JP3663793B2 - 電子写真複写機用半導電性プラスチック無端ベルト - Google Patents

電子写真複写機用半導電性プラスチック無端ベルト Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機において、感光体上のトナーを写し取る転写中間体等に用いられる半導電性プラスチック無端ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、フルカラー複写機等の電子写真複写機の実用化に伴って、感光体上に現像されたトナー像を複写紙に転写する際に、一旦トナーを転写中間体に写し取った後、複写紙に転写するというプロセスが採用されている。
【0003】
その一例を図4に示す。すなわち、このプロセスでは、感光ドラム1の表面が帯電ロール2により帯電された後、露光機構部3を介して原稿光像のスリット露光4が感光ドラム1表面に到達し、原稿像に対応した静電潜像が感光ドラム1表面に形成され、現像装置5によってトナー像が形成されるようになっている。また、上記感光ドラム1の下部には、転写中間体である無端ベルト6が、一次転写ローラ7に張架されて感光ドラム1に圧接されており、上記感光ドラム1上に現像されたトナー像が、上記無端ベルト6の順逆両方向の繰り返し走行により、この無端ベルト表面に各色順に転写されるようになっている。そして、この無端ベルト6の順方向(感光ドラム1と同じ方向)の走行により、上記トナー像は、この無端ベルト6と二次転写ローラ8との間に挟まれた複写紙9に転写される。なお、二次転写後に無端ベルト6の表面上に残留するトナーはクリーニングブレード10によって回収され、無端ベルト6はつぎの転写に備えるようになっている。また、一次転写後に感光ドラム1表面上に残留するトナーはクリーニング装置11によって回収され、その後、感光ドラム1表面はイレーザーランプ12により除電される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記無端ベルト6は、一次転写ローラ7、二次転写ローラ8等の数本のローラに張架されているため、各ローラ7、8と接する部分で円弧状に曲がった状態となる(図5参照)。そして、その状態のまま、この無端ベルト6を組み込んだ電子写真複写機を長期間使用しないでいると、無端ベルト6に上記曲がった形態が付与され、無端ベルト6の曲がり癖となってしまう。さらに、この曲がり癖の付いた無端ベルト6をそのまま使用すると、複写画像に白抜け等の不具合を生じる。そのため、最近では、上記曲がり癖が無端ベルト6に付与されないように、電子写真複写機の電源が切れている状態では、上記無端ベルト6の張架力を緩めておく機構を電子写真複写機内に設けておく等の改良が行われている。
【0005】
しかしながら、小型化、薄型化が進められている電子写真複写機において、上記機構を新たに設けることは、それだけ余分にスペースが必要となり、小型化、薄型化への大きな障害となる。また、電子写真複写機の複写画像の高画質化も求められており、上記白抜け等の不具合を生じるシステムを解消しなければならない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ローラに架け渡された状態で長期間使用しない場合であっても、曲がり癖が付かず、しかも複写画像の高画質化を実現できる電子写真複写機用半導電性プラスチック無端ベルトの提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の電子写真複写機用半導電性プラスチック無端ベルトは、三層、ないし、その三層に表面層を設けた四層からなる無端ベルトであって、上記三層が、内層と、その外周面に形成されたポリアミド樹脂製接着層と、その接着層の外周面に形成された外層との積層構造であるとともに、その多層のうち厚みの大きい順に抽出される二層が、上記内層および外層であり、上記内層が、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体〔Poly(VdF−TFE)〕を用いて形成され、上記外層が、Poly(VdF−TFE),ポリカーボネート(PC),ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートとのアロイ(PC/PBT)およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のいずれか1つを用いて形成され、かつ下記の要件(A)〜(C)を満足するよう設定されているという構成をとる。
