JPH09277044A - パルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法及び溶接装置 - Google Patents

パルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法及び溶接装置

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JPH09277044A
JPH09277044A JP11426896A JP11426896A JPH09277044A JP H09277044 A JPH09277044 A JP H09277044A JP 11426896 A JP11426896 A JP 11426896A JP 11426896 A JP11426896 A JP 11426896A JP H09277044 A JPH09277044 A JP H09277044A
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welding
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voltage
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JP11426896A
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Toshiro Uesono
敏郎 上園
Toshiaki Nakamata
利昭 中俣
Kougun Dou
紅軍 仝
Tsuneo Takeda
恒雄 武田
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Daihen Corp
Original Assignee
Daihen Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 チップ・被溶接物間距離が変動してアーク長
が変化したときに、アーク長を復帰させ、アークの安定
性及び溶接結果の均一性の向上をはかるパルスアーク溶
接のアーク長復帰制御方法及び溶接装置を提供する。 【解決手段】 パルスアーク溶接のアーク長復帰制御方
法は、溶接電圧の瞬時値を検出して平滑しないで、パル
ス電流の1周期又は短周期ごとに平均電圧値を計算し、
設定された溶接電圧の設定値と比較し、その比較値によ
って、次の周期のベース期間を制御して、アーク長が変
動したときハンチングを生じないで、高速にアーク長を
復帰させ、さらに平均溶接電流値Iの変化に対応させ
て、電源負荷端子特性PTを、アーク・電源特性傾斜角
度差θを設けて、アーク負荷特性ATの傾き変化に追従
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接作業者の手振
れによるチップ、母材間距離の変化その他外乱によって
アーク長が瞬間的に変化したときに、アークの安定の向
上をはかるとともに、突き出し長さExの変動によるア
ーク長Lの変化がした後でアーク長を復帰させるパルス
アーク溶接のアーク長制御方法及び溶接装置に関する発
明である。
【0002】
【従来の技術】図1は、従来技術の溶接装置が出力する
溶接電流の制御方式を説明する図である。ワイヤは定速
度送給されているので、アーク長を制御するためには、
溶接電流の平均値を制御してワイヤ溶融速度を増減させ
ている。パルスアーク溶接の溶接電流は、ピーク電流値
Ipの電流とベース電流値Ibの電流とを、それぞれピ
ーク期間Tpとベース期間Tbとの周期で、交互に繰り
返し通電する。
【0004】図1の溶接装置は、パルス周波数fを増減
させることによって、溶接電流の平均値を変化させてワ
イヤ溶融速度を増減させている。同図(A)のパルス周
波数f=f1 は同図(B)のパルス周波数f=f2 より
も大であるので、溶接電流の平均値Ia=Ia1が同図
(B)の溶接電流の平均値Ia=Ia2よりも小になり、
ワイヤ溶融速度が大きい。なお、同図(A)及び同図
(B)のパルスの周期Tは、それぞれT1 =1/f1 及
びT2 =1/f2 である。
【0006】従来から、アークを安定にするために、パ
ルス周波数f、パルス幅(ピーク期間)Tp、ピーク電
流値Ip又はベース電流値Ibを制御することによって
アーク長制御が行われている。
【0008】以下、ピーク電流値Ipの設定値及びベー
ス電流値Ibの設定値を一定にした溶接電源を使用した
パルスアーク溶接において、パルス周波数fを制御して
溶接電流を変化させる従来技術のアーク長制御方法及び
溶接装置について説明する。
【0010】図2は、ワイヤ先端のワイヤ突き出し長さ
(以下、突き出し長さという)Ex及びアーク長Lを説
明する図である。同図において、ワイヤは、送給ロール
の回転によって送給されてノズルの中にあるチップを通
過し、チップから突き出て、ワイヤの先端と被溶接物と
の間にアークが発生する。ワイヤの先端は、突き出し長
さExを流れる溶接電流によるジュール熱とアーク熱と
によって、溶融して被溶接物の溶融部に移行する。
【0011】アークを発生するときに、アークの先端で
陽極電圧降下Vmを生じるので、通常、アーク電圧とい
われているチップ・被溶接物間電圧は、正確には、ワイ
ヤ突き出し長さExによる電圧降下と陽極電圧降下Vm
とアークによる電圧降下(狭義のアーク電圧)とアーク
電流が被溶接物の電流になるときの陰極電圧降下との合
計の電圧降下である。チップと被溶接物とに供給される
電圧の極性が逆のときは陽極電圧降下と陰極電圧降下と
は逆になる。
【0012】ワイヤ溶融速度Vw は、ジュール熱にる溶
融とアーク熱による溶融とによって定まり、ジュール熱
が溶融速度に寄与する割合は、β×Ex×(Iの2乗)
であり、平均溶接電流値Iの2乗に比例し、また、アー
ク熱が溶融速度に寄与する割合は、α×Iであり、平均
溶接電流値Iに比例して変化する。このα及びβは定数
である。
【0013】チップ・被溶接物間距離が変動(増加又は
減少)すると、突き出し長さExが変化(増加又は減
少)し、チップ・被溶接物間電圧が変化(増加又は減
少)して、平均溶接電流値Iも変化(減少又は増加)す
る。平均溶接電流値Iが変化(減少又は増加)すると、
ジュール熱が溶融速度に寄与する割合は平均溶接電流値
Iの2乗に比例し、アーク熱が溶融速度に寄与する割合
は平均溶接電流値Iに比例して変化するために、ワイヤ
溶融速度Vw も変化する。
【0014】平均溶接電流値Iと突き出し長さExとの
関係を、ワイヤ溶融速度Vw の関係式Vw =α×I+β
×Ex×(Iの2乗)によって検討する。アーク長Lを
一定値に維持して、溶接結果を均一にするためには、突
き出し長さExが変化しても、ワイヤ溶融速度Vw を一
定値に維持しなければならない。ワイヤ溶融速度Vw を
一定値に維持するためには、突き出し長さExの変化に
対する平均溶接電流値Iの変化率(dVw /dI)が
零、すなわち、dVw /dI=0でなければならない。
【0016】上記の関係式を微分すると、 α×dI+β×dEx×(Iの2乗)+2β×ExI×
dI=0 dI/dEx=−β×(Iの2乗)/(α+2β×Ex
×I)となる。
【0018】上式から分かるように、突き出し長さEx
が増加(減少)したとき、平均溶接電流値Iは減少(増
加)する。また、突き出し長さExの変化量が同じであ
っても、平均溶接電流値Iが大きいほど電流値の増減も
大きくなる。また、平均溶接電流値Iが大きいほど、突
き出し長さExが増加(減少)したときのワイヤ溶融速
度Vw の変化率(dVw /dI)を小さくするために、
平均溶接電流値Iは大きく減少(増加)する。以上の関
係を、実際に溶接したデータによって説明する。
【0020】図3は、平均溶接電流値Iとアーク熱ワイ
ヤ溶融特性MA及びジュール熱ワイヤ溶融特性MRのワ
イヤ溶融熱量との関係を示す図である。同図(A)は、
平均溶接電流値Iが小のときの上記の関係を示す図であ
り、同図(B)は、平均溶接電流値Iが中のときの上記
の関係を示す図であり、同図(C)は、平均溶接電流値
Iが大のときの上記の関係を示す図である。
【0022】同図(A)において、平均溶接電流値Iが
150[A]から100[A]に減少したとき、アーク
熱ワイヤ溶融特性MAのアーク熱ワイヤ溶融変化量は、
ΔMAだけ減少する。このとき、ジュール熱ワイヤ溶融
特性は、突き出し長さExが短いときのジュール熱ワイ
ヤ溶融特性MRSから長いときのジュール熱ワイヤ溶融
特性MRLに変化するので、ジュール熱ワイヤ溶融変化
量は、ΔMRだけ増加する。このアーク熱ワイヤ溶融変
化量ΔMAは、ジュール熱ワイヤ溶融変化量ΔMRより
も大であるので、ワイヤ溶融変化量は、ΔM=−ΔMA
+ΔMR<0となり、ワイヤ溶融速度Vw は減少して、
最終的に、アーク長が短くなる。
【0024】同図(B)において、平均溶接電流値Iが
220[A]から180[A]に減少したとき、アーク
熱ワイヤ溶融特性MAのアーク熱ワイヤ溶融変化量は、
ΔMAだけ減少する。このとき、ジュール熱ワイヤ溶融
特性は、突き出し長さExが短いときのジュール熱ワイ
ヤ溶融特性MRSから長いときのジュール熱ワイヤ溶融
特性MRLに変化するので、ジュール熱ワイヤ溶融変化
量は、ΔMRだけ増加する。このアーク熱ワイヤ溶融変
化量ΔMAは、ジュール熱ワイヤ溶融変化量ΔMRSと
略同じであるので、ワイヤ溶融変化量は、ΔM=−ΔM
A+ΔMR=0となり、ワイヤ溶融速度Vw は変化しな
いので、アーク長も変化しない。
【0026】同図(C)において、平均溶接電流値Iが
250[A]から200[A]に減少したとき、アーク
熱ワイヤ溶融特性MAのアーク熱ワイヤ溶融変化量は、
ΔMAだけ減少する。このとき、ジュール熱ワイヤ溶融
特性は、突き出し長さExが短いときのジュール熱ワイ
ヤ溶融特性MRSから長いときのジュール熱ワイヤ溶融
特性MRLに変化するので、ジュール熱ワイヤ溶融変化
量は、ΔMRだけ増加する。このアーク熱ワイヤ溶融変
化量ΔMAは、ジュール熱ワイヤ溶融変化量ΔMRより
も小であるので、ワイヤ溶融変化量は、ΔM=−ΔMA
+ΔMR>0となり、ワイヤ溶融速度Vw は増加して、
最終的に、アーク長が長くなる。
【0030】図4は、平均溶接電流値Iに対するアーク
負荷電圧値Va の特性を表すアーク負荷特性AT1乃至
AT3と平均溶接電流値Iに対する負荷端子電圧値Va
の特性を表す電源負荷端子特性PTD及びPTUとの関
係を示す図である。
【0032】同図において、最初の時点で、アーク長が
アーク負荷特性AT1上のL1であって平均溶接電流値
がI4 であるとき、動作点はAである。このとき、電源
負荷端子特性がPTUであるときは、チップ、母材間距
離が変動して増加すると、アーク負荷特性がAT2の方
向に平行移動し、動作点Aは電源負荷端子特性PTU上
を平均溶接電流値Iの減少方向に移動する。アーク負荷
特性がAT2に平行移動したとき、平均溶接電流値はI
3 まで減少し、動作点はBとなる。このように、電源負
荷端子特性がPTUであるときは、突き出し長さExは
Ex2であり、アーク長はL2となる。
【0033】しかし、電源負荷端子特性がPTDである
ときは、チップ、母材間距離が変動して増加すると、ア
ーク負荷特性がAT2を超えてさらにAT3の方向に平
行移動し、動作点Aは電源負荷端子特性上を平均溶接電
流値Iの減少方向に移動する。アーク負荷特性がAT3
に平行移動したとき、平均溶接電流値はI3 まで減少
し、動作点はアーク負荷特性AT3と電源負荷端子特性
PTDとの交点のCとなる。このように、電源負荷端子
特性がPTDであるときは、突き出し長さExはEx3で
あり、アーク長はL3となる。この突き出し長さExの
変化は、電源負荷端子特性PTの傾きよりも大きくなる
ほど、大になる。
【0034】電源負荷端子特性PTがアーク負荷特性A
Tの傾きに近いほどアーク長Lの変化は小さい。ただ
し、電源負荷端子特性PTがアーク負荷特性ATの傾き
に近づきすぎると、例えば、電源負荷端子特性PTUが
アーク負荷特性AT1の傾きに近づきすぎると、突き出
し長さExがわずかに変動してアーク負荷特性AT1が
変化しても、電源負荷端子特性PTUの平均溶接電流値
Iが大きく変化するために、アークが不安定になる。
【0036】したがって、電源負荷端子特性PTの勾配
とアーク負荷特性ATの勾配とは、アークを安定に維持
するために最小の傾斜角度差θ(以下、アーク・電源特
