JPH11100543A

JPH11100543A - 塗料組成物

Info

Publication number: JPH11100543A
Application number: JP9282520A
Authority: JP
Inventors: Tsuneo Yamashita; 恒雄山下; Mitsusaku Sakaguchi; 光作坂口; Koichiro Ogita; 耕一郎荻田
Original assignee: Daikin Industries Ltd
Current assignee: Daikin Industries Ltd
Priority date: 1997-09-29
Filing date: 1997-09-29
Publication date: 1999-04-13

Abstract

(57)【要約】【課題】添加剤の焼け残りによる着色を防止して優れ
た装飾性を発揮し、しかも防汚性、防臭性、抗菌性、防
カビ性をも兼ね備えた塗料組成物を提供する。【解決手段】フッ素樹脂ディスパージョンに光触媒作
用物質を含有させてなる塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、装飾性に優れた表
面被膜を構成することができる塗料組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】フッ素樹脂ディスパージョンは、フッ素
樹脂を分散体、特に水系の分散体とし基体表面の塗料と
して用いるように工夫したもので、アルミニウム等の金
属表面の塗装用として広く用いられている。フッ素樹脂
ディスパージョンは、金属表面の下塗り塗料（プライマ
ー）として用いたり、このプライマーの上層に積層する
中塗り塗料として用いたり、更に、その上層をコーティ
ングするための上塗り塗料として用いられている。

【０００３】このようなフッ素樹脂ディスパージョンか
らなる塗料は、フッ素樹脂が有する耐熱性、耐寒性、低
摩擦性、非粘着性等の優れた性質を発揮するものとし
て、厨房器具や特殊な用途に好適である。このようなフ
ッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン（ＴＦＥ）
の単独重合体であるポリテトラフルオロエチレン（ＰＴ
ＦＥ）が主として用いられている。

【０００４】フッ素樹脂ディスパージョン塗料は、吹き
つけ等の種々の方法によって被塗物の表面に塗布した
後、乾燥させ、その後、３７０〜４００℃で焼成するこ
とにより塗膜とすることが行われている。フッ素樹脂デ
ィスパージョンは、分散性を向上させるために通常は界
面活性剤等の添加剤を含有するものであるが、このよう
な焼成工程を経るとき、界面活性剤等の添加剤が焼け残
り、着色の原因となることがあった。このため、例え
ば、白色を呈すべき塗料が黄変したり、同一塗料であっ
ても焼成条件が異なった場合に色調が異なる等の不都合
が生じていた。

【０００５】ところで、酸化チタン等の光触媒作用物質
は、紫外線により励起されて強い酸化、還元力を生じる
ことが知られている。これにより有機物質を分解する性
質を発現することから、有害物質、悪臭物質や油分を分
解したり抗菌効果を付与する目的で塗料等に含有され、
日用品、建材等の種々の製品の表面処理に用いることが
検討されている。

【０００６】しかしながら、これらの光触媒作用物質を
上述したフッ素樹脂ディスパージョンからなる塗料に適
用する技術は、これまで存在しなかった。更に、光触媒
作用物質は、本来、光により励起されて酸化、還元力を
発生して抗菌作用等を発現するものであるので、光触媒
作用物質を樹脂に含有させて塗料を構成すると、光触媒
作用物質を含有する樹脂自体に、当該酸化、還元作用が
及んで当該樹脂をも分解してしまい、塗料そのものの機
能が劣化することが考えられ、通常の方法によっては、
実現することが困難であった。

【０００７】特開平４−２８４８５１号公報には、光触
媒粒子とフッ素系ポリマーとの混合物を積層し圧着する
ことにより、光触媒を有する塗膜を形成する方法が開示
されている。また、特開平４−３３４５５２号公報に
は、光触媒粒子をフッ素系ポリマーに熱融着することに
より、同様の効果を得る技術が開示されている。更に、
特開平７−１７１４０８号公報には、フッ素系ポリマ
ー、シリコン系ポリマー等の難分解性結着剤を介して光
触媒粒子を基体上に接着させる技術が開示されている。

