JPH09302524A - 撥水性ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents
撥水性ポリエステル繊維およびその製造方法Info
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- JPH09302524A JPH09302524A JP13968596A JP13968596A JPH09302524A JP H09302524 A JPH09302524 A JP H09302524A JP 13968596 A JP13968596 A JP 13968596A JP 13968596 A JP13968596 A JP 13968596A JP H09302524 A JPH09302524 A JP H09302524A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 布帛等の繊維構造物に撥水後加工処理を施さ
なくても優れた撥水性を有するポリエステル繊維および
その製造方法を提供する。 【解決手段】 繊維断面においてフッ素樹脂が少なくと
も繊維表面近傍の繊維横断面中に独立した島成分として
分散しているポリエステル繊維であって、該ポリエステ
ル繊維表面上にフッ素樹脂からなる筋状凸状体が繊維軸
方向に不連続な筋状の形態を有しながら突起しており、
繊維表面の繊維軸に直角方向に、最大幅が0.1μm〜
2μmの筋状凸状体が、5μm当り1個以上の割合で、
0.2μm以上の間隔で存在していることを特徴とする
撥水性ポリエステル繊維。
なくても優れた撥水性を有するポリエステル繊維および
その製造方法を提供する。 【解決手段】 繊維断面においてフッ素樹脂が少なくと
も繊維表面近傍の繊維横断面中に独立した島成分として
分散しているポリエステル繊維であって、該ポリエステ
ル繊維表面上にフッ素樹脂からなる筋状凸状体が繊維軸
方向に不連続な筋状の形態を有しながら突起しており、
繊維表面の繊維軸に直角方向に、最大幅が0.1μm〜
2μmの筋状凸状体が、5μm当り1個以上の割合で、
0.2μm以上の間隔で存在していることを特徴とする
撥水性ポリエステル繊維。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、布帛等の繊維構造
物に撥水後加工処理を施さなくても優れた撥水性を有す
るポリエステル繊維およびその製造方法に関する。
物に撥水後加工処理を施さなくても優れた撥水性を有す
るポリエステル繊維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、フッ素系樹脂やシリコーン系
樹脂を含有する分散液等で布帛を処理して布帛表面にこ
れらの樹脂を付着せしめて、撥水処理を施すことは広く
行われている。しかしながら、これらの加工処理で得ら
れた布帛は撥水性はあるものの、耐久性が低く、布帛の
使用に伴って処理した樹脂がその表面から脱落して撥水
性を失い易いという欠点を有している。一方、十分な撥
水耐久性を付与する程の量を処理すると布帛の風合が硬
くなるという問題点があった。そのためにポリエステル
繊維のスポーツウェア分野等撥水耐久性と風合が共に要
求される分野への応用が大きく制限されていた。
樹脂を含有する分散液等で布帛を処理して布帛表面にこ
れらの樹脂を付着せしめて、撥水処理を施すことは広く
行われている。しかしながら、これらの加工処理で得ら
れた布帛は撥水性はあるものの、耐久性が低く、布帛の
使用に伴って処理した樹脂がその表面から脱落して撥水
性を失い易いという欠点を有している。一方、十分な撥
水耐久性を付与する程の量を処理すると布帛の風合が硬
くなるという問題点があった。そのためにポリエステル
繊維のスポーツウェア分野等撥水耐久性と風合が共に要
求される分野への応用が大きく制限されていた。
【0003】そこで撥水耐久性を向上させるために、フ
ッ素系モノマーやケイ素モノマーの低温プラズマ重合に
より、布帛を構成する繊維表面に撥水性層を形成させる
方法(特開平4−343764号公報等)が提案されて
いるが、十分な撥水性を付与するにはコスト面で不利で
ある。
ッ素系モノマーやケイ素モノマーの低温プラズマ重合に
より、布帛を構成する繊維表面に撥水性層を形成させる
方法(特開平4−343764号公報等)が提案されて
いるが、十分な撥水性を付与するにはコスト面で不利で
ある。
【0004】一方、ポリビニリデンフルオリド/ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体のようなフッ素樹脂を鞘と
した芯鞘複合繊維(特開昭53−31851号公報)、
テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETF
E)、エチレン−モノクロルトリフルオロエチレン共重
合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオリド(PV
dF)のようなフッ素樹脂を混練分散させたポリエステ
ル繊維や芯鞘複合繊維(特開昭62−238822号公
報、特開平6−136616号公報、特開平6−220
718号公報)、PTFE微粉末のようなフッ素樹脂微
粒子を含有した繊維(特開平2−26919号公報)、
含フッ素ポリエーテル系重合体を含有した繊維(特開平
6−2214号公報)、アルキルシランで疎水化した変
性シリカ微粒子を含有した繊維(特開平6−33317
号公報)、パラフィンワックスを含有した塩化ビニリデ
ン系繊維(特開平6−81209号公報)のように、紡
糸用原料に撥水成分を練り込む方法も知られている。し
かし、これらはいずれも繊維表面のポリマーが撥水成分
単独か、撥水成分を均一に混練分散したポリマーである
ため、布帛表面に付着した水が繊維表面に侵入し、撥水
度試験(スプレー法)では布帛表面に小さな個々の水滴
状の湿潤を示す程度の撥水性しか得られていなかった。
フルオロプロピレン共重合体のようなフッ素樹脂を鞘と
した芯鞘複合繊維(特開昭53−31851号公報)、
テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETF
E)、エチレン−モノクロルトリフルオロエチレン共重
合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオリド(PV
dF)のようなフッ素樹脂を混練分散させたポリエステ
ル繊維や芯鞘複合繊維(特開昭62−238822号公
報、特開平6−136616号公報、特開平6−220
718号公報)、PTFE微粉末のようなフッ素樹脂微
粒子を含有した繊維(特開平2−26919号公報)、
含フッ素ポリエーテル系重合体を含有した繊維(特開平
6−2214号公報)、アルキルシランで疎水化した変
