40%に達した時点で水
溶性セルローズ誘導体を添加する方法が、例えば、特開
昭60−231705号公報には、ソルビタン高級脂肪
酸エステルを分散剤として使用し、ファウドラー翼によ
る攪拌下で重合を開始し、重合転化率が5〜40%に達
した時点で水溶性分散剤を添加する方法が、それぞれ開
示されている。しかしながら、これらの方法でも、表面
のスキン部分が少ない、成形加工性に優れた塩化ビニル
系樹脂を得ることはできなかった。
【0005】さらに、特開平5−295008号公報に
は、既知の懸濁分散剤、低ケン化度の部分ケン化ポリ酢
酸ビニル及びソルビタンモノラウレート等の非イオン性
界面活性剤を特定の比率で添加し、重合初期段階で攪拌
所要動力を制御する方法が提案されているが、この方法
は、操作が複雑であり、成形加工性を向上させる効果が
充分ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するためになされたものであり、その目的は、嵩
比重が高い割に多孔性に富み、かつ成形加工性に優れた
塩化ビニル系樹脂の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の塩化ビニル系樹
脂の製造方法は、塩化ビニル単量体単独又はこれを主体
とする単量体組成物からなる塩化ビニル系単量体を水性
媒体中で懸濁重合させる際に、塩化ビニル系単量体の重
合懸濁液に、さらに該塩化ビニル系単量体、部分ケン化
ポリビニルアルコール、ソルビタン高級脂肪酸エステ
ル、高級脂肪酸及び水からなる原料懸濁液を添加して懸
濁重合することを特徴とする。
【0008】本発明で用いられる塩化ビニル系単量体と
は、塩化ビニル単量体単独又はこれを主体とする単量体
組成物をいう。単量体組成物としては、塩化ビニル単量
体と塩化ビニル以外の単量体との混合物が挙げられる。
上記塩化ビニル以外の単量体としては、塩化ビニル単量
体と共重合しうるものであって、例えば、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メ
タ)アクリル酸エステル類;エチレン、プロピレン等の
α−モノオレフィン類の他、無水マレイン酸、アクリロ
ニトリル、塩化ビニリデン、スチレン等が挙げられる
が、塩化ビニル単量体と共重合可能なものであれば特に
制限はない。
【0009】本発明において、上記部分ケン化ポリビニ
ルアルコールは分散剤として用いられる。部分ケン化ポ
リビニルアルコールのケン化度は、小さくなると油溶性
が強く分散能力に欠けるため樹脂粒子が粗大化し、大き
くなると保護コロイド性が強すぎるため樹脂粒子表面に
スキンが形成され成形加工性が悪くなるので、60〜9
0モル%に制限され、好ましくは70〜85モル%であ
る。
【0010】上記部分ケン化ポリビニルアルコールの平
均重合度は、低くなると分散能力に欠けるため、樹脂粒
子が粗大化したり、ブロック状になり易く、高くなると
樹脂粒子表面のスキン層が厚くなると共に、多孔性が不
足して成形加工性が悪くなるので、500〜3,000
が好ましい。
【0011】上記部分ケン化ポリビニルアルコールの添
加量は、少なくなると塩化ビニル単量体油滴が不安定な
ため粒子状樹脂が得られず、重合途中でブロック状とな
り易く、多くなると得られる樹脂粒子表面のスキン部分
が厚くなり成形加工性が悪くなるので、塩化ビニル系単
量体に対して150〜2,000ppmが好ましい。
【0012】上記部分ケン化ポリビニルアルコールは、
単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよ
い。
【0013】本発明において、上記ソルビタン高級脂肪
酸エステルのHLBは、3〜10に制限され、好ましく
は4〜9である。HLBが、3未満では強い親油性を示
すため水性媒体中での分散能力が劣り、樹脂粒子が粗大
化する。また、HLBが、10を超えると親水性が強す
ぎるため、重合中に塩化ビニル単量体油滴が不安定とな
り、樹脂粒子の凝集、合一を引き起し、粗大化又はブロ
ック化する。
【0014】上記HLB(親水親油平衡)とは、W.C.Gr
iffin [J. Soc. Cosmetic Chem.,1巻,311 頁,(194
9)] によって提唱された非イオン性界面活性剤の親水基
と疎水基との釣り合いを意味し、この値が大きい程親水
性が大きくなり、小さい程疎水性が大きくなる。
【0015】上記HLBが3〜10のソルビタン高級脂
肪酸エステルとしては、例えば、ソルビタンモノラウレ
ート(HLB8.6)、ソルビタンモノパルミテート
(HLB6.7)、ソルビタンモノステアレート(HL
B4.7)、ソルビタンジステアレート(HLB4.
