JPH09254340A

JPH09254340A - 透かし彫り偽造防止用紙

Info

Publication number: JPH09254340A
Application number: JP8113056A
Authority: JP
Inventors: Motoshi Henbo; 素志辺保; Toshiyuki Hirabe; 俊幸平部
Original assignee: Yupo Corp
Current assignee: Yupo Corp
Priority date: 1996-03-19
Filing date: 1996-03-19
Publication date: 1997-09-30
Also published as: KR100440653B1; EP0796730A3; US5871833A; DE69728315T2; EP0796730A2; EP0796730B1; TW400279B; KR970065886A; DE69728315D1; CN1082890C; CN1161276A

Abstract

(57)【要約】【解決手段】支持体層と彫刻塗工層とからなる透かし
彫り偽造防止用紙において、支持体層がプロピレン系樹
脂二軸延伸フィルム層を基材層とし、この基材層の表裏
面に無機微細粉末を含有するプロピレン系樹脂一軸延伸
フィルム層が設けられた積層延伸物であって、不透明度
が５０〜１００％であり、密度が０．７０〜１．４ｇ／
ｃｍ³であり、彫刻が彫刻塗工層または支持体の一軸延
伸フィルムの深さまで施こされている透かし彫り偽造防
止用紙。【効果】彫刻塗工層から支持体の一軸延伸物層まで施
こされた彫刻画像が反射光では不鮮明であり且つ透過光
では鮮明な彫刻画像を示すので、偽造、改ざんがきわめ
て困難であり、また、彫刻塗工層が堅牢であるので、画
像彫刻後に画像を爪等で擦っても剥離しない、ＩＤカー
ド等に好的な透かし彫り偽造防止用紙を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はトラベラーズチェッ
ク、有価証券、ＩＤカード類、パスポート等の改ざんさ
れにくい透かし彫り偽造防止用紙に関する。

【０００２】

【従来の技術】トラベラーズチェック、有価証券、ＩＤ
カード類は偽造や改ざんされにくいことが要求され、か
かる偽造、改ざん防止技術としては次のものが挙げられ
る。Ｉ群：（１）印刷物内に蛍光発色物質を存在させる。（２）磁性インキを用いて印刷し、磁気作用によるイン
キの濃度の変化を視覚的に検知できるようにする（特開
平５−１７７９１９号公報）。（３）フォトクロミックの感光色系を含む印刷インキを
用いて印刷を行う（特開昭６０−７９９９２号公報）。（４）特定の反射分光特性を持つインキを用いて、或い
は反射率に所定値以上の差がある２種以上のインキを用
いて印刷する。

【０００４】（５）一定の角度によって色が変わって見
える印刷物（特開平５−１７７９１９号公報）。（６）透かし模様（潜像）を施した印刷物（特開平６−
１５７９４号）等のように、外観で偽造を見破るように
したもの。ＩＩ群：（７）複写すると文字、図柄の判読が困難となるような
細工を施した印刷物、或いは警告マークが複写紙上に現
れるようにしたもの（実開昭５９−６４２７１号公
報）。

【０００５】ＩＩＩ群：（８）単に複写したのでは、判別機にかけたとき、エラ
ーと出るように、特殊な磁性インキを用いて印刷した印
刷物、或いは複写したのでは印刷の網点の粗密差が真券
と異なるように複写されるような印刷を施したもの（特
公昭５６−１９２７３号公報、特公平２−５１７４２号
公報）、もしくは、肉眼では判読できない文字を印刷
し、隠蔽文字が判別機で読み取れるようにしたもの（特
開昭６２−１３０８７４号公報）。

【０００６】以上のようなＩ群〜ＩＩＩ群で述べた偽造
防止技術は、写真製版的に複写できるものが多く、完全
な偽造防止策とはなり難く、また、真券の印刷インキの
シート基材への接着力が弱く、使用中に印刷が剥がれ、
かえって偽造券と思われるために係るものを回収、取り
替える作業が必要であった。更に、真券であっても、使
用しているうちに皺が発生して判別機にかけた場合、使
用できないとして戻されることもしばしばであった。

