JP2003103707A - 偽造防止用フィルム - Google Patents

偽造防止用フィルム

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JP2003103707A
JP2003103707A JP2001299545A JP2001299545A JP2003103707A JP 2003103707 A JP2003103707 A JP 2003103707A JP 2001299545 A JP2001299545 A JP 2001299545A JP 2001299545 A JP2001299545 A JP 2001299545A JP 2003103707 A JP2003103707 A JP 2003103707A
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Hiroshi Koike
小池  弘
Tamio Kano
民雄 鹿野
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Yupo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複写した偽造品と容易に区別することがで
き、皺になりにくく、折目からの引き裂きに強く、機械
摩耗性の高い偽造防止用フィルムを提供すること。 【解決手段】 偽造防止処理を実施後に延伸された熱可
塑性樹脂からなり、かつ、少なくとも1方向の引き裂き
強度が500mN以上であることを特徴とする偽造防止
用フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偽造防止および改
ざん防止が要求される銀行券、手形、小切手、トラベラ
ーズチェック、有価証券、カード類などに用いることが
できる偽造防止用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】現代社会には、銀行券、小切手、有価証
券、カード類といった偽造や複製が禁じられている書面
やカードが多数出回っている。これらの偽造や複製は、
単に法律により禁止するだけではなく、技術的に不可能
にすることが、社会秩序を維持するために必要とされて
いる。しかしながら、近年では複写技術や複製技術が目
覚ましい進歩を遂げていることから、偽造品や複写物が
作製される危険性は年々高まりつつある。現に偽造犯罪
は最近になって増えつつあり、その技術もより精巧にな
っている。
【0003】そこで、偽造や複製を防止するための技術
がこれまでにも種々開発されている。例えば、外観で偽
造を見破るようにする技術がある。具体的には、印刷物
内に蛍光発色物質を存在させる技術;磁性インキを用い
て印刷し、磁気作用によるインキの濃度の変化を視覚的
に検知できるようにする技術(特開平5−177919
号公報);フォトクロミックの感光色素を含む印刷イン
キを用いて印刷する技術(特開昭60−79992号公
報);特定の反射分光特性を持つインキや、反射率に所
定値以上の差がある2種以上のインキを用いて印刷する
技術;一定の角度から見たときに色が変わって見える印
刷物(特開平5−177919号公報);すかし模様
(潜像)を施した印刷物(特公平4−18078号公
報、実開昭58−168457号公報)などがある。
【0004】また、複写すると文字、図柄の判読が困難
になるような細工を施した印刷物、あるいは警告マーク
が複写紙上に現れるようにしたものも開発されている
(実開昭59−64271号公報)。さらに、複写物を
判別機にかけたときにエラーが出るように、特殊な磁性
インキを用いて印刷した印刷物;複写物の印刷の網点の
粗密差が原本(真券)と異なるように複写されるような
印刷を施したもの(特公昭56−19273号公報、特
公平2−51742号公報);肉眼では判読できない文
字を印字し、隠蔽文字が判別機で読み取れるようにした
もの(特開昭62−130874号公報)もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように様々な偽造
防止策が開発されているが、これらの原本は写真製版的
に複製できるものが多く、完全な偽造防止策とはなり難
い。また、特に真券のように使用しているうちに皺にな
り、判別機にかけたときに「使用不可」と判定されて戻
されるものも多い。また、銀行券、手形、小切手、トラ
ベラーズチェック、有価証券などは折曲げて保管、運搬
されることがあり、その折り目をきっかけにして裂けて
しまうことがある。さらには、近年では銀行券、手形、
小切手、トラベラーズチェック、有価証券、カード類な
どは、判別機や自動計数機などの機械にかけられること
が多く、この様な機械の食い込みに対して容易に破断、
変形しないことも重要である。
【0006】これらの従来技術の問題点を考慮して、本
発明は、複写した偽造品と容易に区別することができ、
皺になりにくく、折目からの引き裂きに強く、機械摩耗
性の高い偽造防止用フィルムを提供することを課題とし
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、これらの課
題を解決するために鋭意検討を進めた結果、特定の条件
を満たす熱可塑性樹脂フィルムを形成することによって
所期の特性を有する偽造防止用フィルムを提供し得るこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発
明は、偽造防止処理を実施後に延伸された熱可塑性樹脂
からなるフィルムにおいて、少なくとも1方向の引き裂
き強度を500mN以上にすることにより、偽造が容易
に判別でき、皺になりにくく、かつ、折目からの引き裂
きに強い偽造防止用フィルムを提供するものである。
【0008】本発明の好ましい実施形態として、偽造防
止用フィルムのガーレー剛度が100mN以上であるも
の、1方向の引き裂き強度が500mN以上であってそ
れとは直角方向の引っ張り破断強度が50N/cm幅以
上であるもの、偽造防止用フィルムが2層以上の多層構
造体であって積層後に延伸されているもの、一軸延伸さ
れているものを挙げることができる。
【0009】また、本発明の別の好ましい実施態様とし
て、偽造防止用フィルムが主体層(m)と表面層(a)
からなり、表面層(a)が溶融粘度の異なる2種類の熱
可塑性樹脂を含有しているもの、特に表面層(a)に含
まれる2種類の溶融粘度の異なる熱可塑性樹脂の溶融粘
度の差が50Pa・sより大きいもの、偽造防止用フィ
ルムが主体層(m)と表面層(a)からなり、主体層
(m)と表面層(a)の溶融粘度の差が少なくとも50
Pa・sであるもの、偽造防止用フィルムが主体層
