JPH09276400A - 透析用フィン付き中空糸膜およびその製造方法 - Google Patents

透析用フィン付き中空糸膜およびその製造方法

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JPH09276400A
JPH09276400A JP11215196A JP11215196A JPH09276400A JP H09276400 A JPH09276400 A JP H09276400A JP 11215196 A JP11215196 A JP 11215196A JP 11215196 A JP11215196 A JP 11215196A JP H09276400 A JPH09276400 A JP H09276400A
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Japan
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hollow fiber
fiber membrane
membrane
fins
fin
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JP11215196A
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Takahiro Omichi
高弘 大道
Takuro Yoneda
卓郎 米田
Takeyuki Kawaguchi
武行 川口
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のフィン付き中空糸膜でのフィン付与部
での膜厚増加による物質透過係数の低下を防止した新規
な透析用フィン付き中空糸膜を提供し、かつ、この中空
糸膜の製造方法を提供する。 【解決手段】 繊維形成性高分子化合物を水溶性有機溶
剤に溶解させた紡糸原液を、環状紡糸孔から気体雰囲気
中に吐出すると同時に、該環状紡糸孔の中央から芯剤を
吐出させ、次いで水系の凝固浴に導入して中空糸膜を製
造する方法において、紡糸原液に対して凝固性のない芯
剤を用い、かつ紡糸原液をフィン形成用の放射状スリッ
トを有する環状紡糸孔から気体雰囲気中に吐出後、0.
001〜0.01秒の短い時間内に溶剤濃度50重量%
以下の水性凝固浴に導入して固化させることによって、
膜の透過性能を支配する緻密層(スキン層)が該中空糸
全体の外層部に形成されており、該緻密層の厚さが30
〜1000nmでかつ該緻密層における平均孔半径が5
〜15nmであり、そして、膜全体の平均空孔率が60
〜85%である、偏流防止効果、透析性能にすぐれたフ
ィン付き中空糸膜を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は血液浄化に有効な透
析用中空糸膜およびその製造法に関するものである。さ
らに詳しくは、血液浄化に有効なフィン付き透析用中空
糸膜および該中空糸膜を半乾半湿式紡糸法で工業的に製
造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】中空糸モジュールにおける血液透析にお
いては、その透析性能は基本的に膜の物質透過係数で支
配されるが、その透過係数の高い低分子の透過に関して
は、透析液の偏流特性がその透析性能を大きく左右す
る。したがって、高い低分子透析性能を得るためには、
モジュールの偏流を抑制する必要がある。
【0003】モジュールの透析液偏流を抑制する方法と
して、中空糸膜間の密着を抑制するために、中空糸膜間
にスペーサ・ヤーン類を配置する方法(特公昭59−1
8084号、特開昭60ー244304号、特開平2−
140172号、特開平4ー2270号)や、中空糸膜
にクリンプを付与する方法(特開昭57ー19400
7、特公平3−69573、特公平5−12013号)
などが知られている。
【0004】前者の場合、その製造工程が複雑となりコ
ストアップとなるばかりでなく、スペーサ・ヤーンの配
置によりモジュール内の糸の充填本数が低下するため、
モジュールサイズが大きくなるという問題点がある。ま
た、後者の場合、捲縮加工に代表されるクリンプ付与操