【０００７】又、特公平８−１３５３９号公報に記載さ
れる支持体層と彫刻層とからなる用紙において、支持体
層の不透明度が７０％以下、彫刻層の不透明度が４０％
以上で、支持体層の不透明度が常に彫刻層の不透明度よ
り低い値であり、且つ支持体層と彫刻層の不透明度の差
が３０％以上で、彫刻層から支持体層まで彫刻するよう
にしたことを特徴とする透かし彫り用紙は、識別しやす
いことと、支持体が透明なポリエチレンテレフタレート
フイルムの表裏にピグメント塗工層を設けたものであ
り、更に彫刻層もピグメント塗工層であり、用紙の製造
が複雑であるので用紙の入手が困難であることから改ざ
ん防止には優れているが、彫刻時に支持体の樹脂フイル
ムのバリ（ヒゲ）が発生しやすいことと、給排紙や使用
時に皺が発生しやすい欠点がある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、支持体層と
彫刻塗工層とからなる透かし彫り偽造防止用紙におい
て、支持体層に特定の積層延伸物を用いることにより、
上記欠点を改善した透かし彫り偽造防止用紙を提供する
ことである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、支持体
層と彫刻塗工層とからなる透かし彫り偽造防止用紙にお
いて、支持体層がプロピレン系樹脂二軸延伸フィルム層
を基材層とし、この基材層の表裏面に無機微細粉末を含
有するプロピレン系樹脂一軸延伸フィルム層が設けられ
た積層延伸物であって、かつ、（１）不透明度（ＪＩＳＰ−８１３８）が５０〜１０
０％（２）密度（ＪＩＳＰ−８１８８）が０．７０〜１．
４ｇ／ｃｍ³ を満たすものであり、かつ、彫刻が彫刻塗工層または支
持体の一軸延伸物の深さまで施こされていることによる
透かし彫り偽造防止用紙、である。

【００１０】

【作用】無機微細粉末を含有するプロピレン系樹脂延伸
フィルム積層物を支持体層として用いるので、配向の方
向性があり、かつ、腰強度があるので印刷時の給排紙が
容易で、かつ、皺になり難い。また、彫刻が、表面強度
の高い、かつ、強靱な一軸延伸物の深さまで施されるの
で、彫刻された透かし彫り偽造防止用紙の支持体層のバ
リ（ヒゲ）の発生がない。また、彫刻の深さにより彫刻
像が半透明ないし不透明の明暗のはっきりとした像とな
るので、裏側から入射する光りによって透かし彫り像が
鮮明に識別できる。

【００１１】

【発明の実施の形態】支持体層支持体層は、プロピレン系樹脂フィルムの二軸延伸層を
基材層とし、この基材層の表裏面に無機微細粉末を含有
するプロピレン系樹脂フィルムの一軸延伸層が設けられ
た積層延伸物であって、かつ、（１）不透明度（ＪＩＳＰ−８１３８）が５０〜１０
０％（２）密度（ＪＩＳＰ−８１８８）が０．７０〜１．
４ｇ／ｃｍ³ を満たすものである。

【００１２】プロピレン系樹脂としては、プロピレンの
単独重合体：プロピレンを主成分とし、これとエチレ
ン、ブテン−１、ヘキセン−１、ヘプテン−１、オクテ
ン−１、４−メチルペンテン−１等のα−オレフィンと
の共重合体；或いはこれらプロピレン重合体または共重
合体に無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ス
チレン、アクリル酸メチル、グリシジルメタクリレー
ト、２−ヒドロキシエチルメタクリレート等のビニル単
量体を０．１〜１０重量％グラフト反応させた変性プロ
ピレン系樹脂等であって、融点が１３０〜１８０℃、結
晶化度が２０〜７５％のプロピレン系樹脂が使用でき
る。

【００１３】これらのプロピレン系樹脂には、低密度ポ
リエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸
ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチ
レン・メタクリル酸共重合体の金属塩（Ｋ，Ｎａ，Ｌ
ｉ，Ｚｎ，Ａｌ）、エチレン・アクリル酸アルキルエス
テル共重合体等の樹脂を３０重量％以下、その他、安定
剤、紫外線吸収剤、核剤、分散剤等を２重量％以下含有
させてもよい。

【００１４】無機微細粉末としては、粒径が０．０５〜
３μｍの炭酸カルシウム、焼成クレイ、けいそう土、バ
ーミキュライト、タルク、雲母、酸化チタン、硫酸バリ
ウム、アルミニウム粉等が使用でき、支持体層全体中に
１０〜５５重量％含有させて支持体層のプロピレン系樹
脂の不透明化を画る。好ましくは安価な炭酸カルシウ
ム、焼成クレイ、けいそう土等の体質顔料と、反射率の
高い酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、アルミニウ
ム粉等の反射性顔料との併用が好ましい。

