JPH09268908A - 圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置 - Google Patents

圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置

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JPH09268908A
JPH09268908A JP8079224A JP7922496A JPH09268908A JP H09268908 A JPH09268908 A JP H09268908A JP 8079224 A JP8079224 A JP 8079224A JP 7922496 A JP7922496 A JP 7922496A JP H09268908 A JPH09268908 A JP H09268908A
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auxiliary
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rocker
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章 松本
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    • F01L1/00Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear
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    • F01L1/26Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of two or more valves operated simultaneously by same transmitting-gear; peculiar to machines or engines with more than two lift-valves per cylinder
    • F01L1/267Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of two or more valves operated simultaneously by same transmitting-gear; peculiar to machines or engines with more than two lift-valves per cylinder with means for varying the timing or the lift of the valves
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、圧縮圧開放型エンジン補助ブレー
キ装置に関し、ロッカアームのロッカ比を最適化して、
ロッカアームを小型化できるようにする。 【解決手段】 排気行程において排気弁を開弁させる排
気ロッカアーム6と、排気ロッカアーム6と一体作動可
能に構成され排気ロッカアーム6とは異なるタイミング
で排気弁を開弁させる補助ロッカアーム8と、圧縮上死
点近傍で補助ロッカアーム8を駆動する補助カムと、排
気ロッカアーム6と補助ロッカアーム8とを支持するロ
ッカシャフト22とをそなえ、ロッカシャフト22の中
心軸線22Aから補助ロッカアーム8における補助カム
との接点Cまでの距離Lが、ロッカシャフト22の中心
軸線22Aから排気ロッカアーム6における排気カムと
の接点Aまでの距離よりも長くなるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関(エンジ
ン)の吸気弁や排気弁等の機関弁の開閉タイミングを制
御することで制動力を得るようにした、圧縮圧開放型エ
ンジン補助ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジンブレーキ装置の1つ
として、アクセルオフ時にエキゾーストマニホールド内
の開閉弁を閉じることで排気の圧力を高めてエンジンブ
レーキ能力を増大させるようにした排気ブレーキ装置が
広く実用化されている。また、これ以外にも、エンジン
ブレーキ装置としては、アクセルオフ時に排気弁を通常
の排気タイミングと異なるタイミングで開閉することで
シリンダ内の圧力状態をコントロールし、エンジンブレ