作により残血の原因となる変形糸(つぶれ糸)が生じや
すいという問題点を有する。
【0005】これら両者の問題点を解決する方法とし
て、中空糸膜にフィンを付与する方法が提案されている
(特開昭61−119274、特開昭61−12060
6、特開昭61−274706、特開昭61−2909
60号、米国特許4781833号、米国特許5063
009号)。しかし、この方法は、溶融紡糸によってフ
ィン付きの中空糸膜を製造するために、膜の内外層とも
均質で全体にわたり緻密な膜構造を有しており、フィン
付与部は実質上膜厚が増加するために、その部分では物
質透過係数が低下してしまうという問題点を有してい
た。すなわち、従来のフィン付き中空糸膜では、フィン
付与により透析液偏流は抑制できても、膜の物質透過係
数はフィンを付与していない通常の中空糸膜に比較して
低下することが避けられないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
主たる目的は、上記のような問題点を解決し、従来のフ
ィン付き中空糸膜でのフィン付与部での膜厚増加による
物質透過係数の低下を防止した新規なフィン付き中空糸
膜およびその製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決するため鋭意研究した結果、中空糸膜外層部
のみに透過の律速層となる活性緻密層を配置した不均一
膜構造となしたフィンを形成させることにより、膜厚の
増加したフィン付与部での物質透過係数の低下を引き起
こすことなく、一段と良好な透析性能を有するフィン付
き中空糸膜が得られることを見い出し、本発明に到達し
た。
【0008】すなわち、本発明の透析用フィン付き中空
糸膜は、該中空糸膜の外周に該糸の長さ方向に連続した
フィンを複数個設けたフィン付き中空糸膜であって、膜
の透過性能を支配する緻密層が該中空糸膜全体の外層部
に形成され、該緻密層の厚さは30〜1000nmで、
かつ該緻密層における平均孔半径は5〜15nmであ
り、しかも、膜全体の平均空孔率が60〜85%である
ことを特徴とする新規な透析用フィン付き中空糸膜であ
る。
【0009】本発明のフィン付き中空糸膜において、各
フィンの高さがフィンのない部分の平均膜厚の1/2〜
3倍で、各フィンの幅がフィンの無い部分の平均膜厚の
1/2〜3倍であり、かつ、フィンの無い部分の平均膜
厚が10〜60μmであり、中空糸膜内径(中央の中空
部の直径)が100〜300μmであることが好まし
い。
【0010】また、該中空糸膜の素材は、セルロースジ
アセテート、セルローストリアセテートなどのセルロー
ス誘導体、あるいは、メチルメタクリレート系、ポリア
クリロニトリル系、ポリスルホン系もしくはポリカーボ
ネート系などの繊維形成性高分子化合物(ポリマー)で
あることが好適である。
【0011】また、かかるフィン付き中空糸膜を製造す
る本発明の方法は、繊維形成性高分子化合物を水溶性有
機溶剤に溶解させた紡糸原液を、環状紡糸孔から吐出す
ると同時に、該環状紡糸孔の中央から芯剤を吐出させ、
次いで水系の凝固浴に導入して中空糸膜を製造する方法
において、紡糸原液に対して凝固性のない芯剤を使用
し、かつ紡糸原液をフィン形成用の放射状スリットを有
する環状孔から気体雰囲気中に吐出後、0.001〜
0.01秒の短い時間内に溶剤濃度50重量%以下の水
性凝固浴に導入して固化させることにより、上記のフィ
ン付き中空糸膜を製造する方法である。
【0012】この場合、紡糸原液における高分子化合物
の濃度が15〜30重量%であることが適当であり、か
つ、紡糸時における水性凝固浴の温度が10〜50℃で
あることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】一般に、フィン付き中空糸膜は、
一般に、中心部に糸の長さ方向に連続した実質的に円形
断面の中空部が存在し、その中空部を取り囲んで円筒状
の高分子分離膜が存在し、その外周に中空糸の長さ方向
に連続したフィン(凸部)を複数個、好ましくは3〜8
個、設けたフィン付き中空糸膜である。
【0014】本発明に係る新規なフィン付き中空糸膜に
おいては、膜部分が中空糸膜膜の透過性能を支配する緻
密な外層部(以下「スキン層」という)と粗いポーラス
