JPH09272779A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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JPH09272779A
JPH09272779A JP8502196A JP8502196A JPH09272779A JP H09272779 A JPH09272779 A JP H09272779A JP 8502196 A JP8502196 A JP 8502196A JP 8502196 A JP8502196 A JP 8502196A JP H09272779 A JPH09272779 A JP H09272779A
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group
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polymer
compound
halogenated
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JP8502196A
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Kazunori Maruyama
和則 丸山
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 混練加工時及び成形加工時の金属への付着が
少なく、優れた熱安定性と耐光性を両立した難燃性熱可
塑性樹脂組成物。 【解決手段】 芳香族ビニル単量体をグラフト重合させ
た(A)グラフト(共)重合体10〜100重量部と、
芳香族ビニル単量体を重合させた(B)(共)重合体0
〜90重量部と、(C)一般式(1) (式中nは0〜15の整数を、Xは臭素又は塩素を、
a,b,c,dは1〜4の整数を、R1はイソプロピリ
デン基、メチレン基又はスルホン基を、R2、R3はそれ
ぞれ2,3−エポキシプロピル基及び/又は−CH2
H(OH)CH2OR 4基[R4は臭素又は塩素で置換さ
れていても良いアリル基又はアルキル基]を示す。)で
表されるハロゲン化化合物1〜35重量部からなること
を特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、混練加工時及び成
形加工時の金属への付着が少なく、かつ光による経時変
色劣化の少ない、優れた熱安定性と耐光性を両立した難
燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS、HIPS等に代表されるスチレ
ン系樹脂は優れた成形加工性、機械的特性、外観等の特
徴を有していることから、電気製品、事務機器等の用途
に広く用いられている。これらの用途では、内部部品の
発熱、発火源等の問題から樹脂の難燃化が要求される場
合が多い。そのような要請に応えるため臭素や塩素等の
ハロゲン元素を含有する有機化合物を難燃剤として配合
する技術が用いられているが、ハロゲン化有機化合物を
配合した樹脂組成物は、一般に蛍光灯や日光等の光によ
り時間と共に樹脂が黄味に変色してしまうという欠点を
有している。しかし、事務機器等の用途では、外観上の
問題から特に優れた耐光性が要求される場合が多く、光
変色の少ない難燃性樹脂組成物の開発が課題となってい
た。
【0003】これまでに、例えば特公昭53−1101
7号公報では両末端にエポキシ基を有するハロゲン化エ
ポキシ化合物を用いて、耐光性に優れた熱可塑性樹脂を
得る技術が開示されている。しかし該ハロゲン化エポキ
シ化合物は両末端にエポキシ基を有するために、樹脂組
成物の金属付着反応及びゲル化反応が起こりやすいとい
う欠点があった。即ち、樹脂組成物の混練加工時及び成
形加工時に加工機の金属スクリュー表面に樹脂が付着
し、さらに付着樹脂中でエポキシ化合物が加熱されてゲ
ル化反応が起こり、樹脂の着色や炭化等が発生して成型
品が汚染されるという問題があった。
【0004】ハロゲン化エポキシ化合物の金属付着性を
抑制する技術として、金属付着反応の反応点である末端
エポキシ基をフェノール類やアルコール類等の低分子化
合物で封止する技術が提案されている。例えば特公昭5
2−16130号公報には全ての末端エポキシ基を臭素
化フェノールで封止したハロゲン化エポキシ化合物が、
特開昭62−4737号公報には両方の末端エポキシ基
を臭素化フェノールで封止したハロゲン化エポキシ化合
物60〜100モル%と一方の末端エポキシ基を臭素化
フェノールで封止したハロゲン化エポキシ化合物40〜
