JPH0940779A - ポリシロキサン、ポリシロキサン組成物、絶縁膜の製造方法、着色部材の製造方法及び導電膜の製造方法 - Google Patents

ポリシロキサン、ポリシロキサン組成物、絶縁膜の製造方法、着色部材の製造方法及び導電膜の製造方法

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JPH0940779A
JPH0940779A JP19631295A JP19631295A JPH0940779A JP H0940779 A JPH0940779 A JP H0940779A JP 19631295 A JP19631295 A JP 19631295A JP 19631295 A JP19631295 A JP 19631295A JP H0940779 A JPH0940779 A JP H0940779A
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JP
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polysiloxane
organosilicon compound
film
compound film
colored
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JP19631295A
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English (en)
Inventor
Shuji Hayase
修二 早瀬
Satoshi Mikoshiba
智 御子柴
Yoshihiko Nakano
義彦 中野
Rikako Kani
利佳子 可児
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板の歪みを招くことなく可撓性の高い絶縁
膜等を形成することや、アルカリ現像で所望の膜パター
ンを形成することが可能なポリシロキサン及びポリシロ
キサン組成物の提供。 【構成】 下記一般式(1)で表される繰返し単位を有
するポリシロキサンに対し、光酸発生剤を配合する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリシロキサン
とこのポリシロキサンを含有するポリシロキサン組成
物、及びこれらを用いた絶縁膜の製造方法、着色部材の
製造方法並びに導電膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】以前より、シリコーン樹脂は多様な分野
で広く利用されており、例えば最近では、無機SiO2
にかわり半導体素子の絶縁膜やパッシベーション膜等に
用いることが検討されている。これは、シリコーン樹脂
が例えばCVD法で形成されるSiO2 膜に比べ、ステ
ップカバレージの良好な膜の形成に有利であること等に
起因している。また、上述したようなシリコーン樹脂に
対し光感応性を有する成分を配合することで感光性を付
与し、所望の膜パターンからなる絶縁膜を別途フォトレ
ジスト材料を用いず形成することや、得られた組成物を
ケイ素含有レジストとして酸素リアクティブイオンエッ
チング時のエッチングマスクに用いることも試みられて
いる。
【0003】例えば、特開平5−216237号、特開
平5−333553号には、レジスト、エッチングマス
ク、絶縁膜等に用いることが可能な下記一般式で表され
る繰返し単位を有するシリコーン樹脂や、このシリコー
ン樹脂と放射線の照射により酸を発生する化合物(光酸
発生剤)とを含有する感光性組成物が提案されている。
しかしながらここでのシリコーン樹脂は、これを加熱硬
化させることで得られる絶縁膜の可撓性が低く、しかも
加熱硬化時における収縮が大きいため大面積の絶縁膜を
形成する際等に基板の歪みが生じやすい。さらに、光酸
発生剤を配合した感光性組成物については、パターン形
成時の現像液として有機溶媒を用いることが必要となる
ため、パターンの膨潤を回避することが困難で、かつ耐
環境性の点でも満足できるものではない。
【0004】
【化2】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、上記
一般式で表される繰返し単位を有する従来のシリコーン
樹脂では、可撓性の高い絶縁膜を形成することが困難で
あり、かつ加熱硬化させたときの収縮が大きく、絶縁膜
を形成した際基板側で歪みが発生することがあった。ま
た、光酸発生剤を配合することで感光性を付与した感光
性組成物においては、有機溶媒を現像液として用いるこ
とが必要であるため、パターンの膨潤、耐環境性等の点
で問題があった。
【0006】本発明はこのような問題を解決して、基板
の歪みを招くことなく可撓性の高い絶縁膜等を形成する
ことができるポリシロキサンや、アルカリ現像による所
望の膜パターン形成が可能な感光性のポリシロキサン組
成物を提供することを目的としている。また本発明の別
の目的は、これらのポリシロキサンあるいはポリシロキ
サン組成物を用いた絶縁膜の製造方法、着色部材の製造
方法及び導電膜の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するためになされた本発明は、下記一般式(1)で表さ
れる繰返し単位を有するポリシロキサンである。すなわ
ち本発明のポリシロキサンは、一方の側鎖にアリール基
またはヘテロアリール基、他方の側鎖に熱分解性の3級
アルコキシル基が導入されたことを特徴としている。以
下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
【化3】
【0009】本発明のポリシロキサンは、60℃以上、
