JPH09269674A - プラスチック無端ベルト - Google Patents

プラスチック無端ベルト

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JPH09269674A
JPH09269674A JP8077006A JP7700696A JPH09269674A JP H09269674 A JPH09269674 A JP H09269674A JP 8077006 A JP8077006 A JP 8077006A JP 7700696 A JP7700696 A JP 7700696A JP H09269674 A JPH09269674 A JP H09269674A
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JP
Japan
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layer
endless belt
peripheral side
layers
plastic
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Application number
JP8077006A
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English (en)
Inventor
Eiji Yasui
栄治 安井
Tsukasa Fujita
司 藤田
Kenichi Ito
研一 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】無端ベルトの両端部が内周側に変形することな
く、無端ベルトの両端部においても良好な画像を得るこ
とのできるプラスチック無端ベルトを提供する。 【解決手段】多層の無端ベルトであって、上記多層のう
ち厚みの大きい順に2層を抽出し、その2層の形成材料
の収縮率が下記の条件(A)を満足するよう設定されて
いる。 (A)内周側の層形成材料の収縮率は外周側の層形成材
料の収縮率と同一もしくは小さく設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子写真複写機
において、感光体上のトナーを写し取る転写中間体等に
用いられるプラスチック無端ベルトに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、フルカラー複写機等の電子写真複
写機の実用化に伴って、感光体上に現像されたトナー像
を複写紙に転写する際に、一旦トナーを転写中間体に写
し取った後、複写紙に転写するというプロセスが採用さ
れている。
【0003】その一例を図5に示す。すなわち、このプ
ロセスでは、感光ドラム1の表面が帯電ロール2により
帯電された後、露光機構部3を介して原稿光像のスリッ
ト露光4が感光ドラム1表面に到達し、原稿像に対応し
た静電潜像が感光ドラム1表面に形成され、現像装置5
によってトナー像が形成されるようになっている。ま
た、上記感光ドラム1の下部には、転写中間体である無
端ベルト6が、一次転写ローラ7を介して感光ドラム1
に圧接されており、上記感光ドラム1上に現像されたト
ナー像が上記無端ベルト6の表面に転写されるようにな
っている。そして、この無端ベルト6の走行により、上
記トナー像は、この無端ベルト6と二次転写ローラ8と
の間に挟まれた転写紙9に転写される。なお、二次転写
後に無端ベルト6の表面上に残留するトナーはクリーニ
ングブレード10によって回収され、無端ベルト6はつ
ぎの転写に備えるようになっている。また、一次転写後
に感光ドラム1表面上に残留するトナーはクリーニング
装置11によって回収され、その後、感光ドラム1表面
はイレーザーランプ12により除電される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記無端ベルト6とし
ては、従来から、ポリカーボネート(以下「PC」と略
す)やポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と
略す)等に導電性フィラーを配合した半導電性熱可塑性
樹脂が用いられている。しかしながら、上記PCは耐屈
曲疲労性が劣るため、長期にわたって使用するとひび割