(m)、中間層(b)、表面層(a)の順に積層された
構造を有しており、各層の溶融粘度が(m)>(b)、
(a)>(b)の関係を満たし、(b)層と(a)層の
溶融粘度の差が少なくとも10Pa・sであるもの、偽
造防止用フィルムが主体層(m)と表面層(a)の少な
くとも2層からなり、表面層(a)が無機微細粉末およ
び/または有機フィラーを含有し、表面層(a)の厚み
が無機微細粉末および/または有機フィラーの平均粒子
径の5倍以下であるもの、特に表面層(a)の無機微細
粉末および/または有機フィラー含有量が、主体層
(m)の無機微細粉末および/または有機フィラー含有
量の2倍以上であるもの、偽造防止処理がエンボス加工
により施されているもの、偽造防止処理が印刷により施
されているもの、偽造防止処理が延伸前の原反シートに
温度分布を持たせることにより施されているもの、偽造
防止処理が延伸前の原反シートに結晶化度分布を持たせ
ることにより施されているものを挙げることができる。
本発明の偽造防止用フィルムの不透明度は5〜100%
であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の偽造防止
用フィルムについて詳細に説明する。なお、本明細書に
おいて「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最
小値および最大値として含む範囲を意味する。本発明の
偽造防止用フィルムは、上述したように、偽造防止処理
を実施後に延伸された熱可塑性樹脂からなる。本発明の
偽造防止用フィルムは、多層構造を有していても良い。
【0011】[熱可塑性樹脂]本発明の偽造防止用フィ
ルムに用いられる熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエ
チレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等の
エチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂、ポリメチ
ル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体
等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−
6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等の
ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその
共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエス
テル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネー
ト、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティッ
クポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑
性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いる
こともできる。これらの中でも、ガラス軟化点が温度常
温以下である樹脂を用いることにより屈曲性の優れたフ
ィルムを得ることができる。この様なガラス軟化点温度
の低い熱可塑性樹脂の中でもポリオレフィン系樹脂を用
いることが好ましい。さらにポリオレフィン系樹脂の中
でも、コスト面、耐水性、耐薬品性の面からプロピレン
系樹脂、エチレン系樹脂を用いることがより好ましい。
【0012】かかるプロピレン系樹脂としては、アイソ
タクティックないしはシンジオタクティックおよび種々
の程度の立体規則性を示すプロピレン単独重合体(ポリ
プロピレン)、プロピレンを主成分とし、これと、エチ
レン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン,4−
メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体
を好ましく使用することができる。これらの共重合体
は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダ
ム共重合体でもブロック共重合体であっても良い。
【0013】熱可塑性樹脂には無機微細粉末および/ま
たは有機フィラーを配合することが好ましい。無機微細
粉末としては、平均粒径が通常0.01〜15μm、好
ましくは0.01〜8μm、さらに好ましくは0.03
〜4μmのものを使用することができる。具体的には、
炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タ
ルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、マイカな
どを使用することができる。
【0014】有機フィラーとしては、分散後の平均粒径
が通常0.01〜15μm、好ましくは0.01〜8μ
m、さらに好ましくは0.03〜4μmのものを使用す
ることができる。有機フィラーとしては、主成分である
熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好
ましい。例えば熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂で
ある場合には、有機フィラーとしては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカー
ボネート、ナイロン−6,ナイロン−6,6、環状オレ
フィンの単独重合体や環状オレフィンとエチレンとの共
重合体等で融点が120℃〜300℃、ないしはガラス
転移温度が120℃〜280℃であるものを用いるいこ
とが好ましい。
【0015】偽造防止用フィルムには、さらに必要によ
り、安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤、蛍光増白剤、着
色剤等を配合しても良い。安定剤としては、例えば立体
障害フェノール系やリン系、アミン系等の安定剤を0.
001〜1重量%配合することができる。光安定剤とし
ては、例えば立体障害アミンやベンゾトリアゾール系、
ベンゾフェノン系などの光安定剤を0.001〜1重量
%配合することができる。無機微細粉末の分散剤として
は、例えばシランカップリング剤、オレイン酸やステア
リン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポ
リメタクリル酸ないしはそれらの塩等を0.01〜4重