4)、ソルビタンモノオレエート(HLB4.3)等の
ソルビタン飽和高級脂肪酸エステル;不飽和高級脂肪酸
エステルが挙げられ、これらは単独で用いられてもよ
く、二種以上が併用されてもよい。
【0016】上記ソルビタン高級脂肪酸エステルの添加
量は、少なくなると得られる樹脂粒子表面のスキン層が
厚くなり多孔性が不足して成形加工性が向上せず、多く
なると得られる樹脂粒子の粒度が粗くなるので、塩化ビ
ニル系単量体に対して500〜5,000ppmが好ま
しい。
【0017】本発明において、上記高級脂肪酸の炭素数
は、8〜25に制限される。炭素数が8未満では、水溶
性の性質を帯びるため重合系の油層に分配されず、成形
加工時のゲル化促進効果が発揮されなくなる。また、直
鎖状の高級脂肪酸の場合、炭素数が25を超えると高級
脂肪酸自身の融点が高くなるため、成形加工時の温度で
ゲル化促進効果が発揮されなくなる。
【0018】上記炭素数8〜25の高級脂肪酸として
は、例えば、ウンデシル酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸等の直
鎖型飽和脂肪酸;イソステアリン酸等の分岐型飽和脂肪
酸;オレイン酸、エルカ酸等の不飽和脂肪酸などが挙げ
られ、これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併
用されてもよい。
【0019】上記高級脂肪酸の添加量は、少なくなると
ゲル化促進効果が得られず、多くなるとゲル化時間が遅
くなるので、塩化ビニル系単量体に対して300〜2
0,000ppmが好ましい。
【0020】本発明では、常温、常圧下で0.1重量%
水溶液のブルックフィールド粘度(以下「η」という)
が、好ましくは10cps(10mPa・s)〜200
cps(200mPa・s)である増粘剤が添加されて
もよい。このような増粘剤としては、例えば、ポリエチ
レンオキサイド(η=12cps、平均分子量は170
万〜550万が好ましい)、ポリビニルピロリドン、ポ
リアクリルアミド(いずれもη=51cps、平均分子
量は800万〜1,400万が好ましく、より好ましく
は1,200万〜1,400万)の他、ポリアクリルア
ミド共重合体、架橋型(メタ)アクリル酸系ポリマー、
メチルセルロースカルシウム、澱粉グリコール酸ナトリ
ウム、澱粉燐酸エステルナトリウム、アルギン酸ナトリ
ウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カル
ボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチル
セルロースカルシウム等が挙げられ、これらは単独で使
用されてもよく、二種以上が併用されてもよい。
【0021】上記増粘剤の添加量は、多くなると樹脂粒
子表面がスキン層で覆われるため成形加工性が悪くなる
ので、塩化ビニル系単量体に対して2,000ppm以
下が好ましい。
【0022】本発明で使用される重合開始剤としては、
一般に塩化ビニル系樹脂の懸濁重合に用いられている公
知の油溶性重合開始剤が使用可能であり、例えば、ジ−
2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエト
キシエチルパーオキシジカーボネート、α−クミルパー
オキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカ
ネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチル
パーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,
4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキ
シアセテート、ラウロイルパーオキシドなどが挙げら、
これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用され
てもよい。
【0023】上記重合開始剤の添加量は、塩化ビニル系
単量体に対して20,000ppm以下が好ましい。
【0024】さらに、上記懸濁重合に際して、通常塩化
ビニル系単量体の重合に使用される、重合調整剤、連鎖
移動剤、重合禁止剤、pH調整剤、安定剤、スケール防
止剤等が添加されてもよい。
【0025】本発明の懸濁重合で使用される重合器(耐
圧オートクレーブ)の構造としては、特に制限はなく、
従来より塩化ビニルの重合に使用されている公知の構造
のものが用いられる。また、攪拌翼は、ファウドラー
翼、パドル翼、タービン翼、ファンタービン翼、ブルマ
ージン翼等の汎用的に用いられているものでよく、邪魔
板(バッフル)との組み合わせも特に制限はない。