れを生じるという問題がある。また、PCは極性が高い
ため、トナー離型性が悪く、経時的にトナーがベルト表
面に固着する結果、画像に悪影響を与えたり、感光ドラ
ム1やクリーニングブレード10を損傷するという問題
がある。一方、PETにおいても、トナー離型性の悪さ
が問題となっている。
【0005】そこで、少なくとも表面層が導電性フィラ
ーを所定の割合で配合されたフッ素樹脂である導電性プ
ラスチックベルト(特開平7−92825号公報)が提
案され、上記問題を解決している。そして、このような
無端ベルト6としては、ディッピング方式により積層さ
れたものが汎用されている。しかしながら、上記ディッ
ピング方式において得られる無端ベルトは、使用時に無
端ベルトの両端部が内周側に変形してしまい、充分な転
写が得られないという問題がある。
【0006】この発明は、このような事情に鑑みなされ
たもので、無端ベルトの両端部が内周側に変形すること
なく、無端ベルトの両端部においても良好な画像を得る
ことのできるプラスチック無端ベルトの提供をその目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明のプラスチック無端ベルトは、多層の無端
ベルトであって、上記多層のうち厚みの大きい順に2層
を抽出し、その2層の形成材料の収縮率が下記の条件
(A)を満足するよう設定されているという構成をと
る。 (A)内周側の層形成材料の収縮率は外周側の層形成材
料の収縮率と同一もしくは小さく設定されている。
【0008】なお、この発明において、「多層」とは、
少なくとも2層からなるという趣旨である。そして、そ
の2層以上の層のうち厚みの大きい順に2層を任意に抽
出して、内周側の層形成材料の収縮率が外周側の層形成
材料の収縮率と同一もしくは小さく設定されている。
【0009】すなわち、本発明者らは、フルカラー複写
機等の電子写真複写機に用いられる無端ベルト13が2
層以上の積層構造の場合〔図4(A)参照〕、図4
(B)に示すように両端部14が内周側に変形してしま
い、充分な転写が行われていないことについて、一連の
研究を重ねた。そして、その研究の過程で、無端ベルト
13の両端部14が変形してしまう理由について、本発
明者らは、下記の2つの理由が考えられることを突き止
めた。
【0010】内周側の層から順に積層して多層構造を
得たのち、加熱、乾燥後冷却して無端ベルトを得るディ
ッピング方式(図3参照)において、外周側の層の冷却
速度は内周側の層のそれより大きくなり、内周側の層が
徐冷となる。このため、内周側の層形成材料は結晶化が
進行して収縮が大きくなり、軸体から無端ベルトを抜き
取ると、無端ベルトの両端部が内周側に変形する。
【0011】上記ディッピング方式において、加熱、
乾燥時に外周側の層は外気に晒されているため、溶剤が
先に除去され、収縮、固定される。一方、内周側の層
は、外周側の層より多く溶剤が残留し、その状態のまま
外周側に追従して変形する。そして、その後内周側の層
中に残留した溶剤が除去されて収縮、固定されるが、先
に固定した外周側の層により、内周側の層に応力が発生
する。このため、軸体から無端ベルトを抜き取ると、無
端ベルトの両端部が内周側に変形する。
【0012】そこで、上記、の現象を最小限に抑制
するためには、内周側の層形成材料の収縮率を外周側の
層形成材料の収縮率と同一もしくは小さくすればよいこ
とを見いだし、この発明に到達した。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施の形態に
ついて説明する。
【0014】この発明は、多層の無端ベルトであって、
上記多層のうち厚みの大きい順に2層を抽出し、その2
層の形成材料の収縮率が下記の条件(A)を満足するよ
う設定されている。 (A)内周側の層形成材料の収縮率は外周側の層形成材
料の収縮率と同一もしくは小さく設定されている。
【0015】その一例を図1に示す。このプラスチック
無端ベルトは、3層構造を有し、内層15が塩化ビニル
系樹脂で形成され、中間層16がポリアミド樹脂で形成
され、さらに外層17がフッ素樹脂で形成されている。
【0016】上記内層15に用いられる塩化ビニル系樹
脂としては、数平均分子量4000〜40000の塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等が用いられる。すなわ
