JP3549632B2 - セメント急結材及びセメント組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、土木・建築業界において使用されるセメント急結材及びセメント組成物に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
従来より、トンネルの吹付コンクリート(下地コンクリート)や湧水の止水モルタルにセメント急結材が使用されている。
そして、セメント急結材としては、炭酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムを主成分とするものやカルシウムアルミネートを主成分とするものなどが、セメントの凝結・硬化を促進し、初期強度発現性が良好であるため、トンネルの吹付工法や湧水の止水材料などに広く使用されていた(特開昭49−23720号公報、特公昭56−27457号公報、及び特開昭62−297248号公報)。
【0003】
しかしながら、例えば、トンネルの吹付材として使用する場合は、充分に地山との付着がとれずに跳ね返り現象をおこす、いわゆるリバウンドの量をさらに減少させること、また、湧水のあるトンネルにおいて、湧水によって脱落することを防止するために必要な急結性等の吹付性能を改善すること、並びに、寒冷地において、急結性状を向上することや強度発現性の低下を抑制すること等のように、従来のセメント急結材の性能をさらに改良したセメント急結材が要求されているのが現状である。
【0004】
さらに、最近では、セメント急結材に含まれるアルカリ金属がアルカリ骨材反応の原因になることから、また、アルカリ金属を含むセメント急結材を使用すると、材齢1日の強度は良好であるが、材齢28日の強度が30〜50%程度低下するという課題を有していることから、アルカリ金属を含まないセメント急結材が提案された(特開昭58−69759号)。
【0005】
しかしながら、このアルカリ金属を含まないセメント急結材は、急結力が弱く、比較的多量に使用しないと急結効果がないためにコスト高となり、また、急結性状が悪く、リバウンド量を減少させること、湧水に対する抵抗性を付与すること、並びに、低温時の凝結性状や強度発現性の改善といった本発明の課題を達成できるものではなかった。
【0006】
そのため、現在では、炭酸ナトリウムやアルミン酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩を含まないセメント急結材は実用化されていないのが実状であった。
【0007】
本発明者は、前述の課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、特定のセメント急結材を使用することにより、前述の課題が解決されるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、CaO/Al2O3モル比が2.5〜3.5、P2O5含有量が5〜20重量%、かつ、ブレーン値が3,000〜9,000 cm/gである非晶質カルシウムアルミネートホスフェートを含有してなるセメント急結材、さらに、ブレーン値が2,000〜9,000 cm/gである無機塩類を含有してなり、該非晶質カルシウムアルミネートホスフェートと該無機塩類の合計100重量部中、該無機塩類が40重量部以下であることを特徴とするセメント急結材であり、セメントと該セメント急結材とを含有してなるセメント組成物である。
【0009】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0010】
本発明で使用する非晶質物質は、CaO原料、Al原料、SiO原料、B原料、及びP原料を必要に応じ配合し、熱処理後冷却して製造されるものであって、CaO/Alモル比が2.7〜3.5、かつ、SiO含有量が6〜15重量%である非晶質カルシウムアルミネートシリケート(以下A−CASという)、CaO/Alモル比が2.5〜3.5、かつ、B含有量が5〜20重量%である非晶質カルシウムアルミネートボレート(以下A−CABという)、並びに、CaO/Alモル比が2.5〜3.5、かつ、P含有量が5〜20重量%である非晶質カルシウムアルミネートホスフェート(以下A−CAPという)からなる群より選ばれた一種又は二種以上からなるもので、急結性や強度発現性が良好であることからA−CASを使用することが好ましい。
【0011】
本発明で使用するA−CASは、CaO/Alモル比2.7〜3.5であり、2.8〜3.2が好ましい。2.7未満では急結性が悪くなる場合があり、3.5を超えると長期耐久性が悪くなる場合がある。
また、A−CASのSiO含有量は、6〜15重量%であり、7〜10重量%が好ましく、この範囲外では急結性が低下する場合がある。
【0012】
A−CASは、アルミナセメントの組成とは全く異なるものである。
即ち、通常のアルミナセメントのSiO含有量は5重量%未満であり、ガラス化率は25%を超えることはない〔笠井順一、コンクリート工学、第22巻、第8号、第67頁 1984年、ロンドン市 アカデミック プレス インコーポレーテッド リミテッド発行、H.F.W.Taylor、ザ ケミストリー オブ セメント(The Chemistry of Cement)、第2巻、第16頁 1964年〕。