性傾斜角度差θという。)が必要なので、電源負荷端子
特性PTの勾配は、アーク負荷特性ATの勾配よりも若
干小さく設定する必要がある。電源負荷端子特性PT
は、平均溶接電流値がI1 のように小さいときは、アー
ク負荷特性ATは、負特性ATNになる。平均溶接電流
値Iが増加するにしたがって、突き出し長さExにおけ
る電圧降下及びアーク電圧降下が大きくなるので、負荷
特性も反時計方向に若干回った勾配ATPになる。した
がって、平均溶接電流値が、電流値I4 のように電流値
I2 よりも大きくなると、同じ突き出し長さExの変化
であっても、平均溶接電流値の変化(I4 −I3 )が大
きくなるので、アーク長Lの変化も大きくなる。
【0040】図5は、アーク長制御を考慮しないで、ピ
ーク電流値Ip、ベース電流値Ib、ピーク期間Tp及
びベース期間Tbのパルス電流を周期的に繰り返して通
電して溶接したときに、溶接電圧V、溶接電流I及び平
均アーク長Lの関係を示す図である。以下、図5を参照
して、段差を通過させたとき、従来技術のアーク長制御
方法について説明する。ピーク電流値及びベース電流値
の両方ともに、定電流特性の電流を通電しているので、
段差を通過した前後で、溶接電流値は変化しない。段差
を通過した後も、定電圧特性の溶接電源のように電源の
特性から直接に出力電流値が変化しないために、ワイヤ
の溶融速度も変化しない。したがって、アーク長は、段
差の変化前のアーク長L1から段差の変化後のアーク長
L2まで、段差の高さだけ変化する。このとき、溶接電
圧の平均値Va(以下、平均溶接電圧値という)は、段
差変化前の平均溶接電圧値Va1から段差変化後の平均溶
接電圧値Va2に上昇するので、平均溶接電圧値Vaは、
アーク長の変化を示すパラメータとして使用されてい
る。
【0042】そこで、従来技術は、後述する図6に示す
ように、溶接電圧の瞬時値を検出して平滑した検出電圧
平滑信号Vdaと、アーク長に対応する溶接電圧値が設定
された溶接電圧設定信号Vs とを比較して、その差の設
定・検出電圧比較信号Cm2によって、パルス数fを制御
してワイヤ溶融速度を変化させ、設定した溶接電圧値と
検出した溶接電圧値とが等しくなるように制御してい
る。
【0044】図6は、パルス電流を通電して、パルス周
波数を制御することによってアーク長制御をする従来の
パルスアーク溶接装置のブロック図である。以下、図6
を参照して、従来の溶接装置のアーク長制御方法につい
て説明する。同図において、パルス溶接電源PSは、商
用電源ACを入力して溶接用電力をワイヤと被溶接物と
に出力する。ワイヤと被溶接物とに供給される負荷端子
電圧値(アーク負荷電圧値)Va は、パルス溶接電源P
Sの出力端子の電源負荷端子電圧値Vp から電源主回路
インピーダンスZのインピーダンス降下Vzだけ低下す
る。ワイヤ送給速度設定回路Ws は、設定したワイヤ送
給速度のワイヤ送給速度設定信号Ws をワイヤ送給モー
タWMに出力する。
【0046】溶接電圧瞬時値検出回路VDは、溶接電圧
の瞬時値を検出して溶接電圧瞬時値検出信号Vd を出力
する。検出電圧平滑回路VDAは、溶接電圧の瞬時値を
平滑して検出電圧平滑信号Vdaを出力する。溶接電圧設
定回路VSは、溶接電圧設定信号Vs を出力する。設定
・検出電圧比較回路CM2は、検出電圧平滑信号Vdaと
溶接電圧設定信号Vs とを入力として、設定・検出電圧
比較信号Cm2を出力する。
【0048】電圧・周波数変換回路VFは、設定・検出
電圧比較信号Cm2を入力して、パルス周波数fに対応し
た周波数制御信号Vf を出力する。パルス幅設定回路T
Pは、設定したパルス幅のパルス幅設定信号Tp を出力
する。パルス周波数・幅制御回路DFは、周波数制御信
号Vf 及びパルス幅設定信号Tp を入力して、周波数制
御信号Vf のパルス周波数に同期して、設定したパルス
幅のパルス周波数・幅制御信号Df を出力する。
【0050】ベース電流値設定回路IBSは、ベース電
流値設定信号Ibsを出力し、ピーク電流値設定回路IP
Sは、ピーク電流値設定信号Ipsを出力する。ピーク・
ベース電流値切換回路SW1は、ピーク電流値設定信号
Ipsとベース電流値設定信号Ibsとを切換えて、ピーク
・ベース電流値切換信号Sw1を出力する。このピーク・
ベース電流値切換信号Sw1は、後述する図7の経過時間
tに示すように、パルス周波数・幅制御信号Df の周波
数に同期して、ピーク期間Tpのときはパルス電流値設
定信号Ipsを出力し、ベース期間Tb のときはベース電
流値設定信号Ibsを出力する。
【0052】設定・検出電流比較回路CM1は、溶接電
流検出信号Id とピーク・ベース電流値切換信号Sw1と
を入力して、その差の溶接電流制御信号Cm1を出力し
て、例えばPWM制御のインバータ回路を含むパルス溶
接電源PSに出力して溶接電流値を制御する。
【0054】溶接条件は、次の回路で設定する。溶接電
圧設定回路VSは出力(アーク)電圧を設定し、パルス
幅設定回路TPはパルス幅を設定し、ピーク電流値設定
回路IPSはピーク電流値を設定し、ベース電流値設定
回路IBSはベース電流値を設定する。
【0060】図7は、図6に示す従来の溶接装置の各動
作信号と経過時間tとの関係を示す図である。同図
(A)は溶接電圧瞬時値検出信号Vd を示し、同図
(B)は検出電圧平滑信号Vda及び溶接電圧設定信号V
s を示し、同図(C)は周波数制御信号Vf を示し、同
図(D)はパルス周波数・幅制御信号Df を示す。同図
(E)は、パルス周波数・幅制御信号Df を入力したピ
ーク・ベース電流値切換回路SW1から出力されるピー
ク・ベース電流値切換信号Sw1を示す。同図(F)は、
溶接電流検出信号Id を示す。
【0070】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来のアーク長
制御方法は、以下の第1及び第2の課題がある。第1の
課題は、次のとおりである。従来のアナログ信号のフィ
ードバック制御回路を使用した溶接装置においては、ア
ーク長の変動に対してアーク長制御の応答性を向上させ
るために、溶接電圧瞬時値検出信号Vd を直接又は平滑
を小さくして設定・検出電圧比較回路CM2に入力てフ
ィードバック制御するとハンチングが生じる。そこで、
溶接電圧瞬時値検出信号Vd をアナログの平滑回路によ
ってハンチングをしない程度に平滑してフィードバック
いる。
【0072】図8は、溶接中の経過時間tの時刻t1
で、アークが段差のある位置を通過したとき、アーク長
に対応した平均溶接電圧値Va、平均溶接電流値Ia及
び平均アーク長Laの変化を示す図である。同図(A)
は、溶接中の経過時間tの時刻t1で、段差のある位置
を通過したとき、パルス電流波形に対応した溶接電圧の
瞬時値及びアーク長に対応した平均溶接電圧値Vaの変
化の応答性を示す図であり、同図(B)は、制御された
パルス周波数f(ピーク電流Ipの通電周期T)の時間
的変化を示す図であり、同図(C)は、平均アーク長L
aの変化の応答性を示す図である。
【0074】溶接中の経過時間tの時刻t1で、段差の
ある位置を通過したとき、同図(C)に示すように、ア
ーク長が段差変化前のアーク長L1から段差変化後のア
ーク長L2に変化するので、前述した図6の溶接装置の
動作によって、周波数制御信号Vf がパルス周波数fを
減少させるので、同図(B)に示すように、パルス電流
のピーク電流Ipの通電周期T=1/fが長くなって、
平均溶接電流値Iaが徐々に低下して、同図(C)に示
すように、平均アーク長Laが徐々に短くなって、時刻
t5で、段差変化前のアーク長L1に復帰する。
【0076】このように、従来のアナログ信号のフィー
ドバック制御回路を使用した溶接装置では、溶接電圧瞬
時値検出信号Vd をアナログの平滑回路によってハンチ
ングをしない程度に平滑しているために、段差のある位
置を通過した直後のアーク長L2が、段差変化前のアー
ク長L1に復帰するまでの時間が長くなり応答性が優れ
ていない。
【0080】図9は、従来のアーク長制御の溶接装置に
よって溶接をしてアークが段差を通過したときの溶接ビ
ード外観の変化状態を示す図である。同図に示すよう
に、段差通過後にアーク長が長くなって、被溶接物がア
ーク熱を受ける範囲が広くなってビード幅Wが広がる。
このときに、従来の溶接装置では、アーク長Laを速や
かに復帰させることができないので、広いビード幅の部
分が長くなる。その結果、従来の溶接装置では、溶接ビ
ード幅Wが広がる期間が長くなって溶け込み形状の変化
が大きくなって溶接結果の均一性が低下する。
【0082】上記の従来のアーク長制御方法は、以下の
第2の課題がある。図10は、図6に示す従来の溶接装
置の平均溶接電流値Iとアーク負荷電圧値Va との関係
を示す図である。ワイヤと被溶接物とに供給される負荷
端子電圧値(アーク負荷電圧値)Va は、溶接電源PS
の出力端子の電源負荷端子電圧値Vp よりも、溶接ケー
ブル、被溶接物等の電源主回路インピーダンスZのイン
ピーダンス降下Vzだけ低下する。電源出力端子特性P
Kは、インピーダンス降下Vzだけ低下して電源負荷端
子特性PTとなる。
【0084】平均溶接電流値Iが大きいほどインピーダ
ンス降下Vzが大きくなるので、電源負荷端子特性PT
の負荷端子電圧値Va も低下する。この電源負荷端子特
性PTの傾きは、電源主回路インピーダンスZと平均溶
接電流値との積のインピーダンス降下Vzだけによって
決まり、例えば、前述した図3の(B)の特定の中電流
値においては適切であって突き出し長さExの変動によ
るアーク長Lの変化が小さい。
【0086】しかし、中電流値よりも平均溶接電流値が
大きい場合、この傾きの勾配が適切な電源負荷端子特性
PTの勾配よりも小さくなるために、アーク長Lの変化
は大きくなる。特に、大電流になると、突き出し長さE
xの変動による平均溶接電流値の変化も大きくなるの
で、アーク長Lの変化も大きくなる。また、小電流値に
なるほど、電源負荷端子特性PTの傾きが小さくなっ
て、アーク負荷特性ATに近づき、図4で説明したアー
ク負荷特性ATの勾配が勾配ATPさらに負特性ATN
になるので、アーク・電源特性傾斜角度差θが小さくな
って、アークが不安定になるために溶接できる最小電流
値は大きい。
【0090】図11は、図6に示す従来の溶接装置を使
用して小電流値又は中電流値又は大電流値で溶接中に突
き出し長さExが変化したときに、それぞれアーク長L
の変化を示す図である。同図(A)及び(B)におい
て、電源負荷端子電圧Vpsの電源負荷端子特性(小電流
用)PTSの(a)のように、チップ位置が1から2に
変動したとき、突き出し長さがEx1からEx2に変化し、
アーク長がL1からL2に変化する。従来のアーク長制
御では、小電流のときは、アーク長がL1からL2に増
加する。
【0092】同図(A)及び(B)において、電源負荷
端子電圧Vpmの電源負荷端子特性(中電流用)PTMの
(b)のように、チップ位置が3から4に変動したと
き、突き出し長さがEx3からEx4に変化しても、従来の
アーク長制御であっても、中電流のときは、アーク長L
3とアーク長L4とは略同じで変化しない。同図(A)
及び(B)において、電源負荷端子電圧Vphの電源負荷
端子特性(大電流用)PTHの(c)のように、チップ
位置が5から6に変動したとき、突き出し長さがEx5か
らEx6に変化し、アーク長がL5からL6に変化する。
従来のアーク長制御では、大電流のときは、アーク長が
L5からL6に減少する。
【0094】上述のように、従来技術では、電源負荷端
子特性PTの傾きを制御していないために、電源負荷端
子特性PTの適切な傾きが、特定の平均溶接電流値を中
心とした狭い電流範囲だけに限定されてしまうという問
題がある。例えば、小電流範囲に合わせて電源負荷端子
特性PTの傾きを大きく決めると、溶接電流を増加させ
るにしたがって、突き出し長さExの変動によるアーク
長Lの変化が大きくなってしまう。
【0100】
【課題を解決するための手段】本発明の課題を解決する
ための手段は、次のとおりである。本発明は、溶接作業
者の手振れによるチップ・被溶接物間距離の変化その他
外乱によってチップ・被溶接物間距離が変動してアーク
長が変化したときに、アーク長を復帰させ、アークの安
定性及び溶接結果の均一性の向上をはかるパルスアーク
溶接のアーク長復帰制御方法及び溶接装置である。
【0102】第1の課題を解決するための手段は、次の
とおりである。本発明のパルスアーク溶接のアーク長復
帰制御方法は、溶接電圧の瞬時値を検出して平滑しない
