JPH092849A - 水硬性材料、セメント組成物、及びそれを用いた抗菌・抗カビ剤 - Google Patents
水硬性材料、セメント組成物、及びそれを用いた抗菌・抗カビ剤Info
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Abstract
を防止又は抑制する水硬性材料、セメント組成物、及び
それを用いた抗菌・抗カビ剤を提供すること。 【構成】 抗菌性金属又はそれと網目構造を有する酸化
物含有のカルシウムアルミネート系ガラス、又はそれと
無機硫酸塩とを含有してなる水硬性材料を、また、セメ
ントと該水硬性材料とを含有してなるセメント組成物
を、さらには、該水硬性材料又はセメント組成物を含有
してなる抗菌・抗カビ剤を構成とする。 【効果】 本発明の水硬性材料を使用することによりコ
ンクリート構造物の抗菌・抗カビ性が向上する等の効果
を奏する。
Description
組成物、及びそれを用いた抗菌・抗カビ剤、特に、菌
類、カビ類、藻類、及びスライム等の発生を防止又は抑
制する水硬性材料、セメント組成物、及びそれを用いた
抗菌・抗カビ剤に関する。
る減水剤や増粘剤などの有機化合物の影響により、コン
クリート構造物にカビ類や藻類などが発生することが問
題となっており、コンクリートの凝結・硬化を損なわず
に使用でき、効果的な抗菌・抗カビ剤の開発が待たれて
いた。
抗カビ性を有することは古くから知られており、例え
ば、硝酸銀や硫酸銅などの水溶液は消毒剤や殺菌剤とし
て用いられてきた。しかしながら、このような水溶液で
の使用は、おのずから用途が限定されてしまい、また、
効果の持続性がとりにくいという課題があった。
イト、無定形アルミノケイ酸塩、又はアパタイトに銀や
銅などの抗菌性金属を担持させたものや、銀や銅などの
抗菌性金属を含有する溶解性ガラス等の種々の抗菌・抗
カビ剤が提案された(特開昭60-181002号公報、特開昭63
-265809号公報、特開昭62-70221号公報、特開平1-16721
2号公報、特開平2-180270号公報、特開昭62-158202号公
報、及び特開昭62-210098号公報等)。これらの抗菌・抗
カビ剤は、それ自身を単独に、あるいは樹脂組成物や繊
維などに配合して、例えば、水処理分野、船舶・漁業分
野、及び塗料・プラスチック分野等において広範に利用
されるものであった。これらのうち、抗菌性金属を含有
する溶解性ガラスは、抗菌・抗カビ性を有する重金属の
担持量や重金属の溶出量をコントロールできるなどの利
点を有していた。しかしながら、この抗菌性金属を含有
する溶解性ガラスは、溶解性であっても水硬性を有する
ものではなく、また、銀や銅等の抗菌性金属は、僅か数
ppmであってもセメントの水和反応を遅延し、セメン
ト、モルタル、又はコンクリートの凝結・硬化を著しく
妨げてしまう、セメント、モルタル、又はコンクリート
に混和して使用することが難しい材料であるという課題
があった。
は、従来から、セメント急硬材の主成分として知られて
いる(特開昭48-1024号公報、特開平4-97932号公報等)。
しかしながら、従来のカルシウムアルミネート系ガラス
は抗菌・抗カビ性を有するものではなかった。
ト系ガラスが抗菌・抗カビ性に優れ、特に、これを水硬
性材料やセメント組成物として用いると、凝結促進効果
が付与できるばかりでなく、この水硬性材料やセメント
組成物から造られたコンクリート構造物に長期にわたっ
て抗菌・抗カビ性が付与される知見を得て本発明を完成
するに至った。
金属含有のカルシウムアルミネート系ガラス又はそれと
無機硫酸塩とを含有してなる水硬性材料であり、抗菌性
金属と網目構造を有する酸化物とを含有するカルシウム
アルミネート系ガラス又はそれと無機硫酸塩とを含有し
てなる水硬性材料であり、セメントと該水硬性材料とを
含有してなるセメント組成物であり、さらには、該水硬
性材料又はセメント組成物を含有してなる抗菌・抗カビ
剤である。
系ガラス(以下CAGという)は、CaO原料、Al2O3原料、
及び抗菌性金属原料、さらに必要に応じて、網目構造を
有する酸化物原料等を混合し熱処理して得られるもの
で、抗菌性金属又は抗菌性金属と網目構造を有する酸化
物を含有するものである。
銅、亜鉛、銀、スズ、鉛、及びビスマス等が挙げられ、
そのうちの一種又は二種以上を含有するものである。抗
菌・抗カビ効果とその持続性付与の面から、銅、亜鉛、
及び銀の使用が好ましい。CAG中の抗菌性金属の含有
量は、酸化物換算で、0.5〜15重量%が好ましく、1〜1
0重量%がより好ましい。0.5重量%未満では抗菌・抗カ
ビ性に乏しい場合があり、15重量%を越えると強度発現
性が悪くなる場合がある。
B2O3、SiO2、P2O5、V2O5、GeO2、As 2O5、ZrO2、及びSb2
O3等が挙げられ、そのうちの一種又は二種以上を含有す
るものである。経済性の面から、B2O3、SiO2、及びP2O5
の使用が好ましい。網目構造を有する酸化物の含有量
は、20重量%以下が好ましく、5〜15重量%がより好ま
しい。20重量%を越えると強度発現性が悪くなる場合が
ある。
モル比)は、CAGが抗菌性金属のみを含有する場合
は、1.3〜2.5が好ましく、1.5〜2.0がより好ましい。1.
