JPH0930225A - 車両のストラット型サスペンション装置 - Google Patents

車両のストラット型サスペンション装置

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JPH0930225A
JPH0930225A JP18597495A JP18597495A JPH0930225A JP H0930225 A JPH0930225 A JP H0930225A JP 18597495 A JP18597495 A JP 18597495A JP 18597495 A JP18597495 A JP 18597495A JP H0930225 A JPH0930225 A JP H0930225A
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光彦 原良
Hidekazu Suzuki
秀和 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両のストラット型サスペンション装置にお
いて、サスペンションの機能を良好に維持しながら、コ
ンパクト且つ耐久性に優れた構造にしてキャスタ角を調
節可能に図る。 【解決手段】 ロアアームは、一端が車輪(1)を支持す
るハブキャリアに回動自在に連結される一方、他端が車
体(2)に回動自在に連結されたラテラルアーム(31)と、
一端がラテラルアームのハブキャリア寄りの第1連結点
(50、54)にて回動自在に連結され、他端がラテラルアー
ムの他端とは車両の前後方向で離間した第2連結点(70)
にて車体に回動自在に連結されたコンプレッションアー
ム(60)とから構成されており、コンプレッションアーム
の他端を第1及び第2連結点間を結ぶラインの方向(25
0)に変位させる調整手段(70)を備えるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両のサスペン
ション装置に係り、より詳しくはアライメント制御機能
を有したストラット型サスペンション装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】今日、車両の懸架装置としてスト
ラット型サスペンションが多用されている。このストラ
ット型サスペンションは、特にその構造的な優位性から
車両の操舵を行う前輪に用いられることが一般化してい
る。このようなストラット型サスペンションでは、力学
的な見地から、ストラットを走行方向前方に向けて所定
の角度傾け、即ちキャスタ角を有して車体に配設するの
がよく、これにより、車輪がふらつかず、車両の走行安
定性が確保されるようになっている。
【0003】ところで、ストラット型サスペンションが
操舵輪に適用される場合、このキャスタ角を大きくする
と、直線走行安定性を向上させることができる反面、操
舵時の抵抗が大きくなり、ハンドルが重くなって操舵性
が悪化するという欠点がある。そこで、車両の走行状態
に応じてキャスタ角を変化させ、直線走行安定性を必要
とするときにはキャスタ角を大きく、また操舵性を優先
させたいときにはキャスタ角を小さくするような装置
が、特開昭61−113560号公報や特公昭62−3
1641号公報等に開示されている。
【0004】特開昭61−113560号公報に開示さ
れる装置では、図6に示すように、一端が前輪201に
連結されたストラット型サスペンション210の他端
を、エンジンルーム内の車体上部に設けたスライド装置
220に支点222で連結するようにしており、スライ
ド装置220を車両の前後方向にスライドさせてキング
ピン軸Xを傾け、これによりキャスタ角θc、キャスタ
トレールScを変化させるようにしている。
【0005】また、特公昭62−31641号公報に開
示される装置では、図7に示すように、前輪201と車
体部材202間に連結されたロアアーム231の中間位
置から車両後方に延び、後端が車体部材205にラバー
243を介して連結されるリーディングロッドを、ロア
アーム231に接続されたシリンダ240とピストンロ
ッド242とから構成するようにしている。そして、シ
リンダ240内にポート246或いはポート247を介
して油を供給してピストンロッド242を伸縮させ、こ
れにより前輪201を前後に変位させ、キャスタ角θ
c、キャスタトレールScを変化させるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭61−11
3560号公報に開示される装置にあっては、エンジン
ルーム内にスライド装置220を備えるために、エンジ
ンルーム内のかなりのスペースがスライド装置220に
よって占領されてしまうことになる。通常、車両には2
個の前輪が設けられていることから、スライド装置22
0,220も2個備えられており、さらにスライド装置
220にはスライドする範囲をも含むのでその占領する
スペースは相当大きなものとなっている。
【0007】また、特公昭62−31641号公報に開
示される装置にあっては、リーディングロッド自体がシ
リンダ240とピストンロッド242とに置き換えられ
ているため、シリンダ240はかなり長いものとなって
いる。従って、重量もかなり重くばね下荷重が大きなも
のとなっている。このようにばね下荷重が大きくなる
と、この荷重は前輪201の荷重の一部とみなせるの
で、前輪201が上下に振動するときにはその振動がな
かなか減衰せず、よって走行安定性が損なわれることに
なる。
【0008】本発明は、上述した事情に基づきなされた
もので、その目的とするところは、サスペンションの機
能を良好に維持しながらコンパクト且つ耐久性に優れた
構造にして制御性よくキャスタ角を調節可能な車両のス
トラット型サスペンション装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、車輪を支持するハブキャリア
と車体とをストラット及びロアアームで連結した車両の
ストラット型サスペンション装置において、前記ロアア
ームは、一端が前記ハブキャリアに回動自在に連結され
る一方、他端が前記車体に回動自在に連結されたラテラ
ルアームと、一端が前記ラテラルアームの前記ハブキャ
リア寄りの第1連結点にて回動自在に連結され、他端が
前記ラテラルアームの他端とは前記車両の前後方向で離
間した第2連結点にて前記車体に回動自在に連結された
コンプレッションアームとから構成されており、前記コ
ンプレッションアームの他端を前記第1及び第2連結点
