JP4067352B2 - 偽造防止用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偽造防止および改ざん防止が要求される銀行券、手形、小切手、トラベラーズチェック、有価証券、カード類などに用いることができる高い偽造防止効果を有する偽造防止用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
現代社会には、銀行券、小切手、有価証券、カード類といった偽造や複製が禁じられている書面やカードが多数出回っている。これらの偽造や複製は、単に法律により禁止するだけではなく、技術的に不可能にすることが、社会秩序を維持するために必要とされている。しかしながら、近年では複写技術や複製技術が目覚ましい進歩を遂げていることから、偽造品や複写物が作製される危険性は年々高まりつつある。現に偽造犯罪は最近になって増えつつあり、その技術もより精巧になっている。
【0003】
従来使用されている各種カードとしては、図2に示されるように例えば白色の塩化ビニル樹脂やポリエステル樹脂からなるカード基材(21)上の少なくとも一方の表面に、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷或いはシルクスクリーン印刷等によって、カード発行会社ごとに共通する情報、例えば、会社名、商標等が印刷(25)され、その表面にこれらの共通情報を保護するための透明樹脂からなるラミネートフィルム(22)が積層され、さらにその表面に隠蔽すべき情報を印字した情報印字部(23)、情報印字部を隠蔽する情報隠蔽層(24)とを順次形成し、情報印字部に印字した文字情報を隠蔽した情報隠蔽カードが知られている。このカードは、情報隠蔽層を削ることで、情報印字部に印字した文字情報を認識することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の情報隠蔽カードは、情報隠蔽層を剥離することなく、情報隠蔽カードの裏面より光透過することにより、保護すべき文字情報を認識することが可能であるといった問題を有していた。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、容易に情報を読みとることができない偽造防止用フィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂フィルムが遮光層の両面に対称に貼着された構造であって、該遮光層に偽造防止処理を施すことにより所期の効果を示す偽造防止用フィルムを提供しうることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、全光線透過率5%未満の濃部と全光線透過率5〜12%の淡部からなる濃淡部分を有する遮光層の両面に、不透明度が10〜97%の熱可塑性樹脂フィルムを有する偽造防止用フィルムであって、前記濃淡部分が反射光では目視で視認できず、透過光により目視で視認することができる偽造防止用フィルムを提供する。
【0006】
本発明の偽造防止用フィルムは、遮光層に濃淡加工を施すことにより偽造防止をしている。偽造防止処理が印刷であることが好ましく、偽造防止処理の淡部が網点率5〜70%であることが好ましい。また最外層の熱可塑性樹脂フィルムの表面にピグメント塗工および/またはラミネート加工が施されていることが好ましい。
本発明は、本発明の偽造防止用フィルムを用いたカードをも含む。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の偽造防止用フィルムについて詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を意味する。
本発明の偽造防止用フィルムの具体的な態様として、例えば図1に示すような構造が好ましい例として挙げられる。この構造は、熱可塑性樹脂フィルム(11)が遮光層(12)の両面に対称に貼着された構造であって、該遮光層に偽造防止処理(13)が施されており、熱可塑性樹脂フィルム(11)に印刷(14)後、その表面にラミネート加工(15)が施され、さらにラミネート表面に秘密情報文字(16)、情報隠蔽層(17)、その他の情報(18)がなされている。
【0008】
次に、本発明の偽造防止用フィルムを構成する各層について順に説明し、さらにその製法や適用について説明する。
【0009】
熱可塑性樹脂フィルム(11)
本発明の偽造防止用フィルムを構成する熱可塑性樹脂フィルム(11)は、少なくとも熱可塑性樹脂を含む層である。
熱可塑性樹脂フィルム(11)に用いられる熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。さらにポリオレフィン系樹脂の中でも、コスト面、耐水性、耐薬品性の面からプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレンを用いることがより好ましい。
【0010】
かかるプロピレン系樹脂としては、アイソタクティックないしはシンジオタクティックおよび種々の程度の立体規則性を示すプロピレン単独重合体(ポリプロピレン)、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン,4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体を好ましく使用することができる。これらの共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
【0011】
熱可塑性樹脂フィルム(11)には、熱可塑性樹脂の他に、無機微細粉末および/または有機フィラーを配合することが好ましい。
