JPH09249847A - 着色組成物および着色部材の製造方法 - Google Patents
着色組成物および着色部材の製造方法Info
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- JPH09249847A JPH09249847A JP5984696A JP5984696A JPH09249847A JP H09249847 A JPH09249847 A JP H09249847A JP 5984696 A JP5984696 A JP 5984696A JP 5984696 A JP5984696 A JP 5984696A JP H09249847 A JPH09249847 A JP H09249847A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 製造プロセスの短縮が可能で、かつ着色層の
耐久性や色度が優れた高精細のカラーフィルタなど着色
部材を得るための着色組成物、および着色部材の製造方
法を提供する。 【構成】 赤色顔料、緑色顔料、青色顔料及び黒色顔料
から選択された1種の顔料;N−ビニルピロリドンある
いはその誘導体とアルケン化合物との共重合体からなる
分散剤;水性媒体;水に可溶な非プロトン性有機溶媒;
並びに、金属アルコキシドおよびその分解生成物から選
択された少なくとも1種の化合物を含有することを特徴
とする着色組成物である。
耐久性や色度が優れた高精細のカラーフィルタなど着色
部材を得るための着色組成物、および着色部材の製造方
法を提供する。 【構成】 赤色顔料、緑色顔料、青色顔料及び黒色顔料
から選択された1種の顔料;N−ビニルピロリドンある
いはその誘導体とアルケン化合物との共重合体からなる
分散剤;水性媒体;水に可溶な非プロトン性有機溶媒;
並びに、金属アルコキシドおよびその分解生成物から選
択された少なくとも1種の化合物を含有することを特徴
とする着色組成物である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーフィルタな
どの着色部材に着色を施すための着色組成物、および着
色部材の製造方法に関する。
どの着色部材に着色を施すための着色組成物、および着
色部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】以前より液晶表示素子は、小型のフラッ
トパネルディスプレイや電卓、時計、自動車用ディスプ
レイ、パーソナルコンピューター用ディスプレイなどに
広く使用されており、また小型液晶テレビに代表される
動画ディスプレイもすでに製品化されている。一方、近
年はフルカラーディスプレイの需要が急速な伸びを示し
ており、フルカラーディスプレイの要素部品であるカラ
ーフィルタの開発が活発に進められている。
トパネルディスプレイや電卓、時計、自動車用ディスプ
レイ、パーソナルコンピューター用ディスプレイなどに
広く使用されており、また小型液晶テレビに代表される
動画ディスプレイもすでに製品化されている。一方、近
年はフルカラーディスプレイの需要が急速な伸びを示し
ており、フルカラーディスプレイの要素部品であるカラ
ーフィルタの開発が活発に進められている。
【0003】これまで上述したようなカラーフィルタ
は、一般にR、G、Bの3色について、それぞれ色素成
分を含有するネガ型レジスト膜を基板上に形成し、パタ
ーン光を照射して所定の領域を選択的に硬化させた後未
硬化部を現像・除去することで作製されている。然るに
この場合、R、G、B用の3種類のレジストが必要とな
り、しかも成膜、露光、現像の工程を3度繰り返さなく
てはならず、工程数が多く製造プロセスが煩雑であると
いう問題点があった。
は、一般にR、G、Bの3色について、それぞれ色素成
分を含有するネガ型レジスト膜を基板上に形成し、パタ
ーン光を照射して所定の領域を選択的に硬化させた後未
硬化部を現像・除去することで作製されている。然るに
この場合、R、G、B用の3種類のレジストが必要とな
り、しかも成膜、露光、現像の工程を3度繰り返さなく
てはならず、工程数が多く製造プロセスが煩雑であると
いう問題点があった。
【0004】また最近、有機ポリシランに紫外線を照射
した後染料の溶液に浸漬させれば、光酸化された紫外線
照射部の有機ポリシラン膜を選択的に着色できることが
報告されており(Yokoyama et al,Chemistry Letters,
1563-1566,1991 )、これを利用してカラーフィルタを
作製することも試みられている。例えば特開平5−18
8215号には、下記一般式(1)で表される有機ポリ
シランの膜を基板上に形成した後、選択的な紫外線の照
射と染料の溶液への浸漬をR,G,Bの3色について繰
り返すカラーフィルタの製造方法が開示されている。
した後染料の溶液に浸漬させれば、光酸化された紫外線
照射部の有機ポリシラン膜を選択的に着色できることが
報告されており(Yokoyama et al,Chemistry Letters,
1563-1566,1991 )、これを利用してカラーフィルタを
作製することも試みられている。例えば特開平5−18
8215号には、下記一般式(1)で表される有機ポリ
シランの膜を基板上に形成した後、選択的な紫外線の照
射と染料の溶液への浸漬をR,G,Bの3色について繰
り返すカラーフィルタの製造方法が開示されている。
【0005】
【化1】
【0006】(ただし式中、R1 ,R2 ,R3 およびR
4 は、置換または非置換の炭化水素基であり、mおよび
nは整数である。) すなわちこのようなカラーフィルタの製造方法によれ
ば、現像の工程が一切不要となり、しかも成膜は1度だ
け行われれば足りるので、色素成分を含有するネガ型レ
ジスト膜を用いる通常の方法に比べ、製造プロセスを著
しく簡略化することができる。またR,G,Bの3色に
ついて成膜が一括して行われるので、得られる着色層の
表面が平坦で高精細なカラーフィルタを作製することが
可能である。しかしながら、有機ポリシラン膜の着色工
程においてこれまでに用いられてきた色素成分を含有す
る溶液では、紫外線照射部に染料や顔料などが吸着する
速度が遅く着色に当たって長時間を要し、さらに着色層
の耐久性や色度も不十分であった。
4 は、置換または非置換の炭化水素基であり、mおよび
nは整数である。) すなわちこのようなカラーフィルタの製造方法によれ
ば、現像の工程が一切不要となり、しかも成膜は1度だ
け行われれば足りるので、色素成分を含有するネガ型レ
ジスト膜を用いる通常の方法に比べ、製造プロセスを著
しく簡略化することができる。またR,G,Bの3色に
ついて成膜が一括して行われるので、得られる着色層の
表面が平坦で高精細なカラーフィルタを作製することが
可能である。しかしながら、有機ポリシラン膜の着色工
程においてこれまでに用いられてきた色素成分を含有す
る溶液では、紫外線照射部に染料や顔料などが吸着する
速度が遅く着色に当たって長時間を要し、さらに着色層
の耐久性や色度も不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、色素
成分を含有するネガ型レジスト膜を成膜、露光、現像し
て着色層を形成する従来のカラーフィルタの製造方法
は、製造プロセスが煩雑であるためその簡略化が望まれ
ていた。一方このようなネガ型レジスト膜の代わりに特
定の有機ポリシランを用い、有機ポリシラン膜の紫外線
照射部を選択的に着色することで現像の工程を不要化し
た技術も提案されているが、有機ポリシラン膜が十分に
着色されるまでの時間が長く、かつ得られる着色層の耐
久性や色度も劣るという問題があった。
成分を含有するネガ型レジスト膜を成膜、露光、現像し
て着色層を形成する従来のカラーフィルタの製造方法
は、製造プロセスが煩雑であるためその簡略化が望まれ
ていた。一方このようなネガ型レジスト膜の代わりに特
定の有機ポリシランを用い、有機ポリシラン膜の紫外線
照射部を選択的に着色することで現像の工程を不要化し
た技術も提案されているが、有機ポリシラン膜が十分に
着色されるまでの時間が長く、かつ得られる着色層の耐
久性や色度も劣るという問題があった。
【0008】本発明はこれらの問題を解決して、製造プ
ロセスの短縮が可能で、かつ着色層の耐久性や色度が優
れた高精細のカラーフィルタなど着色部材を得るための
着色組成物、および着色部材の製造方法を提供すること
を目的とする。
ロセスの短縮が可能で、かつ着色層の耐久性や色度が優
れた高精細のカラーフィルタなど着色部材を得るための
着色組成物、および着色部材の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた本発明は、顔料;N−ビニルピロリドンある
いはその誘導体とアルケン化合物との共重合体からなる
分散剤;水性媒体;水に可溶な非プロトン性有機溶媒;
並びに、金属アルコキシドおよびその分解生成物から選
択された少なくとも1種の化合物を含有することを特徴
とする着色組成物、およびこうした着色組成物を用いた
カラーフィルタなど着色部材の製造方法である。以下に
本発明の着色組成物を詳細に説明する。
になされた本発明は、顔料;N−ビニルピロリドンある
いはその誘導体とアルケン化合物との共重合体からなる
分散剤;水性媒体;水に可溶な非プロトン性有機溶媒;
並びに、金属アルコキシドおよびその分解生成物から選
択された少なくとも1種の化合物を含有することを特徴
とする着色組成物、およびこうした着色組成物を用いた
カラーフィルタなど着色部材の製造方法である。以下に
本発明の着色組成物を詳細に説明する。
【0010】本発明の着色組成物に配合される顔料とし
ては、カーボンブラック、フタロシアニン系、スレン
系、アゾ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、アンス
ラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、アゾメチン
系、ペリレン、ペリノン系、イソインドリノン系、酸化
チタン系、およびその他の金属酸化物等が挙げられる。
ては、カーボンブラック、フタロシアニン系、スレン
系、アゾ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、アンス
ラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、アゾメチン
系、ペリレン、ペリノン系、イソインドリノン系、酸化
チタン系、およびその他の金属酸化物等が挙げられる。
【0011】本発明の着色組成物における分散剤は、N
−ビニルピロリドンあるいはその誘導体とアルケン化合
物との共重合体である。N−ビニルピロリドン誘導体と
しては、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニ
ル−5−エチルピロリドン、N−ビニル5,5−ジメチ
ルピロリドン、N−ビニル5,5−ジエチルピロリド
ン、N−ビニル−5−メチル−5−エチルピロリドンが
特に好ましい。アルケン化合物としては、炭素数2から
