JPH0986978A - 混合セメント組成物 - Google Patents

混合セメント組成物

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JPH0986978A
JPH0986978A JP7239967A JP23996795A JPH0986978A JP H0986978 A JPH0986978 A JP H0986978A JP 7239967 A JP7239967 A JP 7239967A JP 23996795 A JP23996795 A JP 23996795A JP H0986978 A JPH0986978 A JP H0986978A
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実 盛岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主に、土木・建築業界において使用され、高
炉スラグの含有率を70重量%超とすることができ、セメ
ントクリンカーの使用量を低減でき、しかも、強度発現
性や耐久性に優れた混合セメント組成物を提供するこ
と。 【解決手段】 粒度がブレーン値6,000cm2/g以上か平均
粒径5μm以下である高炉スラグ微粉末、セメントクリ
ンカー、及び混合セメント刺激材を含有してなる混合セ
メント組成物、また、各種原料を熱処理して生成し、特
定の鉱物群からなり、特定のCaO/Al2O3モル比やCaSO4
/Al2O3モル比などを持つ混合セメント刺激材を含有し
てなる混合セメント組成物を構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に、土木・建築
業界において使用される混合セメント組成物、特に、高
炉スラグを含有してなる混合セメント組成物に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、地球の環境保護問題が大
きくクローズアップされており、セメント分野において
も環境保護に関連して様々な試みが検討されている。例
えば、セメントクリンカーの製造過程において排気され
る炭酸ガスが地球を温暖化へと導き、自然環境のつりあ
いを大きく崩す原因となっていることが問題視されてい
る。このような課題に対して、セメント分野では、炭酸
ガス発生の原因ともなるセメントクリンカーの使用量を
抑えることができることから、例えば、高炉セメント、
フライアッシュセメント、又はシリカセメントのよう
に、産業廃棄物である高炉スラグ、フライアッシュ、及
びシリカフューム等のポゾラン物質を混合した混合セメ
ントに注目している。これらのうち、高炉セメントは、
フライアッシュセメントやシリカセメントと比較し、混
合セメント中の産業廃棄物の含有量を多くすることがで
きることから、特に注目されている。例えば、JIS で
は、混合セメント中のポゾラン物質の含有量は、最も含
有量が多い各種混合セメントC種で比較すると、フライ
アッシュセメントやシリカセメントが最大30重量%まで
であるのに対して、高炉セメントでは最大70重量%まで
混合することができる。
【0003】高炉スラグ、フライアッシュ、及びシリカ
フューム等の産業廃棄物は潜在水硬性を有しており、セ
メントの水和過程で生成する水酸化カルシウムと反応
し、強度発現性やセメント硬化体の緻密化に寄与するこ
とが知られている。
【0004】ここで、セメント硬化体とは、セメントペ
ースト、モルタル、又はコンクリートの硬化体を総称す
るものである。
【0005】ところが、これら潜在水硬性を有する物質
を混合した混合セメントは、普通ポルトランドセメント
と比較すると、初期の強度発現性が乏しく、また、セメ
ント硬化体組織が緻密化しにくいことから炭酸化反応も
著しく速いという課題があった。
【0006】ここで、炭酸化反応とは、セメントの水和
反応で副生する水酸化カルシウムが大気中の炭酸ガスと
反応して炭酸カルシウムとなる反応であり、この反応
が、セメント硬化体内部へ進行して行くと鉄筋の腐食を
誘発するものである。鉄筋の腐食はコンクリート構造物
の劣化を引き起こすことから、炭酸化反応を抑制するこ