【００１５】支持体層は、例えば、無機微細粉末を０〜
３０重量％、好ましくは６〜２５重量％含有するプロピ
レン系樹脂フィルムを、プロピレン系樹脂の融点より低
い温度で縦方向に３〜７倍延伸し、次いでこの縦延伸フ
イルムの片面または両面に無機微細粉末を１０〜５５重
量％含有するプロピレン系樹脂フィルムを溶融ラミネー
トし、次いでこのラミネートフイルムを再加熱し、プロ
ピレン系樹脂の融点よりも１５℃低い温度から融点より
も１０℃高い温度域で縦方向に５〜１２倍延伸し、次い
でこれをアニーリング処理することにより得られる。こ
こで融点とはプロピレン系樹脂のＤＳＣ曲線のピーク温
度をいう。ピークが２つ以上あるときは、高い方のピー
ク温度をいう。

【００１６】延伸温度をプロピレン系樹脂の融点近傍、
融点以上とすることにより支持体層中の微細なボイドの
発生を抑えるか、少なくすることができる。又、一軸延
伸層と二軸延伸物層もしくは一軸延伸層の表面に、無機
微細粉末を０〜３重量％含有するプロピレン系樹脂やエ
チレン系樹脂のフイルム層を設けてもよい。このもの
は、延伸されていても、いなくてもよい。この支持体の
一軸延伸フイルム層は、印刷インクとの接着性を向上さ
せるためにコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理
等の酸化処理を施こすと良く、又、印刷インキとの密着
性を良好とするために、支持体の表面に帯電防止機能を
有する水溶性ポリマーを固型分量が０．５〜５ｇ／ｍ²
となるように塗布するのが好ましい。帯電防止機能を有
する水溶性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポ
リ（エチレンイミン−尿素）、ポリアミンポリアミドの
エチレンイミン付加物、窒素原子含有カチオン性もしく
は両性ポリマー等が挙げられる。

【００１７】支持体層の全肉厚は、５０〜２１０μｍ、
好ましくは６０〜１５０μｍの範囲である。支持体層の
二軸延伸基材層の肉厚は４０〜１５０μｍ、好ましくは
４０〜１００μｍで、一軸延伸層の肉厚は５〜３０μ
ｍ、好ましくは８〜２０μｍである。支持体の不透明度
は５０〜１００％、好ましくは６５〜８５％である。５
０％未満では彫刻の輪郭の鮮明さに欠ける。彫刻により
支持体の一軸延伸物の一部が削り去られるので、支持体
の不透明度が１００％であっても、彫刻の部分の支持体
の不透明度は、３０〜８０％となり、支持体の裏面側か
ら光が入射すれば透かし彫り模様の輪郭がはっきりとす
る。

【００１８】支持体の密度は、延伸により無機微細粉末
の周囲に微細なボイドを発生させて支持体を半透明〜不
透明とするために延伸前よりは支持体の密度が小さくな
り、通常その値は、０．７０〜１．４ｇ／ｃｍ³、好ま
しくは０．９０〜１．２ｇ／ｃｍ³である。密度が０．
７０ｇ／ｃｍ³未満では、支持体の弾力性が大き過ぎ、
彫刻がしずらく、１．４ｇ／ｃｍ³を越えては、無機充
填剤の配合量を多くし、延伸倍率を低くする必要があ
り、支持体の成形が困難となる。支持体の面には、印刷
や印字を施こしてもよい。

【００１９】彫刻塗工層彫刻塗工層は、固型分量でバインダー樹脂を２０〜５０
重量％、無機微細粉末を８０〜５０重量％含有する層
で、不透明度が４０％以上、好ましくは５０〜１００％
である。具体的には、バインダー樹脂、無機微細粉末、
必要により帯電防止剤、増粘剤、耐水化剤、消泡剤、防
腐剤、分散剤を分散媒に分散した塗工液を支持体の表面
に塗布し、乾燥することにより得られる。