無機微細粉末としては、平均粒径が通常0.01〜15μm、好ましくは0.01〜8μm、さらに好ましくは0.03〜4μmのものを使用することができる。具体的には、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナなどを使用することができる。
【0012】
有機フィラーとしては、分散後の平均粒径が通常0.01〜15μm、好ましくは0.01〜8μm、さらに好ましくは0.03〜4μmのものを使用することができる。有機フィラーとしては、主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6,ナイロン−6,6、環状オレフィンの単独重合体や環状オレフィンとエチレンとの共重合体等で融点が120℃〜300℃、ないしはガラス転移温度が120℃〜280℃であるものを用いるいことが好ましい。
【0013】
熱可塑性樹脂フィルム(11)には、さらに必要により、安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤、蛍光増白剤、着色剤等を配合してもよい。
安定剤としては、例えば立体障害フェノール系やリン系、アミン系等の安定剤を0.001〜1重量%配合することができる。光安定剤としては、例えば立体障害アミンやベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などの光安定剤を0.001〜1重量%配合することができる。無機微細粉末の分散剤としては、例えばシランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を0.01〜4重量%配合することができる。蛍光増白剤としては、例えばイミダゾール型、イミダゾロン型、トリアゾール型、チアゾール型、オキサゾール型、オキサジアゾール型、クマリン型、カルボスチリル型、チアジアゾール型、ナフタルイミド型、ピラゾロン型等、具体的には2.5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン、ジシクロヘキシルフタレート、4−メトキシナフタル酸−N−メチルイミド、ジアミノスチルベンジルスルホン酸誘導体、ジアミノスチルベン誘導体等を0.001〜1重量%配合することができる。着色剤としては、各種顔料で着色されたカラーペレットを5〜30重量%配合することができる。
【0014】
本発明の偽造防止用フィルムを構成する熱可塑性樹脂フィルム(11)は、単層構造を有していても、2層以上の複層構造を有していてもよい。また、熱可塑性樹脂フィルム(11)または熱可塑性樹脂フィルム(11)を構成する層の一部は、少なくとも一軸方向に延伸されていてもよい。
熱可塑性樹脂フィルム(11)の厚みは25〜300μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましく、40〜150μmであることが特に好ましい。
【0015】
本発明の偽造防止用フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム(11)が層(A1)、層(A2)、層(A3)の3層構造[A1/A2/A3]を有する場合、(A1+A3)の厚みは0.5μm以上であることが好ましい。特に、層(A1)がポリオレフィン系樹脂10〜99.5重量%、無機微細粉末および/または有機フィラー90〜0.5重量%を含有し、層(A2)と層(A3)がポリオレフィン系樹脂25〜100重量%、無機微細粉末および/または有機フィラー75〜0重量%を含有する偽造防止用フィルムが好ましい。さらに、層(A1)がポリオレフィン系樹脂30〜97重量%、無機微細粉末および/または有機フィラー70〜3重量%を含有し、層(A2)と層(A3)がポリオレフィン系樹脂30〜97重量%、無機微細粉末70〜3重量%を含有する偽造防止用フィルムがより好ましい。
【0016】
熱可塑性樹脂フィルム(11)に含まれる無機微細粉末および/または有機フィラーが75重量%を超えると、横延伸後の表面強度が低く、使用時の機械的衝撃等により表面が破壊しやすくなる傾向がある。
【0017】
本発明の偽造防止用フィルムを構成する熱可塑性樹脂フィルム(11)の層(A1)と層(A2)、および層(A3)の間には、それぞれ他の層を設けてもよい。
上記の無機微細粉末または有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
熱可塑性樹脂フィルム(11)は、少なくとも一方向に延伸されており、次式で算出されたボイド率が1〜60%であることが好ましく、2〜40%であることがより好ましく、10〜35%であることがさらに好ましい。1%未満では軽量化が図りにくく、60%を上回るとフィルムとしての強度に難点が生じやすくなる傾向がある。
【0019】
【式1】
式中、ρoは延伸フィルムの真密度を表し、ρは延伸フィルムの密度(JIS−P8118)を表すが、延伸前の材料が多量の空気を含有するものでない限り、真密度は延伸前の密度にほぼ等しい。
【0020】
また熱可塑性樹脂フィルム(11)は、その不透明度が10〜97%(JIS−P−8138に準拠)である。10%未満ではフィルム内部に形成されるボイドのボイド率が1%未満になり軽量化が図りにくくなる傾向がある。97%を超えては、偽造防止処理の濃淡加工による淡部が不明瞭になる傾向がある。
【0021】
ボイド含有熱可塑性樹脂延伸フィルムの密度は0.65〜1.10g/cm3であることが好ましい。半透明フィルムでは0.90〜1.10g/cm3、不透明フィルムでは0.65〜0.90g/cm3未満の範囲であることが好ましい。
【0022】