量%配合することができる。蛍光増白剤としては、例え
ばイミダゾール型、イミダゾロン型、トリアゾール型、
チアゾール型、オキサゾール型、オキサジアゾール型、
クマリン型、カルボスチリル型、チアジアゾール型、ナ
フタルイミド型、ピラゾロン型等、具体的には2.5−
ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオ
フェン、ジシクロヘキシルフタレート、4−メトキシナ
フタル酸−N−メチルイミド、ジアミノスチルベンジル
スルホン酸誘導体、ジアミノスチルベン誘導体等を0.
001〜1重量%配合することができる。着色剤として
は、各種顔料で着色されたカラーペレットを適宜配合す
ることができる。
【0016】偽造防止用フィルムの肉厚は、30〜15
00μmであることが好ましく、40〜1000μmで
あることがより好ましい。30μm未満では引き裂き強
度が低く所期の性能を発揮しない傾向がある。また、腰
も弱いものとなり、枚葉印刷の給紙不良などが発生する
傾向がある。一方、1500μmを超えてしまうと後述
の延伸が困難になって実用的でなくなる傾向がある。
【0017】[樹脂フィルムの成形]熱可塑性樹脂フィ
ルムを形成する際の成型方法は特に限定されず、公知の
種々の方法が使用できる。具体的には、スクリュー型押
出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使
用して溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、円
形ダイを使用し溶融樹脂をチューブ状に押し出し内部の
空気圧力で膨張させるインフレ−ション成形、混練され
た材料を複数の熱ロールで圧延しシート状に加工するカ
レンダー成形、圧延成形などを挙げることができる。
【0018】[積層]本発明の偽造防止用フィルムは、
2層以上の多層構造を有していても良い。多層構造にす
ることによって、単層構造のものよりも偽造することが
難しいフィルムにすることができる。さらに多層化によ
り筆記性、印刷性、熱転写適性、耐擦過性、2次加工適
性等の様々な機能を付加することが可能になる。かかる
積層には公知の種々の方法を使用することができる。具
体的には、フィードブロック、マルチマニホールドを使
用した多層ダイス方式や、複数のダイスを使用する押出
しラミネーション方式等を挙げることができる。また、
多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用
することも可能である。
【0019】[延伸]延伸の具体的な方法としては、ロ
ール郡の周速差を利用したロール間延伸、ロールの圧力
によるロール圧延、テンタークリップよる延伸を挙げる
ことができる。中でもロール間延伸によれば、延伸倍率
を任意に調節することができ、形成される空孔の大きさ
や個数をコントロールすることができるために好まし
い。また、テンタークリップ延伸による幅方向の延伸を
用いれば、ダイスの加工精度や特性による幅方向の厚み
ムラを延伸によって緩和することが可能になる。特に全
層を1軸延伸すれば、フィルムの流れ方向に樹脂の延伸
配向がなされるため、延伸方向の引っ張り強度が高い偽
造防止用フィルムを得ることが可能である。また、無延
伸フィルムや2軸以上の延伸フィルムに比べて、延伸方
向とは直角方向の引き裂き強度が高くなるため、より優
れた性能を有する偽造防止用フィルムを得ることが可能
になる。好ましい1軸延伸手法としては、ロール間延伸
およびテンタークリップ延伸を挙げることができる。
【0020】延伸倍率は特に限定されず、本発明の多層
樹脂延伸フィルムの使用目的と用いる熱可塑性樹脂の特
性等を考慮して適宜決定する。例えば表面層(A)の熱
可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしはその共
重合体を使用するときには、一方向に延伸する場合は約
1.2〜12倍に延伸することが好ましく、2〜7倍に
延伸することがより好ましい。さらに、必要に応じて高
温での熱処理を施すことができる。ロール間延伸を使用
する場合は、各ロール表面に処理を施すことが望まし
く、かかる表面処理としてはクロムメッキ処理、テフロ
ン(登録商標)樹脂コート処理、セラミック溶射処理な
どがある。
【0021】本発明では、熱可塑性樹脂中に無機微細粉
末および/または有機フィラーを含有させることが望ま
しく、この様な熱可塑性樹脂を用いることにより、延伸
により微細な空孔を有する多孔性構造にすることが可能
になる。本発明の偽造防止用フィルムの空孔率は1〜6
0%であることが好ましく、3〜50%であることがよ
り好ましい。なお、本明細書における「空孔率」は、電
子顕微鏡観測した領域における空孔の面積率を画像解析
装置(ニレコ(株)製、製品名:形式ルーゼックスII
D)を用いて求めたものである。微細な空孔を有するフ
ィルムは空孔の光散乱により不透明度が高くなるため、
本発明により施された偽造防止処理の認識性を高める効
果がある。
【0022】[偽造防止処理]本発明の偽造防止用フィ
ルムに施す偽造防止処理にはさまざまな手法があり、そ
の種類や詳細は特に限定されないが、下記(手法1)〜
(手法8)の手法を用いることが好ましい。偽造防止処
理は、(手法1)〜(手法8)を始めとする手法の中か
ら1種類を選択して実施しても良いし、2種類以上の偽
造防止処理を組み合わせて実施しても良い。
【0023】なお、偽造防止処理は延伸を行う前に実施
されていることが必要である。偽造防止処理を延伸前に
実施することによって、フィルム内部に偽造防止処理を
施すことが可能となり、延伸後のフィルム表面に偽造を
行うことが困難になるという有利な効果が得られる。
【0024】(手法1)押出し成形による偽造防止処理
1 この偽造防止処理は、主体層(m)の上に溶融粘度が異
なる2種類の熱可塑性樹脂を含有する表面層(a)を押
出成形するものである。この手法によって、主体層
(m)と表面層(a)からなる偽造防止処理済みのフィ
ルムを得ることができる。
【0025】主体層(m)は前述の熱可塑性樹脂からな
り、無機および/または有機フィラーを含有していても
良い層である。主体層(m)は、単層構造を有していて
も、2層以上の複層構造を有していても良い。主体層
(m)の厚みは特に限定されないが、25〜500μm
であることが好ましく、30〜400μmであることが
より好ましく、40〜300μmであることがさらに好
ましい。
【0026】表面層(a)も前述の熱可塑性樹脂からな
り、無機微細粉末および/または有機フィラーを含有し
ていても良い層である。表面層(a)は少なくとも2種
類の溶融粘度の異なる熱可塑性樹脂を含有する。本明細