な構造の内層部とで構成された2層構造となっている。
そして、前者の緻密なスキン層が中空糸膜全体(フィン
部を含めて)の外層部に形成されており、この緻密なス
キン層は薄い層をなし、その厚さは30〜1000nm
であって、このスキン(緻密)層には大きな孔は見られ
ず、その平均孔半径は5〜15nmである。そして、こ
の緻密なスキン層とポーラスな内層部とを含む膜全体の
平均空孔率は60〜85%の範囲内にある。
【0015】ここで、「スキン層」とは、中空糸膜全体
の外層部に存在する実質的に微細孔のみが存在する部分
を指し、そこでは半径30nm以上の孔は観察されな
い。そして「スキン層の厚さ」とは、凍結乾燥法により
作製した中空糸膜の割断切片を電子顕微鏡で10万倍の
倍率で観察し、30nm未満の空孔しか観察されない緻
密な部分の厚みを示す。
【0016】本発明のフィン付き中空糸膜において、上
記スキン層の厚さは、30〜1000nmであることが
必要で、スキン層の厚さが30nm未満の場合、膜欠陥
が生じやすく、アルブミン等の有用タンパク質のリーク
を引き起こす可能性があり好ましくない。一方、スキン
層の厚さが1000nmを越える場合、膜の物質透過抵
抗が大きく好ましくない。
【0017】また、スキン層の平均孔半径は、DSC
(示差走査熱量)測定法によって、細孔径中の水の毛管
凝縮による凝固点降下度を測定することによって求めら
れる(「Membranes and membrane processes」p.507, P
lenum press,New York,1986 参照)。すなわち、水中に
浸漬した中空糸の内外表面の水を除いた後、−45℃に
冷却してから2.5℃/分の昇温速度で加熱しDSCを
測定し、そのピーク温度から活性スキン層の平均孔半径
を算出する。
【0018】本発明では、上記のスキン層平均孔半径が
5〜15nmであることが必要で、平均孔半径が5nm
未満の場合、β2-ミクログロブリンに代表される血中有
害低分子量タンパク質の除去が困難となる。また、その
平均孔半径が15nmを超える場合、アルブミンで代表
される血中有用タンパク質の漏れが顕著となり好ましく
ない。
【0019】また、中空糸膜全体の平均空孔率は次式に
より求めることが出来る。
【0020】
【数1】 平均空孔率=[(V−W/ρ)/V]×100% V:中空糸の水浸漬状態での体積(断面積×長さ) W:中空糸を乾燥し水を除去した時のポリマー重量 ρ:ポリマー比重
【0021】本発明のフィン付き中空糸膜にあっては、
上記式で求められる膜全体の平均空孔率が60〜85%
の範囲にある。平均空孔率が60%未満の場合、膜全体
の透過抵抗が大きくなりすぎ、高い透析性能を得ること
が出来ない。また、平均空孔率が85%より大きい場
合、十分な膜強度を得ることが困難となり、リーク等の
不良糸の発生確率が増加する。
【0022】中空糸膜外周に付与するフィンの形状とし
ては、その高さおよび幅がフィンのない部分の平均膜厚
の1/2〜3倍であることが好ましい。フィンの高さが
膜厚の1/2未満の場合、透析液偏流防止効果が不十分
で好ましくない。また、その高さが膜厚の3倍より大き
い場合、フィン内部の透過抵抗が大きくなるとともに、
モジュールへの糸の充填可能本数が低下するために、モ
ジュールが大きくなり好ましくない。また、フィンの幅
が膜厚の1/2未満の場合、フィン内部の透過抵抗が大
きくなり好ましくない。また、その幅が膜厚の3倍より
大きい場合、膜厚の厚いフィン部の面積が大きくなりす
ぎ好ましくなくなる。
【0023】中空糸膜に付与するフィンの数としては3
〜8個が好ましく、実質的に等間隔(等角度)で放射状
に設けるのが好ましい。フィンの数が2個以下の場合、
十分な偏流防止効果を得ることが困難となる。また、フ
ィンの数が9個以上の場合、フィン部の面積が大きくな
りすぎ好ましくない。フィン部の形状および数は、基本
的に紡糸口金に穿設した紡糸孔(ノズル)のスリット形
状により制御することが可能である。
【0024】中空糸膜のフィンのない部分の平均膜厚
は、10〜60μmが好ましい。その膜厚が10μm未
満の場合、糸の強度が不十分となり、ハンドリングなど
で糸リークが発生し易くなる。また、その膜厚が60μ
mより大きくなると、膜全体の透過抵抗が大きくなると