3未満では中期から長期材齢における強度発現性が悪く
なる場合があり、2.5を越えると抗菌・坑カビ性が低下
する場合がある。また、CAGが抗菌性金属と網目構造
を有する酸化物を含有する場合の、CAGのC/Aモル
比は、1.5〜4.0が好ましく、2.0〜3.0がより好ましい。
1.5未満では中期から長期材齢における強度発現性が悪
くなる場合があり、4.0を越えると抗菌・坑カビ性が低
下する場合がある。
スである必要はなく、例えば、ガラス化率で50%程度以
上のものであり、70%以上が好ましい。本発明でいうガ
ラス化率(X)とは、CAGを1,000℃で3時間加熱し、
その後、5℃/分の冷却速度で徐冷し、粉末X線回折法
により求めた結晶鉱物のメインピークの面積S0とCAG
中の結晶のメインピークの面積Sから、X(%)=(1−
S/S0)×100の式に従って算出した。
く、例えば、CaO原料としては消石灰や石灰石粉末など
が、Al2O3原料としてはボーキサイトやアルミ残灰など
が、抗菌性金属原料としては、例えば、各種抗菌性金属
そのもの、その酸化物、及びその炭酸塩や硫酸塩などの
無機塩等、また、網目構造を有する酸化物原料として
は、例えば、B2O3原料としてはホウ砂やホウ酸塩など
が、SiO2原料としては粘土質やケイ砂などが、並びに、
P2O5原料としてはリン鉱石やリン酸塩などがそれぞれ使
用可能である。
が、例えば、電気炉などを使用してCaO原料やAl2O3原料
などを溶融することが可能であり、溶融時間も特に限定
されるものではない。溶融物の冷却方法についても、特
に限定されるものではなく、例えば、水や高圧空気など
による急冷法や、自然放冷による徐冷法などいずれの方
法を用いることも可能である。
在も特に限定されるものではない。例えば、CAGが抗
菌性金属のみを含有する場合は、他の成分として、B
2O3、F2、Na2O、MgO、SiO2、P2O5、SO3、K2O、TiO2、及
びFe2O3等の混入が予想され、CAGが抗菌性金属と網
目構造を有する酸化物を含有する場合は、F2、Na2O、Mg
O、SO3、K2O、TiO2、及びFe2O3等の混入が予想される
が、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲では特に問
題にならない。
によって、抗菌・抗カビ性を有する金属の溶出量をコン
トロールすることができる。CAGの粒度は、使用目的
により異なるので特に限定されるものではないが、例え
ば、単に抗菌・抗カビ剤として水処理剤等に用いる場合
には、0.1〜5.0mm程度の粒状のものを使用することがで
きる。また、水硬性材料又はセメント組成物として用い
る場合は、ブレーン値で2,000〜10,000cm2/g程度の範囲
のものが好ましく、3,000〜8,000cm2/g程度の範囲のも
のがより好ましい。2,000cm2/g未満では強度発現性が悪
くなる場合があり、10,000cm2/gを越えてもさらなる効
果の増進が期待できない。
無機硫酸塩からなる場合、水硬性材料100重量部中、5
〜95重量部が好ましく、30〜70重量部がより好ましい。
5重量部未満では長期耐久性が悪くなる場合があり、95
重量部を越えると充分な強度増進効果が得られない場合
がある。また、セメント組成物がセメントとCAGから
なる場合、セメント組成物100重量部中、5〜50重量部
が好ましく、10〜30重量部がより好ましい。5重量部未
満では抗菌・抗カビ性が充分に得られない場合があり、
50重量部を越えてもさらなる効果の増進が期待できない
場合がある。さらに、セメント組成物がセメント、CA
G、及び無機硫酸塩からなる場合、セメント組成物100
重量部中、5〜25重量部が好ましく、10〜15重量部がよ
り好ましい。5重量部未満では抗菌・抗カビ効果が充分
でない場合があり、25重量部を越えてもさらなる効果の
増進が期待できない場合がある。
的で、CAGに凝結調整剤を併用することは、施工を円