6までのものが好ましく、特に1−ブテン、1−ペンテ
ンが好ましい。
−ビニルピロリドンあるいはその誘導体とアルケン化合
物との共重合体である。N−ビニルピロリドン誘導体と
しては、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニ
ル−5−エチルピロリドン、N−ビニル5,5−ジメチ
ルピロリドン、N−ビニル5,5−ジエチルピロリド
ン、N−ビニル−5−メチル−5−エチルピロリドンが
特に好ましい。アルケン化合物としては、炭素数2から
6までのものが好ましく、特に1−ブテン、1−ペンテ
ンが好ましい。
【0012】このような組成の共重合体の分子量は特に
限定されないが、着色組成物の粘度および製造される着
色層の品質等の点から、1,000〜100,000の
範囲であることが好ましい。かかる共重合体において
は、N−ビニルピロリドン由来の側鎖が親水性を有して
おり、一方、主鎖およびアルケン化合物由来の側鎖は疎
水性を有している。したがって、水性媒体への溶解性を
有しているとともに、顔料表面の疎水性部分に吸着する
ことができるため、この共重合体は顔料の分散剤として
機能する。
限定されないが、着色組成物の粘度および製造される着
色層の品質等の点から、1,000〜100,000の
範囲であることが好ましい。かかる共重合体において
は、N−ビニルピロリドン由来の側鎖が親水性を有して
おり、一方、主鎖およびアルケン化合物由来の側鎖は疎
水性を有している。したがって、水性媒体への溶解性を
有しているとともに、顔料表面の疎水性部分に吸着する
ことができるため、この共重合体は顔料の分散剤として
機能する。
【0013】水性媒体としては、水あるいは水と親水性
有機溶媒との混合物を使用することができる。この親水
性有機溶媒としては、エタノール、ノルマルプロパノー
ル、イソプロパノール、ノルマルブタノール、セカンダ
リーブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール
類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸
エチル、乳酸エチル、エチレンカルボナート等のエステ
ル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミ
ン、アミノエチルエタノールアミン等のアルカノールア
ミン類;ホルムアミド、N−ジメチルホルムアミド、N
−ヒドロキシメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等のアミド類;ジオキサン等のエーテル類;エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレング
リコール、グリセリン等の多価アルコール類;エチレン
グリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレン
グリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2
−ピロリドン、N−ビニルピロリドン、β−ヒドロキシ
エチルピロリドン、N−メチルピロリドン等の含窒素環
状化合物等が挙げられる。
有機溶媒との混合物を使用することができる。この親水
性有機溶媒としては、エタノール、ノルマルプロパノー
ル、イソプロパノール、ノルマルブタノール、セカンダ
リーブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール
類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸
エチル、乳酸エチル、エチレンカルボナート等のエステ
ル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミ
ン、アミノエチルエタノールアミン等のアルカノールア
ミン類;ホルムアミド、N−ジメチルホルムアミド、N
−ヒドロキシメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等のアミド類;ジオキサン等のエーテル類;エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレング
リコール、グリセリン等の多価アルコール類;エチレン
グリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレン
グリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2
−ピロリドン、N−ビニルピロリドン、β−ヒドロキシ
エチルピロリドン、N−メチルピロリドン等の含窒素環
状化合物等が挙げられる。
【0014】上述した顔料は、水性媒体中に分散剤によ
り分散させて、水性色素組成物を調製しておく。なお、
各成分は、互いの親和性や顔料の分散安定性および粘度
等所望の特性を満足し得るように選択して使用すること
ができる。
り分散させて、水性色素組成物を調製しておく。なお、
各成分は、互いの親和性や顔料の分散安定性および粘度
等所望の特性を満足し得るように選択して使用すること
ができる。
【0015】一般的に色素成分としては、耐光性や耐水
性の点で染料より顔料の方が有利であることが知られて
いるが、色素成分として使用する場合には、顔料粒子を
溶媒中に微粒子状に分散して安定化しなければ顔料の分
散不良や凝集が起こってしまう。その結果、着色組成物
として使用する場合に着色性の低下や保存安定性の悪化
など、着色組成物適性の欠如として現れる。本発明の着
色組成物においては、上述したような分散剤を使用して
いるので、着色組成物としての諸特性を悪化させずに長
期間の分散安定性を保つことができる。なお、本発明で
用いられる分散剤は、有機顔料やカーボンブラックとい
った炭素系顔料の分散安定性を高めるうえで特に有効で
ある。
性の点で染料より顔料の方が有利であることが知られて
いるが、色素成分として使用する場合には、顔料粒子を
溶媒中に微粒子状に分散して安定化しなければ顔料の分
散不良や凝集が起こってしまう。その結果、着色組成物
として使用する場合に着色性の低下や保存安定性の悪化
など、着色組成物適性の欠如として現れる。本発明の着
色組成物においては、上述したような分散剤を使用して
いるので、着色組成物としての諸特性を悪化させずに長
期間の分散安定性を保つことができる。なお、本発明で
用いられる分散剤は、有機顔料やカーボンブラックとい
った炭素系顔料の分散安定性を高めるうえで特に有効で
ある。
【0016】顔料、分散剤および水性媒体を配合して得
られた色素組成物において、顔料の配合割合は特に限定
されないが、一般的には色素組成物中1〜20wt%で
あることが好ましい。1wt%未満であると、被着色膜
を十分な濃度で着色することが困難となり、一方、20
wt%を越えると多量の分散剤の配合が必要となり、粘
度の上昇を招くおそれがある。また、分散剤の配合量
は、顔料の種類等によっても異なり、色素組成物の粘度
に与える影響によっても一概に規定し得るものではない
が、顔料100重量部に対して大体10〜120重量部
であることが好ましい。10重量部未満であると、顔料
の分散が不安定となるおそれがあり、120重量部を越
えると粘度上昇のおそれたある。また本発明で、残部の
水性媒体について水と親水性有機溶媒との混合物を使用
する場合には、親水性溶媒の割合は水100重量部に対
して100重量部以下とすることが好ましい。100重
量部を越えると、顔料が凝集するおそれがある。
られた色素組成物において、顔料の配合割合は特に限定
されないが、一般的には色素組成物中1〜20wt%で
あることが好ましい。1wt%未満であると、被着色膜
を十分な濃度で着色することが困難となり、一方、20
wt%を越えると多量の分散剤の配合が必要となり、粘
度の上昇を招くおそれがある。また、分散剤の配合量
は、顔料の種類等によっても異なり、色素組成物の粘度
に与える影響によっても一概に規定し得るものではない
が、顔料100重量部に対して大体10〜120重量部
であることが好ましい。10重量部未満であると、顔料
の分散が不安定となるおそれがあり、120重量部を越
えると粘度上昇のおそれたある。また本発明で、残部の
水性媒体について水と親水性有機溶媒との混合物を使用
する場合には、親水性溶媒の割合は水100重量部に対
して100重量部以下とすることが好ましい。100重
量部を越えると、顔料が凝集するおそれがある。
【0017】上述したような色素組成物は、任意の方法
で調製することができる。例えば、上記の各種成分を配
合し、これをホモミキサー、ボールミル、サンドグライ
ンダー、スピードラインミル、ロールミル等の既知の分
散機により顔料を混合分散することで、色素組成物が得
られる。
で調製することができる。例えば、上記の各種成分を配
合し、これをホモミキサー、ボールミル、サンドグライ
ンダー、スピードラインミル、ロールミル等の既知の分
散機により顔料を混合分散することで、色素組成物が得
られる。
【0018】本発明の着色組成物における水に可溶な非
プロトン性有機溶媒は、着色工程の際に顔料の吸着を促
進する作用を有する。この非プロトン性有機溶媒の配合
量は、着色組成物中1wt%以上30wt%以下である
ことが好ましい。1wt%未満であると、着色に要する
時間をさほど短縮することができず、一方、30wt%
を越えると、着色の工程での膜の溶出が促進される傾向
があるからである。水に可溶な非プロトン性有機溶媒と
しては、例えば、アセトニトリル、ジオキサン、テトラ
ヒドロフラン、およびセロソルブ等を使用することがで
きる。
プロトン性有機溶媒は、着色工程の際に顔料の吸着を促
進する作用を有する。この非プロトン性有機溶媒の配合
量は、着色組成物中1wt%以上30wt%以下である
ことが好ましい。1wt%未満であると、着色に要する
時間をさほど短縮することができず、一方、30wt%
を越えると、着色の工程での膜の溶出が促進される傾向
があるからである。水に可溶な非プロトン性有機溶媒と
しては、例えば、アセトニトリル、ジオキサン、テトラ
ヒドロフラン、およびセロソルブ等を使用することがで
きる。
【0019】金属アルコキシドあるいはその分解生成物
は、一般にゾル溶液として本発明の着色組成物に配合す
る。例えば、金属アルコキシドおよびその分解生成物の
少なくとも一方を含有するゾル溶液中に、上述したよう
な色素組成物を配合して着色ゾルを調製することがで
き、ここでのゾル溶液の溶媒としては、色素組成物の場
合と同様の水性媒体などが用いられ得る。これにより、
水やアルコールなどの溶媒には不溶である顔料を着色ゾ
ル中に分散させたうえで吸着させることが可能となるの
で、顔料の選択の幅が広められる。また、着色ゾルを用
いることで、特にそれぞれ異なる顔料を配合して有機ケ
イ素化合物膜の互いに異なる領域に吸着させて着色層を
多色化する場合、すでに所定の領域が顔料で着色された
有機ケイ素化合物膜を、これとは異なる顔料を含有する
溶液に浸漬した際に、先に吸着された顔料が溶液中に放