ともに、中空糸の外径が大きくなるために、モジュール
への糸の充填本数が低下し、結果的にモジュールサイズ
が大きくなり、好ましくない。該中空糸の内径として
は、100〜300μmが好ましい。
【0025】本発明に用いられる中空糸の膜素材として
は、水溶性の有機溶剤に可溶な繊維形成性高分子化合物
が好ましい。具体的には、セルロースジアセテート、セ
ルローストリアセテートなどのセルロース誘導体、ポリ
メチルメタクリレート系、ポリアクリロニトリル系、ポ
リスルホン系およびポリカーボネート系高分子化合物が
好適である。これら高分子化合物は単独で用いても、他
の高分子化合物とブレンドして用いてもかまわない。
【0026】本発明のフィン付き中空糸膜を得るために
は、特殊な紡糸条件を採用する必要がある。すなわち、
繊維形成性の高分子化合物を水溶性有機溶剤に溶解させ
た紡糸原液を環状紡糸孔から気体雰囲気中に吐出すると
同時に、環状紡糸孔の中央から芯剤を吐出させ、次いで
水系の凝固浴に導入して中空糸を製造する半乾半湿式法
(乾湿式法)を採用し、紡糸原液に対して凝固性のない
芯剤を用い、フィン形成用放射状スリット付きの環状紡
糸孔から吐出された紡糸原液を気体雰囲気中に吐出後、
0.001〜0.01秒の短いエアギャップ時間内に溶
剤濃度50重量%以下の水性凝固浴に導いて固化させる
ことによって中空糸を形成させる方法が採用される。こ
の際、エアギャップ時間が0.001秒未満の条件で
は、エアギャップ長が短かすぎ実質上採用困難である。
また、0.01を超える条件では、紡糸原液の表面張力
により、エアギャップ中でフィンが鈍り、好適なフィン
を付与することが困難となる。
【0027】芯剤としては、紡糸原液に対して凝固性の
ないものが好ましい。凝固性のあるもの用いた場合、中
空糸内層部に膜性能を支配する活性スキン層が形成され
てしまい、本発明の効果が失われてしまう。好適な芯剤
としては、イソプロピルミリステートに代表される長鎖
脂肪酸エステルや流動パラフィンなどの非水溶性液体や
気体を挙げることが出来る。
【0028】凝固浴としては、水溶性有機溶剤濃度が5
0重量%以下の水系凝固浴が好ましく使用される。凝固
浴の溶剤濃度が50重量%を越えると、吐出後、上記の
条件で凝固浴に導入された紡糸原液の凝固が遅れるため
に、中空糸外層部に明瞭なスキン層が形成され難くなる
とともに、形成されたスキン層の平均孔半径が15nm
以上となり、アルブミン等の漏れが生じやすくなる。
【0029】凝固浴の温度としては、10〜50℃が好
ましい。凝固浴温度が10℃未満の場合、スキン層の平
均孔径が小さくなりすぎ、また、凝固浴温度が50℃よ
り高くなると、スキン層の孔径が大きくなりすぎるの
で、いずれも好ましくない。
【0030】本発明方法に用いられる高分子化合物の紡
糸原液濃度は、15〜30重量%が好適である。その濃
度が15重量%未満の場合スキン層が薄くなりすぎると
ともに、上記平均孔径も大きくなりすぎ、アルブミン等
の有用タンパク質の漏れを生じ易くなるので好ましくな
い。また、その濃度が30重量%より高くなると、スキ
ン層が厚くなりすぎるとともに、平均空孔率が低下し、
好ましくない。
【0031】本発明方法に用いられる水溶性有機溶媒と
しては、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメ
チルアセトアミド,ジメチルスルホキシド,N−メチル
ピロリドン,アセトン,メタノール等の極性有機溶剤が
好ましいが、これに限定されるものではない。
【0032】中空糸形成用の高分子化合物がセルロース
トリアセテートであり、かつ中空糸形成用の芯剤として
液状パラフィンを使用する場合は、上記溶媒と共に相分
離剤を併用するのが適当である。好ましい相分離剤とし
ては、ポリエチレングリコール系、ポリプロピレングリ
コール系、グリセリン、ブタンジオールなどが挙げられ
る。
【0033】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例をもって具体的
に説明する。実施例および比較例で示すデキストラン7
万分子のふるい係数[SC7万]およびリンのクリアラ
ンスはin- vitroで以下のごとく測定した。
