JPH092998A - グリコール酸水溶液の製造方法 - Google Patents

グリコール酸水溶液の製造方法

Info

Publication number
JPH092998A
JPH092998A JP7154244A JP15424495A JPH092998A JP H092998 A JPH092998 A JP H092998A JP 7154244 A JP7154244 A JP 7154244A JP 15424495 A JP15424495 A JP 15424495A JP H092998 A JPH092998 A JP H092998A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glycolic acid
aqueous solution
less
solution
concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7154244A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiro Yamamoto
喜博 山本
Yoshihisa Inoue
佳尚 井上
Shinji Kiyono
真二 清野
Ritsuko Fukuda
立子 福田
Kenji Ito
健司 伊藤
Usaji Takagi
夘三治 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP7154244A priority Critical patent/JPH092998A/ja
Publication of JPH092998A publication Critical patent/JPH092998A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 グリオキザールの水溶液を出発物質として、
簡便な方法で遊離のしかも着色のないグリコール酸水溶
液を直接製造する方法を提供する。 【構成】 85重量%以下の濃度であるグリオキザー
ルの水溶液を、触媒の存在下または非存在下で50℃以
上に加熱し、得られたグリコール酸を含有する反応液
を、pH2以下の酸性溶液に調整し、濾過操作によっ
て当該酸性溶液中に存在する固体成分を除去し、得ら
れた濾液を、比表面積が500m2/g以上でかつ平均
細孔径が200オングストローム以下の多孔質体を充填
したカラムに、40℃以下の温度で流通させ、この流
出液のpHを1以上となるよう調整し、陽イオン交換
樹脂を充填したカラムに、40℃以下の温度で流通させ
ることからなる、ガードナー数1以下の色相であるグリ
コール酸水溶液の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グリオキザールの水溶
液からグリコール酸水溶液を製造する方法に関するもの
である。グリコール酸は、工業用洗浄剤や化粧品原体及
びポリグリコール酸の原料等として有用な化合物であ
る。
【0002】
【従来の技術】グリコール酸の製造法としては、ホルム
アルデヒドを一酸化炭素と水でカルボニル化する方法が
公知である(米国特許第2153064号、米国特許第
2152852号、特公昭51−28615号公報他多
数)。このカルボニル化反応は、強酸性の触媒の存在下
に、高温、高圧条件下で反応させる方法であって、反応
条件が過酷で、製造装置も高価である等の問題点があ
る。
【0003】一方、エチレングリコールまたはアセトア
ルデヒドの酸化によって容易に得られるグリオキザール
を水酸化ナトリウム等の強アルカリと反応させる、いわ
ゆるカニッツァロ反応により、グリコール酸アルカリ金
属塩を合成し、これに酸を加えてグリコール酸を得る方
法も公知である(Homolka, Chem. Ber., 54, 1395(192
1); Salomaa, Acta Chem. Scand., 10, 311(1956)
他)。しかし、この方法は強アルカリを当量以上に使用
する必要があること、また反応生成物はグリコール酸の
アルカリ金属塩であり、これから遊離のグリコール酸を
得るためには当量以上の酸を使用する必要があること、
更にこれら遊離のグリコール酸を得るための工程の他、
副生した塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩を除去する
ための精製工程が必要である等非常に煩雑な工程をいく
つも要し、製造コストが増大すること等の大きな欠点が
ある。
【0004】また、特開昭61−277649号には、
「グリオキザールの分子内酸化還元によりグリコール酸