で、パルス電流の1周期又は短周期ごとに平均電圧値を
計算し、設定された溶接電圧の設定値と比較し、その比
較値によって、次の周期のベース期間を制御して、アー
ク長が変動したときハンチングを生じないで、高速にア
ーク長を復帰させるアーク長復帰制御方法及び溶接装置
である。
【0104】第2の課題解決の原理は、突き出し長さE
xが変動したときのアーク長Lの変化は、電源負荷端子
特性PTの傾きと平均溶接電流値Iとに関係する。アー
ク長Lの変化を小さくするための電源負荷端子特性PT
の適切な傾きは、平均溶接電流値Iに関係する。したが
って、本発明は、平均溶接電流値Iの変化に対応させ
て、電源負荷端子特性PTを、アーク・電源特性傾斜角
度差θを設けて、アーク負荷特性ATの傾き変化に追従
させるパルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法及び溶
接装置である。
【0106】本発明のアーク溶接のアーク長復帰制御
は、電源負荷端子特性PTを平均溶接電流値の設定と連
動させ、適正な電源負荷端子特性PTの溶接電流を出力
して、突き出し長さExが変動してもアーク長Lの変化
が小さい元のアーク長に復帰させるアーク長復帰制御方
法及び溶接装置である。
【0108】本発明のアーク溶接のアーク長復帰制御
は、電源負荷端子特性PTをワイヤ送給速度の設定と連
動させ、適正な電源負荷端子特性PTの溶接電流を出力
して、突き出し長さExが変動してもアーク長Lの変化
が小さい元のアーク長に復帰させるアーク長復帰制御方
法及び溶接装置である。
【0120】
【発明の実施の形態】図12は、本発明のパルスアーク
溶接のアーク長復帰制御方法を実施する溶接装置の実施
例のブロック図である。本発明のアーク長復帰制御方法
と従来のアーク長制御方法との相違は、つぎのとおりで
ある。
【0122】前述した従来のアーク長制御方法は、アナ
ログ信号のフィードバック制御回路を使用し、溶接電圧
の瞬時値を検出して平滑した検出電圧平滑信号Vdaと、
アーク長に対応する溶接電圧値が設定された溶接電圧設
定信号Vs とを比較して、その差の設定・検出電圧比較
信号Cm2によってパルス数fを増減させ、平均溶接電流
値Iaを変化させて、アーク長を制御している。
【0124】上記の従来技術に対して、本発明のパルス
アーク溶接のアーク長復帰制御方法は、第1の課題を解
決するためのピーク・ベース電流制御回路IC及び第2
の課題を解決するための特性傾斜制御回路KCの機能を
実行するソフトウェアの制御回路又はハードウエアの制
御回路を備えている。
【0125】第1の課題を解決するためのピーク・ベー
ス電流制御回路ICは、溶接電圧の瞬時値を検出して平
滑しないで、パルス電流の1周期又は短周期ごとに平均
電圧値を計算し、設定された溶接電圧の設定値と比較し
て、その比較値によって、次の周期のベース期間を算出
してベース期間を増減させ、平均溶接電流値Iaを変化
させて、アーク長を制御している。
【0126】第2の課題を解決するための特性傾斜制御
回路KCは、ワイヤ送給速度設定値Ws と基準電源負荷
端子特性PTRを設定する電源基準特性設定値Wt との
差の特性傾斜信号Kt を出力し、特性傾斜信号Kt と検
出電流平滑信号Idaとを入力して、積に比例する特性・
電流乗算信号It を出力し、溶接電圧設定信号Vs と特
性・電流乗算信号It とを入力して溶接電圧制御信号V
t を出力し、溶接電流検出信号Id と溶接電圧制御信号
Vt に対応した信号とを入力して、その差の溶接電流制
御信号Cm1を溶接電源PSに出力することによって、平
均溶接電流値Iの変化に対応させて、電源負荷端子特性
PTを、アーク・電源特性傾斜角度差θを設けて、電源
負荷端子特性PTの傾きの変化に追従させることよっ
て、全溶接電流範囲において、常に適切な電源負荷端子
特性PTを得ることができ、突き出し長さExの変化に
よるアーク長Lの変化を小さくすることができ、また、
小電流溶接におけるアークの安定性を向上させることが
でき、溶接電流の下限値を下げることもできる。
【0131】請求項1のパルスアーク溶接のアーク長制
御方法は、溶接電圧の瞬時値を検出して平滑しないで、
パルス電流の設定した1周期又は短周期ごとに溶接電圧
平均値を算出し、設定された溶接電圧設定値と比較し、
その比較値によって、次の周期のベース期間を算出する
とともに、平均溶接電流値Iの変化に対応させて、電源
負荷端子特性PTを、アーク負荷特性ATの傾きの変化
に追従させて、アーク長が変動したときアーク長を復帰
させるパルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法であ
る。
【0132】請求項2のパルスアーク溶接のアーク長制
御方法は、溶接電圧の瞬時値を検出して平滑しないで、
パルス電流の設定した1周期又は短周期ごとに溶接電圧
平均値を算出し、設定された溶接電圧設定値と比較し、
その比較値によって、次の周期のベース期間を算出する
とともに、平均溶接電流値Iの変化に対応させて、電源
負荷端子特性PTを、アーク・電源特性傾斜角度差θを
設けて、アーク負荷特性ATの傾きの変化に追従させ
て、アーク長が変動したときアーク長を復帰させるパル
スアーク溶接のアーク長復帰制御方法である。
【0133】請求項3のパルスアーク溶接のアーク長制
御方法は、溶接電圧の瞬時値を検出して平滑しないで、
パルス電流の設定した1周期又は短周期ごとに溶接電圧
平均値を算出し、設定された溶接電圧設定値と比較し、
その比較値によって、次の周期のベース期間を算出する
とともに、電源負荷端子特性PTを溶接電流平均値の設
定と連動させ、適正な電源負荷端子特性PTの溶接電流
を出力してアーク長が変動したときアーク長を復帰させ
るパルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法である。
【0134】請求項4のパルスアーク溶接のアーク長制
御方法は、溶接電圧の瞬時値を検出して平滑しないで、
パルス電流の設定した1周期又は短周期ごとに溶接電圧
平均値を算出し、設定された溶接電圧設定値と比較し、
その比較値によって、次の周期のベース期間を算出する
とともに、電源負荷端子特性PTをワイヤ送給速度の設
定と連動させ、適正な電源負荷端子特性PTの溶接電流
を出力して、アーク長が変動したときアーク長を復帰さ
せるパルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法である。
【0135】請求項5のパルスアーク溶接のアーク長制
御方法は、溶接中のピーク期間Tp及びベース期間Tb
が設定されたピーク期間Tp及び算出されたベース期間
Tb(n-1)に達したかどうかを判別して、ピーク期間Tp
に達していないときは、設定したピーク電流値Ipの値
を出力して達するまで繰り返し、設定されたピーク期間
Tpに達していたときは、設定したベース電流値Ibの
値を出力し、算出されたベース期間Tb(n-1)に達してい
ないときはベース電流値Ibの値を出力して達するまで
繰り返し、達したときは次のベース期間Tbnを算出する
ステップに進むパルス周期終了判別ステップと、算出さ
れたベース期間Tb(n-1)に達したときは、ワイヤ送給速
度設定値Ws と基準電源負荷端子特性PTRを設定する
電源基準特性設定値Wt との差の特性傾斜信号Kt を出
力する特性傾斜演算ステップKTと、特性傾斜信号Kt
と溶接電流平均値信号Iavとを入力して、積に比例する
特性・電流乗算信号It を出力する特性・電流乗算ステ
ップITと、溶接電圧設定信号Vs と特性・電流乗算信
号It とを入力して溶接電圧制御信号Vt を出力する溶
接電圧演算ステップVTと、パルス周期の1周期が終了
したとき、検出電圧値Vddを積算した積算電圧値Vi か
ら、その周期の溶接電圧平均値Va(n-1)を算出し、その
溶接電圧平均値Va(n-1)と溶接電圧制御信号Vt の次周
期の溶接電圧値Vt とから、その周期のベース期間を算
出して次回の周期のベース期間Tbnとするベース期間演
算ステップとから成り、通電指令信号が終了するまで、
次の周期終了判別ステップを繰り返して設定されたピー
ク期間に、設定されたピーク電流値の電流を通電し、算
出されたベース期間に、設定したベース電流値の電流を
通電するパルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法であ
る。
【0136】請求項6のパルスアーク溶接のアーク長制
御方法は、溶接中のピーク期間Tpが設定されたピーク
期間Tpの設定値に達したかどうかを判別して、ピーク
期間Tpに達していないときは、設定したピーク電流値
Ipの値を出力して達するまで繰り返し、設定されたピ
ーク期間Tpに達していたときは、設定したベース電流
値Ibの値を出力するピーク期間終了判別ステップと、
ベース期間Tbが、算出されたベース期間Tb(n-1)に達
したかどうかを判別し、ピーク期間Tpに達していない
ときは、ベース電流値Ibの値を出力して達するまで繰
り返すベース期間終了判別ステップと、算出されたベー
ス期間Tb(n-1)に達したときは、ワイヤ送給速度設定値
Ws と基準電源負荷端子特性PTRを設定する電源基準
特性設定値Wt との差の特性傾斜信号Kt を出力する特
性傾斜演算ステップKTと、特性傾斜信号Kt と溶接電
流平均値信号Iavとを入力して、積に比例する特性・電
流乗算信号It を出力する特性・電流乗算ステップIT
と、溶接電圧設定信号Vs と特性・電流乗算信号It と
を入力して溶接電圧制御信号Vt を出力する溶接電圧演
算ステップVTと、算出されたベース期間Tb(n-1)に達
してパルス周期の1周期が終了したとき、検出電圧値V
ddを積算した積算電圧値Vi から、その周期の溶接電圧
平均値Va(n-1)を算出する溶接電圧平均値演算ステップ
VAと、溶接電圧平均値Va(n-1)と溶接電圧制御信号V
t の次周期の溶接電圧値Vt との差電圧及び前回の周期
のベース期間Tb(n-1)から、次回の周期のベース期間T
bnを算出するベース期間算出ステップTBとから成り、
通電指令信号が終了するまで、設定されたピーク期間
に、設定したピーク電流値の電流を通電し、算出された
ベース期間に、設定したベース電流値の電流を通電する
パルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法である。
【0137】請求項7のパルスアーク溶接のアーク長制
御方法は、ピーク期間(パルス幅)Tp、ピーク電流値
Ip及びベース電流値Ibを設定する初期設定ステップ
と、溶接中のピーク期間Tpが設定されたピーク期間T
pに達したかどうかを判別して、ピーク期間Tpに達し
ていないときは、ピーク電流値Ipの値を出力して達す
るまで繰り返し、設定されたピーク期間Tpに達してい
たときは、ベース電流値Ibの値を出力するピーク期間
終了判別ステップと、検出電圧値Vddを積算して積算電
圧値Vi を記憶する検出電圧積算ステップと、ベース期
間Tbが、算出されたベース期間Tb(n-1)に達したかど
うかを判別し、ピーク期間Tpに達していないときは、
ベース電流値Ibの値を出力して達するまで繰り返すベ
ース期間終了判別ステップと、算出されたベース期間T
b(n-1)に達したときは、ワイヤ送給速度設定値Ws と基
準電源負荷端子特性PTRを設定する電源基準特性設定
値Wt との差の特性傾斜信号Kt を出力する特性傾斜演
算ステップKTと、特性傾斜信号Kt と溶接電流平均値
信号Iavとを入力して、積に比例する特性・電流乗算信
号It を出力する特性・電流乗算ステップITと、溶接
電圧設定信号Vs と特性・電流乗算信号It とを入力し
て溶接電圧制御信号Vt を出力する溶接電圧演算ステッ
プVTと、算出されたベース期間Tb(n-1)に達してパル
ス周期の1周期が終了したとき、検出電圧値Vddを積算
した積算電圧値Vi から、その周期の溶接電圧平均値V
a(n-1)を算出する溶接電圧平均値演算ステップVAと、
溶接電圧平均値Va(n-1)と溶接電圧制御信号Vt の次周
期の溶接電圧値Vt とから、その差の平均・設定差電圧
値e(n-1) を算出する平均・設定差電圧値演算ステップ
VEと、平均・設定差電圧値e(n-1) を、ベース期間の
変化率を算出する関数Fbに代入し、その周期のベース
期間Tb(n-1)と乗算して算出し、次回の周期のベース期
間Tbnとするベース期間算出ステップTBとから成り、
通電指令信号が終了するまで、設定されたピーク期間
に、設定したピーク電流値の電流を通電し、算出された