【０００８】しかしながら、これらやフッ化ビニリデン
系のゴム等に光触媒作用物質を含有させた場合、ポリマ
ー中にＣ−Ｈ結合、Ｃ−Ｃｌ結合を持つモノマーを多く
有するものは光により劣化を起こす。また、ポリテトラ
フルオロエチレン等の結晶性ポリマーは、高温焼付けが
必須であること、高温加熱処理に伴い光触媒粒子の比表
面積が低下し、そのため光触媒機能の低下が起こる等の
問題があった。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上記の現状に鑑み、本
発明は、添加剤の焼け残りによる着色を防止して優れた
装飾性を発揮し、しかも防汚性、防臭性、抗菌性、防カ
ビ性をも兼ね備えた塗料組成物を提供することを目的と
するものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の塗料組成物は、
フッ素樹脂ディスパージョンに光触媒作用物質を含有さ
せてなる。上記塗料組成物は、特に、最上層用塗料用と
して用いることができる。以下に本発明を詳述する。

【００１１】本発明の主樹脂は、フッ素樹脂ディスパー
ジョンである。上記フッ素樹脂ディスパージョンを構成
するフッ素樹脂としては、ＰＴＦＥが好ましいが、これ
に限定されず、その他のものとしては、例えば、ＴＦＥ
／ヘキサフルオロプロピレン共重合体（ＦＥＰ）、ＴＦ
Ｅ／パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体（Ｐ
ＦＡ）、エチレン／ＴＦＥ共重合体（ＥＴＦＥ）、ビニ
リデンフルオライド（ＶｄＦ）単独重合体（ＰＶｄ
Ｆ）、ビニルフルオライド（ＶＦ）単独重合体（ＰＶ
Ｆ）等を挙げることができる。

【００１２】上記フッ素樹脂ディスパージョンは、上記
フッ素樹脂を分散体としたものであり、なかでも水性分
散体が好ましい。上記フッ素樹脂ディスパージョンとし
ては、コア部とその周囲のシェル部とからなる粒子を分
散させたディスパージョンであって、コア部は、ＰＴＦ
Ｅ又はフルオロアルキルビニルエーテルで変性させたＰ
ＴＦＥからなるものであり、シェル部は、ＣＴＦＥを含
有し、シェル部が粒子全体の重量の５０重量％を超えな
い変性ＰＴＦＥ粒子を液状担体に分散させてなるもの等
を挙げることもできる。上記粒子は、更に、コア部が粒
子全体に対して０．０１〜０．１５重量％のフルオロア
ルキルビニルエーテルを含有することが好ましい。

【００１３】上記コア部に含有されるフルオロアルキル
ビニルエーテルの量は、粒子全体に対して０．０１〜
０．１５重量％、好ましくは、０．０２〜０．０４重量
％である。この場合、シェル部は、コア部よりも高い濃
度で変性した構造としておいた方が好ましい。上記フル
オロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、下記一
般式；Ｘ¹ （ＣＦ₂ ）_7nＯＣＦ＝ＣＦ₂ （式中、Ｘ¹ は、水素、フッ素又は塩素原子、７ｎは１
〜６の整数を表す。）で表される化合物、又は、下記一
般式；Ｃ₃ Ｆ₇ （ＯＣＦ₂ ＣＦ₂ ＣＦ₂ ）_7m［ＯＣＦ（ＣＦ
₃ ）ＣＦ₂ ］_7tＯＣＦ＝ＣＦ₂ （式中、７ｍは、０〜２の整数、７ｔは、０〜２の整数
を表す。）で表される化合物等を挙げることができる。

【００１４】コア部とシェル部との重量比は、例えば、
５０：５０〜９８：２、好ましくは、７０：３０〜９
５：５である。また、上記変性ＰＴＦＥとしては、例え
ば、特開昭６３−５６５３２号公報記載のもの等を挙げ
ることができ、他の変性ＰＴＦＥも、当該公報に記載の
方法又はそれを修飾した方法によって製造することがで
きる。

【００１５】コア部を純ＰＴＦＥとするには、ＴＦＥの
重合反応を行うに際して、反応初期には変性剤を仕込ま
ずに重合反応を開始し、重合すべきＴＦＥの少なくとも
５０重量％が消費された後に、反応系にＣＴＦＥを導入
するようにすればよい。また、上記液状担体としては、
水又はトルエン、キシレン、エチレングリコール等の有
機液体を用いることができる。ディスパージョン全体に
おける変性ＰＴＦＥの割合は、概ね１０〜６０重量％で
あることが好ましい。

