JP5327411B1 - 繊維、その製造方法および撥水性布帛 - Google Patents

繊維、その製造方法および撥水性布帛 Download PDF

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Abstract

繊維表面に筋状の凹凸を発現せしめることにより、撥水後加工処理を施さなくても、極めて優れた撥水性能を有し、しかも染色性の良好な撥水性繊維およびそれを簡便かつ、安定的に提供する。可染性ポリマーAと撥水または疎水性ポリマーBからなり、海島構造を有するポリマーアロイ繊維であって、繊維表面に露出した撥水または疎水性ポリマーBの存在比率をMとし、繊維長手方向に形成された筋状部を有し、この筋状部の平均算術粗さをRとしたときに、以下の式(i)を満たすことを特徴とする繊維である。
式(i)R≧674.15×e―0.0462×M

Description

本発明は、布帛等の繊維構造物に撥水後加工処理を特に施さなくても優れた撥水性を有し、かつ染色性にも優れた繊維およびその製造方法に関する。
従来から、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂を含有する分散液等で布帛を処理して布帛表面にこれらの樹脂を付着せしめて、撥水処理を施すことは広く行われている。しかしながら、これらの加工処理で得られた布帛は撥水性こそあるものの、十分な撥水耐久性を付与する程の量を処理すると布帛の風合が硬くなりこのためスポーツウェア、カジュアルウェア等の撥水性と風合が共に要求される分野への応用が大きく制限されていた。また、元来撥水性、疎水性を有する樹脂のみを用いて繊維および布帛を作ることで風合いの柔らかい撥水繊維を得ることも行われているが、このような樹脂はそもそも染色性に乏しく、衣料用途には適さないものであった。
そこで繊維表面近傍にフッ素樹脂からなる筋状凸状体物を繊維軸方向に不連続に筋状に発現させることにより、撥水性を付与する方法(特許文献1等)が提案されている。
特開平9−302524号公報
上記方法ではフッ素樹脂の分散状態が十分でなく、繊維表面に存在する筋状物の分布密度が低く、高い撥水性を発現させることが難しく、また布帛を製作した後にアルカリ水溶液等による減量加工を行うが、それに際し、減量しすぎるとフッ素樹脂が脱落しやすく、不十分だと撥水性が発現しないため、安定した撥水性能を発現できないと言う問題があった。さらには、減量加工に伴うコストアップや原料ロスに加え、減量加工できない樹脂に関してはこのような方法で撥水性を付与することができないという問題があった。
本発明は、繊維表面に筋状部を形成し、その大きさと繊維表面に露出した撥水または疎水性を有するポリマーBの存在量を制御することにより、撥水後加工処理を施さなくても、極めて優れた撥水性能を有し、しかも染色性の良好な撥水性繊維およびその簡便かつ、安定的な製造方法を提供する。
本発明は、上記課題を解決するために、下記の構成からなる。
(1)可染性ポリマーAと撥水または疎水性ポリマーBからなり、海島構造を有するポリマーアロイ繊維であって、繊維表面に露出した撥水または疎水性を有するポリマーBの存在比率をMとし、繊維長手方向に形成された筋状部を有し、この筋状部の平均算術粗さをRとしたときに、以下の式(i)を満たすことを特徴とする繊維。
式(i)R≧674.15×e―0.0462×M
(2)さらに下記式(iii)を満足することを特徴とする、(1)に記載の繊維。
式(iii) 100≧M≧57
(3)可染性ポリマーAと撥水または疎水性ポリマーBの重量比を70/30〜60/40で混合し、さらに上記ポリマーA、Bの合計重量に対し、相溶化剤を0.5〜5重量%添加することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の繊維。
(4)可染性ポリマーAを海成分、撥水または疎水性ポリマーBを島成分とすることを特徴とする上記(1)〜(3)いずれかに記載の繊維。
(5)撥水または疎水性ポリマーBが、吸水率0.1重量%未満であることを特徴とする上記(1)〜(4)いずれかに記載の繊維。
(6)可染性ポリマーAのメルトマスフローレート(MFR)Xと、撥水または疎水性ポリマーBのメルトマスフローレート(MFR)Yが下記式(ii)を満足することを特徴とする、上記(1)〜(5)いずれかに記載の繊維。
式(ii) 7≦X/Y≦120
(7)可染性ポリマーAがポリアミド、撥水または疎水性ポリマーBがポリオレフィンであることを特徴とする上記(1)〜(6)いずれかに記載の繊維。
(8)上記(1)〜(7)いずれかに記載の繊維からなる撥水性布帛。
(9)上記(1)〜(7)いずれかに記載の繊維の製造方法であって、可染性ポリマーAと撥水または疎水性ポリマーBを混合して溶融紡糸して海島構造を有するポリマーアロイ繊維を製造する際に、可染性ポリマーAのメルトマスフローレート(MFR)Xと、撥水または疎水性ポリマーBのメルトマスフローレート(MFR)Yが下記式(ii)を満足するような可染性ポリマーA、撥水または疎水性ポリマーBを用いることを特徴とする繊維の製造方法。