性シリカ微粒子を含有した繊維(特開平6−33317
号公報)、パラフィンワックスを含有した塩化ビニリデ
ン系繊維(特開平6−81209号公報)のように、紡
糸用原料に撥水成分を練り込む方法も知られている。し
かし、これらはいずれも繊維表面のポリマーが撥水成分
単独か、撥水成分を均一に混練分散したポリマーである
ため、布帛表面に付着した水が繊維表面に侵入し、撥水
度試験(スプレー法)では布帛表面に小さな個々の水滴
状の湿潤を示す程度の撥水性しか得られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フッ素系樹
脂を練り込みによって、撥水後加工処理を施さなくて
も、水滴を転げ落とした後の布帛表面に湿潤や水滴の付
着がない極めて優れた撥水性能を有し、しかもその撥水
性能が長期間失われることなく維持される撥水性布帛を
構成できる撥水性ポリエステル繊維およびその製造方法
を提供することを目的とする。
脂を練り込みによって、撥水後加工処理を施さなくて
も、水滴を転げ落とした後の布帛表面に湿潤や水滴の付
着がない極めて優れた撥水性能を有し、しかもその撥水
性能が長期間失われることなく維持される撥水性布帛を
構成できる撥水性ポリエステル繊維およびその製造方法
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するためには、フッ素樹脂をポリエステル融液中
に均一に混練分散するのではなく、フッ素樹脂のポリエ
ステル繊維中での凝集分散粒子の大きさを適当な大きさ
に制御し、しかも布帛等の繊維構造物の表面に位置する
ポリエステル繊維表面に特定の大きさの筋状凸状突起物
を形成させることによって、優れた撥水耐久性を有する
ポリエステル繊維が得られることを見い出して本発明を
完成した。
を達成するためには、フッ素樹脂をポリエステル融液中
に均一に混練分散するのではなく、フッ素樹脂のポリエ
ステル繊維中での凝集分散粒子の大きさを適当な大きさ
に制御し、しかも布帛等の繊維構造物の表面に位置する
ポリエステル繊維表面に特定の大きさの筋状凸状突起物
を形成させることによって、優れた撥水耐久性を有する
ポリエステル繊維が得られることを見い出して本発明を
完成した。
【0007】すなわち本発明によれば、繊維断面におい
て、フッ素樹脂が少なくとも繊維表面近傍の繊維横断面
中に独立した島成分として分散しているポリエステル繊
維であって、該ポリエステル繊維表面上にフッ素樹脂か
らなる筋状凸状体が繊維軸方向に不連続な筋状の形態を
有しながら突起しており、繊維表面の繊維軸に直角方向
に、最大幅が0.1μm〜2μmの筋状凸状体が、5μ
m当り1個以上の割合で、0.2μm以上の間隔で存在
していることを特徴とする撥水性ポリエステル繊維が提
供される。
て、フッ素樹脂が少なくとも繊維表面近傍の繊維横断面
中に独立した島成分として分散しているポリエステル繊
維であって、該ポリエステル繊維表面上にフッ素樹脂か
らなる筋状凸状体が繊維軸方向に不連続な筋状の形態を
有しながら突起しており、繊維表面の繊維軸に直角方向
に、最大幅が0.1μm〜2μmの筋状凸状体が、5μ
m当り1個以上の割合で、0.2μm以上の間隔で存在
していることを特徴とする撥水性ポリエステル繊維が提
供される。
【0008】また、本発明によれば、繊維断面において
少なくともポリエステル繊維表面近傍の繊維横断面中
に、フッ素樹脂を、最も大きい島成分の大きさが0.1
μm〜2μmとなるように独立した島成分として、繊維
軸方向に筋状の形態を有しながら分散せしめたポリエス
テル繊維原糸の表面のポリエステルを溶解除去すること
によって、該ポリエステル繊維表面上にフッ素樹脂から
なる筋状凸状体を突起せしめることにより、前記撥水性
ポリエステル繊維を得ることを特徴とする撥水性ポリエ
ステル繊維の製造方法が提供される。
少なくともポリエステル繊維表面近傍の繊維横断面中
に、フッ素樹脂を、最も大きい島成分の大きさが0.1
μm〜2μmとなるように独立した島成分として、繊維
軸方向に筋状の形態を有しながら分散せしめたポリエス
テル繊維原糸の表面のポリエステルを溶解除去すること
によって、該ポリエステル繊維表面上にフッ素樹脂から
なる筋状凸状体を突起せしめることにより、前記撥水性
ポリエステル繊維を得ることを特徴とする撥水性ポリエ
ステル繊維の製造方法が提供される。
【0009】以下、本発明の構成要件を詳述する。本発
明で用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレートおよびこれらを主体として、これらのジカ
ルボン酸成分またはグリコール成分をイソフタル酸、5
−ナトリウムイソフタル酸、アジピン酸、トリメリット
酸、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはペンタエリ
スリトール等で共重合したものを挙げることができる。
なかでも機械的性質、成形性等のバランスのとれたポリ
エチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレ
ートが特に好ましい 。
明で用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレートおよびこれらを主体として、これらのジカ
ルボン酸成分またはグリコール成分をイソフタル酸、5
−ナトリウムイソフタル酸、アジピン酸、トリメリット
酸、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはペンタエリ
スリトール等で共重合したものを挙げることができる。
なかでも機械的性質、成形性等のバランスのとれたポリ
エチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレ
ートが特に好ましい 。
【0010】なお、前記ポリエステルには、ポリエステ
ル本来の物性を損なわない範囲で、他の熱可塑性ポリマ
ー、例えばナイロン6等のポリアミド類、ポリエチレ
ン、ポリスチレン等のポリオレフィン等を少割合含有せ
しめてもよい。また、前記ポリエステルには、その他必
要に応じ、難燃剤、蛍光増白剤、酸化チタン等の艶消
剤、着色剤、コロイダルシリカ、乾式法シリカ、コロイ
ダルアルミナ、微粒子状アルミナ、炭酸カルシウム、リ
ン酸カルシウム等の不活性微粒子その他の任意の添加剤
をポリエステルの合成開始時から紡糸工程までの任意の
段階で、それぞれ別々にまたは予め混合して添加しても
よい。また本発明のポリエステル繊維には、さらに、ヒ
ンダードフェノール系、サルファイド系、ホスファイト
系の抗酸化剤や、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾー
ル系等の紫外線吸収剤を配合することができる。