間を結ぶラインの方向に変位させる調整手段を備えるこ
とを特徴としている。従って、調整手段によってコンプ
レッションアームの他端が変位させられると、コンプレ
ッションアームが第1及び第2連結点間を結ぶラインの
方向で移動し、第1連結点にてコンプレッションアーム
に連結されたラテラルアームがそのラテラルアームの車
体側の他端を支点に揺動する。これにより、車輪が車両
の前後方向で移動し、同時にラテラルアームの一端に連
結されたハブキャリアがストラットを介して振り子状に
揺動してキャスタ角が変化する。よって、状況に応じた
最適な車両の走行性能が容易に得られる。
【0010】また、請求項2の発明では、車両の前輪に
適用されることを特徴としている。従って、キャスタ角
の効果が良好に発揮される前輪においてキャスタ角が好
適に調節される。また、請求項3の発明では、前記前輪
は操舵輪であることを特徴としている。従って、操舵輪
のキャスタ角が変化することで、車両の直進走行安定性
と操舵性とが状況に応じて好適に調整される。
【0011】また、請求項4の発明では、前記第1及び
第2連結点にはそれぞれゴムブッシュが介装されている
ことを特徴としている。従って、第1及び第2連結点に
おいて、上下方向或いは水平方向の一定方向では滑らか
に回動する一方、他の方向ではゴムブッシュのラバーの
弾性変形により比較的容易に回動することとなり、サス
ペンションとしての機能が損なわれることがない。ま
た、第1及び第2連結点を介して伝達される振動がこの
ラバーで良好に吸収される。
【0012】また、請求項5の発明では、前記調整手段
は、前記第2連結点と前記車体間に介装されたアクチュ
エータと、このアクチュエータを前記ラインの方向に作
動させて前記コンプレッションアームの他端を変位させ
る作動手段とを含んでなることを特徴としている。従っ
て、アクチュエータが作動手段によって作動することに
より、コンプレッションアームが第1及び第2連結点間
を結ぶラインの方向で好適に移動する。また、アクチュ
エータは第1及び第2連結点間を結ぶラインの方向に作
動するようになっているので、車輪からコンプレッショ
ンアームを介しアクチュエータに入力する力はアクチュ
エータの作動方向に限られ、よって、アクチュエータに
無理な力が作用することがない。
【0013】また、請求項6の発明では、前記アクチュ
エータは、前記第2連結点を有して液圧で摺動するピス
トンを内部に備え、前記作動手段は、前記アクチュエー
タ内に液圧を供給して前記ピストンを往復動させる液圧
供給手段からなることを特徴としている。従って、小さ
くコンパクトなアクチュエータにして大きな力が発生
し、コンプレッションアームは確実に変位する。
【0014】また、請求項7の発明では、前記調整手段
は、前記アクチュエータの作動量を制御する制御手段を
含んでなることを特徴としている。従って、アクチュエ
ータの作動量が制御され、これに応じコンプレッション
アームが好適に変位する。また、請求項8の発明では、
前記制御手段は、前記車両の状態量を検出する状態量検
出手段を含み、前記状態量に基づき前記作動量を制御す
ることを特徴としている。従って、車両の走行状態に応
じて好適にキャスタ角が変化する。
【0015】また、請求項9の発明では、前記制御手段
は、車速を検出する車速検出手段を含み、前記状態量は
車速であることを特徴としている。従って、走行安定性
に影響を及ぼし易い車速に応じて好適にキャスタ角が変
化する。また、請求項10の発明では、前記制御手段
は、前記コンプレッションアームの他端の実変位量を検
出する実変位量検出手段を含み、前記実変位量に基づき
前記作動量をフィードバック制御することを特徴として
いる。従って、キャスタ角が常に車両の走行状態に応じ
た極めて適正なものとされる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づき説明する。図1には、前2輪、後2輪を有する車
両の前輪(操舵輪)に連結された本発明のサスペンショ
ン装置が適用されるストラット型サスペンション10の
斜視図を示してある。以下図1に基づきストラット型サ
スペンション10の構成について説明する。
【0017】先ず、ストラット型サスペンション10の
上部に位置するストラット11について説明すると、同
図に示すように、ストラット11の上部には、ストラッ
トマウント12が設けられており、このストラットマウ
ント12は、複数のボルト24で車体の上部(図示せ
ず)に固定されている。ストラットマウント12の中心
部には、ダンパラバー(図示せず)を介し、図中下方に
臨んでボールベアリング(図示せず)が嵌入されてい
る。そして、このボールベアリングのインナレースに
は、ショックアブソーバ14のピストンロッド15先端
が圧入されている。
【0018】ショックアブソーバ14のシリンダ16に
は、外嵌するようにしてスプリングアッパシート17と
スプリングロアシート18が互いに向き合うよう離間し
て固定されており、このスプリングシート17,18間
にはコイルスプリング19が縮設されている。そして、
シリンダ16の下端部には外嵌するようにしてブラケッ
ト20が固定されており、このブラケット20には、ナ
ックル(ハブキャリア)22の上端が複数の締結具によ
って結合されている。このナックル22の中央部にはホ
イールベアリング(図示せず)を介してハブ(図示せ
ず)が回転自在に取り付けられており、このハブに図中
二点鎖線で示すようにして車輪1が取り付けられてい
る。また、ナックル22にはステアリング機構(図示せ
ず)に連結されたタイロッド(図示せず)の一端が回動
自在に接続されているが、これらナックル22とタイロ
ッドとの接続関係を含むステアリング機構の構成につい
ては公知であるためここでは説明を省略する。
【0019】なお、図1中の符号Xはストラット11の
軸線、つまりキングピン軸を示している。次に、ストラ
ット11の下端に連結されるロアアームユニット30に
ついて説明する。図2を参照すると、車両の右前輪側の
ロアアームユニット30の詳細が示されており、また、
図3を参照すると、図2中のA−A線に沿う断面図が示
されている。以下、図1及び図2、3に基づきロアアー
ムユニット30について説明する。
【0020】図3に示すように、上記ナックル22の下
端は、ラテラルアーム31の端部のナックル接続部40
に設けられた自在継手、即ちボールジョイント42の先
端部に外嵌され、ナット44によって締結されている。
このボールジョイント42と上記ボールベアリングの存