とは極めて重要である。
【0007】このような混合セメントの課題を解消する
ために、水酸化カルシウムの生成量が多い早強ポルトラ
ンドセメントを刺激材とする方法が提案された(安永
等、第49回セメント技術大会講演集、p108〜113、1995
年)。しかしながら、この方法では、強度発現性やセメ
ント硬化体の緻密化の効果が充分でなく、また、高炉ス
ラグの含有量を最大50重量%程度までしか増加させるこ
とができないため、セメントクリンカー使用量を低減す
ることができず、55重量%を越える含有量になると強度
発現性が低下するという課題があった。
【0008】また、高炉スラグの粉末度を調整すること
によって、高炉セメント中の高炉スラグの含有量を高く
した高炉セメントの初期の強度発現性を改善する方法
や、セメントクリンカーと高炉スラグを含有するセメン
ト組成物に石膏類を添加することによって強度発現性を
改善する方法などが提案された(特開昭57-67051号公
報、特開昭64-18956号公報、及び特開平2-289453号公報
等)。しかしながら、これらの方法では強度発現性が改
善されるものの、炭酸化抑制効果がなく、これらのセメ
ント組成物を使用したセメント硬化体に耐久性を付与で
きるものではなく、現在に至っても普及していないのが
実状である。
【0009】本発明者は、前記課題を解消するために、
鋭意努力を重ねた結果、特定の混合セメント組成物を使
用することにより、前記課題が解決できることを知見し
本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、粒度
が、ブレーン値6,000cm2/g以上、又は、平均粒径5μm
以下である高炉スラグ微粉末、セメントクリンカー、及
び混合セメント刺激材を含有してなる混合セメント組成
物であり、該混合セメント刺激材が、CaO原料、Al2O3
料、及びCaSO4原料を含有する配合物を熱処理して生成
するもので、遊離石灰、アウイン、及び無水セッコウを
有効成分とする鉱物群からなるもの、CaO原料とCaSO4
料を含有する配合物を熱処理して生成するもので、遊離
石灰と無水セッコウを有効成分とする鉱物群からなるも
の、並びに、CaO原料とCaF2原料を含有する配合物を熱
処理して生成するもので、遊離石灰とフッ化カルシウム
を有効成分とする鉱物群からなるものの一種又は二種以
上である混合セメント組成物であり、CaO原料、Al2O3
料、及びCaSO4原料を含有する配合物を熱処理して生成
する熱処理生成物中、CaO/Al2O3モル比が7.5〜18で、C
aSO4/Al2O3モル比が1.6〜4である混合セメント刺激
材、CaO原料とCaSO4原料を含有する配合物を熱処理して
生成する熱処理生成物100重量部中、無水セッコウが10
〜50重量部である混合セメント刺激材、CaO原料とCaF2
原料を含有する配合物を熱処理して生成する熱処理生成
物100重量部中、フッ化カルシウムが5〜40重量部であ
る混合セメント刺激材からなる混合セメント刺激材の一
種又は二種以上である混合セメント組成物であり、さら
に硫酸塩を含有してなる該混合セメント組成物であり、
該混合セメント組成物100重量部中の高炉スラグ微粉末
含有量が70重量部を越えることを特徴とする混合セメン
ト組成物である。
【0011】以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0012】本発明の混合セメント組成物は、特定の高
炉スラグ微粉末、セメントクリンカー、及び混合セメン
ト刺激材、又はこれらと硫酸塩を含有するものである。
【0013】本発明で使用する高炉スラグ微粉末(以下
スラグ粉という)の粒度は、ブレーン値6,000cm2/g以
上、又は、平均粒径5μm以下が必要であり、ブレーン
値6,000cm2/g未満で平均粒径5μm超では、本発明の効
果は得られない。そのうち、ブレーン値7,000cm2/g以上
が好ましく、ブレーン値8,000cm2/g以上がより好まし
い。また、平均粒径4μm以下が好ましく、平均粒径3
μm以下がより好ましい。スラグ粉の使用量は、混合セ
メント組成物100重量部中、10〜90重量部が好ましく、