ーキ能力を増大させるような圧縮圧開放型エンジン補助
ブレーキ装置が開発,実用化されている。
【0003】このような排気ブレーキ装置や圧縮圧開放
型エンジン補助ブレーキ装置は、主に大型トラックやバ
ス等の重量の大きな車両に適用されており、特に排気ブ
レーキ装置と圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置と
を併用することで、アクセルオフ時に強力なエンジンブ
レーキが生じるようにして、サービスブレーキの負担を
低減しながら大きな制動力を得るようにしている。
【0004】ここで、上述の圧縮圧開放型エンジン補助
ブレーキ装置の作動原理を簡単に説明すると、このブレ
ーキ装置の作動時には、吸気弁及び排気弁は以下のよう
に開閉駆動される。すなわち、吸気行程時には通常通り
吸気弁を開いて吸気を取り入れる。また、圧縮行程時に
も通常運転時通り吸気弁及び排気弁をともに閉じて、シ
リンダ内の吸気を圧縮する。
【0005】次に、圧縮行程から膨張行程に移行する直
前に、排気弁を開いて、圧縮された吸気を排気弁を介し
て排気ポートに排出する。したがって、圧縮行程で圧縮
された吸気の反発力はピストンに作用しなくなり、ピス
トンを押し下げる方向に作用する力が発生しなくなる。
さらに、圧縮空気を排出した後に排気弁を閉じて、膨張
行程時にシリンダ内を密閉状態にする。これによりピス
トンが下降するのを妨げようとする力が発生してエンジ
ンブレーキ力が作用するのである。
【0006】次に、ピストンが下死点近傍に達して排気
行程に移行すると、通常通り排気弁を開き、シリンダ内
を大気圧近傍にする。この後、ピストンが上死点近傍に
達すると、再び吸気行程を開始する。そして、このよう
な圧縮行程及び膨張行程でのブレーキ力が連続してピス
トンに作用することにより、エンジンブレーキ能力が大
幅に増大されるのである。言い換えれば、エンジンに負
の仕事としてポンプ作動を行なわせることにより、車両
の運動エネルギを吸収して制動力に変換するのである。
【0007】なお、このような圧縮圧開放式エンジン補
助ブレーキの作動時には、燃料噴射は停止される。ま
た、例えば特開平5−33684号公報等にもこのよう
な補助ブレーキ装置に関する技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、排気弁を通
常の排気タイミングと異なるタイミングで開閉するため
の具体的な構成としては、例えば図7,図8に示すよう
なものが考えられる。ここで、図7は圧縮圧開放型エン
ジン補助ブレーキ装置を有するエンジンの動弁機構の一
例を示す模式図であって、OHC(オーバヘッドカムシ
ャフト)式動弁機構として構成されており、図中、2は
排気弁駆動用ロッカアーム(排気ロッカアーム)、6は
吸気弁駆動用ロッカアーム(吸気ロッカアーム)、8は
圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ用ロッカアーム(補
助ロッカアーム)、22はロッカシャフトである。
【0009】ロッカシャフト22は各気筒毎に分割して
設けられており、ロッカシャフト22の両端部はそれぞ
れロッカシャフト支持部(図示省略)により回転可能に
支持されている。また、このロッカシャフト22は排気
ロッカアーム2と一体に形成されたロッカアーム一体型
ロッカシャフトであって、排気ロッカアーム2の揺動に
応じてロッカシャフト22も回動するようになってい
る。
【0010】一方、吸気ロッカアーム6はロッカシャフ
ト22に遊嵌されており、吸気ロッカアーム6とロッカ
シャフト22とは互いに相対回転可能に構成されてい
る。また、ロッカシャフト22には、補助ロッカアーム
8も遊嵌されている。この補助ロッカアーム8は、図示
しないエンジン補助ブレーキ用カム(補助カム)により
駆動されるものである。また、この補助カムは、エンジ
ン補助ブレーキの作動に適したカムプロフィールに形成
されており、エンジンの圧縮上死点近傍で補助ロッカア
ーム8を揺動させるようなカムプロフィールに形成され
ているものである。
【0011】また、この動弁機構には、補助ロッカアー
ム8と排気ロッカアーム2とを連結させて各ロッカアー
ム2,8を一体に作動させる連係モードと、補助ロッカ
アーム8と排気ロッカアーム2とを切り離して排気ロッ
カアーム2を単独で作動させる非連係モードとを切り換
えるための切り換え機構(又はロッカアーム係合機構)
30が設けられている。
【0012】そして、この切り換え機構30の作動を制
御することにより、エンジンの通常運転とエンジン補助