式(ii) 7≦X/Y≦120
本発明の繊維では、繊維表面にある筋状部の存在およびその大きさと繊維表面に露出した撥水または疎水性を有するポリマーBの存在量を制御することにより、撥水後加工処理を施さなくても極めて優れた撥水性能を有する。後加工処理に比べて撥水性能が長期間失われることなく維持できしかも通常の撥水後加工処理品のように布帛の風合が損なわれない一方で、染色加工は通常の可染性繊維と同様の方法で行うことが可能であり、スポーツウェア、カジュアルウェア等の衣料用繊維素材として利用が可能である。
本発明の実施例1で製造した繊維表面の筋状部を示すAFM(原子間力顕微鏡)画像である。 本発明の実施例1で製造した繊維表面の筋状部上にある微小な突起を示すAFM画像である。
以下、本発明の構成要件を詳述する。
本発明の繊維は繊維表面に、撥水または疎水性を有するポリマーBが繊維表面に露出し、かつこの繊維表面で繊維長手方向に沿って形成された筋状部を有している必要がある。この筋状部と繊維表面に露出した撥水または疎水性を有するポリマーBの存在を制御することにより、水が入り込めない微小な空間を繊維表面に形成し、所謂蓮の葉効果を効果的に繊維表面に発現せしめることができ、これにより優れた撥水効果をもたらすものと考えられる。撥水または疎水性ポリマーBの繊維表面での存在比率と筋状部の大きさは、繊維表面での撥水または疎水性ポリマーBの存在比率が多くなれば筋状部が小さくてもよいが、撥水または疎水性ポリマーBの存在比率が少ない場合はより大きな筋状部を形成させる必要がある。
ここで言う繊維表面に露出したポリマーの存在比率とは、XPS(X線光電子分光法)VGScientific社製ESCALAB220iXLを用いて、励起X線:monochromatic Al Kα1,2線(1486.6eV)、X線径:1mm、光電子脱出角度:90°の条件で、繊維表面の炭素・窒素・酸素原子の存在比率を計測し、この結果から用いた可染性ポリマーAと撥水または疎水性を有するポリマーBの存在量を算出して求めた存在比(両者の合計量に対する割合(%))である。
また、ここで言う筋状部とはAFM(原子間力顕微鏡、Bruker AXS社 Digital Instruments製 NanoScope IIIa AFM))を用いて、繊維長手方向が縦軸(X軸)、縦軸に直交し、繊維表面に沿う方向を横軸(Y軸)、縦、横いずれにも直交する方向を高さ軸(Z軸)となるよう定義し、繊維表面のAFM画像をX×Y×Z=縦×横×高さ=5000nm×5000nm×400nmの視野で出力しZ軸上の任意の点を含むX−Y基準面とAFM画像で出力した繊維表面上の任意の点との最短距離を一視野につき262144箇所計測し、確認できる繊維長手方向に沿って形成された筋状部であり、その算術平均粗さは、繊維表面の平均高さ面と各点の最短距離の偏差の絶対値の平均を算出して求められる値であり、本発明ではこのようにその形状と大きさを定義する。
このように測定した繊維表面の撥水または疎水性を有するポリマーBの存在比率および、筋状部について、繊維表面での撥水または疎水性を有するポリマーBの存在比率が多くなれば筋状部の大きさは小さくてもよいが、繊維表面での撥水または疎水性を有するポリマーBの存在比率が少なくなるとより大きな筋状部を形成させる必要があり、繊維表面の撥水または疎水性を有するポリマーBの存在比率と、筋状部の大きさを様々に変更し、検討した結果、撥水性を発現するためには
R≧674.15×e―0.0462×M
を満たしている必要があることが判明した。なお、Mは、XPS(X線光電子分光法)を用いて、繊維表面の原子の個数を計測し、この結果から算出される撥水または疎水性を有するポリマーBの存在比率(%)であり、Rは繊維長手方向に形成された筋状部の平均算術粗さ(nm)である。
このとき、相溶化剤については、相溶化剤がポリマー繊維の撥水性に寄与できる成分であれば撥水または疎水性を有するポリマーとして算出すればよく、その場合は、当該ポリマーと、撥水または疎水性ポリマーBとをあわせて撥水または疎水性を有するポリマーとして算出することになる。
本発明においては後述する実施例、比較例にも示したとおり繊維表面のPP比率が100%でもある程度大きな筋が形成されていなければ撥水性が発現せず、またPP比率が小さくなれば、それに応じてより大きな筋状部を形成することで撥水性が発現することを見出した。したがって、繊維表面のPP比率は大きい方が撥水性を発現させるための筋状部の形成制御をしやすいため、上記式中Mはさらに100≧M≧57も満たしていることが好ましい。上記式は撥水性を発現するための条件を実験により求めた式である。
このような筋状部を繊維表面に形成させる方法としては異なるポリマー、すなわち可染性ポリマーAと撥水または疎水性ポリマーBとを混合し、溶融紡糸した繊維断面が海島構造のポリマーアロイとする方法が最適である。つまり、本発明におけるポリマーアロイとは、異なるポリマーの可染性ポリマーAと撥水または疎水性ポリマーBとを混合し、溶融紡糸し、繊維断面が海島構造のものをいう。