ル本来の物性を損なわない範囲で、他の熱可塑性ポリマ
ー、例えばナイロン6等のポリアミド類、ポリエチレ
ン、ポリスチレン等のポリオレフィン等を少割合含有せ
しめてもよい。また、前記ポリエステルには、その他必
要に応じ、難燃剤、蛍光増白剤、酸化チタン等の艶消
剤、着色剤、コロイダルシリカ、乾式法シリカ、コロイ
ダルアルミナ、微粒子状アルミナ、炭酸カルシウム、リ
ン酸カルシウム等の不活性微粒子その他の任意の添加剤
をポリエステルの合成開始時から紡糸工程までの任意の
段階で、それぞれ別々にまたは予め混合して添加しても
よい。また本発明のポリエステル繊維には、さらに、ヒ
ンダードフェノール系、サルファイド系、ホスファイト
系の抗酸化剤や、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾー
ル系等の紫外線吸収剤を配合することができる。
【0011】本発明におけるフッ素樹脂としては、低分
子量テトラフルオロエチレン(PTFE)重合体、ポリ
ビニリデンフルオリド(PVdF)、テトラフルオロエ
チレン/エチレン共重合体(ETFE)、エチレン−モ
ノクロルトリフルオロエチレン共重合体(ECTF
E)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオリド/
ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオ
リド/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオ
ロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフ
ルオリド共重合体等が挙げられる。なかでもポリエステ
ルとの混和性の点から、ビニリデンフルオリドの共重合
体であるポリビニリデンフルオリド/ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体、ビニリデンフルオリド/テトラフル
オロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキ
サフルオロプロピレン/ビニリデンフルオリド共重合体
が好ましい。
子量テトラフルオロエチレン(PTFE)重合体、ポリ
ビニリデンフルオリド(PVdF)、テトラフルオロエ
チレン/エチレン共重合体(ETFE)、エチレン−モ
ノクロルトリフルオロエチレン共重合体(ECTF
E)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオリド/
ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオ
リド/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオ
ロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフ
ルオリド共重合体等が挙げられる。なかでもポリエステ
ルとの混和性の点から、ビニリデンフルオリドの共重合
体であるポリビニリデンフルオリド/ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体、ビニリデンフルオリド/テトラフル
オロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキ
サフルオロプロピレン/ビニリデンフルオリド共重合体
が好ましい。
【0012】さらにポリエステル中への島成分の大きさ
の制御が容易である点で、30〜70重量%のテトラフ
ルオロエチレン単位、10〜50重量%のビニリデンフ
ルオリド単位およびヘキサフルオロプロピレン単位から
なる共重合フッ素樹脂が好ましい。また高い撥水性が得
られる点で、50〜70重量%のテトラフルオロエチレ
ン単位、10〜30重量%のビニリデンフルオリド単位
およびヘキサフルオロプロピレン単位からなる共重合フ
ッ素樹脂が特に好ましい。
の制御が容易である点で、30〜70重量%のテトラフ
ルオロエチレン単位、10〜50重量%のビニリデンフ
ルオリド単位およびヘキサフルオロプロピレン単位から
なる共重合フッ素樹脂が好ましい。また高い撥水性が得
られる点で、50〜70重量%のテトラフルオロエチレ
ン単位、10〜30重量%のビニリデンフルオリド単位
およびヘキサフルオロプロピレン単位からなる共重合フ
ッ素樹脂が特に好ましい。
【0013】本発明において、フッ素樹脂は融点が10
0〜280℃のものであることが必要であり、特に融点
が150〜260℃のものが好ましい。融点が100℃
未満のものは、ポリエステル中で微分散し易く繊維表面
上の筋状凸状体を形成できない。逆に280℃を越える
と、ポリエステル繊維の紡糸温度を高くする必要があ
り、ポリエステルの熱分解を生じ易く、しかもポリエス
テル中での島成分の大きさが2μmを越える大きな凝集
体となり易く、紡糸時の糸切れが多発して紡糸が困難と
なり好ましくない。
0〜280℃のものであることが必要であり、特に融点
が150〜260℃のものが好ましい。融点が100℃
未満のものは、ポリエステル中で微分散し易く繊維表面
上の筋状凸状体を形成できない。逆に280℃を越える
と、ポリエステル繊維の紡糸温度を高くする必要があ
り、ポリエステルの熱分解を生じ易く、しかもポリエス
テル中での島成分の大きさが2μmを越える大きな凝集
体となり易く、紡糸時の糸切れが多発して紡糸が困難と
なり好ましくない。
【0014】該フッ素樹脂の分子量は、高分子量である
ほどポリエステル繊維内で凝集した島状分散となり繊維
表面上の凸状体を形成し易いが、溶融粘度が高いためポ
リエステル中での島成分の大きさが2μmを越える大き
な凝集体となり易く、紡糸時の糸切れが多発して紡糸が
困難となり好ましくない。そこで、高分子量フッ素樹脂
成分と低分子量フッ素樹脂成分のバイモダルな分子量分
布をもたせる方法等により、分子量分布の広くしたフッ
素樹脂を用いることが好ましい。
ほどポリエステル繊維内で凝集した島状分散となり繊維
表面上の凸状体を形成し易いが、溶融粘度が高いためポ
リエステル中での島成分の大きさが2μmを越える大き
な凝集体となり易く、紡糸時の糸切れが多発して紡糸が
困難となり好ましくない。そこで、高分子量フッ素樹脂
成分と低分子量フッ素樹脂成分のバイモダルな分子量分
布をもたせる方法等により、分子量分布の広くしたフッ
素樹脂を用いることが好ましい。
【0015】該フッ素樹脂は、紡糸以前の任意の段階で
ポリエステルに配合することが可能であり、重縮合反応
終了直後の溶融状態のポリエステルにフッ素樹脂を添加
し混練させる方法、ポリエステルのチップにフッ素樹脂
を添加・混合した後に混合缶やエクストルーダ等で混練
させる方法等により行うことができる。
