JP2002200686A - 偽造防止用フィルム - Google Patents

偽造防止用フィルム

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JP2002200686A
JP2002200686A JP2001283043A JP2001283043A JP2002200686A JP 2002200686 A JP2002200686 A JP 2002200686A JP 2001283043 A JP2001283043 A JP 2001283043A JP 2001283043 A JP2001283043 A JP 2001283043A JP 2002200686 A JP2002200686 A JP 2002200686A
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Tamio Kano
民雄 鹿野
Takaaki Asakura
孝明 朝倉
Takahiko Ueda
隆彦 上田
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Yupo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複写した偽造品と容易に区別することがで
き、皺になりにくく、かつ、印刷の密着性に優れる偽造
防止用フィルムを提供すること。 【解決手段】 熱可塑性樹脂を含有し、かつ空孔率が0
〜40%である基材層(A)の片面に偽造防止処理が施
されており、該偽造防止処理が施されている面の上に、
熱可塑性樹脂を含有し、かつ空孔率が20%より大きく
40%以下である表面層(B)が形成されていることを
特徴とする偽造防止用フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偽造防止および改
ざん防止が要求される銀行券、手形、小切手、トラベラ
ーズチェック、有価証券、カード類などに用いることが
できる偽造防止用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】現代社会には、銀行券、小切手、有価証
券、カード類といった偽造や複製が禁じられている書面
やカードが多数出回っている。これらの偽造や複製は、
単に法律により禁止するだけではなく、技術的に不可能
にすることが、社会秩序を維持するために必要とされて
いる。しかしながら、近年では複写技術や複製技術が目
覚ましい進歩を遂げていることから、偽造品や複写物が
作製される危険性は年々高まりつつある。現に偽造犯罪
は最近になって増えつつあり、その技術もより精巧にな
っている。
【0003】そこで、偽造や複製を防止するための技術
がこれまでにも種々開発されている。例えば、外観で偽
造を見破るようにする技術がある。具体的には、印刷物
内に蛍光発色物質を存在させる技術;磁性インキを用い
て印刷し、磁気作用によるインキの濃度の変化を視覚的
に検知できるようにする技術(特開平5−177919
号公報);フォトクロミックの感光色素を含む印刷イン
キを用いて印刷する技術(特開昭60−79992号公
報);特定の反射分光特性を持つインキや、反射率に所
定値以上の差がある2種以上のインキを用いて印刷する
技術;一定の角度から見たときに色が変わって見える印
刷物(特開平5−177919号公報);すかし模様
(潜像)を施した印刷物(特公平4−18078号公
報、実開昭58−168457号公報)などがある。
【0004】また、複写すると文字、図柄の判読が困難
になるような細工を施した印刷物、あるいは警告マーク
が複写紙上に現れるようにしたものも開発されている
(実開昭59−64271号公報)。さらに、複写物を
判別機にかけたときにエラーが出るように、特殊な磁性
インキを用いて印刷した印刷物;複写物の印刷の網点粗
密差が原本(真券)と異なるように複写されるような印
刷を施したもの(特公昭56−19273号公報、特公
平2−51742号公報);肉眼では判読できない文字
を印字し、隠蔽文字が判別機で読み取れるようにしたも
の(特開昭62−130874号公報)もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように様々な偽造
防止策が開発されているが、これらの原本は写真製版的
に複製できるものが多く、完全な偽造防止策とはなり難
い。また、特に真券のように使用しているうちに皺にな
り、判別機にかけたときに「使用不可」と判定されて戻
されるものも多い。これらの従来技術の問題点を考慮し
て、本発明は、複写した偽造品と容易に区別することが
でき、皺になりにくく、かつ、印刷の密着性に優れる偽
造防止用フィルムを提供することを課題とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討を重
ねた結果、熱可塑性樹脂を含む基材層に偽造防止処理を
施して、その上に熱可塑性樹脂を含む層を積層すること
により、所期の効果を示す偽造防止用フィルムを提供し
うることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明
は、熱可塑性樹脂を含有し、かつ空孔率が0〜40%で
ある基材層(A)の片面に偽造防止処理が施されてお
り、該偽造防止処理が施されている面の上に、熱可塑性
樹脂を含有し、かつ空孔率が20%より大きく40%以
下である表面層(B)が形成されていることを特徴とす
る偽造防止用フィルムを提供する。本発明の偽造防止用
フィルムに施されている偽造防止処理は、反射光では認
知できないが、透過光を用いることにより認知すること
ができる。本発明の偽造防止用フィルムは、基材層
(A)の裏面に空孔率が20%より大きく40%以下で
ある裏面層(C)が形成されていることが好ましく、特
に基材層(A)の両面に偽造防止処理が施されており、
各面の上に表面層(B)と裏面層(C)がそれぞれ形成