熱可塑性樹脂フィルム(11)は、単層であっても2層以上が積層されていてもよい。積層方法に関しては特に限定されず、公知の積層方法、例えば複数の押出機により溶融した樹脂をフィードブロックまたはマルチマニホールドにより一台のダイ内で積層してもよいし(共押し出し)、溶融押し出しラミネートにより積層してもよいし、接着剤を用いたドライラミネートにより積層してもよい。
【0023】
また延伸方法に関しても特に制限されず、公知の方法により例えば縦方向一軸延伸、縦方向一軸多段延伸、横方向一軸延伸、縦横逐次二軸延伸、縦横同時二軸延伸、またはこれらの組合せ等により、一軸あるいは二軸方向に延伸される。これらは通常熱可塑性樹脂の融点以下の温度にて延伸され、無機微細粉末または有機フィラーと熱可塑性樹脂の界面で剥離が起こり、これが延伸により伝播し拡大することで微細なボイドが形成される。これら延伸と積層はいずれの組合せで行ってもよい。
【0024】
これらの熱可塑性樹脂フィルム(11)としては、例えば無機微細粉末または有機フィラーを含有する特公昭46−40794号公報、同56−55433号公報、特開昭57−149363号公報、同57−181829号公報、特開平9−66564号公報、同11−198313号公報、米国特許第4,377,616号明細書等に記載のポリプロピレン系合成紙などが挙げられる。
【0025】
熱可塑性樹脂フィルム(11)の帯電防止および各種印刷適性向上のために、積層構造の成形後に表面処理を行って表面改質を行うことが好ましい。表面処理の方法としては、表面酸化処理と表面処理剤による処理の組み合わせを挙げることができる。
【0026】
表面酸化処理としては、フィルムに一般的に使用されるコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理などを単独または組み合わせて行うことができる。これらのうちで好ましいのはコロナ処理、フレーム処理である。コロナ処理の処理量は、600〜12,000J/m2(10〜200W・分/m2)であることが好ましく、1,200〜9,000J/m2(20〜180W・分/m2)であることがより好ましい。フレーム処理の場合は、8,000〜200,000J/m2であることが好ましく、20,000〜100,000J/m2であることがより好ましい。
【0027】
表面処理剤としては、主として下記のプライマー、帯電防止性ポリマーより選ばれたもので、単独あるいは2成分以上の混合物を挙げることができる。ドライラミネート時の密着性向上と帯電防止の観点から、表面処理剤として好ましいものはプライマーないしはプライマーと帯電防止性ポリマーとの組み合わせである。
【0028】
表面処理剤を構成するプライマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、炭素数1〜12のアルキル変性ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)およびポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物およびポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物等のポリエチレンイミン系重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミドの誘導体、オキサゾリン基含有アクリル酸エステル系重合体、ポリアクリル酸エステル等のアクリル酸エステル系重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂;またポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の水分散性樹脂等が用いられる。
【0029】
これらの内で好ましくは、ポリエチレンイミン系重合体およびウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル等であり、より好ましくはポリエチレンイミン系重合体であり、さらに好ましくは重合度が20〜3,000のポリエチレンイミン、ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加体、ないしはこれらが炭素数1〜24のハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化シクロアルキル、ハロゲン化ベンジル基によって変性された変性ポリエチレンイミンである。
【0030】
表面処理剤を構成する帯電防止ポリマーとしてはカチオン系ポリマー、アニオン系ポリマー、両性系ポリマーが挙げられる。カチオン系ポリマーとしては、四級アンモニウム塩構造やホスホニウム塩構造を有するポリマー、窒素含有アクリル系ポリマー、四級アンモニウム塩構造の窒素を有するアクリル系ないしはメタクリル系ポリマーが挙げられる。両性系ポリマーとしては、ベタイン構造の窒素を有するアクリル系ないしはメタクリル系ポリマーが挙げられる。またカチオン系ポリマーとしては、スチレン−無水マレイン酸共重合体ないしはそのアルカリ金属塩、エチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩ないしはエチレン−メタクリル酸共重合体のアルカリ金属塩などが挙げられる。特に好ましいのは、四級アンモニウム塩構造の窒素を有するアクリル系ないしはメタクリル系ポリマーである。
【0031】
帯電防止ポリマーの分子量は、重合温度、重合開始剤の種類および量、溶剤使用量、連鎖移動剤等の重合条件により任意のレベルとすることができる。得られる重合体の分子量は一般に1,000〜1,000,000であるが、中でも1,000〜500,000の範囲が好ましい。
【0032】