書でいう「溶融粘度」は、JIS−K−7199に準拠
し、230℃、せん断速度243sec-1で東洋精機
(株)製キャピログラフ1C(シリンダー径9.55m
m、L/D=10)を用いて測定した値である。このと
き、表面層(a)に含まれる2種類の熱可塑性樹脂の溶
融粘度の差は、50Pa・sより大きいことが好まし
く、70Pa・s以上であることがより好ましく、80
Pa・s以上であることが特に好ましい。溶融粘度の差
を50Pa・sより大きくすれば、押し出しフィルム成
形時に生じる流れ方向の筋状模様を十分に形成すること
ができ、該筋状模様を偽造防止に有効に利用することが
できる。
【0027】溶融粘度の異なる熱可塑性樹脂の組み合わ
せは特に制限されず、前述の熱可塑性樹脂の中から2種
類を適宜選択して使用することができる。具体的には、
プロピレン単独重合体とエチレン系樹脂との組み合わ
せ、プロピレン単独重合体とスチレングラフトポリオレ
フィン樹脂との組み合わせを採用することが好ましい。
2種類の樹脂の配合比率は1:5〜5:1であることが
好ましく、1:4〜4:1であることがより好ましく、
1:3〜3:1であることがさらに好ましい。溶融粘度
が高い方の熱可塑性樹脂は、溶融粘度が360〜120
0Pa・sであることが好ましく、400〜1000P
a・sであることがより好ましい。また、溶融粘度が低
い方の熱可塑性樹脂は、溶融粘度が80〜260Pa・
sであることが好ましく、100〜240Pa・sであ
ることがより好ましい。
【0028】表面層(a)の厚みも特に限定されない
が、好ましくは主体層(m)の1/2以下、より好まし
くは1/3以下である。表面層(a)は主体層(m)の
片側だけに設けても良いし、両側に設けても良い。主体
層(m)と表面層(a)の積層方法は特に限定されず、
前述の公知の手法により積層できるが、本手法の流れ方
向の筋状模様は、せん断速度が高い程鮮明になるため、
せん断速度を高くし易い共押出成形により積層すること
が望ましい。
【0029】(手法2)押出し成形による偽造防止処理
2 この偽造防止処理は、互いに溶融粘度が異なる主体層
(m)と表面層(a)を共押出成形するものである。こ
の手法によって、主体層(m)と表面層(a)からなる
偽造防止処理済みのフィルムを得ることができる。本手
法の主体層(m)は(手法1)に記載した熱可塑性樹脂
からなる層であり、無機微細粉末および/または有機フ
ィラーを含有していても良い。また、表面層(a)も熱
可塑性樹脂からなり、無機微細粉末および/または有機
フィラーを含有していても良い。
【0030】表面層(a)と主体層(m)の溶融粘度の
差は、50Pa・s以上であることが好ましく、60P
a・s以上であることがより好ましく、70Pa・s以
上であることが特に好ましい。このように、溶融粘度が
異なる主体層(m)と表面層(a)を共押出成型するこ
とにより、雲状模様を形成することが可能となる。表面
層(a)の溶融粘度は主体層(m)の溶融粘度より高く
ても低くても良いが、表面層(a)の厚みを薄くし本手
法による雲状模様を際だたせるためには低い方が好まし
い。本手法においても表面層(a)の厚みは特に限定さ
れないが、好ましくは主体層(m)の1/2以下、より
好ましくは1/3以下である。さらには前述の様に、表
面層(a)が薄い方が本手法の偽造防止処理をより際だ
たせることが可能である。表面層(a)は主体層(m)
の片側だけに設けても良いし、両側に設けても良い。
【0031】(手法3)押出し成形による偽造防止処理
3 この偽造防止処理は、主体層(m)、中間層(b)、表
面層(a)の少なくとも3層からなる偽造防止用フィル
ムを形成するに際して、中間層(b)の溶融粘度を低く
し、この3層を共押出成形することにより中間層(b)
に微妙な厚みムラからなる模様を形成するものである。
本手法の主体層(m)は(手法1)に記載した熱可塑性
樹脂からなる層であり、無機微細粉末および/または有
機フィラーを含有していても良い。中間層(b)および
表面層(a)は熱可塑性樹脂からなり無機微細粉末およ
び/または有機フィラーを含有していても良い。
【0032】本手法では、各層の溶融粘度が(m)>
(b)、(a)>(b)の関係にあり、(b)層と
(a)層の溶融粘度の差は10Pa・s以上であること
が好ましく、15Pa・s以上であることがより好まし
く、20Pa・s以上あることがさらに好ましい。ま
た、(m)/(b)/(a)の順に共押出成形にて積層
されていることが必要である。本手法の中間層(b)お
よび表面層(a)の厚みは特に限定されないが、中間層
(b)と表面層(a)の合計が主体層(m)の1/2以
下であることが好ましく、1/3以下であることがより
好ましい。本手法の中間層(b)および表面層(a)は
主体層(m)の片側だけに設けても良いし、両側に設け
ても良い。
【0033】(手法4)押出し成形による偽造防止処理
4 この偽造防止処理は、無機微細粉末および/または有機
フィラーを含有する厚みの薄い表面層(a)を主体層
(m)上に形成して延伸成形することにより、無機微細
粉末および/または有機フィラーによる微細な空孔のム
ラによる白化縞を表面層(a)に形成するものである。
表面層(a)の無機微細粉末および/または有機フィラ
ーの含有率は、好ましくは3〜70重量%、より好まし
くは5〜65重量%である。無機微細粉末および/また
は有機フィラーの含有率が3重量%未満では、延伸成形
時に表面層(a)に形成される微細な空孔の数が充分で
無く鮮明な白化縞を得られない傾向がある。一方、70
重量%を超えると表面層(a)の強度が低下してしまい
本発明の所期の性能を得られない傾向がある。表面層
(a)の厚みは含有する無機微細粉末および/または有
機フィラーの平均粒子径の好ましくは5倍以下、より好
ましくは4倍以下である。厚みが5倍を超えてしまうと
表面層(a)に形成される微細な空孔が重なり合い白化
縞の鮮明性が低下する傾向がある。
【0034】主体層(m)は(手法1)に記載した熱可
塑性樹脂からなる層であり、無機微細粉末および/また
は有機フィラーを含有する層であっても良い。主体層
(m)に無機微細粉末および/または有機フィラーを含
有する場合は、表面層(a)の無機微細粉末および/ま
たは有機フィラーの含有率が主体層(m)の含有率に対
して2倍以上であることが好ましく、2.5倍以上であ
ることがより好ましく、3倍以上であることが特に好ま
しい。表面層(a)と主体層(m)の無機微細粉末およ
び/または有機フィラーの含有率の比が2倍以下の場合
は、表面層(a)に形成した微細な空孔のムラによる白
化縞が、主体層(m)の微細な空孔により相殺され白化
縞の鮮明性が損なわれる傾向がある。さらに、表面層
(a)の無機微細粉末および/または有機フィラーの平