ポリエステルに配合することが可能であり、重縮合反応
終了直後の溶融状態のポリエステルにフッ素樹脂を添加
し混練させる方法、ポリエステルのチップにフッ素樹脂
を添加・混合した後に混合缶やエクストルーダ等で混練
させる方法等により行うことができる。
【0016】このようにして得られたフッ素樹脂を含有
するポリエステルを常法により製糸することにより本発
明のポリエステル繊維の原糸が得られる。ただし、本発
明においては、繊維の断面において少なくともポリエス
テル繊維表面近傍の繊維横断面中に、フッ素樹脂を、最
も大きい島成分の大きさが0.1μm〜2μmとなるよ
うに独立した島成分として分散せしめたポリエステル繊
維原糸とすることが好ましい。
するポリエステルを常法により製糸することにより本発
明のポリエステル繊維の原糸が得られる。ただし、本発
明においては、繊維の断面において少なくともポリエス
テル繊維表面近傍の繊維横断面中に、フッ素樹脂を、最
も大きい島成分の大きさが0.1μm〜2μmとなるよ
うに独立した島成分として分散せしめたポリエステル繊
維原糸とすることが好ましい。
【0017】島成分の大きさが2μmを越えると、紡糸
時の糸切れが多発して紡糸が困難となり好ましくない。
しかも該ポリエステル繊維からなる布帛をアルカリ減量
処理すると、フッ素樹脂の島成分が脱落して凹状孔が形
成するため、布帛の撥水性が不十分となる。逆に0.1
μm未満の場合、高い撥水性を得ることができない。ポ
リエステル中のフッ素樹脂の最も大きい島成分の大きさ
を2μm未満とするには、ポリエステル樹脂とフッ素樹
脂とを上記の動的混練機で混練分散した後、金網フィル
ターや焼結金属フィルターで濾過することも好ましい手
段である。
時の糸切れが多発して紡糸が困難となり好ましくない。
しかも該ポリエステル繊維からなる布帛をアルカリ減量
処理すると、フッ素樹脂の島成分が脱落して凹状孔が形
成するため、布帛の撥水性が不十分となる。逆に0.1
μm未満の場合、高い撥水性を得ることができない。ポ
リエステル中のフッ素樹脂の最も大きい島成分の大きさ
を2μm未満とするには、ポリエステル樹脂とフッ素樹
脂とを上記の動的混練機で混練分散した後、金網フィル
ターや焼結金属フィルターで濾過することも好ましい手
段である。
【0018】また本発明においては、少なくともポリエ
ステル繊維表面近傍のポリエステル中のフッ素樹脂を、
繊維軸方向に筋状の形態を有しながら分散せしめたポリ
エステル繊維原糸とすることが必要である。ポリエステ
ル中にフッ素樹脂を筋状分散させるには、溶融紡糸口金
のノズル内の剪断速度を、例えばみかけ剪断速度を5,
000/s以上、より好ましくは10,000/s以上
に増加せしめることが好ましい。本発明においては、該
ポリエステル繊維原糸からなる布帛をアルカリ減量処理
した後も、フッ素樹脂が少なくとも繊維表面近傍の繊維
横断面中に独立した島成分として分散している。独立し
た島成分として分散しているとは、フッ素樹脂が繊維軸
方向に、ある長さを有しながら繊維中にランダムに分散
しており、繊維横断面から見た時に該分散物が繊維表面
近傍で島成分として識別できる状態をいう。島成分の大
きさは0.1μm〜2μmであることが好ましい。島成
分の大きさが0.1μm未満で島成分として識別できな
い場合、高い撥水性を得ることができない。
ステル繊維表面近傍のポリエステル中のフッ素樹脂を、
繊維軸方向に筋状の形態を有しながら分散せしめたポリ
エステル繊維原糸とすることが必要である。ポリエステ
ル中にフッ素樹脂を筋状分散させるには、溶融紡糸口金
のノズル内の剪断速度を、例えばみかけ剪断速度を5,
000/s以上、より好ましくは10,000/s以上
に増加せしめることが好ましい。本発明においては、該
ポリエステル繊維原糸からなる布帛をアルカリ減量処理
した後も、フッ素樹脂が少なくとも繊維表面近傍の繊維
横断面中に独立した島成分として分散している。独立し
た島成分として分散しているとは、フッ素樹脂が繊維軸
方向に、ある長さを有しながら繊維中にランダムに分散
しており、繊維横断面から見た時に該分散物が繊維表面
近傍で島成分として識別できる状態をいう。島成分の大
きさは0.1μm〜2μmであることが好ましい。島成
分の大きさが0.1μm未満で島成分として識別できな
い場合、高い撥水性を得ることができない。
【0019】本発明においては、布帛を構成するポリエ
ステル繊維の繊維表面上にフッ素樹脂からなる筋状凸状
体が繊維軸方向に不連続な筋状の形態を有しながら突起
した表面構造を形成させることが必要である。ここで、
フッ素樹脂からなる筋状凸状体が「繊維軸方向に不連続
な筋状の形態を有している」とは、該ポリエステル繊維
を10%減量した繊維の側面を走査型電子顕微鏡で観察
した時、筋状凸状体が繊維軸方向に途切れながら並んで
いる状態をいい、隣合う筋状凸状体の一部が重なり合っ
て並んでいる形態も含んでよい。
ステル繊維の繊維表面上にフッ素樹脂からなる筋状凸状
体が繊維軸方向に不連続な筋状の形態を有しながら突起
した表面構造を形成させることが必要である。ここで、
フッ素樹脂からなる筋状凸状体が「繊維軸方向に不連続
な筋状の形態を有している」とは、該ポリエステル繊維
を10%減量した繊維の側面を走査型電子顕微鏡で観察
した時、筋状凸状体が繊維軸方向に途切れながら並んで
いる状態をいい、隣合う筋状凸状体の一部が重なり合っ
て並んでいる形態も含んでよい。
【0020】該筋状凸状突起体は、上記のポリエステル
繊維原糸表面のポリエステルの一部を溶解除去すること
によって形成できる。ポリエステルの溶解除去は、布帛
の風合改善のために通常行われているアルカリ減量処理
で行うことができる。アルカリ減量率は、通常5%〜2
5%のアルカリ減量率の範囲で、繊維表面に形成される
筋状凸状突起体の繊維表面からの高さを見ながら適宜選
択することができる。
繊維原糸表面のポリエステルの一部を溶解除去すること
によって形成できる。ポリエステルの溶解除去は、布帛
の風合改善のために通常行われているアルカリ減量処理
で行うことができる。アルカリ減量率は、通常5%〜2
5%のアルカリ減量率の範囲で、繊維表面に形成される
筋状凸状突起体の繊維表面からの高さを見ながら適宜選
択することができる。
【0021】凸状体の繊維表面からの高さは、繊維断面
を走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真から求めるこ
とができる。凸状体の高さは0.1μm〜1μmである
ことが好ましい。凸状体の高さが0.1μm未満である
と、高い撥水性を得ることができず、また1μmを越え
ると撥水耐久性が低く、布帛の使用に伴ってフッ素樹脂
成分が繊維表面から脱落して撥水性を失い易い。また筋
状凸状突起体の形状は特に限定されず、筋状であれば任
意のものでよい。太さが繊維軸方向でほぼ同じ棒状形状