【００２０】バインダー樹脂としては、セルロース誘導
体のような天然接着剤、スチレン・ブタジエン共重合
体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体等の共
役ジエン系重合体ラテックス、アクリル又はメタクリル
酸アルキルエステルの共重合体ラテックス、澱粉、ポリ
ビニルアルコール、ポリウレタン系、またはポリエステ
ル系合成樹脂接着剤の一種類又は二種類以上組み合わせ
て使用することができる。特に耐擦過性の良好なポリエ
ステル系、またはポリウレタン系合成樹脂が好ましい。

【００２１】無機微細粉末としては、粒径が０．０５〜
５μｍのカオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質
炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、
サチンホワイト、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ等の
無機顔料が挙げられるが、プラスチックピグメントとし
て知られるメラミンシアヌレート、メラミン等の有機顔
料或いは接着剤の性能を合わせ有しているバインダーピ
グメント等も挙げることができる。これらの中でも、耐
擦過性の上から、粒子が細かく、且つ少量の添加で不透
明度を与えるものが好ましく、二酸化チタンが特に好ま
しい。

【００２２】塗工液の支持体の表面上への塗工は、バー
コーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、グ
ラビアコーター、ダイコーター等の公知の塗工設備が用
いられる。塗工量は、片面の塗工量が固型分量で５．０
〜３０ｇ／ｍ²、好ましくは１０〜２０ｇ／ｍ²となる
ように行われる。塗工は支持体の片面でも、両面であっ
てもよい。かかる塗工量で、肉厚５〜３０μｍ、好まし
くは１０〜２０μｍの肉厚の彫刻塗工層が得られる。

【００２３】支持体層と彫刻塗工層の間には、両者の接
着性を良好とするため、プライマー層を設けてもよい。
プライマー層は、透明、不透明いずれのものでも良い
が、彫像に細かい階調をつけるためには不透明の方が良
い場合もある。この場合は不透明度を高くするのに役立
つ。また、偽造防止のために、プライマー層を着色層と
してもよく、層の数を複数にしても良い。この場合、着
色層を支持体層と彫刻層のそれぞれの色と異なるように
すれば、より改ざんされにくくすることができる。更
に、プライマー層として、地紋印刷を入れて偽造防止す
るようにすることも可能である。

【００２４】プライマー層の肉厚は０．５〜１０μｍ、
好ましくは１〜５μｍである。本発明において、支持体
層にプライマー層を設ける場合には、支持体層とプライ
マー層の両方の不透明度を合せて測定した値を支持体層
の不透明度とする。次に、本発明の透かし彫り用紙の構
成例を図により説明する。図１は支持体層１の表面にプ
ライマー層３を介して彫刻層４を設けた透かし彫り用紙
の一例を示す断面拡大図で、このように構成された透か
し彫り用紙は、図２に示すように、画像部５を彫刻し、
その両側に背影部６，６を支持体１の一軸延伸フィルム
層１ａまたは１ｂまで彫刻して、裏面から透過光を当て
ると、陰影がはっきりし画像が鮮明に視認できる。

【００２５】彫刻が施こされた支持体層の残存する肉厚
（ｔ）は、支持体層の不透明度、彫刻画像により異な
る。支持体の一軸延伸物１ｂ層まで彫刻６が施こされる
場合は、ｔは３〜２８μｍ、好ましくは５〜２０μｍで
ある。彫刻は支持体の一軸延伸物の延伸方向とは直角方
向に行うのがヒゲの発生をなくし、彫刻の外郭を明瞭と
する。また、図３は支持体層１の表面に明度の異なる、
もしくは色相の異なる着色プライマー層３を三層形成
し、その上に彫刻層４を設けた透かし彫り用紙の断面拡
大図、図４は支持体層１の裏面に筆記性良好なピグメン
ト塗工層２を設け、同じく表面に地紋印刷７を施し、そ
の上に着色プライマー層３を介して彫刻層４を設けた透
かし彫り用紙の断面拡大図であって、これらの透かし彫
り用紙は、図２に示すような彫刻５，６を施すことによ
り、透過光によって鮮明な画像を視認することができ
る。

【００２６】

【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。尚、実施例及び比較例において部とあるの
は、すべて重量部を示す。無機微細粉末含有樹脂延伸フイルム積層物の製造例１（１）メルトフローレート（ＭＦＲ）１ｇ／１０分の
ホモポリプロピレン（融点１６４℃）８０重量％、高密
度ポリエチレン８重量％、炭酸カルシウム１２重量％の
混合物（Ａ）を押出機で２４０℃で溶融混練した後、ダ
イよりシート状に押出し、冷却装置により冷却して、無
延伸シートを得た。このシートを、１５５℃に加熱した
後、縦方向に５倍延伸した。