均粒子径を主体層(m)の無機微細粉末および/または
有機フィラーの平均粒子径よりも大きくすることにより
白化縞の視認性を高めることが可能である。
【0035】(手法5)エンボス加工による偽造防止処
理 この偽造防止処理は、フィルムにエンボスを施して、エ
ンボス凸部が接触した部分を延伸により白化させること
によりフィルムに濃淡のコントラストを作るものであ
る。エンボス加工の方法としては、例えば、平版プレス
機、ロールエンボス機等の公知の各種プレスやエンボス
機を用い、熱、圧力によりエンボス版の凹凸形状を賦形
する方法を挙げることができる。上記ロールエンボス法
は、円筒状のエンボス版の凹凸形状を対象材料に熱圧で
賦形する方法である。具体的には、例えば、熱可塑性樹
脂を押出機に接続された単層または多層のTダイやIダ
イを使用して溶融状態でフィルム状に押し出し、次いで
冷却ロールにて冷却してフィルム成形する際に、フィル
ム表面にエンボスロールを押圧して賦形した後、冷却し
て形状を固定する方法を例示することができる。また、
主体層(m)の冷却後でも、加熱ロールで押印して賦刑
可能である。この際、エンボスロールの凸部が接触した
フィルム部分は延伸時に白化して偽造防止用フィルムに
濃淡のコントラストを作ることができ、さらに触感で判
別可能な独特の風合いを付加することも可能となる。
【0036】また、エンボス加工面にさらに熱可塑性樹
脂を積層すれば、エンボス版により形成した凹凸形状を
偽造防止用フィルムの内部に保護することができるた
め、偽造防止性をより高めることが可能である。かかる
積層は延伸前に行っても良いし、延伸後に行っても良い
が、偽造防止効果をより高めるためにも延伸前に積層し
ておくことが望ましい。
【0037】(手法6)印刷による偽造防止処理 この偽造防止処理は、フィルム上に印刷を行っておくも
のである。偽造防止処理のために行う印刷としては、公
知の手法を用いることが可能である。例えば凸版印刷、
ロータリーレタープレス、グラビア印刷、フレキソ印
刷、オフセット印刷などを用いれば、印刷速度が速く生
産性に優れた印刷が可能である。一方、溶融熱転写方
式、電子写真方式、インクジェット方式などを利用した
デジタル印刷方式を用いれば、延伸後の印刷絵柄の微調
整を容易に行うことが可能である。特に、溶融熱転写方
式に用いられているワックス、レジンタイプインキによ
る印刷を行う場合、まずインキ密着の弱いフィルムに画
像を転写し、このフィルムの印字面の裏面から加熱ロー
ルなどを利用して未延伸フィルムに熱圧着することによ
り画像転写を行うことが可能である。したがって、この
方法によれば成形ラインに印刷装置を設置しなくても良
い。
【0038】これらの印刷画像は、その後の工程で行う
延伸の倍率を考慮し、1/(延伸倍率)倍に縮小された
画像であることが好ましい。印刷面にはさらに熱可塑性
樹脂を積層することも可能である。かかる積層は延伸前
に行っても良いし、延伸後に行っても良いが、延伸前に
積層しておけば摩擦による印刷絵柄の劣化を防ぎ、偽造
防止効果をより高めることができるため好ましい。
【0039】(手法7)温度分布による偽造防止処理 この偽造防止処理は、熱可塑性樹脂に温度分布を持たせ
て延伸することにより部分的な空孔率変化を生じさせ
て、光線透過率が部分的に異なるフィルムを形成するも
のである。かかる温度分布を得る手法としては、凸版ロ
ール、凹版ロールによる延伸前シートの局部加熱や局部
冷却、延伸直前に直接水滴にて冷却する手法、予熱ロー
ル、ニップロールに部分冷却用の通水パターンを持たせ
る方法などを挙げることができる。
【0040】(手法8)結晶化度分布による偽造防止処
理 この偽造防止処理は、溶融した熱可塑性樹脂の冷却課程
で温度分布を持たせることにより、熱可塑性樹脂の結晶
化度に分布を持たせ、その状態で延伸することにより部
分的な空孔率変化を生じさせて、光線透過率が部分的に
異なるフィルムを形成するものである。かかる結晶化度
分布を発生する方法としては、例えば、キャストロール
(溶融樹脂を冷却するロール)にあらかじめ部分冷却用
の通水パターンを持たせる方法、キャストロールに部分
冷却パターンを持った冷却ロールを押し当てる方法、キ
ャストロールとタッチロールの組み合わせでタッチロー
ルを部分冷却する方法、キャストロール上の熱可塑性樹
脂を直接水滴にて冷却する手法などを挙げることができ
る。
【0041】[偽造防止用フィルムの性質]本発明の偽
造防止用フィルムは、少なくとも一方方向の引き裂き強
度が500mN以上である。また、本発明の偽造防止用
フィルムのガーレー剛度、引っ張り破断強度、不透明度
は以下の好ましい範囲内にあることが望ましい。
【0042】(引き裂き強度)本明細書における「引き
裂き強度」は、JIS−P−8116(エルメンドルフ
引き裂き強度)に準拠して測定した結果を、偽造防止用
フィルム1枚当たりに要した応力をもって表示した値で
ある。本発明の偽造防止用フィルムは少なくとも一方方
向の引き裂き強度が500mN以上であり、好ましくは
600mN以上、より好ましくは700mNである。引
き裂き強度が500mN未満では、偽造防止用フィルム
を折り曲げて使用した場合に、折り目から引き裂けてし
まうことがあり本発明の所期の性能を発揮しない。
【0043】(ガーレ−剛度)本明細書における「ガー
レ−剛度」は、Japan TAPPI紙パルプ試験方
法No.40に準拠し測定した縦方向の値と横方向の値
の平均値である。本発明の偽造防止用フィルムのガーレ
ー剛度の縦方向と横方向の平均値は好ましくは100m
N以上、より好ましくは200mN以上でありガーレー
剛度が100mN以下では判別機や自動計数機などの機
械の内部で詰まってしまい実用上問題となる場合があ
る。ガーレー剛度は、用いる熱可塑性樹脂の配合、延伸
温度、延伸倍率、フィルム厚みなどを調整することによ
り、好ましい範囲内に調整することができる。
【0044】(引っ張り破断強度)本明細書における
「引っ張り破断強度」は、JIS−P−8113に準拠
し測定した結果を、幅1cm当たりの荷重で表示した値
である。本発明の偽造防止用フィルムは一方方向の引き
裂き強度が強く、それとは直角方向の引っ張り破断強度
が強いことが好ましい。該引っ張り強度は50N/cm
以上であることが好ましく、60N/cm以上であるこ
とがより好ましく、70N/cm以上であることがさら
に好ましい。70N/cm未満では判別機や自動計数機
などの食い込み口や機械内部の搬送系で破断、変形して
しまい実用上問題となる場合がある。引っ張り破断強度
は、用いる熱可塑性樹脂の配合、延伸温度、延伸倍率、
フィルム厚みなどを調整することにより、好ましい範囲
内に調整することができる。
【0045】(不透明度)本明細書における「不透明