されていることが好ましい。また、偽造防止処理は、基
材層(A)の表面に施されたエンボス加工または印刷で
あることが好ましい。基材層(A)は複層構造を有して
いてもよい。また、本発明の偽造防止用フィルムは不透
明度が60%より大きく99%以下であることが好まし
い。
【0007】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の偽造防止
用フィルムについて詳細に説明する。なお、本明細書に
おいて「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最
小値および最大値として含む範囲を意味する。本発明の
偽造防止用フィルムは、偽造防止処理が施された基材層
(A)の上に表面層(B)が形成された構造を有し、さ
らに裏面層(C)を有することが好ましい。そこで、本
発明の偽造防止用フィルムを構成する各層について順に
説明し、さらにその製法や適用について説明する。
【0008】基材層(A) 本発明の偽造防止用フィルムを構成する基材層(A)
は、少なくとも熱可塑性樹脂を含む層である。基材層
(A)に用いられる熱可塑性樹脂としては、高密度ポリ
エチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等
のエチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂、ポリメ
チル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合
体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン
−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等
のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやそ
の共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエ
ステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネ
ート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティ
ックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可
塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用い
ることもできる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹
脂を用いることが好ましい。更にポリオレフィン系樹脂
の中でも、コスト面、耐水性、耐薬品性の面からプロピ
レン系樹脂、高密度ポリエチレンを用いることがより好
ましい。かかるプロピレン系樹脂としては、アイソタク
ティックないしはシンジオタクティックおよび種々の程
度の立体規則性を示すプロピレン単独重合体(ポリプロ
ピレン)、プロピレンを主成分とし、これと、エチレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン,4−メ
チル−1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体を
好ましく使用することができる。これらの共重合体は、
2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共
重合体でもブロック共重合体であってもよい。
【0009】基材層(A)には、熱可塑性樹脂の他に、
無機微細粉末および/または有機フィラーを配合するこ
とが好ましい。無機微細粉末としては、平均粒径が通常
0.01〜15μm、好ましくは0.01〜8μm、更
に好ましくは0.03〜4μmのものを使用することが
できる。具体的には、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シ
リカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウ
ム、アルミナなどを使用することができる。有機フィラ
ーとしては、分散後の平均粒径が通常0.01〜15μ
m、好ましくは0.01〜8μm、更に好ましくは0.
03〜4μmのものを使用することができる。有機フィ
ラーとしては、主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種
類の樹脂を選択することが好ましい。例えば熱可塑性樹
脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、有機フィラ
ーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6,
ナイロン−6,6、環状オレフィンの単独重合体や環状
オレフィンとエチレンとの共重合体等で融点が120℃
〜300℃、ないしはガラス転移温度が120℃〜28
0℃であるものを用いるいことが好ましい。
【0010】基材層(A)には、更に必要により、安定
剤、光安定剤、分散剤、滑剤、蛍光増白剤、着色剤等を
配合してもよい。安定剤としては、例えば立体障害フェ
ノール系やリン系、アミン系等の安定剤を0.001〜
1重量%配合することができる。光安定剤としては、例
えば立体障害アミンやベンゾトリアゾール系、ベンゾフ
ェノン系などの光安定剤を0.001〜1重量%配合す
ることができる。無機微細粉末の分散剤としては、例え
ばシランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等
の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタク
リル酸ないしはそれらの塩等を0.01〜4重量%配合