ベース期間に、設定したベース電流値の電流を通電する
パルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法である。
【0138】請求項8の溶接装置は、検出電圧ディジタ
ル信号Vddの検出電圧値を積算して、その値の積算電圧
ディジタル信号Vi を出力する検出電圧積算回路VI
と、積算電圧ディジタル信号Vi の溶接電圧平均値を算
出し、その値の溶接電圧平均値信号Va(n-1)を出力する
溶接電圧平均値演算回路VAと、算出されたベース期間
に達したときは、ワイヤ送給速度設定値Ws と基準電源
負荷端子特性PTRを設定する電源基準特性設定値Wt
との差の特性傾斜信号Kt を出力する特性傾斜演算回路
KTと、特性傾斜信号Kt と溶接電流平均値信号Iavと
を入力して、積に比例する特性・電流乗算信号It を出
力する特性・電流乗算回路ITと、溶接電圧設定信号V
s と特性・電流乗算信号It とを入力して溶接電圧制御
信号Vt を出力する溶接電圧演算回路VTと、溶接電圧
平均値信号Va(n-1)の溶接電圧平均値と溶接電圧制御信
号Vt の次周期の溶接電圧値Vt とから次回のベース期
間Tbnを算出し、その値のベース期間制御信号Tbnを出
力するベース期間算出回路TBと、設定されたパルス幅
のピーク期間Tpに設定したピーク電流Ipを出力し、
算出されたベース期間Tbに、設定したベース電流Ib
を出力するピーク・ベース電流値御回路IPBとから成
り、通電指令信号が終了するまで、設定されたピーク期
間に、設定したピーク電流値の電流を通電し、算出され
たベース期間に、設定したベース電流値の電流を通電す
るパルスアーク溶接装置である。
【0139】請求項9の溶接装置は、検出電圧ディジタ
ル信号Vddの検出電圧値を積算して、その値の積算電圧
ディジタル信号Vi を出力する検出電圧積算回路VI
と、積算電圧ディジタル信号Vi の溶接電圧平均値を算
出し、その値の溶接電圧平均値信号Va(n-1)を出力する
溶接電圧平均値演算回路VAと、算出されたベース期間
に達したときは、ワイヤ送給速度設定値Ws と基準電源
負荷端子特性PTRを設定する電源基準特性設定値Wt
との差の特性傾斜信号Kt を出力する特性傾斜演算回路
KTと、特性傾斜信号Kt と溶接電流平均値信号Iavと
を入力して、積に比例する特性・電流乗算信号It を出
力する特性・電流乗算回路ITと、溶接電圧設定信号V
s と特性・電流乗算信号It とを入力して溶接電圧制御
信号Vt を出力する溶接電圧演算回路VTと、溶接電圧
平均値信号Va(n-1)の溶接電圧平均値と溶接電圧制御信
号Vt の次周期の溶接電圧値Vt とを引算し、その値の
平均・設定差電圧信号e(n-1) を出力する平均・設定差
電圧値演算回路VEと、平均・設定差電圧信号e(n-1)
の値の平均・設定差電圧値を、ベース期間の変化率を算
出する関数Fbに代入して、次回のベース期間Tbnを算
出し、その値のベース期間制御信号Tbnを出力するベー
ス期間算出回路TBと、設定されたパルス幅のピーク期
間Tpに設定したピーク電流Ipを出力し、算出された
ベース期間Tbに、設定したベース電流Ibを出力する
ピーク・ベース電流値御回路IPBとから成り、通電指
令信号が終了するまで、設定されたピーク期間に、設定
したピーク電流値の電流を通電し、算出されたベース期
間に、設定したベース電流値の電流を通電するパルスア
ーク溶接装置である。
【0140】請求項10の溶接装置は、クロック信号C
k ごとに読み込んだ検出電圧ディジタル信号Vddの検出
電圧値を積算して積算電圧値Vi を算出し、その値の積
算電圧ディジタル信号Vi を出力する検出電圧積算回路
VIと、算出されたベース期間に達したときは、ワイヤ
送給速度設定値Ws と基準電源負荷端子特性PTRを設
定する電源基準特性設定値Wt との差の特性傾斜信号K
t を出力する特性傾斜演算回路KTと、特性傾斜信号K
t と溶接電流平均値信号Iavとを入力して、積に比例す
る特性・電流乗算信号It を出力する特性・電流乗算回
路ITと、溶接電圧設定信号Vs と特性・電流乗算信号
It とを入力して溶接電圧制御信号Vt を出力する溶接
電圧演算回路VTと、ベース期間完了信号Tbkが入力さ
れたときに積算電圧ディジタル信号Vi を入力して、そ
の積算電圧値Vi を積算した個数mで除算して溶接電圧
平均値Va(n-1)を算出し、その値の溶接電圧平均値信号
Va(n-1)を出力する溶接電圧平均値演回路VAと、溶接
電圧平均値信号Va(n-1)と溶接電圧制御信号Vt とを入
力して、それらの値の溶接電圧平均値Va(n-1)と溶接電
圧制御信号Vt の次周期の溶接電圧値Vtとを引算して
その差の平均・設定差電圧値e(n-1) =Va(n-1)−Vt
を算出し、その値の平均・設定差電圧信号e(n-1) を出
力する平均・設定差電圧値演算回路VEと、平均・設定
差電圧信号e(n-1) を入力して、その値の平均・設定差
電圧値e(n-1) を、ベース期間の変化率を算出する関数
Fbに代入して前回の周期のベース期間Tb(n-1)と乗算
し、次回のベース期間Tbn=Tb(n-1)*Fb(e(n-1)
)を算出し、その値のベース期間制御信号Tbnを出力
するベース期間算出回路TBと、設定されたパルス幅の
ピーク期間Tp に設定されたピーク電流Ipを出力
し、算出されたベース期間Tbに、設定されたベース電
流Ibを出力するピーク・ベース電流値御回路IPBと
から成り、設定されたパルス幅のピーク期間Tp に設
定したピーク電流Ipを出力し、算出されたベース期間
Tbに、設定したベース電流Ibを出力するパルスアー
ク溶接装置である。
【0150】
【実施例】以下、図12を参照して、図6と異なる回路
について説明する。溶接電圧瞬時値検出回路VDは、溶
接電圧の瞬時値を検出して溶接電圧瞬時値検出信号Vd
を出力する。検出電圧アナログ/ディジタル変換回路
(以下、A/D変換回路という)AD1は、溶接電圧瞬
時値検出信号Vd を入力して検出電圧ディジタル信号V
ddを出力する。設定電圧A/D変換回路AD2は、溶接
電圧設定信号Vs を入力して設定電圧ディジタル信号V
sdを出力する。検出電流A/D変換回路AD3は、溶接
電流検出信号Id を入力して検出電流ディジタル信号I
ddを出力する。設定速度A/D変換回路AD4は、ワイ
ヤ送給速度設定信号Ws を入力して設定速度ディジタル
信号Wsdを出力する。
【0152】ピーク・ベース電流制御回路ICは、検出
電圧ディジタル信号Vddと設定電圧ディジタル信号Vsd
と検出電流ディジタル信号Iddと設定速度ディジタル信
号Wsdとを入力として、この回路ICの機能を実行する
ソフトウェアの制御回路又はハードウエアの制御回路で
構成される。ソフトウェアの制御回路の機能は、図14
乃至図16に示すフローチャートの手順で実行される。
また、ハードウエアの制御回路は、後述する図23及び
図24に示す回路で構成される。図23に示すハードウ
エアの制御回路ICは、ベース期間演算回路TBNとピ
ーク期間設定・ベース期間制御回路TPBとピーク・ベ
ース電流値制御回路IPBとによって構成される。
【0154】特性傾斜制御回路KCは、この回路KCの
機能を実行するソフトウェアの制御回路又はハードウエ
アの制御回路で構成される。ソフトウェアの特性傾斜制
御回路KCの機能は、図15フローチャートのST11
乃至ST15に示す手順(図16に示す手順)で実行さ
れる。また、ハードウエアの制御回路は、後述する図2
5に示す回路で構成される。図25に示すハードウエア
の制御回路は、電源基準特性設定回路WTと特性傾斜演
算ステップKTと溶接電流平均値演算ステップIAVと
特性・電流乗算ステップITと溶接電圧演算ステップV
Tとによって構成される。
【0160】図13は、ワイヤ送給速度設定信号Ws を
Ws1乃至Ws4に変化させたときの溶接電流制御信号Cm1
又は平均溶接電流値Iと溶接電圧制御信号Vt 又はアー
ク負荷電圧値Va との関係を示す図である。
【0162】同図において、ワイヤ送給速度設定信号W
s2が電源基準特性設定信号Wt に等しいときは、溶接電
圧制御信号Vt の値は、平均溶接電流値Iに関係なく溶
接電圧設定信号の設定値Vs となる。このときの電源負
荷端子特性PT2は、ケーブルを含めた電源主回路イン
ピーダンスZによって定まる基準の電源負荷端子特性P
Tの適切な傾き(以下、基準電源負荷端子特性という)
基準電源負荷端子特性PTRとなる。
【0166】ワイヤ送給速度設定信号Ws3は、電源基準
特性設定信号Wt よりも大きいので、溶接電圧制御信号
Vt は、平均溶接電流値の増加にしたがって増加する。
このときの電源負荷端子特性PTは、基準電源負荷端子
特性PTRよりも反時計方向に回った傾斜となり、ワイ
ヤ送給速度設定信号Ws が電源基準特性設定信号Wtよ
りも大きいほど、傾斜の回転は、Ws4のように、Ws3よ
りも大きくなる。
【0168】ワイヤ送給速度設定信号Ws1は、電源基準
特性設定信号Wt よりも小さいので、溶接電圧制御信号
Vt は、溶接電流の増加にしたがって減少する。このと
きの電源負荷端子特性PTは、基準電源負荷端子特性P
TRよりも順時計方向に回った傾斜となり、また、ワイ
ヤ送給速度設定信号Ws が、電源基準特性設定信号Wt
よりも小さいほど、傾斜の回転は大きくなる。すなわ
ち、ワイヤ送給速度設定信号Ws が電源基準特性設定信
号Wt まで増加するにしたがって、電源負荷端子特性P
Tは反時計方向に回った傾斜となり、基準電源負荷端子
特性PTRに近づく。
【0170】ワイヤ送給速度設定信号Ws の設定値は、
平均溶接電流値Iと略比例するので、ワイヤ送給速度設
定信号の設定値が、Ws1→Ws2→Ws3→Ws4のように増
加するにしたがって、平均溶接電流値Iが大きいほど、
電源負荷端子特性PTは反時計方向に回った傾斜とな
る。
【0172】前述したように、電源負荷端子特性PT
は、平均溶接電流値Iの増加にしたがって反時計方向に
回った傾斜となり、これに応じて電源負荷端子特性PT
の傾きを適切化する必要がある。本発明では、平均溶接
電流値Iの変化に対応させて、電源負荷端子特性PT
を、アーク・電源特性傾斜角度差θを設けて、電源負荷
端子特性PTの傾きの変化に追従させる。この追従によ
って、全溶接電流範囲において、常に適切な電源負荷端
子特性PTを得ることができ、突き出し長さExの変化
によるアーク長Lの変化を小さくすることができる。ま
た、前述したように、小電流溶接におけるアークの安定
性を向上させることができ、溶接電流の下限値を下げる
こともできる。
【0180】図14及び図15は、図12の溶接装置の
ブロック図のピーク・ベース電流制御回路ICの機能を
ソフトウェアで実行するフローチャート(1/2)及び
(2/2)である。以下、図14及び図15を参照し
て、溶接開始後のパルス周期の「(n−1)回目の周期
からn回目の周期まで」の動作にしたがって、本発明の
パルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法について説明
する。 (1)初期設定ステップ(ST1) a.ピーク期間(パルス幅)Tp、ピーク電流値Ip及
びベース電流値Ibを設定する。 b.ピーク期間カウンタTPCのカウント値Tpc(以
下、ピーク期間カウント値Tpcという)及びベース期間
カウンタTBCのカウント値Tbc(以下、ベース期間カ
ウント値Tbcという)と検出電圧ディジタル信号Vddを
加算した積算電圧Viのリセットを行なう。 c.制御割込みタイマの出力信号(以下、クロック信号
Ck という)の周期を100μs に設定する。 これらの設定は、溶接開始前に行う動作である。なお、
ベース期間Tbは、後述するステップで算出する。
【0182】以下、溶接開始後の動作について説明す
る。 (2)制御割込み判別ステップ(ST2) クロック信号Ck の100μs になるまで期間待ちを
し、制御割込みの有無を判別する。以下のディジタル回
路は、このタイミングごとに動作する。
【0184】(3)ピーク期間終了判別ステップ(ST
3) a.ピーク期間カウンタTPCは、溶接開始後の通電指
令信号が継続している溶接中において、ピーク期間Tp
に入力されるクロック信号Ck の回数をカウントし、溶
接開始後のパルス周期の(n−1)回目のピーク期間の
カウント値Tpcが、設定したピーク期間Tpの設定回数
に達したかどうかを判別する。 b.ピーク期間のカウント値Tpcが、設定したピーク期
間Tpの回数に達していないときは、ピーク電流値Ip