ブレーキの作動とが切り換えられる。すなわち、エンジ
ン1の通常運転時には、排気ロッカアーム2と補助ロッ
カアーム8とを切り離し、排気ロッカアーム2のみで排
気弁を駆動する。これにより、排気弁は通常のバルブタ
イミングで開閉駆動される。
【0013】また、エンジン補助ブレーキの作動時に
は、補助ロッカアーム8と排気ロッカアーム2とを連結
して一体に作動させ、排気弁を排気ロッカアーム2及び
補助ロッカアーム8の両方により駆動する。これによ
り、排気弁が圧縮上死点近傍においても開弁して、圧縮
エネルギを逃がすことで制動力を得ることができる。な
お、切り換え機構30としては、係合ピン等を流体圧に
より進退させることで、補助ロッカアーム8をロッカシ
ャフト22から切り離したり、ロッカシャフト22に連
結させたりする機構が考えられる。
【0014】ところで、このような吸排気弁の開閉駆動
にロッカアーム6,2を用いた動弁機構では、ロッカア
ーム6,2とカム36,32との接点Aからロッカアー
ム6,2の揺動中心(すなわち、ロッカシャフト22の
中心軸線)22Aまでの距離Mと、この揺動中心22A
からロッカアーム6のバルブ作用点Bまでの距離Nとを
どのような大きさに設定するかで動弁系の動特性は大き
く変化する。
【0015】特に、上述の距離Nと距離Mとの比(ロッ
カ比)N/Mをどのように設定するかはエンジンの動特
性を考慮するうえで重要な要素である。ここで、ロッカ
比N/Mを小さく設定すると、同一のバルブリフト量を
得るためにはカムのリフトを高くする必要がある。しか
しながら、このようにカムのリフトを高くすると、エン
ジンの高速回転時にロッカアームのカムに対する追従性
を悪化させてしまう。
【0016】また、上述とは逆にロッカ比N/Mを大き
く設定すると、接点Aに作用する荷重が大きくなり、ロ
ッカアームの耐久性等が悪化してしまう。すなわち、接
点Aにおける荷重は、作用点Bにおける荷重とロッカ比
N/Mとの積に等しいので、ロッカ比N/Mを大きくし
た分だけ、接点Aの荷重が大きくなり、ロッカアームに
作用する負荷も大きくなってしまうのである。
【0017】このように、ロッカ比の設定によるロッカ
アームの追従性とロッカアームの耐久性とはトレードオ
フの関係にあり、このような場合、通常は、双方の性能
の重要度を勘案して妥協点を見いだしてロッカ比を設定
することが考えられる。一方、補助ロッカアーム8は、
エンジン補助ブレーキの作動時には、排気弁を圧縮上死
点近傍で開弁させるため比較的大きなバルブ駆動力が必
要である。すなわち、圧縮上死点近傍では、燃焼室は圧
縮された吸気により高圧状態となっており、このような
状態で排気弁を開弁駆動するには、大きな力が必要とな
るのである。
【0018】したがって、このような動弁機構をそなえ
た圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置において、補
助ロッカアームのロッカ比を吸気ロッカアームや排気ロ
ッカアームのロッカ比と同様に設定すると、補助ロッカ
アームに作用する力が過大なものとなり、補助ロッカア
ームが大型化してしまうという課題がある。本発明は、
このような課題に鑑み創案されたもので、各ロッカアー
ムのロッカ比を最適化して、ロッカアームを小型化でき
るようにした、圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置
を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置は、
排気カムの作動にしたがって排気行程において排気弁を
開弁させる排気ロッカアームと、該排気ロッカアームと
一体作動可能に構成され該排気ロッカアームとは異なる
タイミングで該排気弁を開弁させる補助ロッカアーム
と、圧縮上死点近傍で該補助ロッカアームを駆動する補
助カムと、該排気ロッカアームと該補助ロッカアームと
を支持するロッカシャフトとをそなえ、該ロッカシャフ
トの中心軸線から該補助ロッカアームにおける補助カム
との接点までの距離が、該ロッカシャフトの中心軸線か
ら該排気ロッカアームにおける排気カムとの接点までの
距離よりも長く設定されていることを特徴としている。
【0020】また、請求項2記載の本発明の圧縮圧開放
型エンジン補助ブレーキ装置は、上記請求項1記載の構
成に加えて、該ロッカシャフトの中心軸線から上記いず
れかのロッカアームにおけるカムとの接点までの距離と
該ロッカシャフトの中心軸線から該排気弁の作動点まで
の距離との比をロッカ比とし、該補助ロッカアームのロ