出され難くなる。
は、一般にゾル溶液として本発明の着色組成物に配合す
る。例えば、金属アルコキシドおよびその分解生成物の
少なくとも一方を含有するゾル溶液中に、上述したよう
な色素組成物を配合して着色ゾルを調製することがで
き、ここでのゾル溶液の溶媒としては、色素組成物の場
合と同様の水性媒体などが用いられ得る。これにより、
水やアルコールなどの溶媒には不溶である顔料を着色ゾ
ル中に分散させたうえで吸着させることが可能となるの
で、顔料の選択の幅が広められる。また、着色ゾルを用
いることで、特にそれぞれ異なる顔料を配合して有機ケ
イ素化合物膜の互いに異なる領域に吸着させて着色層を
多色化する場合、すでに所定の領域が顔料で着色された
有機ケイ素化合物膜を、これとは異なる顔料を含有する
溶液に浸漬した際に、先に吸着された顔料が溶液中に放
出され難くなる。
【0020】なお、ここでの金属アルコキシドは半金属
のアルコキシドであってもよく、例えば、ケイ素やアル
ミニウム、ジルコニウム、チタンなどのエトキシドをア
ルコールと水との混合溶液に溶解または分散させ、次い
で酸を加えてゾル化させて調製される。ゾル溶液におけ
る金属アルコキシドあるいはその分解生成物の配合量
は、通常、溶媒に対し1wt%以上70wt%以下程度
である。1wt%未満であると着色層における大きな耐
久性の向上を期待し難く、一方70wt%を越えると、
溶液の流動性が失われるおそれがある。
のアルコキシドであってもよく、例えば、ケイ素やアル
ミニウム、ジルコニウム、チタンなどのエトキシドをア
ルコールと水との混合溶液に溶解または分散させ、次い
で酸を加えてゾル化させて調製される。ゾル溶液におけ
る金属アルコキシドあるいはその分解生成物の配合量
は、通常、溶媒に対し1wt%以上70wt%以下程度
である。1wt%未満であると着色層における大きな耐
久性の向上を期待し難く、一方70wt%を越えると、
溶液の流動性が失われるおそれがある。
【0021】さらに本発明の着色組成物では、上述した
ようなゾル溶液の配合量が着色組成物中1〜50wt%
であることが好ましい。1wt%未満であると、着色層
における大きな耐久性の向上を期待し難く、一方、50
wt%を越えると、粘度の上昇を招くおそれがある。こ
のとき、こうしたゾル溶液を配合した着色組成物中の金
属アルコキシドあるいはその分解生成物の配合割合は、
0.01wt%以上20wt%以下程度に調整される。
ようなゾル溶液の配合量が着色組成物中1〜50wt%
であることが好ましい。1wt%未満であると、着色層
における大きな耐久性の向上を期待し難く、一方、50
wt%を越えると、粘度の上昇を招くおそれがある。こ
のとき、こうしたゾル溶液を配合した着色組成物中の金
属アルコキシドあるいはその分解生成物の配合割合は、
0.01wt%以上20wt%以下程度に調整される。
【0022】本発明において、特にケイ素のアルコキシ
ドあるいはその分解生成物のゾル溶液については、有機
ケイ素化合物膜を浸漬したときにこのケイ素のアルコキ
シドあるいはその分解生成物が顔料とともに吸着して、
有機ケイ素化合物膜を加熱乾燥した際、有機ポリシラン
への紫外線の照射で生成したシラノール性水酸基と相互
に反応する。従って、架橋成分としてのSi−O−Si
結合の三次元構造に直接関与することになり、本発明の
着色組成物を用いて作製した着色部材における着色層の
耐久性などの向上に寄与する。なおここで、ケイ素のア
ルコキシドあるいはその分解生成物と有機ポリシランへ
の紫外線の照射で生成したシラノール性水酸基との反応
を促進させる触媒がゾル溶液中に配合されていてもよ
い。
ドあるいはその分解生成物のゾル溶液については、有機
ケイ素化合物膜を浸漬したときにこのケイ素のアルコキ
シドあるいはその分解生成物が顔料とともに吸着して、
有機ケイ素化合物膜を加熱乾燥した際、有機ポリシラン
への紫外線の照射で生成したシラノール性水酸基と相互
に反応する。従って、架橋成分としてのSi−O−Si
結合の三次元構造に直接関与することになり、本発明の
着色組成物を用いて作製した着色部材における着色層の
耐久性などの向上に寄与する。なおここで、ケイ素のア
ルコキシドあるいはその分解生成物と有機ポリシランへ
の紫外線の照射で生成したシラノール性水酸基との反応
を促進させる触媒がゾル溶液中に配合されていてもよ
い。
【0023】上述したような本発明の着色組成物は、赤
(R)、緑(G)、青(B)、黒など各色について、そ
れぞれ適切な割合で各成分を配合して調製することがで
きる。
(R)、緑(G)、青(B)、黒など各色について、そ
れぞれ適切な割合で各成分を配合して調製することがで
きる。
【0024】本発明の着色部材の製造方法で用いられる
有機ポリシランは、特に限定されるものではなく、例え
ば、上記一般式(1)で表される有機ポリシランを使用
することができる。このような有機ポリシランの膜は、
その所定の領域に紫外線を照射した後顔料を含有する溶
液に浸漬すると、紫外線照射部が選択的に着色される。
すなわち一般に有機ポリシランは、紫外線のエネルギー
を吸収するとSi−Si結合が切断された後大気中の酸
素や水分などを取り込んで酸化され、1個のケイ素原子
につき2個のシラノール性水酸基を生成し得るので、有
機ポリシラン膜の紫外線照射部にはこのシラノール性水
酸基と顔料との相互作用に基づき顔料が吸着される。
有機ポリシランは、特に限定されるものではなく、例え
ば、上記一般式(1)で表される有機ポリシランを使用
することができる。このような有機ポリシランの膜は、
その所定の領域に紫外線を照射した後顔料を含有する溶
液に浸漬すると、紫外線照射部が選択的に着色される。
すなわち一般に有機ポリシランは、紫外線のエネルギー
を吸収するとSi−Si結合が切断された後大気中の酸
素や水分などを取り込んで酸化され、1個のケイ素原子
につき2個のシラノール性水酸基を生成し得るので、有
機ポリシラン膜の紫外線照射部にはこのシラノール性水
酸基と顔料との相互作用に基づき顔料が吸着される。
【0025】さらに本発明においては、下記一般式
(2)〜(4)のいずれかで表される繰返し単位を有す
る有機ポリシランを使用することが好ましい。
(2)〜(4)のいずれかで表される繰返し単位を有す
る有機ポリシランを使用することが好ましい。
【0026】
【化2】
【0027】(ただし式中、R5 は置換または非置換の
炭化水素基、R6 は置換もしくは非置換の炭化水素基ま
たはアシル基、R7 は置換もしくは非置換のシリル基ま
たはポリシラン骨格である。) 上記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される繰返し
単位を有する有機ポリシランは、その側鎖でケイ素原子
と直接結合した水素原子、アルコキシ基もしくはアシロ
キシ基あるいはシリル基もまた、紫外線を照射すること
でシラノール性水酸基に変化する。従って紫外線に対す
る感度が高まるとともに、1個のケイ素原子につき3個
のシラノール性水酸基を生成させることができるので、
結果的に顔料が吸着される速度が著しく速められ、着色
に要する時間の大幅な短縮が可能となる。
炭化水素基、R6 は置換もしくは非置換の炭化水素基ま
たはアシル基、R7 は置換もしくは非置換のシリル基ま
たはポリシラン骨格である。) 上記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される繰返し
単位を有する有機ポリシランは、その側鎖でケイ素原子
と直接結合した水素原子、アルコキシ基もしくはアシロ
キシ基あるいはシリル基もまた、紫外線を照射すること
でシラノール性水酸基に変化する。従って紫外線に対す
る感度が高まるとともに、1個のケイ素原子につき3個
のシラノール性水酸基を生成させることができるので、
結果的に顔料が吸着される速度が著しく速められ、着色
に要する時間の大幅な短縮が可能となる。
【0028】またここで用いられる有機ポリシランは、
紫外線を照射することで上述したような繰返し単位中の
ケイ素原子1個について3個のシラノール性水酸基が生
成するので、その光酸化物であるSi−O−Si結合の
三次元構造を有するケイ素系マトリックスにおいて、こ
のケイ素原子の4本の結合手中1本が有機残基と結合
し、残りの3本はSi−O−Si結合に供される。すな
わち、1個のSi−C結合を有するケイ素原子が、Si
−O−Si結合で三次元化された構造のケイ素系マトリ
ックスを形成することができ、ひいてはケイ素系マトリ
ックス中に顔料が含有されてなる着色層の耐久性や機械
的強度が高められる。このとき、1個のSi−C結合を
有するケイ素原子でケイ素系マトリックスが形成される
と着色層の耐久性や機械的強度が高められる理由は、次
のとおりである。すなわち、2個以上のSi−C結合を
有するケイ素原子では、本質的にSi−O−Si結合の
三次元構造が得られず、またケイ素原子がSi−C結合
を有さずその4本の結合手が全てSi−O−Si結合に
供されると、形成されるケイ素系マトリックスの可撓性
が低下するからである。
紫外線を照射することで上述したような繰返し単位中の
ケイ素原子1個について3個のシラノール性水酸基が生
成するので、その光酸化物であるSi−O−Si結合の
三次元構造を有するケイ素系マトリックスにおいて、こ
のケイ素原子の4本の結合手中1本が有機残基と結合
し、残りの3本はSi−O−Si結合に供される。すな
わち、1個のSi−C結合を有するケイ素原子が、Si
−O−Si結合で三次元化された構造のケイ素系マトリ
ックスを形成することができ、ひいてはケイ素系マトリ
ックス中に顔料が含有されてなる着色層の耐久性や機械
的強度が高められる。このとき、1個のSi−C結合を
有するケイ素原子でケイ素系マトリックスが形成される
と着色層の耐久性や機械的強度が高められる理由は、次
のとおりである。すなわち、2個以上のSi−C結合を
有するケイ素原子では、本質的にSi−O−Si結合の
三次元構造が得られず、またケイ素原子がSi−C結合
を有さずその4本の結合手が全てSi−O−Si結合に
供されると、形成されるケイ素系マトリックスの可撓性
が低下するからである。
【0029】さらに本発明では、上述したようなSi−
C結合を1個有するケイ素原子について、残りの3本の
結合手が必ずしもSi−O−Si結合に供されていなく
てもよく、例えば有機ポリシランの主鎖のSi−Si結
合が多少残留されていても構わない。また、有機ポリシ
ランの光酸化に基づくSi−O−Si結合だけでケイ素
系マトリックスが形成されていなくてもよく、上述した
通り、顔料とともに吸着したケイ素のアルコキシドがS
i−O−Si結合の三次元構造に関与していても構わな
い。ただし、高い耐久性および機械的強度を有する着色
層を得る観点からは、Si−O−Si結合の三次元構造
を有するケイ素系マトリックスの全ケイ素原子中、Si
−C結合を1個有するケイ素原子が5atom%以上含
有されることが好ましい。
C結合を1個有するケイ素原子について、残りの3本の
結合手が必ずしもSi−O−Si結合に供されていなく
てもよく、例えば有機ポリシランの主鎖のSi−Si結