在により、ナックル22がキングピン軸X回りに回転可
能であり、車輪1が図2中に二点鎖線で示すように操舵
されることになる。
【0021】ナックル22とナックル接続部40間に
は、ボールジョイント42を取り巻くようにしてカバー
46が設けられている。このカバー46内部には潤滑剤
が満たされており、これによりボールジョイント42の
回動部が、ダスト等から保護され且つ潤滑されて良好に
回動可能になっている。また、ラテラルアーム31の他
端には筒状にして環状部32が形成されている。この環
状部32の内部には、図2中に示すように、環状部32
と同一軸心を有するようにしてゴムブッシュ34が固着
されている。
【0022】一方、図2中に示すように、車体の一部で
あるメンバ2には、環状部32と対峙するようにして、
それぞれに貫通穴4,4の穿設された一対の板状の取付
ブラケット3,3が互いに平行に突設されている。そし
て、ボルト35がこれら貫通穴4,4と上記ゴムブッシ
ュ34とを貫通しており、これにより、ラテラルアーム
31が取付ブラケット3,3に連結されている。
【0023】そして、ボルト35の先端部にはワッシャ
37を介してナット36が螺合されている。よって、ボ
ルト35が抜け落ちることなく取付ブラケット3,3に
保持され、ラテラルアーム31が安定してメンバ2に支
持されている。なお、ゴムブッシュ34の両端と取付ブ
ラケット3,3との間には隙がないようにされているた
め、ゴムブッシュ34は取付ブラケット3,3間でがた
つきなく保持されている。また、ゴムブッシュ34はボ
ルト35で確実に緊結されるが、ゴムブッシュ34の撓
によってラテラルアーム31はボルト35回りに良好に
回動可能である。
【0024】ラテラルアーム31の中央よりもナックル
接続部40に近い位置では、ラテラルアーム31が上下
に分離されて開口し、これら上下の部分から一対のコン
プレッションアーム接続部50,50が形成されてい
る。これら一対のコンプレッションアーム接続部50,
50には、図2中に示すように、コンプレッションアー
ム60の先端、即ち環状部62が連結されている。
【0025】図3中に示すように、環状部62の内部に
は、環状部62と同一軸心を有するようにしてゴムブッ
シュ64が固着され、一方、コンプレッションアーム接
続部50,50には、それぞれに貫通穴52,52が穿
設されている。詳しくは、貫通穴52,52は、図2に
示すように、それらの中心が後述するアクチュエータR
H70のピストン83の軸線Yの延長上に位置するよう
に設けられている。そして、ボルト54がこれら貫通穴
52,52とゴムブッシュ64とを貫通し、これにより
コンプレッションアーム60がコンプレッションアーム
接続部50,50に連結されている(第1連結点)。
【0026】同図に示すように、ボルト54の先端部に
は、ワッシャ57を介してナット56が螺合されてお
り、よって、ボルト54は抜け落ちることなくコンプレ
ッションアーム接続部50,50に保持され、コンプレ
ッションアーム60が安定してラテラルアーム31に支
持されている。なお、ゴムブッシュ64の両端とコンプ
レッションアーム接続部50,50との間には隙がない
ようにされているため、ゴムブッシュ64はコンプレッ
ションアーム接続部50,50間でがたつきなく保持さ
れている。また、ゴムブッシュ64はボルト54で確実
に緊結されるが、ゴムブッシュ64の撓によりコンプレ
ッションアーム60はボルト54回りに良好に回動可能
である。
【0027】図2中に示すように、コンプレッションア
ーム60の後端には、アクチュエータRH(調整手段)
70が接続されており、このアクチュエータRH70
は、一対のボルト72,72によってメンバ2に固定さ
れている。アクチュエータRH70としては、図4に示
すような公知のものが使用されるが、以下図4に基づき
アクチュエータRH70の構成及びコンプレッションア
ーム60の後端とアクチュエータRH70との接続関係
について説明する。
【0028】同図に示すように、コンプレッションアー
ム60の後端には、環状部67が形成されており、この
環状部67の内部には、環状部67と同一軸心を有して
ゴムブッシュ68が固着されている。一方、アクチュエ
ータRH70の本体74の内部には、本体74の内面7
8を紙面左右方向に摺動自在にしてコの字形をした連結
ブラケット80が内装されている。この連結ブラケット
80の一対の平行部81,81には、それぞれ貫通穴8
2,82が穿設されており、ボルト84がこれら貫通穴
82,82と上記ゴムブッシュ68とを貫通している。
これにより、コンプレッションアーム60の後端が連結
ブラケット80に連結されている(第2連結点)。
【0029】同図に示すように、ボルト84の先端部に
は、ロックナット86が螺合されており、よって、ボル
ト84が抜け落ちることなく連結ブラケット80に固定
され、コンプレッションアーム60が安定してアクチュ
エータRH70に支持されている。なお、ゴムブッシュ
68の両端と連結ブラケット80の平行部81,81と
の間には隙がないようにされているため、ゴムブッシュ
68は平行部81,81間でがたつきなく保持されてい
る。また、ゴムブッシュ68とボルト84とは緊結され
ているが、上記ゴムブッシュ64とボルト54との関係
と同様にして、コンプレッションアーム60はゴムブッ
シュ68の撓によりボルト84回りに良好に回動可能で
ある。
【0030】本体74の内面78には、一対の溝79、
79が形成されている。この溝79,79の一方にはボ
ルト84の半球状の頭部が、また他方にはロックナット
86が位置しており、これによりボルト84が紙面左右
方向に良好に移動自在となっている。また、連結ブラケ
ット80にはピストン83が一体的に結合されており、
このピストン83は、本体74に形成されたシリンダ部
90の内面91を紙面左右方向で摺動自在である。従っ
て、ピストン83がシリンダ部90内部を摺動すると、
連結ブラケット80も内面78に沿って摺動することに
なり、これにより、コンプレッションアーム60が図中
白抜き矢印250で示すように紙面左右方向に変位可能
となっている。
【0031】このシリンダ部90の末端部には、オイル
シール101を備えたキャップ100が螺合等の結合手
段により嵌合されており、これにより、ピストン83と
キャップ100間に室106が形成されている。また、
本体74の略中央部に位置するシリンダ部90の終端に
は、ピストン83に外嵌するようにして隔壁102が嵌
装されている。この隔壁102は、ストッパ105によ