ッカ比が、該排気ロッカアームのロッカ比よりも小さく
設定されていることを特徴としている。
【0021】また、請求項3記載の本発明の圧縮圧開放
型エンジン補助ブレーキ装置は、上記請求項1記載の構
成に加えて、該排気ロッカアームのロッカ比が、該補助
ロッカアームのロッカ比の略1.5倍に設定されている
ことを特徴としている。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の一実
施形態としての圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置
について説明する。まず、このエンジン1の基本的な構
成について簡単に説明すると、図4〜図6に示すよう
に、このエンジン1はOHC式の動弁機構をそなえてお
り、吸気2弁,排気2弁の4弁式エンジンとして構成さ
れている。
【0023】このエンジン1のシリンダヘッド28に
は、図6に示すクランクシャフト26の回転駆動力によ
り回転駆動されるカムシャフト10が配設されており、
このカムシャフト10には、エンジン1の通常運転時に
適したカムプロフィールに形成された吸気カム36及び
排気カム32が設けられている。また、このエンジン1
の動弁機構には、後述する各種ロッカアームを支持する
ためのロッカシャフト22が設けられている。このロッ
カシャフト22は、各気筒毎に分割されて構成されてお
り、それぞれ同軸上に配設されている。また、ロッカシ
ャフト22の両端部は、図5に示すロッカシャフト支持
部24によりそれぞれ回転可能に支持されている。
【0024】一方、図4に示すように、ピストン20の
上方には吸気弁18及び排気弁16が配設され、さら
に、吸排気弁18,16の上方には、バルブブリッジ1
4,12が配設されている。そして、2つの吸気弁1
8,18は、吸気用バルブブリッジ14により同時に開
弁駆動されるようになっており、同様に、2つの排気弁
16,16は排気用バルブブリッジ12により同時に開
弁駆動されるようになっている。
【0025】なお、図4では、エンジン1の動弁系の機
構を分かりやすく説明するためにロッカシャフト22と
カムシャフト10とを分離して示している。さて、ロッ
カシャフト22には、排気弁駆動用ロッカアーム(排気
ロッカアーム)2,ユニットインジェクタ駆動用ロッカ
アーム4,吸気弁駆動用ロッカアーム(吸気ロッカアー
ム)6及び圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ用ロッカ
アーム(補助ロッカアーム)8が設けられている。
【0026】また、カムシャフト10には、上述した吸
気カム36や排気カム32以外にも、補助ロッカアーム
8を駆動するエンジン補助ブレーキ用カム(補助カム)
38やユニットインジェクタ用ロッカアーム4を駆動す
るユニットインジェクタ用カム34が配設されている。
なお、各ロッカアーム2,4,6,8のカムシャフト1
0側の端部には、カム32,34,36,38とロッカ
アーム2,4,6,8との間の摩擦を低減すべく、カム
32,34,36,38に常に接するローラ(ベアリン
グ)2a,4a,6a,8aがそれぞれ設けられてい
る。
【0027】ここで、ユニットインジェクタ用ロッカア
ーム4は、図示しないユニットインジェクタを駆動する
ためのロッカアームであって、このロッカアーム4の作
動により所定のタイミングで燃料が噴射されるようにな
っている。一方、上述の排気ロッカアーム2は、ロッカ
シャフト22と一体に形成されたロッカシャフト一体型
ロッカアームとして構成されており、排気ロッカアーム
2に連動してロッカシャフト22自体も回動するように
なっている。
【0028】また、ユニットインジェクタ用ロッカアー
ム4及び吸気ロッカアーム6は、それぞれロッカシャフ
ト22に対して回転自在に軸支されており、これによ
り、各ロッカアーム2,4,6は、互いに影響を受ける
ことなく独立して作動するようになっている。補助ロッ
カアーム8は、エンジンブレーキの1つとしての圧縮圧
開放型エンジン補助ブレーキ(以下、単にエンジン補助
ブレーキという)を作動させるためのロッカアームであ
って、ユニットインジェクタ用ロッカアーム4や吸気ロ
ッカアーム6と同様にロッカシャフト22に軸支されて
いる。
【0029】そして、エンジン補助ブレーキの作動時に
は、この補助ロッカアーム8を排気ロッカアーム2と一
体に作動するように制御して、排気弁16を排気行程時
以外の所定のタイミングで開弁させるようになってい
る。ここで、圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキについ
て簡単に説明すると、このエンジン補助ブレーキは、例
えば、以下のように作動するものである。すなわち、吸
気行程時には通常通り吸気弁18を開いて吸気を取り入
れる。また、圧縮行程時にも通常運転時通り吸気弁18
及び排気弁16をともに閉じて、シリンダ内の吸気を圧
縮する。
【0030】そして、圧縮上死点近傍では燃料噴射を停
止し、膨張行程に移行する直前に、排気弁16を開い
て、圧縮空気を排気弁16を介して排気ポートに排出す
る。したがって、圧縮行程で圧縮された吸気の反発力は
ピストン20に作用しなくなり、ピストン20を押し下
げる力が取り除かれる。さらに、圧縮空気を排出した後
は、排気弁16を閉じて膨張行程時にシリンダ内を密閉
状態にする。これによりピストン20が下降するのを妨
げようとする力が発生してエンジンブレーキ力が作用す
るのである。
【0031】次に、ピストン20が下死点近傍に達して
排気行程に移行すると、通常通り排気弁16を開き、シ
リンダ内を大気圧近傍にしてピストン20を上昇させよ
うとする力を取り除くのである。この後、ピストン20
が上死点近傍に達すると、再び吸気行程を開始する。そ
して、このような圧縮行程及び膨張行程でのブレーキ力
が連続してピストン20に作用することにより、エンジ
ンブレーキ能力が大幅に増大されるのである。言い換え
れば、エンジン1に負の仕事としてポンプ作動を行なわ
せることにより、車両の運動エネルギを吸収して制動力
に変換するのである。
【0032】ところで、このようにしてエンジン補助ブ
レーキを作動させるには、排気弁16を通常の作動タイ
ミングとは異なるタイミングで作動させる必要がある。
そこで、このエンジン1では、通常のタイミングと異な
るタイミングで排気弁16を開弁駆動する補助ロッカア
ーム8と、エンジン補助ブレーキの作動に適したカムプ
ロフィールに形成されたエンジン補助ブレーキ用カム
(補助カム)38とが設けられている。
【0033】ここで、このエンジン補助カム38は、エ
ンジン補助ブレーキの作動時に、圧縮上死点近傍で補助
ロッカアーム8を揺動させて排気弁16を開弁させるよ
うなカムプロフィールに形成されているのである。つま
り、エンジン1の通常運転時には、排気弁16を排気ロ
ッカアーム2のみで駆動し、エンジン補助ブレーキの作
動時には、排気弁16を排気ロッカアーム2及び補助ロ
ッカアーム8の両方により駆動するようになっているの
である。
【0034】このため、エンジン1の動弁機構には、補
助ロッカアーム8が排気ロッカアーム2と一体に作動す
る連係モードと、補助ロッカアーム8が排気ロッカアー
ム2から切り離されて、単独で作動する非連係モードと
を切り換えるための切り換え機構(又はロッカアーム係
合機構)30が設けられている。ここで、上述の切り換
え機構30は、例えば特開平6−323113号公報に
開示された油圧ピストン機構と略同様に構成されてい
る。すなわち、図3(a),図3(b)に示すように、
切り換え機構30は、ロッカシャフト22の直径方向に
形成された穴部40と、この穴部40内を進退しうる係
合ピン42と、係合ピン42と略同軸上に配設されたリ
ターンスプリング44とを有して構成されており、係合
ピン42は、リターンスプリング44の作用により、図
中下方に付勢されている。
【0035】また、補助ロッカアーム8の所要の位置に
は、この係合ピン42の上端部が侵入しうる係合穴46
が形成されている。一方、上記の穴部40と係合ピン4
2の下端側との間には空間48が形成されている。ま
た、このエンジン1には、所定の圧力の作動油を供給す
る油圧供給系(図示省略)が設けられており、ロッカシ
ャフト22内には、油圧供給系からの作動油を上記空間
48に供給するための作動油供給路50が形成されてい
る。
【0036】そして、この空間48に作動油が供給され
ると、図3(b)に示すように、リターンスプリング4
4の付勢力に抗して係合ピン42が上方へ移動する。こ
の場合、補助ロッカアーム8の係合穴46と、ロッカシ
ャフト22の穴部40との位置が一致したときに、係合
ピン42の上端(先端)が係合穴46に係合して、補助
ロッカアーム8とロッカシャフト22とが接続状態とな
り、補助ロッカアーム8と排気ロッカアーム2とが一体
で作動する連係モードとなるのである。
【0037】また、作動油の供給を断つと、図3(a)
に示すように、上述のリターンスプリング44の付勢力
により係合ピン42が下方に移動して、係合ピン42が
係合穴46から離脱する。この場合は、補助ロッカアー
ム8はロッカシャフト22から切り離されて排気ロッカ