【００２７】（２）ＭＦＲが４．０ｇ／１０分のポリ
プロピレン５６重量％に平均粒径１．５μｍの炭酸カル
シウム４０重量％と平均粒径０．８μｍのアナターゼ型
酸化チタン０．５重量％と高密度ポリエチレン３．５重
量％を混合した組成物（Ｂ）とを別々の押出機で溶融混
練し、（１）の５倍延伸シートの両面に（Ｂ）が外側に
なるようにダイ内で共押出して積層し、ついでこの積層
物を１６０℃に加熱したのち横方向に７．５倍の延伸を
行なって、三層積層フイルムを得た。（３）この三層積層フイルムの表面をコロナ放電処理
して、（Ｂ）／（Ａ）／（Ｂ）の各フイルムの肉厚が２
０／５０／２０ミクロンの三層構造の積層物を得た。

【００２８】この表面に、ポリエチレンイミン、ポリア
ミドのエピクロルヒドリン付加物の１：１水溶液を塗布
し、乾燥させて、肉厚０．５μｍのプライマー層を形成
させた。この肉厚が１００．５ミクロンの三層積層フイ
ルムの物性は表１に示す通りであった。

【００２９】例２（１）メルトフローレートが０．８ｇ／１０分のホモ
ポリプロピレン（融点１６４℃）８９重量％と高密度ポ
リエチレン８重量％及び粒径１．５μｍの炭酸カルシウ
ム粉末３重量％の混合物（Ａ）を押出機で溶融混練した
後、ダイよりシート状に押出し、冷却装置により冷却し
て、無延伸シートを得た。このシートを、１５５℃に加
熱した後、縦方向に５倍延伸した。

【００３０】（２）ＭＦＲが４．０ｇ／１０分のポリ
プロピレン（Ｃ）と、ＭＦＲが４．０ｇ／１０分のポリ
プロピレン５０．５重量％に平均粒径１．２μｍの焼成
クレイ４５重量％と粒径０．８μｍの酸化チタン１．０
重量％と高密度ポリエチレン３．５重量％を混合した組
成物（Ｂ）とを別々の押出機で溶融混練し、ダイ内で積
層して共押出したシートを（１）の５倍延伸シートの両
面に（Ｃ）が外側になるように積層し、ついでこの五層
積層物を１８５℃に加熱したのち横方向に７．５倍の延
伸を行なって、五層のフイルムを得た。

【００３１】（３）この五層積層フイルムの表面をコ
ロナ放電処理し、（Ｃ）／（Ｂ）／（Ａ）／（Ｂ）／
（Ｃ）の各フイルムの肉厚が５／３０／８０／３０／５
ミクロンの五層構造の積層物を得た。この肉厚が１５０
ミクロンの五層積層フイルムの物性は表１に示す通りで
あった。

【００３２】例３（１）ＭＦＲが１．０ｇ／１０分のホモポリプロピレ
ン（融点１６４℃）９２重量％と高密度ポリエチレン８
重量％の混合物（Ａ）を押出機で溶融混練した後、ダイ
よりシート状に押出し、冷却装置により冷却して、無延
伸シートを得た。このシートを、１５５℃に加熱した
後、縦方向に５倍延伸した。（２）ＭＦＲが４．０ｇ／１０分のホモポリプロピレ
ン（Ｃ）と、ＭＦＲが４．０ｇ／１０分のポリプロピレ
ン８６．５重量％に平均粒径１．５μｍの炭酸カルシウ
ム１０重量％と高密度ポリエチレン３．５重量％を混合
した組成物（Ｂ）とを別々の押出機で溶融混練し、ダイ
内で積層して共押出したシートを（１）の５倍延伸シー
トの両面に（Ｃ）が外側になるように積層し、ついでこ
の五層積層物を１８５℃に加熱したのち横方向に７．５
倍の延伸を行なって、五層積層フイルムを得た。