って位置決めされており、これにより、ピストン83と
隔壁102間に室107が形成されている。
【0032】シリンダ部90には、室106側にポート
92が、また室107側にポート94が設けられてい
る。これらのポート92,94はそれぞれ後述する制御
バルブ180,181に接続されており(図5参照)、
作動油がこれらポート92,94を介して室106及び
室107のいずれか一方に供給され、他方から排出され
るようになっている。このように室106または室10
7内に作動油が供給されると、室106,107間で圧
力差が生じることになり、この圧力差に応じてピストン
83が紙面左または右に摺動することになる。
【0033】このように、ピストン83が摺動すると、
連結ブラケット80を介してコンプレッションアーム6
0が白抜き矢印250のように変位することになり、コ
ンプレッションアーム60は、図3中に示すゴムブッシ
ュ64、ボルト54を介してコンプレッションアーム接
続部50,50を変位させ、ラテラルアーム31をゴム
ブッシュ34を支点に揺動させることになる。このよう
にラテラルアーム31が揺動すると、図2中に白抜き矢
印252で示すようにナックル接続部40が変位し、こ
れに応じて車輪1の位置も車両の前後方向で変化する。
つまり前輪と後輪間のホイールベースが増減することに
なる。
【0034】このとき、ナックル接続部40は、ストラ
ットマウント12内のダンパラバーを支点として振り子
が振動するようにして揺動することになるため、車輪1
の位置の変化はキャスタトレールScの変化を意味して
いる。即ち、ピストン83の摺動によりキングピン軸X
の傾き、つまりキャスタ角θcが増減することになる。
【0035】なお、室106は上述したオイルシール1
01により密閉され、また室107は、隔壁102に外
嵌されたオイルシール103及び隔壁102の内周に嵌
入されたオイルシール104により密閉されるため、室
106,107内の作動油は外部に漏れることがない。
本体74はブラケット71によりメンバ2に取り付けら
れており、詳しくはブラケット71がマウントラバー7
6を包み込んで固定されている。一方、ブラケット71
には貫通穴73,73が穿設されている。そして、ボル
ト72,72がこれら貫通穴73,73を貫通するよう
にしてメンバ2に締結され、これによりブラケット7
1、つまりアクチュエータRH70が上述したようにメ
ンバ2に固定されている。
【0036】また、アクチュエータRH70のシリンダ
部90の外面上には、ストロークセンサRH(実変位量
検出手段)110が取り付けられている。このストロー
クセンサRH110の本体112からはロッド113が
延びており、このロッド113の先端部114は、本体
74を貫通して連結ブラケット80に突設されたピン1
16に連結されている。従って、このストロークセンサ
RH110では、連結ブラケット80が移動すると、こ
れに応じてロッド113も移動し、この移動量に基づい
て連結ブラケット80のストローク量Dが検出されスト
ローク信号が出力される。
【0037】なお、図中の符号120は、一端がコンプ
レッションアーム60に外嵌され、他端がアクチュエー
タRH70の本体74に外嵌されたラバー製の伸縮可能
なブーツであり、これにより、アクチュエータRH70
内部、即ち連結ブラケット80の摺動部への異物の進入
が防止される。図5を参照すると、上述のアクチュエー
タRH70を作動させる油圧制御ユニット(液圧供給手
段)130が示されており、以下、図5に基づき油圧制
御ユニット130の構成を説明する。なお、この油圧制
御ユニット130はパワーステアリングの油圧回路も兼
ねており、一部パワーステアリングの構成についても併
せて説明する。
【0038】同図に示すように、油圧制御ユニット13
0には、油圧を発生するためのポンプ132が設けられ
ている。このポンプ132は、エンジン(図示せず)に
よって駆動されるものであり、エンジンの作動時には常
時駆動されている。ポンプ132の吸込口には管路13
4が接続され、この管路134は作動油の貯蔵されたド
レンタンク136に延びている。一方、ポンプ132の
吐出口には、管路138が接続されており、この管路1
38には、パワーステアリングバルブ140が接続され
ている。パワーステアリングバルブ140には、管路1
42,144及び管路145が接続されており、そし
て、管路142,144はパワーシリンダ146に接続
され、また管路145は上述のドレンタンク136に延
びている。なお、これらパワーステアリングバルブ14
0及びパワーシリンダ146については公知であり、こ
こではその詳細については説明を省略する。
【0039】管路138には、プライオリティバルブ1
50が介装されている。このプライオリティバルブ15
0からは、管路138とは別にして管路152が分岐さ
れている。このプライオリティバルブ150は、通常は
管路138の流通を優先的に許容する一方、エンジン回
転が上昇してポンプ132の吐出量が大きくなったとき
には作動油が管路152へも流れるように構成されてい
る。
【0040】プライオリティバルブ150で分岐した管
路152は、さらに管路153と管路154とに分岐し
ており、管路153は制御バルブRH180の供給ポー
ト180aに、一方管路154は制御バルブLH181
の供給ポート181aにそれぞれ接続されている。これ
らの制御バルブRH180及び制御バルブLH181
は、共に常閉の4ポジション式の電磁弁であり、図5中
に示すように、ソレノイド部への信号供給に基づいて符
号I、II、III、IVの各ポジションにシフトし、
これにより作動油の流通切換えを実施可能になってい
る。なお、エンジン停止時、キーオフ時はソレノイド部
への信号供給がなく、この場合には、ポジションは常閉
位置、即ち符号Iの位置に保持される(図示の状態)。
また、エンジン始動後(キーオン時)のストローク保持
時は符号IIIの位置に保持される。
【0041】管路152には、プライオリティバルブ1
50からポート180a、181a方向の流れを許容す
る一方、ポート180a、181aからプライオリティ
バルブ150への逆方向の流れを阻止するチェックバル
ブ156が介装されている。さらに、管路152のチェ
ックバルブ156とポート180a、181a間の部分
にはアキュムレータ158が接続されている。このアキ
ュムレータ158は、ポンプ132から吐出される作動
油を貯蔵する一方、貯蔵された作動油を所定圧で吐出さ
