JPH09249871A

JPH09249871A - 防汚消臭構造およびそれを利用した内装材

Info

Publication number: JPH09249871A
Application number: JP8087271A
Authority: JP
Inventors: Isamu Niwa; 勇丹羽; Yasushi Suzuki; 康司鈴木
Original assignee: Toli Corp
Current assignee: Toli Corp
Priority date: 1996-03-14
Filing date: 1996-03-14
Publication date: 1997-09-22

Abstract

(57)【要約】【課題】光による防汚消臭反応を進行させるＴｉＯ₂
を壁面や内装材に固定し、防汚消臭性能を付与すること
は公知であるが、ＴｉＯ₂を固定する際に焼成処理が必
要であるため、防汚消臭性能を付与できる内装材は限定
されている。そこで、この焼成処理を必要としない防汚
消臭性能付与法および、防汚消臭内装材を提供する。【解決手段】防汚消臭性能を付与する対象物表面にフ
ッ素樹脂の水系分散体とＴｉＯ₂水系分散体またはＴｉ
Ｏ₂粉末を塗布することにより、防汚消臭構造を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は防汚消臭構造、およ
びそれを利用した内装材に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、紫外線の照射によって消臭反応を
進行させる光触媒としてアナターゼ型の二酸化チタン
（ＴｉＯ₂）が公知であり、これを壁面にバインダーと
ともに塗布、焼成したり、内装材の表面にバインダー層
を形成し、その上から光触媒微粒子を吹き付け、その後
に加熱してバインダー層を溶融させ、その後冷却してバ
インダー層を固化することによって光触媒を表面に固定
し、その内装材に消臭機能を持たせることは公知である
（特開平５−２５３５４４号）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】然しながら、有機物か
らなる内装材やガラス繊維不織布の低目付品等の焼結不
可能なものの場合、前記特許の方法は不可能であり、更
に有効な軟質シート状内装材の防汚消臭方法が求められ
ていた。

【０００４】

【課題を解決する手段】本願発明は、蛍光灯のような微
弱な紫外線でも活性になる光触媒二酸化チタンを用い
て、汚れや臭いの元を分解する防汚消臭内装材を提供す
ることを目的とし、フッ素系樹脂バインダー中にＴｉＯ
₂微細粉が分散し、かつＴｉＯ₂微細粉は少なくともバイ
ンダー表面から露出していることを特徴とする防汚消臭
構造、および、上記防汚消臭構造を内装材本体に有する
防汚消臭内装材、をその要旨とする。

【０００５】

【発明の実態の形態】以下、図面に基づいて本願発明を
説明する。「図１」は本願防汚消臭構造の断面図であ
り、フッ素系樹脂バインダー２の表面上そして内部にＴ
ｉＯ₂微細粉１が含有されている。

【０００６】本願防汚消臭構造３は次のような方法で形
成される。ＴｉＯ₂微細粉１の水系分散体をフッ素系樹
脂の水分散体と混合し、これを内装材などの対象物表面
に塗布あるいはスプレーし、乾燥する。この方法によっ
て、ＴｉＯ₂微細粉１がフッ素系樹脂バインダー２の表
面上や内部に含有している本願防汚消臭構造３を得るこ
とができる。

【０００７】本願防汚消臭構造３に用いられるＴｉＯ₂
微細粉の粒径は０．１〜１０μｍが望ましく、結晶の型
はアナターゼ型結晶が望ましいが、ルチル型結晶であっ
ても構わない。また、樹脂バインダーとＴｉＯ₂微細粉
との重量比は１０：１〜１：１０が望ましい。また、本
願防汚消臭構造３の厚さは１〜５０μｍが望ましい。

【０００８】本願防汚消臭構造３の防汚、消臭のメカニ
ズムは次のようなものである。紫外線がＴｉＯ₂微細粉
１に照射されるとＴｉＯ₂が光触媒として働き、表面上
の吸着水と光触媒の正孔とが反応して水酸基ラジカル
（ＯＨ）を生成し、この水酸基ラジカルとアンモニアが
下記のように反応して消臭する。

【０００９】

【化１】ＮＨ₃＋２ＯＨ＝１／２Ｎ₂＋２Ｈ₂Ｏ

【００１０】なお、本願防汚消臭構造３を形成するため
に、次のような方法を用いても良い。まず、フッ素系樹
脂の水系分散体を対象物表面に塗布あるいはスプレー
し、その上に粉末のＴｉＯ₂微細粉１を散布し、乾燥後
余分なＴｉＯ₂を除去する。この結果、ＴｉＯ₂微細粉が
フッ素系樹脂バインダー２の表面に露出した非焼成防汚
消臭構造３を得ることができる。