好ましくは100℃以上程度の温度に加熱することで以
下に示す反応式に従って側鎖の3級アルコキシル基が分
解し、シラノール性水酸基が生成する。さらにここで生
成したシラノール性水酸基は、この後互いに反応しケイ
素原子がSi−O−Si結合で三次元的に架橋、硬化さ
れた網目状構造が得られる。また、ポリシロキサンから
脱離したオレフィン系炭化水素は容易に揮発、除去され
るので、結果的にSi−O−Si結合の網目状構造を有
し、熱安定性が無機SiO2 並みの絶縁膜等を形成する
ことができる。
【0010】
【化4】
【0011】なお、上述したような側鎖の3級アルコキ
シル基の熱分解性を考慮すると、上記一般式(1)中の
1 ,R2 は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数
6〜12のアリール基であることが好ましい。また上記
一般式(1)中R3 のアリール基、またはヘテロアリー
ル基にフッ素原子を導入しておけば、特に低誘電率の絶
縁膜を形成することが可能となる。
【0012】このとき本発明のポリシロキサンでは、一
方の側鎖にアリール基またはヘテロアリール基が導入さ
れていることに基づき、得られた網目状構造中のケイ素
原子において、4本の結合手のうち1本が有機残基と結
合しており、残りの3本がSi−O−Si結合に供され
る。従って、こうしたSi−O−Si結合の網目状構造
を有する絶縁膜等は、ケイ素原子の4本の結合手がいず
れもSi−O−Si結合に供される場合に比べ、可撓性
が高いうえに加熱硬化時の収縮が小さく、基板側での歪
みの発生が抑えられる。
【0013】ここで、ポリシロキサン中一方の側鎖に導
入されるのがアリール基またはヘテロアリール基に規定
される理由は、これらのかわりに例えばアルキル基が導
入されるとポリシロキサンのガラス転移温度が低下し、
ひいては形成される絶縁膜等の耐熱性が損われるからで
ある。なお上述したようなアリール基の具体例として
は、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナ
チル基、ジフェニル基等、ヘテロアリール基の具体例と
しては、フリル基、チオニル基、イミダゾイル基、オキ
サゾイル基、チアゾイル基、ピラゾイル基、ピロリジル
基、ピリミジル基、キノリジル基、イソキノリジル基、
カルバゾイル基等を挙げることができ、さらに炭素数1
〜6のアルキル基、ハロゲン原子、エーテル基、水酸
基、シアノ基、ニトロ基が導入されたものであってもよ
い。また本発明のポリシロキサンにおいては、他方の側
鎖に導入された3級アルコキシル基が加水分解性ではな
く熱分解性であることに起因し、貯蔵時における加水分
解の進行に伴うゲル化のおそれがなく、保存安定性が良
好である。
【0014】本発明で、上記一般式(1)で表される繰
返し単位を有するポリシロキサンは、ホモポリマーであ
ってもコポリマーであってもよく、さらには一般式
(1)で表される繰返し単位以外の他の繰返し単位との
コポリマーであっても構わない。このとき、上記一般式
(1)で表される繰返し単位と下記一般式(2)で表さ
れる繰返し単位とのコポリマーは、特に耐熱性の向上し
た絶縁膜等を形成できる点で有利である。
【0015】
【化5】
【0016】なお、本発明のポリシロキサンが上述した
ようなコポリマーの場合、上記一般式(1)で表される
繰返し単位と上記一般式(2)で表される繰返し単位と
の共重合比が、0.20:0.80〜0.95:0.0
5、さらには0.50:0.50〜0.95:0.05
の範囲内に設定されることが好ましい。これは、上記一
般式(2)で表される繰返し単位の比率が少なすぎると
得られる絶縁膜等における耐熱性の向上が小さく、多す
ぎると絶縁膜の可撓性が低下するうえ、ポリシロキサン
の加熱硬化時の収縮が大きく基板等に歪みが生じるおそ
れがあるためである。
【0017】また本発明のポリシロキサンは、重量平均
分子量が500〜100,000であることが好まし
い。何となれば重量平均分子量が500未満だと、機械
的強度の充分な塗膜を形成することが困難となり、逆に
重量平均分子量が100,000を越えると、ポリシロ
キサンの溶媒可溶性が低下してやはり塗膜の形成に支障
をきたすおそれがある。以下に、このような本発明のポ
リシロキサンの具体例を示す。
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】本発明のポリシロキサンを合成するには、
まず下記一般式で表されるジクロロシランを有機溶媒に
溶解させ、このジクロロシランに対し2.0〜5.0モ
ル当量の水及び2.0〜3.0モル当量のアミンを加え
て加熱し、ジクロロシランの加水分解を進める。次い
で、混合液を濾過して析出した塩を除去した後、減圧す
ることで有機溶媒を揮発せしめ、さらに反応液を加熱し
て縮合重合を行えばよい。
【0022】
【化9】
【0023】また本発明では、上述したようなポリシロ
キサンに対し加熱により酸を発生する化合物(以下熱酸
発生剤という)を配合せしめ、ポリシロキサンを加熱硬
化させて絶縁膜等を形成する際の加熱温度の低温化、加
熱時間の短縮化等を図ることができる。すなわちこの場
合は、ポリシロキサン及び熱酸発生剤を含有するポリシ
ロキサン組成物を加熱したとき、熱酸発生剤が分解して
酸が発生する。従って、ここで発生した酸がポリシロキ
サンの側鎖の3級アルコキシル基の分解に寄与するた
め、ポリシロキサン単独の場合に比べて低温、短時間の
加熱で、ポリシロキサンのケイ素原子がSi−O−Si
結合で三次元的に架橋、硬化された網目状構造を得るこ
とが可能となる。
【0024】本発明において、こうした熱酸発生剤の具
体例としては、以下に示す一般式で表される化合物等が
挙げられる。また熱酸発生剤の好ましい配合量は、ポリ
シロキサンに対し0.01〜20wt%、さらには0.