を製造するに際し、アルミニウム、ガリウム、インジウ
ム、錫、チタン、ジルコニウム、ニオブ、バナジウム、
クロムから成る群から選ばれた元素の無機酸塩を触媒と
して反応させるところに特徴がある(第2頁第1欄9行
〜14行)」遊離のグリコール酸の製造方法が開示され
ている。本方法はグリオキザールの水溶液から直接グリ
コール酸水溶液が得られる点で画期的な方法ではある
が、触媒として用いた金属無機酸塩の成分が反応生成液
中に溶解し混入してしまうことにより、または微量の有
色副生物成分の存在により、得られた反応生成液が着色
しており、このまま製品のグリコール酸として出荷する
には問題があった。
【0005】本発明者らは既に、グリオキザールの水溶
液を出発物質として、簡便な方法により効率よく遊離の
しかも着色のないグリコール酸水溶液を製造する方法を
見いだし特許出願した(特願平7−123459)。即
ち、「85重量%以下の濃度であるグリオキザールの
水溶液を、触媒の存在下または非存在下で50℃以上に
加熱し、得られたグリコール酸を含有する反応液を、
pH2以下の酸性溶液に調整し、濾過操作によって当
該酸性溶液中に存在する固体成分を除去し、得られた
濾液と、比表面積が500m2/g以上でかつ平均細孔
径が200オングストローム以下の多孔質体を、40℃
以下の温度で接触させることからなる、ガードナー数3
以下の色相であるグリコール酸水溶液の製造方法」であ
る。この簡便な方法により着色のないグリコール酸水溶
液が得られ、そのまま製品グリコール酸水溶液として利
用できるようになった。しかしながら、理由は明確では
ないが、本発明により得られたグリコール酸水溶液を加
熱したり、長期間空気中で保存したりすると、徐々にで
はあるが再び少し着色してしまうという現象が見つかっ
た。当該グリコール酸水溶液をそのまま、例えば洗浄剤
等として使用する場合は何等問題はないが、長期間保存
する場合は不活性ガス中で保存する必要性が生じたり、
また、合成原料等として加熱操作を加える場合等には脱
色に手間が掛かったりするなど問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、グリ
オキザールの水溶液を出発物質として、遊離のしかも着
色がないグリコール酸水溶液を製造する方法を提供する
ことにあり、および加熱操作を加えても、また長期保存
しても再着色しない安定なグリコール酸水溶液を製造す
る方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、グリオキ
ザールの水溶液を出発物質として、上記課題を解決すべ
く鋭意検討した結果、意外なことに、特定の濃度のグリ
オキザールの水溶液を特定の温度以上で加熱反応させて
得られたグリコール酸を含有する反応液を、特定のpH
になるよう調整した後、濾過操作を行い、その得られた
濾液を特殊な性状を有する多孔質体を充填したカラムに
流通させ、この流出液を特定のpHになるよう調整した
後、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに流通させるこ
とにより、高収率で遊離のグリコール酸を含有する水溶
液が得られるとともに、得られたグリコール酸水溶液は
着色もなく、そのまま製品グリコール酸水溶液として利
用でき、また加熱操作や長期保存による再着色もない、
という極めて効率のよいグリコール酸水溶液の製造方法
を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち本発明は、85重量%以下の濃度で
あるグリオキザールの水溶液を、触媒の存在下または非
存在下で50℃以上に加熱し、得られたグリコール酸
を含有する反応液を、pH2以下の酸性溶液に調整し、
濾過操作によって当該酸性溶液中に存在する固体成分
を除去し、得られた濾液を、比表面積が500m2
g以上でかつ平均細孔径が200オングストローム以下
の多孔質体を充填したカラムに、40℃以下の温度で流
通させ、この流出液のpHを1以上となるよう調整
し、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに、40℃以
下の温度で流通させることからなる、ガードナー数1以
下の色相であるグリコール酸水溶液の製造方法である。
以下、本発明を詳しく説明する。
【0009】本発明の方法においては、85重量%以下
の濃度であるグリオキザールの水溶液を原料として用い
る。濃度が85重量%を超えると重合等の着色を呈する
副反応が起こってしまい、着色のないグリコール酸水溶
液を得るのが困難となる。好ましくは、5ないし60重