0モル%との混合物を含む熱可塑性樹脂組成物が開示さ
れているが、ハロゲン化エポキシ化合物の優れた耐光性
は末端エポキシ基の作用であるため、その全て乃至大部
分を封止してしまうことによって、樹脂組成物の耐光性
が大幅に悪化するという欠点があった。
【0005】即ち、ハロゲン化エポキシ化合物の長所で
ある優れた耐光性と、短所である金属付着性のいずれも
が、末端エポキシ基に由来するため、優れた耐光性と優
れた熱安定性を両立させた樹脂組成物を得ることは極め
て困難であった。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】本発明はハロゲン化
エポキシ化合物を含む難燃性熱可塑性樹脂組成物におい
て、優れた耐光性と優れた熱安定性を両立させた樹脂組
成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を行った結果、末端エポキシ基を低
分子化合物で封止したハロゲン化化合物において、特定
の化合物を一定量使用し、特定の末端封止率を選択する
ことによって、優れた耐光性と熱安定性を両立可能な難
燃性樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明に到
達した。
【0008】即ち本発明は、芳香族ビニル単量体60〜
100重量%及び芳香族ビニル単量体と共重合可能な単
量体0〜40重量%からなる混合物を、ゴム質重合体の
存在下でグラフト重合させた(A)グラフト(共)重合
体10〜100重量部と、芳香族ビニル単量体60〜1
00重量%及び芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量
体0〜40重量%を重合させた(B)(共)重合体0〜
90重量部よりなる樹脂混合物100重量部、及び、
(C)下記一般式
【0009】
【化2】
【0010】(式中nは0〜15の整数を、Xは臭素又
は塩素を、a,b,c,dは1〜4の整数を、R1はイ
ソプロピリデン基、メチレン基又はスルホン基を、
2、R3はそれぞれ2,3−エポキシプロピル基及び/
又は−CH2CH(OH)CH2OR 4基[R4は臭素又は
塩素で置換されていても良いアリル基又はアルキル基]
を示す。)
【0011】で表されるハロゲン化化合物であって、R
2 、R3の一方が2,3−エポキシプロピル基であり、
他方が−CH2CH(OH)CH2OR4基であるハロゲ
ン化化合物を30モル%以上含有し、かつ全ハロゲン化
化合物の末端封止率が20〜70モル%であるハロゲン
化化合物1〜35重量部からなることを特徴とする難燃
性熱可塑性樹脂組成物である。
【0012】また、(A)及び/又は(B)の芳香族ビ
ニル単量体と共重合可能な単量体が、シアン化ビニル系
単量体であるのが好ましい。更に、(C)ハロゲン化化
合物が、R2及びR3の両方が2,3−エポキシプロピル
基である化合物と、R2及びR3の少なくとも一方が−C
2CH(OH)CH2OR4基[R4は臭素又は塩素で置
換されていても良いアリル基又はアルキル基]を示
す。)である化合物との混合物であるのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる(A)グラフ
ト(共)重合体とは、芳香族ビニル単量体60〜100
重量%及び芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体0
〜40重量%の混合物を、ゴム質重合体の存在下でグラ
フト重合させて得られるグラフト(共)重合体をいう。
【0014】本発明に関わる樹脂組成物が優れた物性、
難燃性、加工性を有するためには、(A)グラフト
(共)重合体の含有するゴム質重合体の重量平均粒子径
は0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜3μmであ
り、ゴム含有量は1〜80重量%、より好ましくは5〜
70重量%である方がよい。これらの値が上記範囲に満
たないと最終的に得られる樹脂の耐衝撃性が低下し、上
記範囲を越えると最終的に得られる樹脂の難燃性及び外
観光沢が低下する傾向がある。
【0015】(A)グラフト(共)重合体の構成成分で
あるゴム質重合体は、好ましくはガラス転移温度が0℃
以下、より好ましくは−20℃以下のものであり、例え
ばポリブタジエンや、ブタジエンと他の共重合性単量体
との共重合体から成るゴム質重合体等が挙げられる。上
記グラフト(共)重合体の構成成分である芳香族ビニル
単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン等のα−アルキルスチレン、p−メチルスチレン等の