【0013】
また、A−CASは、CaO/Alモル比が2.0であり、SiO含有量が21.9重量%である2CaO・Al・SiO、即ち、ゲーレナイトとは全く異なるものである。
【0014】
本発明で使用するA−CAB又はA−CAPのCaO/Alモル比は2.5〜3.5であり、2.8〜3.2が好ましい。2.5未満では急結性が悪くなる場合があり、3.5を超えると長期耐久性が低下する場合がある。
また、A−CAB又はA−CAPの、B含有量又はP含有量は、5〜20重量%であり、7〜15重量%が好ましく、この範囲外では急結性が低下する場合がある。
【0015】
本発明において非晶質とは、すべてが非晶質である必要はなく、例えば、ガラス化率で50%程度以上のものであり、70%以上のものが好ましい。
【0016】
本発明でいうガラス化率(X)とは、A−CAS、A−CAB、及びA−CAPからなる群より選ばれた一種又は二種以上の非晶質物質を1,000℃で3時間加熱し、その後、5℃/分の冷却速度で徐冷し、粉末X線回折法により求めた結晶鉱物のメインピークの面積Soと非晶質物質中の結晶のメインピークの面積SからX(%)=(1−S/So)×100の式に従って算出した。
【0017】
本発明で使用する非晶質物質の原料は特に限定されるものではなく、例えば、CaO原料としては消石灰や石灰石粉末などが、Al原料としてはボーキサイトやアルミ残灰などが、SiO原料としては粘土質やケイ砂などが、B原料としてはホウ砂やホウ酸又はその塩などが、P原料としてはピロリン酸カルシウム等のリン酸塩やリン鉱石などが各々使用できる。
【0018】
非晶質物質製造の熱処理方法は、特に限定されるものではないが、例えば、電気炉などを使用して溶融することが挙げられ、溶融時間も特に限定されるものではない。
溶融物の冷却方法についても、特に限定されるものではなく、例えば、水や高圧空気などによる急冷法や、自然放冷による徐冷法などいずれの方法を用いてクリンカーを製造することも可能である。
【0019】
また、原料中の他の成分、あるいは不純物の存在も特に限定されるものではない。例えば、TiO、MgO、Fe、NaO、KO、F、及びSO等の、さらに、A−CASの場合はPやBの、A−CABの場合はSiOやPの、A−CAPの場合はSiOやBの混入が予想されるが、これらの存在は、クリンカー製造時の融点を下げる効果があること、クリンカーの活性を高めることなどから好ましく、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲の量、例えば、NaOやKOなどのアルカリ金属酸化物の含有量が2重量%未満の範囲で、その他の酸化物を含めた不純物の総量が10重量%未満の範囲では問題にならない。
【0020】
非晶質物質の粉末度は特に限定されるものではないが、ブレーン値で3,000〜9,000cm/g程度の範囲のものが好ましい。3,000cm/g程度未満では充分な急結性が得られない場合があり、9,000cm/g程度を超えても急結性や強度発現性のさらなる効果が期待できない場合がある。
【0021】
本発明で使用する無機塩類としては、例えば、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、及びアルミン酸カルシウム等のアルミン酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、及び重炭酸カリウム等の炭酸塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、及び亜硝酸カルシウム等の硝酸塩類、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、ミョウバン類、及び無水セッコウや半水セッコウや二水セッコウのセッコウ類等の硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸カルシウム、チオ硫酸マグネシウム、及びチオ硫酸アルミニウム等のチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸マグネシウム、及びチオシアン酸アルミニウム等のチオシアン酸塩、並びに、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウム等の水酸化物等が挙げられ、使用する目的に応じてこれらのうちの一種又は二種以上を併用することが可能である。
特に、非晶質物質に、アルミン酸塩と炭酸塩とを併用すると、急結性が良好で、初期の強度、例えば、材齢1日までの強度発現性が良好なトンネル吹付材とすることが可能であり、硝酸塩類を併用すると、寒冷地での急結性状が良好なトンネル吹付材とすることが可能である。また、ミョウバン類を併用すると、アルカリ性が低く、安全性の高いトンネル吹付材が得られる。また、セッコウ類を併用すると、強度発現性が良好なトンネル吹付材が得られる。