【0026】上記重合反応に際し、重合器に、規定量の
塩化ビニル系単量体、水、懸濁分散剤、重合開始剤を仕
込んで調製した重合懸濁液を、所定の重合温度に昇温す
る。上記重合懸濁液の成分には、特に制限はなく、通常
の重合で使用される分散剤系でもよく、追加して添加す
る原料懸濁液と同様な成分であってもよい。
【0027】一方、上記原料懸濁液は、別の攪拌機付き
耐圧容器中で調製するのが好ましい。即ち、塩化ビニル
系単量体、部分ケン化ポリビニルアルコール、ソルビタ
ン高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸及び水を容器中に仕
込み攪拌して調製する。また、上記原料懸濁液の調製
は、容器中でなくても、上記成分をそれぞれ別の配管か
ら一つの配管に供給し、配管中でスタティックミキサー
等を用いて混合してもよい。上記原料懸濁液は、重合器
内の温度が所定の温度に達して重合反応が始まった後、
任意の時期に添加してよい。
【0028】上記重合懸濁液への原料懸濁液の投入方法
は、特に限定されないが、重合器の液相部に行うのが好
ましい。また、重合開始剤は、原料懸濁液とは異なる別
の配管から重合器へ供給してもよく、原料懸濁液中に含
有されていてもよい。上記原料懸濁液の添加の際に、任
意量のスラリーを間欠的に抜き出してもよい。さらに、
原料懸濁液を連続的に添加し、同時に重合物を連続的に
抜き出す連続重合法を採用してもよい。
【0029】(作用)本発明では、塩化ビニル系単量体
の重合懸濁液に、さらに添加される塩化ビニル系単量体
の一部が、生成中の重合体の内部に吸蔵され、重合体内
部で重合が起こることにより嵩比重が高くなるが、同時
に多孔性を維持するために、部分ケン化ポリビニルアル
コール、ソルビタン高級脂肪酸エステル及び高級脂肪酸
で構成する原料懸濁液を添加する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説
明する。 (実施例1) 〔原料懸濁液の調製〕内容積50リットルの攪拌翼を備
えたステンレス製原料タンクに、イオン交換水20kg
を入れ、さらに、部分ケン化ポリビニルアルコール(ケ
ン化度72モル%、表中PVAで表した)8g〔塩化ビ
ニル単量体に対して500ppm、以下同じ〕、ソルビ
タンモノラウレート(HLB=8.6)24g〔1,5
00ppm〕、炭素数16のパルミチン酸19.2g
〔1,200ppm〕を加えて、原料懸濁液を調製し
た。次いで、重合器内を100mmHgまで脱気した
後、塩化ビニル単量体16kgを仕込み、攪拌を開始し
た。
【0031】〔塩化ビニル系樹脂の重合〕内容積200
リットルのジャケット及び攪拌翼を備えたステンレス製
重合器に、40℃のイオン交換水100kg、部分ケン
化ポリビニルアルコール(ケン化度72モル%)25
g、ソルビタンモノラウレート(HLB=8.6)75
g、炭素数16のパルミチン酸60gを仕込んだ後、重
合器内を100mmHgまで脱気し、塩化ビニル単量体
50kgを仕込んだ。次いで、重合開始剤α−クミルパ
ーオキシネオデカネート50gを圧入した後57℃に昇
温し、重合反応終了までこの温度を保った。重合転化率
が70%になった時点で、原料懸濁液を重合器内の液相
部に投入し、また、同時に別配管から、重合開始剤α−
クミルパーオキシネオデカネート16gを投入し懸濁重
合を継続した。さらに、重合転化率が90%に達した時
点で重合反応を終了し、重合器内の未反応単量体を回収
した後、重合体をスラリー状で取り出し、脱水乾燥して
塩化ビニル系樹脂を得た。
【0032】(実施例2〜3、比較例1〜6)表1、2
又は3に示した、ケン化度及び平均重合度の部分ケン化
ポリビニルアルコール、HLB値のソルビタン高級脂肪
酸エステルならびに炭素数を有する高級脂肪酸を用いた
こと以外は、実施例1と同様にして懸濁重合を行い、塩
化ビニル系樹脂を得た。
【0033】(実施例4,5、比較例7)表1又は3に
示した、ケン化度及び平均重合度の部分ケン化ポリビニ
ルアルコール、HLB値のソルビタン高級脂肪酸エステ
ルならびに炭素数を有する高級脂肪酸を用い、さらに表
1又は3に示した増粘剤を塩化ビニル系単量体に対して
300ppm添加したこと以外は、実施例1と同様にし
て懸濁重合を行い、塩化ビニル系樹脂を得た。
【0034】(実施例6)内容積200リットルのジャ
ケット及び攪拌翼を備えたステンレス製重合器に、40
℃のイオン交換水90kg、部分ケン化ポリビニルアル
コール(ケン化度72モル%)75g、平均分子量43
0万のポリエチレンオキサイド〔300ppm〕を仕込
んだ後、重合器内を100mmHgまで脱気し、塩化ビ
ニル単量体75kgを仕込んだ。さらに、重合開始剤α
−クミルパーオキシネオデカネート75gを投入した後
