JP3666159B2 - 電子写真複写機用半導電性プラスチック無端ベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子写真複写機において、感光体上のトナーを写し取る転写中間体等に用いられる半導電性プラスチック無端ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、フルカラー複写機等の電子写真複写機の実用化に伴って、感光体上に現像されたトナー像を複写紙に転写する際に、一旦トナーを転写中間体に写し取った後、複写紙に転写するというプロセスが採用されている。
【0003】
その一例を図6に示す。すなわち、このプロセスでは、感光ドラム1の表面が帯電ロール2により帯電された後、露光機構部3を介して原稿光像のスリット露光4が感光ドラム1表面に到達し、原稿像に対応した静電潜像が感光ドラム1表面に形成され、現像装置5によってトナー像が形成されるようになっている。また、上記感光ドラム1の下部には、転写中間体である無端ベルト6が、一次転写ローラ7に張架されて感光ドラム1に圧接されており、上記感光ドラム1上に現像されたトナー像が、上記無端ベルト6の順逆両方向の繰り返し走行により、この無端ベルト表面に各色順に転写されるようになっている。そして、この無端ベルト6の順方向(感光ドラム1と同じ方向)の走行により、上記トナー像は、この無端ベルト6と二次転写ローラ8との間に挟まれた複写紙9に転写される。なお、二次転写後に無端ベルト6の表面上に残留するトナーはクリーニングブレード10によって回収され、無端ベルト6はつぎの転写に備えるようになっている。また、一次転写後に感光ドラム1表面上に残留するトナーはクリーニング装置11によって回収され、その後、感光ドラム1表面はイレーザーランプ12により除電される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記無端ベルト6は、一次転写ローラ7、二次転写ローラ8等の数本のローラに張架されているため、各ローラ7、8と接する部分で円弧状に曲がった状態となる(図2参照)。そして、その状態のまま、この無端ベルト6を組み込んだ電子写真複写機を長期間使用しないでいると、無端ベルト6に上記曲がった形態が付与され、無端ベルト6の曲がり癖となってしまう。さらに、この曲がり癖のついた無端ベルト6をそのまま使用すると、複写画像に白抜け等の不具合を生じる。そのため、最近では、上記曲がり癖が無端ベルト6に付与されないように、電子写真複写機の電源が切れている状態では、上記無端ベルト6の張架力を緩めておく機構を電子写真複写機内に設けておく等の改良が行われている。
【0005】
しかしながら、小型化、薄型化が進められている電子写真複写機において、上記機構を新たに設けることは、それだけ余分にスペースが必要となり、小型化、薄型化への大きな障害となる。また、電子写真複写機の複写画像の高画質化も求められており、上記白抜け等の不具合を生じるシステムを解消しなければならない。
【0006】
この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ローラに架け渡された状態で長期間使用しない場合であっても、曲がり癖がつかず、しかも複写画像の高画質化を実現できる電子写真複写機用半導電性プラスチック無端ベルトの提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明の電子写真複写機用半導電性プラスチック無端ベルトは、内層と中間層と外層からなるか、もしくは内層と中間層と外層と表面層からなる無端ベルトであって、上記多層のうち、最も厚みの大きい層である外層が、熱変形温度が90℃以上となるよう設定されている材料であって、上記他の層と形成材料が異なる下記の(A)を用いて形成され、上記中間層が下記の(B)を用いて形成され、上記内層が下記の(C)を用いて形成されてなるという構成をとる。
(A)架橋したポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、およびABS樹脂とポリカーボネートとの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1つ。
(B)ポリアミド樹脂。
(C)フッ素樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1つ。
【0008】