このうち、アルカリ金属以外の非アルカリ金属の無機塩類は、アルカリ金属を含まないセメント急結材とすることができ、アルカリ骨材反応の懸念がなく、材齢28日の強度発現性が良好となる面からその使用は好ましい。
【0022】
無機塩類の粒度は特に限定されるものではないが、ブレーン値で2,000〜9,000cm/gが好ましい。2,000cm/g未満では急結性が悪くなる場合があり、9,000cm/gを超えても急結性や強度発現性のさらなる効果が期待できない場合がある。
【0023】
無機塩類の使用量は、使用する無機塩類の種類によって一義的に決定されるものではないが、通常、非晶質物質と無機塩類からなるセメント急結材100重量部中、60重量部以下の範囲で使用することが好ましく、40重量部以下の範囲で使用することがより好ましい。無機塩類の使用量がこの範囲にないと急結性状や強度発現性が悪くなる場合がある。
【0024】
本発明のセメント急結材の粉末度は使用する目的や用途に依存するため、特に限定されるものではないが、通常、ブレーン値で3,000〜9,000cm/gが好ましい。3,000cm/g未満では急結性が悪くなる場合があり、9,000cm/gを超えて使用してもさらなる効果が期待できない場合がある。
【0025】
本発明のセメント急結材の使用量は、セメントとセメント急結材からなる結合材100重量部中、3〜15重量部が好ましく、5〜10重量部がより好ましい。3重量部未満では急結性が充分ではなく、15重量部を越えると長期耐久性が悪くなる場合がある。
【0026】
ここでセメントとしては、普通、早強、超早強、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントにポゾラン物質を混合した各種混合セメントなどが挙げられる。
【0027】
本発明では、セメントとセメント急結材の他に、凝結調整剤、減水剤、高性能減水剤、AE剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、増粘剤、セメント膨張材、防錆剤、防凍剤、砂や砂利などの骨材、高分子エマルジョン、ベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土鉱物、ゼオライト、ハイドロタルサイト、及びハイドロカルマイト等のイオン交換体、並びに、シリカ質微粉末等のうちの一種又は二種以上を本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
【0028】
本発明のセメント急結材やセメント組成物を混合・混練する装置としては、既存のいかなる撹拌装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサー、オムニミキサー、V型ミキサー、ヘンシェルミキサー、及びナウターミキサー等が使用可能である。
また、混合は、それぞれの材料を施工時に混合してもよいし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
【0029】
また、養生方法も、特に限定されるものではなく、一般に行われる養生方法が適用可能である。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0031】
実施例1
CaO原料、Al原料、及びSiO原料を混合し、電気炉を用い、1,600℃で溶融した溶融物を高圧空気法で急冷してクリンカーを得た。
得られたクリンカーを粉砕し、ブレーン値で5,000±200cm/gに調整して表1に示す各種A−CASを得た。
A−CASの組成は化学分析により求めた値であり、NaOとKOの総量は1重量%未満であった。
このA−CASをセメント急結材とし、セメントとセメント急結材からなる結合材100重量部中、セメント急結材を7重量部配合し、結合材/砂比1/2、水/結合材比60%に調製したモルタルとした。
このモルタルの混練は、20℃で、セメント、砂、及び水を1分間高速回転で練混ぜ、その後、30分練り置き、セメント急結材を添加して10秒間混練した。
調製したモルタルの凝結時間と圧縮強度を測定し、結果を表1に併記する。
【0032】
<使用材料>
CaO原料 :和光純薬工業社製試薬1級炭酸カルシウム
Al原料 :和光純薬工業社製試薬1級酸化アルミニウム
SiO原料 :和光純薬工業社製試薬1級二酸化ケイ素
セメント :電気化学工業社製普通ポルトランドセメント
砂 :新潟県姫川産川砂
水 :水道水
【0033】
<測定方法>
凝結時間 :ASTM C 403−65 T のプロクター貫入抵抗法に準じて、500、2,000、及び4,000Psiに達する時間
圧縮強度 :4×4×16cmの供試体を作製し、JIS A 1108に準じて材齢1日と28日の圧縮強度
【0034】
【表1】
Figure 0003549632
【0035】
実施例2
CaO/Al比が3.0で、SiO含有量が10重量%のA−CASを使用し、セメント急結材中の無機塩類aの使用量を表2に示すように変化したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0036】
<使用材料>