アーム2とは連係しない非連係モードとなる。そして、
エンジン1の通常運転時は、補助ロッカアーム8をロッ
カシャフト22から切り離して、排気ロッカシャフト2
からの駆動力により通常の排気タイミングで排気弁16
を開弁駆動させるようになっている。
【0038】また、エンジン補助ブレーキを作動させる
場合は、切り換え機構30を制御して、補助ロッカアー
ム8をロッカシャフト22と一体に作動させ、排気弁1
6を圧縮上死点近傍でも開弁駆動させるようになってい
るのである。次に、本発明の圧縮圧開放型エンジン補助
ブレーキ装置について説明すると、図1,図2に示すよ
うに、この動弁機構では、補助ロッカアーム8と補助カ
ム38との接点Cから補助ロッカアーム8の揺動中心
(すなわち、ロッカシャフト22の中心軸線)22Aま
での距離Lが、吸排気ロッカアーム6,2とカム36,
32との接点Aからロッカアーム6,2の揺動中心22
Aまでの距離Mよりも長く設定されている。
【0039】これにより、揺動中心22Aからロッカア
ーム6のバルブ作用点Bまでの距離をNとすると、補助
ロッカアーム8のロッカ比N/Lの方が、吸排気ロッカ
アーム6,2のロッカ比N/Mよりも小さくなり、補助
ロッカアーム8に作用する荷重を小さくすることができ
るのである。なお、本実施形態では、ロッカ比N/Lは
1前後に設定されており、ロッカ比N/Mは1.5前後
に設定されている。
【0040】ここで、補助ロッカアーム8のロッカ比N
/Lを吸排気ロッカアーム6,2のロッカ比N/Mより
も小さく設定しているのは、主に以下の理由による。す
なわち、補助ロッカアーム8は、排気弁16を圧縮上死
点近傍で開弁させるので比較的大きなバルブ駆動力が必
要である。つまり、圧縮上死点近傍では、燃焼室は圧縮
された吸気により高圧状態となっており、このような状
態で排気弁18を開弁駆動するには、大きな力が必要と
なるのである。
【0041】したがって、補助ロッカアーム8のロッカ
比N/Lを吸気ロッカアーム6や排気ロッカアーム2の
ロッカ比N/Mと同等に設定すると、図1,図2に示す
補助ロッカアーム8と補助カム38との接点Cに作用す
る荷重が過大なものとなり、補助ロッカアーム8の耐久
性が低下してしまう。また、この場合、補助ロッカアー
ム8の耐久性を確保しようとすると、補助ロッカアーム
8が大型化してしまい、重量やコストが大型化してしま
う。
【0042】そこで、本発明の圧縮圧開放型エンジン補
助ブレーキ装置では、補助ロッカアーム8のロッカ比N
/Lを、吸排気ロッカアーム6,2のロッカ比N/Mよ
りも小さく設定することで、補助ロッカアーム8の接点
Cに作用する荷重を小さくするようにしているのであ
る。なお、上述したように、補助ロッカアーム8は、排
気弁16を圧縮上死点近傍で開弁させるので、排気弁1
6のリフト量があまり大きいとピストン20と干渉して
しまう。また、補助ロッカアーム8による排気弁16の
開弁駆動は、圧縮空気を逃がすためだけのものであるの
で、あまり大きなバルブリフトは必要がない。したがっ
て、補助ロッカアーム8による排気弁16のバルブリフ
ト量は小さめ(すなわち、補助カム38のリフト量も小
さめ)に設定されているので、エンジン高回転時におけ
る補助ロッカアーム8の補助カム38への追従性の低下
は特に問題となるものではない。
【0043】本発明の一実施形態としての圧縮圧開放型
エンジン補助ブレーキ装置は、上述のように構成されて
いるので、エンジン1の通常運転時、即ち、エンジン補
助ブレーキの非作動時には、切り換え機構30が非連係
モードに制御される。このとき、作動油供給路50には
作動油が供給されず、係合ピン42がリターンスプリン
グ44の付勢力により、ロッカシャフト22の穴部40
内に収納される。
【0044】したがって、補助ロッカアーム8は、ロッ
カシャフト22から切り離されて、補助ロッカアーム8
は排気ロッカアーム2と連動しない状態となる。これに
より、排気ロッカアーム2が排気カム32により駆動さ
れているときであっても、補助ロッカアーム8は排気ロ
ッカアーム2に連動することなくカム38のプロフィー
ルに応じて作動する。
【0045】したがって、排気弁18は、排気ロッカア
ーム2により駆動され、通常のエンジン運転に適したバ
ルブタイミングで開閉駆動されるのである。なお、吸気
弁18も吸気ロッカアーム6により通常のバルブタイミ
ングで開閉駆動される。一方、エンジン補助ブレーキの
作動時には、切り換え機構30が連係モードに制御され
る。このとき、作動油供給路50及び空間48には、油
圧供給系から所定の圧力の作動油が供給され、係合ピン