すなわち、本発明者らは、フルカラー複写機等の電子写真複写機に用いられる無端ベルトについて、一連の研究を重ねた。その結果、内層と中間層と外層からなるか、もしくは内層と中間層と外層と表面層からなる無端ベルトの各層のうち、この多層無端ベルト全体の物性に大きく関与する最も厚みの大きい層を上記外層とし、かつ、熱変形温度が90℃以上となるよう設定されている材料であって、上記他の層と形成材料が異なる上記特定の材料(A)を用いて形成することにより、所期の目的を達成できることを見いだし、この発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。
【0010】
この発明の電子写真複写機用半導電性プラスチック無端ベルト(以下、「半導電性プラスチック無端ベルト」と略す)は、例えば、図1に示すように、内層13と、これに隣接する中間層14と、この中間層14に隣接する外層15の三層構造を有している。そして、上記各層の厚みは、外層15が最も大きく、つぎに内層13が大きく、中間層14が一番小さく設定されている。
【0011】
上記内層13の形成材料としては、フッ素樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が用いられ、なかでも、フッ素樹脂が好ましい。また、これらを二種以上組み合わせて用いることもできる。
【0012】
上記フッ素樹脂としては、特に限定するものではないが、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体〔以下「Poly(VdF−TFE)」と略す〕、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が用いられる。なかでも、溶剤可溶性のものとして、Poly(VdF−TFE)が好適である。すなわち、製法的に有利だからである。
【0013】
上記溶剤可溶性フッ素樹脂の溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等が用いられる。なかでも、Poly(VdF−TFE)とアセトンの組合わせが好適である。
【0014】
上記内層13に隣接して設けられる中間層14の形成材料としては、ポリアミド樹脂が用いられる。上記ポリアミド樹脂としては、N−メトキシメチル化ナイロン(以下「ナイロン8」と略す)、ナイロン12、共重合ナイロン等があげられる。なかでも、内層13と外層15との密着強度を向上させ、しかもその二層が混ざらないようにするために、ナイロン8を用いることが好適である。
【0015】
そして、上記ポリアミド樹脂の溶剤としては、メタノール、エタノール等の単独溶剤またはそれら単独溶剤に水、トルエン等を混合させた混合溶剤、1−プロパノール、2−プロパノール等が用いられる。なかでも、ナイロン8とメタノール/水混合溶剤(メタノール/水=3/1)との組合わせが好適である。
【0016】
上記中間層14と隣接し、三層構造のなかで最も厚みの大きい外層15の形成材料としては、熱変形温度が90℃以上となるものでなければならない。すなわち、上記熱変形温度が90℃未満であると、得られる無端ベルトをローラに張架して用いる場合、図2に示すように、ローラ16との接触部分における無端ベルト17内側の圧縮および外側の伸長によって、無端ベルト17の形状の決定に大きく関与する層の形成材料の分子配列が除々に崩れてしまうからである(図2では、各層の図示を省略)。そして、この配列の崩れによって、無端ベルト17の上記形状決定層が、上記ローラ16の形状に沿って変形し、それが曲がり癖として無端ベルト17についてしまうのである。
【0017】
上記熱変形温度が90℃以上である材料としては、電子線照射や水分硬化等により架橋したポリプロピレン(以下「架橋PP」と略す)、ポリカーボネート(以下「PC」と略す)、ポリイミド(以下「PI」と略す)、ポリエーテルエーテルケトン(以下「PEEK」と略す)、ABS樹脂とPCとの混合物(ABS/PC)が用いられる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。なかでも、非常に曲がり癖のつきにくい、架橋PPが好適である。なお、上記熱変形温度は、JIS K 7207の荷重たわみ温度試験方法に準じ、荷重18.6kgf/cm2 の場合における測定温度のことである。
【0018】
なお、上記内層13、中間層14および外層15に、必要に応じ、導電性フィラー、帯電防止剤、架橋剤等、適宜の充填剤を含有させてもよい。
【0019】