量%、より好ましくは10ないし50重量%の濃度であ
る。
【0010】加熱する温度は50℃以上であり、好まし
くは80ないし250℃、より好ましくは100ないし
200℃で行われる。加熱する際の圧力は、反応系を液
相に保つのに十分な圧力であり、減圧、常圧、加圧の何
れでも実施することができ、特に制限はないが、通常
0.1ないし230kg/cm2(絶対圧力)である。加熱す
る際、グリコール酸の収率やグリオキザールの転化率を
高めるため触媒や添加剤を用いることもできる。用いる
場合の触媒としては、例えば、固体酸触媒、または周期
律表第3族から第14族の金属、もしくはその化合物が
挙げられる。
【0011】固体酸触媒としては、反応条件下に酸性を
示すもので、かつ固体状態にあるものであり、例えば、
シリカ・アルミナ、シリカ・マグネシア、シリカ・ボリ
アもしくはアルミナ・ボリア等の2種以上の金属酸化物
から成る複合酸化物;酸性白土、ベントナイトもしくは
モンモリロナイト等の天然の粘土鉱物;ケイソウ土、シ
リカゲル、トリアもしくはアルミナ等の担体にリン酸も
しくは硫酸等を担持させた固型化酸;シリカライト、モ
ルデナイト、クリノブチロライト、A型ゼオライト、X
型ゼオライト、Y型ゼオライト、ZSM−5もしくはZ
SM−39等の天然もしくは合成ゼオライト;ニオブ
酸、アルミナ、酸化チタンもしくは酸化バナジウム等の
単元系金属酸化物;またはシリカ・アルミナ、シリカ・
チタニア、シリカ・ジルコニア、トリアもしくはグラフ
ァイト等の担体に5フッ化アンチモンもしくは3フッ化
ホウ素を担持させた固体超強酸等を用いることができ
る。これらの内、好ましくはシリカ・アルミナ等の複合
酸化物、またはモルデナイト等の天然もしくは合成ゼオ
ライトが用いられる。これらの固体酸触媒は調整後その
まま用いることができるし、また市販品をそのまま用い
ることもできるが、必要に応じて鉱酸処理、スチーミン
グ、EDTA処理、塩化シラン処理、塩化アルミ処理、
乾燥または焼成等の通常の前処理を行った後用いること
もできる。
【0012】周期律表第3族から第14族の金属、また
はその化合物としては、例えば、ランタン、セリウム、
チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタ
ル、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ガリウムまたは錫か
ら選ばれる金属の、ハロゲン化物、酸化物、複合酸化
物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩またはアルコキシド
化合物である。好ましくは、これらの金属の酸化物また
は水酸化物である。
【0013】これらの触媒の使用量は、原料であるグリ
オキザールの総量に対して通常10重量%以下、好まし
くは3重量%以下、更に好ましくは0.0001ないし
1重量%の範囲で用いられる。用いる場合の添加剤とし
ては、例えば、カルボン酸類が挙げられ、好ましくは、
蟻酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グリオキシ
ル酸または蓚酸である。
【0014】これらの添加剤の使用量は、加熱開始時に
用いるグリオキザール水溶液中の濃度が少なくとも0.
001重量%であり、好ましくは0.001ないし10
重量%、より好ましくは0.01ないし5重量%の範囲
である。加熱する時間は、加熱する温度、グリオキザー
ル濃度、使用する場合の触媒の種類や量等の条件により
変化するので一様ではないが、通常数分から24時間の
範囲である。
【0015】加熱する際、反応に必須である水を溶媒と
して行うことができるが、必要であればさらに他の溶媒
を共存させて行うこともできる。用いられる溶媒として
は、グリオキザールおよびグリコール酸と反応しないも
のであれば良く、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オク
タン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪
族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、フルオ
ロベンゼン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素
類、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、
ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、ジエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アセ
トニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ニトロ
メタン、ニトロベンゼン、ニトロトルエン等のニトロ化
合物類などを例示することができる。また、用いる溶媒
によって、二層以上の多層系で反応を行うこともでき
る。加熱する方法は、バッチ式または連続式の何れでも
実施することができる。
【0016】以上の加熱操作により、遊離のグリコール
酸を含有する反応液が得られる。本発明の方法において
は、この得られたグリコール酸を含有する反応液をpH
2以下の酸性溶液に調整する必要がある。酸性度が充分
でないと、着色のないグリコール酸水溶液を得るのが困
難となる。また、このpH調整操作によりpHを1ない
し2に調整しておくと、後段の流出液のpH調整の段階
でpHを1以上に調整する必要がなくなるのでより操作
が簡便になり好ましい。
【0017】酸性溶液への調整は、新たに酸成分を加え
ることにより行うこともできるし、また濃縮等の操作に
より行うこともできる。新たに加える酸成分としては、
酢酸、グリコール酸、シュウ酸もしくは乳酸等のカルボ
ン酸類、または塩酸、硝酸もしくはリン酸などの無機酸
類等が挙げられる。これらのうち、好ましくはカルボン
酸類であり、更に好ましくはグリコール酸である。濃縮
操作を行う場合、常圧濃縮でも減圧濃縮でも何れでもよ
く、また酸成分の添加と組み合わせることもできる。
【0018】調整操作に用いる、グリコール酸を含有す
る反応液は、加熱操作により得られた溶液をそのままも
しくは希釈して用いることができるし、既に固体成分が
存在している場合等はあらかじめ濾過操作を行った後に
用いることもできる。また、これらグリコール酸を含有
する反応液自体が既にpH2以下の酸性溶液となってい
る場合は、特別な調整操作を行わずにそのまま次の処理
工程に使用することができる。調整する際の温度は、通
常0℃以上、好ましくは15℃ないし200℃で行われ
る。調整する時間は当該溶液のpHが安定する時間であ
ればよく、また調整する際の温度、グリコール酸濃度や
濃縮する場合の濃縮程度、および加える場合の酸成分の
種類等の条件により変化するが、通常数秒から5時間の
範囲である。
【0019】以上の調整操作により得られた酸性溶液か
ら、濾過操作によって当該酸性溶液中に存在する固体成
分を濾別し除去する。濾過材は、濾紙、濾布、ガラスフ
ィルターまたはメンブランフィルター等の通常の材料か
ら選ばれる。また、セライトやシリカゲルなどの濾過助
剤を用いることもできる。濾過温度は通常40℃以下で
あり、好ましくは15℃ないし40℃の範囲である。濾
過方法は減圧濾過、常圧濾過または加圧濾過の何れでも
用いることができる。
【0020】以上の操作により得られた濾液を、比表面
積が500m2/g以上でかつ平均細孔径が200オン
グストローム以下の多孔質体を充填したカラムに流通さ
せる。このような多孔質体としては、シリカ、シリカ・
アルミナ、ゼオライトまたは活性炭等の多孔質体の内の
適当な種類のものが用いられる。好ましい比表面積は1
000m2/g以上であり、また好ましい平均細孔径は
100オングストローム以下である。より好ましくは、
比表面積が1000m2/g以上でかつ平均細孔径が1
00オングストローム以下の多孔質体であり、更に好ま
しくは、比表面積が1000m2/g以上でかつ平均細
孔径が100オングストローム以下の活性炭である。こ
れらの多孔質体は、酸処理等の通常の前処理を行った後
用いるのが好ましい。使用する多孔質体の粒径は、カラ
ム径や当該濾液の粘度等により適当に選ばれるが、好ま
しくは0.5mm以上である。流通させる際の温度は、
40℃以下、好ましくは15℃ないし40℃である。多
孔質体への接触時間は、当該濾液の酸性度や性状、グリ
コール酸濃度、および使用する多孔質体の種類と量等に
より変化するが、通常1分から10時間の範囲である。
この流通操作は繰り返し複数回行ってもよい。
【0021】本発明の方法においては、次の処理工程を
行う前に、この得られた流出液をpH1以上の酸性溶液
に調整する必要がある。酸性度がpH1未満と強すぎる
と、純粋なグリコール酸水溶液を得るのが困難となる。
好ましくはpH1ないし4の酸性溶液に調整することで
ある。前段のpH調整操作等により、当該流出液のpH
が既に1以上となっている場合にはこの工程を省略する
ことができる。pHの調整は、通常水等の溶媒での希釈
により行われるが、水酸化物やアンモニウム塩等のアル
カリ成分を加えることにより行うこともできる。調製す