【００３３】（３）この五層積層フイルムの表面をコ
ロナ放電処理して、（Ｃ）／（Ｂ）／（Ａ）／（Ｂ）／
（Ｃ）の各フイルムの肉厚が５／２０／５０／２０／５
ミクロンの五層構造の積層物を得た。この肉厚が１００
ミクロンの五層積層フイルムの物性は表１に示す通りで
あった。例４王子油化合成紙（株）製の一軸／二軸／一軸の積層構造
のプロピレン系樹脂のトレース合成紙“ＹＵＰＯＴＰ
Ｇ−７５”（商品名；肉厚７５μｍ）を用いた。

【００３４】例５王子油化合成紙（株）製の汎用不透明合成紙“ＹＵＰＯ
ＦＰＧ−９５”（商品名；肉厚９５μｍ）を用いた。例６王子油化合成紙（株）製の一軸／二軸／一軸の積層構造
のプロピレン系樹脂の合成紙“ＹＵＰＯＫＰＫ−８
０”（商品名；肉厚８０μｍ）を用いた。例７東洋紡績（株）製の単層二軸延伸ポリプロピレン系合成
紙“トーヨーパールＳＵ”（商品名；肉厚１１０μｍ）
を用いた。

【００３５】例８台湾の南亜プラスチック（株）製のフィラー５１重量％
を含有するプロピレン系樹脂二軸延伸フイルムよりなる
合成紙“パール”（商品名；肉厚１５０μｍ）を用い
た。例９王子油化合成紙（株）製のフィラー含有ポリプロピレン
樹脂三層構造の二軸延伸フイルム“ＯＹパール”（商品
名；肉厚１００μｍ）を用いた。

【００３６】塗工液の調製例〈塗工液１〉二酸化チタン（ＴＡＹＣＡ製ＪＲ−６０
０Ａ）４５部、二酸化チタン（石原産業（株）製Ａ−
２２０）３５部、軽質炭酸カルシウム（白石工業（株）
製ブリリアント−１５）２０部を用い、顔料１００部当
たり分散剤として特殊カルボン酸（花王（株）製ポイ
ズ−５３０）０．１部を添加し、固形分濃度５０％にな
る如く水を添加して高速攪拌用デリッターにおいて分散
後、さらに接着剤として水性ポリエステル樹脂（東洋紡
績（株）製バイロナールＭＤ１２００）５５部、水性
ポリウレタン樹脂（大日本インキ化学工業（株）製Ａ
Ｐ−４０）４５部を添加配合した。

【００３７】その他に次の薬品を顔料１００部当たり添
加して混合し、最終的に固形分濃度が４８％の塗工液を
製造した。界面活性剤（大日本インキ化学工業（株）製Ｆ−８８３）０．１５部帯電防止剤（三洋化成工業（株）製ケミスタット６１２０）５．０部耐水化剤（サンノプコ（株）製デナコールＥＸ−５１２）０．４部この塗工液をガラス板上にバーコーターを用い、塗工量
が２０ｇ／ｍ²となるように塗布し、乾燥して皮膜を得
た。この皮膜（肉厚１２μｍ）の不透明度は９３％であ
った。

【００３８】〈塗工液２〉二酸化チタン（ＴＡＹＣＡ製
ＪＲ−６００Ａ）２０部、二酸化チタン（石原産業
（株）製Ａ−２２０）３０部、クレー（エンゲルハー
ド（株）製ウルトラホワイト−９０）５０部を用い、
顔料１００部当たり分散剤として特殊カルボン酸（花王
（株）製ポイズ−５３０）０．１５部を添加し、固形
分濃度６０％になる如く水を添加して高速攪拌用デリッ
ターにおいて分散後、さらに接着剤として水性ポリエス
テル樹脂（東洋紡績（株）製バイロナールＭＤ１２４
５）６５部、水性ポリウレタン樹脂（大日本インキ化学
工業（株）製ＡＰ−４０）３５部を添加配合した。

【００３９】その他に次の薬品を顔料１００部当たり添
加して混合し、最終的に固形分濃度が５２％の塗工液を
製造した。界面活性剤（大日本インキ化学工業（株）製Ｆ−８１２）０．１部帯電防止剤（三洋化成工業（株）製ケミスタット６１２０）３．０部この塗工液をバーコーターを用い、ガラス板上に１０ｇ
／ｍ²の量塗工し、乾燥して６μｍの皮膜を形成し、更
にこの皮膜上に前記塗工液１をバーコーターを用いて１
５ｇ／ｍ²の量塗工し、乾燥して全膜厚１３μｍの積層
皮膜を得た。これをガラス板より剥がし、不透明度を測
定したところ、９３％であった。