セメントクリンカーの使用量を減少して、その製造量を
抑える本発明の目的から、50重量部を越える範囲がより
好ましく、70重量部を越えて配合しても初期の強度発現
性が良好で炭酸化抑制効果が得られる。
【0014】ここで、炭酸化抑制効果とは、セメント硬
化体内部への炭酸化反応が進行するのを抑制する効果を
いうものであり、pH値で11程度以下の部分を炭酸化さ
れたと判断する。この判断は、セメント硬化体にフェノ
ールフタレイン水溶液を塗布した時の呈色反応により確
認できる。
【0015】本発明で使用するセメントクリンカーと
は、ポルトランドセメント系クリンカーを総称するもの
であり、その化学成分は、CaO、SiO2、Al2O3、及びFe2O
3からなり、その他微量成分として、MgO、TiO2、Na2O、
及びK2O等を含有している。また、セメントクリンカー
を構成している鉱物としては、主に、3CaO・SiO2、2CaO・
SiO2、3CaO・Al2O3、及び4CaO・Al2O3・Fe2O3であり、その
他、微量の遊離CaOや遊離MgOなどが確認できる。本発明
では、クリンカーを構成する鉱物の割合は特に限定され
るものではなく、例えば、普通ポルトランドセメントク
リンカー、3CaO・SiO2含有量が多い早強ポルトランドセ
メントクリンカー、及び2CaO・SiO2含有量を多くしたビ
ーライトセメントクリンカー等が使用できる。
【0016】本発明で使用する混合セメント刺激材(以
下本刺激材という)は、CaO原料、Al2O3原料、及びCaSO4
原料を含有する配合物、CaO原料とCaSO4原料を含有する
配合物、並びに、CaO原料とCaF2原料を含有する配合物
からなる群から選ばれた一種又は二種以上を熱処理して
生成するものであり、遊離石灰、アウイン、及び無水セ
ッコウを有効成分とする鉱物群、遊離石灰と無水セッコ
ウを有効成分とする鉱物群、並びに、遊離石灰とフッ化
カルシウムを有効成分とする鉱物群からなる群から選ば
れた一種又は二種以上の熱処理生成物であり、生石灰、
アウイン、及び無水セッコウを単に混合したもの、生石
灰と無水セッコウを単に混合したもの、生石灰とフッ化
カルシウムを単に混合したもの、並びに、これらを単に
混合したものでは本発明の効果を奏することができな
い。
【0017】本刺激材の原料は、純度やコストにより、
任意に選択され得るものであり、特に限定されるもので
はないが、例えば、CaO原料として石灰石や消石灰など
のCaCO3質やCa(OH)2質などが、Al2O3原料としてボーキ
サイトやアルミ残灰などが、CaSO4原料として、無水セ
ッコウ、半水セッコウ、及び二水セッコウ等が、さら
に、CaF2原料としてホタル石や工業副産物として生成す
るフッ化カルシウムなどが挙げられる。各原料中に不純
物として存在するSiO2、Fe2O3、CaF2、MgO、及びTiO2
は、本発明の目的を実質的に阻害しない量の範囲では特
に限定されるものではない。遊離石灰、アウイン、及び
無水セッコウを有効成分とする本刺激材において、有効
成分である遊離石灰、アウイン、及び無水セッコウの鉱
物群の成分割合は、遊離石灰10〜70重量%、アウイン10
〜50重量%、無水セッコウ10〜50重量%程度の範囲にあ
るものが好ましい。この範囲外では充分な炭酸化抑制効
果が得られない場合がある。遊離石灰、アウイン、及び
無水セッコウを有効成分とする本刺激材の原料は、熱処
理生成物中のCaO/Al2O3モル比が7.5〜18で、CaSO4/Al
2O3モル比が1.6〜4となるように配合することが好まし
く、CaO/Al2O3モル比が8〜12で、CaSO4/Al2O3モル比
が2〜3となるように配合することがより好ましい。熱
処理生成物中のCaO/Al2O3モル比やCaSO4/Al2O3モル比
がこの範囲外では炭酸化抑制効果や強度発現性が得られ
ない場合がある。また、遊離石灰と無水セッコウを有効
成分とする本刺激材では、有効成分である無水セッコウ
が、熱処理生成物100重量部中、10〜50重量部になるよ
うに配合することが好ましく、20〜40重量部になるよう
に配合することがより好ましい。この範囲外では充分な
炭酸化抑制効果が得られない場合がある。さらに、遊離