の値を制御電流ディジタル信号Icdの値とする。 c.ピーク期間カウント値Tpcを1だけインクリメント
(加算)する。
【0188】(4)制御電流ディジタル信号出力ステッ
プ(ST4) ピーク電流値Ipの値とした制御電流ディジタル信号I
cdを、溶接電流D/A変換回路DA1に出力する。
【0200】(5)検出電圧ディジタル信号の積算ステ
ップ(ST5) a.クロック信号Ck ごとに、検出電圧ディジタル信号
Vddを、検出電圧A/D変換回路AD1から読込む。説
明の時点では、(n−1)回目の周期中のクロック信号
Ck 、例えばm番目のクロック信号Ck のときにサンプ
リングした検出電圧ディジタル信号Vddである。 b.上記のタイミングのm番目のクロック信号Ck のと
きにサンプリングした検出電圧ディジタル信号Vdd=V
m を、1回前の(m−1)番目までに積算した積算電圧
ディジタル信号V1 +V2 +…+V(m-1) に加算し、加
算した積算電圧ディジタル信号Vi を記憶する。積算電
圧ディジタル信号Vi は、Vi =(V1 +V2 +…+V
(m-1) )+Vmとなる。
【0202】(6)ベース期間終了判別ステップ(ST
6) a.前述した(3)のピーク期間終了判別ステップにお
いて、ピーク期間のカウント値Tpcが、設定したピーク
期間Tpに達していたときは、ベース電流値Ibの値を
制御電流ディジタル信号Icdの値とする。 b.ベース期間カウント値Tbcを1だけインクリメント
する。 c.ベース期間カウンタTBCは、溶接中のベース期間
Tbに入力されるクロック信号Ck の回数をカウント
し、(n−1)回目の周期のベース期間のカウント値T
bcが、後述する算出したベース期間Tbnの設定回数に達
したかどうかを判別する。
【0204】d.ピーク期間のカウント値Tpcが、設定
したピーク期間Tpに達した後に、ベース期間のカウン
ト値Tbcが、後述する算出したベース期間Tbnの設定回
数に達していないときは、達するまで、上記の(2)乃
至(5)のステップを繰り返す。 e.ピーク期間のカウント値Tpcが、設定したピーク期
間Tpに達した後に、ベース期間のカウント値Tbcが、
後述する算出したベース期間Tbの設定回数に達したと
きは、(n−1)回目の周期が終了したので、次のn回
目の周期のベース期間Tbを算出するステップ(ST
7)を実行する。
【0206】(7)n回目の周期のベース期間Tbの算
出ステップ(ST7) a.(n−1)回目の周期が終了したときは、上記の
(6)のステップで積算しておいた(n−1)回目の周
期の積算電圧ディジタル信号Vi を、サンプリング個数
m[ただし、m=(Tpc+Tbc)/100μs ]で除算
して、(n−1)回目の周期の溶接電圧平均値Va(n-1)
を算出する。この(n−1)回目の周期の溶接電圧平均
値は、Va(n-1)=Vi/mである。
【0208】b.この溶接電圧平均値Va(n-1)と後述す
る特性傾斜制御回路KCで算出した溶接電圧値Vt とを
引算し、その差の平均・設定差電圧値e(n-1) を算出す
る。この(n−1)回目の周期の平均・設定差電圧値
は、e(n-1) =Va(n-1)−Vt である。 c.この平均・設定差電圧値e(n-1) を、ベース期間の
変化率を算出する関数Fbに代入し、(n−1)回目の
周期のベース期間Tb(n-1)と乗算する。この算出したT
bnを、次回のn周期目のベース期間Tbにする。このn
回目の周期のベース期間は、Tbn=Tb(n-1)*Fb(e
(n-1) )である。
【0210】(8)カウント値のリセットステップ ピーク期間カウント値Tpc及びベース期間カウント値T
bcと検出電圧ディジタル信号Vddを積分した積分電圧V
iのリセットを行なう。 (9)制御停止の判定ステップ 通電指令信号が停止の場合は終了し、それ以外のとき
は、前述した(2)のステップに戻る。
【0212】(10)次に、上記のピーク・ベース電流
制御回路ICの説明の途中のST6とST7との間で実
行される特性傾斜制御回路KCのST11乃至ST15
について説明する。
【0214】図16は、図12の溶接装置のブロック図
の特性傾斜制御回路KCの機能をソフトウエアで実行す
るフローチャートである。以下、図16を参照して、本
発明のアーク長復帰制御方法について説明する。 (11)設定速度ディジタル信号読み込みステップST
11 (n−1)回目の周期が終了していたときは、設定速度
A/D変換回路AD4から設定速度ディジタル信号Wsd
と電源基準特性設定回路WTから電源基準特性設定信号
Wt とを読み込み、差の特性傾斜信号Kt =Ws ―Wt
を出力する。
【0216】電源基準特性設定信号Wt は、ワイヤ送給
速度設定信号Ws で設定されたワイヤ送給速度におい
て、ケーブルを含めた電源主回路インピーダンスZによ
って定まる基準の電源負荷端子特性PTを適切な傾きの
基準電源負荷端子特性PTRとする。
【0218】(12)電源負荷端子(外部)特性の傾き
演算ステップST12 設定速度ディジタル信号Wsdと電源基準特性設定信号W
t との差の信号(Wsd−Wt )を電源負荷端子(外部)
特性PTを定める関数Fkに代入し、電源負荷端子(外
部)特性PTの傾きKtを算出する。
【0220】(13)検出電流ディジタル信号読み込み
ステップST13 上記の電源負荷端子(外部)特性PTの傾きKtの算出
後、検出電流A/D変換回路AD2から検出電流ディジ
タル信号Iddを読み込む。
【0222】(14)溶接電流平均値算出ステップST
14 クロック信号Ck ごとに検出電流ディジタル信号Iddを
積算し、積算した(n−1)回目の周期の溶接電流値を
サンプリング個数m[ただし、m=(Tpc+Tbc)/1
00μs ]で除算して、(n−1)回目の周期の溶接電
流平均値Ia(n-1)を算出する。
【0224】(15)n周期の溶接電圧値算出ステップ
ST15 電源負荷端子(外部)特性PTの傾きKtと溶接電流平
均値Ia(n-1)を乗算する。その溶接電流平均値Ia(n-1)
に設定電圧ディジタル信号Vsdの設定電圧値を加算し
て、次の(n回目の)周期の溶接電圧値Vt とする。
【0230】図17は、設定速度ディジタル信号Wsdと
電源基準特性設定信号Wt と差の特性傾斜信号Kt =W
s ―Wt を変数として、電源負荷端子(外部)特性PT
の傾きKtを算出する関数Fkを示す図である。(n−
1)回目の周期が終了していたときは、設定速度A/D
変換回路AD4から設定速度ディジタル信号Wsdと電源
基準特性設定回路WTから電源基準特性設定信号Wt と
を読み込み、差の特性傾斜信号Kt =Ws ―Wt を出力
する。この関数Fkは、設定速度ディジタル信号Wsdと
電源基準特性設定信号Wt と差の特性傾斜信号Kt =W
s ―Wt を変数とする関数であり、適正値は、ワイヤの
種類、ワイヤの直径、ガスの種類等によって異なる。
【0240】図18は、(n−1)回目の周期の溶接電
流平均値Ia(n-1)を算出する手順の一部を示す図であ
る。(n−1)回目の周期中の溶接電流平均Iavは、図
に示す点Id1,Id2,…,Idmのように、クロックパル
スの周期でサンプリングされ、それを全て合計してサン
プリンク個数で除算する。
【0242】図19は、次の(n回目の)の溶接電圧制
御信号Vt を演算する関数を示す図である。この関数F
tは、上記算出した傾きKtに溶接電流平均値Iavを乗
算し、さらに設定電圧ディジタル信号Vsdを加算するこ
とによって、電源負荷端子(外部)特性PTを上下に調
整することができる。
【0250】図20は、図15のステップST7におい
て、(n−1)回目の周期の溶接電圧平均値Va(n-1)及
び(n−1)回目の周期のベース期間Tb(n-1)を算出す
る手順の一部を示す図である。同図において、溶接開始
後のパルス周期のn周期目のベース期間Tbnは、その1
周期前の(n−1)回目の周期の溶接電圧平均値Va(n-
1)と特性傾斜制御回路KCで算出した次周期溶接電圧制
御信号Vt との差の平均・設定差電圧値e(n-1) を、ベ
ース期間の変化率を算出する関数Fbに代入して算出し
たFb(e)となる。
【0252】次のn周期目のベース期間Tbnは、その算
出したFb(e)と(n−1)回目の周期のベース期間
Tb(n-1)とを乗算して算出する。このn周期目のベース
期間Tbnは、Tbn=Tb(n-1)*Fb(e(n-1) )であ
る。(n−1)回目の周期の溶接電圧平均値Va(n-1)
は、図20に示す点Vad1 ・・・ Vadm のとなり、設
定られたクロック信号の周期(100μ)でサンプリン
グして積算し、積算した積算電圧ディジタル信号Vi を
サンプリンク個数mで除算して算出する。
【0260】図21は、ベース期間の変化率を算出する
関数Fbの特性を示す図である。関数Fbは、1周期前
の(n−1)回目の周期の溶接電圧平均値Va(n-1)と特
性傾斜制御回路KCで算出した次周期電圧制御信号Vt
との差の平均・設定差電圧値e(n-1) を変数とする関数
であり、ワイヤの種類、ワイヤ径、ガスの種類等によっ
て異なる。
【0265】図22は、本発明の溶接装置が出力する溶
接電流の制御方式を説明する図である。同図の溶接装置
は、ベース期間Tbnを増減させることによって、溶接電
流の平均値を変化させてワイヤ溶融速度を増減させてい
る。同図(A)は、ベース期間Tbn=Tb1 が同図
(B)のベース期間Tbn=Tb2よりも大であるので、溶
接電流の平均値Ia=Ia1が同図(B)の溶接電流の平
均値Ia=Ia2よりも大になり、ワイヤ溶融速度が大き
くなる。
【0270】図23は、本発明のアーク長復帰制御方法
を実施する溶接装置のブロック図のピーク・ベース電流
制御回路ICを、ハードウエアで構成した制御回路であ
る。以下、図23を参照して、ピーク・ベース電流制御
回路ICをハードウエアで実行する実施例について説明
する。このハードウエアの制御回路は、ベース期間演算
回路TBNとピーク期間設定・ベース期間制御回路TP
Bとピーク・ベース電流値制御回路IPB回路とから構
成され、各回路の動作は、次のとおりである。
【0272】ベース期間演算回路TBNは、図24で後
述するように、設定電圧ディジタル信号Vsdと設定され
た時間間隔で検出された検出電圧ディジタル信号Vddと
を入力して、その設定された時間間隔ごとに、差の信号
に対応した(差の信号から演算した)ベース期間Tbを
算出して、その算出したベース期間Tbに相当するベー
ス期間制御信号Tbnを出力する。
【0274】ピーク期間設定・ベース期間制御回路TP
Bは、設定されたピーク期間Tpに、ピーク電流Ipを
通電させるパルス幅設定信号Tp を出力し、算出された
ベース期間Tbに、ベース電流Ibを通電させるベース
期間信号Tbnを出力する。
【0276】ピーク・ベース電流値制御回路IPB回路
は、パルス幅設定信号Tp を入力して設定されたピーク
期間Tpに設定されたピーク電流値設定信号Ipsを出力
し、次に、演算されたベース期間制御信号Tbnを入力し
て、そのベース期間制御信号Tbnに対応したベース期間
Tbnにベース電流値設定信号Ibsを出力する。
【0278】溶接電流ディジタル/アナログ変換回路
(以下、D/A変換回路という)DA1は、制御電流デ
ィジタル制御信号Icdを入力して制御電流アナログ信号
Icaを出力する。
【0280】設定・検出電流比較回路CM1は、溶接電
流検出信号Id と制御電流アナログ信号Icaとを入力し
て、その差の溶接電流制御信号Cm1を出力して、例えば
PWM制御のインバータ回路を含むパルス溶接電源PS
に出力して溶接電流値を出力する。
【0282】ピーク期間設定・ベース期間制御回路TP
Bは、設定されたピーク期間Tpに、ピーク電流Ipを
通電させるパルス幅設定信号Tp を出力し、算出された
ベース期間Tbnに、ベース電流Ibを通電させるベース
期間制御信号Tbnを出力する。
【0284】以下、図23を参照して、ピーク期間設定
・ベース期間制御回路TPBをハードウエアで実行する
実施例について説明する。クロック信号発生回路CK
は、例えば、100μs の周期のクロック信号Ckを発
生する。後述する各ディジタル回路は、このタイミング
ごとに動作する。回路AND1は、溶接開始の通電指令
信号Tsが入力されている間、クロック信号Ck を出力
する。
【0286】最初に、ピーク期間カウンタTPCのピー
ク期間カウント値Tpc及びベース期間カウンタTBCの
ベース期間カウント値Tbcと後述する検出電圧ディジタ
ル信号Vddの積分電圧Viとをリセットする。