05〜5wt%である。これは、熱酸発生剤の配合量が
0.01wt%未満だと、ポリシロキサンを加熱硬化さ
せる際の加熱温度の低下、加熱時間の短縮が小さく、逆
に熱酸発生剤の配合量が20wt%を越えると、ポリシ
ロキサン組成物の塗膜の形成が困難となるとともに、ポ
リシロキサン組成物を加熱硬化させることで形成される
絶縁膜等の電気特性が低下する傾向があるからである。
【0025】
【化10】
【0026】さらに本発明では、上述したようなポリシ
ロキサンに対して放射線の照射により酸を発生する化合
物(以下光酸発生剤という)を配合し、感光性のポリシ
ロキサン組成物を調製することが可能である。すなわち
この場合は、主として放射線の照射時に光酸発生剤から
発生した酸でポリシロキサンの側鎖の3級アルコキシル
基が分解されるため、露光部のポリシロキサンの側鎖が
選択的に分解されて潜像が形成され得る。
【0027】ここで、上記一般式(1)で表される繰返
し単位を有するポリシロキサンにおいては、一方の側鎖
にアリール基またはヘテロアリール基が導入されている
ことに起因し、他方の側鎖の3級アルコキシル基の分解
で生成したシラノール性水酸基の酸性度が非常に高く、
アルカリ水溶液に対し大きな溶解性を示す。しかも上述
したようなポリシロキサンでは、アリール基またはヘテ
ロアリール基のかわりにアルキル基等が導入された場合
に比べ、生成したシラノール性水酸基間での反応の進行
が遅く、特に高温での加熱を施さない限りシラノール性
水酸基が安定化され得る。
【0028】従って、ポリシロキサンの側鎖の3級アル
コキシル基が分解されていない未露光部と露光部とでア
ルカリ水溶液に対する溶解性が全く異なり、露光部のポ
リシロキサンをアルカリ水溶液で選択的に溶解除去し、
ポジ型パターンを形成することができる。なおこのとき
のアルカリ水溶液としては、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、トリエチルアミン、ピリジン等の有機ア
ルカリ水溶液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
の無機アルカリ水溶液を用いればよい。
【0029】さらに本発明においては、こうしてパター
ンの形成を行なったポリシロキサン組成物に対し、必要
に応じて放射線を照射した後加熱することで、ポリシロ
キサンをSi−O−Si結合で三次元的に架橋、硬化せ
しめ、Si−O−Si結合の網目状構造を有し所望の膜
パターンからなる絶縁膜を形成することも可能である。
また、上述したようなパターンの形成に当って、放射線
の照射後に露光部で生成したシラノール性水酸基間の反
応が大きく進行しない程度の温度でベークを施し、光酸
発生剤から発生した酸によるポリシロキサンの側鎖の3
級アルコキシル基の分解を促進させてもよい。
【0030】なお、上記一般式(1)で表される繰返し
単位を有するポリシロキサンと光酸発生剤を含有する本
発明のポリシロキサン組成物では、特にパターンを形成
することなくポリシロキサンを加熱硬化せしめてもよい
ことはいうまでもない。しかも、このような感光性のポ
リシロキサン組成物においては、例えばこうしたポリシ
ロキサン組成物を主体とした有機ケイ素化合物膜を形成
し、その全面を露光した後ポリシロキサンを加熱硬化せ
しめることで、熱酸発生剤を配合した場合と全く同様、
絶縁膜等を形成する際の加熱温度の低温化、加熱時間の
短縮化が図られる。
【0031】一方、上記一般式(1)で表される繰返し
単位を有するポリシロキサンと光酸発生剤を含有する本
発明のポリシロキサン組成物は、放射線を照射した後5
0〜150℃程度の温度に加熱すれば、引き続いて未露
光部のポリシロキサンを有機溶媒で選択的に溶解除去
し、ネガ型パターンを形成することが可能である。すな
わちここでは、未露光部でポリシロキサンの側鎖が分解
しない程度に、露光後上述した通りポリシロキサン組成
物を加熱することで、光酸発生剤から発生した酸がポリ
シロキサンの側鎖の3級アルコキシル基を分解した結果
生成したシラノール性水酸基が互いに反応し、露光部に
おいてはケイ素原子がSi−O−Si結合で部分的に三
次元架橋する。従って、ポリシロキサンが一次元ポリマ
ー構造である未露光部との間で有機溶媒に対する溶解性
に差が生じ、未露光部のポリシロキサンを有機溶媒で選
択的に溶解除去して、ネガ型パターンを形成することが
できる。