することができる。蛍光増白剤としては、例えばイミダ
ゾール型、イミダゾロン型、トリアゾール型、チアゾー
ル型、オキサゾール型、オキサジアゾール型、クマリン
型、カルボスチリル型、チアジアゾール型、ナフタルイ
ミド型、ピラゾロン型等、具体的には2.5−ビス[5
−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン、
ジシクロヘキシルフタレート、4−メトキシナフタル酸
−N−メチルイミド、ジアミノスチルベンジルスルホン
酸誘導体、ジアミノスチルベン誘導体等を0.001〜
1重量%配合することができる。着色剤としては、各種
顔料で着色されたカラーペレットを5〜30重量%配合
することができる。
【0011】本発明の偽造防止用フィルムを構成する基
材層(A)は、単層構造を有していても、2層以上の複
層構造を有していてもよい。また、基材層(A)または
基材層(A)を構成する層の一部は、少なくとも一軸方
向に延伸されていてもよい。基材層(A)が層(A
1)、層(A2)、層(A3)の3層構造[A1/A2
/A3]を有する場合、(A1+A3)の厚みは1μm
以上であり、(A1+A3)とA2の厚みの比は1:4
0〜1:10であることが好ましい。基材層(A)の厚
みは25〜100μmであることが好ましく、30〜7
5μmであることがより好ましく、40〜60μmであ
ることが特に好ましい。
【0012】表面層(B)および裏面層(C) 本発明の偽造防止用フィルムを構成する基材層(A)の
片面には、表面層(B)が形成されている。また、基材
層(A)の反対側の面には、裏面層(C)が形成されて
いることが好ましい。これらの表面層(B)および裏面
層(C)は、いずれも熱可塑性樹脂を含有する。また、
表面層(B)および裏面層(C)には、無機微細粉末お
よび/または有機フィラーを好ましく配合することがで
きる。表面層(B)および裏面層(C)に用いられる熱
可塑性樹脂、無機微細粉末、有機フィラーとしては、基
材層(A)に用いられるものと同じものを使用すること
ができる。さらに、表面層(B)および裏面層(C)に
は、上記安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤、蛍光増白
剤、着色剤等を配合してもよい。
【0013】表面層(B)および裏面層(C)はそれぞ
れ単層構造を有していても、2層以上の複層構造を有し
ていてもよい。また、表面層(B)および裏面層(C)
を構成する層の一部は、少なくとも一軸方向に延伸され
ていてもよい。表面層(B)および裏面層(C)の厚み
は、それぞれ5〜50μmであることが好ましく、10
〜40μmであることがより好ましい。
【0014】本発明の偽造防止用フィルムは、基材層
(A)の各面に表面層(B)と裏面層(C)がそれぞれ
形成されている構造を有することが好ましい。特に、基
材層(A)がポリオレフィン系樹脂40〜99.5重量
%、無機微細粉末および/または有機フィラー60〜
0.5重量%を含有し、表面層(B)と裏面層(C)が
ポリオレフィン系樹脂25〜85重量%、無機微細粉末
および/または有機フィラー75〜15重量%を含有す
る偽造防止用フィルムが好ましい。さらに、基材層
(A)がポリオレフィン系樹脂50〜97重量%、無機
微細粉末および/または有機フィラー50〜3重量%を
含有し、表面層(B)と裏面層(C)がポリオレフィン
系樹脂30〜80重量%、無機微細粉末70〜20重量
%を含有する偽造防止用フィルムがより好ましい。
【0015】基材層(A)に含まれる無機微細粉末およ
び/または有機フィラーが60重量%を超えると、縦延
伸後に行う横延伸時に延伸樹脂フィルムが破断し易くな
る傾向がある。また、表面層(B)および裏面層(C)
に含まれる無機微細粉末および/または有機フィラーが
75重量%を超えると、横延伸後の表面層(B)の表面
強度が低く、使用時の機械的衝撃等により表面層(B)
が破壊しやすくなる傾向がある。
【0016】本発明の偽造防止用フィルムを構成する基
材層(A)と表面層(B)の間、基材層(A)と裏面層
(C)の間、表面層(B)の上、裏面層(C)の上に
は、それぞれ他の層を設けてもよい。
【0017】偽造防止処理 本発明の偽造防止用フィルムを構成する基材層(A)の
片面または両面には、偽造防止処理が施されている。偽
造防止処理は、基材層(A)の表面に直接処理を行うも
のであってもよいし、基材層(A)の上に偽造防止処理
を施された層を形成するものであってもよい。好ましい
のは、基材層(A)の表面にエンボス加工または、印刷
を施す態様である。
【0018】エンボス加工の方法としては、例えば、平
版プレス機、ロールエンボス機等公知の各種プレス、エ
ンボス機を用い、熱、圧力によりエンボス版の凹凸形状
を賦形する方法を挙げることができる。上記ロールエン
ボス法は円筒状のエンボス版の凹凸形状を対象材料に熱
圧で賦形する方法である。具体的には、例えば、基材層
(A)が押出機に接続された単層または多層のTダイや
Iダイを使用して溶融状態でフィルム状に押し出され、
次いで冷却ロールにて冷却されフィルム成形される際
に、フィルム表面にエンボスロールを押圧して賦形した
後、冷却して形状を固定する方法を例示することができ
る。この際エンボスロールの凸部が接触したフィルム部
分は、白化する。また、冷却フィルム上に、霧吹きなど
を用い、噴霧状の水を吹き付けることにより水滴のつい
たフィルム部分が急激に冷却され白化する。
【0019】偽造防止処理のために行う印刷としては、
溶融熱転写、電子写真方式、インクジェットなど種々の
印刷方式が適用できる。特に、溶融熱転写方式に用いら
れているワックス、レジンタイプインキによる印刷を行
う場合、まずインキ密着の弱いフィルムに画像を転写
し、このフィルムの印字面の裏面から加熱ロールなどを
利用して未延伸フィルムに熱圧着することにより画像転
写が可能である。したがって、この方法によれば成形ラ
インに印刷装置を設置しなくてもよい。印刷による偽造