【0288】ピーク期間カウンタTPCは、ピーク期間
Tpに入力されるクロック信号Ckの回数をカウント
し、カウントしたパルス周期のピーク期間カウント値T
pcが、設定したピーク期間Tpのサンプリング回数に達
したかどうかを判別する。ピーク期間カウント値Tpc
が、設定したピーク期間Tpの回数に達していないとき
は、ピーク期間カウント信号Tpcを出力し、ピーク期間
カウント値Tpcを1だけインクリメント(加算)する。
【0290】ピーク期間のカウント値Tpcが、設定した
ピーク期間Tpに達していたときは、ピーク期間カウン
ト完了信号Tpkを出力し、ベース期間カウント値Tbcを
1だけインクリメントする。
【0292】ベース期間カウンタTBCは、溶接中のパ
ルス周期のベース期間Tbに入力されるクロック信号C
k の回数をカウントし、カウントしたパルス周期のベー
ス期間カウント値Tbcが、後述する算出したベース期間
Tbnの算出回数に達したかどうかを判別する。ベース期
間カウント値Tbcが、算出したピーク期間Tbnに達して
いないときは、ベース期間カウント信号Tbcを出力し、
ベース期間カウント値Tbcを1だけインクリメント(加
算)する。
【0294】ベース期間カウント値Tbcが、算出したベ
ース期間Tbnに達していたときは、ベース期間カウント
完了信号Tbkを出力し、またピーク期間カウンタTPC
とベース期間カウンタTBCと後述する検出電圧積算回
路VIとをリセットする。以上で、溶接開始後のパルス
周期の(n−1)回目の周期が終了したので、次のn回
目のパルス周期の動作を繰り返す。
【0296】ピーク・ベース電流値制御回路IPB回路
は、パルス幅設定信号Tp を入力して設定されたピーク
期間Tpに設定されたピーク電流値設定信号Ipsを出力
し、次に、算出されたベース期間制御信号Tbnを入力し
て、そのベース期間制御信号Tbnに対応したベース期間
Tbnにベース電流値設定信号Ibsを出力する。このピー
ク・ベース電流値制御回路IPBは、ピーク電流値記憶
回路IPMとベース電流値記憶回路IBMと電流ディジ
タル信号出力回路ICDとから構成され、各回路の動作
は、次のとおりである。
【0298】ピーク電流値記憶回路IPMは、設定され
たピーク電流値Ipを記憶して、ピーク期間のカウント
信号Tpcが入力されるごとに、ピーク電流値信号Ipsを
制御電流ディジタル信号出力回路ICDに出力する。ベ
ース電流値記憶回路IBMは、設定されたベース電流値
Ibを記憶して、ベース期間のカウント信号Tbcが入力
されるごとに、ベース電流値信号Ibsを制御電流ディジ
タル信号出力回路ICDに出力する。る。
【0300】制御電流ディジタル信号出力回路ICD
は、ピーク電流値Ips又はベース電流値Ibsの制御電流
ディジタル信号Icdを、制御電流D/A変換回路DA1
に出力する。上記の構成から成る溶接装置によって、通
電指令信号が終了するまで、設定したピーク期間に、設
定したピーク電流値の電流を通電し、算出したベース期
間に設定したベース電流値の電流を通電してパルスアー
ク溶接のアーク長復帰制御をする。
【0310】図24は、図23のベース期間演算回路T
BNの実施例を示す図である。同図において、ベース期
間演算回路TBNは、次周期の溶接電圧制御信号Vt と
設定された時間間隔で検出された検出電圧ディジタル信
号Vddとを入力して、その設定された時間間隔ごとに、
差の信号に対応した(差の信号から演算した)ベース期
間Tbを算出して、その算出したベース期間Tbに相当
するベース期間制御信号Tbnを出力する。
【0312】検出電圧積算回路VIは、検出電圧ディジ
タル信号Vddを入力し、(n−1)回目の周期のm番目
のクロック信号Ck のときにサンプリングした検出電圧
ディジタル信号Vddの電圧値Vm を、1回前の(m−
1)番目までに積算した積算電圧値V1 +V2 +…+V
(m-1) に加算し、その加算した積算電圧値Vi の積算電
圧ディジタル信号Vi を出力する。
【0314】平均・設定差電圧値演算回路VEは、ベー
ス期間完了信号Tbkが入力されたとき、(n−1)回目
の周期の積算電圧ディジタル信号Vi の積算電圧値Vi
を、サンプリング個数m[ただし、m=(Tpc+Tbc)
/100μs ]で除算して(n−1)回目の周期の溶接
電圧平均値Va(n-1)=Vi/mを算出し、その算出した
値の溶接電圧平均値信号Va(n-1)を出力する。
【0316】平均・設定差電圧値演算回路VEは、溶接
電圧平均値信号Va(n-1)と特性傾斜制御回路KCで算出
した次周期溶接電圧制御信号Vt とを入力して、(n−
1)回目の周期の溶接電圧平均値Va(n-1)と次周期溶接
電圧値Vt とを引算し、その差の平均・設定差電圧値e
(n-1) =Va(n-1)−Vt を算出し、その算出した値の平
均・設定差電圧信号をe(n-1) 出力する。
【0318】ベース期間演算回路TBNは、平均・設定
差電圧信号e(n-1) を入力して、その値の平均・設定差
電圧値e(n-1) を、ベース期間の変化率を算出する関数
Fbに代入して前回の周期のベース期間Tb(n-1)と乗算
し、次回のベース期間Tbn=Tb(n-1)*Fb(e(n-1)
)を算出し、その値のベース期間制御信号Tbnを出力
する。
【0320】図25は、特性傾斜制御回路KCの機能を
ハードウエアで実行する実施例のブロック図である。以
下、図25を参照して、特性傾斜制御回路KCをハード
ウエアで実行する実施例について説明する。基準電源負
荷端子特性PTRは、ワイヤ送給速度設定信号Ws で設
定されたワイヤ送給速度において、ケーブルを含めた電
源主回路インピーダンスZによって定まる基準の電源負
荷端子特性PTの適切な傾きを設定し、その設定値に対
応した電源基準特性設定信号Wt を出力する。
【0322】特性傾斜演算回路KTは、ピーク・ベース
電流値制御回路ICからベース期間完了信号Tbkがワイ
ヤ送給速度設定信号Ws と電源基準特性設定信号Wt と
を入力して、差の信号(Wsd−Wt )を電源負荷端子
(外部)特性PTを定める関数Fkに代入し、電源負荷
端子(外部)特性PTの傾きKtを算出し、その傾きK
tに対応した特性傾斜信号Kt =Fk(Wsd−Wt )を
出力する。
【0324】次周期(n周期)の溶接電流平均値演算回
路IAVは、クロック信号Ck ごとに検出電流ディジタ
ル信号Iddを積算し、積算した(n−1)回目の周期の
溶接電流値をサンプリング個数m[ただし、m=(Tpc
+Tbc)/100μs ]で除算して、(n−1)回目の
周期の溶接電流平均値Ia(n-1)を算出し、その溶接電流
平均値Ia(n-1)に対応した溶接電流平均値信号Iavを出
力する。
【0326】特性・電流乗算回路ITは、特性傾斜信号
Kt と溶接電流平均値信号Iavとを入力して、それらの
積に比例する特性・電流乗算信号It を出力する。特性
・電流乗算信号It は、It =k×Kt ×Ida=k×F
k(Ws ―Wt )×Idaである。ただし、kは定数であ
る。
【0328】溶接電圧演算回路VTは、設定電圧ディジ
タル信号Vsdと特性・電流乗算信号It とを入力とし、
特性・電流乗算信号It の出力値と溶接電圧設定値Vs
とを加算して、次の(n回目の)周期の溶接電圧制御信
号Vt を出力する。この溶接電圧制御信号Vt は、Vt
=Vs +It =k×Fk(Ws ―Wt )×Ida+Vsで
ある。
【0330】設定・検出電流比較回路CM1は、溶接電
流検出信号Id と溶接電圧制御信号Vt に対応した信号
とを入力して、その差の溶接電流制御信号Cm1を出力し
て、溶接電源PSに出力して平均溶接電流値を制御す
る。
【0400】
【発明の効果】図26は、溶接中の経過時間tの時刻t
1で、アークが段差のある位置を通過したとき、アーク
長に対応した平均溶接電圧値Va、平均溶接電流値Ia
及び平均アーク長の変化Laを示す図である。同図
(A)は、溶接中の経過時間tの時刻t1で、アークが
段差のある位置を通過したとき、パルス電流波形に対応
した溶接電圧の瞬時値及びアーク長に対応した平均溶接
電圧値Vaの変化の応答性を示す図であり、同図(B)
は、制御されたベース期間Tbnの時間的変化を示す図で
あり、同図(C)は、平均アーク長Laの変化の応答性
を示す図である。
【0402】溶接中の経過時間tの時刻t1で、アーク
が段差のある位置を通過したとき、同図(C)に示すよ
うに、アーク長が段差変化前のアーク長L1から段差変
化後のアーク長L2に変化するので、前述した図14乃
至図16又は図23乃至図25の溶接装置の動作によっ
て、ベース期間制御信号Tbnがベース期間Tbを増加さ
せるので、同図(B)に示すように、平均溶接電流値I
aが急激に低下して、同図(C)に示すように、平均ア
ーク長Laが速やかに短くなって、時刻t3で、段差変
化前のアーク長L1に復帰する。
【0404】図27は、本発明のアーク長復帰制御によ
って溶接をしてアークが段差を通過したときの溶接ビー
ド外観の変化状態を示す図である。同図に示すように、
段差通過後に、一時的に、アーク長が長くなって、被溶
接物がアーク熱を受ける範囲が広くなってビード幅Wが
広がる。しかし、このときに、本発明の方法及び溶接装
置では、図12の従来の溶接装置よりも短時間でアーク
長Laを速やかに復帰させることができるので、広いビ
ード幅の部分が短くなる。その結果、本発明の方法及び
溶接装置では、溶接ビード幅Wが広がる期間がわずか
で、溶け込み形状の変化がほとんどなく、溶接結果の均
一性が維持される。
【0410】図28は、本発明のアーク長復帰制御方法
又はアーク長復帰制御回路を備えた溶接装置によって溶
接するときに、小電流、中電流又は大電流に対応させて
電源負荷端子特性PTをPTS、PTM又はPTHに変
化させたときの各特性について、ワイヤ送給速度設定信
号Ws の設定値又は平均溶接電流値Iとアーク負荷電圧
値Va との関係を示す図である。
【0412】同図において、平均溶接電流値が小電流の
ときは、電源負荷端子特性PTSの傾斜を大きくした垂
下特性にしている。また、平均溶接電流値が大電流のと
きは、電源負荷端子特性PTHの傾斜を小さくした定電
圧特性にしている。
【0420】図29は、平均溶接電流値Iとアーク熱ワ
イヤ溶融特性MA及びジュール熱ワイヤ溶融特性MRの
ワイヤ溶融熱量との関係を示す図である。同図(A)は
平均溶接電流値Iが小のときの上記の関係を示す図であ
り、同図(B)は平均溶接電流値Iが中のときの上記の
関係を示す図であり、同図(C)は平均溶接電流値Iが
大のときの上記の関係を示す図である。
【0422】同図(A)において、平均溶接電流値Iが
150[A]から100[A]に減少したとき、アーク
熱ワイヤ溶融特性MAのアーク熱ワイヤ溶融変化量は、
ΔMAだけ減少する。このとき、ジュール熱ワイヤ溶融
特性は、突き出し長さExが短いときのジュール熱ワイ
ヤ溶融特性MRSから長いときのジュール熱ワイヤ溶融
特性MRLに変化するので、ジュール熱ワイヤ溶融変化
量は、ΔMRだけ増加する。本発明においては、このア
ーク熱ワイヤ溶融変化量ΔMAは、ジュール熱ワイヤ溶
融変化量ΔMRと略同じであるので、ワイヤ溶融変化量
は、ΔM=−ΔMA+ΔMR=0となり、ワイヤ溶融速
度Vw は変化しないので、アーク長は変化しない。
【0424】同図(B)において、平均溶接電流値Iが
220[A]から180[A]に減少したとき、アーク
熱ワイヤ溶融特性MAのアーク熱ワイヤ溶融変化量は、
ΔMAだけ減少する。このとき、ジュール熱ワイヤ溶融
特性は、突き出し長さExが短いときのジュール熱ワイ
ヤ溶融特性MRSから長いときのジュール熱ワイヤ溶融
特性MRLに変化するので、ジュール熱ワイヤ溶融変化
量は、ΔMRだけ増加する。このアーク熱ワイヤ溶融変
化量ΔMAは、ジュール熱ワイヤ溶融変化量ΔMRSと
略同じであるので、ワイヤ溶融変化量は、ΔM=−ΔM
A+ΔMR=0となり、ワイヤ溶融速度Vw は変化しな
いので、アーク長も変化しない。
【0426】同図(C)において、平均溶接電流値Iが
250[A]から200[A]に減少したとき、アーク
熱ワイヤ溶融特性MAのアーク熱ワイヤ溶融変化量は、
ΔMAだけ減少する。このとき、ジュール熱ワイヤ溶融
特性は、突き出し長さExが短いときのジュール熱ワイ
ヤ溶融特性MRSから長いときのジュール熱ワイヤ溶融
特性MRLに変化するので、ジュール熱ワイヤ溶融変化
量は、ΔMRだけ増加する。本発明においては、このア
ーク熱ワイヤ溶融変化量ΔMAは、ジュール熱ワイヤ溶
