JPH09296261A - めっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

めっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JPH09296261A
JPH09296261A JP11266996A JP11266996A JPH09296261A JP H09296261 A JPH09296261 A JP H09296261A JP 11266996 A JP11266996 A JP 11266996A JP 11266996 A JP11266996 A JP 11266996A JP H09296261 A JPH09296261 A JP H09296261A
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亘江 藤林
Kazuaki Kyono
一章 京野
Nobuo Totsuka
信夫 戸塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プレス加工時におけるめっき密着性に優れた合
金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】熱間仕上げ圧延後、コイル巻取温度+50
℃までの冷却速度を30℃/秒以上、その後巻取温度ま
での冷却速度を3℃/秒以上、コイル巻き取り温度50
0℃越え750℃以下、その後500℃までの冷却速度
を40℃/時以上とし、酸洗及び冷間圧延後、連続溶融
亜鉛めっきラインにて合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、めっき密着性に優
れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)は、
安価で耐食性に優れているため、主に自動車車体用とし
て用いられている。自動車車体用GAとして求められる
性能としては、プレス加工時のめっき密着性が重要であ
る。めっき密着性が劣化すると、特に加工性の高い部分
でめっき層が粉状や塊状に剥離し、型かじりの原因とな
ったり、剥離部分の耐食性が劣化したり、剥離しためっ
き片により疵が生じるといった問題があった。
【0003】密着性を改善するための従来技術として、
特開昭61−276961号公報では溶融亜鉛めっきを
施した後700〜850℃の高温で合金化する技術があ
る。しかし、高温での合金化はコストの上昇を伴うだけ
でなく、ロールなどの設備への負担が増加する。また、
特開平3−199363号公報ではスラブの表層部及び
内部の成分を規定し、さらに連続溶融亜鉛めっきライン
での焼鈍後の冷却速度などを規定している。成分による
規定は達成されるとは限らず、特に表層部と内部の成分
を限定することは難しい。
【0004】一方、特開平4−66647号公報では焼
鈍時、浸炭性のガスを用いることによって鋼板表層の固
溶C量を10〜100ppmとしている。また、特開平
4−333552号公報では溶融亜鉛めっき前にNiプ
レめっきを行うことによりめっき密着性を改善してい
る。しかし、通常溶融亜鉛めっきラインにはアンモニア
などの浸炭性ガスを供給する設備、又はプレめっきを行
う設備はなく、ともに設備の改善等に多大な投資が必要
になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はめっき層が粉
状や塊状に剥離し、型かじりの原因となったり、剥離部
分の耐食性が劣化したり、剥離しためっき片により疵が
生じるといった問題を解決し、プレス加工時におけるめ
っき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法を提供することを目的とするものである。
【0006】本発明は、格別な設備を付加することな
く、また、スラブの表層部及び内部の成分規定など達成
困難な条件を必要とせずに、上記目的を達成する新しい
技術を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記問題点を解
決するために開発されたもので、その技術手段は、熱間
仕上げ圧延後、コイル巻取温度+50℃までの冷却速度
を30℃/秒以上とし、その後の巻取温度までの冷却速
度を3℃/秒以上とし、500℃越え750℃以下でコ
イルを巻取り、その後500℃までの冷却速度を40℃
/時以上とし、酸洗及び冷間圧延後、連続溶融亜鉛めっ
きラインにて合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造すること
を特徴とする。
【0008】また、本発明の第2の方法は、熱間仕上げ
圧延後、コイル巻取温度+50℃までの冷却速度を30
℃/秒以上とし、その後の巻取温度までの冷却速度を3
℃/秒以上とし、350℃越え500℃以下で巻取り、
酸洗及び冷間圧延後、連続溶融亜鉛めっきラインにて合
金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することを特徴とするめ
っき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法である。
【0009】本発明で開示するコイル巻取温度(CT)
及びコイル巻取温度前後の冷却速度を規制することによ
り、熱延巻取り前後に生じる内部酸化を抑制し、密着性
の優れた合金化溶融亜鉛めっきを得ることができる。こ
こでいう内部酸化とは鋼中のAl、Mn、P、Siなど
が酸素の内方向拡散により鋼板表層で酸化物を生成する
ことである。
【0010】巻取温度が500℃以下の場合、本発明の
ように巻取温度までの冷却速度を早くすることにより、
酸素の内方向拡散による酸化物は生成しない。また、5
00℃を越える温度であっても仕上げ圧延後および巻取
り後の冷却速度が40℃/時のように速ければ酸化物は
観察されない。巻取温度が750℃を越える場合には黒
皮量が増大し、その後の酸洗で黒皮を除去するのに時間
がかかるためラインスピードを遅くする、また、黒皮が
除去しきれず欠陥となったりする。そのため巻取温度は
750℃以下がよい。
【0011】また、巻取温度が350℃以下では、仕上
げ圧延から巻取りまでに時間がかかるため、生産性の低
下を招く。そのため、巻取温度は350℃を越える温度
とする。その後の酸洗、冷延は何ら規制されることはな