せるものであり、これにより、所定圧の作動油がポート
180a、181aに安定的に供給されるようになって
いる。
【0042】管路152のプライオリティバルブ150
とチェックバルブ156間の部分からは、分岐して管路
160がドレンタンク136に延びており、この管路1
60には、蓄圧制御バルブ162が介装されている。蓄
圧制御バルブ162は、チェックバルブ156の下流圧
をパイロット圧として作動するバルブであり、チェック
バルブ156の下流圧が上記所定圧以上になった場合に
開弁するようになっている。つまり、この蓄圧制御バル
ブ162は、アキュムレータ158の貯蓄量が限界に達
したような場合において、ポンプ132から吐出されて
管路152に流入する作動油をドレンタンク136に逃
がす働きをしている。
【0043】制御バルブRH180の排出ポート180
b及び制御バルブLH181の排出ポート181bから
は、それぞれ管路163、164が延びており、これら
の管路163、164は互いに合流し、管路160を経
てドレンタンク136に達している。制御バルブRH1
80と制御バルブLH181のポート180c及びポー
ト181cには、それぞれ管路190及び管路191が
接続されており、管路190は上述したアクチュエータ
RH70のポート92に、一方管路191はアクチュエ
ータLH(図示せず)に同様にして接続されている。
【0044】また、制御バルブRH180と制御バルブ
LH181のポート180d及びポート181dには、
それぞれ管路192及び管路193が接続されており、
管路192は上述したアクチュエータRH70のポート
94に、一方管路193はアクチュエータLH(図示せ
ず)に同様にして接続されている。さらに、制御バルブ
RH180から延びる管路190と管路192は互いに
管路196で連結され、また、制御バルブLH181か
ら延びる管路191と管路193も互いに管路197で
連結されている。そして、これらの管路196,197
には、それぞれ電磁開閉弁である連通バルブ198,1
99が介装されている。
【0045】この油圧制御ユニット130には、制御手
段である電子制御ユニット(ECU)200が備えられ
ている。このECU200の入力側には、状態量検出手
段として車速Vを検出する車速センサ210、ハンドル
角θを検出するハンドル角センサ212、車両に作用す
る横加速度GYを検出する横Gセンサ214、車両に作
用する前後加速度GXを検出する前後Gセンサ216、
前述したストロークセンサRH110及びアクチュエー
タLHに設置されたストロークセンサLH111が接続
されており、各種入力信号が供給される。
【0046】一方、ECU200の出力側には、上記制
御バルブRH180及び制御バルブLH181、連通バ
ルブ198,199の各ソレノイド部が接続されてお
り、これら出力側の各バルブには、入力信号に応じた出
力信号が供給される。より詳しくは、制御バルブRH1
80及び制御バルブLH181に関していえば、アクチ
ュエータRH70のピストン83の要求ストローク量が
最大要求ストローク量D1,標準要求ストローク量D2,
最小要求ストローク量D3のように予め3種類設定され
ており(D1>D2>D3)、ECU200は、車速V、
ハンドル角θ、横加速度GY及び前後加速度GXに応じて
要求ストローク量D1,D2,D3をそれぞれ選択する。
そして、ECU200は、選択された要求ストローク量
D1,D2,D3とストロークセンサRH110及びスト
ロークセンサLH111から検出される実際のストロー
ク量Dとの差ΔDを算出し(D1−D,D2−D,D3−
D)、この差ΔDが正(ΔD>0)の場合には、制御バ
ルブRH180及び制御バルブLH181に対し、その
ポジションを図5中の符号IIIから符号IIの位置に
シフトする駆動信号S1を供給する。一方、差ΔDが負
(ΔD<0)の場合には、ポジションを符号IVの位置
とする駆動信号S2を供給する。これにより、アクチュ
エータRH70の室106,107内への作動油の供給
方向と供給量が適宜調節され、実ストローク量Dが常に
良好に要求ストローク量D1,D2,D3と一致するよう
にされる。この結果、上記コンプレッションアーム60
の変位量が制御される。
【0047】そして、実ストローク量Dが要求ストロー
ク量D1,D2,D3と一致したら、駆動信号S1またはS
2の供給は停止され、制御バルブRH180及び制御バ
ルブLH181の各ポジションは符号IIIの位置に戻
される。これにより、作動油の流通が遮断され、アクチ
ュエータRH70の室106,107内の油圧が保持さ
れることになり、実ストローク量Dは各要求ストローク
量D1,D2,D3のまま維持される。
【0048】また、連通バルブ198,199に関して
いえば、車速V、ハンドル角θ、横加速度GY及び前後
加速度GXが各々予め設定された所定値以下の場合に
は、連通バルブ198,199には開弁信号が供給さ
れ、一方、車速V、ハンドル角θ、横加速度GY及び前
後加速度GXのいずれか1つでも所定値より大きい場合
には、連通バルブ198,199には閉弁信号が供給さ
れる。
【0049】以下、このように構成されたサスペンショ
ン装置の作用について、図2及び図4、5に基づき、車
両の走行状態毎に説明する。なお、ここでは主に右前輪
側について説明するが、左前輪側についても同様の作用
となる。 中速走行時(通常走行時):車速センサ210からの信
号に基づき、車速Vが所定値V1,V2間にあり(V1<
V<V2)、車両が中速走行をしていると判定される場
合には、図5中のECU200は、制御バルブRH18
0及び制御バルブLH181に対し標準要求ストローク
量D2と実ストローク量Dとの差(ΔD=D2−D)に応
じて駆動信号S1またはS2を供給する。
【0050】ΔDが正(ΔD>0)で駆動信号S1が供
給される場合には、制御バルブRH180及び制御バル
ブLH181のポジションが符号IIの位置に切換えら
れ、この位置にあっては、ポート180aとポート18
0c、ポート181aとポート181cが連通する。そ
して、右前輪に関していえば、アキュムレータ158内
の作動油がアクチュエータRH70の室106内に供給
され、アキュムレータ158内の所定圧でピストン83
が図4中紙面左方向に押される。このとき、ポート18
0bとポート180dとが連通しているため、アクチュ
エータRH70の室107内の作動油は制御バルブRH
180を経てドレンタンク136に排出される。従っ
て、ピストン83は、その実ストローク量Dが標準要求