核置換アルキルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げ
られる。これらは1種又は2種以上の混合物であっても
よい。
【0016】芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体
の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル等のシアン化ビニル系単量体、アクリル酸、メタク
リル酸、及びそれらのアルキルエステル等のアクリル系
単量体、無水マレイン酸、及びそのイミド化物等の不飽
和無水酸誘導体系の単量体等が挙げられる.これらは1
種又は2種以上の混合物であってもよい。
【0017】(A)グラフト(共)重合体を構成する単
量体混合物中の芳香族ビニル単量体成分の比率は、60
〜100重量%の範囲とする。60重量%に満たない
と、得られる樹脂組成物の耐熱性や耐衝撃性、色調など
が低下する。(A)グラフト(共)重合体は、上記の単
量体又はそれらの混合物から公知の方法、例えば乳化重
合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の方法を
用いて、回分方式又は連続方式で製造することができ
る。
【0018】(A)グラフト(共)重合体の具体例とし
ては、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリ
ロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹
脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共
重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリ
ロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(MABS
樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共
重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプ
ロピレン系ゴム・スチレン共重合体(AES樹脂)、ア
クリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合
体(ACS樹脂)等の樹脂、又はこれらの混合物が挙げ
られる。
【0019】本発明に用いられる(B)(共)重合体と
は、芳香族ビニル単量体成分60〜100重量%、芳香
族ビニル単量体と共重合可能な単量体成分0〜40重量
%を重合させた(共)重合体をいう。(B)(共)重合
体の構成成分である芳香族ビニル単量体の具体例として
は、スチレン、α−メチルスチレン等のα−アルキルス
チレン、p−メチルスチレン等の核置換アルキルスチレ
ン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらは1種
又は2種以上の混合物であってもよい。
【0020】(B)(共)重合体の構成成分である芳香
族ビニル単量体と共重合可能な単量体の具体例として
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン
化ビニル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、及びそ
れらのアルキルエステル等のアクリル系単量体、無水マ
レイン酸、及びそのイミド化物等の不飽和無水酸誘導体
系の単量体等が挙げられる.これらは1種又は2種以上
の混合物であってもよい。
【0021】(B)(共)重合体中の芳香族ビニル単量
体成分の比率は、60〜100重量%の範囲とする。6
0重量%に満たないと、得られる樹脂組成物の耐熱性や
耐衝撃性、色調などが低下する。この(B)(共)重合
体は、例えば公知のアクリロニトリル−スチレン共重合
体の製造技術に準じて、乳化重合法、懸濁重合法、溶液
重合法、塊状重合法等の方法を用いて、回分方式又は連
続方式で製造することができる。また(B)(共)重合
体は、(A)グラフト(共)重合体の重合操作において
同時に同一の重合系内で製造することもできるし、別途
重合方法および重合条件を設定して製造することもでき
る。
【0022】本発明の樹脂組成物における各樹脂の配合
比率は(A)グラフト(共)重合体10〜100重量%
及び、(B)(共)重合体0〜90重量%の範囲であ
る。この範囲を外れると得られる樹脂組成物に十分な難
燃性、物性を付与する事ができない。(A)グラフト
(共)重合体又は(B)(共)重合体が乳化重合により