(A)二層のうち、少なくとも内層に導電性フィラーが含有されている。
(B)二層のうち、内層の形成材料全体に対する導電性フィラーの配合割合が、外層の形成材料全体に対する導電性フィラーの配合割合より3〜27重量%大きい。
(C)上記外層の厚みが、内層の厚み以上の厚みに形成されている。
【0008】
すなわち、本発明者らは、フルカラー複写機等の電子写真複写機に用いられる多層からなる無端ベルトについて、一連の研究を重ねた。その過程で、上記多層無端ベルトを電子写真複写機に組み込んで用いた場合、多層無端ベルトに、ベルト内側への円弧状の曲がり癖が付いてしまうのは、上記多層無端ベルトの各層の収縮力に差がないことが原因であることを突き止めた。すなわち、上記多層無端ベルトは、電子写真複写機に組み込んで用いる場合、数本のローラに張架されるため、図5に示すように、外側の層30は引っ張られるのに対して、内側の層31は圧縮される。この状態のまま長期間保持されると、内側の層31の収縮力と外側の層30の収縮力とが同程度であるため、多層無端ベルトの内側への曲がり状態が元に戻らず、そのまま曲がり癖となって多層無端ベルトに付与されてしまう。そこで、本発明者らは、所定の材料によって、三層、ないし、その三層に表面層を設けた四層からなる無端ベルトの各層を形成し、その三層における外層の厚みを、内層の厚み以上の厚みになるよう設定し、かつ、内層における導電性フィラーの配合割合を、外層における導電性フィラーの配合割合より、特定の範囲分多くなるよう設定し、内層の収縮力を小さくすることにより、所期の目的を達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本発明の電子写真複写機用半導電性プラスチック無端ベルト(以下、「半導電性プラスチック無端ベルト」と略す)は、例えば、図1に示すように、内層13と、これに隣接する中間層(接着層)14と、この中間層14に隣接する外層15の三層構造を有している。そして、上記各層の厚みは、外層15が最も大きく、つぎに内層13が大きく、中間層14が一番小さく設定されている。このような多層からなる半導電性プラスチック無端ベルトは、上記多層のうち厚みの大きい順に二層を抽出すると、外層15と内層13とが抽出される。
【0011】
上記内層13の形成材料としては、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体〔以下「Poly(VdF−TFE)」と略す〕が用いられ上記外層15の形成材料としては、Poly(VdF−TFE)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートとのアロイ(PC/PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が用いられる。なかでも、溶剤可溶性のものとして、Poly(VdF−TFE)が好適である。すなわち、製法的に有利だからである。
【0012】
上記層形成材料の溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が用いられる。なかでも、Poly(VdF−TFE)とアセトンの組合わせが好適である。
【0013】
上記内層13および外層15の間に設けられる中間層(接着層)14の形成材料としては、ポリアミド樹脂が用いられる。上記ポリアミド樹脂としては、N−メトキシメチル化ナイロン(以下「ナイロン8」と略す)、ナイロン12、共重合ナイロン等があげられる。なかでも、内層13と外層15との密着強度を向上させ、しかもその二層が混ざらないようにするために、ナイロン8を用いることが好適である。
【0014】
そして、上記ポリアミド樹脂の溶剤としては、メタノール、エタノール等の単独溶剤またはそれら単独溶剤に水、トルエン等を混合させた混合溶剤、1−プロパノール、2−プロパノール等が用いられる。なかでも、ナイロン8とメタノール/水混合溶剤(メタノール/水=3/1)との組合わせが好適である。
【0015】
また、上記内層13、中間層14、外層15の少なくとも一層に、導電性フィラーが含有されていなければならない。上記導電性フィラーとしては、アルミニウム粉末、ステンレス粉末等の金属粉末、c−ZnO、c−TiO2 、c−Fe3 4 、c−SnO2 等の導電性金属酸化物、グラファイト、カーボンブラック等の導電性粉末、四級アンモニウム塩、リン酸エステル、スルホン酸塩、脂肪族多価アルコール、脂肪族アルコールサルフェート塩等のイオン性導電剤等があげられる。これら導電性フィラーは、単独でもしくは二種以上を併せて用いられる。これら導電性フィラーのなかでも、分散性の点から、c−TiO2 およびc−SnO2 が好ましい。なお、上記「c−」とは、導電性を有するという意味である。