度」は、JIS−P−8138に準拠し、測定背面に、
黒色および白色標準板を当て、光の反射率の比(黒色板
/白色板)を測定して百分率で表示した値である。本発
明の偽造防止用フィルムの不透明度は、好ましくは5〜
100%であり、より好ましく10〜100%、さらに
好ましくは20〜100%である。不透明度が5%未満
では偽造防止処理の認識性に劣り本発明の所期の性能を
発揮し難い傾向がある。本発明の偽造防止用フィルムは
熱可塑性樹脂に無機微細粉末および/または有機フィラ
ーを配合し延伸することにより微細な空孔を生じさせ、
この微細な空孔による光拡散により不透明度を高くする
ことを利用したものである。従って、本発明の偽造防止
用フィルムの不透明度は、熱可塑性樹脂の配合、延伸温
度、延伸倍率などを調整することにより好ましい範囲内
にすることができる。
【0046】[偽造防止用フィルムの適用]本発明の偽
造防止用フィルムは、偽造防止処理が施されているため
に、複写機などで複写すると偽造防止処理が消失してし
まうか、忠実に再現されずに複写物であることが簡単に
わかるという利点がある。なお、本発明の偽造防止用フ
ィルムの偽造防止効果を確実に発揮させるために、記録
層などへの印刷が施されていない部分(すかし部分)を
意図的に設けておくことが好ましい。
【0047】本発明の偽造防止用フィルムは、偽造防止
が必要とされるものに幅広く適用することができる。例
えば、銀行券、手形、小切手、トラベラーズチェック、
宝くじ、商品券、株券、その他の有価証券、各種カード
類、入場券、切符、身分証明書、運転免許証、住民票、
戸籍謄本、印鑑証明書、パスポート、ビザ、預金証書、
質権設定書などに適用することができる。特に、本発明
の偽造防止用フィルムを用いて紙幣を製造した場合は、
外観は従来の単なる紙幣に見えて、違和感を与えない。
また、耐水性、耐久性にも優れており、多様な用途に供
することが可能である。
【0048】本発明の偽造防止用フィルムは、引き裂き
強度が高いことから、折り曲げて保管、運搬されること
があるものや、判別機や自動計数機などの機械にかけら
れることが多いものに対して特に有効に適用することが
できる。本発明の偽造防止用フィルムの性能や具体的製
法については、偽造防止用フィルムの使用目的、使用態
様、保管状態などを勘案して適宜調節し決定することが
できる。
【0049】
【実施例】以下に実施例、比較例、試験例を挙げて本発
明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示
す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発
明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。
したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限
定的に解釈されるべきものではない。実施例および比較
例で使用する熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物を
まとめて表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】<実施例1>熱可塑性樹脂組成物Dを主体
層(m)として230℃に設定された押出機に供給し、
熱可塑性樹脂組成物Bを表面層(a)として230℃に
設定された2台の押出機に供給し溶融混練して、230
℃に設定したフィードブロックにて3層構造(B/D/
B)に積層してシート状に押出し、これを冷却装置にて
冷却して手法1による偽造防止処理の施された無延伸シ
ートを得た。次いでこの3層構造の無延伸シートを15
0℃に設定された周速差の異なるロール群よりなる縦延
伸機にて縦方向に5倍延伸し、次いで150℃の温度で
アニーリング処理を施し50℃の温度にまで冷却し耳部
をスリットして120μm(B/D/B=10μm/1
00μm/10μm)の手法1を用いた偽造防止用フィ
ルムを得た。
【0052】<実施例2>熱可塑性樹脂組成物Cを主体
層(m)として230℃に設定された押出機に供給し、
熱可塑性樹脂組成物Eを表面層(a)として230℃に
設定された押出機に供給し溶融混練して、230℃に設
定したフィードブロックにて2層構造に積層してシート
状に押出し、これを冷却装置にて冷却して手法2による
偽造防止処理の施された無延伸シートを得た。次いでこ
の3層構造の無延伸シートを145℃に設定された周速
差の異なるロール群よりなる縦延伸機にて縦方向に4倍
延伸し、次いで150℃の温度でアニーリング処理を施
し50℃の温度にまで冷却し耳部をスリットして100
μm(C/E=97μm/3μm)の手法2を用いた偽
造防止用フィルムを得た。
【0053】<実施例3>熱可塑性樹脂組成物Dを主体
層(m)として230℃に設定された押出機に供給し、
熱可塑性樹脂組成物Fを表面層(a)として230℃に
設定された押出機に供給し、熱可塑性樹脂Aを中間層
(b)として200℃に設定された押出機に供給し溶融
混練して、230℃に設定したフィードブロックにて3
層構造(D/A/F)に積層してシート状に押出し、こ
れを冷却装置にて冷却して手法3による偽造防止処理の
施された無延伸シートを得た。次いでこの3層構造の無
延伸シートを150℃に設定された周速差の異なるロー
ル群よりなる縦延伸機にて縦方向に5倍延伸し、次いで
150℃の温度でアニーリング処理を施し50℃の温度
にまで冷却し耳部をスリットして300μm(D/A/
F=293μm/2μm/5μm)の手法3を用いた偽
造防止用フィルムを得た。
【0054】<実施例4>熱可塑性樹脂組成物Cを主体
層(m)として230℃に設定された押出機に供給し、
熱可塑性樹脂組成物Gを表面層(a)として230℃に
設定された2台の押出機に供給し溶融混練して、230
℃に設定したフィードブロックにて3層構造(G/C/
G)に積層してシート状に押出し、これを冷却装置にて
冷却して手法4による偽造防止処理の施された無延伸シ
ートを得た。次いでこの3層構造の無延伸シートを15
5℃に設定された周速差の異なるロール群よりなる縦延
伸機にて縦方向に5倍延伸し、次いで150℃の温度で
アニーリング処理を施し50℃の温度にまで冷却し耳部
をスリットして80μm(G/C/G=5μm/70μ
m/5μm)の手法4を用いた偽造防止用フィルムを得
た。
【0055】<実施例5>熱可塑性樹脂組成物Dを23
0℃に設定された押出機にて混練してダイよりシート状
に押出し、鏡面状キャストロールに押し出し、裏面を冷
却装置にて冷却しながら、100℃に加熱された深さ
0.5mmのエンボスロールにてヘリンボーン柄のエン