本発明に用いる表面処理剤は、必要に応じて架橋剤、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩等を含むものであってもよい。
表面処理剤に架橋剤を添加することにより、さらに塗膜強度や耐水性を向上させることができる。架橋剤としては、グリシジルエーテル、グリシジルエステル等のエポキシ系化合物、エポキシ樹脂、イソシアネート系、オキサゾリン系、ホルマリン系、ヒドラジド系等の水分散型樹脂が挙げられる。架橋剤の添加量は、通常、上記の表面改質剤の溶媒を除いた有効成分100重量部に対して100重量部以下の範囲である。
【0033】
表面処理剤に用いるアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩として、水溶性の無機塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、その他のアルカリ性塩、および塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、アンモニウム明礬等が挙げられる。添加量は、通常、上記の表面改質剤の溶媒を除いた有効成分100重量部に対して50重量部以下である。
さらに、表面改質剤には、界面活性剤、消泡剤、水溶性或いは水分散性の微粉末物質その他の助剤を含ませることもできる。これらの任意成分の量は、通常、上記の表面改質剤の溶媒を除いた有効成分100重量部に対して20重量部以下である。
【0034】
これらの表面処理剤の各成分は、水或いはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の親水性溶剤に溶解させてから用いることができる。中でも水溶液の形態で用いるのが典型的である。溶液濃度は通常0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%程度である。
塗工方法はロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター等により行われ、必要によりスムージングを行ったり、乾燥工程を経て、余分な水や親水性溶剤が除去される。
塗工量は乾燥後の固形分として0.005〜5g/m2、好ましくは0.01〜2g/m2である。
表面処理のタイミングは、縦または横延伸の前後のいずれであってもよい。また、表面処理剤は一段の塗工でも多段の塗工でも構わない。
【0035】
ピグメント塗工
熱可塑性樹脂フィルム(11)の各種の印刷適性をより一層向上させるために、少なくとも印刷がなされる側の面にピグメント塗工を行なうことができる。ピグメント塗工は、通常熱可塑性樹脂フィルム(11)の表面に前記表面酸化処理を行った後に行われる。
ピグメント塗工剤としては、通常のコート紙に使用されるクレイ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、プラスチックピグメント、二酸化チタン、白土粉等のピグメント10〜80重量%と、接着剤90〜20重量%を含有するものを挙げることができる。またこの際に使用される接着剤としては、SBR(スチレン・ブタジエンラバー)、MBR(メタクリル・ブタジエンラバー)等のラテックス、アクリル系エマルジョン(アクリル酸エステル樹脂含有水溶液など)、澱粉、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、メチルセルロース等を挙げることができる。さらにこれら配合剤に、特殊ポリカルボン酸ナトリウム等の分散剤や、ポリアミド尿素系樹脂等の架橋剤、発泡防止剤、耐水化剤、潤滑剤、蛍光塗料等を配合することができる。これらピグメント塗工剤は一般に5〜90重量%、好ましくは35〜65重量%の固形分濃度の水溶性塗工剤として使用される。
【0036】
塗工方法および手段このような塗工剤を前記基材層に塗工する手段としては、具体的には、グラビア塗工、メイヤーバー塗工、ロール塗工、ブレード塗工、サイズプレス塗工、ホットメルト塗工等の塗工手段を採用することができる。塗工量としては、0.1〜50g/m2、好ましくは1〜15g/m2である。その際のコート層の厚みは、0.05〜50μm、好ましくは0.5〜20μm、特に好ましくは5〜15μmの肉厚でフィルムの片面または両面に形成される。
塗工表面は必要によりカレンダー処理等によりプレススムージング処理を行っても良い。また塗工は必要により2回以上行っても良い。
【0037】
これらの表面処理を行った後には、必要に応じてさらに記録層を設けることができる。この記録層には、電子写真方式、昇華熱転写、溶融熱転写、ダイレクトサーマル、リライタブルマーキング、およびインクジェットプリンターを用いた印刷は勿論のこと、凸版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、溶剤型オフセット印刷、紫外線硬化型オフセット印刷、フィルムの形態でもロールの形態の輪転方式の印刷を施すことができる。
【0038】
遮光層
熱可塑性樹脂フィルム(11)間に介在させる遮光層(12)は、例えば、▲1▼熱可塑性樹脂フィルム(11)の裏面にオフセットまたはグラビア印刷により厚さ1〜5μmの黒色ベタ印刷を行うことによって、▲2▼接着剤(アンカーコート剤)中に、酸化チタンホイスカー、酸化チタン微細粒子等の白色充填剤やカーボンブラックを多量(5〜75重量%)に含有させ、該接着剤を2〜10g/m2塗布することによって、▲3▼着色した布の両面に接着剤を2〜10g/m2塗布することによって、または、▲4▼熱可塑性樹脂フィルム(11)の裏面にアルミニウム等を真空蒸着することによって形成することができる。
【0039】