石灰とフッ化カルシウムを有効成分とする本刺激材で
は、有効成分であるフッカ化カルシウムが、熱処理生成
物100重量部中、5〜40重量部になるように配合するこ
とが好ましく、10〜30重量部になるように配合すること
がより好ましい。この範囲外では充分な炭酸化抑制効果
が得られない場合がある。
【0018】本発明では、熱処理温度は特に限定される
ものではないが、通常、1,100〜1,600℃程度が好まし
い。原料の混合方法は特に限定されるものではなく、通
常の方法が可能である。本刺激材を製造する熱処理方法
としては特に限定されるものではなく、例えば、ロータ
リーキルンによる焼成法等がある。
【0019】本刺激材の粒度は、通常、ブレーン値3,00
0cm2/g以上、又は、平均粒径20μm以下が好ましい。ブ
レーン値が3,000cm2/g未満、又は、平均粒径が20μmを
越えると充分な強度発現性や炭酸化抑制効果が得られな
い場合がある。そのうち、ブレーン値4,000cm2/g以上が
より好ましく、5,000cm2/g以上が最も好ましい。また、
平均粒径は15μm以下がより好ましく、10μm以下が最
も好ましい。
【0020】本刺激材の使用量は、スラグ粉、セメント
クリンカー、及び本刺激材からなる混合セメント組成物
100重量部中、1〜7重量部が好ましく、2〜5重量部
がより好ましい。1重量部未満では使用する効果が充分
でなく、7重量部を越えると本刺激材を使用したセメン
ト硬化体が膨張性を呈し、充分な強度発現性や炭酸化抑
制効果が得られない場合がある。
【0021】本発明では、本刺激材と硫酸塩を併用する
ことにより、本発明の効果をより顕著にすることが可能
である。本発明で使用する硫酸塩とは特に限定されるも
のではなく、例えば、無水セッコウ、半水セッコウ、及
び二水セッコウ等のセッコウ類、硫酸ナトリウムや硫酸
カリウム等のアルカリ金属硫酸塩、硫酸アルミニウム、
硫酸マグネシウム、並びに、ミョウバン類等が挙げら
れ、本発明の効果が顕著であることから、また、経済性
の面から、セッコウ類の使用が好ましく、特に無水セッ
コウの使用がより好ましい。硫酸塩の粒度は、通常、ブ
レーン値3,000cm2/g以上が好ましく、ブレーン値5,000c
m2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では充分な強
度発現性が得られない場合がある。硫酸塩の配合量は、
スラグ粉、セメントクリンカー、本刺激材、及び硫酸塩
からなる混合セメント組成物100重量部中、1〜10重量
部が好ましく、2〜7重量部がより好ましい。1重量部
未満では使用する効果が充分でなく、10重量部を越える
と長期耐久性が悪くなる場合がある。
【0022】本発明の混合セメント組成物を製造する際
に使用する混合装置としては、既存のいかなる撹拌装置
も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサー、オムニミキ
サー、V型ミキサー、ヘンシェルミキサー、及びナウタ
ーミキサー等が使用可能である。また、混合は、それぞ
れの材料を施工時に混合してもよいし、あらかじめ一部
を、又は全部を混合しておいても差し支えない。
【0023】本発明で使用する水の使用量は特に限定さ
れるものではなく、通常使用される量、例えば、水/混
合セメント組成物比で25〜100重量%程度の範囲が好ま
しく、30〜60重量%程度がより好ましく、40〜50重量%
程度が最も好ましい。25重量%程度未満では作業性が低
下する場合があり、100重量%程度超では充分な強度発
現性や炭酸化抑制効果が得られない場合がある。
【0024】また、セメント混練物の養生方法も特に限
定されるものではなく、一般に行われる常温・常圧養
生、蒸気養生、高温・高圧蒸気養生、及び加圧養生等の
いずれの養生方法も適用可能である。
【0025】本発明では、本発明の混合セメント組成物
の他に、必要に応じ、砂や砂利などの骨材、凝結調整
剤、減水剤、高性能減水剤、AE剤、AE減水剤、高性
能AE減水剤、増粘剤、セメント急硬材、防錆剤、防凍
剤、高分子エマルジョン、ベントナイトやモンモリロナ
