JP2715014B2 - 耐食性と深絞り性に優れた表層フェライト系ステンレス複層冷延鋼板及びその製造法 - Google Patents
耐食性と深絞り性に優れた表層フェライト系ステンレス複層冷延鋼板及びその製造法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建材、自動車をはじめと
する一般加工用、構造材料として利用される耐食性、加
工性、および深絞り性に優れた表層フェライト系ステン
レス複層冷延鋼板及びその製造法に関するものである。
する一般加工用、構造材料として利用される耐食性、加
工性、および深絞り性に優れた表層フェライト系ステン
レス複層冷延鋼板及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築、厨房器具、自動車などに使用され
る鋼板は、従来、その耐食性を高めるためその表面に塗
装、めっきなどを行い使用されてきたが、近年、より耐
食性を高めるため各方面でステンレス鋼板の使用が多く
なっている。例えば長期にわたる美観が要求される建築
外板や厨房器具、高温環境にさらされるため腐食が激し
い自動車のマフラー、各種プラントにおけるタンク、配
管などあらゆる分野で需要が増大している。一方、ステ
ンレス鋼は耐食性の点では優れているがコストが普通鋼
に比べ著しく高い。このため耐食性が優れかつ製造コス
トの低い鋼板として従来から表層を耐食性が良好なステ
ンレス鋼とし内層を安価な普通鋼とするクラッド鋼板が
開発されてきた。
る鋼板は、従来、その耐食性を高めるためその表面に塗
装、めっきなどを行い使用されてきたが、近年、より耐
食性を高めるため各方面でステンレス鋼板の使用が多く
なっている。例えば長期にわたる美観が要求される建築
外板や厨房器具、高温環境にさらされるため腐食が激し
い自動車のマフラー、各種プラントにおけるタンク、配
管などあらゆる分野で需要が増大している。一方、ステ
ンレス鋼は耐食性の点では優れているがコストが普通鋼
に比べ著しく高い。このため耐食性が優れかつ製造コス
トの低い鋼板として従来から表層を耐食性が良好なステ
ンレス鋼とし内層を安価な普通鋼とするクラッド鋼板が
開発されてきた。
【0003】しかし、これらのステンレスクラッド鋼板
では以前から次のような問題点が指摘されている。 1)普通鋼中のCとステンレス鋼中のCrの親和性が高
く、普通鋼からステンレス鋼へのCの拡散が起こり、表
層ステンレス鋼中にCr炭化物を形成し、ステンレス鋼
の耐食性が劣化する。
では以前から次のような問題点が指摘されている。 1)普通鋼中のCとステンレス鋼中のCrの親和性が高
く、普通鋼からステンレス鋼へのCの拡散が起こり、表
層ステンレス鋼中にCr炭化物を形成し、ステンレス鋼
の耐食性が劣化する。
【0004】2)クラッド鋼板の加工性をよくするため
には表層ステンレス鋼および内層普通鋼ともに十分な再
結晶をしていることが必要であるが、ステンレス鋼の再
結晶に十分な熱処理を行うと内層の普通鋼が粗粒化し、
加工後オレンジピールと称する表面欠陥が発生すると同
時に加工性も劣化する。 3)特に再結晶温度が高い高合金ステンレス鋼を表層と
した場合や加工性確保の観点からステンレス鋼に合わせ
た高温での熱処理を行うと、内層の普通鋼についてはA
c3変態点を越えるため内層の普通鋼の集合組織はラン
ダムなものとなり深絞り性が劣化する。
には表層ステンレス鋼および内層普通鋼ともに十分な再
結晶をしていることが必要であるが、ステンレス鋼の再
結晶に十分な熱処理を行うと内層の普通鋼が粗粒化し、
加工後オレンジピールと称する表面欠陥が発生すると同
時に加工性も劣化する。 3)特に再結晶温度が高い高合金ステンレス鋼を表層と
した場合や加工性確保の観点からステンレス鋼に合わせ
た高温での熱処理を行うと、内層の普通鋼についてはA
c3変態点を越えるため内層の普通鋼の集合組織はラン
ダムなものとなり深絞り性が劣化する。
【0005】これらを解決するため、これまでに種々の
方策が採られてきた。 問題点1)に対しては、特公昭58−15310号、特
公平1−7138号、特開昭62−54020号の各公
報に示されるように、普通鋼のC量低減をはかりさらに
Ti、NbなどのC固定元素や各種の元素を添加すると
いった手段が考えられている。また別の方法としては、
界面層にNiめっきしたり、Ni箔を挿入する方法も提
案されている。