滑に進める面から好ましい。ここで、凝結調整剤とは、
例えば、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、及びリンゴ酸
等の有機酸又はその塩、リン酸又はその塩、アルカリ金
属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、並びに、ホウ酸等が
挙げられ、特に限定されるものではないが、有機酸又は
その塩と、アルカリ金属炭酸塩を併用することが、強度
発現性が良好となるので好ましい。凝結調整剤の使用量
は、使用目的・用途に依存するため、一義的に決定する
ことができないが、通常、CAG100重量部に対して、
0.5〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好まし
い。0.5重量部未満では充分な作業性が得られない場合
があり、10重量部を越えると強度発現性が低下する場合
がある。
ウ類、硫酸アルミニウム、及びアルカリ金属硫酸塩等を
総称するものであり、特に限定されるものではないが、
セッコウ類を使用することが本発明の効果が大であるこ
とや経済的であることから好ましい。ここで、セッコウ
類とは、無水セッコウ、半水セッコウ、及び二水セッコ
ウを総称するものであり、特に限定されるものではない
が、無水セッコウを使用することが本発明の効果が最も
大きいことから好ましい。無水セッコウは、例えば、天
然に産出する天然無水セッコウの他、半水セッコウや二
水セッコウを熱処理して脱水したものや、工業副産物と
して発生するもの等の使用が可能である。無機硫酸塩の
粒度は、ブレーン値で2,000〜10,000cm2/gが好ましく、
3,000〜8,000cm2/gがより好ましい。2,000cm2/g未満で
は強度発現性が悪くなる場合があり、10,000cm2/gを越
えてもさらなる効果の増進が期待できない場合がある。
無機硫酸塩の使用量は特に限定されるものではないが、
水硬性材料100重量部中、5〜95重量部が好ましく、30
〜70重量部がより好ましい。5重量部未満では充分な強
度増進効果が得られない場合があり、95重量部を越える
と長期耐久性が悪くなる場合がある。また、セメント組
成物100重量部中、1〜30重量部が好ましく、5〜15重
量部がより好ましい。1重量部未満では充分な強度増進
効果が得られない場合があり、30重量部を越えると長期
耐久性が悪くなる場合がある。
ブレーン値で2,000〜10,000cm2/gが好ましく、3,000〜
8,000cm2/gがより好ましい。2,000cm2/g未満では強度発
現性が悪くなる場合があり、10,000cm2/gを越えてもさ
らなる効果の増進が期待できない場合がある。
は、普通、早強、超早強、及び中庸熱等の各種ポルトラ
ンドセメント、これらポルトランドセメントにポゾラン
物質を混合した各種混合セメント、さらには、アルミナ
セメントやビーライトセメント等が挙げられる。
製造する際に使用する混合装置としては、既存のいかな
る撹拌装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサー、
オムニミキサー、V型ミキサー、ヘンシェルミキサー、
及びナウターミキサー等が利用可能である。また、混合
は、それぞれの材料を施工時に混合してもよいし、あら
かじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支
えない。
物の他に、減水剤、高性能減水剤、AE剤、AE減水
剤、高性能AE減水剤、増粘剤、砂や砂利などの骨材、
セメント膨張材、防錆剤、防凍剤、高分子エマルジョ
ン、ベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土鉱物、
ゼオライト、ハイドロタルサイト、及びハイドロカルマ
イト等のイオン交換体、無機リン酸塩、並びに、ホウ酸