ストローク量D2となるまで図4中紙面左方向に移動す
ることになり、コンプレッションアーム60が、その標
準要求ストローク量D2に応じた変位量となるまで連結
ブラケット80を介して押し出される。
【0051】一方、ΔDが負(ΔD<0)で駆動信号S
2が供給される場合には、制御バルブRH180及び制
御バルブLH181のポジションが符号IVの位置に切
換えられ、この位置にあっては、ポート180aとポー
ト180d、ポート181aとポート181dとが連通
する。そして、右前輪に関していえば、アキュムレータ
158内の作動油がアクチュエータRH70の室107
内に供給され、アキュムレータ158からの所定圧でピ
ストン83が図4中紙面右方向に押される。このとき、
ポート180bとポート180cとが連通しているた
め、アクチュエータRH70の室106内の作動油はド
レンタンク136に排出される。従って、ピストン83
は、その実ストローク量Dが標準要求ストローク量D2
となるまで図4中紙面右方向に移動することになり、コ
ンプレッションアーム60が、その標準要求ストローク
量D2に応じた変位量となるまで連結ブラケット80を
介して押し戻されることになる。
【0052】そして、実ストローク量Dが標準要求スト
ローク量D2に一致したら、上述したように駆動信号S1
またはS2の供給は停止され、制御バルブRH180及
び制御バルブLH181のポジションは符号IIIの位
置に戻される。これにより、ピストン83の実ストロー
ク量Dは標準要求ストローク量D2に保持され、コンプ
レッションアーム60が標準要求ストローク量D2に応
じた変位位置に維持される。
【0053】以上のようにしてコンプレッションアーム
60の変位量、つまり変位位置が制御されると、ラテラ
ルアーム31がゴムブッシュ34を支点として揺動し、
車輪1は図2中に実線で示す位置(標準位置)とされ
る。このとき、車輪1のキャスタ角θcは例えば4°に
保持される。この4°のキャスタ角θcは、通常採用さ
れる車両のキャスタ角であり、従って、この中速走行時
にあっては、直進走行安定性と操舵性とが程良くバラン
スされた通常走行状態が実現される。
【0054】高速走行時:ECU200は、車速センサ
210からの信号を受け車速Vが所定値V1以上と判定
すると、制御バルブRH180及び制御バルブLH18
1に最大要求ストローク量D1と実ストローク量Dとの
差(ΔD=D1−D)に応じて駆動信号S1を供給する。
これにより、上述したようにして制御バルブRH180
及び制御バルブLH181のポジションが切換制御さ
れ、コンプレッションアーム60が押し出される結果、
ラテラルアーム31はゴムブッシュ34を支点として車
両の前方向に揺動し、車輪1は図2中に実線で示す標準
位置から破線で示す位置まで変位量ΔSFだけ変位す
る。この変位量ΔSFは要求ストローク量D1に対応した
値であって例えば40mmである。
【0055】これにより、高速走行中にあっては、上記
中速走行時よりもホイールベースが長くなり、且つキャ
スタ角θcが例えば7°と大きくなり、車両の直進走行
安定性が向上し、走行安定性が確保されることになる。
また、図示しないが、車輪1はキャンバ角を有してナッ
クル22に取り付けられている。従って、このようにキ
ャスタ角θcが例えば7°と大きくなることにより、ハ
ンドルを切って操舵する際、車輪1が旋回外輪である場
合にあっては、車輪1と地面とが略垂直になり、旋回性
が向上することにもなる。
【0056】低速走行時:車速Vが所定値V1より小さ
く(V<V1)、車両が低速走行していると判定される
場合には、ECU200は、制御バルブRH180及び
制御バルブLH181に最小要求ストローク量D3と実
ストローク量Dとの差(ΔD=D3−D)に応じて駆動
信号S2を供給する。これにより、上述したようにして
制御バルブRH180及び制御バルブLH181のポジ
ションが切換制御され、コンプレッションアーム60が
アクチュエータRH70側に引き込まれる結果、ラテラ
ルアーム31はゴムブッシュ34を支点として車両の後
方向に揺動し、車輪1は図2中に示すように、標準位置
(実線)から一点鎖線で示す位置まで変位量ΔSRだけ
変位する。この変位量ΔSRは要求ストローク量D3に対
応した値である。
【0057】これにより、低速走行中にあっては、上記
中速走行時よりもホイールベースが短くなり、且つキャ
スタ角θcが例えば2°と小さくなる。従って、車両が
屈曲路等を低速で走行しているような場合にあっては、
ハンドルの操作が軽くなって操舵性が向上し、確実且つ
良好な旋回走行が可能となる。なお、上記低速、中速、
高速走行時に共通して、常時実ストローク量Dがストロ
ークセンサ110,111によって検出されており、こ
れにより、実ストローク量Dは、常に要求ストローク量
D1またはD2またはD3と一致しΔDがゼロとなるよう
フィードバック制御されている。
【0058】直線走行時:また、車速Vが例えば中低速
域(V<V2)にあって、ハンドル角θが所定値θ1より
小さく(θ<θ1)、且つ横加速度GY及び前後加速度G
Xがそれぞれ所定値GY1,GX1より小さい(GY<GY1、
GX<GX1)ような場合、つまり、車両が中低速直線走
行をしているような場合には、連通バルブ198,19
9は開弁信号が供給されて開弁する。
【0059】連通バルブ198,199が開弁すると、
制御バルブRH180及び制御バルブLH181のポジ
ションが符号IIIの位置にあり、作動油の供給と排出
が一切実施されない場合であっても、管路196,19
7を介して室106と室107間で作動油の流通が許容
される。このように、室106と室107間で作動油が
行き来するようになると、アクチュエータRH70が減
衰力の低いダンパとしての機能を有することになり、車
輪1に前後方向の力が作用するような場合にあっては、
その力によって引き起こされる車輪1の前後振動が良好
に吸収され、車両の走行安定性が向上する。
【0060】なお、車速Vが高速域にある場合には、連
通バルブ198,199は閉弁状態として減衰力が高め
られ、シミー振動等が防止される。 旋回走行時:ハンドル角θが所定値θ1以上(θ≧θ
1)、または横加速度GYが所定値GY1以上(GY≧GY
1)、または前後加速度GXが所定値GX1以上(GX≧GX
1)となった場合、つまり、車両が旋回走行しているよ
うな場合には、連通バルブ198,199は閉弁信号が
供給されて閉弁される。
【0061】これにより、室106と室107間での作
動油の流通が遮断されて減衰力が高められ、アクチュエ