方策が採られてきた。 問題点1)に対しては、特公昭58−15310号、特
公平1−7138号、特開昭62−54020号の各公
報に示されるように、普通鋼のC量低減をはかりさらに
Ti、NbなどのC固定元素や各種の元素を添加すると
いった手段が考えられている。また別の方法としては、
界面層にNiめっきしたり、Ni箔を挿入する方法も提
案されている。
【0006】問題点2)については、Nb、Bといった
元素を添加する方法が提案されている。また特開昭62
−74025号、特開昭62−16892号、特開昭6
2−80223号などの各公報には、熱延仕上温度、巻
取温度、焼鈍温度、加熱速度など熱処理サイクルを限定
する方法が示されている。これらの方法のうち、合金添
加による方法は問題点1)および2)を両立させること
を考えていないため、一つの課題については有効である
が、もう一方の課題については十分な解決法となってい
ない。また熱処理サイクルを限定する方法は生産性を低
下させるばかりか、加工性の劣化は避けられない。そし
てこれらの方法は、いずれも問題点3)についての考慮
がなされていない。
元素を添加する方法が提案されている。また特開昭62
−74025号、特開昭62−16892号、特開昭6
2−80223号などの各公報には、熱延仕上温度、巻
取温度、焼鈍温度、加熱速度など熱処理サイクルを限定
する方法が示されている。これらの方法のうち、合金添
加による方法は問題点1)および2)を両立させること
を考えていないため、一つの課題については有効である
が、もう一方の課題については十分な解決法となってい
ない。また熱処理サイクルを限定する方法は生産性を低
下させるばかりか、加工性の劣化は避けられない。そし
てこれらの方法は、いずれも問題点3)についての考慮
がなされていない。
【0007】問題点3)については、特開昭62−12
4229号公報に、焼鈍を比較的低温で行う方法が示さ
れているが、同公報記載の温度では表層ステンレス鋼の
再結晶は十分とはいえず、加工性の点で完全とはいえな
い。特に、板厚が薄くなる表層ステンレスクラッド冷延
鋼板では問題が解決されていない。
4229号公報に、焼鈍を比較的低温で行う方法が示さ
れているが、同公報記載の温度では表層ステンレス鋼の
再結晶は十分とはいえず、加工性の点で完全とはいえな
い。特に、板厚が薄くなる表層ステンレスクラッド冷延
鋼板では問題が解決されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高耐食性と低
コストを両立させる表層フェライト系ステンレス鋼、内
層普通鋼からなるステンレスクラッド冷延鋼板において
問題となる、 1)表層ステンレス鋼の耐食性を劣化させる内層普通鋼
からのC拡散、 2)加工時の表面欠陥および加工性劣化の原因となる内
層普通鋼の粗粒化、 3)深絞り性を劣化させる変態による集合組織のランダ
ム化、 を抑制し、高耐食性と低コストに加えて、高加工性、高
深絞り性を兼ね備えた表層ステンレス複層冷延鋼板を安
定して得ることを目的とする。
コストを両立させる表層フェライト系ステンレス鋼、内
層普通鋼からなるステンレスクラッド冷延鋼板において
問題となる、 1)表層ステンレス鋼の耐食性を劣化させる内層普通鋼
からのC拡散、 2)加工時の表面欠陥および加工性劣化の原因となる内
層普通鋼の粗粒化、 3)深絞り性を劣化させる変態による集合組織のランダ
ム化、 を抑制し、高耐食性と低コストに加えて、高加工性、高
深絞り性を兼ね備えた表層ステンレス複層冷延鋼板を安
定して得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の問題点を
解決する内層普通鋼の成分と製造法について検討の結果
得られたもので、その骨子とするところは、 1)C拡散、粗粒化を抑制しかつ高加工性、高深絞り性
を確保するため内層普通鋼を低C成分とすると同時にT
i、Nbの1種または2種をC、N含有量と関連づけて
添加し、また必要に応じてB、Moを添加することによ
り、その後の熱処理サイクルに影響されずに微細炭化物
を析出させる、 2)粗粒化の抑制とAc3変態点上昇のため内層普通鋼
のSi、Al、P等の含有量を高めにする、 3)表層部のフェライト系ステンレス鋼の全板厚に対す
る割合を特定し、冷間圧延と焼鈍条件を特定する、 ところにある。
解決する内層普通鋼の成分と製造法について検討の結果