や、繊維軸方向で端面に近づくにつれて先細りした針状
棒形状であることができ、筋状凸状突起体の高さ方向に
直角な横断面形状は、円形、楕円形、その他任意の形状
であることができる。
を走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真から求めるこ
とができる。凸状体の高さは0.1μm〜1μmである
ことが好ましい。凸状体の高さが0.1μm未満である
と、高い撥水性を得ることができず、また1μmを越え
ると撥水耐久性が低く、布帛の使用に伴ってフッ素樹脂
成分が繊維表面から脱落して撥水性を失い易い。また筋
状凸状突起体の形状は特に限定されず、筋状であれば任
意のものでよい。太さが繊維軸方向でほぼ同じ棒状形状
や、繊維軸方向で端面に近づくにつれて先細りした針状
棒形状であることができ、筋状凸状突起体の高さ方向に
直角な横断面形状は、円形、楕円形、その他任意の形状
であることができる。
【0022】該筋状凸状突起体の繊維表面の繊維軸に直
角方向の最大幅は2μm未満である必要があり、1μm
未満であることがより好ましい。「繊維表面の繊維軸に
直角方向の最大幅」とは、繊維側面から観察したときの
筋状凸状突起体の、繊維軸に直角方向の幅の最大値を表
わす。最大幅が2μmを越えると、筋状凸状突起体が繊
維表面から脱落し易くなり、布帛の使用に伴って撥水性
を失い易い。逆に0.1μm未満の場合、凸状体が微細
になりすぎて高い撥水性を得ることができない。 また
繊維表面の該筋状凸状突起体の繊維軸方向の筋の長さに
は特に限定がないが、連続した筋であると筋状凸状突起
体が繊維表面から脱落し易くなるため、繊維軸方向に不
連続な、通常長さが5μm〜50μmの筋状の形態を有
していることが好ましい。
角方向の最大幅は2μm未満である必要があり、1μm
未満であることがより好ましい。「繊維表面の繊維軸に
直角方向の最大幅」とは、繊維側面から観察したときの
筋状凸状突起体の、繊維軸に直角方向の幅の最大値を表
わす。最大幅が2μmを越えると、筋状凸状突起体が繊
維表面から脱落し易くなり、布帛の使用に伴って撥水性
を失い易い。逆に0.1μm未満の場合、凸状体が微細
になりすぎて高い撥水性を得ることができない。 また
繊維表面の該筋状凸状突起体の繊維軸方向の筋の長さに
は特に限定がないが、連続した筋であると筋状凸状突起
体が繊維表面から脱落し易くなるため、繊維軸方向に不
連続な、通常長さが5μm〜50μmの筋状の形態を有
していることが好ましい。
【0023】さらに該筋状凸状突起体の数は、繊維表面
の繊維軸に直角方向に、5μm当り1個以上の割合で、
0.2μm以上の間隔で存在することが必要である。5
μm当り1個未満の割合では、布帛表面に付着した水が
繊維表面に侵入し、目的とする高撥水性を達成できな
い。また、該筋状凸状突起体の隣り合った間隔が0.2
μm未満では、筋状凸状突起体間の空気が少なくなり、
その結果撥水性に寄与する筋状凸状突起体間の空気量の
減少を招き、高撥水性を達成できない。
の繊維軸に直角方向に、5μm当り1個以上の割合で、
0.2μm以上の間隔で存在することが必要である。5
μm当り1個未満の割合では、布帛表面に付着した水が
繊維表面に侵入し、目的とする高撥水性を達成できな
い。また、該筋状凸状突起体の隣り合った間隔が0.2
μm未満では、筋状凸状突起体間の空気が少なくなり、
その結果撥水性に寄与する筋状凸状突起体間の空気量の
減少を招き、高撥水性を達成できない。
【0024】またフッ素樹脂からなる該筋状凸状突起体
を繊維表面に有するポリエステル繊維は、布帛の最も外
側に位置させる必要がある。外側から見える繊維であっ
ても内側にもぐって位置させたり、露出せず他の繊維と
重なりあっている場合は、撥水効果が弱いか撥水効果を
奏しない。
を繊維表面に有するポリエステル繊維は、布帛の最も外
側に位置させる必要がある。外側から見える繊維であっ
ても内側にもぐって位置させたり、露出せず他の繊維と
重なりあっている場合は、撥水効果が弱いか撥水効果を
奏しない。
【0025】ポリエステル繊維原糸のデニールには特に
限定はないが、通常約0.1deから、数deまでが適
当である。また紡糸方法も特に限定はなく、長繊維、短
繊維、スパンボンド、メルトブロー紡糸のいずれでもよ
い。紡糸速度も特に限定はなく、紡糸に引き続いて延
伸、仮撚加工を施してもよい。例えば500〜3500
m/分の速度で溶融紡糸し、延伸、熱処理する方法、1
000〜5000m/分の速度で溶融紡糸し、延伸、仮
撚加工を同時にまたは続いて行う方法、5000m/分
以上の高速で溶融紡糸し、用途によっては延伸工程を省
略する方法等を採用することができる。また、本発明の
撥水性ポリエステル繊維の断面形状は、得られる布帛の
用途等に応じて任意の形状とすることができ、例えば円
形の他、三角、偏平、星形、V型等の異形断面またはそ
れらの中空断面が例示できる。
限定はないが、通常約0.1deから、数deまでが適
当である。また紡糸方法も特に限定はなく、長繊維、短
繊維、スパンボンド、メルトブロー紡糸のいずれでもよ
い。紡糸速度も特に限定はなく、紡糸に引き続いて延
伸、仮撚加工を施してもよい。例えば500〜3500
m/分の速度で溶融紡糸し、延伸、熱処理する方法、1
000〜5000m/分の速度で溶融紡糸し、延伸、仮
撚加工を同時にまたは続いて行う方法、5000m/分
以上の高速で溶融紡糸し、用途によっては延伸工程を省
略する方法等を採用することができる。また、本発明の
撥水性ポリエステル繊維の断面形状は、得られる布帛の
用途等に応じて任意の形状とすることができ、例えば円
形の他、三角、偏平、星形、V型等の異形断面またはそ
れらの中空断面が例示できる。
【0026】なお、本発明の繊維は、フッ素樹脂を含有
したポリエステルを単独で紡糸したブレンド繊維のほ
か、該フッ素樹脂を含有したポリエステルが繊維表面を
形成するように、他のポリマーと複合紡糸した繊維も含
まれ、複合繊維化は、繊維の機械的特性保持やコストダ
ウンの点で有利である。
したポリエステルを単独で紡糸したブレンド繊維のほ
か、該フッ素樹脂を含有したポリエステルが繊維表面を
形成するように、他のポリマーと複合紡糸した繊維も含
まれ、複合繊維化は、繊維の機械的特性保持やコストダ
ウンの点で有利である。
【0027】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例及び比較例中の部および%は
それぞれ重量部および重量%を示す。なお実施例におけ
る特性値の測定法等は次のとおりである。
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例及び比較例中の部および%は
それぞれ重量部および重量%を示す。なお実施例におけ
る特性値の測定法等は次のとおりである。