上記導電性フィラーとしては、アルミニウム粉末、ステンレス粉末等の金属粉末、c−ZnO、c−TiO2 、c−Fe3 O4 、c−SnO2 等の導電性金属酸化物、グラファイト、カーボンブラック等の導電性粉末、四級アンモニウム塩、リン酸エステル、スルホン酸塩、脂肪族多価アルコール、脂肪族アルコールサルフェート塩等のイオン性導電剤等があげられる。これら導電性フィラーは、単独でもしくは二種以上を併せて用いられる。これら導電性フィラーのなかでも、分散性の点から、c−TiO2 およびc−SnO2 が好ましい。なお、上記「c−」とは、導電性を有するという意味である。
【0020】
上記半導電性プラスチック無端ベルトは、例えばつぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、各層13〜15の形成材料およびその溶剤を、それぞれ適宜に配合し、ボールミル等で混練し、ついで攪拌し、各コーティング液を調製する。そして、このようにして調製されたコーティング液の濃度は、層の厚みに応じて適宜に設定される。すなわち、層の厚みはコーティング液の粘度調整が大きな要因となり、この粘度調整によって設定され、上記粘度はコーティング液の濃度に決定される。
【0021】
ついで、上記各コーティング液を、図3に示すようにそれぞれ槽18、槽19、槽20に収容する。一方、金属製の軸体(例えばアルミニウム、ステンレス等)21を準備し、この軸体21を垂直に立てて、まず槽18に収容されているコーティング液中に繰り返し浸漬する。そして、所定の回数浸漬を繰り返した後、コーティング液中から軸体21を引き上げる。ついで、同様の操作を行い、三層構造を形成する。つぎに、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(例えば60〜150℃×60分間)を行い、上記軸体21を抜き取ると、図1に示す半導電性プラスチック無端ベルトが得られる。
【0022】
なお、上記製法以外に、多層押出成形法、スプレーコーティング法、インフレーション法等の方法により、半導電性プラスチック無端ベルトを得ることができる。
【0023】
このようにして得られた半導電性プラスチック無端ベルトは、この多層無端ベルト全体の物性に大きく関与する最も厚みの大きい層の形成材料として、特定の熱変形温度を有するものを用いている。このため、この無端ベルトをローラに張架して用いた場合、無端ベルト内側の圧縮および外側の伸長により発生する応力によって、無端ベルトに曲がり癖がついてしまうといったことがない。したがって、この無端ベルトを電子写真複写機に組み込んで用いても、得られる複写画像は、白抜け等の画像不良を生じず、非常に高画質なものとなる。
【0024】
なお、上記半導電性プラスチック無端ベルトにおいて、内層13、中間層14および外層15の合計厚みは、50〜250μmであることが好ましい。より好ましくは、100〜200μmである。すなわち、厚みが50μm未満であると強度が不足するおそれがあり、250μmを超えると耐屈曲疲労性に劣るおそれがあるからである。
【0025】
また、上記半導電性プラスチック無端ベルトは、内周長が90〜600mm程度で、長さが100〜500mm程度のものが好ましい。すなわち、上記範囲内程度の形状であると、電子写真複写機に組み込んで用いるに適当な大きさとなるからである。
【0026】
そして、半導電性プラスチック無端ベルト全体の特性として、その体積抵抗率が106 〜1014Ω・cmに設定されていることが好ましい。より好ましくは、108 〜1012Ω・cmである。すなわち、106 Ω・cm未満であると電荷の減衰が早すぎ電源の容量を大きくする必要を生ずるおそれがあり、1014Ω・cmを超えると電荷の減衰が遅すぎ、除電のシステムを必要とするおそれがあるからである。また、上記半導電性プラスチック無端ベルトの表面抵抗率が106 〜1014Ω/□に設定されていることが好ましい。より好ましくは、108 〜1014Ω/□である。すなわち、106 Ω/□未満であると電荷の減衰が早すぎ電源の容量を大きくする必要が生ずるおそれがあり、1014Ω/□を超えると電荷の減衰が遅すぎ、除電のシステムを必要とするおそれがあるからである。
【0027】
なお、本発明の半導電性プラスチック無端ベルトは、上記三層構造に限定されるものではなく、上記外層15の表面に、トナー離型性を向上させる目的で、シリコーン樹脂等を含有する材料で表面層を設け、四層構造にしてもよい。
【0028】