防止処理は、基材層(A)を延伸する前の未延伸状態の
ときに行うことが好ましい。基材層(A)を一軸延伸す
る場合は縦延伸前、二軸延伸する場合は縦延伸前または
横延伸前に印刷を実施する。
【0020】本明細書でいう偽造防止処理には、基材層
(A)と表面層(B)の間、基材層(A)と裏面層
(C)の間に、偽造防止処理が施された層を挟みこむ態
様も含まれる。偽造防止処理が施された層としては、例
えば印刷された層を挙げることができる。このような偽
造防止処理が施された層は、例えば基材層(A)の延伸
後に積層して、さらにその上に表面層(B)または裏面
層(C)を形成することにより挟みこむことができる。
例えば、一軸延伸した表面層(B)/二軸延伸した基材
層(A)/一軸延伸した裏面層(C)からなる偽造防止
用フィルムを調製するときは、(A)層の縦延伸後であ
って、(B)層を溶融ラミネーションする直前に、あら
かじめ印刷してあるフィルム(D)を挿入し、(B)/
(D)/(A)/(D)/(B)あるいは、(B)/
(D)/(A)/(B)積層体とし偽造防止用フィルム
とすることができる。
【0021】印刷済フィルム(D)は無延伸フィルム、
一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、またはこれらの
積層体であってもよいが、後工程の横延伸応力上昇を抑
える意味から一軸延伸フィルムがより好ましい。また、
印刷方法としては、電子写真方式、溶融熱転写、リライ
タブルマーキング、およびインクジェットプリンターの
使用は勿論のこと、凸版印刷、グラビア印刷、フレキソ
印刷、溶剤型オフセット印刷、紫外線硬化型オフセット
印刷、オフセット、フレキソ、グラビア、スクリーン、
インクジェット、電子写真、溶融熱転写など種々印刷方
式が適用できる。これらの印刷画像は、その後工程での
延伸倍率を考慮し、1/(延伸倍率)倍に縮小された画
像であることが好ましい。
【0022】本発明の偽造防止用フィルムには、更に偽
造防止のために加熱刻印することも可能である。本発明
の偽造防止フィルムの不透明度が60%より大きく99
%以下と高ければ、加熱刻印を行ったときにその加工部
の加圧部はより不透明度が低くなり、半透明または透明
になる。加熱刻印時の加圧部以外は元の不透明のままで
あるので、太陽光、蛍光灯などの光源に透かした場合、
刻印を鮮明に認識することができ偽造か否か一見して判
断できる。しかし、完全な透明フィルムでは、不鮮明な
刻印となり一見して偽造か否か判断しにくくなる傾向が
ある。
【0023】これらの加熱刻印加工は、上記のような偽
造防止効果があるだけでなく、目の不自由な人にも、指
先の感覚だけで容易に紙幣等の種類が判断可能であり有
用である。
【0024】本発明の偽造防止用フィルムには、上記の
偽造防止処理方法の1つを選択して施してもよいし、2
つ以上を選択して組み合わせて施してもよい。1つを選
択して施せば、より安価に高度な偽造防止効果を持たせ
ることができる。また、2つ以上を選択して組み合わせ
て施せば、より偽造防止効果を高めることができる。
【0025】偽造防止用フィルムの製造と加工 本発明の偽造防止用フィルムは、当業者に公知の種々の
方法を組み合わせることによって製造することができ
る。いかなる方法により製造された偽造防止用フィルム
であっても、請求項1に記載される条件を満たすもので
ある限り本発明の範囲内に包含される。典型的な製造方
法として、偽造防止用フィルムを構成する層を成形した
後に延伸する方法を挙げることができる。成形方法は特
に限定されず、公知の種々の方法が使用できる。具体的
には、スクリュー型押出機に接続された単層または多層
のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をフィルム状に押
し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、イン
フレーション成形、熱可塑性樹脂と有機溶媒やオイルと
の混合物のキャスト成形またはカレンダー成形後の溶剤
やオイルの除去、熱可塑性樹脂の溶液からの成形と溶媒
除去などによって成形することができる。
【0026】延伸方法も特に限定されず、公知の種々の
方法を使用することができる。延伸の具体的な方法とし
ては、ロール群の周速差を利用したロール間延伸、テン
ターオーブンを利用したクリップ延伸などを挙げること
ができる。より具体的には、ロール群の周速差を利用し
た縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、圧延、
テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる
同時二軸延伸などを用いることができる。各層の延伸は
一軸延伸であっても、二軸以上の延伸であってもよい。
例えば、表面層(B)/基材層(A)/裏面層(C)の
3層構造からなるフィルムを作製するときには、各層の
延伸軸数を、一軸/二軸/一軸、一軸/一軸/一軸、二
軸/二軸/二軸等のように、任意に組み合わせることが
できる。
【0027】延伸倍率は特に限定されず、目的と使用す
る熱可塑性樹脂の特性により適宜選択される。例えば、
熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしその共
重合体を使用するとき、一軸延伸する場合は約1.2〜
12倍が好ましく、2〜10倍がより好ましく、二軸延
伸する場合は面積倍率で1.5〜60倍が好ましく、1
0〜50倍がより好ましい。その他の熱可塑性樹脂を使
用する時には一軸延伸する場合は1.2〜10倍が好ま
しく、2〜5倍がより好ましく、二軸延伸する場合は面
積倍率で1.5〜20倍が好ましく、4〜12倍がより
好ましい。更に、必要に応じて高温での熱処理を施すこ
とができる。
【0028】延伸は、非結晶樹脂を用いる場合はガラス
転移温度以上、結晶性樹脂の場合には非結晶部分のガラ