い。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、めっき密着性に付いて説明
する。合金化溶融亜鉛めっきは通常、鋼板界面に生成す
る最も鉄含有率の高いΓ相及びδ相、ζ相の3相から形
成されている。これまでの報告によると合金化溶融亜鉛
めっき鋼板のめっき密着性は曲げ加工時のめっき剥離量
(パウダリング)で検討されており、鋼板とめっき層界
面に生成する硬くて脆いΓ層が増加するとパウダリング
性は劣化すると言われている(鉄と鋼1984、S46
8)。
【0013】一方、このΓ相はめっき浴中Al濃度を高
くするなどの手段によって合金化速度を遅滞させること
により抑制できることが知られている(特開平7−70
726号公報)。本発明においても、開示した製造方法
により作成した内部酸化物のない熱延板を用いることに
より、合金化速度は遅滞し、Γ相の生成も抑制されるこ
とを見出した。つまり、熱延巻取り前後の冷却速度が遅
いか、あるいは巻取温度が高い場合には内部酸化物が生
成しているため、連続溶融亜鉛めっきラインでの還元焼
鈍時に金属の外方向拡散による表面濃化の生成が抑制さ
れている。そのため、合金化時の亜鉛と鉄の拡散を阻害
する酸化物(表面濃化)が減少し、合金化濃度が速くな
る。従って、めっき層中の鉄の濃度勾配が急になりΓ層
が多く生成するものと推定できる。一方、本発明では表
面濃化を抑制するものはなく、合金化は緩慢であるた
め、めっき層中の鉄の濃度勾配は緩やかでありΓ相の生
成は少量に押さえられる。ここで言う表面濃化量は焼鈍
後の鋼板を表面よりGDSにて分析を行い評価した。
【0014】図1、図2は、これを示すもので、図1は
内部酸化物のない場合、図2は、内部酸化がある場合
の、GDS(グロー放電発光分光分析)のスパッタリン
グ時間と各元素の強度を示したグラフである。本発明に
よる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、鋼板表
層部に内部酸化物がないため、硬くて脆いΓ層の成長を
抑制することができ、めっき密着性の優れた合金化溶融
亜鉛めっき鋼板が得られる。
【0015】本発明においてめっき層について特に限定
するものではないが、耐食性などの観点より自動車鋼板
としては通常亜鉛−鉄合金の付着量は25〜90g/m
2 、めっき層中の鉄含有率としては8〜13wt%が適
当である。また、同様に亜鉛浴条件についても特に限定
するものではないが、亜鉛浴中のAl濃度は0.13〜
0.15wt%程度、Fe濃度0.01wt%〜飽和が
適当であると思われ、また、さらにPb、Mg、Mn、
Niなどを含んでもよい。
【0016】
【実施例】以下に本発明の一例を示す。低炭素鋼(供試
鋼A)および極低炭素鋼(供試鋼B)の供試材を転炉に
て溶製した後、連続鋳造によりスラブとした。このスラ
ブをスラブ加熱温度(SRT)1100〜1250℃、
仕上げ温度850〜950℃とし、コイル巻取温度及び
冷却速度を表1のように変更し、35mm厚とした。
【0017】その後、酸洗によりスケール層を除去し冷
間圧延を行い0.7mm厚とした。この冷間圧延板を連
続溶融亜鉛めっきライン(CGL)において、750〜
880℃で再結晶焼鈍を行った後、470〜480℃で
溶融亜鉛めっきを行った。引き続き480〜530℃で
10〜30秒の合金化処理を行った。Γ層強度は接着剤
によりめっき層を剥離し、剥離界面からX線回折を行
い、Γ1相の(444)とΓ相(222)面の強度の合
計を用いた。
【0018】プレス加工性評価試験 合金化溶融亜鉛めっき鋼板を90度曲げ曲げ戻しを行
い、圧着側をテープ剥離して亜鉛の剥離量を蛍光X線に
て測定した。結果を表2に示す。表2中のパウダリング
性ランクの評価は表3に示すとおりである。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】 ───────────────────────────────── 蛍光X線によるカウント数 パウダリング性ランク ───────────────────────────────── 0〜 500 ……ランク1(良) 500〜1000 …… 2 1000〜2000 …… 3 2000〜3000 …… 4 3000以上 …… 5 ─────────────────────────────────
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の開示する
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法はプレス加工にお
ける密着性は良好であり、高品質の合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法を提供するものであり、その用途を拡
大するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】内部酸化物がない場合のGDSスパッタリング
時間に対する各元素の強度のグラフである。
【図2】内部酸化物がある場合のGDSスパッタリング
時間に対する各元素の強度のグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間仕上げ圧延後、コイル巻取温度+5
    0℃までの冷却速度を30℃/秒以上とし、その後巻取
    温度までの冷却速度を3℃/秒以上とし、500℃越え
    750℃以下でコイルを巻取り、その後500℃までの
    冷却速度を40℃/時以上とし、酸洗及び冷間圧延後、
    連続溶融亜鉛めっきラインにて合金化溶融亜鉛めっき鋼
    板を製造することを特徴とするめっき密着性に優れた合
    金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱間仕上げ圧延後、コイル巻取温度+5
    0℃までの冷却速度を30℃/秒以上とし、その後の巻
    取温度までの冷却速度を3℃/秒以上とし、350℃越
    え500℃以下で巻取り、酸洗及び冷間圧延後、連続溶
    融亜鉛めっきラインにて合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製
    造することを特徴とするめっき密着性に優れた合金化溶
    融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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