また、本発明の半導電性プラスチック無端ベルトは、上記フルカラー複写機等の電子写真複写機の転写ベルトとしての用途に限定されるものではなく、フルカラーではない、単色の電子写真複写機等の転写ベルトにも使用できる。さらに、本発明の半導電性プラスチック無端ベルトは、ローラに張架された場合の曲げ癖を解消できるため、その用途は上記に限らず、ローラに張架されるベルト全てに使用できる。
【0029】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0030】
まず、実施例および比較例に先立って、内層および中間層のコーティング液を調製した。
【0031】
〔内層用コーティング液の調製〕
すなわち、Poly(VdF−TFE)(ネオフロンVT−100、ダイキン工業社製)100重量部と、導電剤であるc−TiO2 (チタンブラック13M、三菱マテリアル社製)36重量部と、アセトン400重量部とを、ボールミルで混練し、ついで攪拌することにより、粘度250cps(B型粘度計)の内層用コーティング液を調製した。
【0032】
〔中間層用コーティング液の調製〕
つづいて、ナイロン8(トレジンEF−30T、帝国化学産業社製)100重量部と、導電剤であるc−SnO2 (導電性酸化スズT−1、三菱マテリアル社製)64重量部と、メタノール/水混合溶剤(メタノール/水=3/1)480重量部とを、ボールミルで混練し、ついで攪拌することにより、粘度100cps(B型粘度計)の中間層用コーティング液を調製した。
【0033】
【実施例1、2、比較例1】
そして、下記の表1に示す配合割合で、外層の形成材料およびその溶剤を配合し、ボールミルで混練し、ついで攪拌することにより、外層用コーティング液を調製した。なお、外層用コーティング液の粘度をB型粘度計で測定し、その結果を同じく表1に示した。ついで、上記のようにして調製された各層のコーティング液を、それぞれ別々の槽に収容した(図3参照)。そして、予め作製した内層用コーティング液および中間層用コーティング液と、上記外層用コーティング液とを用い、前述の方法に従い、アルミニウム製の軸体の周囲に順次、内層、中間層、外層となる層を積層形成し、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(60〜150℃×60分間)を行うことにより各層を形成した。なお、実施例1、2に関しては、シリコーン樹脂(シリコーンSR2411、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を形成材料として準備し、厚み1μmのシリコーン樹脂製表面層をディッピング方式により形成した。そして、上記アルミニウム製の軸体を抜き取って、目的とする半導電性プラスチック無端ベルトを得た。このようにして得られた半導電性プラスチック無端ベルトについて、各層および全体の厚み、体積抵抗率、表面抵抗率、曲がり癖の有無、トナー離型性、複写画像の画質を測定・評価し、その結果を下記の表2に示した。なお、各測定方法は以下の通りである。
【0034】
〔厚み〕
マイクロメータを用いて測定した。
【0035】
〔体積抵抗率および表面抵抗率〕
JIS K 6911の抵抗率試験法に準じて、印加電圧100V時の体積抵抗率および表面抵抗率を算出した。
【0036】
〔曲がり癖の有無〕
図4に示すように、無端ベルト22を4本のローラ23に張架し、ついでこの無端ベルト22に200g/cmの張力(テンション)をかけ、その状態で温度45℃、湿度90%の条件下において16時間放置した。その後、張力を外し、無端ベルト22を取り出した際、無端ベルト22が元の状態に戻るものを○、元の状態に戻らないものに×をつけた。
【0037】
〔トナー離型性〕
図5に示すように、無端ベルトより切り出したシート24表面にトナー25を適当量散布した。ついで、上記トナー散布面に用紙26をのせ、この用紙26に10g/cm2 の荷重(W)をかけた状態で80℃×30分間放置した。その後、用紙26を剥がした時、シート24表面におけるトナー25の固着状態を目視により判定した。そして、トナー25が固着しているものに×をつけ、トナー25が固着していないものに○をつけた。
【0038】
〔複写画像の画質評価〕
得られた半導電性プラッスチック無端ベルトをローラユニットに組み付けた状態で、3日間高温高湿条件下(45℃×90%)に放置し、それからこれをフルカラーの電子写真複写機(プリテール500、リコー社製)に組み込み、これを常温常湿条件下(23℃×50%)で起動させ、得られる複写画像の評価を行った。そして、複写画像に乱れが確認されなかったものを○、乱れが確認できたものを×として表した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【実施例3〜5、比較例2〜4】