イトなどの粘土鉱物、ゼオライト、ハイドロタルサイ
ト、及びハイドロカルマイト等のイオン交換体、無機リ
ン酸塩、ホウ酸、水酸化カルシウム等のアルカリ性物
質、並びに、炭酸カルシウム等の無機粉末等のうちの一
種又は二種以上を本発明の目的を実質的に阻害しない範
囲で併用することが可能である。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。
【0027】実施例1 熱処理生成物中のCaO/Al2O3/CaSO4モル比が10/1/
2.5となるようにCaO原料、Al2O3原料、及びCaSO4原料を
配合し、ロータリーキルンを用い、最高焼成温度が1,40
0℃の条件で熱処理して得られたクリンカーを粉砕し、
ブレーン値4,000cm2/g、平均粒径15μm以下に調整して
本刺激材ハを得た。本刺激材ハを粉末X線回折法で同定
し、本刺激材ハが遊離石灰、アウイン、及び無水セッコ
ウを有効成分とする鉱物群から構成されていることを確
認した。また、本刺激材ハの組成は、JIS R 5202に従っ
て、CaO、Al2O3、及びSO3量を分析し、さらに、そのSO3
量をCaSO4に換算して求めた。表1に示すように粒度を
調整したスラグ粉60重量部、セメントクリンカー37重量
部、及び本刺激材ハ3重量部よりなる混合セメント組成
物を使用し、混合セメント組成物の単位量が400kg/m3
水/混合セメント組成物比45重量%、細骨材率45重量%
としたコンクリートを調製し、圧縮強度の測定と促進中
性化試験を実施した。結果を表1に併記する。
【0028】<使用材料> CaO原料 :電気化学工業社青海鉱山産石灰石粉末 Al2O3原料 :アルミ残灰、日本海水化工社製 CaSO4原料 :天然無水セッコウ セメントクリンカー:普通ポルトランドセメントクリン
カー スラグ粉 :高炉スラグ、新日鉄化学社製 細骨材 :新潟県姫川産、比重2.63 粗骨材 :新潟県姫川産、比重2.67、Gmax =20mm 水 :水道水
【0029】<測定方法> 圧縮強度 :10φ×20cmの供試体を作製し、JIS A 1108
に準じて測定。 促進中性化試験:10φ×20cmの供試体を作製し、7日間
20℃の水中養生後、30℃、湿度60%、炭酸ガス濃度7%
の環境試験室内で3ヵ月養生し、供試体内部への中性化
深さを供試体断面にフェノールフタレインを塗布して測
定。
【0030】
【表1】
【0031】実施例2 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、本刺激材の
種類を表2に示すように変化したこと以外は実施例1と
同様に行った。また、比較のために、生石灰、アウイ
ン、及び無水セッコウを別々に焼成し、CaO/Al2O3/Ca
SO4モル比が10/1/2.5となるように混合した混合物に
ついて同様に行った。結果を表2に併記する。
【0032】<使用材料> 本刺激材イ:CaO/Al2O3/CaSO4モル比 7.5 /1 /2.5 本刺激材ロ:CaO/Al2O3/CaSO4モル比 8 /1 /2.5 本刺激材ハ:CaO/Al2O3/CaSO4モル比 10 /1 /2.5 本刺激材ニ:CaO/Al2O3/CaSO4モル比 12 /1 /2.5 本刺激材ホ:CaO/Al2O3/CaSO4モル比 18 /1 /2.5 本刺激材ヘ:CaO/Al2O3/CaSO4モル比 10 /1 /1.6 本刺激材ト:CaO/Al2O3/CaSO4モル比 10 /1 /2 本刺激材チ:CaO/Al2O3/CaSO4モル比 10 /1 /3 本刺激材リ:CaO/Al2O3/CaSO4モル比 10 /1 /4 生石灰 :試薬1級炭酸カルシウムを1,000℃で焼成
し、ブレーン値4,000cm2/gに粉砕したもの。 アウイン :試薬1級炭酸カルシウム、酸化アルミニウ
ム、及び二水セッコウをモル比3:3:1の割合で混合
して、1,350℃で焼成し、ブレーン値4,000cm2/gに粉砕
したもの。 無水セッコウ:試薬1級二水セッコウを1,000℃で焼成
し、ブレーン値4,000cm2/gに粉砕したもの。
【0033】
【表2】
【0034】実施例3 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、混合セメン