等のうちの一種又は二種以上を本発明の目的を実質的に
阻害しない範囲で併用可能である。
る。
の溶融物を高圧空気で急冷して、C/Aモル比が1.7
で、表1に示す量の抗菌性金属を含有するCAGクリン
カーを合成した。合成したCAGクリンカーをブレーン
値で3,500±200cm2/gとなるように粉砕してCAGとし
た。CAGの組成比は化学分析により求めた。このCA
G100重量部、細骨材100重量部、水50重量部、及び凝結
調整剤1重量部を配合してモルタルを調製して凝結試験
を行い、同時に4×4×16cmの形状の硬化体を作製し、
カビ抵抗性を測定した。結果を表1に併記する。
比4/6混合品 水 :水道水
において7日間促進中性化させ、カビ種Aアスペルギル
ス・ニゲルとカビ種Bクラドスポリウム・クラドスポリ
オイデスの胞子懸濁液を硬化体上に塗布し、4週間にわ
たってカビ抵抗性試験をJIS Z 2911に準じて行った。カ
ビ抵抗性の×は1/3を越える面積にわたってカビ発
生、△は1/3以下の面積においてカビ発生、○はカビ
の発生なし凝結試験 :JIS R 5201に準じて行った。
モル比を表2に示すように配合したこと以外は実施例1
と同様に行った。結果を表2に併記する。
モル比が1.7のCAGと無機硫酸塩からなる水硬性材料1
00重量部中の無機硫酸塩の量を表3に示すように配合
し、凝結調整剤は使用しなかったこと以外は実施例1と
同様に行った。結果を表3に併記する。
モル比が1.7のCAGとセメントからなるセメント組成
物100重量部中のCAGを表4に示すように配合したこ
と以外は実施例1と同様に行った。結果を表4に併記す
る。
ト
配合したこと以外は実施例4と同様に行った。結果を表
5に併記する。
びAg2O原料を用いて、C/Aモル比が2.5で、SiO2含有
量が10重量%で、表6に示す量の抗菌性金属を含有する
CAGクリンカーを合成したこと以外は実施例1と同様
に行った。結果を表6に併記する。
/Aモル比と網目構造酸化物の種類を表7に示すように
変化したこと以外は実施例6と同様に行った。結果を表
7に併記する。
O2含有量が10重量%で、C/Aモル比が2.5のCAGと
無機硫酸塩を表8に示すように配合し、凝結調整剤は使
用しなかったこと以外は実施例6と同様に行った。結果
を表8に併記する。
O2含有量が10重量%で、C/Aモル比が2.5のCAGを
使用し、CAGとセメントからなるセメント組成物100
重量部中のCAGを表9に示すように配合したこと以外
は実施例6と同様に行った。結果を表9に併記する。
O2含有量が10重量%で、C/Aモル比が2.5のCAGを
使用し、セメント、CAG、及び無機硫酸塩を表10に
示すように配合したこと以外は実施例6と同様に行っ
た。結果を表10に併記する。
りコンクリート構造物の抗菌・抗カビ性が向上し、セメ
ントや無機硫酸塩を併用すると、凝結促進効果が得ら
れ、長期間にわたって抗菌・抗カビ性が付与される等の
効果を奏する。
Claims (7)
- 【請求項1】 抗菌性金属含有のカルシウムアルミネー
ト系ガラスを含有してなる水硬性材料。 - 【請求項2】 抗菌性金属含有のカルシウムアルミネー
ト系ガラスと無機硫酸塩とを含有してなる水硬性材料。 - 【請求項3】 抗菌性金属と網目構造を有する酸化物と
を含有するカルシウムアルミネート系ガラスを含有して
なる水硬性材料。 - 【請求項4】 抗菌性金属と網目構造を有する酸化物と
を含有するカルシウムアルミネート系ガラスと、無機硫
酸塩を含有してなる水硬性材料。 - 【請求項5】 セメントと請求項1〜4のうちの1項記
載の水硬性材料を含有してなるセメント組成物。 - 【請求項6】 請求項1〜4のうちの1項記載の水硬性
材料を含有してなる抗菌・抗カビ剤。 - 【請求項7】 請求項5記載のセメント組成物を含有し
てなる抗菌・抗カビ剤。
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