【0016】
そして、厚みの大きい順に抽出された二層(すなわち、内層13および外層15)において、内層13の形成材料に含有される導電性フィラーの配合割合は、外層15の形成材料に含有される導電性フィラーの配合割合より、3〜27重量%大きくなるよう設定されていなければならない。すなわち、この関係を保つことにより、得られる半導電性プラスチック無端ベルトの内側への曲がり癖を防止できるからである。これが、本発明の大きなポイントである。
【0017】
したがって、外層15に導電性フィラーが含有されていない場合、内層13に含有させる導電性フィラーの配合割合は、内層13の形成材料全体に対して、3〜27重量%の範囲となるよう設定されていなければならない。また、外層15に導電性フィラーが所定割合で含有されている場合には、内層13に含有させる導電性フィラーの配合割合は、外層15のそれより、3〜27重量%多くなるよう配合されていなければならない。このような要件を満たすことにより、内層13の収縮力を外層15の収縮力より小さくでき、半導電性プラスチック無端ベルトの内側への曲がり癖を防止できる。
【0018】
ただし、上記内層13の形成材料に含有させる導電性フィラーの配合割合は、内層13形成材料全体に対して、50重量%以下が好ましく、30重量%以下に設定されていることが好適である。すなわち、上記範囲内でないと、内層13の機械特性が著しく低下し、それゆえ脆くなり割れやすくなるおそれがあるからである。なお、外層15における導電性フィラーの配合割合は、上記内層13のそれを考慮して設定する必要があることをいうまでもない。
【0019】
また、上記内層13、中間層14および外層15に、必要に応じ、帯電防止剤、架橋剤等、適宜の充填剤を含有させてもよい。
【0020】
上記半導電性プラスチック無端ベルトは、例えばつぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、各層13〜15の形成材料およびその溶剤を、それぞれ適宜に配合し、ボールミル等で混練し、ついで攪拌し、各コーティング液を調製する。そして、このようにして調製されたコーティング液の濃度は、層の厚みに応じて適宜に設定される。すなわち、層の厚みはコーティング液の粘度調整が大きな要因となり、この粘度調整によって設定され、上記粘度はコーティング液の濃度に決定される。
【0021】
ついで、上記各コーティング液を、図2に示すようにそれぞれ槽16、槽17、槽18に収容する。一方、金属製の軸体(例えばアルミニウム、ステンレス等)19を準備し、この軸体19を垂直に立てて、まず槽16に収容されているコーティング液中に繰り返し浸漬する。そして、所定の回数浸漬を繰り返した後、コーティング液中から軸体19を引き上げる。ついで、同様の操作を行い、三層構造を形成する。つぎに、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(例えば60〜150℃×60分間)を行い、上記軸体19を抜き取ると、図1に示す半導電性プラスチック無端ベルトが得られる。
【0022】
なお、上記製法以外に、多層押出成形法、スプレーコーティング法、インフレーション法等の方法により、半導電性プラスチック無端ベルトを得ることができる。
【0023】
このようにして得られた半導電性プラスチック無端ベルトは、内層における導電性フィラーの配合割合と、外層における導電性フィラーの配合割合とが、特定の要件を満たすように設定されているため、内側の収縮力が外側の収縮力より小さくなり、曲がり癖がつかない。そのため、この半導電性プラスチック無端ベルトを組み込んだ電子写真複写機の複写画像は、画像の白抜け等の不具合を生じず、高画質なものとなる。
【0024】
なお、本発明の半導電性プラスチック無端ベルトは、下記の方法(X)により測定される曲がり角度が、40〜140°の範囲となるよう設定されていることが好ましい。すなわち、上記範囲内でないと、この無端ベルトをローラに張架させた場合に、曲がり癖が付くおそれがあり、しかもこの無端ベルトを電子写真複写機に組み込んで用いると、得られる複写画像にローラピッチに相当した部分に画像の白抜け等の不具合を生じるおそれがあるからである。
【0025】