ータRH70は剛体と等しくされる。従って、車輪1が
前後方向に変位することなく良好に保持されることにな
り、車輪1のふらつきなくコーナリングフォース(旋回
力)が車両に適正に作用して良好な旋回が実施され、旋
回走行しているときの車両の走行安定性が確保される。
【0062】以上、詳細に説明したように、本発明のサ
スペンション装置を用いることにより、機構を大型化す
ることなく、またエンジンルームのスペースを無効にす
ることなく、さらにはばね下荷重を大きくすることな
く、コンパクトな構成にして車両の走行状態に応じ前輪
のキャスタ角θcを好適に変化させ、アライメント制御
できる。これにより、車両が高速で走行しているような
場合には、キャスタ角θcを制御性よく容易に大きく
し、且つホイールベースを長くして車両の直進走行安定
性を良好に向上させることができ、一方、車両が低速で
走行しているような場合には、キャスタ角θcを容易に
小さくし、且つホイールベースを短くして車両の操舵性
を優先させることができる。
【0063】また、本発明のサスペンション装置は、ラ
テラルアーム31の取付け点の構造を従来のままにし
て、アクチュエータRH70の取り付け部の構造のみを
微少変更するだけで容易に構成されるものである。従っ
て、本発明のサスペンション装置に対して従来の車体構
造を好適に流用することができ、生産コストの低減が図
れる。
【0064】また、アクチュエータRH70のピストン
83の軸線Yの延長上にコンプレッションアーム60と
ラテラルアーム31との回動中心を位置させ、且つアク
チュエータRH70とコンプレッションアーム60との
連結部にはゴムブッシュ68を用いるようにしたため、
アクチュエータRH70に作用するピストン83の摺動
方向以外の力をラバーの持つ弾性作用をも利用して確実
に排除できる。従って、アクチュエータRH70に無理
な力が加わることがなく、アクチュエータRH70は充
分な耐久性を有することになる。また、万一アクチュエ
ータRH70が故障することがあっても、このアクチュ
エータRH70は小型であり、交換等のメンテナンス性
は極めてよい。
【0065】ところで、車輪1が車両の上下方向で変位
すると、構造上、ラテラルアーム31が取付ブラケット
3,3を貫通するボルト35を支点に、一方、コンプレ
ッションアーム60がアクチュエータRH70に設けら
れたボルト84を支点にして互いに異なる回動方向で回
動することになる。これにより、ラテラルアーム31と
コンプレッションアーム60との連結部がねじられる。
しかしながら、上記実施例では、この連結部にゴムブッ
シュ64を用いているため、ラバーがそのねじれを良好
に吸収し、車輪1の上下方向での変位を妨げることがな
い。従って、当該サスペンション装置を含むストラット
型サスペンション10にあっても、サスペンションとし
ての機能が損なわれることがない。
【0066】なお、上記実施例では、ラテラルアーム3
1とコンプレッションアーム60との連結部にゴムブッ
シュ64を用いて回動自在としたが、ゴムブッシュ64
の代わりにボールジョイントを用いるようにしても同様
の効果が得られる。また、上記実施例では、右前輪と左
前輪の双方に対し全く同様の内容の制御を実施するよう
にしたが、油圧制御ユニットを右前輪用と左前輪用とに
分け、これにより各前輪に関して左右独立の制御を行う
ようにしてもよい。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の車両の
ストラット型サスペンション装置によれば、車輪を支持
するハブキャリアと車体とをストラット及びロアアーム
で連結した車両のストラット型サスペンション装置にお
いて、ロアアームは、一端がハブキャリアに回動自在に
連結される一方、他端が車体に回動自在に連結されたラ
テラルアームと、一端がラテラルアームのハブキャリア
寄りの第1連結点にて回動自在に連結され、他端がラテ
ラルアームの他端とは車両の前後方向で離間した第2連
結点にて車体に回動自在に連結されたコンプレッション
アームとから構成されており、コンプレッションアーム
の他端を第1及び第2連結点間を結ぶラインの方向に変
位させる調整手段を備えるようにしたので、機構を大型
化することなく、またエンジンルームのスペースを無効
にすることなく、さらにはばね下荷重を大きくすること
なく、コンパクトな構成にして車輪のキャスタ角を好適
に変化させることができる。また、同時に車輪が車両の
前後方向で移動するため、前輪と後輪とを有する車両に
あってはホイールベースをも好適に変化させることがで
きる。従って、状況に応じた最適な車両の走行性能を得
ることができる。
【0068】また、請求項2の車両のストラット型サス
ペンション装置によれば、車両の前輪に適用されるの
で、キャスタ角の効果が良好に発揮される前輪において
キャスタ角を好適に調節できる。また、請求項3の車両
のストラット型サスペンション装置によれば、前輪は操
舵輪であるので、操舵輪のキャスタ角を変化させること
ができ、車両の直進走行安定性と操舵性との両方を状況
に応じて好適に調整することができる。
【0069】また、請求項4の車両のストラット型サス
ペンション装置によれば、第1及び第2連結点にはそれ
ぞれゴムブッシュが介装されているので、第1及び第2
連結点では、上下方向或いは水平方向の一定方向では滑
らかに回動させる一方、他の方向ではゴムブッシュのラ
バーの弾性変形により比較的容易に回動させることがで
き、サスペンションとしての機能を損なわないようにで
きる。また、第1及び第2連結点を介して伝達される振
動をこのラバーで良好に吸収できる。
【0070】また、請求項5の車両のストラット型サス
ペンション装置によれば、調整手段は、第2連結点と車
体間に介装されたアクチュエータと、このアクチュエー
タをラインの方向に作動させてコンプレッションアーム
の他端を変位させる作動手段とを含んでなるので、アク
チュエータを作動手段によって作動させることにより、
コンプレッションアームを第1及び第2連結点間を結ぶ
ラインの方向で好適に変位させるようにでき、さらに
は、車輪からコンプレッションアームを介しアクチュエ
ータに入力する力をアクチュエータの作動方向に限るよ
うにでき、アクチュエータに無理な力を加えず、アクチ
ュエータの耐久性を確保することができる。
【0071】また、請求項6の車両のストラット型サス
ペンション装置によれば、アクチュエータは、第2連結
点を有して液圧で摺動するピストンを内部に備え、作動