【0034】[SC7万] SC7万=C2 ÷C1 上記式中、C2 ;源液中のデキストラン7万分子の濃
度、C1 ;透過液のデキストラン7万分子の濃度 ここで、中空糸内側入り流量は200ml/分、出口側
流量は190ml/分とした。
【0035】[リンのクリアランス] リン500 :中空糸内側流量200ml/分、中空糸外側
(透析液側)流量500ml/分の条件で測定したクリ
アランス リン2000:中空糸内側流量200ml/分、中空糸外側
(透析液側)流量2000ml/分の条件で測定したク
リアランス
【0036】[実施例1]セルローストリアセテート
を、プロピレングリコール含有N−メチルピロリドンに
ポリマー濃度20.5重量%の割合で溶解した紡糸原液
を調製し、この紡糸原液を、6本のフィン形成用スリッ
トを60度の間隔で放射状に設けた0.6mmφの環状
スリット紡糸孔から空気中に吐出すると同時に、その中
心部から芯剤(流動パラフィン)を吐出し、0.004
秒の短いエアギャップ時間で凝固浴に導入し、フィン付
き中空糸膜を得た。この際、凝固浴としては温度29
℃、溶剤濃度20重量%の水系凝固浴を用いた。
【0037】かくして得られたフィン付き中空糸膜のス
キン層の厚みは約60nm、スキン層の平均孔半径は
7.5nm、膜全体の平均空孔率は70%であった。ま
た、中空糸内径は200μm、フィンの高さは30μ
m、フィンのない部分の平均膜厚は17μmで、各フィ
ンの幅は25μmであった。
【0038】このフィン付き中空糸膜の部分断面電子顕
微鏡写真を図1〜図3に示す。図1は該中空糸膜外側の
スキン層、図2は中心部、図3は内側部の電子顕微鏡写
真であって、これらの図1〜図3より、本発明の中空糸
膜の外層部には緻密なスキン層が形成され中空糸膜の内
装部(中央部)はポーラスな網目構造となっているのが
よく観察された。
【0039】得られた中空糸膜は、水洗・グリセリン付
着・乾燥し、約11,000本の中空糸膜からなる糸束
とし1.5m2 の透析用モジュールを作製した。後掲の
表1に各パラメータ値および透析用モジュールの性能測
定結果を示す。
【0040】この中空糸膜を内蔵したモジュールは、後
述の比較例2に示す対応するフィンなし中空糸膜のモジ
ュールに比較して、中空糸膜にフィンが付与され膜厚が
厚くなっている部分があるにも拘らず、SC7万は比較
例と同レベルであり、透水性は比較例より高い値を示し
た。また、同様に、リンのクリアランス(リン2000)も
比較例と同レベルであった。また、フィンを付与するこ
とにより、透析液偏流防止効果も十分に発現した(リン
500 参照)。
【0041】この結果は、フィンによる偏流防止効果を
発揮しつつ、膜の外側近傍が緻密なスキン構造となり内
側はポーラスな構造となっているために、その膜の物質
透過性が低下せず、逆に若干向上している事実を示すも
のである。
【0042】[実施例2]実施例1の環状スリット紡糸
孔径を0.8mmφとし、凝固浴温度を27℃とした以
外は実施例1と同様にしてフィンの無い部分の平均膜厚
が17μmのフィン付き中空糸膜を製造し、同様のモジ
ュールを作製した。
【0043】このモジュールの性能を表1に示すが、比
較例2と同レベルの透水性を示すにも拘らず、比較例2
より低いSC7万を示した。また、比較例と同レベルの
リン2000を示した。これは、フィンが付与され膜厚が厚
くなっている部分があるにも拘らず、フィンの部分が外
部スキン層構造となっているために、透析性が低下して
いないことを示している。
【0044】[比較例1]実施例2においてエアギャッ
プ時間を0.011秒と長くし、平均膜厚25μmのフ
ィン付き中空糸膜を製造し、モジュールを作製した。
【0045】エアギャップ時間を長くすることで、フィ
ンがエアギャップ中で鈍り、平均膜厚の1/2.5程度
の高さのフィンしか付与されなかった。また、これに伴
い、透析液偏流を防止するのが困難であった。
【0046】[比較例2]実施例1においてフィン形成
用スリットを有しない1.0mmφの環状紡糸孔を有す
る口金を用い、エアギャップ時間0.045秒の条件で
紡糸を行い、フィンのない平均膜厚17μmの中空糸膜
を得て、モジュールを作製した。
【0047】そのモジュールの性能を表1に示すが、中
空糸膜にフィンが付与されていないため、モジュールの