(X) 図3の(a)に示すように、まず無端ベルトから切り出したシート(長さ150mm×幅50mm)20を、直径30mmのローラ21の上方から懸架させ、上記シート20の両端部を閉じ合わせて固定したのち、この固定部分に、下向きに100g/cm(500g)の荷重をかけ、その状態で温度45℃、湿度90%の条件下において16時間放置した。その後、荷重を外し、ついで上記ローラ21からシート20を外す。このようにしてから、図3の(b)に示すように、前記懸架時における上記ローラ21と接していたシート20の円弧状部分を中心に、これを挟む左右のシート部分の表面を上方に延長させたと仮想し、その左右仮想延長部23でつくられた角度θを測定する。これを曲がり角度とする。
【0026】
そして、上記特定の曲がり角度を有する半導電性プラスチック無端ベルトは、前述の製法以外の方法によって得ることができる。
【0027】
すなわち、例えば、上記と同様にして、各層のコーティング液を準備し、これを各槽16〜18に収容する。一方、金属製の軸体19を準備し、この軸体19を垂直に立てて、まず槽16に収容されている最内層となる内層13の形成材料用のコーティング液中に繰り返し浸漬する。そして、所定の回数浸漬を繰り返した後、コーティング液中から軸体19を引き上げる。この軸体19には、内層13のコーティング液の液膜が形成されている。ついで、この液膜付軸体ごと乾燥させて液膜中の溶剤を揮散させ、軸体19の外周に最内層となる内層13を形成させる。つぎに、この内層付軸体を槽17に収容されているコーティング液中に繰り返し浸漬し、所定回数浸漬を繰り返した後、中間層14の形成材料用のコーティング液中から内層付軸体を引き上げる。そして、その状態のまま、槽18に収容されているコーティング液中に繰り返し浸漬し、所定回数浸漬を繰り返した後、外層15の形成材料用のコーティング液中から内層付軸体を引き上げ、軸体の外周に三層構造を形成する。つぎに、乾燥して中間層14および外層15から溶剤を除去した後、加熱処理(例えば60〜150℃×60分間)を行い、上記軸体19を抜き取ることにより、図1に示す半導電性プラスチック無端ベルトが得られる。
【0028】
なお、上記半導電性プラスチック無端ベルトにおいて、内層13、中間層14および外層15の合計厚みは、50〜250μmであることが好ましい。より好ましくは、100〜200μmである。すなわち、厚みが50μm未満であると強度が不足するおそれがあり、250μmを超えると耐屈曲疲労性に劣るおそれがあるからである。
【0029】
そして、上記半導電性プラスチック無端ベルトは、内周長が90〜600mm程度で、長さが100〜500mm程度のものが好ましい。すなわち、上記範囲内程度の形状であると、電子写真複写機に組み込んで用いるに適当な大きさとなるからである。
【0030】
さらに、半導電性プラスチック無端ベルト全体の特性として、その体積抵抗率が106 〜1014Ω・cmに設定されていることが好ましい。より好ましくは、108 〜1012Ω・cmである。すなわち、106 Ω・cm未満であると電荷の減衰が早すぎ電源の容量を大きくする必要を生ずるおそれがあり、1014Ω・cmを超えると電荷の減衰が遅すぎ、除電のシステムを必要とするおそれがあるからである。また、上記半導電性プラスチック無端ベルトの表面抵抗率が106 〜1014Ω/□に設定されていることが好ましい。より好ましくは、108 〜1014Ω/□である。すなわち、106 Ω/□未満であると電荷の減衰が早すぎ電源の容量を大きくする必要が生ずるおそれがあり、1014Ω/□を超えると電荷の減衰が遅すぎ、除電のシステムを必要とするおそれがあるからである。
【0031】
なお、本発明の半導電性プラスチック無端ベルトは、上記三層構造に限定されるものではなく、上記外層15の表面に、トナー離型性を向上させる目的で、シリコーン樹脂等を含有する材料で表面層を設け、層構造にしてもよい。
【0032】
そして、本発明の半導電性プラスチック無端ベルトは、上記フルカラー複写機等の電子写真複写機の転写ベルトとしての用途に限定されるものではなく、フルカラーではない、単色の電子写真複写機等の転写ベルトにも使用できる。さらに、本発明の半導電性プラスチック無端ベルトは、ローラに張架された場合の曲げ癖を解消できるため、その用途は、ローラに張架されるベルト全てに使用できる。
【0033】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0034】
【実施例1〜4、比較例1、2】