る際の温度は、通常0℃以上、好ましくは15℃ないし
40℃で行われる。調整する時間は当該溶液のpHが安
定する時間であればよく、また調整時の温度、グリコー
ル酸濃度、希釈する場合の希釈程度、および加える場合
のアルカリ成分の種類等の条件により変化するが、通常
数秒から5時間の範囲である。
【0022】以上の操作により得られたpH調整済液
を、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに流通させる。
このような陽イオン交換樹脂としては、公知の強酸性陽
イオン交換樹脂および弱酸性陽イオン交換樹脂の何れで
も使用できるが、ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンス
ルホン酸型の強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。具体
的には、例えば、レバチットS100、S109、SP
112もしくはSP120(以上バイエル社製品)、ダ
イヤイオンSK102、SK1B、SK116、PK2
12、PK220、HPK16もしくはHPK30(以
上三菱化学社製品)、またはダウエックスHCR−S
(ダウ社製品)等が挙げられる。これらの陽イオン交換
樹脂は、水素型、アルカリ金属型、アルカリ土類金属型
またはこれらの混合型として使用されるが、使用する前
に硫酸等の無機酸を用いて酸処理を行い、水素型として
使用するのが好ましい。平均粒径としては、通常100
ないし1500μm、好ましくは150ないし1300
μmのものが使用される。流通させる際の温度は、40
℃以下、好ましくは15℃ないし40℃である。陽イオ
ン交換樹脂への接触時間は、当該pH調整済液の酸性度
や性状、グリコール酸濃度、および使用する陽イオン交
換樹脂の種類と量等により変化するが、通常1分から1
0時間の範囲である。この流通操作は繰り返し複数回行
ってもよい。
【0023】以上の操作を行うことにより、ガードナー
数1以下という着色のないグリコール酸水溶液が得られ
る。このグリコール酸水溶液は、加熱操作を加えても、
また長期保存してもほとんど再着色はせず、非常に安定
な水溶液である。得られたグリコール酸水溶液はそのま
ま利用することができるが、必要に応じて濃縮等の通常
の操作により濃度等を調節した後利用することもでき
る。また必要であれば、通常の結晶化操作によって、グ
リコール酸の結晶として取り出すこともできる。
【0024】
【実施例】以下、実施例を示して本発明の方法を更に詳
しく説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるも
のではない。 実施例1 ガラス製の円筒容器に、原料として5重量%グリオキザ
ール水溶液165グラム(0.142モル)および触媒
としてシリカ・アルミナ(商品名:L.A.シリカ・アルミ
ナ、触媒化成(株)製)0.55グラムを秤り取った。
このガラス容器を攪拌翼がテフロン製で、測温管がガラ
スで保護されている500mlのオートクレーブに挿入
した。このオートクレーブ内を窒素ガスで置換した後、
攪拌しながら150℃で1時間加熱反応させた。反応後
オートクレーブを冷却して反応液を取り出したところ、
液色は茶褐色(ガードナー数18以上)であった。この
反応液のpHを測定したところ、2.5であった。次
に、この反応液に攪拌しながら70重量%グリコール酸
水溶液20.0グラム(0.184モル)を徐徐に加え
て、pHを1.5に調整した。この酸性溶液をニトロセ
ルロースタイプのメンブランフィルターを用いて減圧濾
過した。濾取された固体成分を水20mlで3回洗浄
し、全ての濾液を合わせた。以上の反応、pH調製およ
び濾過操作を繰り返し4回行い、全ての溶液を合わせ
て、970グラムの酸性水溶液を得た。この水溶液を高
速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、グリ
コール酸が10.2重量%含まれていた。追加したグリ
コール酸の分を引くと、仕込んだグリオキザールに対し
てここまでに得られたグリコール酸の収率は99.1%
であった。直径15mm、高さ190mmのガラス製カ
ラムに東洋カルゴン社製APC粒状活性炭を充填し、得
られた溶液を室温下、速度10cm3/hrでこのカラ
ムに流通させ、出口よりグリコール酸水溶液を取りだし
た。約100グラム流出させたところで流出液中のグリ
コール酸濃度が一定となり、定常状態に達した。そのま
ま活性炭処理を続け、定常状態となった流出液を750
グラム得た。この流出液中のグリコール酸濃度は10.