42がリターンスプリング44の付勢力に抗して駆動さ
れる。
【0046】これにより、係合ピン42が補助ロッカア
ーム8の係合穴46に係合して、補助ロッカアーム8
が、ロッカシャフト22と一体に形成された排気ロッカ
アーム2と一体に作動する状態となる。したがって、補
助カム38により補助ロッカアーム8が駆動されると、
排気ロッカアーム2も駆動され、排気弁16が開弁駆動
されることになる。
【0047】なお、上述したように、補助カム38のプ
ロフィールは、ピストン20が圧縮上死点近傍にあると
きに、補助ロッカアーム8を揺動させるように形成され
ており、これにより、排気弁16が圧縮上死点近傍で所
定量だけ開弁して、圧縮空気を開放してエンジン1に負
の仕事をさせるのである。また、このようなエンジン補
助ブレーキ作動時であっても、エンジン1の排気行程時
には、排気カム32により通常通り排気弁16が駆動さ
れ、補助ロッカアーム8も排気ロッカアーム2に連動し
て駆動される。
【0048】また、本発明の圧縮圧開放型エンジン補助
ブレーキ装置では、補助ロッカアーム8のロッカ比N/
Lの方が、吸排気ロッカアーム6,2のロッカ比N/M
よりも小さく設定されているので、補助ロッカアーム8
の接点Cに作用する荷重を減少させることができ、小さ
な駆動力で補助ロッカアーム8を駆動することができ
る。
【0049】これにより、補助ロッカアーム8を小型
化,軽量化することができ、製造コストを低減すること
ができる。また、接点Cに作用する荷重を減少させるこ
とで、補助ロッカアーム8の耐久性が向上するという利
点がある。また、補助カム38のカム幅も縮小すること
ができ、補助カム38を小型化,軽量化することができ
る。これにより、補助カム38や補助ロッカアーム8の
レイアウト上の自由度も向上するという利点がある。
【0050】なお、本実施形態では、OHC式の動弁機
構をそなえたエンジンについて、説明しているが、本発
明の圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置は、このよ
うなOHC式の動弁機構にのみ適用されるものではな
く、例えばOHV式の動弁機構等にも適用することがで
きる。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の圧縮圧開
放型エンジン補助ブレーキ装置によれば、排気カムの作
動にしたがって排気行程において排気弁を開弁させる排
気ロッカアームと、該排気ロッカアームと一体作動可能
に構成され該排気ロッカアームとは異なるタイミングで
該排気弁を開弁させる補助ロッカアームと、圧縮上死点
近傍で該補助ロッカアームを駆動する補助カムと、該排
気ロッカアームと該補助ロッカアームとを支持するロッ
カシャフトとをそなえ、該ロッカシャフトの中心軸線か
ら該補助ロッカアームにおける補助カムとの接点までの
距離が、該ロッカシャフトの中心軸線から該排気ロッカ
アームにおける排気カムとの接点までの距離よりも長く
設定されるという構成により、補助ロッカアームと補助
カムとの接点に作用する荷重を減少させることができ、
小さな駆動力で補助ロッカアームを駆動することができ
る。これにより、補助ロッカアームを小型化,軽量化す
ることができ、製造コストを低減することができるので
ある。
【0052】また、上記の接点に作用する荷重を減少さ
せることで、補助ロッカアームの耐久性が向上するとい
う利点もある。さらに、補助カムのカム幅も縮小するこ
とができ、補助カムを小型化,軽量化することができ
る。これにより、補助カムや補助ロッカアームのレイア
ウト上の自由度も向上するという利点がある。また、請
求項2記載の本発明の圧縮圧開放型エンジン補助ブレー
キ装置によれば、上記請求項1記載の構成に加えて、該
ロッカシャフトの中心軸線から上記のいずれかのロッカ
アームにおけるカムとの接点までの距離と該ロッカシャ
フトの中心軸線から該排気弁の作動点までの距離との比
をロッカ比とし、該補助ロッカアームのロッカ比が、該
排気ロッカアームのロッカ比よりも小さく設定されると
いう構成により、補助ロッカアームと補助カムとの接点
に作用する荷重を、吸排気ロッカアームと吸排気カムと
の接点に作用する荷重よりも低くすることができる。こ
れにより、補助ロッカアームを小型化,軽量化すること
ができ、製造コストを低減することができるのである。
【0053】また、請求項3記載の本発明の圧縮圧開放
型エンジン補助ブレーキ装置によれば、上記請求項1記
載の構成に加えて、該排気ロッカアームのロッカ比が、
該補助ロッカアームのロッカ比の略1.5倍に設定され