製造される場合は、乳化剤、塩析剤等に由来する脂肪酸
や金属塩の残留物が少ないものほど得られる樹脂組成物
の熱安定性や機械的強度が向上するため好ましい。
【0023】本発明では必要に応じて、更に任意の他の
樹脂を添加する事ができる。添加する事のできる他樹脂
の例としてはポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレ
フタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポ
リアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂等が挙げ
られる。本発明における(C)ハロゲン化化合物は、下
記一般式
【0024】
【化3】
【0025】(式中nは0〜15の整数を、Xは臭素又
は塩素を、a,b,c,dは1〜4の整数を、R1はイ
ソプロピリデン基、メチレン基又はスルホン基を、
2、R3はそれぞれ2,3−エポキシプロピル基及び/
又は−CH2CH(OH)CH2OR 4基[R4は臭素又は
塩素で置換されていても良いアリル基又はアルキル基]
を示す。)で表されるハロゲン化化合物である。
【0026】このようなハロゲン化化合物は、ハロゲン
化ビスフェノールとハロゲン化ビスフェノールのジグリ
シジルエーテルを反応させて得られた、又は、ハロゲン
化ビスフェノールとエピハロヒドリンを反応させて得ら
れた両末端にエポキシ基を有するハロゲン化ビスフェノ
ールエポキシ化合物を、臭素化又は塩素化されていても
良いフェノール類又はアルコール類と反応させて得られ
るものである。 一般に、このようにして得られたハロ
ゲン化化合物は、ハロゲン化ビスフェノールエポキシ化
合物の両末端のエポキシ基が前記フェノール又はアルコ
ール類と反応せずに残っているもの(NCと略する)、
同両末端のエポキシ基が前記フェノール又はアルコール
類で封止されたもの(FCと略する)、又は、一方の末
端のエポキシ基が前記フェノール又はアルコール類と未
反応であり、他方の末端のエポキシ基が前記フェノール
又はアルコール類で封止されたもの(HCと略する)か
らなる混合物の形で得られるが、本発明に使用するもの
は混合物の形のものに限定されるものではない。
【0027】本発明においては、上記一般式のR2 、R
3の一方が2,3−エポキシプロピル基であり、他方が
−CH2CH(OH)CH2OR4基であるハロゲン化化
合物(即ち上記のHCに該当する)を30モル%以上、
好ましくは40%以上含有するものを使用する。HC成
分のモル分率が30モル%に満たない場合は得られる樹
脂組成物の熱安定性が低下する。
【0028】また、本発明においては、ハロゲン化化合
物の末端封止率は20〜70モル%、より好ましくは3
0〜50モル%、更に好ましくは30〜45モル%であ
る。末端封止率が小さすぎる場合は、得られる樹脂組成
物の熱安定性が低下し、逆に大きすぎる場合は得られる
樹脂組成物の耐光性が低下する。
【0029】本発明でいう末端封止率とは、(C)ハロ
ゲン化化合物の全末端数に対するフェノール類又はアル
コール類によって封止された末端数の比率である。フェ
ノール類又はアルコール類による末端エポキシ基の封止
反応は定量的であるため、末端封止率は(C)ハロゲン
化化合物を合成する際の、両末端にエポキシ基を有する
ハロゲン化ビスフェノールエポキシ化合物の仕込量と、
末端封止剤であるフェノール類又はアルコール類の仕込
量より算出することができる。算出式を以下に示す。
【0030】C=MC/(ME×2)×100 (1) ここで、 C:末端封止率(モル%) MC:フェノール類又はアルコール類の仕込量(モル) ME:両末端にエポキシ基を有するハロゲン化ビスフェ
ノールエポキシ化合物の仕込量(モル)
【0031】本発明で用いられる、ハロゲン化化合物の
製造に使用されるハロゲン化ビスフェノールとしては、
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール
Sから成る群から選ばれた少なくとも1種のビスフェノ
ールを臭素化又は塩素化した化合物が挙げられる。この
ような化合物の具体例としては、テトラブロモビスフェ
ノールA、ジブロモビスフェノールA、テトラクロロビ
スフェノールA、ジクロロビスフェノールA、テトラブ
ロモビスフェノールF、ジブロモビスフェノールF、テ
トラクロロビスフェノールF、ジクロロビスフェノール
F、テトラブロモビスフェノールS、ジブロモビスフェ
ノールS、テトラクロロビスフェノールS、ジクロロビ
スフェノールS等が挙げられる。これらは1種または2
種以上の混合物であっても良い。