ち、層を形成する工程の一つである収縮の際、結晶化が
起こりにくいからである。
【0017】上記塩化ビニル系樹脂の市販品としては、
例えばソリューションビニル樹脂VAGH(ユニオン・
カーバイド社製)、デンカラック(電気化学工業社製)
等が知られている。
【0018】また、上記塩化ビニル系樹脂の溶剤として
は、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、アセト
ン、トルエン、メチルイソブチルケトン等が用いられ
る。そして、これらは単独で用いてもよいし、2種以上
併用してもよい。なかでも、アセトン/トルエン混合溶
剤(アセトン/トルエン=3/1)が好適である。
【0019】そして、上記内層15に用いられる塩化ビ
ニル系樹脂の鉛筆硬度は、B〜2Hであることが好まし
い。すなわち、上記範囲内でないと、フルカラー複写機
等の電子写真複写機の転写中間体として用いられる場合
に、無端ベルトの反転が生じてしまうおそれがあるから
である。なお、上記鉛筆硬度は、JIS K 5400
の鉛筆ひっかき値に準じて測定される。
【0020】さらに、上記内層15に用いられる塩化ビ
ニル系樹脂の引張強度は、100〜700kgf/cm
2 であることが好ましい。より好ましくは、200〜5
00kgf/cm2 である。すなわち、上記範囲内でな
いと、フルカラー複写機等の電子写真複写機の転写中間
体として用いられる場合、転写の際にトナーがずれてし
まうおそれがあるからである。なお、上記引張強度は、
JIS K 6251に準じて測定される。
【0021】つぎに、上記中間層16に用いられるポリ
アミド樹脂としては、N−メトキシメチル化ナイロン
(以下「ナイロン8」と略す)、ナイロン12、共重合
ナイロン等が用いられる。なかでも、上記内層15と外
層17との密着強度を向上させ、しかもその2層が混ざ
らないようにするために、ナイロン8を用いることが好
適である。
【0022】また、上記ポリアミド樹脂の溶剤として
は、メタノール、エタノール等の単独溶剤またはそれら
単独溶剤に水、トルエン等を混合させた混合溶剤、1−
プロパノール、2−プロパノール等が用いられる。なか
でも、ナイロン8とメタノール/水混合溶剤(メタノー
ル/水=3/1)との組合わせが好適である。
【0023】つぎに、上記外層17に用いられるフッ素
樹脂としては、特に限定するものではないが、フッ化ビ
ニリデン−四フッ化エチレン共重合体〔以下「Poly
(VdF−TFE)」と略す〕、エチレン−四フッ化エ
チレン共重合体(以下「ETFE」と略す)、ポリクロ
ロトリフルオロエチレン(以下「PCTFE」と略
す)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(以下「FEP」と略す)、テトラフルオ
ロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重
合体(以下「PFA」と略す)等が用いられる。なかで
も、溶剤可溶性のものとして、Poly(VdF−TF
E)が好適である。すなわち、製法的に有利だからであ
り、しかもトナー離型性に優れる。
【0024】また、上記溶剤可溶性フッ素樹脂の溶剤と
しては、メチルエチルケトン(以下「MEK」と略
す)、アセトン、メチルイソブチルケトン(以下「MI
BK」と略す)、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロ
フラン(以下「THF」と略す)等が用いられる。なか
でも、Poly(VdF−TFE)とアセトンの組合わ
せが好適である。
【0025】そして、厚みの大きい順に2層、例えば内
層15および外層17において、内層15に用いられる
塩化ビニル系樹脂の収縮率は、外層17に用いられるフ
ッ素樹脂の収縮率と同一もしくは小さくなければならな
い。すなわち、この関係を保つことにより、得られるプ
ラスチック無端ベルトの両端部が内周側へ変形すること
を防止できるからである。これが、この発明の大きなポ
イントである。
【0026】なお、上記内層15、中間層16、外層1
7の少なくとも一層に、導電性フィラーを含有させても
よい。上記導電性フィラーとしては、アルミニウム粉
末、ステンレス粉末等の金属粉末、c−ZnO、c−T
iO2 、c−ZnO4 、c−SnO2 等の導電性金属酸