合が多少残留されていても構わない。また、有機ポリシ
ランの光酸化に基づくSi−O−Si結合だけでケイ素
系マトリックスが形成されていなくてもよく、上述した
通り、顔料とともに吸着したケイ素のアルコキシドがS
i−O−Si結合の三次元構造に関与していても構わな
い。ただし、高い耐久性および機械的強度を有する着色
層を得る観点からは、Si−O−Si結合の三次元構造
を有するケイ素系マトリックスの全ケイ素原子中、Si
−C結合を1個有するケイ素原子が5atom%以上含
有されることが好ましい。
【0030】また、上記一般式(2)〜(4)のいずれ
かで表される繰返し単位を有する有機ポリシランについ
ても、この繰返し単位のみからなるホモポリマーに特に
限定されない。例えば、下記一般式(5)で表されるよ
うな他の繰返し単位とのコポリマーであっても何等差し
支えなく、要は有機溶媒に可溶で、ある程度透光性を有
する均一な膜を形成できるものであればよい。
かで表される繰返し単位を有する有機ポリシランについ
ても、この繰返し単位のみからなるホモポリマーに特に
限定されない。例えば、下記一般式(5)で表されるよ
うな他の繰返し単位とのコポリマーであっても何等差し
支えなく、要は有機溶媒に可溶で、ある程度透光性を有
する均一な膜を形成できるものであればよい。
【0031】
【化3】
【0032】(ただし式中、R8 、R9 は、置換または
非置換の炭化水素基である。) ここで、上記一般式(1)〜(5)中のR1 〜R6 ,R
8 およびR9 として導入される炭化水素基は、脂肪族炭
化水素基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基で
あればよく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、ア
ントラニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、およ
びアルキル基などが挙げられる。さらにこれらはハロゲ
ン原子やエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結
合などを有する特性基、水酸基、チオール基、カルボン
酸基などの親水性基で置換されていてもよい。一方、上
記一般式(3)中のR6 については、一般的なメチル
基、エチル基などでもよいが、貯蔵安定性の観点からイ
ソプロピル基、ターシャリブチル基が特に好ましい。ま
た、このような有機ポリシランは直線状の一次元ポリマ
ーであってもよいが、上記一般式(4)中のR7 がポリ
シラン骨格である繰り返し単位を有する有機ポリシラン
は、その主鎖がSi−Si結合を介して部分的に架橋さ
れた網目状ポリマーであるため、成膜、露光後の着色工
程において顔料を含有する溶液に浸漬された際、膜の溶
出が抑えられる点で好ましい。
非置換の炭化水素基である。) ここで、上記一般式(1)〜(5)中のR1 〜R6 ,R
8 およびR9 として導入される炭化水素基は、脂肪族炭
化水素基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基で
あればよく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、ア
ントラニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、およ
びアルキル基などが挙げられる。さらにこれらはハロゲ
ン原子やエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結
合などを有する特性基、水酸基、チオール基、カルボン
酸基などの親水性基で置換されていてもよい。一方、上
記一般式(3)中のR6 については、一般的なメチル
基、エチル基などでもよいが、貯蔵安定性の観点からイ
ソプロピル基、ターシャリブチル基が特に好ましい。ま
た、このような有機ポリシランは直線状の一次元ポリマ
ーであってもよいが、上記一般式(4)中のR7 がポリ
シラン骨格である繰り返し単位を有する有機ポリシラン
は、その主鎖がSi−Si結合を介して部分的に架橋さ
れた網目状ポリマーであるため、成膜、露光後の着色工
程において顔料を含有する溶液に浸漬された際、膜の溶
出が抑えられる点で好ましい。
【0033】以下に、本発明で用いられ得る好ましい有
機ポリシランの具体例を示す。
機ポリシランの具体例を示す。
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】
【化7】
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
【0045】
【化15】
【0046】式中、n,m,kは重合度を示す。
【0047】これらの中で式中PSで表されるポリシラ
ン骨格を有するものが、主鎖がSi−Si結合を介して
部分的に架橋された網目状ポリマーの有機ポリシランで
ある。なお本発明で用いられる有機ポリシランは、同様
に着色の工程における膜の溶出を抑制する観点から、S
i−Si結合以外の結合を介して主鎖が部分的に架橋さ
れていてもよい。
ン骨格を有するものが、主鎖がSi−Si結合を介して
部分的に架橋された網目状ポリマーの有機ポリシランで
ある。なお本発明で用いられる有機ポリシランは、同様
に着色の工程における膜の溶出を抑制する観点から、S
i−Si結合以外の結合を介して主鎖が部分的に架橋さ
れていてもよい。
【0048】すなわち、本発明で用いられる有機ポリシ
ランの主鎖が部分的に架橋されていると、上述したよう
に着色の工程における膜の溶出が抑えられることで、得
られる着色層における表面の凹凸に起因する色ムラなど
を抑制することができ、かつ着色層の耐久性なども向上
し得る。Si−Si結合以外の結合を介して主鎖を部分
的に架橋させる場合、架橋剤として多官能性シリコーン
化合物や一分子中に複数の二重結合あるいは三重結合を
有する化合物を、必要に応じて架橋反応の触媒とともに
有機ポリシランに配合し、成膜の前または成膜の後加熱
あるいは光照射などで架橋反応を進めればよい。なお着
色の工程における膜の溶出を抑えることを考慮すると、
架橋反応は着色工程に先立って行われる必要があるが、
単に着色層の耐久性を向上させるうえでは、着色工程の
後に架橋反応が行なわれても構わない。
ランの主鎖が部分的に架橋されていると、上述したよう
に着色の工程における膜の溶出が抑えられることで、得
られる着色層における表面の凹凸に起因する色ムラなど
を抑制することができ、かつ着色層の耐久性なども向上
し得る。Si−Si結合以外の結合を介して主鎖を部分
的に架橋させる場合、架橋剤として多官能性シリコーン
化合物や一分子中に複数の二重結合あるいは三重結合を
有する化合物を、必要に応じて架橋反応の触媒とともに
有機ポリシランに配合し、成膜の前または成膜の後加熱
あるいは光照射などで架橋反応を進めればよい。なお着
色の工程における膜の溶出を抑えることを考慮すると、
架橋反応は着色工程に先立って行われる必要があるが、
単に着色層の耐久性を向上させるうえでは、着色工程の
後に架橋反応が行なわれても構わない。
【0049】また本発明において上述したような有機ポ
リシランは、その重量平均分子量が2,000〜100,000,000
であることが好ましい。何となれば重量平均分子量が
2,000未満だと、成膜後の着色の工程で膜が部分的に顔
料を含有する溶液中に溶出して着色層の表面平坦性が損
なわれるおそれがあり、逆に重量平均分子量が100,000,
000 を越えると、有機ポリシランの溶媒可溶性が低下し
て成膜が困難となるからである。
リシランは、その重量平均分子量が2,000〜100,000,000
であることが好ましい。何となれば重量平均分子量が
2,000未満だと、成膜後の着色の工程で膜が部分的に顔
料を含有する溶液中に溶出して着色層の表面平坦性が損
なわれるおそれがあり、逆に重量平均分子量が100,000,
000 を越えると、有機ポリシランの溶媒可溶性が低下し
て成膜が困難となるからである。
【0050】なおこうした有機ポリシランは、ジクロロ
シランの還元的カップリング反応、電解重合などによっ
て合成することができる。具体的には、上記一般式
(2)〜(4)のいずれかで表される繰返し単位を有す
る有機ポリシランを例にとると、ナトリウム触媒共存下
でのR5 SiHCl2 、R5 Si(OR6 )Cl2 ある
いはR5 SiCl3 の還元的カップリング反応、電解重
合などによって直接合成され得る。さらに上述した通り
コポリマーを合成してもよく、例えば還元的カップリン
グ反応によって合成する場合、R8 R9 SiCl2 と共
重合させればよい。また重合度を制御する観点から、R
5 SiHACl、R5 Si(OR6 )ACl(ただしA
は末端基を示す。)などを適宜共重合させてもよい。た
だし還元的カップリング反応で有機ポリシランを合成す
ると、ナトリウム触媒がイオン性不純物となって有機ポ
リシラン中に残留するため、この有機ポリシランおよび
顔料を用いて作製した着色部材を液晶表示素子のカラー
フィルタに適用するような場合は、素子の性能低下を招
くことがある。
シランの還元的カップリング反応、電解重合などによっ
て合成することができる。具体的には、上記一般式
(2)〜(4)のいずれかで表される繰返し単位を有す
る有機ポリシランを例にとると、ナトリウム触媒共存下
でのR5 SiHCl2 、R5 Si(OR6 )Cl2 ある
いはR5 SiCl3 の還元的カップリング反応、電解重
合などによって直接合成され得る。さらに上述した通り
コポリマーを合成してもよく、例えば還元的カップリン
グ反応によって合成する場合、R8 R9 SiCl2 と共
重合させればよい。また重合度を制御する観点から、R
5 SiHACl、R5 Si(OR6 )ACl(ただしA
は末端基を示す。)などを適宜共重合させてもよい。た
だし還元的カップリング反応で有機ポリシランを合成す
ると、ナトリウム触媒がイオン性不純物となって有機ポ
リシラン中に残留するため、この有機ポリシランおよび
顔料を用いて作製した着色部材を液晶表示素子のカラー
フィルタに適用するような場合は、素子の性能低下を招
くことがある。
【0051】さらに、上記一般式(2)または(4)で
表される繰返し単位を有する有機ポリシランについて
は、チタンあるいはジルコニウム触媒共存下でのR5 S
iH3の脱水素反応でも直接合成することが可能であ
る。また、このようにして合成された一般式(2)で表
される繰返し単位を有する有機ポリシランに対し、カル
ボニル化合物をラジカル的に付加させれば、一般式
(3)で表される繰返し単位を有する有機ポリシランを
合成でき、高温での加熱処理を施せば一般式(4)で表
される繰返し単位を有する有機ポリシランを合成するこ
とも可能である。なお、一般式(4)で表される繰返し
単位を有する有機ポリシランのように、主鎖がSi−S
i結合を介して部分的に架橋された網目状ポリマーは、
酸性あるいは塩基性化合物、または加熱や光照射で酸性
あるいは塩基性化合物をトリガとして発生させる化合物