ト組成物100重量部中のスラグ粉の配合量を変化したこ
と以外はすべて実施例1と同様に行った。結果を表3に
示す。
【0035】
【表3】
【0036】実施例4 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、本刺激材ハ
の配合量を表4に示すように変化したこと以外は実施例
1と同様に行った。ただし、本刺激材ハの配合量を変化
した場合には、スラグ粉の配合量は一定とし、セメント
クリンカーの配合量を増減した。結果を表4に併記す
る。
【0037】
【表4】
【0038】実施例5 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、本刺激材ハ
の粒度を表5に示すように変化したこと以外は実施例1
と同様に行った。結果を表5に併記する。
【0039】
【表5】
【0040】実施例6 スラグ粉60重量部、セメントクリンカー32重量部、本刺
激材ハ3重量部、及び硫酸塩5重量部とした混合セメン
ト組成物を使用したこと以外は実施例1と同様に行っ
た。結果を表6に示す。
【0041】<使用材料> 硫酸塩 :天然無水セッコウ、ブレーン値5,550cm2/g
【0042】
【表6】
【0043】実施例7 硫酸塩の配合量を表7に示すように変化したこと以外は
実施例6と同様に行った。ただし、硫酸塩の配合量を変
化した場合は、スラグ粉と本刺激材ハの配合量を一定と
し、セメントクリンカーの配合量を増減した。結果を表
7に併記する。
【0044】
【表7】
【0045】実施例8 熱処理生成物100重量部中のCaSO4量が30重量部となるよ
うにCaO原料とCaSO4原料を配合し、ロ−タリ−キルンを
用い、最高焼成温度が1,200℃の条件で熱処理して得ら
れたクリンカ−を粉砕し、ブレーン値4,000cm2/g、平均
粒径15μm以下に調整して本刺激材ヲを得たこと以外は
実施例1と同様に行った。結果を表8に示す。なお、本
刺激材ヲを粉末X線回折法で同定し、本刺激材ヲが遊離
石灰と無水セッコウを有効成分とする鉱物群から構成さ
れていることを確認した。また、本刺激材ヲの組成は、
JIS R 5202に従って、CaOとSO3量を分析し、さらに、そ
のSO3量をCaSO4に換算して求めた。
【0046】
【表8】
【0047】実施例9 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、本刺激材の
種類を表9に示すように変化したこと以外は実施例8と
同様に行った。比較のため生石灰と無水セッコウを別々
に焼成し、CaO/CaSO4重量比が70/30となるように混合
した混合物について同様に行った。結果を表9に併記す
る。
【0048】<使用材料> 本刺激材ヌ:熱処理生成物100重量部中CaSO410重量部 本刺激材ル:熱処理生成物100重量部中CaSO420重量部 本刺激材ヲ:熱処理生成物100重量部中CaSO430重量部 本刺激材ワ:熱処理生成物100重量部中CaSO440重量部 本刺激材カ:熱処理生成物100重量部中CaSO450重量部
【0049】
【表9】
【0050】実施例10 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、混合セメン
ト組成物100重量部中のスラグ粉の配合量を変化したこ
と以外は実施例8と同様に行った。結果を表10に示
す。
【0051】
【表10】
【0052】実施例11 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、本刺激材ヲ
の配合量を表11に示すように変化したこと以外は実施
例8と同様に行った。ただし、本刺激材ヲの配合量を変
化した場合には、スラグ粉の配合量は一定とし、セメン
トクリンカーの配合量を増減した。結果を表11に併記
する。
【0053】
【表11】
【0054】実施例12 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、本刺激材ヲ
粒度を表12に示すように変化したこと以外は実施例8
と同様に行った。結果を表12に併記する。