化物、グラファイト、カーボンブラック等の導電性粉
末、4級アンモニウム塩、リン酸エステル、スルホン酸
塩、脂肪族多価アルコール、脂肪族アルコールサルフェ
ート塩等のイオン性導電材等があげられる。これら導電
性フィラーは、単独でもしくは2種以上を併せて用いら
れる。これら導電性フィラーのなかでも、分散性の点か
ら、c−TiO2 およびc−SnO2 が好ましい。な
お、上記「c−」とは、導電性を有するという意味であ
る。
【0027】上記プラスチック無端ベルトは、例えばつ
ぎのようにして作製することができる。すなわち、ま
ず、各層15〜17の形成材料およびその溶剤を、それ
ぞれ適宜に配合し、ボールミル等で混練し、ついで攪拌
し、各コーティング液を調製する。そして、このように
して調製されたコーティング液の濃度は、層の厚みに応
じて適宜に設定される。すなわち、層の厚みはコーティ
ング液の粘度調整が大きな要因となり、この粘度調整に
よって設定され、上記粘度はコーティング液の濃度に決
定される。
【0028】ついで、上記各コーティング液を、図3に
示すようにそれぞれ槽18、槽19、槽20に収容す
る。一方、金属製の軸体(例えばアルミニウム、ステン
レス等)21を準備し、この軸体21を垂直に立てて、
まず槽18に収容されているコーティング液中に繰り返
し浸漬する。そして、所定の回数浸漬を繰り返した後、
コーティング液中から軸体21を引き上げる。ついで、
同様の操作を行い、3層構造を形成する。つぎに、乾燥
し溶剤を除去した後、加熱処理(例えば60〜150℃
×60分間)を行い、上記軸体21を抜き取ると、図1
に示すプラスチック無端ベルトが得られる。
【0029】内層15の形成材料の収縮率が外層17の
形成材料の収縮率と同一もしくは小さくなるよう設定さ
れているため、各層15〜17の収縮、固定時に、内周
側に応力が生じにくい。したがって、無端ベルトの両端
部が内周側に変形することがなく、電子写真複写機等の
転写中間体として用いた場合、無端ベルトの両端部にお
いても良好な画像を得ることができる。
【0030】なお、この発明のプラスチック無端ベルト
において、上記塩化ビニル系樹脂で形成された内層15
とフッ素樹脂で形成された外層17の合計の厚みは50
〜200μmであることが好ましい。より好ましくは、
100〜150μmである。すなわち、厚みが50μm
未満であると強度が不足するおそれがあり、200μm
を超えると耐屈曲疲労性に劣るおそれがあるからであ
る。
【0031】そして、ポリアミド樹脂で形成された中間
層16の厚みは1〜50μmであることが好ましい。よ
り好ましくは、5〜20μmである。すなわち、厚みが
1μm未満であると電気的特性の経時変化が大きくなる
おそれがあり、50μmを超えるとベルト全体の強度と
屈曲性を両立させることが困難となるおそれがあるから
である。
【0032】そして、プラスチック無端ベルト全体の特
性として、その体積抵抗率が106〜1014Ω・cmに
設定されていることが好ましい。より好ましくは、10
8 〜1012Ω・cmである。すなわち、106 Ω・cm
未満であると電荷の減衰が早すぎ電源の容量を大きくす
る必要が生ずるおそれがあり、1014Ω・cmを超える
と電荷の減衰が遅すぎ、除電のシステムを必要とするお
それがあるからである。また、上記プラスチック無端ベ
ルトの表面抵抗率が106 〜1014Ω/□に設定されて
いることが好ましい。より好ましくは、108 〜1014
Ω/□である。すなわち、106 Ω/□未満であると電
荷の減衰が早すぎ電源の容量を大きくする必要が生ずる
おそれがあり、1014Ω/□を超えると電荷の減衰が遅
すぎ、除電のシステムを必要とするおそれがあるからで
ある。
【0033】つぎに、この発明の他の例を図2に示す。
すなわち、このプラスチック無端ベルトは、4層構造を
有し、最内層22がフッ素樹脂で形成され、その外側の
第一の中間層23がポリアミド樹脂で形成され、さらに
その外側の第二の中間層24がフッ素樹脂で形成されて
いる。そして、最外層25がシリコーン樹脂で形成され
いる。
【0034】まず、上記最内層22および第二の中間層
24に用いられるフッ素樹脂としては、特に限定するも
のではなく、前記の例において、外層17に用いたフッ
素樹脂が用いられる。そして、上記最内層22に用いる
フッ素樹脂と第二の中間層24に用いるフッ素樹脂の種
類は同一であってもよいし、異なるものであってもよ