を対応する直線状の一次元ポリマーに配合して、これら
を触媒として直線状の一次元ポリマーの架橋を進めるこ
とでも合成することができる。
表される繰返し単位を有する有機ポリシランについて
は、チタンあるいはジルコニウム触媒共存下でのR5 S
iH3の脱水素反応でも直接合成することが可能であ
る。また、このようにして合成された一般式(2)で表
される繰返し単位を有する有機ポリシランに対し、カル
ボニル化合物をラジカル的に付加させれば、一般式
(3)で表される繰返し単位を有する有機ポリシランを
合成でき、高温での加熱処理を施せば一般式(4)で表
される繰返し単位を有する有機ポリシランを合成するこ
とも可能である。なお、一般式(4)で表される繰返し
単位を有する有機ポリシランのように、主鎖がSi−S
i結合を介して部分的に架橋された網目状ポリマーは、
酸性あるいは塩基性化合物、または加熱や光照射で酸性
あるいは塩基性化合物をトリガとして発生させる化合物
を対応する直線状の一次元ポリマーに配合して、これら
を触媒として直線状の一次元ポリマーの架橋を進めるこ
とでも合成することができる。
【0052】ここで、ジルコニウム触媒を用いた脱水素
反応を経て合成された有機ポリシランは、イオン性不純
物が全く含有されないばかりか、ポリマー末端でケイ素
原子と結合したシラノール性水酸基が生成されることも
なく、成膜、露光後の着色の工程において紫外線照射部
以外の領域への顔料の吸着を有効に抑えることができ
る。なかでも、ジルコニウム触媒を用いた脱水素反応を
経て合成された下記一般式(6)で表される有機ポリシ
ランは、工業的な合成プロセスの簡便性、経済性の点で
特に有利である。
反応を経て合成された有機ポリシランは、イオン性不純
物が全く含有されないばかりか、ポリマー末端でケイ素
原子と結合したシラノール性水酸基が生成されることも
なく、成膜、露光後の着色の工程において紫外線照射部
以外の領域への顔料の吸着を有効に抑えることができ
る。なかでも、ジルコニウム触媒を用いた脱水素反応を
経て合成された下記一般式(6)で表される有機ポリシ
ランは、工業的な合成プロセスの簡便性、経済性の点で
特に有利である。
【0053】
【化16】
【0054】上記式中、nは重合度を示す。
【0055】上述したような有機ポリシランおよび着色
組成物を用いて着色部材を製造する場合、まず有機ポリ
シランを含有する溶液を調製して透光性のガラスや樹脂
などからなる透明基板上に塗布した後、50〜150℃
程度の温度で乾燥させて溶媒を揮発させ、有機ポリシラ
ンを主体とした有機ケイ素化合物膜を成膜する。このと
き有機ポリシランの溶媒としては、トルエン、キシレ
ン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチル
アセテートセロソルブ、ブチロラクトン、ブチル乳酸な
どを用いることができ、有機ポリシランを1〜50wt
%含有する溶液を調製し、必要に応じて0.1μm程度
のフィルタで濾過した後、透明基板上にスピンコートす
ればよい。また、透明基板上に成膜される有機ケイ素化
合物膜の膜厚は、0.1〜5μm程度が好ましい。何と
なれば、0.1μm未満だと、得られる着色層中におけ
る顔料の含有量が不十分となるおそれがあり、逆に5μ
mを越えて厚いと、着色の工程において膜の最下層まで
均一に顔料を吸着させることが困難となるためである。
組成物を用いて着色部材を製造する場合、まず有機ポリ
シランを含有する溶液を調製して透光性のガラスや樹脂
などからなる透明基板上に塗布した後、50〜150℃
程度の温度で乾燥させて溶媒を揮発させ、有機ポリシラ
ンを主体とした有機ケイ素化合物膜を成膜する。このと
き有機ポリシランの溶媒としては、トルエン、キシレ
ン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチル
アセテートセロソルブ、ブチロラクトン、ブチル乳酸な
どを用いることができ、有機ポリシランを1〜50wt
%含有する溶液を調製し、必要に応じて0.1μm程度
のフィルタで濾過した後、透明基板上にスピンコートす
ればよい。また、透明基板上に成膜される有機ケイ素化
合物膜の膜厚は、0.1〜5μm程度が好ましい。何と
なれば、0.1μm未満だと、得られる着色層中におけ
る顔料の含有量が不十分となるおそれがあり、逆に5μ
mを越えて厚いと、着色の工程において膜の最下層まで
均一に顔料を吸着させることが困難となるためである。
【0056】次いで、所望のパターンを有するマスクを
介して透明基板上の有機ケイ素化合物膜に、高圧水銀ラ
ンプ、キセノンランプ、エキシマレーザなどから紫外線
を照射する。このように紫外線を照射することで、有機
ポリシランは紫外線のエネルギーを吸収して、主鎖のS
i−Si結合が切断された後大気中の酸素や水分などを
取り込んで酸化され、側鎖でケイ素原子と直接結合した
水素原子、アルコキシ基、アシロキシ基あるいはシリル
基とともにシラノール性水酸基に変化する。
介して透明基板上の有機ケイ素化合物膜に、高圧水銀ラ
ンプ、キセノンランプ、エキシマレーザなどから紫外線
を照射する。このように紫外線を照射することで、有機
ポリシランは紫外線のエネルギーを吸収して、主鎖のS
i−Si結合が切断された後大気中の酸素や水分などを
取り込んで酸化され、側鎖でケイ素原子と直接結合した
水素原子、アルコキシ基、アシロキシ基あるいはシリル
基とともにシラノール性水酸基に変化する。
【0057】上述したような露光の工程において、紫外
線の波長は150〜400nm程度であればよいが、特
に200〜300nmの波長の紫外線を有機ケイ素化合
物膜に照射したときは、十分に着色された着色層が得ら
れやすい。また、照射量は10mJ〜10J、さらには
100mJ〜3J程度に設定されることが好ましい。す
なわち照射量が10Jを越えると、露光時間が長時間化
して製造性が低下するうえ、ピンホールなどが発生して
膜質も損なわれる傾向がある。一方10mJ未満では、
露光不足のため、着色工程における有機ポリシランの紫
外線照射部への着色が不十分となるおそれがある。
線の波長は150〜400nm程度であればよいが、特
に200〜300nmの波長の紫外線を有機ケイ素化合
物膜に照射したときは、十分に着色された着色層が得ら
れやすい。また、照射量は10mJ〜10J、さらには
100mJ〜3J程度に設定されることが好ましい。す
なわち照射量が10Jを越えると、露光時間が長時間化
して製造性が低下するうえ、ピンホールなどが発生して
膜質も損なわれる傾向がある。一方10mJ未満では、
露光不足のため、着色工程における有機ポリシランの紫
外線照射部への着色が不十分となるおそれがある。
【0058】次に有機ケイ素化合物膜を、本発明の着色
組成物に0〜50℃の温度下、0.5〜60分程度浸漬
する。ここで、シラノール性水酸基が生成した有機ケイ
素化合物膜の紫外線照射部に顔料および金属アルコキシ
ドまたはその分解生成物が吸着して、紫外線照射部が選
択的に着色される。続いて、有機ケイ素化合物膜を50
〜150℃で5〜30分程度加熱乾燥することで、有機
ケイ素化合物膜中に浸透した着色組成物の溶媒が除去さ
れるとともに、露光の工程において多数生成したシラノ
ール性水酸基や金属アルコキシドまたはその分解生成物
が相互に反応し、結果的にSi−O−Si結合などの三
次元構造を有するケイ素系マトリックスが形成される。
したがって、このケイ素系マトリックス中に顔料が含有
されてなる耐久性の優れた着色層が得られる。なおここ
では、有機ケイ素化合物膜を着色組成物に浸漬した後、
加熱乾燥に先だって水洗あるいはエアブローなどで有機
ケイ素化合物膜中の溶媒を除去してもよい。
組成物に0〜50℃の温度下、0.5〜60分程度浸漬
する。ここで、シラノール性水酸基が生成した有機ケイ
素化合物膜の紫外線照射部に顔料および金属アルコキシ
ドまたはその分解生成物が吸着して、紫外線照射部が選
択的に着色される。続いて、有機ケイ素化合物膜を50
〜150℃で5〜30分程度加熱乾燥することで、有機
ケイ素化合物膜中に浸透した着色組成物の溶媒が除去さ
れるとともに、露光の工程において多数生成したシラノ
ール性水酸基や金属アルコキシドまたはその分解生成物
が相互に反応し、結果的にSi−O−Si結合などの三
次元構造を有するケイ素系マトリックスが形成される。
したがって、このケイ素系マトリックス中に顔料が含有
されてなる耐久性の優れた着色層が得られる。なおここ
では、有機ケイ素化合物膜を着色組成物に浸漬した後、
加熱乾燥に先だって水洗あるいはエアブローなどで有機
ケイ素化合物膜中の溶媒を除去してもよい。
【0059】さらに、本発明の着色部材の製造方法で
は、上述したような露光および着色の工程を、例えば
R,G,Bの3色について繰返すことで、着色層を多色
化することができる。ここで、図1に、本発明の着色部
材の製造方法において着色層を多色化する場合の工程図
を示す。
は、上述したような露光および着色の工程を、例えば
R,G,Bの3色について繰返すことで、着色層を多色
化することができる。ここで、図1に、本発明の着色部
材の製造方法において着色層を多色化する場合の工程図
を示す。
【0060】この場合は、まず透明基板1上の有機ケイ
素化合物膜2の第1の領域について、第1の領域とは逆
パターンを有するマスク31 を介して紫外線4を照射す
る(図1(a))。続いて、有機ケイ素化合物膜2を第
1の着色組成物に浸漬して、第1の領域を着色する(図
1(b))。
素化合物膜2の第1の領域について、第1の領域とは逆
パターンを有するマスク31 を介して紫外線4を照射す
る(図1(a))。続いて、有機ケイ素化合物膜2を第
1の着色組成物に浸漬して、第1の領域を着色する(図
1(b))。
【0061】次に、必要に応じて有機ケイ素化合物膜を
加熱乾燥した後、有機ケイ素化合物膜2の第2の領域に
ついて、第2の領域とは逆パターンを有するマスク32
を介して紫外線4を照射する(図1(c))。続いて、
有機ケイ素化合物膜2を第2の着色組成物に浸漬して、
第2の領域を着色する(図1(d))。なおこのとき、
いったん紫外線4が照射されてすでにシラノール性水酸
基が生成した領域については、再度紫外線4が照射され
ても特に問題はなく、第1の領域と第2の領域を合わせ
た領域と逆パターンを有するマスクを用いて、第1の領
域および第2の領域に紫外線4を照射しても構わない。
加熱乾燥した後、有機ケイ素化合物膜2の第2の領域に
ついて、第2の領域とは逆パターンを有するマスク32
を介して紫外線4を照射する(図1(c))。続いて、
有機ケイ素化合物膜2を第2の着色組成物に浸漬して、
第2の領域を着色する(図1(d))。なおこのとき、
いったん紫外線4が照射されてすでにシラノール性水酸
基が生成した領域については、再度紫外線4が照射され
ても特に問題はなく、第1の領域と第2の領域を合わせ
た領域と逆パターンを有するマスクを用いて、第1の領
域および第2の領域に紫外線4を照射しても構わない。
【0062】さらに、やはり必要に応じて有機ケイ素化
合物膜を加熱乾燥した後、有機ケイ素化合物膜2の第3
の領域について、第3の領域とは逆パターンを有するマ