融変化量ΔMRと略同じであるので、ワイヤ溶融変化量
は、ΔM=−ΔMA+ΔMR=0となり、ワイヤ溶融速
度Vw は変化しないので、アーク長は変化しない。
【0430】図30は、図12に示す本発明の溶接装置
を使用して小電流値又は中電流値又は大電流値で溶接中
に突き出し長さExが変化したときに、それぞれアーク
長Lの変化を示す図である。同図(A)及び(B)にお
いて、電源負荷端子電圧Vpsの電源負荷端子特性(小電
流用)PTSの(a)のように、チップ位置が1から2
に変動したとき、突き出し長さがEx1からEx2に変化し
ても、本発明のアーク長復帰制御では、小電流のとき
も、アーク長はL1=L2 で変化しない。
【0432】同図(A)及び(B)において、電源負荷
端子電圧Vpmの電源負荷端子特性(中電流用)PTMの
(b)のように、チップ位置が3から4に変動したと
き、突き出し長さがEx3からEx4に変化しても、中電流
のときは、アーク長はL3 とL4とは略同じで変化し
ない。
【0434】同図(A)及び(B)において、電源負荷
端子電圧Vphの電源負荷端子特性(大電流用)PTHの
(c)のように、チップ位置が5から6に変動したと
き、突き出し長さがEx5からEx6に変化しても、本発明
のアーク長復帰制御では、大電流のときも、アーク長は
L5=L6で変化しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来技術の溶接装置が出力する溶接電
流の制御方式を説明する図である。
【図2】図2は、ワイヤ先端のワイヤ突き出し長さEx
及びアーク長Lを説明する図である。
【図3】図3は、溶接電流平均値Iとアーク熱ワイヤ溶
融特性MA及びジュール熱ワイヤ溶融特性MRのワイヤ
溶融熱量との関係を示す図である。
【図4】図4は、溶接電流平均値Iに対するアーク負荷
電圧値Va の特性を表すアーク負荷特性AT1乃至AT
3と平均溶接電流値Iに対する負荷端子電圧値Va の特
性を表す電源負荷端子特性PTD及びPTUとの関係を
示す図である。
【図5】図5は、アーク長制御を考慮しないで、ピーク
電流値Ip、ベース電流値Ib、ピーク期間Tp及びベ
ース期間Tbのパルス電流を周期的に繰り返して通電し
て溶接したときに、溶接電圧V、溶接電流I及びアーク
長Lの関係を示す図である。
【図6】図6は、パルス電流を通電して、パルス周波数
を制御することによってアーク長制御をする従来のパル
スアーク溶接装置のブロック図である。
【図7】図7は、図6に示す従来の溶接装置の各動作信
号と経過時間tとの関係を示す図である。
【図8】図8は、溶接中の経過時間tの時刻t1で、ア
ークが段差のある位置を通過したとき、アーク長に対応
した平均溶接電圧値Va、平均溶接電流値Ia及び平均
アーク長Laの変化を示す図である。
【図9】図9は、従来のアーク長制御の溶接装置によっ
て溶接をしてアークが段差を通過したときの溶接ビード
外観の変化状態を示す図である。
【図10】図10は、図4に示す従来の溶接装置の平均
溶接電流値Iとアーク負荷電圧値Va との関係を示す図
である。
【図11】図11は、図4に示す従来の溶接装置を使用
して小電流値又は中電流値又は大電流値で溶接中に突き
出し長さExが変化したときに、それぞれアーク長Lの
変化を示す図である。
【図12】図12は、本発明のパルスアーク溶接のアー
ク長復帰制御方法を実施する溶接装置の実施例のブロッ
ク図である。
【図13】図13は、ワイヤ送給速度設定信号Ws をW
s1乃至Ws4に変化させたときの溶接電流制御信号Cm1又
は平均溶接電流値Iと溶接電圧制御信号Vt 又はアーク
負荷電圧値Va との関係を示す図である。
【図14】図14は、図12の溶接装置のブロック図の
ピーク・ベース電流制御回路ICの機能をソフトウェア
で実行するフローチャート(1/2)である。
【図15】図15は、溶接装置のブロック図のピーク・
ベース電流制御回路ICの機能をソフトウェアで実行す
るフローチャート(2/2)である。
【図16】図16は、図12の溶接装置のブロック図の
特性傾斜制御回路KCの機能をソフトウエアで実行する
フローチャートである。
【図17】図17は、設定速度ディジタル信号Wsdと電
源基準特性設定信号Wt と差の特性傾斜信号Kt =Ws
―Wt を変数として、電源負荷端子(外部)特性PTの
傾きKtを算出する関数Fkを示す図である。
【図18】図18は、溶接開始後のパルス周期の(n−
1)回目の周期の溶接電流平均値Ia(n-1)を算出する手
順の一部を示す図である。
【図19】図19は、溶接開始後のパルス周期のn回目
(次周期n)の溶接電圧制御信号Vt を演算する関数を
示す図である。
【図20】図20は、溶接開始後のパルス周期の(n−
1)回目の周期の溶接電圧平均値Va(n-1)及び(n−
1)回目の周期のベース期間Tb(n-1)を算出する手順の
一部を示す図である。
【図21】図21は、ベース期間の変化率を算出する関
数Fbの特性をを示す図である。
【図22】図22は、本発明の溶接装置が出力する溶接
電流の制御方式を説明する図である。
【図23】図23は、本発明のアーク長復帰制御方法を
実施する溶接装置のブロック図のピーク・ベース電流制
御回路ICを、ハードウエアで構成した制御回路であ
る。
【図24】図24は、図12のベース期間演算回路TB
Nの実施例を示す図である。
【図25】図25は、特性傾斜制御回路KCの機能をハ
ードウエアで実行する実施例のブロック図である。
【図26】図26は、溶接中の経過時間tの時刻t1
で、アークが段差のある位置を通過したとき、アーク長
に対応した平均溶接電圧値Va、平均溶接電流値Ia及
びアーク長の変化Laを示す図である。
【図27】図27は、本発明のアーク長復帰制御によっ
て溶接をしてアークが段差を通過したときの溶接ビード
外観の変化状態を示す図である。
【図28】図28は、本発明のアーク長復帰制御方法又
はアーク長復帰制御回路を備えた溶接装置によって溶接
するときに、小電流、中電流又は大電流に対応させて電
源負荷端子特性PTをPTS、PTM又はPTHに変化
させたときの各特性について、ワイヤ送給速度設定信号
Ws の設定値又は平均溶接電流値Iとアーク負荷電圧値
Va との関係を示す図である。
【図29】図29は、平均溶接電流値Iとアーク熱ワイ
ヤ溶融特性MA及びジュール熱ワイヤ溶融特性MRのワ
イヤ溶融熱量との関係を示す図である。
【図30】図30は、図8に示す本発明の溶接装置を使
用して小電流値又は中電流値又は大電流値で溶接中に突
き出し長さExが変化したときに、それぞれアーク長L
の変化を示す図である。
【符号の説明】
AC…商用電源 AD1…検出電圧A/D変換回路 AD2…設定電圧A/D変換回路 AD3…検出電流A/D変換回路 AD4…設定速度A/D変換回路 AT,AT1乃至AT3,ATN,ATP…アーク負荷
特性 CM1…設定・検出電流比較回路 CM2…設定・検出電圧比較回路 DA1…溶接電流D/A変換回路 DF…パルス周波数・幅制御回路 Fb…ベース期間の変化率の関数 Fk…電源負荷端子特性(電源外部特性)の傾きの関数 I,I1 乃至I4 …平均溶接電流値 IAV…溶接電流値演算回路 IBS…ベース電流値設定回路 IC…ピーク・ベース電流制御回路 ICD…制御電流ディジタル信号出力回路 ID…溶接電流検出回路 IDA…検出電流平滑回路 IPB…ピーク・ベース電流値制御回路 IPS…ピーク電流値設定回路 IT…特性・電流乗算回路 KC…特性傾斜制御回路 KT…特性傾斜演算回路 L,L1乃至L6…アーク長 L1…段差変化前のアーク長 L2…段差変化後のアーク長 MA…アーク熱ワイヤ溶融特性 MRL,MRS…ジュール熱ワイヤ溶融特性 PK…電源出力端子特性 PS…溶接電源/パルス溶接電源 PT,PTD,PTU,PT1乃至PT4…電源負荷端
子特性 PTH…電源負荷端子特性(大電流用) PTM…電源負荷端子特性(中電流用) PTR…基準電源負荷端子特性 PTS…電源負荷端子特性(小電流用) SW1…ピーク・ベース電流値切換回路 TB…ベース期間算出回路 TBC…ベース期間カウンタ TBN…ベース期間演算回路 TP…パルス幅設定回路 TPB…ピーク期間設定・ベース期間制御回路 TPC…ピーク期間カウンタ VA…溶接電圧平均値演算回路 VD…溶接電圧瞬時値検出回路 VDA…検出電圧平滑回路 VE…平均・設定差電圧値演算回路 VF…電圧・周波数変換回路 VI…検出電圧積算回路 VS…溶接電圧設定回路 VT…溶接電圧演算回路 WK…特性傾斜演算回路 WM…ワイヤ送給モータ WS…ワイヤ送給速度設定回路 WT…電源基準特性設定回路 Z…インピータンス Ck …クロック信号 Cm1…溶接電流制御信号 Cm2…設定・検出電圧比較信号 Df …パルス周波数・幅制御信号 Ex,Ex1乃至Ex6…突き出し長さ e(n-1) …平均・設定差電圧信号/平均・設定差電圧値 I…溶接電流/溶接電流値 Ia…平均溶接電流/平均溶接電流値 Ia(n-1)…溶接電流平均値 Iav…溶接電流平均値信号 Ib…ベース電流/ベース電流値 Ibs…ベース電流値設定信号/ベース電流設定値 Ica…制御電流アナログ信号 Icd…制御電流ディジタル信号 Id …溶接電流検出信号 Ida…検出電流平滑信号 Idd…検出電流ディジタル信号/検出溶接電流値 Ip…ピーク電流値 Ips…ピーク電流値設定信号/ピーク電流設定値 It …特性・電流乗算信号 Kt…電源負荷端子特性の傾き Kt …特性傾斜信号 La…平均アーク長 m…サンプリング個数 Sw1…ピーク・ベース電流値切換信号 t…経過時間 Tb…ベース期間 Tbc…ベース期間カウント値 Tbk…ベース期間完了信号 Tbn…n周期目のベース期間/ベース期間制御信号 Tb(n-1)…(n−1)回目の周期のベース期間 Tp …パルス周波数・幅信号 Tp…ピーク期間 Tp …パルス幅設定信号 Tpc…ピーク期間カウント値 Tpk…ピーク期間完了信号 Ts …通電指令信号 Va …アーク負荷電圧値/負荷端子電圧値 Va1…段差変化前の平均溶接電圧値 Va2…段差変化後の平均溶接電圧値 Va(n-1)…溶接電圧平均値信号/(次の)周期の溶接電
圧平均値 Vd …溶接電圧瞬時値検出信号 Vda…検出電圧平滑信号 Vdd…検出電圧ディジタル信号/検出電圧値 Vf …周波数制御信号 Vi …積算電圧ディジタル信号/積算電圧値 Vm…陽極電圧降下 Vn…次周期溶接電圧値/次周期溶接電圧値信号 Vp ,Vpd,Vpu,Vph,Vpm,Vps…溶接電源出力電
圧値 Vs …溶接電圧設定信号 Vsd…設定電圧ディジタル信号 Vt …(次周期)溶接電圧制御信号/次周期溶接電圧値 Vw …ワイヤ溶融速度 Vz…インピータンス降下 Wm …ワイヤ溶融熱量 Ws ,Ws1乃至Ws4…ワイヤ送給速度設定信号/ワイヤ
送給速度設定値 Wsd…設定速度ディジタル信号/ワイヤ送給速度設定値 Wt …電源基準特性設定信号/電源基準特性設定値 ΔMA…アーク熱ワイヤ溶融変化量 ΔMR…ジュール熱ワイヤ溶融変化量 ΔM…ワイヤ溶融変化量 θ…アーク・電源特性傾斜角度差
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武田 恒雄 大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式会 社ダイヘン内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接電圧の瞬時値を検出して平滑しない
    で、パルス電流の設定した1周期又は短周期ごとに溶接
    電圧平均値を算出し、設定された溶接電圧設定値と比較
    し、その比較値によって、次の周期のベース期間を算出
    するとともに、平均溶接電流値の変化に対応させて、電
    源負荷端子特性を、アーク負荷特性の傾きの変化に追従
    させて、アーク長が変動したときアーク長を復帰させる
    パルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法。
  2. 【請求項2】 溶接電圧の瞬時値を検出して平滑しない
    で、パルス電流の設定した1周期又は短周期ごとに溶接
    電圧平均値を算出し、設定された溶接電圧設定値と比較
    し、その比較値によって、次の周期のベース期間を算出
    するとともに、平均溶接電流値の変化に対応させて、電
    源負荷端子特性を、アーク・電源特性傾斜角度差を設け
    て、アーク負荷特性の傾きの変化に追従させて、アーク
    長が変動したときアーク長を復帰させるパルスアーク溶