【００１１】また、フッ素系樹脂の水系分散体を対象物
表面に塗布あるいはスプレーし、乾燥後、ＴｉＯ₂微細
粉１の水系分散体をフッ素系樹脂の水系分散体とを混合
した液をその上に塗布あるいはスプレーし、乾燥し、非
焼成のＴｉＯ₂微細粉の密度を高めた防汚消臭構造３を
得ることができる。

【００１２】フッ素系樹脂として、４フッ化エチレンコ
ポリマーや３フッ化エチレン系コポリマーが好適であ
る。４フッ化エチレン系コポリマーとは、テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオ
ロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル、テ
トラフルオロエチレン−エチレンのコポリマー等の４フ
ッ化エチレン系コポリマーが例示され、３フッ化エチレ
ン系コポリマーとは、トリフルオロエチレン−ヘキサフ
ルオロプロピレン、トリフルオロエチレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル、トリフルオロエチレン−エ
チレンのコポリマー等が例示され、４フッ化エチレン系
コポリマーや３フッ化エチレン系コポリマー、およびそ
の混合物が適宜選択される。

【００１３】「表１」の光劣化試験の結果により、本願
防汚消臭構造にバインダーとして用いられているフッ素
系樹脂のみがＴｉＯ₂の光触媒作用によって劣化しない
ことが確認された。

【００１４】

【表１】樹脂バインダー粉体ＴｉＯ₂水分散ＴｉＯ₂混合状態ＰＶＣ × × × フッ素 ○ ○ ○ シリコン △ △ ○ アクリル △ △ △ ウレタン △ △ × 酢ビ × × △ ＳＢＲ × × △ ＥＶＡ × × △ ○：変色しない、△：やや変色、×：大きく変色する

【００１５】「光劣化試験」バインダーに粉体ＴｉＯ₂
または水分散ＴｉＯ₂または混合状態を配合し、紫外線
照射してバインダーの色の変化を見た。色の変化が大き
いほど光劣化している。

【００１６】「図２」は本願発明内装材の断面図であ
り、床材や壁装材へ適用できる。本願発明において、内
装材本体４はＰＶＣ、ポリオレフィン、ポリウレタン等
の熱可塑性樹脂等の有機材料、または、ガラス繊維、炭
素繊維等の無機繊維の織布または不織布および、これら
の積層体の非焼成材料である。

【００１７】なお、本願発明において非焼成とは、バイ
ンダーを固化する際の加熱温度が３５０℃以下、好まし
くは室温〜２００℃であることである。本願発明には焼
成できない内装材本体に利用する。また、本発明防汚消
臭構造も非焼成材料である。

【００１８】本願防汚消臭内装材は次のような方法で形
成される。ＴｉＯ₂微細粉１の水系分散体をフッ素系樹
脂の水系分散体と混合し、これを合成樹脂等の有機物、
無機繊維またはこれらの組合せによる内装材に塗布ある
いはスプレーし、乾燥する。この方法によって、ＴｉＯ
₂微細粉１がフッ素系樹脂バインダー２の表面上や内部
に含有している本願防汚消臭構造３を内装材本体４上に
積層する。

【００１９】また、樹脂バインダーとＴｉＯ₂微細粉と
の重量比は１０：１〜１：１０が望ましい。また、上記
ＴｉＯ₂微粉末とフッ素系樹脂バインダーを有する分散
体のスプレーを防汚、消臭を必要とされる場所に部分的
に塗布することにより、ＴｉＯ₂を効果的に使用するこ
ともできる。

【００２０】なお、本願防汚消臭内装材５を形成するた
めに次のような方法も用いても良い。まず、フッ素系樹
脂の水系分散体を内装材本体４表面に塗布あるいはスプ
レーし、その上に粉末のＴｉＯ₂微細粉を散布し、乾燥
後、余分なＴｉＯ₂を除去する。この場合、ＴｉＯ₂微細
粉がフッ素系樹脂バインダーの表面上に露出した防汚消
臭内装材５を得ることができる。