スク33 を介して紫外線4を照射する(図1(e))。
続いて、有機ケイ素化合物膜2を第3の着色組成物に浸
漬して、第3の領域を着色する(図1(f))。
合物膜を加熱乾燥した後、有機ケイ素化合物膜2の第3
の領域について、第3の領域とは逆パターンを有するマ
スク33 を介して紫外線4を照射する(図1(e))。
続いて、有機ケイ素化合物膜2を第3の着色組成物に浸
漬して、第3の領域を着色する(図1(f))。
【0063】ここでも、第1〜第3の領域を合わせた領
域と逆パターンを有するマスクを用いて、第1〜第3の
領域全てに紫外線4を照射してもよい。
域と逆パターンを有するマスクを用いて、第1〜第3の
領域全てに紫外線4を照射してもよい。
【0064】なお、このようにそれぞれ異なる顔料を有
機ケイ素化合物膜の互いに異なる領域に吸着させて着色
層を多色化する場合、吸着速度の速い顔料から順に着色
が行われることが好ましい。これは、吸着速度の速い顔
料ほどいったん吸着されると放出されにくく、加熱乾燥
による三次元化の工程を不要化あるいは短縮することが
可能となるからである。ただし、吸着速度の速い顔料か
ら順に吸着が行なわれるときでも、先に吸着が行なわれ
た領域における混色の発生を防止する観点から、露光、
着色および三次元化の工程を繰返して、着色層が多色化
された着色部材を製造することが望まれる。
機ケイ素化合物膜の互いに異なる領域に吸着させて着色
層を多色化する場合、吸着速度の速い顔料から順に着色
が行われることが好ましい。これは、吸着速度の速い顔
料ほどいったん吸着されると放出されにくく、加熱乾燥
による三次元化の工程を不要化あるいは短縮することが
可能となるからである。ただし、吸着速度の速い顔料か
ら順に吸着が行なわれるときでも、先に吸着が行なわれ
た領域における混色の発生を防止する観点から、露光、
着色および三次元化の工程を繰返して、着色層が多色化
された着色部材を製造することが望まれる。
【0065】上述した通り、本発明の着色部材の製造方
法においては、互いに異なる顔料を含有する複数の着色
領域を有する多色化された着色層を簡略化された製造プ
ロセスで得ることができ、例えば、R,G,Bの着色層
を備えるカラーフィルタを極めて容易に作製することが
可能となる。さらに、黒色に着色された第4の領域がブ
ラックマトリックスとして形成されてもよく、この場合
もR,G,Bに着色される第1〜第3の領域および第4
の領域に関して、吸着速度の速い顔料から順次着色が行
なわれることが好ましい。
法においては、互いに異なる顔料を含有する複数の着色
領域を有する多色化された着色層を簡略化された製造プ
ロセスで得ることができ、例えば、R,G,Bの着色層
を備えるカラーフィルタを極めて容易に作製することが
可能となる。さらに、黒色に着色された第4の領域がブ
ラックマトリックスとして形成されてもよく、この場合
もR,G,Bに着色される第1〜第3の領域および第4
の領域に関して、吸着速度の速い顔料から順次着色が行
なわれることが好ましい。
【0066】またここで作製されるカラーフィルター
は、R,G,Bなどの各着色領域について成膜が一括し
て行なわれることに起因して、その表面平坦性が良好で
あり、例えばフルカラーディスプレイ用の液晶表示素子
に特に好ましく適用される。
は、R,G,Bなどの各着色領域について成膜が一括し
て行なわれることに起因して、その表面平坦性が良好で
あり、例えばフルカラーディスプレイ用の液晶表示素子
に特に好ましく適用される。
【0067】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を示す。
まず、本発明を用いた着色部材の製造に先だって、ここ
で用いられる有機ポリシランを以下のように合成した。
まず、本発明を用いた着色部材の製造に先だって、ここ
で用いられる有機ポリシランを以下のように合成した。
【0068】(有機ポリシランAZrの合成)アルゴン
雰囲気下−20℃で乾燥したジエチルエーテル60ml
およびジルコノセンジクロル5.34gを攪拌し、ここ
に1.5Mのメチルリチウムを少量ずつ添加し70分間
攪拌した。さらに、0℃で30分攪拌した後、ジエチル
エーテルを取り除き、生成した白い固体を昇華してジル
コノセンジメチルを調製した。
雰囲気下−20℃で乾燥したジエチルエーテル60ml
およびジルコノセンジクロル5.34gを攪拌し、ここ
に1.5Mのメチルリチウムを少量ずつ添加し70分間
攪拌した。さらに、0℃で30分攪拌した後、ジエチル
エーテルを取り除き、生成した白い固体を昇華してジル
コノセンジメチルを調製した。
【0069】次に、フェニルシランにこのジルコノセン
ジメチルを50:1のモル比で添加し、フェニルシラン
を室温下5時間重合させた。次いで、得られた粗製のポ
リマーをトルエンに溶解し、メタノール中で攪拌しなが
ら投入してポリマーを再沈させた。さらに、ポリマーを
同様にメタノール中で2回再沈させた後、80〜90℃
で減圧乾燥して、重量平均分子量約6,000の下記化
学式で表わされる有機ポリシランAZrを得た。
ジメチルを50:1のモル比で添加し、フェニルシラン
を室温下5時間重合させた。次いで、得られた粗製のポ
リマーをトルエンに溶解し、メタノール中で攪拌しなが
ら投入してポリマーを再沈させた。さらに、ポリマーを
同様にメタノール中で2回再沈させた後、80〜90℃
で減圧乾燥して、重量平均分子量約6,000の下記化
学式で表わされる有機ポリシランAZrを得た。
【0070】
【化17】
【0071】上記式AZr中、nは重合度を表わす。
【0072】(有機ポリシランBNaの合成)メチルジ
クロロシラン10gおよびメチルフェニルジクロロシラ
ン16.6gをトルエンに溶解し、50wt%トルエン
溶液を調製した。一方、1L用フラスコ中、細断した金
属Na8.4gをトルエン100mlに分散させ、ここ
に先の50wt%トルエン溶液を110℃で少しずつ滴
下した。2時間攪拌した後、室温まで温度を下げてアル
ゴン雰囲気下で濾過した濾液を濃縮し、これをイソプロ
ピルアルコールに滴下してポリマーを析出させた。
クロロシラン10gおよびメチルフェニルジクロロシラ
ン16.6gをトルエンに溶解し、50wt%トルエン
溶液を調製した。一方、1L用フラスコ中、細断した金
属Na8.4gをトルエン100mlに分散させ、ここ
に先の50wt%トルエン溶液を110℃で少しずつ滴
下した。2時間攪拌した後、室温まで温度を下げてアル
ゴン雰囲気下で濾過した濾液を濃縮し、これをイソプロ
ピルアルコールに滴下してポリマーを析出させた。
【0073】次いで、得られたポリマーを減圧乾燥して
再びトルエンに溶解し、水洗後同様にイソプロピルアル
コールに滴下することでポリマーを精製した。さらに、
このような操作を5回繰返した後、ポリマーを減圧乾燥
し、重量平均分子量約12,000の下記化学式で表さ
れる有機ポリシランBNaを得た。
再びトルエンに溶解し、水洗後同様にイソプロピルアル
コールに滴下することでポリマーを精製した。さらに、
このような操作を5回繰返した後、ポリマーを減圧乾燥
し、重量平均分子量約12,000の下記化学式で表さ
れる有機ポリシランBNaを得た。
【0074】
【化18】
【0075】(有機ポリシランCZrの合成)フェニル
シランを100℃で5時間重合させた以外は、有機ポリ
シランAZrを合成したときと全く同様にして、重量平
均分子量約7,000で有機ポリシランAZrと同一の
繰り返し単位を有する有機ポリシランCZrを得た。
シランを100℃で5時間重合させた以外は、有機ポリ
シランAZrを合成したときと全く同様にして、重量平
均分子量約7,000で有機ポリシランAZrと同一の
繰り返し単位を有する有機ポリシランCZrを得た。
【0076】(有機ポリシランDNaの合成)メチルジ
クロロシラン10g,メチルフェニルジクロロシラン1
0gおよびフェニルトリクロロシラン7.4gをトルエ
ンに溶解して50wt%トルエン溶液を調製した以外
は、有機ポリシランBNaを合成したときと全く同様に
して、重量平均分子量約15,000の下記化学式で表
わされる有機ポリシランDNaを得た。
クロロシラン10g,メチルフェニルジクロロシラン1
0gおよびフェニルトリクロロシラン7.4gをトルエ
ンに溶解して50wt%トルエン溶液を調製した以外
は、有機ポリシランBNaを合成したときと全く同様に
して、重量平均分子量約15,000の下記化学式で表
わされる有機ポリシランDNaを得た。
【0077】
【化19】
【0078】(ただし式中、PSはポリシラン骨格であ
る。) 実施例1 有機ポリシランAZrの10wt%トルエン溶液を、ガ
ラスからなる透明基板上にスピンコート法で塗布した後
乾燥して、膜厚約2μmの有機ケイ素化合物膜を形成し
た。得られた有機ケイ素化合物膜にカラーフィルター用
マスクを重ね、低圧水銀ランプから紫外線を1J/cm
2 照射した。
る。) 実施例1 有機ポリシランAZrの10wt%トルエン溶液を、ガ
ラスからなる透明基板上にスピンコート法で塗布した後
乾燥して、膜厚約2μmの有機ケイ素化合物膜を形成し
た。得られた有機ケイ素化合物膜にカラーフィルター用
マスクを重ね、低圧水銀ランプから紫外線を1J/cm
2 照射した。
【0079】露光後の有機ケイ素化合物膜を浸漬するた
めの第1の着色組成物は、以下のようにして調製した。
まず、青色顔料としてのフタロシアニンブルー(ピグメ
ントブルー15−6;リオノールブルーFG−7330
東洋インキ製)10wt%、分散剤としてのN−ビニ
ル−5−メチルピロリドン、1−ブテン共重合体(分子
量7000)10wt%、水性媒体としての水80wt
%を混合し、ボールミル中で分散処理を行ってフタロシ
アニンブルー分散液を得た。次に、このような色素組成
物2.5g、水に可溶な非プロトン性有機溶媒としての
アセトニトリル54wt%水溶液5.0g、およびケイ
素のアルコキシドのゾル溶液2.0gを配合して青色着
色組成物を得た。なお、ここで用いたケイ素のアルコキ
シドのゾル溶液は、テトラエトキシシラン5.6g、メ
チルトリエトキシシラン2.8g、イソプロパノール2
3.2g、および水8.35gからなる溶液に、硝酸
0.06gを加えて50℃で30分間加熱し、冷却後イ
ソプロパノール40gを加えることにより調製した。
めの第1の着色組成物は、以下のようにして調製した。
まず、青色顔料としてのフタロシアニンブルー(ピグメ
ントブルー15−6;リオノールブルーFG−7330
東洋インキ製)10wt%、分散剤としてのN−ビニ
ル−5−メチルピロリドン、1−ブテン共重合体(分子
量7000)10wt%、水性媒体としての水80wt
%を混合し、ボールミル中で分散処理を行ってフタロシ
アニンブルー分散液を得た。次に、このような色素組成
物2.5g、水に可溶な非プロトン性有機溶媒としての
アセトニトリル54wt%水溶液5.0g、およびケイ
素のアルコキシドのゾル溶液2.0gを配合して青色着
色組成物を得た。なお、ここで用いたケイ素のアルコキ
シドのゾル溶液は、テトラエトキシシラン5.6g、メ
チルトリエトキシシラン2.8g、イソプロパノール2
3.2g、および水8.35gからなる溶液に、硝酸