2重量%であり、pHは1.7であった。また、この流
出液のガードナー数は1であった。直径18mm、高さ
200mmのガラス製カラムに、通常の酸処理によりプ
ロトン型としたバイエル社製レバチットS−100BG
陽イオン交換樹脂を充填し、活性炭処理により得られた
上記の流出液500グラムを室温下、速度10cm3
hrでこのカラムに流通させ、出口よりグリコール酸水
溶液を取りだした。流出液を全量カラムに通した後、水
200ミリリットルで残留分を洗い出した。取りだした
グリコール酸水溶液と洗い出し液とを合わせて700グ
ラムのグリコール酸水溶液を得た。グリコール酸の濃度
は7.3重量%であり、ガードナー数は1以下であっ
た。
【0025】実施例2 実施例1で得られたグリコール酸水溶液100グラム
を、空気中還流下10時間加熱した。グリコール酸濃度
は7.3重量%のままであり、ガードナー数も1以下
と、加熱による変化は認められなかった。
【0026】実施例3 実施例1で得られたグリコール酸水溶液100グラム
を、空気中、室温で60日間放置した。グリコール酸濃
度は7.3重量%のままであり、ガードナー数も1以下
と、長時間保存による変化は認められなかった。
【0027】比較例1 実施例1において活性炭処理を行って得られた、グリコ
ール酸濃度10.2重量%、ガードナー数1のグリコー
ル酸水溶液100グラムを希釈してグリコール酸濃度
7.2重量%の水溶液を作成した。この水溶液を、空気
中還流下10時間加熱した。グリコール酸濃度は10.
2重量%のままであり、顕著な分解は認められなかった
が、少し着色が見られ、ガードナー数は4となった。
【0028】比較例2 実施例1において活性炭処理を行って得られた、グリコ
ール酸濃度10.2重量%、ガードナー数1のグリコー
ル酸水溶液100グラムを希釈してグリコール酸濃度
7.4重量%の水溶液を作成した。この水溶液を、空気
中室温で60日間放置した。グリコール酸濃度は10.
2重量%のままであり、顕著な変質は認められなかった
が、少し着色が見られ、ガードナー数は3となった。
【0029】実施例4 原料として40重量%グリオキザール水溶液165グラ
ム(1.14モル)及び触媒として乾燥水酸化アルミニ
ウムゲル(商品名:S−100、協和化学(株)製)
1.65グラムを用い、加熱温度を165℃に変えた以
外は実施例1と同様に加熱反応させ、反応液を取り出し
た。この反応液のpHを測定したところ、1.0であっ
た。この酸性溶液を実施例1と同様に濾過操作を行い、
グリコール酸を含有する濾液を得た。直径15mm、高
さ190mmのガラス製カラムに東洋カルゴン社製AP
C粒状活性炭を充填し、また、直径18mm、高さ20
0mmのガラス製カラムに、通常の酸処理によりプロト
ン型としたバイエル社製レバチットS−100BG陽イ
オン交換樹脂を充填し、活性炭カラムの後にイオン交換
樹脂カラムを直列につなげた。得られた濾液を室温下、
速度10cm3/hrでこの両カラムに流通させ、出口
よりグリコール酸水溶液を取りだした。濾液を全量カラ
ムに通した後、水400mlで残留分を洗い出した。取
りだしたグリコール酸水溶液と洗い出し液とを合わせ、
実施例1と同様に分析したところ、グリコール酸の収率
は97.4%であり、ガードナー数は1以下であった。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法により、グリオキザール水
溶液から非常に簡便な反応で、高収率で遊離のしかも着
色のないグリコール酸水溶液を製造することができる。
また、このグリコール酸水溶液は、加熱操作を加えて
も、また長期保存してもほとんど再着色はせず、非常に
安定な水溶液である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 51/16 C07C 51/16 51/47 51/47 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 福田 立子 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 伊藤 健司 千葉県茂原市東郷1900番地 三井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 高木 夘三治 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 85重量%以下の濃度であるグリオキ
    ザールの水溶液を、触媒の存在下または非存在下で50
    ℃以上に加熱し、 得られたグリコール酸を含有する反応液を、pH2以
    下の酸性溶液に調整し、 濾過操作によって当該酸性溶液中に存在する固体成分
    を除去し、 得られた濾液を、比表面積が500m2/g以上でか
    つ平均細孔径が200オングストローム以下の多孔質体
    を充填したカラムに、40℃以下の温度で流通させ、 この流出液のpHを1以上となるよう調整し、 陽イオン交換樹脂を充填したカラムに、40℃以下の
    温度で流通させることからなる、ガードナー数1以下の
    色相であるグリコール酸水溶液の製造方法。
  2. 【請求項2】 グリオキザールの水溶液が、5ないし6
    0重量%の濃度である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 加熱する温度が、100ないし200℃
    である請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 得られたグリコール酸を含有する反応液
    をpH2以下の酸性溶液に調整する際、新たにグリコー
    ル酸を加えて調整する請求項1、2または3記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 得られたグリコール酸を含有する反応液
    をpH2以下の酸性溶液に調整する際、濃縮操作を行う
    ことによりpHを調整する請求項1、2または3記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 多孔質体が、比表面積が1000m2
    g以上でかつ平均細孔径が100オングストローム以下