得られたもので、その骨子とするところは、 1)C拡散、粗粒化を抑制しかつ高加工性、高深絞り性
を確保するため内層普通鋼を低C成分とすると同時にT
i、Nbの1種または2種をC、N含有量と関連づけて
添加し、また必要に応じてB、Moを添加することによ
り、その後の熱処理サイクルに影響されずに微細炭化物
を析出させる、 2)粗粒化の抑制とAc3変態点上昇のため内層普通鋼
のSi、Al、P等の含有量を高めにする、 3)表層部のフェライト系ステンレス鋼の全板厚に対す
る割合を特定し、冷間圧延と焼鈍条件を特定する、 ところにある。
【0010】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。まず、表層部
のフェライト系ステンレス鋼の成分に関して述べる。本
発明では表層部のフェライト系ステンレス鋼は特に限定
するものではなく、用途に応じて最適な成分系のフェラ
イト系ステンレス鋼が用いられる。
のフェライト系ステンレス鋼の成分に関して述べる。本
発明では表層部のフェライト系ステンレス鋼は特に限定
するものではなく、用途に応じて最適な成分系のフェラ
イト系ステンレス鋼が用いられる。
【0011】次に内層の普通鋼成分に関して述べる。C
は表層ステンレス鋼への拡散の抑制および深絞り性確保
のため低く抑えるが、本発明では粗粒化防止に炭化物を
利用することから0.0002%以上を含有させる必要
がある。一方、その含有量が多くなると深絞り性が劣化
するので0.0150%以下とする。
は表層ステンレス鋼への拡散の抑制および深絞り性確保
のため低く抑えるが、本発明では粗粒化防止に炭化物を
利用することから0.0002%以上を含有させる必要
がある。一方、その含有量が多くなると深絞り性が劣化
するので0.0150%以下とする。
【0012】Nは加工性の観点から低く抑えるが、本発
明では粗粒化防止に窒化物を利用することから0.00
05%以上を含有させる必要がある。またNはCのよう
に表層ステンレス鋼への拡散が起きても、その耐食性を
阻害することはないので、粒成長抑制のため添加する
が、その量が多くなると加工性が劣化するので上限を
0.0150%とする。
明では粗粒化防止に窒化物を利用することから0.00
05%以上を含有させる必要がある。またNはCのよう
に表層ステンレス鋼への拡散が起きても、その耐食性を
阻害することはないので、粒成長抑制のため添加する
が、その量が多くなると加工性が劣化するので上限を
0.0150%とする。
【0013】Si、Al、PはAc3変態点の上昇およ
び粗粒化防止に寄与する元素であり、その含有量は高い
ほど変態点は上昇する。しかし過剰な添加は高温におい
てもフェライト単相となり、熱間圧延後に特異な集合組
織が形成され、表面欠陥、加工性劣化の原因となるので
範囲を 25≧80×P(%)+7×Si(%)+20×Al(%) とする。下限は 80×P(%)+7×Si(%)+20×Al(%)≧1 とすることで、より高温での焼鈍が可能となり表層のス
テンレス鋼も十分に再結晶し加工性を向上させることが
できる。
び粗粒化防止に寄与する元素であり、その含有量は高い
ほど変態点は上昇する。しかし過剰な添加は高温におい
てもフェライト単相となり、熱間圧延後に特異な集合組
織が形成され、表面欠陥、加工性劣化の原因となるので
範囲を 25≧80×P(%)+7×Si(%)+20×Al(%) とする。下限は 80×P(%)+7×Si(%)+20×Al(%)≧1 とすることで、より高温での焼鈍が可能となり表層のス
テンレス鋼も十分に再結晶し加工性を向上させることが
できる。
【0014】Ti、NbはC拡散抑制、粒成長抑制、高
加工性確保のために添加される。その必要量はC、N量
に依存しており少ない場合は上記の効果が得られない。
また過剰な添加はコストの上昇をもたらし、かつ析出物
を粗大にし粒成長の抑制効果を失うばかりか加工性も劣
化させるため適正範囲を 8.0 ≧Ti(%)/[4×C(%) +3.4 ×N(%) ]+Nb(%)/
[7.7 ×C(%) ]≧0.4 とする。
加工性確保のために添加される。その必要量はC、N量
に依存しており少ない場合は上記の効果が得られない。
また過剰な添加はコストの上昇をもたらし、かつ析出物
を粗大にし粒成長の抑制効果を失うばかりか加工性も劣
化させるため適正範囲を 8.0 ≧Ti(%)/[4×C(%) +3.4 ×N(%) ]+Nb(%)/
[7.7 ×C(%) ]≧0.4 とする。