0.06gを加えて50℃で30分間加熱し、冷却後イ
ソプロパノール40gを加えることにより調製した。
【0080】このような組成の第1の着色組成物に、露
光後の有機ケイ素化合物膜を25℃で10分間浸漬し、
さらに、有機ケイ素化合物膜を水洗後、120℃で10
分間加熱乾燥したところ、紫外線照射部が青色に着色さ
れていた。
光後の有機ケイ素化合物膜を25℃で10分間浸漬し、
さらに、有機ケイ素化合物膜を水洗後、120℃で10
分間加熱乾燥したところ、紫外線照射部が青色に着色さ
れていた。
【0081】次に有機ケイ素化合物膜に対し、青色に着
色された領域が覆われるように位置をずらしてマスクを
重ね、紫外線を同様に照射した。
色された領域が覆われるように位置をずらしてマスクを
重ね、紫外線を同様に照射した。
【0082】露光後の有機ケイ素化合物膜を浸漬するた
めの第2の着色組成物は、以下のようにして調製した。
まず、赤色顔料としてのアンスラキノンレッド(ピグメ
ントレッド177)10wt%、分散剤としてのN−ビ
ニル−5−エチルピロリドン、1−ブテン共重合体(分
子量約8000)10wt%、および水性媒体としての
水80wt%を混合し、ペイントシェーカーにて分散処
理を行ってアンスラキノンレッド分散液を得た。次に、
このような色素組成物2.0g、水に可溶な非プロトン
性有機溶媒としてのアセトニトリル50wt%水溶液
4.0g、および前述と同様のケイ素のアルコキシドの
ゾル溶液3.0gを配合して赤色着色組成物を得た。
めの第2の着色組成物は、以下のようにして調製した。
まず、赤色顔料としてのアンスラキノンレッド(ピグメ
ントレッド177)10wt%、分散剤としてのN−ビ
ニル−5−エチルピロリドン、1−ブテン共重合体(分
子量約8000)10wt%、および水性媒体としての
水80wt%を混合し、ペイントシェーカーにて分散処
理を行ってアンスラキノンレッド分散液を得た。次に、
このような色素組成物2.0g、水に可溶な非プロトン
性有機溶媒としてのアセトニトリル50wt%水溶液
4.0g、および前述と同様のケイ素のアルコキシドの
ゾル溶液3.0gを配合して赤色着色組成物を得た。
【0083】このような組成の第2の着色組成物に、露
光後の有機ケイ素化合物膜を25℃で30分間浸漬し、
水洗後、120℃で10分間加熱乾燥して、所定の領域
が青色および赤色に着色された有機ケイ素化合物膜を得
た。
光後の有機ケイ素化合物膜を25℃で30分間浸漬し、
水洗後、120℃で10分間加熱乾燥して、所定の領域
が青色および赤色に着色された有機ケイ素化合物膜を得
た。
【0084】さらに、この有機ケイ素化合物膜に再度位
置をずらしてマスクを重ね、紫外線を照射した。
置をずらしてマスクを重ね、紫外線を照射した。
【0085】露光後の有機ケイ素化合物膜を浸漬するた
めの第3の着色組成物は、以下のようにして調製した。
まず、緑色顔料としてのフタロシアニングリーン(ピグ
メントグリーン36;ピナモングリーン6Y−FW I
CI製)10wt%、分散剤としてのN−ビニルピロリ
ドン、1−ブテン共重合体(分子量約8000)10w
t%、および水性媒体としての水80wt%を混合し、
ペイントシェーカーにて分散処理を行ったフタロシアニ
ングリーン分散液を得た。次に、このような色素組成物
2.5g、水に可溶な非プロトン性有機溶媒としてのア
セトニトリル50wt%水溶液2.5g、および前述と
同様のケイ素のアルコキシドのゾル溶液2.5gを配合
して緑色着色組成物を得た。
めの第3の着色組成物は、以下のようにして調製した。
まず、緑色顔料としてのフタロシアニングリーン(ピグ
メントグリーン36;ピナモングリーン6Y−FW I
CI製)10wt%、分散剤としてのN−ビニルピロリ
ドン、1−ブテン共重合体(分子量約8000)10w
t%、および水性媒体としての水80wt%を混合し、
ペイントシェーカーにて分散処理を行ったフタロシアニ
ングリーン分散液を得た。次に、このような色素組成物
2.5g、水に可溶な非プロトン性有機溶媒としてのア
セトニトリル50wt%水溶液2.5g、および前述と
同様のケイ素のアルコキシドのゾル溶液2.5gを配合
して緑色着色組成物を得た。
【0086】このような組成の第3の着色組成物に、露
光後の有機ケイ素化合物膜を25℃で20分間浸漬し、
水洗後、120℃で10分間加熱乾燥した。この結果、
所定の領域がそれぞれ青(B)、赤(R)、緑(G)に
着色された有機ケイ素化合物膜を、着色層として備えた
着色部材が作製された。
光後の有機ケイ素化合物膜を25℃で20分間浸漬し、
水洗後、120℃で10分間加熱乾燥した。この結果、
所定の領域がそれぞれ青(B)、赤(R)、緑(G)に
着色された有機ケイ素化合物膜を、着色層として備えた
着色部材が作製された。
【0087】次いで、上述したような着色部材につい
て、トルエン、エタノール、ジメチルアセトアミドおよ
びブチロラクトンに対する耐薬品性を調べることでその
耐久性を評価したところ、これらの有機溶媒に浸漬され
ても顔料は溶出せず、かつ着色層が透明基板から剥がれ
落ちることもなく、十分に固定化されていることがわか
った。また、着色層における光透過率はR,G,Bの各
着色領域でそれぞれの特性吸収において全て2%程度と
いずれも良好な値を示した。
て、トルエン、エタノール、ジメチルアセトアミドおよ
びブチロラクトンに対する耐薬品性を調べることでその
耐久性を評価したところ、これらの有機溶媒に浸漬され
ても顔料は溶出せず、かつ着色層が透明基板から剥がれ
落ちることもなく、十分に固定化されていることがわか
った。また、着色層における光透過率はR,G,Bの各
着色領域でそれぞれの特性吸収において全て2%程度と
いずれも良好な値を示した。
【0088】実施例2 有機ケイ素化合物膜の所定の領域を、R,G,Bの各色
に着色して水洗し、120℃で10分間ずつ加熱乾燥し
た後、さらに270℃で1時間加熱乾燥した以外は、上
述の実施例1と全く同様にして着色部材を作製した。こ
の着色部材についても、トルエン、エタノール、ジメチ
ルアセトアミドおよびブチロラクトンの各有機溶媒に浸
漬されても顔料は溶出せず、かつ着色層が透明基板から
剥がれ落ちることもなく、十分に固定化されており、優
れた耐久性を有することが確認された。
に着色して水洗し、120℃で10分間ずつ加熱乾燥し
た後、さらに270℃で1時間加熱乾燥した以外は、上
述の実施例1と全く同様にして着色部材を作製した。こ
の着色部材についても、トルエン、エタノール、ジメチ
ルアセトアミドおよびブチロラクトンの各有機溶媒に浸
漬されても顔料は溶出せず、かつ着色層が透明基板から
剥がれ落ちることもなく、十分に固定化されており、優
れた耐久性を有することが確認された。
【0089】実施例3,4 赤色着色組成物において、赤色顔料としてのアンスラキ
ノンレッド(ピグメントレッド177)を、それぞれピ
グメントレッド149およびピグメントレッド123に
変更した以外は、上述の実施例1と同様にして2種類の
赤色着色組成物を調製し、これらの赤色着色組成物を用
いる以外は、実施例1と同様にして実施例3および4の
着色部材を作製した。これらの着色部材についても、得
られた着色層には色抜けなどが見受けられず、R,G,
Bとも十分に着色されていた。また、着色部材をさらに
270℃で1時間加熱乾燥した後、トルエン、エタノー
ル、ジメチルアセトアミドおよびブチロラクトンの各有
機溶媒に浸漬しても顔料は溶出せず、かつ着色層が透明
基板から剥がれ落ちることもなく、十分に固定化されて
おり、優れた耐久性を有することが確認された。
ノンレッド(ピグメントレッド177)を、それぞれピ
グメントレッド149およびピグメントレッド123に
変更した以外は、上述の実施例1と同様にして2種類の
赤色着色組成物を調製し、これらの赤色着色組成物を用
いる以外は、実施例1と同様にして実施例3および4の
着色部材を作製した。これらの着色部材についても、得
られた着色層には色抜けなどが見受けられず、R,G,
Bとも十分に着色されていた。また、着色部材をさらに
270℃で1時間加熱乾燥した後、トルエン、エタノー
ル、ジメチルアセトアミドおよびブチロラクトンの各有
機溶媒に浸漬しても顔料は溶出せず、かつ着色層が透明
基板から剥がれ落ちることもなく、十分に固定化されて
おり、優れた耐久性を有することが確認された。
【0090】実施例5 緑色着色組成物において、緑色顔料としてのフタロシア
ニングリーン(ピグメントグリーン36)をピグメント
グリーン7に変更した以外は、上述の実施例1と同様に
して緑色着色組成物を調製し、この緑色着色組成物を用
いる以外は、実施例1と同様にして実施例5の着色部材
を作製した。この着色部材についても、得られた着色層
には色抜けなどが見受けられず、R,G,Bとも十分に
着色されていた。また、着色部材をさらに270℃で1
時間加熱乾燥した後、トルエン、エタノール、ジメチル
アセトアミドおよびブチロラクトンの各有機溶媒に浸漬
しても顔料は溶出せず、かつ着色層が透明基板から剥が
れ落ちることもなく、十分に固定化されており、優れた
耐久性を有することが確認された。
ニングリーン(ピグメントグリーン36)をピグメント
グリーン7に変更した以外は、上述の実施例1と同様に
して緑色着色組成物を調製し、この緑色着色組成物を用
いる以外は、実施例1と同様にして実施例5の着色部材
を作製した。この着色部材についても、得られた着色層
には色抜けなどが見受けられず、R,G,Bとも十分に
着色されていた。また、着色部材をさらに270℃で1
時間加熱乾燥した後、トルエン、エタノール、ジメチル
アセトアミドおよびブチロラクトンの各有機溶媒に浸漬
しても顔料は溶出せず、かつ着色層が透明基板から剥が
れ落ちることもなく、十分に固定化されており、優れた
耐久性を有することが確認された。
【0091】実施例6 有機ポリシランAZrの10wt%トルエン溶液を、ガ
ラスからなる透明基板上にスピンコート法で塗布した後
乾燥して、膜厚約2μmの有機ケイ素化合物膜を形成し
た。得られた有機ケイ素化合物膜にカラーフィルタ用マ
スクを重ね、低圧水銀ランプから紫外線を1J/cm2
照射した。
ラスからなる透明基板上にスピンコート法で塗布した後
乾燥して、膜厚約2μmの有機ケイ素化合物膜を形成し
た。得られた有機ケイ素化合物膜にカラーフィルタ用マ
スクを重ね、低圧水銀ランプから紫外線を1J/cm2
照射した。
【0092】ここでは、露光後の有機ケイ素化合物膜を
浸漬するための着色組成物は、以下のようにして調製し
た。まず、黒色顔料としてのカーボンブラック(プリン
テック75 テグッサ製)10wt%、分散剤としての
N−ビニルピロリドン、1−ブテン共重合体(分子量約
8000)10wt%、および水性媒体としての水80
wt%を混合し、ペイントシェーカーにて分散処理を行
ってカーボンブラック分散液を得た。次に、このような
色素組成物1.25g、水に可溶な非プロトン性有機溶
媒としてのアセトニトリル54wt%水溶液5.0g、
および前述と同様のケイ素のアルコキシドのゾル溶液
2.0gを配合して黒色着色組成物を得た。
浸漬するための着色組成物は、以下のようにして調製し