    接のアーク長復帰制御方法。
  3. 【請求項3】 溶接電圧の瞬時値を検出して平滑しない
    で、パルス電流の設定した1周期又は短周期ごとに溶接
    電圧平均値を算出し、設定された溶接電圧設定値と比較
    し、その比較値によって、次の周期のベース期間を算出
    するとともに、電源負荷端子特性を溶接電流平均値の設
    定と連動させ、適正な電源負荷端子特性の溶接電流を出
    力してアーク長が変動したときアーク長を復帰させるパ
    ルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法。
  4. 【請求項4】 溶接電圧の瞬時値を検出して平滑しない
    で、パルス電流の設定した1周期又は短周期ごとに溶接
    電圧平均値を算出し、設定された溶接電圧設定値と比較
    し、その比較値によって、次の周期のベース期間を算出
    するとともに、電源負荷端子特性をワイヤ送給速度の設
    定と連動させ、適正な電源負荷端子特性の溶接電流を出
    力して、アーク長が変動したときアーク長を復帰させる
    パルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法。
  5. 【請求項5】 溶接中のピーク期間及びベース期間が設
    定されたピーク期間及び算出されたベース期間に達した
    かどうかを判別して、ピーク期間に達していないとき
    は、設定したピーク電流値の値を出力して達するまで繰
    り返し、設定されたピーク期間に達していたときは、設
    定したベース電流値の値を出力し、算出されたベース期
    間に達していないときはベース電流値の値を出力して達
    するまで繰り返し、達したときは次のベース期間を算出
    するステップに進むパルス周期終了判別ステップと、 算出されたベース期間に達したときは、ワイヤ送給速度
    設定値と基準電源負荷端子特性Rを設定する電源基準特
    性設定値との差の特性傾斜信号を出力する特性傾斜演算
    ステップと、 特性傾斜信号と溶接電流平均値信号とを入力して、積に
    比例する特性・電流乗算信号を出力する特性・電流乗算
    ステップと、 溶接電圧設定信号と特性・電流乗算信号とを入力して溶
    接電圧制御信号を出力する溶接電圧演算ステップと、 パルス周期の1周期が終了したとき、検出電圧値を積算
    した積算電圧値から、その周期の溶接電圧平均値を算出
    し、その溶接電圧平均値と溶接電圧制御信号の次周期の
    溶接電圧値とから、その周期のベース期間を算出して次
    回の周期のベース期間とするベース期間演算ステップと
    から成り、 通電指令信号が終了するまで、次の周期終了判別ステッ
    プを繰り返して設定されたピーク期間に、設定されたピ
    ーク電流値の電流を通電し、算出されたベース期間に、
    設定したベース電流値の電流を通電するパルスアーク溶
    接のアーク長復帰制御方法。
  6. 【請求項6】 溶接中のピーク期間が設定されたピーク
    期間の設定値に達したかどうかを判別して、ピーク期間
    に達していないときは、設定したピーク電流値の値を出
    力して達するまで繰り返し、設定されたピーク期間に達
    していたときは、設定したベース電流値の値を出力する
    ピーク期間終了判別ステップと、 ベース期間が、算出されたベース期間に達したかどうか
    を判別し、ピーク期間に達していないときは、ベース電
    流値の値を出力して達するまで繰り返すベース期間終了
    判別ステップと、 算出されたベース期間に達したときは、ワイヤ送給速度
    設定値と基準電源負荷端子特性Rを設定する電源基準特
    性設定値との差の特性傾斜信号を出力する特性傾斜演算
    ステップと、 特性傾斜信号と溶接電流平均値信号とを入力して、積に
    比例する特性・電流乗算信号を出力する特性・電流乗算
    ステップと、 溶接電圧設定信号と特性・電流乗算信号とを入力して溶
    接電圧制御信号を出力する溶接電圧演算ステップと、 算出されたベース期間に達してパルス周期の1周期が終
    了したとき、検出電圧値Vddを積算した積算電圧値か
    ら、その周期の溶接電圧平均値を算出する溶接電圧平均
    値演算ステップと、 溶接電圧平均値と溶接電圧制御信号の次周期の溶接電圧
    値との差電圧及び前回の周期のベース期間から、次回の
    周期のベース期間を算出するベース期間算出ステップと
    から成り、 通電指令信号が終了するまで、設定されたピーク期間
    に、設定したピーク電流値の電流を通電し、算出された
    ベース期間に、設定したベース電流値の電流を通電する
    パルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法。
  7. 【請求項7】 ピーク期間、ピーク電流値及びベース電
    流値を設定する初期設定ステップと、 溶接中のピーク期間が設定されたピーク期間に達したか
    どうかを判別して、ピーク期間に達していないときは、
    ピーク電流値の値を出力して達するまで繰り返し、設定
    されたピーク期間に達していたときは、ベース電流値の
    値を出力するピーク期間終了判別ステップと、 検出電圧値を積算して積算電圧値を記憶する検出電圧積
    算ステップと、 ベース期間が、算出されたベース期間に達したかどうか
    を判別し、ピーク期間に達していないときは、ベース電
    流値の値を出力して達するまで繰り返すベース期間終了
    判別ステップと、 算出されたベース期間に達したときは、ワイヤ送給速度
    設定値と基準電源負荷端子特性を設定する電源基準特性
    設定値との差の特性傾斜信号を出力する特性傾斜演算ス
    テップと、 特性傾斜信号と溶接電流平均値信号とを入力して、積に
    比例する特性・電流乗算信号t を出力する特性・電流乗
    算ステップと、 溶接電圧設定信号と特性・電流乗算信号とを入力して溶
    接電圧制御信号を出力する溶接電圧演算ステップと、 算出されたベース期間に達してパルス周期の1周期が終
    了したとき、検出電圧値を積算した積算電圧値から、そ
    の周期の溶接電圧平均値を算出する溶接電圧平均値演算
    ステップと、 溶接電圧平均値と溶接電圧制御信号の次周期の溶接電圧
    値とから、その差の平均・設定差電圧値を算出する平均
    ・設定差電圧値演算ステップと、平均・設定差電圧値
    を、ベース期間の変化率を算出する関数に代入し、その
    周期のベース期間と乗算して算出し、次回の周期のベー
    ス期間とするベース期間算出ステップとから成り、 通電指令信号が終了するまで、設定されたピーク期間
    に、設定したピーク電流値の電流を通電し、算出された
    ベース期間に、設定したベース電流値の電流を通電する
    パルスアーク溶接のアーク長復帰制御方法。
  8. 【請求項8】 検出電圧ディジタル信号の検出電圧値を
    積算して、その値の積算電圧ディジタル信号を出力する
    検出電圧積算回路と、 積算電圧ディジタル信号の溶接電圧平均値を算出し、そ
    の値の溶接電圧平均値信号を出力する溶接電圧平均値演
    算回路と、 算出されたベース期間に達したときは、ワイヤ送給速度
    設定値と基準電源負荷端子特性を設定する電源基準特性
    設定値との差の特性傾斜信号を出力する特性傾斜演算回
    路と、 特性傾斜信号と溶接電流平均値信号とを入力して、積に
    比例する特性・電流乗算信号t を出力する特性・電流乗
    算回路と、 溶接電圧設定信号と特性・電流乗算信号とを入力して溶
    接電圧制御信号を出力する溶接電圧演算回路と、 溶接電圧平均値信号の溶接電圧平均値と溶接電圧制御信
    号の次周期の溶接電圧値とから次回のベース期間を算出
    し、その値のベース期間制御信号を出力するベース期間
    算出回路と、 設定されたパルス幅のピーク期間に設定したピーク電流
    を出力し、算出されたベース期間に、設定したベース電
    流を出力するピーク・ベース電流値御回路とから成り、 通電指令信号が終了するまで、設定されたピーク期間
    に、設定したピーク電流値の電流を通電し、算出された
    ベース期間に、設定したベース電流値の電流を通電する
    パルスアーク溶接装置。
  9. 【請求項9】 検出電圧ディジタル信号の検出電圧値を
    積算して、その値の積算電圧ディジタル信号を出力する
    検出電圧積算回路と、 積算電圧ディジタル信号の溶接電圧平均値を算出し、そ
    の値の溶接電圧平均値信号を出力する溶接電圧平均値演
    算回路と、 算出されたベース期間に達したときは、ワイヤ送給速度
    設定値と基準電源負荷端子特性を設定する電源基準特性
    設定値との差の特性傾斜信号を出力する特性傾斜演算回
    路と、 特性傾斜信号と溶接電流平均値信号とを入力して、積に
    比例する特性・電流乗算信号を出力する特性・電流乗算
    回路と、 溶接電圧設定信号と特性・電流乗算信号とを入力して溶
    接電圧制御信号を出力する溶接電圧演算回路と、 溶接電圧平均値信号の溶接電圧平均値と溶接電圧制御信
    号の次周期の溶接電圧値とを引算し、その値の平均・設
    定差電圧信号を出力する平均・設定差電圧値演算回路
    と、 平均・設定差電圧信号の値の平均・設定差電圧値を、ベ
    ース期間の変化率を算出する関数に代入して、次回のベ
    ース期間を算出し、その値のベース期間制御信号を出力
    するベース期間算出回路と、 設定されたパルス幅のピーク期間に設定したピーク電流
    を出力し、算出されたベース期間に、設定したベース電
    流を出力するピーク・ベース電流値御回路とから成り、 通電指令信号が終了するまで、設定されたピーク期間
    に、設定したピーク電流値の電流を通電し、算出された
    ベース期間に、設定したベース電流値の電流を通電する
    パルスアーク溶接装置。
  10. 【請求項10】クロック信号ごとに読み込んだ検出電圧
    ディジタル信号の検出電圧値を積算して積算電圧値を算
    出し、その値の積算電圧ディジタル信号を出力する検出
    電圧積算回路と、 算出されたベース期間に達したときは、ワイヤ送給速度
    設定値と基準電源負荷端子特性を設定する電源基準特性
    設定値との差の特性傾斜信号を出力する特性傾斜演算回
    路と、 特性傾斜信号と溶接電流平均値信号とを入力して、積に
    比例する特性・電流乗算信号を出力する特性・電流乗算
    回路と、 溶接電圧設定信号と特性・電流乗算信号とを入力して溶
    接電圧制御信号を出力する溶接電圧演算回路と、 ベース期間完了信号が入力されたときに積算電圧ディジ
    タル信号を入 設定されたパルス幅のピーク期間に設定
    されたピーク電流を出力し、算出されたベース期間に、
    設定されたベース電流を出力するピーク・ベース電流値
    御回路と力して、その積算電圧値を積算した個数で除算
    して溶接電圧平均値を算出し、その値の溶接電圧平均値
    信号を出力する溶接電圧平均値演回路と、 溶接電圧平均値信号と溶接電圧制御信号とを入力して、
    それらの値の溶接電圧平均値と溶接電圧制御信号の次周
    期の溶接電圧値とを引算してその差の平均・設定差電圧
    値を算出し、その値の平均・設定差電圧信号を出力する
    平均・設定差電圧値演算回路と、 平均・設定差電圧信号を入力して、その値の平均・設定
    差電圧値を、ベース期間の変化率を算出する関数に代入
    して前回の周期のベース期間と乗算し、次回のベース期
    間を算出し、その値のベース期間制御信号を出力するベ
    ース期間算出回路と、 設定されたパルス幅のピーク期間に設定されたピーク電
    流を出力し、算出されたベース期間に、設定されたベー
    ス電流を出力するピーク・ベース電流値御回路とから成
    り、 設定されたパルス幅のピーク期間に設定したピーク電流
    を出力し、算出されたベース期間に、設定したベース電
    流を出力するパルスアーク溶接装置。
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