手段は、アクチュエータ内に液圧を供給してピストンを
往復動させる液圧供給手段からなるので、小さくコンパ
クトなアクチュエータにして大きな力を発生でき、コン
プレッションアームを確実に変位させることができる。
【0072】また、請求項7の車両のストラット型サス
ペンション装置によれば、調整手段は、アクチュエータ
の作動量を制御する制御手段を含んでなるので、アクチ
ュエータの作動量を制御し、これに応じてコンプレッシ
ョンアームを好適に変位させることができる。また、請
求項8の車両のストラット型サスペンション装置によれ
ば、制御手段は、車両の状態量を検出する状態量検出手
段を含み、状態量に基づき作動量を制御するので、車両
の走行状態に応じて好適にキャスタ角を変化させること
ができる。
【0073】また、請求項9の車両のストラット型サス
ペンション装置によれば、制御手段は、車速を検出する
車速検出手段を含み、状態量は車速であるので、走行安
定性に影響を及ぼし易い車速に応じてキャスタ角を好適
に変化させることができる。例えば、車輪が操舵輪であ
る場合にあっては、車速が大きいときにはキャスタ角を
大きくして直線走行安定性を確保し、一方、車速が小さ
いときにはキャスタ角を小さくして操舵性を確保するこ
とができる。
【0074】また、請求項10のストラット型サスペン
ション装置によれば、制御手段は、コンプレッションア
ームの他端の実変位量を検出する実変位量検出手段を含
み、実変位量に基づき作動量をフィードバック制御する
ので、キャスタ角を常に車両の走行状態に応じた極めて
適正なものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例が適用されるストラット型サ
スペンションを示す斜視図である。
【図2】図1に示すストラット型サスペンションのロア
アームユニットを示す上視図である。
【図3】図2中A−A線に沿うロアアームユニットの縦
断面図である。
【図4】図2中のアクチュエータを示す縦断面図であ
る。
【図5】図2中のアクチュエータを作動させる油圧制御
ユニットを示す概略図である。
【図6】従来のストラット型サスペンションを示す概略
図である。
【図7】従来の他のストラット型サスペンションを示す
概略図である。
【符号の説明】
1 車輪 2 メンバ(車体) 10 ストラット型サスペンション 11 ストラット 22 ナックル(ハブキャリア) 30 ロアアームユニット 31 ラテラルアーム 34 ゴムブッシュ 60 コンプレッションアーム 64 ゴムブッシュ 68 ゴムブッシュ 70 アクチュエータRH(調整手段) 83 ピストン 110 ストロークセンサRH(実変位量検出手段) 111 ストロークセンサLH(実変位量検出手段) 130 油圧制御ユニット(液圧供給手段) 200 電子制御装置(制御手段) 210 車速センサ(状態量検出手段) 212 ハンドル角センサ(状態量検出手段) 214 横Gセンサ(状態量検出手段) 216 前後Gセンサ(状態量検出手段)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪を支持するハブキャリアと車体とを
    ストラット及びロアアームで連結した車両のストラット
    型サスペンション装置において、 前記ロアアームは、一端が前記ハブキャリアに回動自在
    に連結される一方、他端が前記車体に回動自在に連結さ
    れたラテラルアームと、 一端が前記ラテラルアームの前記ハブキャリア寄りの第
    1連結点にて回動自在に連結され、他端が前記ラテラル
    アームの他端とは前記車両の前後方向で離間した第2連
    結点にて前記車体に回動自在に連結されたコンプレッシ
    ョンアームとから構成されており、 前記コンプレッションアームの他端を前記第1及び第2
    連結点間を結ぶラインの方向に変位させる調整手段を備
    えることを特徴とする車両のストラット型サスペンショ
    ン装置。
  2. 【請求項2】 車両の前輪に適用されることを特徴とす
    る、請求項1記載の車両のストラット型サスペンション
    装置。
  3. 【請求項3】 前記前輪は操舵輪であることを特徴とす
    る、請求項2記載の車両のストラット型サスペンション
    装置。
  4. 【請求項4】 前記第1及び第2連結点にはそれぞれゴ
    ムブッシュが介装されていることを特徴とする、請求項
    1乃至3のいずれか記載の車両のストラット型サスペン
    ション装置。
  5. 【請求項5】 前記調整手段は、前記第2連結点と前記
    車体間に介装されたアクチュエータと、このアクチュエ
    ータを前記ラインの方向に作動させて前記コンプレッシ
    ョンアームの他端を変位させる作動手段とを含んでなる
    ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか記載の車
    両のストラット型サスペンション装置。
  6. 【請求項6】 前記アクチュエータは、前記第2連結点
    を有して液圧で摺動するピストンを内部に備え、前記作
    動手段は、前記アクチュエータ内に液圧を供給して前記
    ピストンを往復動させる液圧供給手段からなることを特
    徴とする、請求項5記載の車両のストラット型サスペン
    ション装置。
  7. 【請求項7】 前記調整手段は、前記アクチュエータの
    作動量を制御する制御手段を含んでなることを特徴とす
    る、請求項5または6記載の車両のストラット型サスペ
    ンション装置。
  8. 【請求項8】 前記制御手段は、前記車両の状態量を検
    出する状態量検出手段を含み、前記状態量に基づき前記
    作動量を制御することを特徴とする、請求項7記載の車
    両のストラット型サスペンション装置。
  9. 【請求項9】 前記制御手段は、車速を検出する車速検
    出手段を含み、前記状態量は車速であることを特徴とす
    る、請求項8記載の車両のストラット型サスペンション
    装置。
  10. 【請求項10】 前記制御手段は、前記コンプレッショ
    ンアームの他端の実変位量を検出する実変位量検出手段
    を含み、前記実変位量に基づき前記作動量をフィードバ
    ック制御することを特徴とする、請求項7乃至9のいず
    れか記載の車両のストラット型サスペンション装置。
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