【0055】
【表12】
【0056】実施例13 スラグ粉60重量部、セメントクリンカー32重量部、本刺
激材ヲ3重量部、及び硫酸塩5重量部とした混合セメン
ト組成物を使用したこと以外は実施例8と同様に行っ
た。結果を表13に示す。
【0057】
【表13】
【0058】実施例14 硫酸塩の配合量を表14に示すように変化したこと以外
は実施例13と同様に行った。ただし、硫酸塩の配合量
を変化した場合は、スラグ粉と本刺激材ヲの配合量を一
定とし、セメントクリンカー配合量を増減した。結果を
表14に併記する。
【0059】
【表14】
【0060】実施例15 熱処理生成物100重量部中のフッ化カルシウム量が20重
量部となるようにCaO原料とCaF2原料を配合し、ロ−タ
リ−キルンを用い、最高焼成温度が1,200℃の条件で熱
処理して得られたクリンカ−を粉砕し、ブレーン値4,00
0cm2/g、平均粒径15μm以下に調整して本刺激材レを得
たこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表15に
示す。本刺激材レを粉末X線回折法で同定し、本刺激材
レが遊離石灰とフッ化カルシウムを有効成分とする鉱物
群から構成されていることを確認した。また、本刺激材
レの組成は、JIS R 5202に従って、CaOとF2量を分析
し、さらに、そのF2量をCaF2に換算して求めた。
【0061】<使用材料> CaF2原料 :天然ホタル石
【0062】
【表15】
【0063】実施例16 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、本刺激材の
種類を表16に示すように変化したこと以外は実施例1
5と同様に行った。比較のために、生石灰とフッ化カル
シウムを別々に焼成し、CaO/CaF2の重量比が80/20に
なるように混合した混合物について同様に行った。結果
を表16に併記する。
【0064】<使用材料> 本刺激材ヨ:熱処理生成物100重量部中CaF25重量部 本刺激材タ:熱処理生成物100重量部中CaF210重量部 本刺激材レ:熱処理生成物100重量部中CaF220重量部 本刺激材ソ:熱処理生成物100重量部中CaF230重量部 本刺激材ツ:熱処理生成物100重量部中CaF240重量部 本刺激材ネ:熱処理生成物100重量部中CaF250重量部 フッ化カルシウム:試薬1級CaF2を1,000℃で焼成し、
ブレーン値4,000cm2/gに粉砕したもの。
【0065】
【表16】
【0066】実施例17 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、混合セメン
ト組成物100重量部中のスラグ粉の配合量を変化したこ
と以外は実施例15と同様に行った。結果を表17に示
す。
【0067】
【表17】
【0068】実施例18 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、本刺激材レ
の配合量を表18に示すように変化したこと以外は実施
例15と同様に行った。ただし、本刺激材レの配合量を
変化させた場合には、スラグ粉の配合量は一定とし、セ
メントクリンカーの配合量を増減した。結果を表18に
併記する。
【0069】
【表18】
【0070】実施例19 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、本刺激材レ
の粒度を表19に示すように変化したこと以外は実施例
15と同様に行った。結果を表19に併記する。
【0071】
【表19】
【0072】実施例20 スラグ粉60重量部、セメントクリンカー32重量部、本刺
激材レ3重量部、及び硫酸塩5重量部とした混合セメン
ト組成物を使用したこと以外は実施例15と同様に行っ
た。結果を表20に示す。
【0073】
【表20】
【0074】実施例21 硫酸塩の配合量を表21に示すように変化したこと以外
は実施例20と同様に行った。ただし、硫酸塩の配合量
を変化した場合は、スラグ粉と本刺激材レの配合量を一
定とし、セメントクリンカー配合量を増減した。結果を
表21に併記する。
【0075】
【表21】