    の活性炭である請求項1、2、3、4または5記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 流出液のpHを1以上となるよう調整す
    る際、希釈操作により調整する請求項1、2、3、4、
    5または6記載の方法。
  8. 【請求項8】 陽イオン交換樹脂が強酸性陽イオン交換
    樹脂である請求項1、2、3、4、5、6または7記載
    の方法。
JP7154244A 1995-06-21 1995-06-21 グリコール酸水溶液の製造方法 Pending JPH092998A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7154244A JPH092998A (ja) 1995-06-21 1995-06-21 グリコール酸水溶液の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7154244A JPH092998A (ja) 1995-06-21 1995-06-21 グリコール酸水溶液の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH092998A true JPH092998A (ja) 1997-01-07

Family

ID=15579991

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7154244A Pending JPH092998A (ja) 1995-06-21 1995-06-21 グリコール酸水溶液の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH092998A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003064366A1 (fr) * 2002-01-29 2003-08-07 Asahi Kasei Chemicals Corporation Procede de production de cristaux d'acide glycolique de purete elevee
CN101973870A (zh) * 2010-11-03 2011-02-16 武汉工程大学 乙二醛分子内歧化法制备羟基乙酸
CN102295550A (zh) * 2004-12-17 2011-12-28 株式会社吴羽 进一步加工被纯化的羟基羧酸的方法
CN102584566A (zh) * 2012-01-11 2012-07-18 健雄职业技术学院 乙醇酸的制备方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003064366A1 (fr) * 2002-01-29 2003-08-07 Asahi Kasei Chemicals Corporation Procede de production de cristaux d'acide glycolique de purete elevee
US7164040B2 (en) 2002-01-29 2007-01-16 Asahi Kasei Chemicals Corporation Process for production of high-purity crystals of glycolic acid
CN102295550A (zh) * 2004-12-17 2011-12-28 株式会社吴羽 进一步加工被纯化的羟基羧酸的方法
CN101973870A (zh) * 2010-11-03 2011-02-16 武汉工程大学 乙二醛分子内歧化法制备羟基乙酸
CN102584566A (zh) * 2012-01-11 2012-07-18 健雄职业技术学院 乙醇酸的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100198163B1 (ko) 1,3-프로판디올의 제조방법
JP2002226447A (ja) オキシムの製法
US4359587A (en) Method for preparing carbonyl compounds
RU2233830C2 (ru) Способ получения смесей спиртов с кетонами
JPH092998A (ja) グリコール酸水溶液の製造方法
JP2010163412A (ja) カルボニル化合物の製造方法
JP3862883B2 (ja) 芳香族エポキシ化合物の核水素化方法
JPH08319253A (ja) グリコール酸水溶液の製造方法
JP3521970B2 (ja) グリコール酸の製造方法
JP3526611B2 (ja) グリコール酸の製造方法
JPH04368340A (ja) 芳香族ハロゲン化物の製造方法
US5202485A (en) Process for preparing N-alkylaminophenols
JP2001039913A (ja) ビナフトールの精製方法
JPH07215900A (ja) シクロヘキサノールの製造方法
JP3927835B2 (ja) ヨウ化芳香族化合物ジアセテートの製造方法
JP2737317B2 (ja) フェノール類の製造方法
JP2000191642A (ja) ピリジン塩基類の製造法
JPH04149147A (ja) ソルビン酸の製造方法
US4619907A (en) Chromium phosphate catalyst
US5900513A (en) Production method of 2-cyclohexene-1-ol
JPH08198802A (ja) グリコール酸の製造方法
JPH08143507A (ja) グリコール酸の製造方法
EP1431296A1 (en) Process for preparing alpha- and beta-methyl-gamma-butyrolactone and 3-methyltetrahydrofuran
US4558165A (en) Chromium phosphate catalyst
US4543436A (en) Chromium phosphate as an alkylation catalyst