い。
【0035】また、上記溶剤可溶性フッ素樹脂の溶剤
も、前記の外層17に用いた溶剤と同様のものが用いら
れる。
【0036】つぎに、上記第一の中間層23に用いられ
るポリアミド樹脂としては、前記の例において、中間層
16に用いたポリアミド樹脂と同様のものが用いられ
る。
【0037】また、上記ポリアミド樹脂の溶剤も、前記
の中間層16に用いた溶剤と同様のものが用いられる。
【0038】さらに、上記最外層25に用いられるシリ
コーン樹脂としては、特に限定するものではないが、通
常、作業効率を考慮して、液状のシリコーン樹脂が用い
られ、より作業効率を向上させるために、n−ヘキサン
等を含有させてもよい。また、特にハードタイプの一液
または二液の硬化型のシリコーン樹脂が好ましい。なか
でも、加熱硬化型シリコーンレジン(メチル系)、室温
硬化型シリコーンレジンが好適である。すなわち、トナ
ー離型性が向上するからである。なお、上記室温硬化型
シリコーンレジンの硬化反応を下記の式(1)に示す。
【0039】
【化1】
【0040】また、上記シリコーン樹脂の鉛筆硬度はB
〜5Hであることが好ましい。より好ましくは、F〜2
Hである。すなわち、鉛筆硬度B未満であると、このシ
リコーン樹脂によって形成された最外層25、すなわち
プラスチック無端ベルトの表面上に傷がつきやすいから
であり、鉛筆硬度5Hを超えると感光ドラムやクリーニ
ングブレード等に傷がつきやすいからである。
【0041】この4層構造の無端ベルトにおいても、厚
みの大きい順に2層、例えば最内層22および第二の中
間層24において、最内層22に用いるフッ素樹脂の収
縮率は、第二の中間層24に用いられるフッ素樹脂の収
縮率と同一もしくは小さくなければならない。
【0042】上記最内層22および第二の中間層24の
形成材料の収縮率をこのように設定することにより、前
記3層構造の無端ベルトと同様、得られるプラスチック
無端ベルトの両端部が内周側へ変形することなく、電子
写真複写機等の転写中間体として用いた場合、無端ベル
トの両端部においても良好な画像を得ることができる。
【0043】なお、上記プラスチック無端ベルトにおい
て、フッ素樹脂で形成された最内層22と第2の中間層
24の合計の厚みは、50〜200μmであることが好
ましい。より好ましくは100〜150μmである。す
なわち、厚みが50μm未満であると強度が不足するお
それがあり、200μmを超えると耐屈曲疲労性に劣る
おそれがあるからである。
【0044】そして、ポリアミド樹脂で形成された第一
の中間層23の厚みとしては、前記の例において、中間
層16の厚みと同様の範囲であることが好ましい。
【0045】さらに、フッ素樹脂で形成された第二の中
間層24の厚みとしては、前記の例において、最外層1
7の厚みと同様の範囲であることが好ましい。
【0046】そして、シリコーン樹脂で形成された最外
層16の厚みは、0.5〜30μmに設定されているこ
とが好ましい。より好ましくは、1〜10μmである。
すなわち、厚みが0.5μm未満であると、摩耗により
トナー離型性の低下を生ずるおそれがあり、30μmを
超えると、柔軟性に乏しくなり、ひび割れを起こすおそ
れがあるからである。
【0047】そして、プラスチック無端ベルト全体の特
性として、その体積抵抗率は、前記の例と同様の範囲で
あることが好ましい。また、上記プラスチック無端ベル
トの表面抵抗率も、前記の例と同様の範囲であることが
好ましい。
【0048】なお、この発明のプラスチック無端ベルト
は、隣合う2層の収縮率が、外周側より内周側の方が小
さければよいのであり、特に3層構造や4層構造に限定
するものではない。そして、各層の形成材料も、上記の
二例に限定するものではなく、従来公知の各種の層形成
材料を用いることができる。例えば、ABS樹脂、ポリ
メチルメタクリレート(以下「PMMA」と略す)等を
用いることができる。
【0049】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0050】
【実施例1〜3】下記の表1に示す配合割合で、各層の
形成材料と各層の溶剤とを配合し、そしてボールミル等
で混練し、ついで攪拌することにより、各コーティング
液を調製した。各コーティング液の粘度を、同じく表1
に示した。また、内層形成材料の鉛筆硬度および各層形