下記の表1に示す配合割合で、各層の形成材料およびその溶剤を配合し、ボールミルで混練し、ついで攪拌することにより、各コーティング液を調製した。なお、各コーティング液の粘度(B型粘度計による測定)を、同じく表1に示した。ついで、上記のようにして調製された各コーティング液を、それぞれ別々の槽に収容した(図2参照)。そして、前述の方法に従い、アルミニウム製の軸体の周囲に順次、内層、中間層、外層となる層を積層形成し、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(80℃×60分間)を行うことにより各層を形成した。ついで、上記アルミニウム製の軸体を抜き取って、目的とする半導電性プラスチック無端ベルトを得た。このようにして得られた半導電性プラスチック無端ベルトについて、各層の厚みおよび全体の厚み、体積抵抗率、表面抵抗率、曲がり角度、複写画像の画質を測定・評価し、その結果を下記の表2に示した。なお、各測定は以下の方法で行った。
【0035】
〔厚み〕
マイクロメータを用いて測定した。
【0036】
〔体積抵抗率および表面抵抗率〕
JIS K 6911の抵抗率試験法に準じて、印加電圧100V時の体積抵抗率および表面抵抗率を算出した。
【0037】
〔曲がり角度〕
前述の方法により測定した。
【0038】
〔複写画像の画質〕
得られた半導電性プラッスチック無端ベルトをローラユニットに組み付けた状態で、3日間高温高湿条件下(45℃×90%)に放置し、それからこれをフルカラーの電子写真複写機(プリテール500、リコー社製)に組み込み、これを常温常湿条件下(23℃×50%)で起動させ、得られる複写画像の評価を行った。そして、複写画像に乱れが確認されなかったものを○、乱れが確認できたものを×として表した。
【0039】
【表1】
【0040】
*1:ネオフロンVT−100(ダイキン工業社製)
*2:チタンブラック13M(三菱マテリアル社製)
*3:トレジンEF−30T(帝国化学産業社製)
*4:導電性酸化スズT−1(三菱マテリアル社製)
【0041】
【表2】
【0042】
【実施例5〜7】
下記の表3に示す配合割合で、内層および中間層の形成材料ならびにその溶剤を配合し、ボールミルで混練し、ついで攪拌することにより、各コーティング液を調製した。なお、各コーティング液の粘度(B型粘度計による測定)を、同じく表3に示した。ついで、上記のようにして調製された各コーティング液を、それぞれ別々の槽に収容した。そして、実施例1と同様にして、アルミニウム製の軸体の周囲に順次、内層、中間層となる層を積層形成し、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(80℃×60分間)を行うことにより内層および中間層を形成した。それから、同じく表3に示す配合割合で外層の形成材料を配合し、これを押出機等を用いて、上記中間層の外周に外層を形成した。ついで、上記アルミニウム製の軸体を抜き取って、目的とする半導電性プラスチック無端ベルトを得た。このようにして得られた半導電性プラスチック無端ベルトについて、実施例1と同様にして、各層の厚みおよび全体の厚み、体積抵抗率、表面抵抗率、曲がり角度、複写画像の画質を測定・評価し、その結果を下記の表4に示した。
【0043】
【表3】
【0044】
*1:ネオフロンVT−100(ダイキン工業社製)
*2:チタンブラック13M(三菱マテリアル社製)
*3:トレジンEF−30T(帝国化学産業社製)
*4:導電性酸化スズT−1(三菱マテリアル社製)
*5:ユーロピオンE2000(三菱ガス化学社製)
*6:ゼノイ1731(GEプラスチック社製)
*7:ビクトレックス450G(三井東圧化学社製)
*8:シュウブラックN330(昭和キャボット社製)
【0045】
【表4】
【0046】
上記実施例1品〜7品は全て、内層の導電性フィラーの配合割合が外層の導電性フィラーの配合割合より大きいため、無端ベルトに曲がり癖がつかない。そのため、この無端ベルトを電子写真複写機に組み込んで用いると、得られる複写画像は、ロールピッチに相当して白抜け等の不具合を生じず、高画質のものとなっている。これに対して、比較例1品および2品は、内層の導電性フィラーの配合割合が外層の導電性フィラーの配合割合より大きくないため、無端ベルトに曲がり癖がつく。そのため、得られる複写画像は、ロールピッチに相当する部分で白抜け等の不具合を生じている。
【0047】
【実施例8、9】