【0032】また、末端封止基のR4の具体例としては
フェニル基、ナフチル基等の無置換アリル基、トリブロ
モフェニル基、ペンタブロモフェニル基、トリクロロフ
ェニル基、ペンタクロロフェニル基等のハロゲン化アリ
ル基、ステアリル基等のアルキル基等が挙げられる。更
には、(C)ハロゲン化化合物を構成する各ハロゲン化
化合物の重合度nは、0〜15の整数である。重合度n
が大きすぎると得られる樹脂組成物の耐衝撃性、耐光性
が低下する。上記の範囲内にあれば、重合度nの異なる
もの2種類以上を併用しても良い。
【0033】(C)ハロゲン化化合物の配合量は樹脂
(A)、(B)の混合物100重量部に対して1〜35
重量部、好ましくは5〜30重量部である。配合量が3
5重量部を越えると経済的に不利なだけでなく、得られ
る樹脂組成物の物性が低下する。添加量が1重量部に満
たないと得られる樹脂組成物に十分な難燃性を付与する
ことができない。
【0034】本発明に係わる樹脂組成物は、(A)グラ
フト(共)重合体、(B)(共)重合体、(C)ハロゲ
ン化化合物を上記の範囲で秤量し、公知の方法で混合、
混練することにより得られる。例えば、粉末、ビーズ、
フレークまたはペレット状の各構成物の混合物を、単軸
押出機、二軸押出機等の押出機、またはバンバリーミキ
サー、加圧ニーダー、二本ロール等の混練機等を用いて
溶融混練することにより樹脂組成物を得ることができ
る。液体を配合する必要のある場合には公知の液体注入
装置を用いて上記の方法で混練すればよい。また、その
際必要に応じて本樹脂組成物の性質を阻害しない種類お
よび量の潤滑剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、酸化防
止剤、他の難燃剤、三酸化アンチモンなどの難燃助剤、
ドリップ(燃焼時の火種の垂れ落ち)防止剤、紫外線吸
収剤、耐光性安定剤、耐熱性安定剤等の各種樹脂添加剤
や、タルク等の充填材、ガラス繊維、炭素繊維、ウィス
カー等の補強材等を適宜組合せて添加することができ
る。
【0035】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて具体的に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。 実施例1〜5、比較例1〜4 (1)使用材料 (A)グラフト(共)重合体 (A−1)乳化重合法により、ブタジエンゴム含量50
重量%、ゴムの重量平均粒径0.3μm、グラフト率4
0%、アクリロニトリル含量25重量%、マトリックス
の重量平均分子量80000の白色粉末状のアクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン共重合体を重合し、これ
を(A−1)として用いた。
【0036】(A−2)懸濁重合法により、ブタジエン
ゴム含量15重量%、ゴムの重量平均粒径1.4μm、
グラフト率60%、アクリロニトリル含量24重量%、
マトリックスの重量平均分子量130000の白色ビー
ド状のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体を重合し、これを(A−2)として用いた。
【0037】(B)(共)重合体 塊状重合法によりアクリロニトリル含量26重量%、重
量平均分子量160000のアクリロニトリル−スチレ
ン共重合体を重合し、これを(B)(共)重合体として
用いた。
【0038】(C)ハロゲン化化合物 (C−1)テトラブロモビスフェノールA型エポキシオ
リゴマー混合物(末端封止率35モル%) 両末端にエポキシ基を有する市販のテトラブロモビスフ
ェノールA型エポキシオリゴマー(油化シェルエポキシ
(株)製、商品名 エピコートE5051)1当量とト
リブロモフェノール0.7当量とを反応させ、得られた
淡黄色粉末を(C−1)として用いた。化学式を以下に
示す。
【0039】
【化4】
【0040】(NC、HC及びFCの混合物であり、そ
のモル比はNC:HC:FC=0.42:0.46:
0.12である。NC、HC、FCは、重合度nが各々
0、1の混合物である。)
【0041】(C−2)テトラブロモビスフェノールA
型エポキシオリゴマー混合物(末端封止率40モル%) 両末端にエポキシ基を有する市販のテトラブロモビスフ
ェノールA型エポキシオリゴマー(油化シェルエポキシ
(株)製、商品名 エピコートE5051)1当量とト
リブロモフェノール0.8当量とを反応させ、得られた
淡黄色粉末を(C−2)として用いた。(C−1)と同
一の成分からなる混合物であり、NC、HC、FCのモ
ル比はNC:HC:FC=0.36:0.48:0.1
6である。NC、HC、FCは、重合度nが各々0、1