成材料の収縮率を下記に示す方法で測定し、その結果を
表2に示した。ついで、上記のようにして調整された各
コーティング液を、それぞれ別々の槽に収容した(図3
参照)。そして、前述の方法に従い、アルミニウム製の
軸体の周囲に順次、内層、中間層、外層となる層を積層
形成し、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(60〜1
50℃×60分間)を行うことにより各層を形成した。
ついで、上記アルミニウム製の軸体を抜き取って、目的
とするプラスチック無端ベルトを得た。このようにし
て、得られたプラスチック無端ベルトについて、各層お
よび全体の厚み、体積抵抗率、表面抵抗率、耐屈曲疲労
性、難燃性、複写画像の画質を調べ、その結果を下記の
表2、表3に示した。なお、各測定方法は以下の通りで
ある。
【0051】〔粘度〕B型粘度計を用いて測定した。
【0052】〔鉛筆硬度〕JIS K 5400の鉛筆
ひっかき値に準じて測定した。
【0053】〔引張強度〕JIS K 6251に準じ
て測定した。
【0054】〔収縮率〕円筒金型周長と製品内周長の比
の方法で測定した。
【0055】〔厚み〕マイクロメータを用いて測定し
た。
【0056】〔体積抵抗率および表面抵抗率〕JIS
K 6911の抵抗率試験法に準じて、印加電圧100
V時の体積抵抗率および表面抵抗率を算出した。
【0057】〔耐屈曲疲労性〕MIT耐折強さ試験機を
用いて、規定寸法の試験片を繰り返し折り曲げ、切れる
までの往復回数を測定した。
【0058】〔難燃性〕UL−94VTM試験法に準じ
て測定した。
【0059】〔複写画像の画質評価〕得られたプラッス
チック無端ベルトを電子写真複写機(プリテール50
0、リコー社製)に用い、得られる複写画像の評価を行
った。そして、複写画像の両端部において、乱れが確認
されなかったものを○、乱れが確認できたものを×とし
て表した。
【0060】
【表1】
【0061】*1 :ソリューションビニル樹脂VAG
H(ユニオンカーバイド社製) *2 :トヨラックパレル(東レ社製) *3 :バイヨン(呉羽化学社製) *4 :チタンブラック13M(三菱マテリアル社製) *5 :マグネタイトTM−620(三菱マテリアル社
製) *6 :タイペークET−500W(石原産業社製) *7 :タイペークFT−1000(石原産業社製) *8 :トレジンEF−30T(帝国化学産業社製) *9 :チタンブラック13R(三菱マテリアル社製) *10:導電性酸化スズT−1(三菱マテリアル社製) *11:ネオフロンVT−100(ダイキン工業社製)
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】上記実施例1品〜3品は複写画像の両端部
での乱れがなく、プラッスチック無端ベルトの両端部の
内周側への変形が見られなかった。また、その他の評価
項目においても良好であった。
【0065】
【実施例4〜6、比較例1】下記の表4に示す配合割合
で、各層の形成材料と各層の溶剤とを配合し、ボールミ
ル等で混練し、ついで攪拌することにより、各コーティ
ング液を調製した。各コーティング液の粘度を、同じく
表4に示した。また、最外層形成材料の鉛筆硬度および
各層形成材料の収縮率を、下記に示す方法で測定し、そ
の結果を表5に示した。ついで、上記のようにして調整
された各コーティング液を、それぞれ別々の槽に収容し
た。そして、前述の方法に従い、アルミニウム製の軸体
の周囲に順次、最内層、第一の中間層、第二の中間層、
最外層となる層を積層形成し、乾燥し溶剤を除去した
後、加熱処理(60〜150℃×60分間)を行うこと
により各層を形成した。ついで、上記アルミニウム製の
軸体を抜き取って、目的とするプラスチック無端ベルト
を得た。このようにして得られたプラスチック無端ベル
トについて、各層および全体の厚み、全体の引張強度、
体積抵抗率、表面抵抗率、耐屈曲疲労性、難燃性、複写
画像の画質を調べ、その結果を下記の表5、表6に示し
た。
【0066】
【表4】
【0067】*1 :ネオフロンVT−100(ダイキ
ン工業社製) *2 :ソリューションビニル樹脂VAGH(ユニオン
カーバイド社製) *3 :チタンブラック13M(三菱マテリアル社製) *4 :マグネタイトTM−620(三菱マテリアル社