ボス加工を行って手法5による偽造防止処理の施された
無延伸シートを得た。次いで熱可塑性樹脂組成物Cを2
30℃に設定された押出機にて混練してダイよりシート
状に押出し、無延伸シートのエンボス加工面に押出して
2層の無延伸シートにした後、145℃に設定された周
速差の異なるロール群よりなる縦延伸機にて縦方向に6
倍延伸し、次いで150℃の温度でアニーリング処理を
施し50℃の温度にまで冷却し耳部をスリットして15
0μm(D/C=130μm/20μm)の手法5を用
いた偽造防止用フィルムを得た。
【0056】<実施例6>熱可塑性樹脂組成物Dを23
0℃に設定された押出機にて混練してダイよりシート状
に押出し、冷却装置にて冷却してロール状に巻き取り、
このロール状シートの片面にカラープリンター(TEC
社製、製品名:オンサイトカラープリンタCB−418
−T1)にて、延伸方向に対して1/5倍に縮小された
画像を印刷して手法6による偽造防止処理の施された無
延伸シートを得た。次いで熱可塑性樹脂組成物Cと熱可
塑性樹脂組成物Fを230℃に設定された2台の押出機
にてそれぞれ供給してダイよりシート状に押出して、ま
ず上記の無延伸シートの印刷面に熱可塑性樹脂組成物C
を積層し、さらに反対面に熱可塑性樹脂組成物Fを積層
し3層の無延伸シートにした後、155℃に設定された
周速差の異なるロール群よりなる縦延伸機にて縦方向に
5倍延伸し、次いで150℃の温度でアニーリング処理
を施し50℃の温度にまで冷却し耳部をスリットして1
30μm(C/D/F=30μm/50μm/50μ
m)の手法6を用いた偽造防止用フィルムを得た。
【0057】<実施例7>熱可塑性樹脂組成物Dを23
0℃に設定された押出機に供給し、熱可塑性樹脂組成物
Fを230℃に設定された2台の押出機に供給し溶融混
練して、230℃に設定したフィードブロックにて3層
構造(F/D/F)に積層してシート状に押出し、冷却
装置にて冷却して無延伸シートを得た。次いで155℃
に設定された周速差の異なるロール群よりなる縦延伸機
にて縦方向に延伸する直前で、噴霧機を用いて水を吹き
つけて手法7の偽造防止処理を施した後に5倍延伸し、
次いで150℃の温度でアニーリング処理を施し50℃
の温度にまで冷却し耳部をスリットして200μm(F
/D/F=10μm/180μm/10μm)の手法7
を用いた偽造防止用フィルムを得た。
【0058】<実施例8>熱可塑性樹脂組成物Dを23
0℃に設定された押出機に供給し、熱可塑性樹脂組成物
Fを230℃に設定された2台の押出機に供給し溶融混
練して、230℃に設定したフィードブロックにて3層
構造(F/D/F)に積層してシート状に押出し、鏡面
状キャストロールに押し出し、裏面を冷却装置にて冷却
しながら、噴霧機を用いて水を吹きつけて手法8による
偽造防止処理の施された無延伸シートを得た。次いで1
55℃に設定された周速差の異なるロール群よりなる縦
延伸機にて縦方向に5倍延伸し、次いで150℃の温度
でアニーリング処理を施し50℃の温度にまで冷却し耳
部をスリットして100μm(F/D/F=10μm/
80μm/10μm)の手法8を用いた偽造防止用フィ
ルムを得た。 <実施例9>熱可塑性樹脂Dを230℃に設定された押
出機にて混練してダイよりシート状に押出し、鏡面状キ
ャストロールに押し出し、裏面を冷却装置にて冷却しな
がら、100℃に加熱された深さ0.5mmのエンボス
ロールにてヘリンボーン柄のエンボス加工を行って手法
5による偽造防止処理の施された無延伸シートを得た。
次いで、熱可塑性樹脂Cを230℃に設定された押出機
にて混練してダイよりシート状に押出し、無延伸シート
のエンボス加工面に押出して2層の無延伸シートにした
後、テンターオーブンを用いて150℃に加熱した後、
横方向に8倍延伸した。次いで155℃の温度でアニー
リング処理を施し50℃の温度にまで冷却し耳部をスリ
ットして110μm(D/C=80μm/30μm)の
手法5を用いた偽造用フィルムを得た。
【0059】<比較例1>熱可塑性樹脂組成物Dを23
0℃に設定された押出機に供給し、熱可塑性樹脂組成物
Bを230℃に設定された2台の押出機に供給し溶融混
練して、230℃に設定したフィードブロックにて3層
構造(B/D/B)に積層してシート状に押出し、冷却
装置にて冷却して無延伸シートを得た。次いで145℃
に設定された周速差の異なるロール群よりなる縦延伸機
にて縦方向に5倍延伸し、次いで150℃の温度でアニ
ーリング処理を施し50℃の温度にまで冷却し耳部をス
リットして50μm(B/D/B=5μm/40μm/
5μm)の偽造防止処理を施していないフィルムを得
た。
【0060】<比較例2>熱可塑性樹脂組成物Dを主体
層(m)として230℃に設定された押出機に供給し、
熱可塑性樹脂組成物Bを表面層(a)として230℃に
設定された2台の押出機に供給し溶融混練して、230
℃に設定したフィードブロックにて3層構造(B/D/
B)に積層してシート状に押出し、これを冷却装置にて
冷却して手法1による偽造防止処理の施された無延伸シ
ートを得た。次いでこの3層構造の無延伸シートを15
5℃に設定された周速差の異なるロール群よりなる縦延
伸機にて縦方向に4倍延伸し、さらにテンターオーブン
を用いて160℃に加熱した後、横方向に9倍延伸し
た。次いで165℃の温度でアニーリング処理を施し5
0℃の温度にまで冷却し耳部をスリットして80μm
(B/D/B=10μm/60μm/10μm)の手法
1を用いた偽造防止用フィルムを得た。
【0061】<試験例>上記実施例および比較例で得ら
れた各偽造防止用フィルムについて、引き裂き強度、ガ
ーレ−剛度、引っ張り破断強度、不透明度を測定した。
結果を表1に示す。また、各偽造防止用フィルムについ
て、引き裂き強度が強い方向を短手にし、それとは直角
方向を長手にし75mm×150mmの評価用サンプル
を作成した(比較例2のみTD方向が長手方向になり、
その他はMD方向が長手方向になる)。各サンプルにつ
いて、以下の評価を行った。
【0062】(複製防止性)作成した評価用サンプルを
コピー原紙としてカラー複写機(富士ゼロックス社製、
製品名:Docu Color 1250)を用いてカ
ラーコピーした。コピー被写体として、パルプ紙、ポリ
エチレンテレフタレート二軸延伸フィルムよりなるOH
Pフィルムを用い、偽造防止処理がコピーされるかどう
かを以下の基準で評価した。 ○:全くコピーされない。 △:若干痕跡がある。 ×:コピーされる。 また、上記偽造防止用フィルムをコピー被写体としてカ
ラーコピー機によりコピー原紙として複写を試みた。そ
の結果、転写ロールの熱により、上記偽造防止用フィル
ムの通紙は困難(通紙不可)であり、カラーコピーは不
可能であることが確認された。