熱可塑性樹脂フィルム(11)間に遮光層(12)を介在させることにより、本発明の偽造防止用フィルムの光の波長380〜780nmにおける全光線透過率(JIS K−7105に準拠)を5%未満、好ましくは、2%以下、特に好ましくは0.5%以下とすることができ、情報隠蔽層(17)の上から秘密情報文字(16)が反対面から透けて見えることを防止することができる。
【0040】
偽造防止処理
本発明の偽造防止用フィルムは、遮光層(12)に偽造防止処理が施されている。偽造防止処理は、例えば熱可塑性樹脂フィルム(11)の裏面にオフセットまたはグラビア印刷により厚さ1〜5μmの黒色ベタ印刷を行う際に、網点率を5〜70%に変えることにより遮光層に濃淡加工を施すことによりなされる。濃淡加工は反射光では視認できず、透過光により視認することができることが必要である。濃淡加工は偽造防止する目的により、任意に濃淡パターン、濃度、模様を採用することができる。淡濃加工の濃部と淡部の面積割合は、特に限定されないが、一般的には濃部90%以上、淡部10%以下であり、少なくとも秘密情報文字(16)を形成する部分が濃部であればよい。
【0041】
淡部の光の波長380〜780nmにおける全光線透過率(JIS K−7105に準拠)は、5〜12%、好ましくは5〜11%である。5%未満では、透過光を用いても淡部が明瞭に見えず十分な偽造防止効果が得られない傾向がある。また12%を超えては、不透明度不足のため、透過光を用いなくても偽造防止用フィルムの淡部が白く透けてしまう傾向がある。
網点率は、好ましくは5〜70%であり、より好ましくは20〜60%である。5%未満では、透過光を用いなくても偽造防止用フィルムの淡部が白く透けてしまう傾向がある。また70%を超えては、透過光を用いても淡部が明瞭に見えず十分な偽造防止効果が得られない傾向がある。
【0042】
接着剤
遮光層(12)を設けた熱可塑性樹脂フィルム(11)と、別の熱可塑性樹脂フィルム(11)を貼着する接着剤としては、液状のアンカーコート剤、例えばポリウレタン系アンカーコート剤としては東洋モートン(株)製のEL−150(商品名)、またはBLS−2080AとBLS−2080Bの混合物が、ポリエステル系アンカーコート剤としては、同社のAD−503(商品名)を適用することができる。アンカーコート剤は秤量が0.5〜25g/m2となるように塗布される。
【0043】
また、エチレン・酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(いわゆるサーリン)、塩化ポリエチレン、塩化ポリプロピレン等のホットメルト接着剤は、延伸樹脂フィルム製造時の延伸温度より低い融点を有する熱可塑性樹脂を用いる必要があり、前記延伸温度より高い温度で該ホットメルト接着剤を用いると延伸樹脂フィルムが収縮してしまうことがある。
【0044】
前記アンカーコート剤を使用する場合は、一方の熱可塑性樹脂フィルム面にアンカーコート剤を塗布し、次いで、他方の熱可塑性樹脂フィルムを重合し、圧着ロールで加圧接着すればよく、前記ホットメルト接着剤を使用する場合は、一方の熱可塑性樹脂フィルム面上にダイより溶融フィルム状に押し出してラミネートし、次いで、他方の熱可塑性樹脂フィルムを重合し、圧着ロールで加圧接着すればよい。
【0045】
ラミネート加工
擦過性、汚染性付与のため熱可塑性樹脂フィルム(11)または積層した熱可塑性樹脂フィルムに印刷後、ラミネート加工する。例えばフッ素系等のニスコート、PETフィルム、塩化ビニルフィルム等を前記アンカーコート剤を用いて、熱可塑性樹脂フィルム(11)または積層した熱可塑性樹脂フィルムにラミネート加工する。これらのラミネートフィルムは、透明の物が好ましいが、偽造防止の効果を阻害しない限り、着色されていても良い。
【0046】
積層
偽造防止用フィルムの耐熱性等をより一層向上させるために、熱可塑性樹脂フィルム(11)の、少なくとも印刷がなされる側の面に別の熱可塑性樹脂フィルムを積層することができる。積層する熱可塑性樹脂としては、例えばナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロンー6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が挙げられる。こられの中でも熱可塑性ポリエステル系樹脂が好ましく、更に熱可塑性ポリエステル系樹脂の中でもポリエチレンテレフタレートやその共重合体が好ましい。
【0047】
積層方法に関しては特に限定されず、公知の積層方法を用いることができる。例えば複数の押出機により溶融した樹脂をフィードブロックまたはマルチマニホールドにより一台のダイ内で積層してもよいし(共押し出し)、溶融押し出しラミネートにより積層してもよいし、接着剤を用いたドライラミネートにより積層してもよい。
ドライラミネートに使用する接着剤の種類や使用方法については、上記の接着剤の説明において例示したものを挙げることができる。
また、積層した熱可塑性樹脂フィルムの各種の印刷適性をより一層向上させるために、少なくとも印刷がなされる側の面にピグメント塗工を行うことができる。ピグメント塗工剤や塗工方法については、上記のピグメント塗工の説明において例示したものを挙げることができる。
【0048】
積層した熱可塑性樹脂フィルムには、必要に応じてさらに記録層を設けることができる。この記録層は、電子写真方式、昇華熱転写、溶融熱転写、ダイレクトサーマル、リライタブルマーキング、およびインクジェットプリンターを用いた印刷は勿論のこと、凸版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、溶剤型オフセット印刷、紫外線硬化型オフセット印刷にも対応しうるように設計することができる。また、フィルムの形態で印刷する場合でもロールの形態の輪転方式で印刷を施す場合にも適用しうるように設計することができる。