他の方法すなわち、単一の素材を用いて異形断面口金を用いて紡糸したり、複合糸を減量処理したりする事で繊維表面に微小な筋状部を形成することは口金の加工精度、減量速度の制御等、限界を超えており、非常に困難である。
繊維表面に撥水または疎水性を有するポリマーBが露出し、かつ繊維表面に筋状部が形成される原理は、詳細には解明されていないが、以下のような原理を推定している。
混合したポリマーを口金から吐出し、繊維糸条を形成する過程において、細い口金孔に押し込まれたポリマーは強い圧縮力を受けながら孔内を通過する。このとき島成分ポリマーは口金孔壁面との間にポリマー進行方向と逆向きのズリ応力が働いており、この応力は島成分と海成分の界面のうち口金孔壁面に近い面でより強く働くため、圧縮力を受けながらポリマーが流れるにつれ、島成分はより口金孔壁面に寄っていく。この圧縮力が大きく、または圧縮を受ける時間または距離が長いほどより島成分の偏りは顕著になり、ある一定以上の条件下では口金孔から吐出された繊維表面に、本来の混合比率以上の比率で島成分を露出させることが出来る。具体的には紡糸口金孔の孔径や孔長さを適宜調整することでポリマーにかかるズリ応力を制御し、島成分を繊維表面に多く露出させることが出来る。
一方で、繊維表面に露出しなかった島成分も、繊維表面のポリマーを押し上げるようなベクトルを持っているためポリマーが口金孔より吐出し、固化するまでの間に繊維表面近傍の島成分ポリマーが繊維表面ポリマーを押し上げることで、繊維表面に筋状の凹凸を形成する。したがって、繊維表面の筋状の凹凸の大きさは島成分の分散径に依存し、島成分の分散径が大きいほど筋状の凹凸の大きさは大きくなるが、島成分の分散径が大きくなりすぎると曳糸性が悪化する場合がある。このような場合でも相溶化剤等を適量添加し、ある程度は曳糸性を安定化させることができる。このような場合に用いる相溶化剤としては、両方のポリマーと相溶性のよい別のポリマーを用いてもよいし、どちらかのポリマーをベースに、他方のポリマーと親和性、反応性のある官能基等を共重合その他の方法により導入したポリマーでもよい。
相溶化剤の添加方法についても、海成分、島成分と同時に混合してもよいし、あらかじめ海成分、島成分を混合した後にエクストルーダ内にサイドフィードしてもよい。
以上により繊維表面に微小な筋状の凹凸を形成する事が可能となる。
また、本発明の繊維は、上記筋状部のほかに微小な突起部を具備していることが好ましい。これは前記筋状部と微小な突起部の二重の凹凸構造となることにより繊維の比表面積をより大きくし、蓮の葉効果を増大させる効果があるためである。
つぎに本発明で用いるポリマーとしては、染色性と撥水性を両立させるためにポリマーの内少なくとも1成分は可染性ポリマーAとするものであり、より好ましくは海成分を可染性ポリマーAとすることである。
上記において、可染性ポリマーAとしては、染色が可能なポリマーであれば特に制限はなく、具体的には、ポリアミド、ポリエステル、セルロース、アクリル、ポリウレタン、ポリオレフィン等が好ましい。撥水または疎水性ポリマーは比較的可染性に劣るものが多いので、可染性ポリマーAとしては良好な可染性を有するものが好ましく、この観点からより好ましくはポリアミド(なかでもポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10が好ましい)、ポリエステル(なかでもポリエチレンテレフタラート、ポリ乳酸が好ましい)、セルロース(セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステルが好ましい)等が挙げられる。本発明においては、特にポリアミドやセルロースに代表される親水性のポリマーを可染性ポリマーAとして用いても撥水性を付与することが可能であり、この点でポリアミドやセルロースを用いる場合に非常に有効であるといえる。さらにポリマーの融点、流動性の制御を考慮するとポリアミド6が最も好ましい。
また、撥水または疎水性ポリマーBとしては、可染性ポリマーAとして使用したものとは異なるポリマーであって、本発明で規定する繊維とし得るものであれば可染性であってもなくてもよいが、とくに筋状部と筋状部の間で該ポリマーが繊維表面に露出した部分で撥水性を補助的に向上させる目的で撥水または疎水性ポリマーであるものを用いる。具体的にはポリオレフィン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリエステル等を好ましく挙げることができる。より好ましくはポリオレフィン(なかでも好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン等)、エチレン−テトラフルオロエチレンであり、ポリマーの融点、流動性の制御等を考慮するとポリプロピレンがもっとも好ましい。また、撥水または疎水性ポリマーの吸水率は0.1重量%未満であることが好ましく、より好ましくは吸水率0.03重量%以下の撥水または疎水性ポリマーである。