【0028】(1)撥水性 ポリエステル繊維原糸を、タフタ織物となし、常法によ
り精練、プリセット(180℃×1分)し、さらに30
g /リットルの水酸化ナトリウム水溶液で沸騰温度
で、10%アルカリ減量処理し(N率10%と称す
る)、Sumikalon NavyBlue S-2GL (住友化学製)4%o
wf 、ディスパーVG(明成化学工業製)0.5g/リッ
トルおよび酢酸0.3g/リットルを含む染浴中で浴比
1:50にて130℃で60分間染色後、水酸化ナトリ
ウム1g/リットルおよびハイドロサルファイト1g/
リットルを含む水溶液にて70℃で20分間還元洗浄
し、さらに常法によりファイナルセット(160℃×1
分)を施して、減量染色織物(N率10%)を得た。減
量染色織物(L0と称する)ならびにJIS L−10
18−776.36 H法に準じて、洗濯30回相当分
(L30と称する)洗濯した染色織物から、6個の試験
布帛片(10cm×10cm)を準備して、各々の試験
布帛片の撥水性を下記の2つの方法で測定した。
り精練、プリセット(180℃×1分)し、さらに30
g /リットルの水酸化ナトリウム水溶液で沸騰温度
で、10%アルカリ減量処理し(N率10%と称す
る)、Sumikalon NavyBlue S-2GL (住友化学製)4%o
wf 、ディスパーVG(明成化学工業製)0.5g/リッ
トルおよび酢酸0.3g/リットルを含む染浴中で浴比
1:50にて130℃で60分間染色後、水酸化ナトリ
ウム1g/リットルおよびハイドロサルファイト1g/
リットルを含む水溶液にて70℃で20分間還元洗浄
し、さらに常法によりファイナルセット(160℃×1
分)を施して、減量染色織物(N率10%)を得た。減
量染色織物(L0と称する)ならびにJIS L−10
18−776.36 H法に準じて、洗濯30回相当分
(L30と称する)洗濯した染色織物から、6個の試験
布帛片(10cm×10cm)を準備して、各々の試験
布帛片の撥水性を下記の2つの方法で測定した。
【0029】(ア)撥水度 JIS L−1092 5.2撥水度試験(スプレー
法)により試験した。試験片の濡れた状態を、採点し3
回の平均値で表わした。 100:表面に湿潤や水滴の付着がないもの 90:表面に湿潤しないが、小さな水滴の付着を示すも
の 80:表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの 70:表面の半分に湿潤を示し、小さな個々の湿潤が布
を浸透する状態を示すもの 50:表面全体に湿潤を示すもの 0:表面および裏面が全体に湿潤を示すもの (イ)転げ落ち角度 回転可能な試験片載せ板を取り付けた摩擦抵抗測定装置
を用いて、水平状態にした試験片載せ板の上に、試験布
帛片を貼り付け、蒸留水20μリットルを試験布帛片上
に滴下し、4度/秒の速度で試験片載せ板を下方に傾け
ていって、滴下した蒸留水が試験布帛片から転げ落ちた
ときの角度を測定した。測定された角度が小さいほど、
試験片布帛表面の撥水性が高いことを示す。
法)により試験した。試験片の濡れた状態を、採点し3
回の平均値で表わした。 100:表面に湿潤や水滴の付着がないもの 90:表面に湿潤しないが、小さな水滴の付着を示すも
の 80:表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの 70:表面の半分に湿潤を示し、小さな個々の湿潤が布
を浸透する状態を示すもの 50:表面全体に湿潤を示すもの 0:表面および裏面が全体に湿潤を示すもの (イ)転げ落ち角度 回転可能な試験片載せ板を取り付けた摩擦抵抗測定装置
を用いて、水平状態にした試験片載せ板の上に、試験布
帛片を貼り付け、蒸留水20μリットルを試験布帛片上
に滴下し、4度/秒の速度で試験片載せ板を下方に傾け
ていって、滴下した蒸留水が試験布帛片から転げ落ちた
ときの角度を測定した。測定された角度が小さいほど、
試験片布帛表面の撥水性が高いことを示す。
【0030】(2)繊維表面のフッ素樹脂凸状体の観察 繊維表面のフッ素樹脂からなる凸状体は、前記減量染色
編地の繊維の側面を走査型電子顕微鏡で観察し、繊維表
面の繊維軸に直角方向に存在する凸状体の最大幅と、5
μm当りの突起個数を求めた。 (3)繊維横断面中のフッ素樹脂分散状態 減量染色織物の繊維をパラフィンで包埋し、10μmの
厚さに繊維軸に直角に切断した切片を、トルエン中で2
時間、さらにアセトン中で24時間浸漬し、減圧乾燥
後、繊維断面を走査型電子顕微鏡で観察し、最も大きい
島成分の大きさを求めた。
編地の繊維の側面を走査型電子顕微鏡で観察し、繊維表
面の繊維軸に直角方向に存在する凸状体の最大幅と、5
μm当りの突起個数を求めた。 (3)繊維横断面中のフッ素樹脂分散状態 減量染色織物の繊維をパラフィンで包埋し、10μmの
厚さに繊維軸に直角に切断した切片を、トルエン中で2
時間、さらにアセトン中で24時間浸漬し、減圧乾燥
後、繊維断面を走査型電子顕微鏡で観察し、最も大きい
島成分の大きさを求めた。
【0031】〔参考例1〕テレフタル酸ジメチル100
部、エチレングリコール60部、酢酸カルシウム1水塩
0.063部(テレフタル酸ジメチルに対して0.069
モル%)および整色剤として酢酸コバルト4水塩0.0
09部(テレフタル酸ジメチルに対して0.007モル
%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時
間かけて140℃から220℃まで昇温して生成するメ
タノールを系外へ留去しながらエステル交換反応させ
た。その後220℃で20分間撹拌した後、安定剤とし
てリン酸トリメチル0.058部(テレフタル酸ジメチ
ルに対して0.080モル%)を添加し、同時に過剰エ
チレングリコールの昇温追出しを開始した。10分後重
縮合触媒として三酸化アンチモン0.04部(テレフタ
ル酸ジメチルに対して0.027モル%)を添加した。
続いて内温が240℃に到達した時点でエチレングリコ
ールの追出しを終了し、反応生成物を重合缶に移した。
次いで昇温しながら内温が260℃に到達するまで常圧
反応させた後、1時間かけて760mmHgから1mm
Hgまで減圧し、同時に1時間30分かけて内温を28
0℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、重合温度
280℃で固有粘度が0.64dl/gになるまで反応
を続けた。得られたポリマーを吐出し、水冷後切断し
て、ポリエチレンテレフタレートのチップを得た。
部、エチレングリコール60部、酢酸カルシウム1水塩
0.063部(テレフタル酸ジメチルに対して0.069
モル%)および整色剤として酢酸コバルト4水塩0.0
09部(テレフタル酸ジメチルに対して0.007モル
%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時