【0076】実施例22 ブレーン値8,000cm2/gのスラグ粉を使用し、表22に示
す本刺激材を使用したこと以外は実施例1と同様に行っ
た。結果を表22に併記する。
【0077】<使用材料> 本刺激材ナ:本刺激材ハと本刺激材ヲの等量混合物 本刺激材ラ:本刺激材ハと本刺激材レの等量混合物 本刺激材ム:本刺激材ヲと本刺激材レの等量混合物 本刺激材ウ:本刺激材ハ、本刺激材ヲ、及び本刺激材レ
の等量混合物
【0078】
【表22】
【0079】
【発明の効果】本発明の混合セメント組成物は、高炉ス
ラグの含有率を70重量%超とすることができるため、セ
メントクリンカーの使用量が低減でき、しかも、強度発
現性や耐久性に優れた混合セメント組成物とすることが
できる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒度が、ブレーン値6,000cm2/g以上、又
    は、平均粒径5μm以下である高炉スラグ微粉末、セメ
    ントクリンカー、及び混合セメント刺激材を含有してな
    る混合セメント組成物。
  2. 【請求項2】 混合セメント刺激材が、CaO原料、Al2O3
    原料、及びCaSO4原料を含有する配合物を熱処理して生
    成するもので、遊離石灰、アウイン、及び無水セッコウ
    を有効成分とする鉱物群からなることを特徴とする請求
    項1記載の混合セメント組成物。
  3. 【請求項3】 混合セメント刺激材が、CaO原料とCaSO4
    原料を含有する配合物を熱処理して生成するもので、遊
    離石灰と無水セッコウを有効成分とする鉱物群からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の混合セメント組成物。
  4. 【請求項4】 混合セメント刺激材が、CaO原料とCaF2
    原料を含有する配合物を熱処理して生成するもので、遊
    離石灰とフッ化カルシウムを有効成分とする鉱物群から
    なることを特徴とする請求項1記載の混合セメント組成
    物。
  5. 【請求項5】 混合セメント刺激材が、CaO原料、Al2O3
    原料、及びCaSO4原料を含有する配合物を熱処理して生
    成するもので、遊離石灰、アウイン、及び無水セッコウ
    を有効成分とする鉱物群からなるもの、CaO原料とCaSO4
    原料を含有する配合物を熱処理して生成するもので、遊
    離石灰と無水セッコウを有効成分とする鉱物群からなる
    もの、並びに、CaO原料とCaF2原料を含有する配合物を
    熱処理して生成するもので、遊離石灰とフッ化カルシウ
    ムを有効成分とする鉱物群からなるものうちの二種以上
    であることを特徴とする請求項1記載の混合セメント組
    成物。
  6. 【請求項6】 CaO原料、Al2O3原料、及びCaSO4原料を
    含有する配合物を熱処理して生成する熱処理生成物中、
    CaO/Al2O3モル比が7.5〜18で、CaSO4/Al2O 3モル比が
    1.6〜4であることを特徴とする請求項2又は5記載の
    混合セメント組成物。
  7. 【請求項7】 CaO原料とCaSO4原料を含有する配合物を
    熱処理して生成する熱処理生成物100重量部中、無水セ
    ッコウが10〜50重量部であることを特徴とする請求項3
    又は5記載の混合セメント組成物。
  8. 【請求項8】 CaO原料とCaF2原料を含有する配合物を
    熱処理して生成する熱処理生成物100重量部中、フッ化
    カルシウムが5〜40重量部であることを特徴とする請求
    項4又は5記載の混合セメント組成物。
  9. 【請求項9】 さらに硫酸塩を含有してなる請求項1〜
    8の内の1項記載の混合セメント組成物。
  10. 【請求項10】混合セメント組成物100重量部中の高炉
    スラグ微粉末含有量が70重量部を越えることを特徴とす
    る請求項1〜9の内の1項記載の混合セメント組成物。
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