製) *5 :タイペークET−500W(石原産業社製) *6 :タイペークFT−1000(石原産業社製) *7 :トレジンEF−30T(帝国化学産業社製) *8 :チタンブラック13R(三菱マテリアル社製) *9 :導電性酸化スズT−1(三菱マテリアル社製) *10:シリコーンSR2411(東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン社製) *11:シリコーンSR2410(東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン社製) *12:シリコーンSR2316(東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン社製)
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】上記実施例4品〜6品は複写画像の両端部
での乱れがなく、プラッスチック無端ベルトの両端部の
内周側への変形が見られなかった。しかしながら、比較
例1品は複写画像の両端部での乱れがみられ、プラッス
チック無端ベルトの両端部の内周側への変形がみられ
た。
【0071】
【発明の効果】以上のように、この発明のプラスチック
無端ベルトは、多層の無端ベルトであって、上記多層の
うち厚みの大きい順に2層を抽出し、その2層の形成材
料の収縮率が内周側の層形成材料の収縮率より外周側の
層形成材料の収縮率が同一もしくは小さくなるよう設定
されているため、プラスチック無端ベルトの製造時に、
無端ベルトの両端部が内周側に変形することが防止され
る。したがって、上記無端ベルトを電子写真複写機等の
転写ベルトとして使用すると、両端部においても良好な
画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のプラスチック無端ベルトの一例を示
す断面図である。
【図2】この発明のプラスチック無端ベルトの他の例を
示す断面図である。
【図3】この発明のプラスチック無端ベルトの製法の一
例を示す説明図である。
【図4】(A)は電子写真複写機に用いられる無端ベル
トの模式的な斜視図であり、(B)は(A)のX−X断
面図である。
【図5】電子写真複写機の複写機構を示す構成図であ
る。
【符号の説明】
15 内層 16 中間層 17 外層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多層の無端ベルトであって、上記多層の
    うち厚みの大きい順に2層を抽出し、その2層の形成材
    料の収縮率が下記の条件(A)を満足するよう設定され
    ていることを特徴とするプラスチック無端ベルト。 (A)内周側の層形成材料の収縮率は外周側の層形成材
    料の収縮率と同一もしくは小さく設定されている。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6303072B1 (en) 1998-07-28 2001-10-16 Canon Kabushiki Kaisha Process of making an endless belt
US6470165B2 (en) 2000-02-03 2002-10-22 Canon Kabushiki Kaisha Process for producing transfer member, transfer member, and image forming apparatus
US6592803B2 (en) 1999-07-07 2003-07-15 Canon Kabushiki Kaisha Process for producing belt-shaped member from a die-extruded film having a film thickness, die gap relationship
US6852400B2 (en) 1998-12-22 2005-02-08 Canon Kabushiki Kaisha Endless belt electrophotography, process for producing the endless belt, and image forming apparatus having the endless belt

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