【0015】Bは必要に応じて添加されるが、Tiまた
はNbあるいはその両元素とともに複合添加されること
により、析出物を微細にし高温での粒成長を抑制する効
果を増大させる。粒成長抑制効果の発現とコスト上昇の
点から下限を0.0002%、上限を0.0060%と
する。MoもBと同様、TiまたはNbあるいはその両
元素とともに複合添加されることにより、析出物を微細
にし高温での粒成長を抑制する効果を増大させる。粒成
長抑制効果の発現とコスト上昇の点から下限を0.00
50%、上限を0.500%とする。
はNbあるいはその両元素とともに複合添加されること
により、析出物を微細にし高温での粒成長を抑制する効
果を増大させる。粒成長抑制効果の発現とコスト上昇の
点から下限を0.0002%、上限を0.0060%と
する。MoもBと同様、TiまたはNbあるいはその両
元素とともに複合添加されることにより、析出物を微細
にし高温での粒成長を抑制する効果を増大させる。粒成
長抑制効果の発現とコスト上昇の点から下限を0.00
50%、上限を0.500%とする。
【0016】次に表層および内層の厚みについて述べ
る。鋼板表層の厚みは、加工時に表層のステンレス鋼が
破れて鉄面が露出し耐食性が損なわれることを防ぐため
に、全厚の2%以上(両表層の場合両表層合計で4%以
上)とする。また上限についてはコストの上昇を回避す
るために、全厚の30%以下(両表層の場合両表層合計
で60%以下)とする。
る。鋼板表層の厚みは、加工時に表層のステンレス鋼が
破れて鉄面が露出し耐食性が損なわれることを防ぐため
に、全厚の2%以上(両表層の場合両表層合計で4%以
上)とする。また上限についてはコストの上昇を回避す
るために、全厚の30%以下(両表層の場合両表層合計
で60%以下)とする。
【0017】上記不均一成分を有する複層鋼片の製造法
については特に限定しないが、例えば次の方法が採用さ
れる。 イ)鋳ぐるみ法 ロ)2本イマージョンノズル法 ハ)爆着法 これらのうち、鋼の溶製後鋳造段階で複層化を行うこと
が工業的に適しており、特に連続鋳造法で製造すること
が最も経済的である。
については特に限定しないが、例えば次の方法が採用さ
れる。 イ)鋳ぐるみ法 ロ)2本イマージョンノズル法 ハ)爆着法 これらのうち、鋼の溶製後鋳造段階で複層化を行うこと
が工業的に適しており、特に連続鋳造法で製造すること
が最も経済的である。
【0018】本発明に従った成分組成の鋼は鋳造後、熱
延、冷延、焼鈍される。熱間圧延に先立つスラブ加熱温
度は表層Crが十分溶体化する1050℃以上であれば
よい。熱間圧延の仕上温度は特に限定されるものではな
いが、内層普通鋼のAr3変態点以上であれば冷延、焼
鈍後の深絞り性は向上する。巻取温度は高いほど内層普
通鋼の加工性が良好となるためクラッド鋼板の加工性は
良好となるが、Cr析出物が形成すると耐食性が劣化す
るため、表層に用いるステンレス鋼の通常の製造条件に
合わせればよい。その後、必要に応じて熱延板焼鈍が施
される。熱延板焼鈍を行えば熱延板が軟質となるため、
冷延時の作業性が良好になるだけでなく、冷延、焼鈍後
の加工性も向上する。
延、冷延、焼鈍される。熱間圧延に先立つスラブ加熱温
度は表層Crが十分溶体化する1050℃以上であれば
よい。熱間圧延の仕上温度は特に限定されるものではな
いが、内層普通鋼のAr3変態点以上であれば冷延、焼
鈍後の深絞り性は向上する。巻取温度は高いほど内層普
通鋼の加工性が良好となるためクラッド鋼板の加工性は
良好となるが、Cr析出物が形成すると耐食性が劣化す
るため、表層に用いるステンレス鋼の通常の製造条件に
合わせればよい。その後、必要に応じて熱延板焼鈍が施
される。熱延板焼鈍を行えば熱延板が軟質となるため、
冷延時の作業性が良好になるだけでなく、冷延、焼鈍後
の加工性も向上する。
【0019】冷延は、より深絞りに適した集合組織を得
るため40%以上の圧下率で行う。上限は作業性の点か
ら90%とする。焼鈍温度は加工性確保の点から表層ス
テンレス鋼の再結晶温度以上とする。この再結晶温度は
通常フェライト系ステンレス鋼で850℃程度である。
加工性、深絞り性確保の点からは焼鈍温度は高温である
ほど望ましく、内層普通鋼のAc3変態点以下であれば
良好な深絞り性が維持される。しかし余り高温になると
表層ステンレス鋼、または内層普通鋼に粗大粒が発生す
ることと、製造コストの観点から上限を1150℃とす
る。