また、これらのポリマーには、本発明の目的、効果を損なわない範囲で、二酸化チタン等の艶消し剤、酸化ケイ素、カオリン等の各種機能性粒子のほか、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の繊維において、海成分のMFR:Xと島成分のMFR:Yは下記式(ii)を満足することが好ましい。
式(ii) 7≦X/Y≦120
X/Yが120より大きい場合は、島成分の流動性が海成分の流動性に対して相対的に低すぎるため、繊維とした場合に島成分の分散径が大きくなりすぎ、曳糸性が極端に低下し、紡糸困難となる傾向にあるので好ましくない。また、高速で紡糸したときの糸切れを低減するために、X/Yは60以下であることが好ましく、長期ランニング時の溶融紡糸パック内圧の上昇を抑制するために、X/Yは40以下とすることがより好ましい。また、7より小さい場合は、島成分の流動性が海成分の流動性に対して相対的に高すぎるため、安定した海島構造をとりにくく、曳糸性の低下の原因となる。上記範囲であれば、バラス効果により曳糸性が低下しても適宜相溶化剤を添加することにより、曳糸性を容易に制御することができる。
上記において、MFRは、JIS K7210(1999)に準じた装置を用い、温度:250℃、荷重:2160g重の条件にて測定したメルトマスフローレートの値をそのポリマーのMFRの代表値とする。
各成分のメルトマスフローレートは、それぞれ、海成分が150〜250g/10分、島成分が4.5〜30g/10分であることが好ましい。
また、これらのポリマーからなるアロイポリマーは海島構造を安定させるために海成分の体積が多くなるように混合することが好ましい。
また相溶化剤としては、前記のとおり繊維を構成する両方のポリマーと相溶性のよい別のポリマーや、どちらかのポリマーをベースに、他方のポリマーと親和性、反応性のある官能基等を共重合その他の方法により導入したポリマーが挙げられる。これらは混合に用いるポリマーにより、適宜選択して用いればよい。例えば海成分がポリアミド、島成分がポリオレフィンの場合、ポリオレフィンにポリアミドと反応性を有する官能基、具体的には無水マレイン酸、アクリル酸、エポキシ基、オキサゾリン基等をグラフトまたは共重合させたポリマーを用いることで、繊維表面に相溶化剤が露出した場合にも相溶化剤自身が疎水性を有するポリオレフィンを含有するものであれば繊維表面に露出した相溶化剤も、疎水性ポリマーの一部として繊維全体の撥水性向上に寄与できる。そのため、無水マレイン酸、アクリル酸、エポキシ基、オキサゾリン基等をグラフトまたは共重合させたポリオレフィン等の変性ポリオレフィンがより好ましい。
本発明において、島成分と海成分、必要に応じて添加する相溶化剤は同時に溶融することを考慮すると、互いに融点の近いものが好ましい。さらに好ましくは、島成分と海成分の融点差が80℃以内、必要に応じて添加する相溶化剤がある場合は、島成分または/および海成分との融点差が80℃以内であることが好ましい。また島成分と海成分、必要に応じて添加する相溶化剤の混合は、紡糸以前の任意の段階で行うことが可能であり、ペレットの状態で混合缶にて混合したものを溶融紡糸してもよいし、それぞれ個別に計量したものを連続的にエクストルーダに投入し溶融混練させる方法等により行うことができる。
また、相溶化剤を添加する前の海成分を構成するポリマーと島成分を構成するポリマーの混合比については重量比で70/30〜60/40の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは65/35〜60/40の範囲である。海成分が多くなりすぎると繊維表面の筋状部の凹凸が低くなり、撥水性が低下する。一方島成分が多くなりすぎると、バラスが大きくなりすぎるため曳糸性が悪化し、安定して生産することが困難になる。
また、相溶化剤の添加量は上記海・島両成分の合計の重量に対して、0.5〜5重量%であることが好ましく、1〜3重量%であることがより好ましい。適切な添加量は相溶化剤に含まれる官能基の量や種類によって異なるが、添加量が少なすぎるとバラス抑制の効果が小さく曳糸性が悪化し、安定して生産することが困難になり、多すぎると海成分または/および島成分と相溶化剤が反応しすぎるためポリマーが増粘し、安定して生産することが困難になる。
このようにして得られた樹脂をポリマー吐出部がストレート孔となっている口金より吐出させ、冷却した後、給油、収束性を付与した後、引き取りローラにより引き取り、そのまま連続して延伸し、または一旦巻き取り、別工程において延伸した後、ボビンに巻き取ることにより本発明の繊維が得られる。
このとき、使用する口金について、撥水または疎水性ポリマーBを繊維表面に露出させるためにある一定のズリ応力がかかるような設計にすることが好ましい。撥水または疎水性ポリマーBを繊維表面に露出させるのに必要なズリ応力はポリマーの組み合わせにより異なり、一概にはいえないが吐出孔径、吐出孔長を調整することにより適切なズリ応力を調整することが可能であり、吐出孔径を小さくまたは吐出孔長を長くするとズリ応力が大きくなるため撥水または疎水性ポリマーBは繊維表面により露出しやすくなる。一方吐出孔径を大きく、吐出孔長を短くするとズリ応力が小さくなるため撥水または疎水性ポリマーBは繊維表面に露出しにくくなる。