の混合物である。
【0042】(C−3)テトラブロモビスフェノールA
型エポキシオリゴマー混合物(末端封止率50モル%) 両末端にエポキシ基を有する市販のテトラブロモビスフ
ェノールA型エポキシオリゴマー(油化シェルエポキシ
(株)製、商品名 エピコートE5051)1当量とト
リブロモフェノール1当量とを反応させ、得られた淡黄
色粉末を(C−3)として用いた。(C−1)と同一の
成分からなる混合物であり、NC、HC、FCのモル比
はNC:HC:FC=0.25:0.5:0.25であ
る。NC、HC、FCは、重合度nが各々0、1の混合
物である。
【0043】(C−4)テトラブロモビスフェノールA
型エポキシオリゴマー混合物(末端封止率55モル%) 両末端にエポキシ基を有する市販のテトラブロモビスフ
ェノールA型エポキシオリゴマー(油化シェルエポキシ
(株)製、商品名 エピコートE5051)1当量とト
リブロモフェノール1.1当量とを反応させ、得られた
淡黄色粉末を(C−4)として用いた。(C−1)と同
一の成分からなる混合物であり、NC、HC、FCのモ
ル比はNC:HC:FC=0.20:0.50:0.3
0である。NC、HC、FCは重合度nが各々0、1の
混合物である。
【0044】(C−5)テトラブロモビスフェノールA
型エポキシオリゴマー混合物(末端封止率65モル%) 両末端にエポキシ基を有する市販のテトラブロモビスフ
ェノールA型エポキシオリゴマー(油化シェルエポキシ
(株)製、商品名 エピコートE5051)1当量とト
リブロモフェノール1.3当量とを反応させ、得られた
淡黄色粉末(C−5)として用いた。(C−1)と同一
の成分からなる混合物であり、NC、HC、FCのモル
比はNC:HC:FC=0.12:0.46:0.42
である。NC、HC、FCは、重合度nが各々0、1の
混合物である。
【0045】(C−6)末端未封止型テトラブロモビス
フェノールA型エポキシオリゴマー比較例として末端封
止率が0モル%である、市販の末端未封止型テトラブロ
モビスフェノールA型エポキシオリゴマー(油化シェル
エポキシ(株)製、商品名エピコートE5051)を使
用した。構造式を以下に示す。
【0046】
【化5】
【0047】(但し、n=0、1の混合物。) (C−7)末端封止型テトラブロモビスフェノールAエ
ポキシオリゴマー比較例として末端封止率が100モル
%である、市販の末端封止型テトラブロモビスフェノー
ルAエポキシオリゴマー(油化シェルエポキシ(株)
製、商品名エピコートE5203)を使用した。構造式
を以下に示す。
【0048】
【化6】
【0049】(但し、n=0、1の混合物。) (C−8)テトラブロモビスフェノールA型エポキシオ
リゴマー混合物(末端封止率25モル%) 両末端にエポキシ基を有する市販のテトラブロモビスフ
ェノールA型エポキシオリゴマー(油化シェルエポキシ
(株)製、商品名 エピコートE5051)1当量とト
リブロモフェノール0.5当量とを反応させ、得られた
淡黄色粉末を(C−8)として用いた。(C−1)と同
一の成分からなる混合物であり、NC、HC、FCのモ
ル比はNC:HC:FC=0.56:0.38:0.0
6である。NC、HC、FCは重合度nが各々0、1の
混合物である。
【0050】(D)三酸化アンチモン 難燃助剤として、市販の三酸化アンチモン(ローレルイ
ンダストリー(株)製、商品名 ファイアシールドH)
を使用した。 (E)ポリテトラフルオロエチレン ドリップ防止剤として、市販のポリテトラフルオロエチ
レン(三井デュポンフロロケミカル製、商品名 テフロ
ン6CJ)を使用した。 (F)酸化チタン 着色剤として、市販の酸化チタンを使用した。
【0051】(2)樹脂組成物の調製と評価 上記の(A)グラフト(共)重合体、(B)(共)重合
体、(C)ハロゲン化化合物、及び、その他の成分
(D)〜(F)を、表1に記載した配合割合(重量部)
で秤量、タンブラーで混合し、得られた混合物をベント
付2軸押出し機を用いて揮発分を除去しながら混練し
て、樹脂組成物のペレットを作成した。この樹脂組成物
のペレットから、射出成形法により試験片を作製した。
各々の試験片について、以下に示す方法で熱安定性、耐
光性、耐衝撃性及び難燃性を測定した。結果を表1に示
す。
【0052】熱安定性試験 厚さ3mmのプレス成型品から切り出した20mm×2
0mmの試験片を、2枚の鋼板の間に固定してギアオー
ブン中で6時間、200℃に加熱した。放冷後、インス
トロン万能試験機で鋼板と樹脂との剥離強度(kg)を
測定し、熱安定性の指標とした。尚、剥離強度が高いの
は、金属に付着しやすいことを表し、即ち、熱安定性が
劣ることを意味する。