ス転移温度以上から結晶部の融点以下の好適な公知の温
度範囲で行うことができる。一般に、延伸は、使用する
熱可塑性樹脂の融点より2〜60℃低い温度で行うこと
が好ましい。熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体
(融点155〜167℃)を用いるときは152〜16
4℃、高密度ポリエチレン(融点121〜134℃)を
用いるときは110〜120℃、ポリエチレンテレフタ
レート(融点246〜252℃)を用いるときは104
〜115℃で延伸することが好ましい。また、延伸速度
は20〜350m/分にすることが好ましい。
【0029】本発明の偽造防止用フィルムを構成する各
層の延伸と積層の順序は特に制限されない。例えば、基
材層(A)および表面層(B)を別々に延伸した後に積
層することによって製造してもよいし、基材層(A)お
よび表面層(B)を積層した後にまとめて延伸すること
によって製造してもよい。裏面層(C)を有する場合
は、3層を別々に延伸してから積層してもよいし、先に
積層してからまとめて延伸してもよいし、あるいは基材
層(A)および裏面層(C)を積層して延伸した後に、
延伸または未延伸の表面層(B)を積層することによっ
て製造したものであってもよい。これらの方法は適宜組
み合わせることもできる。好ましい製造方法は、複数の
層を積層した後にまとめて延伸する工程を含むものであ
る。別個に延伸して積層する場合に比べると簡便であり
コストも安くなる。
【0030】層中に無機微細粉末および/または有機フ
ィラーを含有する場合、延伸することによってフィルム
表面に微細な亀裂が生じ、フィルム内部には微細な空孔
が生じる。延伸後の本発明の偽造防止用フィルムは、基
材層(A)、表面層(B)、表面層(C)の空孔率がそ
れぞれ0〜40%、20%より大きく40%以下、20
%より大きく40%以下であることが好ましく、それぞ
れ1〜30%、25〜35%、25〜35%であること
がより好ましい。それぞれ40%を超えると、透過光で
偽造防止処理を認識しにくくなる傾向がある。
【0031】なお、本明細書における空孔率は、電子顕
微鏡写真観測した領域の空孔を画像解析装置(ニレコ
(株)製:型式ルーゼックスIID)を用いた面積率から
求めたものを示す。
【0032】本発明の偽造防止用フィルムの最外層を構
成する熱可塑性樹脂層の帯電防止および各種印刷適性向
上のために、積層構造の成形後に表面処理を行って表面
改質を行うことが好ましい。表面処理の方法としては、
表面酸化処理と表面処理剤による処理の組み合わせを挙
げることができる。表面酸化処理としては、フィルムに
一般的に使用されるコロナ放電処理、フレーム処理、プ
ラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理などを単独ま
たは組み合わせて行うことができる。これらのうちで好
ましいのはコロナ処理、フレーム処理である。コロナ処
理の処理量は、600〜12,000J/m2(10〜
200W・分/m2)であることが好ましく、1,20
0〜9,000J/m2(20〜180W・分/m2)で
あることがより好ましい。フレーム処理の場合は、8,
000〜200,000J/m2であることが好まし
く、20,000〜100,000J/m2であること
がより好ましい。
【0033】表面処理剤としては、主として下記のプラ
イマー、帯電防止性ポリマーより選ばれたもので、単独
あるいは2成分以上の混合物を挙げることができる。ド
ライラミネート時の密着性向上と帯電防止の観点から、
表面処理剤として好ましいものはプライマーないしはプ
ライマーと帯電防止性ポリマーとの組み合わせである。
【0034】表面処理剤を構成するプライマーとして
は、例えば、ポリエチレンイミン、炭素数1〜12のア
ルキル変性ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン
−尿素)およびポリアミンポリアミドのエチレンイミン
付加物およびポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリ
ン付加物等のポリエチレンイミン系重合体、アクリル酸
アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミ
ド−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合
体、ポリアクリルアミドの誘導体、オキサゾリン基含有
アクリル酸エステル系重合体、ポリアクリル酸エステル
等のアクリル酸エステル系重合体、ポリビニルピロリド
ン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等
の水溶性樹脂;またポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩
素化ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体等の水分散性樹脂等が用いられる。
【0035】これらの内で好ましくは、ポリエチレンイ
ミン系重合体およびウレタン樹脂、ポリアクリル酸エス
テル等であり、より好ましくはポリエチレンイミン系重
合体であり、更に好ましくは重合度が20〜3,000
のポリエチレンイミン、ポリアミンポリアミドのエチレ
ンイミン付加体、ないしはこれらが炭素数1〜24のハ
ロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化
シクロアルキル、ハロゲン化ベンジル基によって変性さ
れた変性ポリエチレンイミンである。
【0036】表面処理剤を構成する帯電防止ポリマーと
してはカチオン系ポリマー、アニオン系ポリマー、両性
系ポリマーが挙げられる。カチオン系ポリマーとして
は、四級アンモニウム塩構造やホスホニウム塩構造を有
するポリマー、窒素含有アクリル系ポリマー、四級アン
モニウム塩構造の窒素を有するアクリル系ないしはメタ