【0049】
本発明の偽造防止用フィルムは、偽造防止が必要とされるものに幅広く適用することができる。例えば、銀行券、手形、小切手、トラベラーズチェック、宝くじ、商品券、株券、その他の有価証券、各種カード類、入場券、切符、身分証明書、運転免許証、住民票、戸籍謄本、印鑑証明書、パスポート、ビザ、預金証書、質権設定書などに適用することができる。
【0050】
【実施例】
以下の製造例1〜3において熱可塑性樹脂フィルムの製造例を挙げ、実施例1〜4および比較例1〜3において具体的な偽造防止フィルムの製造例を挙げ、さらに試験例でこれらの偽造防止フィルムの評価について記載する。以下において本発明の具体例として挙げられている材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0051】
(製造例1) 熱可塑性樹脂フィルム1の製造例
(1)プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP,MA−8;融点164℃)81重量%、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックHD,HJ580;融点134℃、密度0.960g/cm3)3重量%および平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、ソフトン1800)16重量%よりなる樹脂組成物(A1)を270℃の温度に設定した押出機にて混練させた後、シート状に押し出し、さらに冷却装置により冷却して、無延伸シートを得た。そして、このシートを150℃の温度にまで再度加熱した後、縦方向5倍の延伸を行って5倍縦延伸フィルムを得た。
【0052】
(2)プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP,MA−3;融点165℃)51.5重量%、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名HJ580;密度0.950g/cm3)3.5重量%、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、ソフトン1800)45重量%(A2)を2台の押出機にて210℃で混練させた後、これをダイによりシート状に押し出し、これを上記(1)の工程で得られた5倍縦延伸フィルムの両面に積層し、3層構造の積層フィルムを得た。次いで、この3層構造の積層フィルムを60℃の温度にまで冷却した後、再び約155℃の温度にまで加熱し、テンターを用いて横方向に7.5倍延伸し、165℃の温度でアニーリング処理し、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして3層構造(一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸)の肉厚150μm(A2/A1/A2=30μm/90μm/30μm)、不透明度96%、空孔率31%、密度0.77g/cm3の延伸した熱可塑性樹脂フィルム1を得た。
【0053】
(製造例2) 熱可塑性樹脂フィルム2の製造例
(1)プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP,MA−8;融点164℃)55重量%に、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名HJ580;密度0.950g/cm3)25重量%および平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、ソフトン1800)20重量%(A1)、プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP,MA−3;融点164℃)99重量%、平均粒径0.2μmのルチル型二酸化チタン(石原産業(株)製、CR−10)1重量%を混合した組成物(A2)、プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP,MA−8;融点164℃)100重量%(A3)を、それぞれ別々の3台の押出機を用いて250℃の温度で溶融混練した。そして、1台の共押ダイに供給してダイ内で積層後(A2/A1/A3)、シート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却して積層フィルムを得た。
【0054】
(2)そして、この積層フィルムを145℃の温度にまで再度加熱した後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸し、再び、約150℃の温度にまで加熱して、テンターを用いて横方向に8.5倍延伸した。その後、160℃の温度でアニーリング処理して、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして3層構造(二軸延伸/二軸延伸/二軸延伸)の肉厚150μm(A2/A1/A3=3μm/144μm/3μm)、不透明度94%、空孔率40%、密度0.66g/cm3の延伸した熱可塑性樹脂フィルム2を得た。
【0055】
(製造例3) 熱可塑性樹脂フィルム3の製造例