【００４０】（実施例１〜１１、比較例１〜６）例１〜
９で得た合成紙の片面に、塗工液１をバーコーター（熊
谷理器（株）製）を用いて塗工量が２０ｇ／ｍ²となる
よう２回塗布し、乾燥して肉厚１２μｍまたは１３μｍ
の皮膜（彫刻塗工層）を形成させて透かし彫り偽造防止
用紙を得た。これら透かし彫り偽造防止用紙の彫刻塗工
層面に、パスポート番号、氏名、国籍の記入欄をオフセ
ット印刷した。ついで、用紙の彫刻塗工層面よりカード
彫刻機により支持体層の一軸延伸物１ｂ層に達するまで
（ｔ＝３〜１２μｍ）人物画像を一軸延伸物の延伸方向
とは直角方向である縦方向に彫刻を施こし、パスポート
を得た。

【００４１】これらのパスポートを次のように評価し
た。（１）人物画像の透かし彫り画像の識別性パスポートの支持体面側より照明を与えたとき、鮮明な
画像が視認できたものを良好（○）、識別可能なものを
普通（△）とし、輪郭が不鮮明なものを不良（×）とし
た。（２）擦過性彫刻画像を爪で擦った際、表面の脱落が見受けられず、
堅牢なものを良好（○）、表面の脱落が見受けられたも
のを不良（×）とした。（３）ヒゲの発生の有無彫刻画像の周辺に、刻り跡のヒゲ（バリ）がないものを
良好（○）、ヒゲがあるものを不良（×）とした。

【００４２】（４）給排紙性および皺の発生の有無パスポートを複写機に５００回通過させ、コピーを５０
０枚得たときの、パスポートの紙づまりの回数、および
複写後の原紙のパスポートの皺の発生の有無を調べた。（比較例７）実施例７において、彫刻の深さを、支持体
の二軸延伸フイルム層（Ａ）の略中央肉厚前後部に行っ
たほかは同様にしてパスポートを得た。得られた結果を
表１または２に示す。

【００４３】

【表１】

【００４４】

【表２】

【００４５】

【発明の効果】本発明の透かし彫り偽造防止用紙は、彫
刻塗工層から支持体の一軸延伸物層まで施こされた彫刻
画像が支持体側からの入射光で鮮明な彫刻画像を示すの
で、偽造、改ざんがきわめて困難となる。また、彫刻塗
工層が堅牢であるので、画像彫刻後に画像を爪等で擦っ
ても剥離することがない為、ＩＤカードのような透かし
彫り偽造防止用紙として好適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の透かし彫り偽造防止用紙の一例を示す
断面拡大図。

【図２】図１の用紙に彫刻を施した状態の断面拡大図。

【図３】本発明の透かし彫り偽造防止用紙の別例を示す
断面拡大図。

【図４】本発明の透かし彫り偽造防止用紙の他の別例を
示す断面拡大図。

【符号の説明】

１支持体層１ａ一軸延伸物１ｂ一軸延伸物１ｃ二軸延伸物２ピグメント塗工層３プライマー層４彫刻層５画像部６背影部７地紋印刷

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】支持体層と彫刻塗工層とからなる透かし
彫り偽造防止用紙において、支持体層がプロピレン系樹
脂二軸延伸フィルム層を基材層とし、この基材層の表裏
面に無機微細粉末を含有するプロピレン系樹脂一軸延伸
フィルム層が設けられた積層延伸物であって、かつ、（１）不透明度（ＪＩＳＰ−８１３８）が５０〜１０
０％（２）密度（ＪＩＳＰ−８１８８）が０．７０〜１．
４ｇ／ｃｍ³ を満たすものであり、かつ、彫刻が彫刻塗工層または支
持体の一軸延伸フィルムの深さまで施こされていること
を特徴とする透かし彫り偽造防止用紙。
【請求項２】彫刻のなされた方向が、支持体の一軸延
伸フィルム層の延伸方向に対して直角の方向になされて
いることを特徴とする請求項１記載の透かし彫り偽造防
止用紙。
【請求項３】支持体の一軸延伸フィルム層の肉厚が各
々５〜３０μｍであり、基材層の二軸延伸フィルム層の
肉厚が４０〜１５０μｍであることを特徴とする請求項
１記載の透かし彫り偽造防止用紙。