【0053】耐光性試験 キセノンアークウエザオメータ(スガ試験機(株)製)
を用いて、ブラックパネル温度63℃、光強度0.35
Wの条件で300時間光照射を行い、照射前後のE値の
差(ΔE*)を測定し、耐光性の指標とした。
【0054】耐衝撃性試験 JIS−K7110に準拠した方法でアイゾッド衝撃強
度(kg・cm/cm)を測定し、耐衝撃性の指標とし
た(試験片厚み3.2mm、Vノッチ入り、測定温度2
3℃)。
【0055】難燃性試験 米国アンダーライターラボラトリーズ発行のUL−94
に準拠した方法で垂直燃焼試験を行い、難燃性の指標と
した(試験片厚み2.0mm)。
【0056】
【表1】
【0057】表1より、本発明に係わる難燃性樹脂組成
物は、末端封止率を35モル%、40モル%、50モル
%、55モル%、65モル%とした(C)ハロゲン化化
合物を配合することにより、優れた耐衝撃性、流動性、
難燃性を保持しつつ、優れた熱安定性及び耐光性を両立
していることがわかる(実施例1〜5)。一方、末端封
止率が0モル%及び25%であるハロゲン化化合物を配
合した場合は、熱安定性が大幅に低下し(比較例1及び
比較例4)、末端封止率が100モル%であるハロゲン
化化合物を配合した場合は、耐光性が大幅に低下するこ
とがわかる(比較例2)。また、末端封止率が0モル%
であるハロゲン化化合物と、末端封止率が100モル%
であるハロゲン化化合物の等モル混合物を配合した場合
は、ハロゲン化化合物全体の末端封止率は50%になる
ものの、HC成分を全く含まないために、HC成分を含
んでかつ末端封止率が50モル%である(C)ハロゲン
化化合物を配合した場合に比べて熱安定性が大幅に劣る
ことがわかる(比較例3、実施例3)。
【0058】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、(A)グラフト
(共)重合体及び(B)(共)重合体に、HC成分を3
0モル%以上含有し、かつ末端封止率が20〜70モル
%である(C)ハロゲン化化合物を配合することによ
り、優れた耐衝撃性及び難燃性を保持しつつ、かつ優れ
た熱安定性と耐光性を高度に両立させた難燃性熱可塑性
樹脂材料として利用することが可能であり、その産業上
の利用価値は極めて高い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル単量体60〜100重量%
    及び芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体0〜40
    重量%からなる混合物を、ゴム質重合体の存在下でグラ
    フト重合させた(A)グラフト(共)重合体10〜10
    0重量部と、 芳香族ビニル単量体60〜100重量%及び芳香族ビニ
    ル単量体と共重合可能な単量体0〜40重量%を重合さ
    せた(B)(共)重合体0〜90重量部よりなる樹脂混
    合物100重量部、及び、(C)下記一般式 【化1】 (式中nは0〜15の整数を、Xは臭素又は塩素を、
    a,b,c,dは1〜4の整数を、R1はイソプロピリ
    デン基、メチレン基又はスルホン基を、R2、R3はそれ
    ぞれ2,3−エポキシプロピル基及び/又は−CH2
    H(OH)CH2OR 4基[R4は臭素又は塩素で置換さ
    れていても良いアリル基又はアルキル基]を示す。)で
    表されるハロゲン化化合物であって、R2 、R3の一方
    が2,3−エポキシプロピル基であり、他方が−CH2
    CH(OH)CH2OR4基であるハロゲン化化合物を3
    0モル%以上含有し、かつ全ハロゲン化化合物の末端封
    止率が20〜70モル%であるハロゲン化化合物1〜3
    5重量部からなることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】(A)及び/又は(B)の芳香族ビニル単
    量体と共重合可能な単量体が、シアン化ビニル系単量体
    である、請求項1記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (C)ハロゲン化化合物が、R2及びR3
    の両方が2,3−エポキシプロピル基である化合物と、
    2及びR3の少なくとも一方が−CH2CH(OH)C
    2OR4基[R4は臭素又は塩素で置換されていても良
    いアリル基又はアルキル基]を示す。)である化合物と
    の混合物である、請求項1又は2記載の難燃性熱可塑性
    樹脂組成物。
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