(1)プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP,MA−8;融点164℃)60重量%に、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名HJ580;密度0.950g/cm3)20重量%および平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、ソフトン1800)20重量%(A1)、プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP,MA−3;融点164℃)50重量%、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、ソフトン1800)45重量%、平均粒径0.2μmのルチル型二酸化チタン(石原産業(株)製、CR−10)5重量%を混合した組成物(A2)を、それぞれ別々の3台の押出機を用いて250℃の温度で溶融混練した。そして、1台の共押ダイに供給してダイ内で積層後(A2/A1/A2)、シート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却して積層フィルムを得た。
【0056】
(2)そして、この積層フィルムを135℃の温度にまで再度加熱した後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸し、再び、約150℃の温度でアニーリング処理して、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして3層構造(一軸延伸/一軸延伸/一軸延伸)の肉厚150μm(A2/A1/A2=5μm/140μm/5μm)、不透明度90%、空孔率40%、密度0.8g/cm3の延伸した熱可塑性樹脂フィルム3を得た。
【0057】
(実施例1〜3および比較例1〜3)
実施例1〜3および比較例1〜3の6種類の偽造防止フィルムを、表1に記載されるように条件を変更して以下の手順にしたがって製造した。
【0058】
表1に記載される種類の熱可塑性樹脂フィルムの表1に記載される面に、偽造防止として表1に記載される淡部網点率を有する図3のパターン(実際の印刷は白黒逆転し、背景の白色部が黒色ベタ印刷され、黒色のパターン部が淡部網点率に応じて淡く印刷される)の黒色グラビア印刷(厚さ2μm)を施し、さらに、ポリウレタン系アンカーコート剤(BLS−2080AおよびBLS−2080Bの混合物)を2g/m2塗布し、次いで、もう1枚の同種の熱可塑性樹脂フィルムの(A2)面を圧着ロールを用いて貼着し、熱可塑性樹脂フィルム/偽造防止・遮光層/熱可塑性樹脂フィルムの肉厚304μmの支持体を得た。ただし、比較例1の場合のみ、黒色グラビア印刷を行わずに肉厚302μmの支持体を得た。
【0059】
得られた支持体の両面に、4色のオフセット印刷によりカード会社名、使用注意事項、カード番号の記入欄、秘密情報文字記入欄等を印刷した。次いでこの支持体の両面に透明の厚さ110μmのポリ塩化ビニルフィルムをポリウレタン系アンカーコート剤(EL−150)を2g/m2塗布後、圧着ロールを用いて貼着した。
さらに、カード番号の記入欄、および秘密情報文字記入欄に溶融熱転写プリンターを用いて、カード番号の記入欄にカード番号、および秘密情報を印字し、秘密情報の上に情報隠蔽層をスクラッチ印刷により設けることにより表1に記載される厚さの偽造防止フィルムを得た。
【0060】
(実施例4)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート15重量部、メチルメタクリレート50重量部、エチルアクリレート35重量部およびトルエン100重量部を、攪拌機、還流冷却管及び温度計を装着した三ツロフラスコに仕込み、窒素置換後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.6重量部を開始剤として80℃で4時間重合させた。得られた溶液は、水酸基価65の水酸基含有メタクリル酸エステル重合体の50%トルエン溶液であった。
次いで、この溶液100重量部に、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(新第1塩ビ(株)製:ZEST C150ML)のメチルエチルケトン溶液(20%)20重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHL)の酢酸エチル溶液(75%)20重量部、シラノール基を含むポリビニルアルコール共重合体(クラレ(株)製:R−1130、重合度1700)の水溶液20重量部、平均粒径1.5μmの重質炭酸カルシウム粉末(白石カルシウム製)20重量部を配合した。この混合物に酢酸ブチルを添加して固形分を35%に調整し、塗工溶液を得た。
【0061】
肉厚25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商品名:ルミラー)の表面に、上記塗工溶液を乾燥固形分が1g/m2となるように塗布し、その後80℃で1時間硬化させて、塗工層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
次いで、実施例1で得られた肉厚304μmの支持体の表裏面に東洋モートン(株)のポリウレタン系アンカーコート剤‘‘BLS−2080A’’及び‘‘BLS−2080B’’の混合物からなる接着剤を4g/m2(固形分の割合)塗布し、その表面側に上記ポリエチレンテレフタレートフィルムを塗工層が外側になるように重ね合わせ、また裏面側に肉厚19μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名:メリネックス377)を重ね合わせ圧着ロールを用いて貼着し、塗工層/ポリエチレンテレフタレートフィルム/熱可塑性樹脂フィルム/偽造防止・遮光層/熱可塑性樹脂フィルム/ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した構成の肉厚357μmの積層体を得た。
【0062】