無機塩類a:試薬1級のアルミン酸ナトリウム/炭酸ナトリウムの重量比65/35の混合品、ブレーン値3,480cm/g
【0037】
【表2】
Figure 0003549632
【0038】
実施例3
CaO/Al比が3.0で、SiO含有量が10重量%のA−CASを使用し、セメント急結材の使用量を表3に示すように変化したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
【0039】
【表3】
Figure 0003549632
【0040】
実施例4
CaO原料、Al原料、及びSiO原料に工業原料を用い、実施例1と同様に、CaO/Al比が3.0で、SiO含有量が10重量%のA−CASを得た。
A−CASの組成は化学分析により求めた値であり、NaOとKOの総量は1重量%未満であった。
このA−CASと、表4に示した各種無機塩類を配合してセメント急結材としたこと以外は実施例1と同様に行い、調製したモルタルの凝結時間と圧縮強度を測定し、そのセメント急結材のpHも測定した。結果を表4に併記する。
また、結合材100重量部中のセメント急結材を7重量部とし、単位量が、結合材360kg/m、粗骨材756kg/m、細骨材1,130kg/m、及び水162kg/mの配合で、コンクリートを調製し、そのコンクリートを内径3mの模擬トンネルに吹付け、そのリバウンド率を測定した。結果を表4に併記する。
【0041】
<使用材料>
CaO原料 :電気化学工業社青海鉱山産石灰石
Al原料 :市販ボーキサイト
SiO原料 :市販ケイ砂
無機塩類b:試薬1級のアルミン酸ナトリウム/硝酸ナトリウムの重量比85/15の混合品、ブレーン値3,510cm/g
無機塩類c:試薬1級のカリウムミョウバンを600℃で1時間熱処理した焼成ミョウバン、ブレーン値3,800cm/g
無機塩類d:試薬1級アルミン酸ナトリウム/炭酸ナトリウム/天然無水セッコウの重量比30/60/10の混合品、ブレーン値3,250cm/g
無機塩類e:試薬1級の炭酸ナトリウム、ブレーン値3,060cm/g
無機塩類f:市販天然無水セッコウ、ブレーン値6,050cm/g
無機塩類g:試薬1級炭酸カルシウム、ブレーン値5,550cm/g
無機塩類h:試薬1級塩基性炭酸マグネシウム、ブレーン値4,250cm/g
無機塩類i:試薬1級硝酸カルシウム、ブレーン値3,060cm/g
無機塩類j:試薬1級水酸化カルシウム、ブレーン値4,120cm/g
市販急結材:秩父・小野田セメント社製商品名「小野田T−Rock」主成分カルシウムアルミネート、ブレーン値4,400cm/g
粗骨材 :新潟県姫川産川砂利、Gmax=10mm
細骨材 :新潟県姫川産川砂、5mm下
【0042】
<測定方法>
pHの測定:純水500ccにセメント急結材0.5gを加え、1分間撹拌して測定。
リバウンド率:(落下したコンクリート量/吹付けた全コンクリート量)×100
【0043】
【表4】
Figure 0003549632
【0044】
実施例5
CaO/Al比が3.0で、SiO含有量が10重量%のA−CASと、無機塩類b又は無機塩類iを使用し、練り上がり温度を5℃としたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
【0045】
【表5】
Figure 0003549632
【0046】
実施例6
製造した表6に示す各A−CAS70重量部と無機塩類a30重量部とを配合し、ブレーン値4,500±200cm/gのセメント急結材とし、結合材100重量部中のセメント急結材を7重量部として、結合材/砂比1/2、水/結合材比50%で、10秒間空練りし、その後、水を加え10秒間混練し、練り上がり温度20℃に調整してモルタルとし、凝結時間を測定したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表6に併記する。
【0047】
【表6】
Figure 0003549632
【0048】
実施例7
CaO原料、Al原料、及びB原料を混合したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表7に示す。
なお、A−CABの組成は化学分析により求めた値であり、NaOとKOの総量は1重量%未満であった。
【0049】
<使用材料>
原料 :和光純薬工業社製試薬1級無水ホウ酸
【0050】
【表7】
Figure 0003549632
【0051】
実施例8
CaO/Al比が3.0で、B含有量が10重量%のA−CABを使用し、セメント急結材中の無機塩類aの使用量を表8に示すように変化したこと以外は実施例7と同様に行った。結果を表8に併記する。
【0052】
【表8】
Figure 0003549632
【0053】
実施例9
CaO/Al比が3.0で、B含有量が10重量%のA−CABを使用し、セメント急結材の使用量を表9に示すように変化したこと以外は実施例7と同様に行った。結果を表9に併記する。
【0054】
【表9】
Figure 0003549632
【0055】
実施例10