本発明においては、上記のとおり撥水または疎水性を有するポリマーBが繊維の表面に露出しているが、その量は、前記繊維表面に露出した撥水または疎水性を有するポリマーBの存在比率Mとして50%以上であることが好ましく、なかでも70〜100%であることが好ましい。
繊維の紡糸方法、形態については特に限定はなく、長繊維、短繊維のいずれでもよい。
繊維の繊度、フィラメント数(長繊維の場合)、長さ・捲縮数(短繊維の場合)も特に限定はなく、断面形状も得られる布帛の用途等に応じて任意の形状とすることができ、例えば円形の他、三角、偏平、星形、V型等の異形断面またはそれらの中空断面であってもよいが、衣料用繊維素材として使用する事を考慮すると、繊度は8デシテックス以上235デシテックス以下、フィラメント数は1以上144フィラメント以下、断面形状は円形、扁平、トライポッド、星形、楕円八葉形が好ましい。
また、本発明の繊維を仮撚や捲縮加工など、糸加工を施してもよい。
かくして得られる本発明の繊維は、極めて優れた撥水性能を有し、かつ染色加工は通常の可染性繊維と同様の方法で行うことが可能であるため、スポーツウェア、カジュアルウェア等の衣料用繊維素材として好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。なお実施例における特性値の測定法等は次のとおりである。
(1)筋状部の特定と大きさの計測
AFM(原子間力顕微鏡、Bruker AXS社 Digital Instruments製 NanoScope IIIa AFM))を用いて、繊維長手方向が縦軸(X軸)、縦軸に直交し、繊維表面に沿う方向を横軸(Y軸)、縦、横いずれにも直交する方向を高さ軸(Z軸)となるよう定義し、繊維表面のAFM画像をX×Y×Z=縦×横×高さ=5000nm×5000nm×400nmの視野で出力し、Z軸上の任意の点を含むX−Y平面とAFM画像で出力した糸表面上の任意の点との最短距離を一視野につき262144箇所計測し、筋状部の確認をするとともに繊維表面の平均高さ面と各点の最短距離の偏差の絶対値の平均を算出し、繊維表面の粗さの指標とした。
(2)繊維表面のポリマー組成比の測定
XPS(X線光電子分光法)VGScientific社製ESCALAB220iXLを用いて、励起X線:monochromatic Al Kα1,2線(1486.6eV)、X線径:1mm、光電子脱出角度:90°の条件で、繊維表面の炭素・窒素の個数の計測し、窒素原子の個数よりポリアミドの分子数を算出し、ポリアミドに含まれる炭素原子の個数を全炭素原子数から差し引いた炭素原子数がポリプロピレンおよびポリプロピレンおよび相溶化剤に含まれる原子数と考え、ポリアミドと撥水または疎水性ポリマー(ポリプロピレンおよび実施例で用いた相溶化剤)の存在比率を算出した。
(3)MFRの測定
JIS K7210(1999)に準じた装置を用い、温度:250℃、荷重:2160g重の条件にて2回測定したメルトマスフローレートの値の平均値をそのポリマーのMFRの代表値とする。
(4)筒編み地の製作
57dtexのポリアミド系長繊維を2本合糸し、筒編み機にて編密度40本/inchとなるように行った。
(5)筒編み地の精練、染色
上記で得られた筒編み地をノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製ノイゲンSS)2g/l水溶液を編み地1gに対し100ml用意し、60℃にて30分洗浄した後流水にて20分水洗し、脱水機にて脱水する。
次に酸性染料(関東科学社製キシレンファーストブルー)を濃度0.28%の水溶液を用いて温度90℃で60分間染色した。
(6)筒編み地の乾燥
上記(5)で染色した筒編み地を風乾させた。
(7)撥水性の測定
(4)で製作した編み地を上記(5)〜(6)の方法で精練、染色し、乾燥させた後、高さ5mmの距離から0.1ccの水をスポイトにて編み地上に滴下する。滴下後2時間後に編み地の状態を目視し、水滴が編み地に全量浸透していないか、半球状の水滴が残っている場合に撥水性があると判断した。
◎:水が全く浸透しておらず、編み地を持ち上げると水滴が編み地上を転がる。
○:編み地上に半球状の水滴が残っているが、水と接している編み地には水が浸透している。
×:水が全量浸透しているか、編み地上の水滴が半球形ではなく広がってしまっている。
(8)繊度の測定
ポリアミド系長繊維を枠周1.125mの検尺機にて200回巻カセを作成し、熱風乾燥機にて乾燥後(105±2℃×60分)、天秤にてカセ重量を量り公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。尚、ポリアミド系長繊維の公定水分率は、4.5%とした。
(9)紡糸性の測定
ポリアミド系長繊維を実施例に示す方法にて紡糸し、30分以上糸切れ無く紡糸可能であった場合に紡糸性良好と判断した。