クリル系ポリマーが挙げられる。両性系ポリマーとして
は、ベタイン構造の窒素を有するアクリル系ないしはメ
タクリル系ポリマーが挙げられる。またカチオン系ポリ
マーとしては、スチレン−無水マレイン酸共重合体ない
しはそのアルカリ金属塩、エチレン−アクリル酸共重合
体のアルカリ金属塩ないしはエチレン−メタクリル酸共
重合体のアルカリ金属塩などが挙げられる。特に好まし
いのは、四級アンモニウム塩構造の窒素を有するアクリ
ル系ないしはメタクリル系ポリマーである。帯電防止ポ
リマーの分子量は、重合温度、重合開始剤の種類および
量、溶剤使用量、連鎖移動剤等の重合条件により任意の
レベルとすることができる。得られる重合体の分子量は
一般に1,000〜1,000,000であるが、中で
も1,000〜500,000の範囲が好ましい。
【0037】本発明に用いる表面処理剤は、必要に応じ
て架橋剤、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩等
を含むものであってもよい。表面処理剤に架橋剤を添加
することにより、さらに塗膜強度や耐水性を向上させる
ことができる。架橋剤としては、グリシジルエーテル、
グリシジルエステル等のエポキシ系化合物、エポキシ樹
脂、イソシアネート系、オキサゾリン系、ホルマリン
系、ヒドラジド系等の水分散型樹脂が挙げられる。架橋
剤の添加量は、通常、上記の表面改質剤の溶媒を除いた
有効成分100重量部に対して100重量部以下の範囲
である。
【0038】表面処理剤に用いるアルカリ金属塩または
アルカリ土類金属塩として、水溶性の無機塩、例えば、
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、
亜硫酸ナトリウム、その他のアルカリ性塩、および塩化
ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、トリポ
リ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、アンモニウム
明礬等が挙げられる。添加量は、通常、上記の表面改質
剤の溶媒を除いた有効成分100重量部に対して50重
量部以下である。さらに、表面改質剤には、界面活性
剤、消泡剤、水溶性或いは水分散性の微粉末物質その他
の助剤を含ませることもできる。これらの任意成分の量
は、通常、上記の表面改質剤の溶媒を除いた有効成分1
00重量部に対して20重量部以下である。
【0039】これらの表面処理剤の各成分は、水或いは
メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルア
ルコール等の親水性溶剤に溶解させてから用いることが
できる。中でも水溶液の形態で用いるのが典型的であ
る。溶液濃度は通常0.1〜20重量%、好ましくは
0.1〜10重量%程度である。塗工方法はロールコー
ター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフ
コーター、サイズプレスコーター、グラビアコーター、
リバースコーター、ダイコーター、リップコーター、ス
プレーコーター等により行われ、必要によりスムージン
グを行ったり、乾燥工程を経て、余分な水や親水性溶剤
が除去される。塗工量は乾燥後の固形分として0.00
5〜5g/m2、好ましくは0.01〜2g/m2であ
る。表面処理のタイミングは、縦または横延伸の前後の
いずれであってもよい。また、表面処理剤は一段の塗工
でも多段の塗工でも構わない。
【0040】これらの表面処理を行った後には、必要に
応じて表面に筆記性付与層、印刷品質向上層、熱転写受
容層、感熱記録層、インクジェット受容層などを表面処
理剤に用い得る塗工方法と同様の方法で設けることがで
きる。
【0041】また、この様にして得られた本発明の偽造
防止用フィルムには、表面層(B)や裏面層(C)の表
面に記録層を設けることができる。この記録層には、電
子写真方式、昇華熱転写、溶融熱転写、ダイレクトサー
マル、リライタブルマーキング、およびインクジェット
プリンターを用いた印刷は勿論のこと、凸版印刷、グラ
ビア印刷、フレキソ印刷、溶剤型オフセット印刷、紫外
線硬化型オフセット印刷、フィルムの形態でもロールの
形態の輪転方式の印刷を施すことができる。
【0042】本発明の偽造防止用フィルムの適用 本発明の偽造防止用フィルムの物性は、その使用目的や
使用環境等に応じて適宜調節することができる。本発明
の偽造防止用フィルムの不透明度(JIS P813
8)は、60%より大きく99%以下であることが好ま
しく、65〜97%であることがより好ましく、70〜
95%であることが特に好ましい。不透明度が99%を
超えると、基材層(A)に対して行うエンボス加工によ
る白化縞や印刷が反射光、透過光の何れでも明瞭に見え
ず、偽造防止性が低下する傾向がある。また、60%以
下だと反射光でも基材層(A)に対して行うエンボス加
工による白化縞や印刷が見えてしまうため、偽造防止性
が低下する傾向がある。
【0043】また、本発明の偽造防止用フィルムの白色
度(JIS L1015)は、60〜100%であるこ
とが好ましく、70〜100%であることがより好まし
い。白色度がこの範囲を外れると、表面層(B)、裏面
層(C)に印刷される文字や画像が不鮮明になって識別
が困難になり、また、外観も好ましくなくなる傾向があ
る。さらに、本発明の偽造防止用フィルムの厚みは、5
0〜200μmであることが好ましく、60〜150μ
mであることがより好ましく、80〜120μmである
ことが特に好ましい。厚みが50μm未満では強度が不
十分で耐久性に劣り、200μmを超えると例えば銀行
券(紙幣)としては腰がありすぎて取り扱いにくくなる
傾向がある。これらの物性は、周知の方法を適宜組み合
わせることによって調整することができる。
【0044】本発明の偽造防止用フィルムは、基材層
(A)に反射光では見えず、透過光により認知できる偽