偏流が大きく安定したリンのクリアランス(リン500
を得ることが出来なかった。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、中空糸膜にフィンを付
与して透析液偏流を防止しつつ、膜の高い物質透過性を
保持し、従来のフィン付き中空糸膜ばかりでなく通常の
フィンなし中空糸膜に比べても優れた透析性能をもつ中
空糸膜モジュールを提供することが可能となる。したが
って、本発明の新規なフィン付き中空糸膜は血液透析用
として特に優れた性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で示したフィン付き中空糸膜のフィン
付き部における膜外側(フィンの外周部付近)の断面の
走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率10万倍)。
【図2】実施例1で示したフィン付き中空糸膜のフィン
付き部における膜中心部(フィン付け根付近)の断面の
走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率10万倍)。
【図3】実施例1で示したフィン付き中空糸膜のフィン
付き部における膜内側(中空部に近い部分)の走査型電
子顕微鏡(SEM)写真(倍率10万倍)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 71/42 B01D 71/42 71/50 71/50 71/68 71/68

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空糸膜の外周に該糸の長さ方向に伸び
    たフィンを複数個設けたフィン付き中空糸膜において、
    膜の透過性能を支配する緻密層が該中空糸膜全体の外層
    部に形成されており、該緻密層の厚さが30〜1000
    nmでかつ該緻密層における平均孔半径が5〜15nm
    であり、そして、膜全体の平均空孔率が60〜85%で
    あることを特徴とする、透析用フィン付き中空糸膜。
  2. 【請求項2】 フィン付き中空糸膜において、各フィン
    の高さがフィンのない部分の平均膜厚の1/2〜3倍
    で、各フィンの幅がフィンの無い部分の平均膜厚の1/
    2〜3倍であり、かつ、フィンの無い部分の平均膜厚が
    10〜60μmであり、中空糸内径(中空部の直径)が
    100〜300μmであることを特徴とする、請求項1
    記載の透析用フィン付き中空糸膜。
  3. 【請求項3】 中空糸膜素材が、セルロース誘導体また
    はポリメチルメタクリレート系、ポリアクリロニトリル
    系、ポリスルホン系もしくはポリカーボネート系の繊維
    形成性高分子化合物からなることを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の透析用フィン付き中空糸膜。
  4. 【請求項4】 繊維形成性高分子化合物を水溶性有機溶
    剤に溶解させた紡糸原液を、環状紡糸孔から吐出すると
    同時に、該環状紡糸孔の中央から芯剤を吐出させ、次い
    で水系の凝固浴に導入して中空糸膜を製造する方法にお
    いて、紡糸原液に対して凝固性のない芯剤を用い、かつ
    紡糸原液をフィン形成用の放射状スリットを有する環状
    紡糸孔から気体雰囲気中に吐出後、0.001〜0.0
    1秒の短い時間内に溶剤濃度50重量%以下の水性凝固
    浴に導入して固化させることを特徴とするフィン付き中
    空糸膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 紡糸原液における高分子化合物の濃度が
    15〜30重量%であることを特徴とする請求項4記載
    のフィン付き中空糸膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 凝固浴の温度を10〜50℃として紡糸
    することを特徴とする請求項4または請求項5記載のフ
    ィン付き中空糸膜の製造方法。
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