得られた積層体の両面に、タンデム方式カラーレーザプリンタ(カシオ(株)製、N4−612ii)を使用してカード会社名、使用注意事項、カード番号の記入欄、秘密情報文字記入欄等を印刷した。次いでこの積層体の両面に透明の厚さ110μmのポリ塩化ビニルフィルムをポリウレタン系アンカーコート剤(EL−150)を2g/m2塗布後、圧着ロールを用いて貼着した。
さらに、カード番号の記入欄、および秘密情報文字記入欄に溶融熱転写プリンターを用いて、カード番号の記入欄にカード番号、および秘密情報を印字し、秘密情報の上に情報隠蔽層をスクラッチ印刷により設けることにより表1に記載される厚さの偽造防止フィルムを得た。
【0063】
(試験例)
実施例1〜4および比較例1〜3で製造した各偽造防止フィルムについて、以下に記載する方法にしたがって全光線透過率を測定し、反射光および透過光の視認性評価を行った。
【0064】
全光線透過率の測定:
偽装防止フィルムの濃淡加工の濃部および淡部の光の波長380〜780nmにおける全光線透過率(JIS K−7105に準拠)を、分光光度計(日立製作所製:U−3310形)を用いて測定した。
【0065】
視認性評価:
1)反射光による視認性:偽造防止フィルムの表面側より30cm離れた位置に20Wの蛍光灯を設置して偽造防止の濃淡部分を目視にて確認し、以下の3段階で評価した。
○:偽造防止に設けた濃淡部分は全く判らない。
△:偽造防止に設けた淡部が白く透けて見え、実用上問題がある。
×:偽造防止に設けた淡部が白く透けて見え、裏面の印刷が認識でき
実用上問題がある。
【0066】
2)透過光による視認性1:偽造防止フィルムの裏面側より10cm離れた位置に20Wの蛍光灯を設置して偽造防止の濃淡部分を目視にて確認し、以下の3段階で評価した。
○:偽造防止に設けた、淡部が白く透けて見え、形成した紋様が明瞭に見える。
△:偽造防止に設けた、淡部が目視できるが、形成した紋様が明瞭に見えず、実用上問題がある。
×:偽造防止に設けた、濃淡部分の差が全く判らず実用上問題がある。
【0067】
3)透過光による視認性2:偽造防止フィルムの裏面側より5cm離れた位置に20Wの蛍光灯を設置して情報隠蔽層部分を目視にて確認し、以下の2段階で評価した。
○:情報隠蔽層の下の秘密文字が全く見えない。
×:情報隠蔽層の下の秘密文字を認識することができ、実用上問題がある。
【0068】
結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明の偽造防止用フィルムを用いれば、情報隠蔽層を剥離することなく保護すべき文字情報を認識することは困難であり、隠蔽層に偽造防止処理を施すことにより、偽造物と真正物を容易に区別することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例1の偽造防止フィルムの断面図である。
【図2】 従来使用されているカードの断面図である。
【図3】 実施例1で使用した偽造防止パターンである。
【符号の説明】
11 熱可塑性樹脂フィルム
12 遮光層
13 偽造防止処理
14 印刷
15 ラミネートフィルム
16 秘密情報
17 情報隠蔽層
18 その他の情報
21 熱可塑性樹脂フィルム
22 ラミネートフィルム
23 情報印字部
24 情報隠蔽層
25 印刷
Claims (10)
- 全光線透過率5%未満の濃部と全光線透過率5〜12%の淡部からなる濃淡部分を有する遮光層の両面に、不透明度が10〜97%の熱可塑性樹脂フィルムを有する偽造防止用フィルムであって、前記濃淡部分が反射光では目視で視認できず、透過光により目視で視認できる偽造防止用フィルム。
- 前記濃部の上に形成された前記熱可塑性樹脂フィルム上に秘密情報が印刷され、さらに前記秘密情報の上に秘密情報を隠蔽する情報隠蔽層が設けられている請求項1に記載の偽造防止用フィルム。
- 前記濃淡部分が印刷により施されたことを特徴とする請求項1または2に記載の偽造防止用フィルム。
- 前記淡部が網点率5〜70%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偽造防止用フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムの表面に更に熱可塑性樹脂フィルムが積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の偽造防止用フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムの表面に印刷がなされ、更に印刷された熱可塑性樹脂フィルムの上に熱可塑性樹脂フィルムが積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の偽造防止用フィルム。
- 前記積層される熱可塑性樹脂フィルムが熱可塑性ポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項5または6に記載の偽造防止用フィルム。
- 最外層の熱可塑性樹脂フィルムの表面にピグメント塗工が施されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の偽造防止用フィルム。
- 最外層の熱可塑性樹脂フィルムの表面にラミネート加工が施されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の偽造防止用フィルム。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の偽造防止用フィルムを用いたカード。
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