実施例1と同様にして、予め用意した内層用コーティング液および中間層用コーティング液を用い、アルミニウム製の軸体の周囲に順次、内層、中間層となる層を積層形成し、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(60〜150℃×60分間)を行うことにより内層および中間層を形成した。それから、下記の表3に示す配合割合で外層の形成材料を配合し、これを押出機等を用いて、上記中間層の外周に外層を形成した。なお、実施例4、5に関しては、シリコーン樹脂(シリコーンSR2411、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を形成材料として準備し、厚み1μmのシリコーン樹脂製表面層をディッピング方式により形成した。そして、上記アルミニウム製の軸体を抜き取って、目的とする半導電性プラスチック無端ベルトを得た。このようにして得られた半導電性プラスチック無端ベルトについて、実施例1と同様にして、各層および全体の厚み、体積抵抗率、表面抵抗率、曲がり癖の有無、トナー離型性、複写画像の画質を測定・評価し、その結果を下記の表4に示した。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
上記実施例1品〜5品は全て、最も厚みの大きい層の形成材料が、熱変形温度90℃以上であるため、無端ベルトに曲がり癖がつかない。そのため、この無端ベルトを電子写真複写機に組み込んで用いると、得られる複写画像は、ロールピッチに相当して白抜け等の不具合を生じず、高画質のものとなっている。これに対して、比較例1品〜4品は、最も厚みの大きい層の形成材料が、熱変形温度90℃未満であるため、無端ベルトに曲がり癖がつく。そのため、得られる複写画像は、ロールピッチに相当する部分で白抜け等の不具合を生じている。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、この発明の半導電性プラスチック無端ベルトは、内層と中間層と外層からなるか、もしくは内層と中間層と外層と表面層からなる無端ベルトであって、上記多層のうち、最も厚みの大きい層である外層が、熱変形温度が特定の範囲となるよう設定されている材料であって、上記他の層と形成材料が異なる前記特定の材料(A)を用いて形成されていることにより、この半導電性プラスチック無端ベルトに曲がり癖がついてしまうことがない。したがって、上記無端ベルトを電子写真複写機等の転写ベルトとして用いると、得られる複写画像は非常に高画質となり、しかもその良好な画質が長期にわたって維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の半導電性プラスチック無端ベルトを示す断面図である。
【図2】無端ベルトをローラに張架した状態を示す説明図である。
【図3】この発明の半導電性プラスチック無端ベルトの製法の一例を示す説明図である。
【図4】曲がり癖の測定評価方法を説明する断面図である。
【図5】トナー離型性の測定評価方法を説明する断面図である。
【図6】電子写真複写機の複写機構を示す構成図である。
【符号の説明】
13 内層
14 中間層
15 外層
Claims (1)
- 内層と中間層と外層からなるか、もしくは内層と中間層と外層と表面層からなる無端ベルトであって、上記多層のうち、最も厚みの大きい層である外層が、熱変形温度が90℃以上となるよう設定されている材料であって、上記他の層と形成材料が異なる下記の(A)を用いて形成され、上記中間層が下記の(B)を用いて形成され、上記内層が下記の(C)を用いて形成されてなることを特徴とする電子写真複写機用半導電性プラスチック無端ベルト。
(A)架橋したポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、およびABS樹脂とポリカーボネートとの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1つ。
(B)ポリアミド樹脂。
(C)フッ素樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1つ。
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