【００２１】また、フッ素系樹脂の水分散体を内装材本
体４表面に塗布あるいはスプレーし、乾燥後、ＴｉＯ₂
微細粉の水系分散体をフッ素系樹脂の水系分散体とを混
合した液をその上に塗布あるいはスプレーし、乾燥す
る。この結果、耐摩耗性の向上したＴｉＯ₂微細粉の密
度を高めた防汚消臭内装材５を得る。

【００２２】

【実施例】以下に実施例を示す。

【実施例１】室内に施工後の未処理の紙壁紙に、ＴｉＯ
₂の水系分散体（ＳＴＳ−０２（石原産業）ＴｉＯ₂％＝
３０ｗｔ％、ＴｉＯ₂粒径７ｎｍ）１０ｇと３フッ化エ
チレン系コポリマーと４フッ化エチレン系コポリマーの
混合物であるフッ素樹脂の水系分散体（ＳＥ３１０（ダ
イキン工業）フッ素樹脂％＝５０ｗｔ％）５ｇと水８５
ｇを混合したものをスプレーで湿潤時５０ｇ／ｍ²とな
るように塗布し、自然乾燥させて、本願防汚消臭内装材
（壁装材）を得た。

【００２３】

【実施例２】従来の方法で製造したＰＶＣ樹脂シート床
材の表面に３フッ化エチレン系コポリマーと４フッ化エ
チレン系コポリマーの混合物であるフッ素樹脂の水系分
散体（ＳＥ３１０）１０ｇと水９０ｇを混合したものを
スプレーで５０ｇ／ｍ²になるように塗布し、その上か
らロータリーフィーダーを用いて粉末酸化チタン（ＳＴ
０１（石原産業）ＴｉＯ₂％＝９５％、ＴｉＯ₂粒径７ｎ
ｍ）を３ｇ／ｍ²になるように散布して自然乾燥後、余
分な粉末酸化チタンを除塵器で吸いとり、除去して本願
防汚消臭内装材（床材）を得た。

【００２４】上記実施例にて得られた防汚消臭内装材
は、付着したたばこのヤニ等の汚れを分解し、さらに室
内のたばこの臭いなどの不快臭を消臭し、防汚消臭性能
は優れたものであった。

【００２５】

【発明の効果】たばこのヤニ等の汚れを分解するのに効果がある。たばこ等その他の不快臭を消臭するのに効果がある。太陽光または紫外線によりＴｉＯ₂が光触媒として、
汚れ、臭気の元を分解するので、永続的に効果がある。内装材本体やフッ素系樹脂バインダーを分解しない。
悪影響を及ぼさない。施工後の内装材に対しても防汚消臭性能を付与するこ
とができる。壁紙等の壁装材、室内装飾材の表面処理、台所の調
度、壁面等の処理の広い範囲で適用することができる。

【図面の簡単な説明】

図１・・・本願防汚消臭構造の断面図図２・・・本願防汚消臭内装材の断面図

【符号の説明】

１：ＴｉＯ₂微細粉２：フッ素系樹脂バインダー３：本願防汚消臭構造４：内装材５：本願防汚消臭内装材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】フッ素系樹脂バインダー中に二酸化チタ
ン微細粉が分散し、かつ二酸化チタン微細粉は、少なく
ともバインダー表面から露出していることを特徴とする
防汚消臭構造。
【請求項２】フッ素系樹脂バインダー中に二酸化チタ
ン微細粉が１０：１〜１：１０の割合で分散された請求
項１の防汚消臭構造。
【請求項３】フッ素系樹脂と二酸化チタン微細粉から
なる構成物が非焼成体である請求項１〜２の防汚消臭構
造。
【請求項４】水分散性二酸化チタン微細粉を水分散性
フッ素系樹脂バインダー中に分散した請求項１〜３の防
汚消臭構造。
【請求項５】フッ素系樹脂バインダー層表面に二酸化
チタン微細粉が露出するとともに、該微細粉がバインダ
ー中に分散してなる請求項１〜４の防汚消臭構造。
【請求項６】水分散性二酸化チタン微細粉を水分散性
バインダーの混合物を塗布乾燥した請求項１〜４の防汚
消臭構造。
【請求項７】内装材本体上のフッ素系樹脂バインダー
中に二酸化チタン微細粉が分散し、かつ二酸化チタン微
細粉は少なくともバインダー表面から露出していること
を特徴とする防汚消臭内装材。
【請求項８】内装材本体は有機材料、無機繊維布、ま
たはこれらの組合せの１種である非焼成材料である請求
項７の内装材。
【請求項９】請求項２〜６の防汚消臭構造を表面に有
する内装材。