【0063】(引き裂き性)評価用サンプル10枚を長
手中央で2つ折りにして、折り目の上に5kgの荷重を
数回転がした後、折り目付近を両手で持って強く引き裂
き以下の基準で評価した。 ○:引き裂けや変形を生じたものがない。 △:引き裂けたものはないが、変形したものがある。 ×:引き裂けたものがある。
【0064】(機械給紙性)評価用サンプル10枚を紙
幣識別機(八州電研(株)製、製品名:M3000)に
通過させ、以下の基準で評価した。 ○:問題無く給紙可能。 △:時々給紙不良を発生する。 ×:給紙できない。
【0065】(機械摩耗性)評価用サンプルを紙幣識別
機(八州電研(株)製、製品名:M3000)に繰り返
し20回給紙し、食い込み途中のサンプルを手で給紙さ
れないように後ろから引っ張り、以下の基準で評価し
た。 ○:特に問題は発生しない。 △:変形する。 ×:破断する。
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】本発明の偽造防止用フィルムを複写する
と、偽造防止処理の明度が変化するために、複写物と真
正物を容易に区別することが可能である。また、本発明
の偽造防止用フィルムは、皺になりにくく、折目からの
引き裂きに強く、且つ、機械摩耗性に優れているため
に、銀行券、手形、小切手、トラベラーズチェック、有
価証券、カード類等に好適に利用することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C005 HA04 HB02 HB03 HB10 JB40 KA41 LA03 4F100 AA08C AK01B AK01C AK01D AK05B AK05C AK05D AK07B AK07C AK07D BA04 BA07 BA10A DE01B DE01D EH20 EJ37 EJ39 GB90 HB31A JA06B JA06C JA06D JK01 JK02 JK03 JK09 JK20 JL00 JN02 YY00 YY00B YY00C YY00D

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 偽造防止処理を実施後に延伸された熱可
    塑性樹脂からなり、かつ、少なくとも1方向の引き裂き
    強度が500mN以上であることを特徴とする偽造防止
    用フィルム。
  2. 【請求項2】 ガーレー剛度が100mN以上であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の偽造防止用フィルム。
  3. 【請求項3】 1方向の引き裂き強度が500mN以上
    であり、それとは直角方向の引っ張り破断強度が50N
    /cm幅以上であることを特徴とする請求項1または2
    に記載の偽造防止用フィルム。
  4. 【請求項4】 2層以上の多層構造体を延伸したもので
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    偽造防止用フィルム。
  5. 【請求項5】 延伸が一軸延伸であることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の偽造防止用フィルム。
  6. 【請求項6】 偽造防止用フィルムが主体層(m)と表
    面層(a)からなり、表面層(a)が溶融粘度の異なる
    2種類の熱可塑性樹脂を含有していることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載の偽造防止用フィルム。
  7. 【請求項7】 表面層(a)に含まれる2種類の溶融粘
    度の異なる熱可塑性樹脂の溶融粘度の差が50Pa・s
    より大きいことを特徴とする請求項6に記載の偽造防止
    用フィルム。
  8. 【請求項8】 偽造防止用フィルムが主体層(m)と表
    面層(a)からなり、主体層(m)と表面層(a)の溶
    融粘度の差が少なくとも50Pa・sであることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載の偽造防止用フィ
    ルム。
  9. 【請求項9】 偽造防止用フィルムが主体層(m)、中
    間層(b)、表面層(a)の順に積層された構造を有し
    ており、各層の溶融粘度が(m)>(b)、(a)>
    (b)の関係を満たし、(b)層と(a)層の溶融粘度
    の差が少なくとも10Pa・sであることを特徴とする
    請求項1〜8のいずれかに記載の偽造防止用フィルム。
  10. 【請求項10】 偽造防止用フィルムが主体層(m)と
    表面層(a)の少なくとも2層からなり、表面層(a)
    が無機微細粉末および/または有機フィラーを含有し、
    表面層(a)の厚みが無機微細粉末および/または有機
    フィラーの平均粒子径の5倍以下であることを特徴とす
    る請求項1〜9のいずれかに記載の偽造防止用フィル
    ム。
  11. 【請求項11】 表面層(a)の無機微細粉末および/
    または有機フィラーの含有率が、主体層(m)の無機微
    細粉末および/または有機フィラーの含有率に対して2
    倍以上であることを特徴とする請求項10に記載の偽造
    防止用フィルム。
  12. 【請求項12】 偽造防止処理がエンボス加工により施
    されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか
    に記載の偽造防止用フィルム。
  13. 【請求項13】 偽造防止処理が印刷により施されてい
    ることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の
    偽造防止用フィルム。
  14. 【請求項14】 偽造防止処理が延伸前の原反シートに
    温度分布を持たせることにより施されていることを特徴
    とする請求項1〜13のいずれかに記載の偽造防止用フ
    ィルム。
  15. 【請求項15】 偽造防止処理が延伸前の原反シートに
    結晶化度分布を持たせることにより施されていることを
    特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の偽造防止
    用フィルム。
  16. 【請求項16】 不透明度が5〜100%であることを
    特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の偽造防止
    用フィルム。
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