間かけて140℃から220℃まで昇温して生成するメ
タノールを系外へ留去しながらエステル交換反応させ
た。その後220℃で20分間撹拌した後、安定剤とし
てリン酸トリメチル0.058部(テレフタル酸ジメチ
ルに対して0.080モル%)を添加し、同時に過剰エ
チレングリコールの昇温追出しを開始した。10分後重
縮合触媒として三酸化アンチモン0.04部(テレフタ
ル酸ジメチルに対して0.027モル%)を添加した。
続いて内温が240℃に到達した時点でエチレングリコ
ールの追出しを終了し、反応生成物を重合缶に移した。
次いで昇温しながら内温が260℃に到達するまで常圧
反応させた後、1時間かけて760mmHgから1mm
Hgまで減圧し、同時に1時間30分かけて内温を28
0℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、重合温度
280℃で固有粘度が0.64dl/gになるまで反応
を続けた。得られたポリマーを吐出し、水冷後切断し
て、ポリエチレンテレフタレートのチップを得た。
【0032】〔実施例1〕60重量%のテトラフルオロ
エチレン単位、20重量%のビニリデンフルオリド単位
および20重量%のヘキサフルオロプロピレン単位から
なる融点が180℃の共重合フッ素樹脂チップ10重量
部と、160℃で5時間熱風乾燥したポリエステルチッ
プ90重量部をブレンドし、一軸押出機で290℃で溶
融混練させ、混合ポリマー融液をギヤポンプで計量して
290℃のダイ部に導き、さらに日本精線(株)社製の
ファインポアNF−05(濾過精度5μmのナスロンフ
ィルター)で濾過した。さらに、孔径0.2mmφ、ラ
ンド長0.4mmの丸孔押出ノズルホール数36個を有
する紡糸口金(紡糸みかけ剪断速度14700/s)か
ら紡糸押出温度290℃で吐出させ、紡糸口金直下に設
置した9cmの保温ゾーンを通過させ、その下方で温度
20℃、風速0.3m/秒の冷却風を吹きつけて横吹き
冷却を行い、油剤を付与したのち、1200m/分の速
度に設定された90℃の加熱ゴデッドロールと3800
m/分の速度に設定された120℃の延伸加熱ゴデッド
ロールを介して巻き取り、75デニール/36フィラメ
ントのポリエステル繊維原糸を得た。
エチレン単位、20重量%のビニリデンフルオリド単位
および20重量%のヘキサフルオロプロピレン単位から
なる融点が180℃の共重合フッ素樹脂チップ10重量
部と、160℃で5時間熱風乾燥したポリエステルチッ
プ90重量部をブレンドし、一軸押出機で290℃で溶
融混練させ、混合ポリマー融液をギヤポンプで計量して
290℃のダイ部に導き、さらに日本精線(株)社製の
ファインポアNF−05(濾過精度5μmのナスロンフ
ィルター)で濾過した。さらに、孔径0.2mmφ、ラ
ンド長0.4mmの丸孔押出ノズルホール数36個を有
する紡糸口金(紡糸みかけ剪断速度14700/s)か
ら紡糸押出温度290℃で吐出させ、紡糸口金直下に設
置した9cmの保温ゾーンを通過させ、その下方で温度
20℃、風速0.3m/秒の冷却風を吹きつけて横吹き
冷却を行い、油剤を付与したのち、1200m/分の速
度に設定された90℃の加熱ゴデッドロールと3800
m/分の速度に設定された120℃の延伸加熱ゴデッド
ロールを介して巻き取り、75デニール/36フィラメ
ントのポリエステル繊維原糸を得た。
【0033】得られたポリエステル繊維原糸をタフタ織
物とし、減量染色織物(N10L0と称する)ならびに洗
濯30回相当分洗濯した染色織物(N10L30と称する)
を試験布帛片として撥水度、転げ落ち角度、繊維表面の
フッ素樹脂凸状体の最大幅と突起個数、繊維横断面中の
フッ素樹脂島成分の最大の大きさを評価した。撥水度と
転げ落ち角度の結果を表1に、繊維表面のフッ素樹脂凸
状体の最大幅と突起個数、繊維横断面中のフッ素樹脂島
成分の最大の大きさを表2に示す。また減量繊維側面の
走査電子顕微鏡写真を図1に示す。
物とし、減量染色織物(N10L0と称する)ならびに洗
濯30回相当分洗濯した染色織物(N10L30と称する)
を試験布帛片として撥水度、転げ落ち角度、繊維表面の
フッ素樹脂凸状体の最大幅と突起個数、繊維横断面中の
フッ素樹脂島成分の最大の大きさを評価した。撥水度と
転げ落ち角度の結果を表1に、繊維表面のフッ素樹脂凸
状体の最大幅と突起個数、繊維横断面中のフッ素樹脂島
成分の最大の大きさを表2に示す。また減量繊維側面の
走査電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0034】〔比較例1〕孔径0.3mmφ、ランド長
0.6mmの丸孔押出ノズルホール数36個を有する紡
糸口金を用いる(紡糸みかけ剪断速度4400/s)以
外は実施例1と同様に行い、結果を表1と表2に示し
た。また減量繊維側面の走査電子顕微鏡写真を図2に示
す。
0.6mmの丸孔押出ノズルホール数36個を有する紡
糸口金を用いる(紡糸みかけ剪断速度4400/s)以
外は実施例1と同様に行い、結果を表1と表2に示し
た。また減量繊維側面の走査電子顕微鏡写真を図2に示
す。
【0035】比較例1(図2)では筋状のフッ素樹脂凸
状体の数が少なく、凸状体の一部が繊維から遊離して、
繊維表面に減量凹状溝を形成しているため、撥水度、転
げ落ち角度ともによくない。一方、実施例1(図1)で
は繊維軸方向に長く、筋状のフッ素樹脂凸状体が繊維側
面に整列して観察され、撥水度、転げ落ち角度ともに大
きく改善される。紡糸口金ノズル内の剪断速度を増加せ
しめることによって、フッ素樹脂成分の一部が繊維軸方
向に筋状に分散し易くなることを裏付けている。
状体の数が少なく、凸状体の一部が繊維から遊離して、
繊維表面に減量凹状溝を形成しているため、撥水度、転
げ落ち角度ともによくない。一方、実施例1(図1)で
は繊維軸方向に長く、筋状のフッ素樹脂凸状体が繊維側
面に整列して観察され、撥水度、転げ落ち角度ともに大
きく改善される。紡糸口金ノズル内の剪断速度を増加せ
しめることによって、フッ素樹脂成分の一部が繊維軸方
向に筋状に分散し易くなることを裏付けている。
【0036】〔実施例2〜4および比較例2〜8〕フッ
素樹脂として、テトラフルオロエチレン単位、ビニリデ
ンフルオリド単位およびヘキサフルオロプロピレン単位
の共重合比率、融点が異なる共重合フッ素樹脂を用い、
添加量を変更する以外は実施例1と同様に行い、結果を
表1と表2に示した。
素樹脂として、テトラフルオロエチレン単位、ビニリデ
ンフルオリド単位およびヘキサフルオロプロピレン単位
の共重合比率、融点が異なる共重合フッ素樹脂を用い、
添加量を変更する以外は実施例1と同様に行い、結果を
表1と表2に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明のポリエステル繊維では、繊維表