○:紡糸性良好。×:紡糸性不良。
(10)染色性の測定
上記(6)で得られた筒編み地について、色の濃さ、染めムラについて目視判定した。
○:青色に染まる。×:水色〜白色で染まっていない。
(11)ポリプロピレンの吸水率の測定
ASTM D 570法により測定した。
実施例1
水分率を0.1%まで乾燥させたMFR=177.0g/10分のポリアミド6のポリマーペレット、MFR=4.9g/10分、吸水率0.03%のポリプロピレンポリマーペレット(日本ポリプロ社製“ノバテック”グレード名FY6)および相溶化剤として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(東洋紡社製“トーヨータック”グレード名PMA−H1100P)を65/35/3となるように計量しながら、2軸押出機にて250℃、回転数300rpmで溶融し、溶融ポリマーを270℃の紡糸機に導き、口金吐出孔径0.200mm、口金吐出孔長0.500mm、ポリマー吐出部がストレート孔となっている丸孔の紡糸口金より糸条を吐出させ、冷却した後、給油、収束性を付与した後、引き取りローラにより糸条を2260m/分で引き取り、引き続いて3620m/分で延伸(延伸倍率1.6倍)しながら110℃で熱セットし、引き続き3500m/分で巻き取ることにより57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を得た。尚、紡糸性は良好であった。
得られた繊維をAFMおよびXPSにて測定し、繊維表面の平均粗さ、ポリプロピレン存在比率を算出した。結果を表1に示す。また、図1に本発明の実施例1で製造した繊維表面の筋状部を示すAFM(原子間力顕微鏡)画像を示す。図1により繊維表面に、繊維長手方向に形成された筋状の凹凸が存在することがわかる。図2にAFM(原子間力顕微鏡、Bruker AXS社 Digital Instruments製 NanoScope IIIa AFM))を用いて、繊維長手方向が縦軸(X軸)、縦軸に直交し、繊維表面に沿う方向を横軸(Y軸)、縦、横いずれにも直交する方向を高さ軸(Z軸)となるよう定義し、繊維表面のAFM画像をX×Y×Z=縦×横×高さ=1000nm×1000nm×400nmの視野で出力した画像を示す。図2から、上記繊維長手方向に形成された筋状部のほかに、これと直交する方向に微小な突起部が形成され、前記繊維長手方向に形成された筋状部と微小な突起部の二重の凹凸構造となっていることがわかる。表1に示すとおり、繊維表面に平均粗さ12.1nmの筋状部を有しており、繊維表面のポリプロピレン存在比率は87%であった。
この繊維を筒編み、精練・染色、乾燥した後撥水性、染色性を確認した。2時間経過しても水滴が編み地に浸透しておらず、良好な撥水性を示した。また、青色に染まり良好な染色性を示し、一般的なポリアミド長繊維と同様の方法で染色可能であった。
実施例2
相溶化剤として無水マレイン酸、アクリル酸変性ポリエチレン(アルケマ社製“ボンダイン” グレード名AX8390)としたこと以外実施例1と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を得た。尚、紡糸性は良好であった。
得られた繊維をAFMおよびXPSにて測定し、繊維表面の平均粗さ、ポリプロピレン存在比率を算出した。結果を表1に示す。表1に示すとおり、繊維表面に平均粗さ45.6nmの筋状部を有しており、繊維表面のポリプロピレン存在比率は69%であった。
この繊維を筒編み、精練・染色、乾燥後撥水性を確認した結果、2時間経過しても水滴が編み地に浸透しておらず、良好な撥水性を示した。また、青色に染まり良好な染色性を示し、一般的なポリアミド長繊維と同様の方法で染色可能であった。
実施例3
相溶化剤として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三菱化学社製“モディック” グレード名P928)としたこと以外実施例1と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を得た。尚、紡糸性は良好であった。
得られた繊維をAFMおよびXPSにて測定し、繊維表面の平均粗さ、ポリプロピレン存在比率を算出した。結果を表1に示す。表1によれば、繊維表面に平均粗さ48.4nmの筋状部を有しており、繊維表面のポリプロピレン存在比率は57%であった。
この繊維を筒編み、精練・染色、乾燥後撥水性を確認した結果、2時間後に若干水の染み込みが見られたが良好な撥水性を示した。また、青色に染まり良好な染色性を示し、一般的なポリアミド長繊維と同様の方法で染色可能であった。
実施例4
ポリプロピレンを(プライムポリマー社製“プライムポリプロ” グレード名J106G:MFR=25.4g/10分、吸水率0.03%)としたこと以外実施例1と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を得た。尚、紡糸性は良好であった。