るという構成により、補助ロッカアームを小さな駆動力
で駆動しながら、補助ロッカアームの補助カムに対する
追従性も十分満足させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての圧縮圧開放型エン
ジン補助ブレーキ装置を示す模式的な上面図である。
【図2】本発明の一実施形態としての圧縮圧開放型エン
ジン補助ブレーキ装置を示す模式的な側面図である。
【図3】本発明の一実施形態としての圧縮圧開放型エン
ジン補助ブレーキ装置の作動を説明するための模式図で
あって、(a)は通常運転時の状態を示す図、(b)は
エンジン補助ブレーキ作動時の状態を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態としての圧縮圧開放型エン
ジン補助ブレーキ装置の全体構成を示す模式的な斜視図
である。
【図5】本発明の一実施形態としての圧縮圧開放型エン
ジン補助ブレーキ装置をそなえたエンジンのシリンダヘ
ッドを示す模式的な上面図である。
【図6】本発明の一実施形態としての圧縮圧開放型エン
ジン補助ブレーキ装置をそなえたエンジンの模式的な断
面図である。
【図7】圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置の動弁
機構の一例を示す模式的な上面図である。
【図8】圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置の動弁
機構の一例を示す模式的な側面図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 排気弁駆動用ロッカアーム又は排気ロッカアーム 4 ユニットインジェクタ駆動用ロッカアーム(ユニッ
トインジェクタ用ロッカアーム) 6 吸気弁駆動用ロッカアーム又は吸気ロッカアーム 8 圧縮開放型エンジン補助ブレーキ用ロッカアーム 2a,4a,6a,8a ローラ(ベアリング) 10 カムシャフト 12 排気バルブブリッジ 14 吸気バルブブリッジ 16 排気弁 18 吸気弁 20 ピストン 22 ロッカシャフト 22A ロッカシャフト中心軸線 24 ロッカシャフト支持部 26 クランクシャフト 28 シリンダヘッド 30 ロッカアーム係合機構としての油圧ピストン機構 32 排気カム 34 ユニットインジェクタ駆動用カム 36 吸気カム 38 圧縮開放型エンジンブレーキ用カム 40 穴部 42 係合ピン 44 リターンスプリング 46 係合穴 48 空間 50 作動油供給路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 正彦 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気カムの作動にしたがって排気行程に
    おいて排気弁を開弁させる排気ロッカアームと、 該排気ロッカアームと一体作動可能に構成され該排気ロ
    ッカアームとは異なるタイミングで該排気弁を開弁させ
    る補助ロッカアームと、 圧縮上死点近傍で該補助ロッカアームを駆動する補助カ
    ムと、 該排気ロッカアームと該補助ロッカアームとを支持する
    ロッカシャフトとをそなえ、 該ロッカシャフトの中心軸線から該補助ロッカアームに
    おける補助カムとの接点までの距離が、該ロッカシャフ
    トの中心軸線から該排気ロッカアームにおける排気カム
    との接点までの距離よりも長く設定されていることを特
    徴とする、圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 該ロッカシャフトの中心軸線から上記の
    いずれかのロッカアームにおけるカムとの接点までの距
    離と該ロッカシャフトの中心軸線から該排気弁の作動点
    までの距離との比をロッカ比とし、 該補助ロッカアームのロッカ比が、該排気ロッカアーム
    のロッカ比よりも小さく設定されていることを特徴とす
    る、請求項1記載の圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ
    装置。
  3. 【請求項3】 該排気ロッカアームのロッカ比が、該補
    助ロッカアームのロッカ比の略1.5倍に設定されてい
    ることを特徴とする、請求項2記載の圧縮圧開放型エン
    ジン補助ブレーキ装置。
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