るため40%以上の圧下率で行う。上限は作業性の点か
ら90%とする。焼鈍温度は加工性確保の点から表層ス
テンレス鋼の再結晶温度以上とする。この再結晶温度は
通常フェライト系ステンレス鋼で850℃程度である。
加工性、深絞り性確保の点からは焼鈍温度は高温である
ほど望ましく、内層普通鋼のAc3変態点以下であれば
良好な深絞り性が維持される。しかし余り高温になると
表層ステンレス鋼、または内層普通鋼に粗大粒が発生す
ることと、製造コストの観点から上限を1150℃とす
る。
【0020】本発明に従って得られた複層冷延鋼板は、
亜鉛、錫、クロム、アルミニウム等でめっきする表面処
理鋼板の素材としても利用できる。
亜鉛、錫、クロム、アルミニウム等でめっきする表面処
理鋼板の素材としても利用できる。
【0021】
【実施例】表層及び内層用溶鋼を表1に示す成分に調整
し、2本イマージョンノズル法により複層鋳片を得た。
表層の厚みは両表層同一とし、全厚に対する両表層合計
の比率を表2に示す。これらのスラブを熱延し、板厚
4.0mmの熱延板に仕上げた。この熱延板を表2に示す
冷延圧下率で冷延の後、焼鈍し、特性評価を行った。
し、2本イマージョンノズル法により複層鋳片を得た。
表層の厚みは両表層同一とし、全厚に対する両表層合計
の比率を表2に示す。これらのスラブを熱延し、板厚
4.0mmの熱延板に仕上げた。この熱延板を表2に示す
冷延圧下率で冷延の後、焼鈍し、特性評価を行った。
【0022】本発明に従った鋼板(試料番号1、4、
5、6、7、10、11、12)は表面欠陥がなく高加
工性、高深絞り性を達成しているのに対し比較鋼は表面
状況、加工性、深絞り性が良好でない。
5、6、7、10、11、12)は表面欠陥がなく高加
工性、高深絞り性を達成しているのに対し比較鋼は表面
状況、加工性、深絞り性が良好でない。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明によれば高耐
食性、高加工性、高深絞り性を両立させた表層フェライ
ト系ステンレス鋼、内層普通鋼からなるステンレス複層
冷延鋼板を提供できる。
食性、高加工性、高深絞り性を両立させた表層フェライ
ト系ステンレス鋼、内層普通鋼からなるステンレス複層
冷延鋼板を提供できる。
Claims (5)
- 【請求項1】 表層部がフェライト系ステンレス鋼、内
層部が重量%で、C:0.0002〜0.0150%、
N:0.0005〜0.0150%、Si、P、Alを
下記式(1)を満たすように含み、 25≧80×P(%) +7×Si(%) +20×Al(%) ≧1・・・・(1) さらに、Ti、Nbの1種または2種を下記式(2)を
満たすように含み、 8.0 ≧Ti(%)/[4×C(%) +3.4 ×N(%) ]+Nb(%)/
[7.7 ×C(%) ]≧0.4・・・・(2) 残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼で構成され、
前記表層部の全板厚に対する比率が片側2%以上30%
以下であることを特徴とする耐食性と深絞り性に優れた
表層フェライト系ステンレス複層冷延鋼板。 - 【請求項2】 表層部がフェライト系ステンレス鋼、内
層部が重量%で、C:0.0002〜0.0150%、
N:0.0005〜0.0150%、Si、P、Alを
下記式(1)を満たすように含み、 25≧80×P(%) +7×Si(%) +20×Al(%)≧1・・・・(1) さらに、Ti、Nbの1種または2種を下記式(2)を
満たすように含み、 8.0 ≧Ti(%)/[4×C(%) +3.4 ×N(%) ]+Nb(%)/
[7.7 ×C(%) ]≧0.4・・・・(2) かつB:0.0002〜0.0060%、Mo:0.0
050〜0.500%の1種または2種を含有し、残部
が鉄および不可避的不純物からなる鋼で構成され、前記
表層部の全板厚に対する比率が片側2%以上30%以下
であることを特徴とする耐食性と深絞り性に優れた表層
フェライト系ステンレス複層冷延鋼板。 - 【請求項3】 表層部がフェライト系ステンレス鋼、内
層部が重量%で、C:0.0002〜0.0150%、
N:0.0005〜0.0150%、Si、P、Alを
下記式(1)を満たすように含み、 25≧80×P(%) +7×Si(%) +20×Al(%) ≧1・・・・(1) さらに、Ti、Nbの1種または2種を下記式(2)を