【００１６】上記ディスパージョンは、上記変性ＰＴＦ
Ｅの水性又は有機液体分散体に界面活性剤を加え、充分
に攪拌を行って均一化することにより調製することがで
きる。上記界面活性剤としてしは、非イオン系界面活性
剤、陰イオン系界面活性剤等を挙げることができる。上
記界面活性剤の量は、上記変性ＰＴＦＥ１００重量部に
対して５〜１０重量部であることが好ましい。

【００１７】上記ディスパージョンには、塗膜の性質を
改良するために、固体塗膜改質剤、例えば、帯電防止機
能を付与するために、銀、アルミニウム、カーボンブラ
ック、カーボンファイバー等の導電性物質を加えること
ができる。上記導電性物質の量は、組成物全体に対して
０．１〜２０重量％、好ましくは２〜２０重量％であ
る。

【００１８】上記ディスパージョンには、更に、雲母粒
子又はフレークのような添加物を加えることができる。
更に、本来の着色のために、酸化クロム、酸化チタン、
カーボンブラック等の顔料を添加することができる。

【００１９】本発明の塗料組成物は、光触媒作用物質を
含有する。上記光触媒作用物質としては、光触媒機能を
有する物質であれば特に限定されず、例えば、酸化チタ
ン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチ
ウム、酸化スズ、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ビス
マス、酸化ルテニウム等を挙げることができるが、なか
でも、酸化チタン、特にアナターゼ型酸化チタンが好ま
しい。

【００２０】上記光触媒作用物質は、微粒子状である。
上記微粒子とは、平均粒子径が、０．１〜０．００１μ
ｍのものをいう。

【００２１】本発明において、上記光触媒作用物質を上
記フッ素樹脂ディスパージョンに含有させる方法とし
て、上記フッ素樹脂ディスパージョン中に混合する方法
を以下に述べる。

【００２２】上記混合方法を採用するにあたっては、上
記フッ素樹脂ディスパージョン中に均一に配合されるこ
とが好ましい。そのため、上記光触媒作用物質は、分散
状（ディスパージョン）、溶液、又は、粉体の形態で適
用されることが好ましい。上記光触媒作用物質を分散状
とするためには、例えば、上記光触媒作用物質と分散剤
とを混合して水中に投入し、界面活性剤、凍結防止剤、
消泡剤、ｐＨ調整剤等のその他の添加剤を必要に応じて
添加した後、サンドミル、ボールミル、ペイントシェー
カー、ジェットミル、グラインドミル、三本ロール、ニ
ーダー等で攪拌、分散する方法を採用することができ
る。

【００２３】上記光触媒作用物質のフッ素樹脂中に占め
る配合割合は、１〜２００重量％が好ましい。１重量％
未満であると少なすぎて光触媒作用物質機能を発揮する
ことができず、２００重量％を超えると本発明の塗料組
成物が形成する塗膜がもろくなる。より好ましくは、５
〜８０重量％である。

【００２４】金属等の基材の表面に塗布する方法として
は、上記光触媒作用物質を、分散状（ディスパージョ
ン）、溶液、又は、粉体の形態にした後、フッ素樹脂デ
ィスパージョン、界面活性剤、その他添加剤、顔料を混
合し、塗料化したものを、通常の塗布方法により塗布す
る。上記塗布方法としては特に限定されず、例えば、ス
プレーコーティング、フローコーティング、スピンコー
ティング、ディップコーティング、ロールコーティン
グ、その他のコーティング方法を採用することができ
る。

【００２５】本発明の塗料組成物は、鉄、鉄合金、アル
ミニウム合金等の金属；ガラス、陶磁器等の表面処理用
の塗料として用いることができる。本発明の塗料組成物
は、最上層用塗料としてプライマー（下塗り塗料）又は
中塗り塗料の上に塗装することができ、このような場合
には、着色顔料を添加することによりその装飾性を向上
させることができる。

【００２６】本発明の塗料組成物は、最上層用塗料（上
塗り塗料）として用いることが好ましい。通常、最上層
用塗料として用いる場合には、表面を保護し、更に表面
に種々の機能を付与することができる。本発明の塗料組
成物は、添加剤の焼け残りによる着色を防止して優れた
装飾性を発揮し、しかも防汚性、防臭性、抗菌性、防カ
ビ性をも兼ね備えているので、このような最上層用塗料
として用いることが好適である。