面にあるフッ素樹脂からなる筋状の凸状突起体の存在に
より、撥水後加工処理を施さなくても極めて優れた撥水
性能を有する。また筋状の凸状突起体の一部が繊維断面
内部に埋没しているため、筋状の凸状突起体が脱落しに
くく、その撥水性能が長期間失われることなく維持でき
る。しかも繊維表面上に保持された凸状突起体により撥
水性が発現しており、通常の撥水後加工処理品のように
布帛の風合が損なわれないため、撥水性が要求される織
編物、不織布、詰綿等として広く使用できる。
面にあるフッ素樹脂からなる筋状の凸状突起体の存在に
より、撥水後加工処理を施さなくても極めて優れた撥水
性能を有する。また筋状の凸状突起体の一部が繊維断面
内部に埋没しているため、筋状の凸状突起体が脱落しに
くく、その撥水性能が長期間失われることなく維持でき
る。しかも繊維表面上に保持された凸状突起体により撥
水性が発現しており、通常の撥水後加工処理品のように
布帛の風合が損なわれないため、撥水性が要求される織
編物、不織布、詰綿等として広く使用できる。
【図1】 実施例1におけるポリエステル繊維の減量繊
維側面の走査電子顕微鏡写真である。
維側面の走査電子顕微鏡写真である。
【図2】 比較例1におけるポリエステル繊維の減量繊
維側面の走査電子顕微鏡写真である。
維側面の走査電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 8/14 D01F 8/14 Z
Claims (4)
- 【請求項1】 繊維断面においてフッ素樹脂が少なくと
も繊維表面近傍の繊維横断面中に独立した島成分として
分散しているポリエステル繊維であって、該ポリエステ
ル繊維表面上にフッ素樹脂からなる筋状凸状体が繊維軸
方向に不連続な筋状の形態を有しながら突起しており、
繊維表面の繊維軸に直角方向に、最大幅が0.1μm〜
2μmの筋状凸状体が、5μm当り1個以上の割合で、
0.2μm以上の間隔で存在していることを特徴とする
撥水性ポリエステル繊維。 - 【請求項2】 フッ素樹脂が、30〜70重量%のテト
ラフルオロエチレン単位、10〜50重量%のビニリデ
ンフルオリド単位およびヘキサフルオロプロピレン単位
から実質的になる、融点が100〜280℃の共重合フ
ッ素樹脂である請求項1記載の撥水性ポリエステル繊
維。 - 【請求項3】 フッ素樹脂が、50〜70重量%のテト
ラフルオロエチレン単位、10〜30重量%のビニリデ
ンフルオリド単位およびヘキサフルオロプロピレン単位
から実質的になる、融点が140〜200℃の共重合フ
ッ素樹脂である請求項1記載の撥水性ポリエステル繊
維。 - 【請求項4】 繊維断面において少なくともポリエステ
ル繊維表面近傍の繊維横断面中に、フッ素樹脂を、最も
大きい島成分の大きさが0.1μm〜2μmとなるよう
に独立した島成分として、繊維軸方向に筋状の形態を有
しながら分散せしめたポリエステル繊維原糸の表面のポ
リエステルを溶解除去することによって、該ポリエステ
ル繊維表面上にフッ素樹脂からなる筋状凸状体を突起せ
しめることにより、請求項1〜3のいずれか記載の撥水
性ポリエステル繊維を得ることを特徴とする撥水性ポリ
エステル繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13968596A JPH09302524A (ja) | 1996-05-10 | 1996-05-10 | 撥水性ポリエステル繊維およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13968596A JPH09302524A (ja) | 1996-05-10 | 1996-05-10 | 撥水性ポリエステル繊維およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09302524A true JPH09302524A (ja) | 1997-11-25 |
Family
ID=15251053
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13968596A Withdrawn JPH09302524A (ja) | 1996-05-10 | 1996-05-10 | 撥水性ポリエステル繊維およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09302524A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002004181A (ja) * | 2000-06-16 | 2002-01-09 | Pilot Ink Co Ltd | 熱変色性布帛 |
JP2012177212A (ja) * | 2011-02-28 | 2012-09-13 | Toray Ind Inc | ナノファイバー混繊糸 |
WO2013111671A1 (ja) * | 2012-01-23 | 2013-08-01 | 東レ株式会社 | 繊維、その製造方法および撥水性布帛 |
WO2021205340A1 (en) * | 2020-04-08 | 2021-10-14 | 3M Innovative Properties Company | Partially fluorinated thermoplastic polymers and fibers |
-
1996
- 1996-05-10 JP JP13968596A patent/JPH09302524A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002004181A (ja) * | 2000-06-16 | 2002-01-09 | Pilot Ink Co Ltd | 熱変色性布帛 |
JP2012177212A (ja) * | 2011-02-28 | 2012-09-13 | Toray Ind Inc | ナノファイバー混繊糸 |
WO2013111671A1 (ja) * | 2012-01-23 | 2013-08-01 | 東レ株式会社 | 繊維、その製造方法および撥水性布帛 |
JP5327411B1 (ja) * | 2012-01-23 | 2013-10-30 | 東レ株式会社 | 繊維、その製造方法および撥水性布帛 |
WO2021205340A1 (en) * | 2020-04-08 | 2021-10-14 | 3M Innovative Properties Company | Partially fluorinated thermoplastic polymers and fibers |
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