下記の表5に示す各層の形成材料およびその溶剤とを準備し、これを同表に示す配合割合で配合し、ボールミルで混練し、ついで攪拌することにより、各コーティング液を調製した。なお、各コーティング液の粘度(B型粘度計による測定)を、同じく表5に示した。ついで、上記のようにして調製された各コーティング液を、それぞれ別々の槽に収容した(図2参照)。そして、アルミニウム製の軸体の周囲に内層となる液膜を形成し、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(80℃×60分間)を行うことにより内層を形成した。それから、内層付アルミニウム製軸体の周囲に順次、中間層、外層となる液膜を積層形成し、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(80℃×60分間)を行うことにより、軸体の外周に上記内層を含む各層を形成した。そして、上記アルミニウム製の軸体を抜き取って、目的とする半導電性プラスチック無端ベルトを得た。このようにして得られた半導電性プラスチック無端ベルトについて、実施例1と同様にして、各層の厚みおよび全体の厚み、体積抵抗率、表面抵抗率、曲がり角度、複写画像の画質を測定・評価し、その結果を下記の表6に示した。
【0048】
【表5】
【0049】
*1:ネオフロンVT−100(ダイキン工業社製)
*2:チタンブラック13M(三菱マテリアル社製)
*3:トレジンEF−30T(帝国化学産業社製)
*4:導電性酸化スズT−1(三菱マテリアル社製)
【0050】
【表6】
【0051】
上記実施例8品、実施例9品は全て、無端ベルトに曲がり癖が付かない。そのため、この無端ベルトを電子写真複写機に組み込んで用いると、得られる複写画像は、ロールピッチに相当して白抜け等の不具合を生じず、高画質のものとなっている。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明の半導電性プラスチック無端ベルトは、所定の樹脂材によって形成された内層と外層とが、接着層(中間層)を介し一体化された、三層、ないし、その三層に表面層を設けた四層からなる多層無端ベルトであって、上記多層のうち厚みの大きい順に抽出される二層(内層および外層)において、内層の形成材料における導電性フィラーの配合割合が、外層の形成材料における導電性フィラーの配合割合より特定の範囲大きくなるよう設定され、かつ上記外層の厚みが、内層の厚み以上の厚みに形成されているため、この半導電性プラスチック無端ベルトに曲がり癖がついてしまうことがない。したがって、上記無端ベルトを電子写真複写機等の転写ベルトとして用いると、得られる複写画像が非常に高画質となり、しかもその良好な画質を長期にわたって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の半導電性プラスチック無端ベルトを示す断面図である。
【図2】 本発明の半導電性プラスチック無端ベルトの製法の一例を示す説明図である。
【図3】 (a)は無端ベルトの曲がり角度の測定方法を説明する説明図であり、(b)は測定する曲がり角度を説明する説明図である。
【図4】 電子写真複写機の複写機構を示す説明図である。
【図5】 無端ベルトをローラに張架した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
13 内層
14 中間層
15 外層

Claims (1)

  1. 三層、ないし、その三層に表面層を設けた四層からなる無端ベルトであって、上記三層が、内層と、その外周面に形成されたポリアミド樹脂製接着層と、その接着層の外周面に形成された外層との積層構造であるとともに、その多層のうち厚みの大きい順に抽出される二層が、上記内層および外層であり、上記内層が、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体〔Poly(VdF−TFE)〕を用いて形成され、上記外層が、Poly(VdF−TFE),ポリカーボネート(PC),ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートとのアロイ(PC/PBT)およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のいずれか1つを用いて形成され、かつ下記の要件(A)〜(C)を満足するよう設定されていることを特徴とする電子写真複写機用半導電性プラスチック無端ベルト。
    (A)二層のうち、少なくとも内層に導電性フィラーが含有されている。
    (B)二層のうち、内層の形成材料全体に対する導電性フィラーの配合割合が、外層の形成材料全体に対する導電性フィラーの配合割合より3〜27重量%大きい。
    (C)上記外層の厚みが、内層の厚み以上の厚みに形成されている。
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