重合器内を57℃に昇温した。重合転化率が70%にな
った時点で、原料懸濁液を重合器内の液相部に投入し、
また、同時に別配管から、重合開始剤α−クミルパーオ
キシネオデカネート16gを投入し懸濁重合を継続し
た。さらに、重合転化率が90%に達した時点で重合反
応を終了し、重合器内の未反応単量体を回収した後、重
合体をスラリー状で取り出し、脱水乾燥して塩化ビニル
系樹脂を得た。
【0035】(実施例7、比較例8〜9)表4に示し
た、ケン化度及び平均重合度の部分ケン化ポリビニルア
ルコール、HLB値のソルビタン高級脂肪酸エステルな
らびに炭素数を有する高級脂肪酸を用い、さらに表4に
示した増粘剤を塩化ビニル系単量体に対して300pp
mを添加したこと以外は、実施例6と同様にして重合を
行い、塩化ビニル系樹脂を得た。
【0036】上記実施例及び比較例で得られた塩化ビニ
ル系樹脂につき下記の性能評価を行い、その結果を表1
〜4に示した。 (1)嵩比重 JIS K6721に準拠して測定した。 (2)空隙率 水銀圧入ポロシメーターを用いて、2,000kg/c
2 Gで塩化ビニル系樹脂100g当たりに圧入される
水銀の容量を測定して空隙率を求めた。 (3)多孔性 可塑剤吸収性を多孔性の指標とし、ガラスフィルタ遠沈
管(目粗さ:G2)に塩化ビニル系樹脂5gを計り取
り、樹脂に対して過剰量のDOP(ジオクチルフタレー
ト)可塑剤約20ccを添加しよく混合した。次いで、
遠心分離器(国産遠心器社製「H−200N」、回転
数:6,000rpm)で過剰のDOPを分離し、樹脂
100重量部当たりのDOP吸収量(phr)を求め
た。
【0037】(4)成形加工性 ハーケ社製プラストグラフ「レオコード90」を使用し
て、塩化ビニル系樹脂組成物につき、下記の条件でゲル
化時間(min)ならびにゲル化時における最大トルク
(N・m)を測定した。上記樹脂組成物60gを「レオ
コード90」に投入した後、回転数50rpmで投入温
度120℃より5℃/分の割合で昇温し、200℃まで
測定を行った。尚、上記塩化ビニル系樹脂組成物として
は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、滑剤とし
てエステル系ワックス(ヘキスト社製「WAX−O
P」)0.5重量部及び安定剤としてジブチル錫メルカ
プト(三共有機合成社製「JF−10B」)2重量部を
添加しスーパーミキサー(三井三池社製)で120℃ま
で昇温、混合した後、40℃まで冷却したものを使用し
た。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】尚、表中使用した成分は下記の通りであ
る。 (ソルビタン高級脂肪酸エステル) ・HLB2.1:ソルビタントリステアレート ・HLB4.7:ソルビタンモノステアレート ・HLB8.6:ソルビタンモノラウレート ・HLB14.9:ポリオキシエチレンソルビタンモノ
ステアレート
【0043】(高級脂肪酸) ・炭素数3:プロピオン酸 ・炭素数12:ラウリン酸 ・炭素数16:パルミチン酸 ・炭素数26:セロチン酸
【0044】(増粘剤) ・ポリエチレンオキサイド(表中「PEO」と記載):
平均分子量430万、粘度(0.1重量%水溶液)12
cps ・ポリアクリルアミド(表中「PAA」と記載):平均
分子量1200万、粘度(0.1重量%水溶液)51c
ps
【0045】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系樹脂の製造方法の
構成は、上述の通りであり、懸濁重合によって、嵩比重
が高く多孔性に富み、しかも成形加工性に優れた塩化ビ
ニル系樹脂を提供する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル単量体単独又はこれを主体とす
    る単量体組成物からなる塩化ビニル系単量体を水性媒体
    中で懸濁重合させる際に、塩化ビニル系単量体の重合懸
    濁液に、さらに該塩化ビニル系単量体、ケン化度60〜
    90モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール、HLB
    3〜10のソルビタン高級脂肪酸エステル、炭素数8〜
    25の高級脂肪酸及び水からなる原料懸濁液を添加し懸
    濁重合することを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方
    法。
JP12573496A 1996-05-21 1996-05-21 塩化ビニル系樹脂の製造方法 Pending JPH09309903A (ja)

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