【００２７】本発明の塗料組成物を塗装するにあたって
は、その塗装方法は特に限定されず、例えば、吹きつ
け、浸漬、流しかけ等の方法により塗装することができ
る。通常、上記した金属等の基材表面の不純物を除去す
る前処理を行い、焼成温度以上でカラ焼きして吸蔵ガス
や有機質等を除去した後、サンドプラスト処理等を行
う。吹きつけ等の方法は、プライマーを塗布し、乾燥
後、焼付けをするか又はせずに、本発明の塗料組成物を
塗布し焼き付ける。又は、プライマーを塗布し、乾燥
後、焼き付けをするか又はせずに、中塗り塗料を塗布
し、乾燥後、焼き付けするか又はせずに、本発明の塗料
組成物を塗布する。本発明の塗料組成物は、焼付け後の
膜厚が５〜６０μｍ程度になるように塗装することが好
ましい。

【００２８】上記塗装の後、風乾又は１００℃以下の温
度で充分に乾燥させた後、３７０〜４００℃程度の温度
で焼成する。焼成時間は、基材の材質及びその厚さによ
り異なるが、通常は１０〜４０分間程度である。上記塗
装方法のうち、吹きつけ塗装は、通常の塗装用ガンを用
い、吹きつけ圧力は約２〜３ｋｇｆ／ｃｍ²で、被塗装
面から１５〜３０ｃｍの距離を保って吹きつけることに
より行うことができる。薄く何回も重ねて吹きつけるこ
とにより均一な塗膜を得ることができる。また、浸漬又
は流しかけ塗装をする場合には、マッドクラックを避け
るために塗膜の厚さが２０μｍ以下になるようにするこ
とが好ましい。上記塗装方法のほか、必要に応じて、例
えば、はけ塗り塗装、静電塗装等を採用することができ
る。

【００２９】

【実施例】以下に本発明の実施例を掲げて本発明を更に
詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定さ
れるものではない。

【００３０】実施例１二酸化チタン（日本アエロジル社製、Ｐ−２５）２０．
７ｇを、水３１．１ｇに分散し、これにポリフロンＴＦ
ＥＥＫ−４３００ＣＲＮ（ダイキン工業社製）２３０
ｇを混合して塗料を調製した。プラスト処理したアルミ
ニウム板の表面に、プライマーとしてポリフロンＴＦＥ
エナメルＥＫ−１９０９ＢＫＮ（ダイキン工業社
製）をスプレー塗装し、赤外乾燥（約１００℃）で１５
分乾燥した。その後、この塗装表面に、ポリフロンＴＦ
ＥエナメルＥＫ−４３００ＣＲＮをスプレー塗装
し、赤外乾燥（約１００℃）で１５分乾燥後、３８０℃
で１５分焼成し、試験基板とした。上記により作成した
塗料を上記試験基板にスプレー塗装し、赤外乾燥（約１
００℃）で１５分乾燥後、３８０℃で１５分焼成し、塗
装板とした。

【００３１】（着色性評価試験）塗装板を太陽光に２４
時間照射した後、目視により、下記の基準で着色性の評
価をし、結果を表１に示した。 ○：黄変がなくなり、白色になった ×：黄変がなくならなかった

【００３２】（防汚性評価試験）僅かにフタをあけた２
０Ｌのデシケータ中に、塗装板を並べ、タバコ（ピー
ス）６本に火をつけて完全に燃焼後にフタを閉めて２４
時間放置した。その後、塗装板をデシケータ中から取り
出し、太陽光に２４時間照射した後、目視により防汚性
の評価を下記の基準で行い、結果を表１に示した。 ○：黄色のヤニがなくなり、白色を呈していた ×：黄色を呈したままであった

【００３３】比較例１実施例１で用いた試験基板の表面に、更に、ポリフロン
ＴＦＥエナメルＥＫ−４３００ＣＲＮをスプレー塗
装し、赤外乾燥（約１００℃）で１５分乾燥後、３８０
℃で１５分焼成し、塗装板とした。実施例１と同様の評
価を行い、表１に示した。

【００３４】

【表１】

【００３５】

【発明の効果】本発明の塗料組成物は、上述の構成より
なるので、黄変を防止して優れた装飾性を発揮し、しか
も防汚性、防臭性、抗菌性、防カビ性をも兼ね備えた塗
膜を形成することができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】フッ素樹脂ディスパージョンに光触媒作
用物質を含有させてなることを特徴とする塗料組成物。
【請求項２】最上層用塗料用として用いられることを
特徴とする請求項１記載の塗料組成物。