得られた繊維をAFMおよびXPSにて測定し、繊維表面の平均粗さ、ポリプロピレン存在比率を算出した。結果を表1に示す。表1によれば、繊維表面に平均粗さ14.7nmの筋状部を有しており、繊維表面のポリプロピレン存在比率は91%であった。
この繊維を筒編み、精練・染色、乾燥後撥水性を確認した結果、2時間経過しても水滴が編み地に浸透しておらず、良好な撥水性を示した。また、青色に染まり良好な染色性を示し、一般的なポリアミド長繊維と同様の方法で染色可能であった。
実施例5
ポリプロピレンを(住友化学社製“ノーブレン” グレード名FS2011DG:MFR=4.9g/10分、吸水率0.03%)としたこと以外実施例1と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を得た。尚、紡糸性は良好であった。
得られた繊維をAFMおよびXPSにて測定し、繊維表面の平均粗さ、ポリプロピレン存在比率を算出した。結果を表1に示す。表1によれば、繊維表面に平均粗さ18.4nmの筋状部を有しており、繊維表面のポリプロピレン存在比率は98%であった。
この繊維を筒編み、精練・染色、乾燥後撥水性を確認した結果、2時間経過しても水滴が編み地に浸透しておらず、良好な撥水性を示した。また、青色に染まり良好な染色性を示し、一般的なポリアミド長繊維と同様の方法で染色可能であった。
実施例6
ポリアミド6、ポリプロピレン、相溶化剤の重量比率を60/40/3としたこと以外実施例1と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を得た。尚、紡糸性は良好であった。
得られた繊維をAFMおよびXPSにて測定し、繊維表面の平均粗さ、ポリプロピレン存在比率を算出した。結果を表1に示す。表1によれば、繊維表面に平均粗さ13.3nmの筋状部を有しており、繊維表面のポリプロピレン存在比率は95%であった。
この繊維を筒編み、精練・染色、乾燥後撥水性を確認した結果、2時間経過しても水滴が編み地に浸透しておらず、良好な撥水性を示した。また、青色に染まり良好な染色性を示し、一般的なポリアミド長繊維と同様の方法で染色可能であった。
実施例7
ポリアミド6、ポリプロピレン、相溶化剤の重量比率を70/30/3とし、ポリプロピレンを(プライムポリマー社製“プライムポリプロ” グレード名J106G:MFR=25.4g/10分、吸水率0.03%)としたこと以外実施例1と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を得た。尚、紡糸性は良好であった。
得られた繊維をAFMおよびXPSにて測定し、繊維表面の平均粗さ、ポリプロピレン存在比率を算出した。結果を表1に示す。表1によれば、繊維表面に平均粗さ17.9nmの筋状部を有しており、繊維表面のポリプロピレン存在比率は82%であった。
この繊維を筒編み、精練・染色、乾燥後撥水性を確認した結果、2時間経過しても水滴が編み地に浸透しておらず、良好な撥水性を示した。また、青色に染まり良好な染色性を示し、一般的なポリアミド長繊維と同様の方法で染色可能であった。
実施例8
口金吐出孔径0.150mm、口金吐出孔長0.375mmとしたこと以外実施例1と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を得た。尚、紡糸性は良好であった。
得られた繊維をAFMおよびXPSにて測定し、繊維表面の平均粗さ、ポリプロピレン存在比率を算出した。結果を表1に示す。表1に示すとおり、繊維表面に平均粗さ19.3nmの筋状部を有しており、繊維表面のポリプロピレン存在比率は100%であった。
この繊維を筒編み、精練・染色、乾燥後撥水性を確認した結果、時間経過しても水滴が編み地に浸透しておらず、良好な撥水性を示した。また、青色に染まり良好な染色性を示し、一般的なポリアミド長繊維と同様の方法で染色可能であった。
比較例1
ポリプロピレンを(日本ポリプロ社製“ノバテック” グレード名EA8W:MFR=1.4g/10分、吸水率0.03%)としたこと以外実施例1と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を溶融紡糸したが、紡糸口金から吐出されたポリマーが、吐出直後に切れてしまい、糸条のサンプリングは不可能であった。
比較例2
ポリプロピレンを(プライムポリマー社製“プライムポリプロ” グレード名ZS1337A:MFR=40.1g/10分、吸水率0.03%)としたこと以外実施例1と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を溶融紡糸したが、紡糸口金から吐出されたポリマーが、吐出直後に切れてしまい、糸条のサンプリングは不可能であった。
比較例3
相溶化剤を添加しなかったこと以外実施例1と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を溶融紡糸したが、紡糸口金から吐出されたポリマーが、吐出直後に切れてしまい、糸条のサンプリングは不可能であった。