た。まず、黒色顔料としてのカーボンブラック(プリン
テック75 テグッサ製)10wt%、分散剤としての
N−ビニルピロリドン、1−ブテン共重合体(分子量約
8000)10wt%、および水性媒体としての水80
wt%を混合し、ペイントシェーカーにて分散処理を行
ってカーボンブラック分散液を得た。次に、このような
色素組成物1.25g、水に可溶な非プロトン性有機溶
媒としてのアセトニトリル54wt%水溶液5.0g、
および前述と同様のケイ素のアルコキシドのゾル溶液
2.0gを配合して黒色着色組成物を得た。
【0093】このような組成の着色組成物に、露光後の
有機ケイ素化合物膜を25℃で30分間浸漬した。水洗
後、120℃で10分間加熱乾燥したところ、紫外線照
射部が黒色に染色されていた。得られた着色層には色抜
けなどが見受けられず、十分に着色されていた。また、
着色部材をさらに270℃で1時間加熱乾燥した後、ト
ルエン、エタノール、ジメチルアセトアミドおよびブチ
ロラクトンの各有機溶媒に浸漬しても顔料は溶出せず、
かつ着色層が透明基板から剥がれ落ちることもなく、十
分に固定化されており、優れた耐久性を有することが確
認された。
有機ケイ素化合物膜を25℃で30分間浸漬した。水洗
後、120℃で10分間加熱乾燥したところ、紫外線照
射部が黒色に染色されていた。得られた着色層には色抜
けなどが見受けられず、十分に着色されていた。また、
着色部材をさらに270℃で1時間加熱乾燥した後、ト
ルエン、エタノール、ジメチルアセトアミドおよびブチ
ロラクトンの各有機溶媒に浸漬しても顔料は溶出せず、
かつ着色層が透明基板から剥がれ落ちることもなく、十
分に固定化されており、優れた耐久性を有することが確
認された。
【0094】実施例7〜9 有機ポリシランAZrの代わりに、それぞれ有機ポリシ
ランBNa、CZr、DNaを用いた以外は、上述の実
施例1と同様にして実施例7〜9の着色部材を作製し
た。これらの着色部材についても、得られた着色層には
色抜けなどが見受けられず、R,G,Bとも十分に着色
されていた。また、着色部材をさらに270℃で1時間
加熱乾燥した後、トルエン、エタノール、ジメチルアセ
トアミドおよびブチロラクトンの各有機溶媒に浸漬して
も顔料は溶出せず、かつ着色層が透明基板から剥がれ落
ちることもなく十分に固定化されており、優れた耐久性
を有することが確認された。
ランBNa、CZr、DNaを用いた以外は、上述の実
施例1と同様にして実施例7〜9の着色部材を作製し
た。これらの着色部材についても、得られた着色層には
色抜けなどが見受けられず、R,G,Bとも十分に着色
されていた。また、着色部材をさらに270℃で1時間
加熱乾燥した後、トルエン、エタノール、ジメチルアセ
トアミドおよびブチロラクトンの各有機溶媒に浸漬して
も顔料は溶出せず、かつ着色層が透明基板から剥がれ落
ちることもなく十分に固定化されており、優れた耐久性
を有することが確認された。
【0095】比較例1 まず、特願平5−273410号を参考にして、テトラ
エトキシシラン25g、エタノール25g、および水1
7gからなる溶液に、赤色顔料としてのマイクロリスレ
ッド2BWA(チバガイギー社製)10gを加え、さら
にガラスビーズ100gを加えて20℃で30分間分散
させた後、塩酸0.3gを加え20℃で2時間分散させ
て赤色ゾル溶液を得た。
エトキシシラン25g、エタノール25g、および水1
7gからなる溶液に、赤色顔料としてのマイクロリスレ
ッド2BWA(チバガイギー社製)10gを加え、さら
にガラスビーズ100gを加えて20℃で30分間分散
させた後、塩酸0.3gを加え20℃で2時間分散させ
て赤色ゾル溶液を得た。
【0096】また、顔料を配合しない以外は同様のゾル
溶液を調製し、このゾル溶液30gと、青色顔料として
イルガライトグリーンGLXニュー(チバガイギー社
製)10gとを混合した。さらに、この混合溶液に水3
0gを加えて青色着色ゾル溶液を得た。
溶液を調製し、このゾル溶液30gと、青色顔料として
イルガライトグリーンGLXニュー(チバガイギー社
製)10gとを混合した。さらに、この混合溶液に水3
0gを加えて青色着色ゾル溶液を得た。
【0097】さらに、青色顔料の代わりに緑色顔料とし
てイルガライトグリーンGLXニュー(チバガイキー社
製)を配合した以外は、同様にして緑色着色ゾル溶液を
得た。
てイルガライトグリーンGLXニュー(チバガイキー社
製)を配合した以外は、同様にして緑色着色ゾル溶液を
得た。
【0098】次いで、上述したような着色ゾルを用いる
以外は、実施例1と同様にして着色部材を作製した。得
られた着色部材の着色層における光透過率は、R,G,
Bの各着色領域でそれぞれの特性吸収において3%、6
%、4%であり、実施例1で得られた着色部材は、優れ
た色度を有することがわかる。
以外は、実施例1と同様にして着色部材を作製した。得
られた着色部材の着色層における光透過率は、R,G,
Bの各着色領域でそれぞれの特性吸収において3%、6
%、4%であり、実施例1で得られた着色部材は、優れ
た色度を有することがわかる。
【0099】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば製
造プロセスを短縮しながら、高精細で着色層の耐久性や
色度が優れ、フルカラーディスプレイ用の液晶表示素子
などに極めて有用なカラーフィルタなどの着色部材を実
現することが可能となり、その工業的価値は大なるもの
がある。
造プロセスを短縮しながら、高精細で着色層の耐久性や
色度が優れ、フルカラーディスプレイ用の液晶表示素子
などに極めて有用なカラーフィルタなどの着色部材を実
現することが可能となり、その工業的価値は大なるもの
がある。
【図1】本発明の着色部材の製造方法において着色層を
多色化する場合の工程を示す断面図。
多色化する場合の工程を示す断面図。
1…透明基板 2…有機ケイ素化合物膜 31 ,32 ,33 …マスク 4…紫外線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 39/06 LJY C08L 39/06 LJY C09D 183/16 PMM C09D 183/16 PMM G02B 1/10 G02B 5/20 101 5/20 101 1/10 Z (72)発明者 川田 利佳子 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 沖野 剛史 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 御子柴 智 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 早瀬 修二 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 伊藤 武夫 埼玉県深谷市幡羅町1丁目9番2号 株式 会社東芝深谷電子工場内 (72)発明者 坂井 和夫 兵庫県川西市小花2丁目23−2 冨士色素 株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 顔料;N−ビニルピロリドンあるいはそ
の誘導体とアルケン化合物との共重合体からなる分散
剤;水性媒体;水に可溶な非プロトン性有機溶媒;並び
に、金属アルコキシドおよびその分解生成物から選択さ
れた少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とす
る着色組成物。 - 【請求項2】 有機ポリシランを主体とした有機ケイ素
化合物膜を形成する成膜工程と、得られた有機ケイ素化
合物膜の所定の領域に紫外線を照射する露光工程と、露
光工程の後請求項1に記載の着色組成物に有機ケイ素化
合物膜を浸漬する着色工程と、所定の領域が着色された
有機ケイ素化合物膜を加熱乾燥する三次元化工程とを有
することを特徴とする着色部材の製造方法。 - 【請求項3】 有機ポリシランを主体とした有機ケイ素
化合物膜を形成する成膜工程と、得られた有機ケイ素化
合物膜の第1の領域に紫外線を照射する第1の露光工程
と、第1の露光工程の後、赤色顔料、緑色顔料、青色顔
料、および黒色顔料から選択された第1の顔料を含有す
る請求項1に記載の第1の着色組成物に有機ケイ素化合
物膜を浸漬する第1の着色工程と、有機ケイ素化合物膜
の第2の領域に紫外線を照射する第2の露光工程と、第
2の露光工程の後、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、お
よび黒色顔料から選択された第2の顔料を含有する請求
項1に記載の第2の着色組成物に有機ケイ素化合物膜を
浸漬する第2の着色工程と、所定の領域が着色された有
機ケイ素化合物膜を加熱乾燥する三次元化工程とを有す
ることを特徴とする着色部材の製造方法。 - 【請求項4】 前記着色部材がカラーフィルタであるこ
とを特徴とする請求項2または3に記載の着色部材の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5984696A JPH09249847A (ja) | 1996-03-15 | 1996-03-15 | 着色組成物および着色部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5984696A JPH09249847A (ja) | 1996-03-15 | 1996-03-15 | 着色組成物および着色部材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09249847A true JPH09249847A (ja) | 1997-09-22 |
Family
ID=13124989
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5984696A Pending JPH09249847A (ja) | 1996-03-15 | 1996-03-15 | 着色組成物および着色部材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09249847A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007077198A (ja) * | 2005-09-12 | 2007-03-29 | Osaka Gas Co Ltd | コポリシラン及びこのコポリシランを含む樹脂組成物 |
-
1996
- 1996-03-15 JP JP5984696A patent/JPH09249847A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007077198A (ja) * | 2005-09-12 | 2007-03-29 | Osaka Gas Co Ltd | コポリシラン及びこのコポリシランを含む樹脂組成物 |
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