満たすように含み、 8.0 ≧Ti(%)/[4×C(%) +3.4 ×N(%) ]+Nb(%)/
[7.7 ×C(%) ]≧0.4・・・・(2) 残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼で構成され、
前記表層部の全板厚に対する比率が片側2%以上30%
以下とした鋼片を、熱間圧延し、圧下率40〜90%で
冷間圧延を行い、再結晶温度以上1150℃以下の温度
で焼鈍することを特徴とする耐食性と深絞り性に優れた
表層フェライト系ステンレス複層冷延鋼板の製造法。 - 【請求項4】 表層部がフェライト系ステンレス鋼、内
層部が重量%で、C:0.0002〜0.0150%、
N:0.0005〜0.0150%、Si、P、Alを
下記式(1)を満たすように含み、 25≧80×P(%) +7×Si(%) +20×Al(%) ≧1・・・・(1) さらに、Ti、Nbの1種または2種を下記式(2)を
満たすように含み、 8.0 ≧Ti(%)/[4×C(%) +3.4 ×N(%) ]+Nb(%)/
[7.7 ×C(%) ]≧0.4・・・・(2) かつB:0.0002〜0.0060%、Mo:0.0
050〜0.500%の1種または2種を含有し、残部
が鉄および不可避的不純物からなる鋼で構成され、前記
表層部の全板厚に対する比率が片側2%以上30%以下
とした鋼片を、熱間圧延し、圧下率40〜90%で冷間
圧延を行い、再結晶温度以上1150℃以下の温度で焼
鈍することを特徴とする耐食性と深絞り性に優れた表層
フェライト系ステンレス複層冷延鋼板の製造法。 - 【請求項5】 熱間圧延の後、熱延板焼鈍することを特
徴とする請求項3または4記載の耐食性と深絞り性に優
れたフェライト系ステンレス複層冷延鋼板の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14501891A JP2715014B2 (ja) | 1991-06-17 | 1991-06-17 | 耐食性と深絞り性に優れた表層フェライト系ステンレス複層冷延鋼板及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14501891A JP2715014B2 (ja) | 1991-06-17 | 1991-06-17 | 耐食性と深絞り性に優れた表層フェライト系ステンレス複層冷延鋼板及びその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH051327A JPH051327A (ja) | 1993-01-08 |
JP2715014B2 true JP2715014B2 (ja) | 1998-02-16 |
Family
ID=15375530
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14501891A Expired - Lifetime JP2715014B2 (ja) | 1991-06-17 | 1991-06-17 | 耐食性と深絞り性に優れた表層フェライト系ステンレス複層冷延鋼板及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2715014B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2717183B2 (ja) * | 1993-04-06 | 1998-02-18 | 新日本製鐵株式会社 | 耐蝕性、加工性に優れたアルミめっき鋼板 |
JPH06293978A (ja) * | 1993-04-07 | 1994-10-21 | Nippon Steel Corp | 耐食性、深絞り性およびはんだ性に優れた自動車燃料タンク用複層冷延鋼板 |
JPH06336681A (ja) * | 1993-05-31 | 1994-12-06 | Nippon Steel Corp | 耐蝕性、加工性に優れたアルミめっき積層鋼板 |
-
1991
- 1991-06-17 JP JP14501891A patent/JP2715014B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH051327A (ja) | 1993-01-08 |
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