造防止処理が施されているため、この偽造防止処理を複
写することはできない。仮に複写したとしても複写物で
あることが簡単にわかるという利点がある。
【0045】本発明の偽造防止用フィルムは、偽造防止
が必要とされるものに幅広く適用することができる。例
えば、銀行券、手形、小切手、トラベラーズチェック、
宝くじ、商品券、株券、その他の有価証券、各種カード
類、入場券、切符、身分証明書、運転免許証、住民票、
戸籍謄本、印鑑証明書、パスポート、ビザ、預金証書、
質権設定書などに適用することができる。特に、本発明
の偽造防止用フィルムを用いて紙幣を製造した場合は、
外観は従来の単なる紙幣に見えて、違和感を与えない。
また、耐水性、耐久性にも優れており、多様な用途に供
することが可能である。
【0046】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに
具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、
割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱し
ない限り適宜変更することができる。したがって、本発
明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈される
べきものではない。
【0047】<実施例1>メルトフローレート(MF
R)4g/10分のプロピレン単独重合体87重量部に
対し、平均粒径3μmの重質炭酸カルシウム3重量部、
MFRが10g/10分の高密度ポリエチレン10重量
部、プロピレン単独重合体と重質炭酸カルシウムの合計
量100重量部に対して3−メチル−2,6−ジ−t−
ブチルフェノール0.05重量部とフェノール系安定剤
(チバガイキー社製、商品名イルガノックス1010)
0.08重量部、リン系安定剤(ジー・イー・プラスチ
ック社製、商品名ウエストン618)0.05重量部を
配合し、組成物(A)とした。この組成物(A)を25
0℃に設定した押出機にて混練した後、230℃に設定
した押出機に接続したTダイより鏡面状キャストロール
に押し出し、裏面を冷却装置にて冷却しながら、100
℃に加熱された深さ0.5mmのエンボスロールにてヘ
リンボーン柄のエンボス加工を行って無延伸フィルムを
得た。このフィルムを160℃に加熱して、周速の異な
るロール群からなる縦延伸機で縦方向に4.6倍延伸し
た。
【0048】一方、メルトフローレート(MFR)4g
/10分のプロピレン単独重合体60重量部に対し、平
均粒径3μmの重質炭酸カルシウム40重量部、MFR
が10g/10分の高密度ポリエチレン3重量部、平均
粒径0.2μmの酸化チタン0.7重量部、プロピレン
単独重合体と重質炭酸カルシウムの合計量100重量部
に対して3−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノー
ル0.05重量部とフェノール系安定剤(チバガイキー
社製、商品名イルガノックス1010)0.08重量
部、リン系安定剤(ジー・イー・プラスチック社製、商
品名ウエストン618)0.05重量部を配合し、組成
物(B)を得た。また、組成物(B)及び組成物(B)
と同様の組成物(C)を240℃に設定した各々の押出
機で溶融混練し、上記で得た組成物(A)の延伸フィル
ムの両面にそれぞれ押し出しすることにより、3層積層
物(B/A/C)を得た。
【0049】得られた3層積層物をテンターオーブンに
て160℃に加熱した後、横方向に9倍延伸した。つい
で、テンターオーブンに続いた熱セットゾーン(設定温
度165℃)を通過させた。このフィルムの両面に、印
加エネルギー密度90W・分/m2にてコロナ放電処理
を行い、両面に、ブチル変性ポリエチレンイミン、ポリ
アミンポリアミドのエチレンイミン付加物、および第4
級アンモニウム塩構造を有するアクリル酸アルキルエス
テル系重合体の等量混合物を含む水溶液を、ロールコー
ターを用いて、乾燥後の塗工量が片面あたり約0.1g
/m2となるように塗工し、乾燥した。得られた3層積
層フィルムの各層の厚み(B/A/C)は、25μm/
50μm/25μmであった。得られた偽造防止用フィ
ルムは、基材層(A)と表面層(B)の間、および基材
層(A)と裏面層(C)の間にエンボス加工に由来する
規則正しいパターンの白化縞を有していた。また、偽造
防止用フィルムの不透明度、白色度、空孔率は表1に示
すとおりであった。
【0050】<実施例2>実施例1と同様に組成物
(A)を250℃に設定した押出機にて混練した後、2
30℃に設定した押出機に接続したTダイより鏡面状キ
ャストロールに押し出し、裏面を冷却装置にて冷却して
無延伸フィルムを得た。このフィルムを160℃の温度
に加熱し、縦延伸直前のロール近傍に設置した装置にて
水を噴霧し、周速の異なるロールで縦方向に4.2倍延
伸した。以下、実施例1と同様の操作を行い、厚み90
μmの3層積層フィルムを得た。得られた3層積層フィ
ルムの各層の厚み(B/A/C)は、20μm/50μ
m/20μmであった。得られた偽造防止用フィルム
は,基材層(A)と表面層(B)の間、および基材層
(A)と裏面層(C)の間に不定形の白化縞を有してい
た。また、偽造防止用フィルムの不透明度、白色度、空
孔率は表1に示すとおりであった。
【0051】<実施例3>実施例1と同じ組成物(A)
と、MFRが4g/10分、融点が137℃(DSCピ
ーク温度)のエチレン・プロピレン共重合体(b)、M
FRが4g/10分、密度が0.91g/cm3、融点
が110℃(DSCピーク温度)のメタロセン・ポリエ
チレン(c)を230℃に設定した押出機に接続したT
ダイより共押し出しし、(b)/(A)/(c)の3層
積層物を得た。この積層物を155℃に加熱して、周速
の異なるロール群からなる縦延伸機で縦方向に4.6倍
延伸した後、ロール状に巻き取った。このようにして厚
み50μm、不透明度20%の一軸延伸フィルム(D)