比較例4
ポリプロピレン(プライムポリマー社製“プライムポリプロ” グレード名S119、吸水率0.03%)単体で2軸押出機にて190℃、回転数300rpmで溶融し、溶融ポリマーを220℃の紡糸機に導き、口金吐出孔径0.200mm、口金吐出孔長0.500mm、ポリマー吐出部がストレート孔となっている丸孔の紡糸口金より糸条を吐出させ、冷却した後、給油、収束性を付与した後、引き取りローラにより糸条を2260m/分で引き取り、引き続いて3620m/分で延伸(延伸倍率1.6倍)しながら110℃で熱セットし、引き続き3500m/分で巻き取ることにより45dtex、26フィラメントのポリプロピレン長繊維を得た。尚、紡糸性は良好であった。
得られた繊維をAFMおよびXPSにて測定し、繊維表面の平均粗さ、ポリプロピレン存在比率を算出した。結果を表1に示す。表1によれば、繊維表面に平均粗さ5.2nmの筋状部を有しており、繊維表面のポリプロピレン存在比率は100%であった。
この繊維を筒編み、精練・染色、乾燥後撥水性を確認した結果、水滴が編み地に浸透しており撥水性は示さなかった。また、青(キシレンファーストブルー)で染色したにも関わらず、青みかかった白色でほとんど染まっておらず、染色性は示さなかった。
比較例5
口金吐出孔径0.250mm、口金吐出孔長0.625mmとしたこと以外実施例5と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を得た。尚、紡糸性は良好であった。
得られた繊維をAFMおよびXPSにて測定し、繊維表面の平均粗さ、ポリプロピレン存在比率を算出した。結果を表1に示す。表1によれば、繊維表面に平均粗さ19.6nmの筋状部を有しており、繊維表面のポリプロピレン存在比率は70%であった。
この繊維を筒編み、精練・染色、乾燥後撥水性を確認した結果、撥水性は示さなかった。
比較例6
口金吐出孔径0.300mm、口金吐出孔長0.750mmとしたこと以外実施例5と同様の方法で57dtex、26フィラメントのポリアミド系長繊維を得た。尚、紡糸性は良好であった。
得られた繊維をAFMおよびXPSにて測定し、繊維表面の平均粗さ、ポリプロピレン存在比率を算出した。結果を表1に示す。表1によれば、繊維表面に平均粗さ35.1nmの筋状部を有しており、繊維表面のポリプロピレン存在比率は54%であった。
この繊維を筒編み、精練・染色、乾燥後撥水性を確認した結果、撥水性は示さなかった。

Claims (9)

  1. 可染性ポリマーAと撥水または疎水性ポリマーBからなり、海島構造を有するポリマーアロイ繊維であって、繊維表面に露出した撥水または疎水性ポリマーBの存在比率をMとし、繊維長手方向に形成された筋状部を有し、この筋状部の平均算術粗さをRとしたときに、以下の式(i)を満たすことを特徴とする繊維。
    式(i)R≧674.15×e―0.0462×M
  2. さらに下記式(iii)を満足することを特徴とする、請求項1に記載の繊維。
    式(iii) 100≧M≧57
  3. 可染性ポリマーAと撥水または疎水性ポリマーBの重量比を70/30〜60/40で混合し、さらに上記ポリマーA、Bの合計重量に対し、相溶化剤を0.5〜5重量%添加することを特徴とする請求項1または2に記載の繊維。
  4. 可染性ポリマーAを海成分、撥水または疎水性ポリマーBを島成分とすることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の繊維。
  5. 撥水または疎水性ポリマーBが、吸水率0.1重量%未満であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の繊維。
  6. 可染性ポリマーAのメルトマスフローレート(MFR)Xと、撥水または疎水性ポリマーBのメルトマスフローレート(MFR)Yが下記式(ii)を満足することを特徴とする、請求項1〜5いずれかに記載の繊維。
    式(ii) 7≦X/Y≦120
  7. 可染性ポリマーAがポリアミド、撥水または疎水性ポリマーBがポリオレフィンであることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の繊維。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載の繊維からなる撥水性布帛。
  9. 請求項1〜7いずれかに記載の繊維の製造方法であって、可染性ポリマーAと撥水または疎水性ポリマーBを混合して溶融紡糸して海島構造を有するポリマーアロイ繊維を製造する際に、可染性ポリマーAのメルトマスフローレート(MFR)Xと、疎水性ポリマーBのメルトマスフローレート(MFR)Yが下記式(ii)を満足するような可染性ポリマーA、撥水または疎水性ポリマーBを用いることを特徴とする繊維の製造方法。
    式(ii) 7≦X/Y≦120
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