CaO原料、Al原料、及びB原料の工業原料を用いたこと以外は実施例4と同様に行った。結果を表10に示す。
なお、A−CABの組成は化学分析により求めた値であり、NaOとKOの総量は1重量%未満であった。
【0056】
<使用材料>
原料 :市販ホウ酸
【0057】
【表10】
Figure 0003549632
【0058】
実施例11
CaO/Al比が3.0で、B含有量が10重量%のA−CABと、無機塩類b又は無機塩類iを使用し、練り上がり温度を5℃としたこと以外は実施例7と同様に行った。結果を表11に示す。
【0059】
【表11】
Figure 0003549632
【0060】
実施例12
表12に示すA−CABを用いたこと以外は実施例6と同様に行った。結果を表12に併記する。
【0061】
【表12】
Figure 0003549632
【0062】
実施例13
CaO原料、Al原料、及びP原料を混合したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表13に示す。
なお、A−CAPの組成は化学分析により求めた値であり、NaOとKOの総量は1重量%未満であった。
【0063】
<使用材料>
原料 :和光純薬工業社製試薬1級ピロリン酸カルシウム
【0064】
【表13】
Figure 0003549632
【0065】
実施例14
CaO/Al比が3.0で、P含有量が10重量%のA−CAPを使用し、セメント急結材中の無機塩類aの使用量を表14に示すように変化したこと以外は実施例13と同様に行った。結果を表14に併記する。
【0066】
【表14】
Figure 0003549632
【0067】
実施例15
CaO/Al比が3.0で、P含有量が10重量%のA−CAPを使用し、セメント急結材の使用量を表15に示すように変化したこと以外は実施例13と同様に行った。結果を表15に併記する。
【0068】
【表15】
Figure 0003549632
【0069】
実施例16
CaO原料、Al原料、及びP原料の工業原料を用いたこと以外は実施例4と同様に行った。結果を表16に示す。
なお、A−CAPの組成は化学分析により求めた値であり、NaOとKOの総量は1重量%未満であった。
【0070】
<使用材料>
原料 :市販ピロリン酸カルシウム
【0071】
【表16】
Figure 0003549632
【0072】
実施例17
CaO/Al比が3.0で、P含有量が10重量%のA−CAPと、無機塩類b又は無機塩類iを使用し、練り上がり温度を5℃としたこと以外は実施例13と同様に行った。結果を表17に示す。
【0073】
【表17】
Figure 0003549632
【0074】
実施例18
表18に示すA−CAPを用いたこと以外は実施例6と同様に行った。結果を表18に併記する。
【0075】
【表18】
Figure 0003549632
【0076】
実施例19
CaO/Al比が3.0で、SiO含有量が10重量%のA−CAS、CaO/Al比が3.0で、B含有量が10重量%のA−CAB、並びに、CaO/Al比が3.0で、P含有量が10重量%のA−CAPを使用し、A−CAS、A−CAB、及びA−CAPを表19に示すように併用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表19に併記する。
【0077】
<使用材料>
非晶質物質A:A−CASとA−CABの等量混合品
非晶質物質B:A−CASとA−CAPの等量混合品
非晶質物質C:A−CABとA−CAPの等量混合品
非晶質物質D:A−CAS、A−CAB、及びA−CAPの等量混合品
【0078】
【表19】
Figure 0003549632
【0079】
実施例20
無機塩類aをセメント急結材100重量部中30重量部配合したこと以外は実施例19と同様に行った。結果を表20に示す。
【0080】
【表20】
Figure 0003549632
【0081】
【発明の効果】
本発明のセメント急結材を使用することにより、急結性が良好である、湧水の止水効果が高い、経済的である、低温での急結性が良好であるセメント組成物が得られる等の効果を奏することができ、また、アルカリ金属を含有しないセメント急結材とすることで、アルカリ骨材反応を呈することがなく、かつ、長期強度の伸びが良好となるセメント組成物が得られる等の効果を奏する。

Claims (3)

  1. CaO/Al2O3モル比が2.5〜3.5、P2O5含有量が5〜20重量%、かつ、ブレーン値が3,000〜9,000 cm/gである非晶質カルシウムアルミネートホスフェートを含有してなるセメント急結材。
  2. 請求項1記載の非晶質カルシウムアルミネートホスフェートと、ブレーン値が2,000〜9,000 cm/gである無機塩類を含有してなり、該カルシウムアルミネートホスフェートと該無機塩類の合計100重量部中、該無機塩類が40重量部以下であることを特徴とするセメント急結材。
  3. セメントと、請求項1又は2記載のセメント急結材とを含有してなるセメント組成物。
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