を得た。このロール状フィルム(D)の(b)面側に、
TEC社製オンサイトカラープリンタCB−418−T
1にて、延伸方向に対し垂直方向に1/9倍縮小された
画像を印字した。
【0052】一方、これとは別に、実施例1と同様に組
成物(A)を250℃に設定した押出機にて混練した
後、230℃に設定した押出機に接続したTダイより鏡
面状キャストロールに押し出し、裏面を冷却装置にて冷
却して無延伸フィルムを得た。このフィルムを155℃
に加熱して、周速の異なるロール群からなる縦延伸機で
縦方向に4.6倍延伸して、組成物(A)の縦延伸フィ
ルムを得た。
【0053】上記で得た一軸延伸フィルム(D)の
(c)面側が組成物(A)の縦延伸フィルムに接するよ
うに重ね合わせ(一軸延伸フィルム(D)をロールから
巻き出し供給する)、得られた2層積層物(D/A)の
両面に、実施例1と同じ配合組成の組成物(B)と組成
物(C)を240℃に設定した押出機で押し出し、4層
積層物(B/D/A/C)を得た。
【0054】得られた4層積層物をテンターオーブンに
て160℃に加熱した後、横方向に9倍延伸した。つい
で、テンターオーブンに続いた熱セットゾーン(設定温
度165℃)を通過させて、厚み110μmの4層積層
フィルムを得た。4層積層フィルムの各層の厚み(B/
D/A/C)は、25μm/5μm/55μm/25μ
mであった。得られたフィルムは基材層(A)と表面層
(B)の間に印刷した偽造防止層(D)を有していた。
また、偽造防止用フィルムの不透明度、白色度、空孔率
は表1に示すとおりであった。
【0055】<試験例>実施例1〜3で得られたフィル
ムを蛍光灯下で以下の基準で評価し、結果を表1に示し
た。 ○:偽造防止層が反射光では見えないが、透過光では見
える ×:偽造防止層が反射光、透過光でも見える。 ××:偽造防止層が反射光、透過光でも見えない。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明の偽造防止用フィルムは、反射光
では識別模様が見えないが、透過光にて識別模様の明度
またはコントラストが変化するために、複写物と真正物
を容易に区別することが可能である。また、本発明の偽
造防止用フィルムは、皺になりにくく、かつ、印刷適
性、透かしに優れているために、紙幣、証券、秘密文書
等に好適に利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 21/00 560 G03G 21/00 560 G07D 7/12 G07D 7/12 (72)発明者 上田 隆彦 茨城県鹿島郡神栖町東和田23番地 株式会 社ユポ・コーポレーション鹿島工場内 Fターム(参考) 2C005 HA04 HB02 HB09 HB10 JA09 JB05 KA48 LA02 2H113 AA04 AA05 AA06 BA28 BB08 BB32 CA39 CA40 DA47 DA49 DA50 DA52 DA53 DA54 DA56 DA57 DA62 DA63 EA01 EA21 2H134 NA01 NA02 NA42 NA47 3E041 AA01 AA03 AA05 BA11 BA14 BC03 BC06 4F100 AA08B AA21A AA21C AK01A AK01C AK05A AK05C AK07B AK25D AK46D AK49D AL05D BA03 BA04 BA06 BA10A BA10C BA10D CC00D DD07B DE01A DE01B DE01C DJ00A DJ00C DJ00D EH46 EJ37 EJ39B EJ40 GB90 HB31B JB16A JB16C JL04 JL11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂を含有し、かつ空孔率が0
    〜40%である基材層(A)の片面に偽造防止処理が施
    されており、該偽造防止処理が施されている面の上に、
    熱可塑性樹脂を含有し、かつ空孔率が20%より大きく
    40%以下である表面層(B)が形成されていることを
    特徴とする偽造防止用フィルム。
  2. 【請求項2】 前記基材層(A)の裏面に、空孔率が2
    0%より大きく40%以下である裏面層(C)が形成さ
    れていることを特徴とする請求項1の偽造防止用フィル
    ム。
  3. 【請求項3】 前記基材層(A)の両面に偽造防止処理
    が施されており、該偽造防止処理が施されている各面の
    上に表面層(B)と裏面層(C)がそれぞれ形成されて
    いることを特徴とする請求項2の偽造防止用フィルム。
  4. 【請求項4】 前記偽造防止処理がエンボス加工である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偽造
    防止用フィルム。
  5. 【請求項5】 前記偽造防止処理が印刷であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の偽造防止用フ
    ィルム。
  6. 【請求項6】 基材層(A)が複層構造を有することを
    特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の偽造防止用
    フィルム。
  7. 【請求項7】 不透明度が60%より大きく99%以下
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    の偽造防止用フィルム。
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WO2019058953A1 (ja) * 2017-09-20 2019-03-28 日本ゼオン株式会社 熱可塑性樹脂シートおよび積層体

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