【0032】なおこのときの有機溶媒としては、芳香族
系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール
系、フェノール系等のものが用いられ得る。具体的に
は、トルエン、キシレン、エチルアセテートセロソル
ブ、乳酸エチル、プロピレングリコールモノエチルアセ
テート、セロソルブ、ヘキサン、オクタン、シクロヘキ
サノン、メチルエチルケトン、ブチロラクトン、ジブチ
ルエーテル、ブタノール、n−メチルピロリドン、ジメ
チルホルムアミド等が例示される。
【0033】また本発明においては、こうしたネガ型パ
ターンを形成した場合についても、上述したような現像
後にさらに得られたネガ型パターンを100℃以上程度
の温度に加熱することで、ポリシロキサンの三次元的な
架橋、硬化を一段と進行させ、Si−O−Si結合の網
目状構造を有し所望の膜パターンからなる絶縁膜を形成
することができる。特にここでは、ネガ型パターンが形
成された際にポリシロキサンの三次元架橋が部分的に進
行していることに起因し、パターンの加熱時におけるパ
ターン形状のだれが少なく、寸法精度の良好な膜パター
ンからなる絶縁膜を形成するうえで、ポジ型パターンの
形成後にポリシロキサンを三次元架橋させるよりも有利
である。なお、このときの加熱温度があまりに高すぎる
と、絶縁膜が形成された基板や基板内に設けられた素子
等への影響が問題となるため、加熱温度は500℃以下
に設定されることが好ましい。
【0034】本発明で、上述したようにポジ型パターン
またはネガ型パターンを形成する際の放射線としては、
波長436nm、365nm、313nm、254n
m、248nm、193nmの紫外線が好ましく、通常
光源には高圧水銀ランプ、キセノンランプ、低圧水銀ラ
ンプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ等
が使用される。本発明の感光性のポリシロキサン組成物
においては、このような紫外線の照射量を0.1mJ/
cm2 〜10J/cm2 程度に設定して露光を行なうこ
とで、極めて感度よくポジ型パターンまたはネガ型パタ
ーンを形成することが可能である。
【0035】また、本発明の感光性のポリシロキサン組
成物における光酸発生剤は、放射線の照射により酸を発
生し得るものであれば特に限定されず、例えばオニウム
塩、ハロゲン含有化合物、キノンジアジド化合物、スル
ホン化合物、スルホン酸化合物、ニトロベンジル化合物
等が用いられ得る。なおこれらの中でも、オニウム塩及
びキノンジアジド化合物は特に好ましい。具体的にオニ
ウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホ
スホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩等を挙
げることができ、好ましくは
【0036】
【化11】 で表される化合物、
【0037】
【化12】 で表される化合物、及び
【0038】
【化13】 で表される化合物等である。ハロゲン含有化合物として
は、ハロアルキル基含有炭化水素系化合物、ハロアルキ
ル基含有ヘテロ環状化合物等を挙げることができ、好ま
しくは
【0039】
【化14】 で表される化合物、及び
【0040】
【化15】 で表される化合物等である。キノンジアジド化合物とし
ては、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン
化合物等を挙げることができ、好ましくは
【0041】
【化16】 で表される化合物、
【0042】
【化17】 で表される化合物、
【0043】
【化18】 で表される化合物、及び
【0044】
【化19】 で表される化合物等である。スルホン化合物としては、
β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホン等を挙げる
ことができ、好ましくは
【0045】
【化20】 で表される化合物等である。ニトロベンジル化合物とし
ては、ニトロベンジルスルホネート化合物、ジニトロベ
ンジルスルホネート化合物等を挙げることができ、好ま
しくは
【0046】
【化21】 で表される化合物等である。
【0047】スルホン酸化合物としては、アルキルスル
ホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、ア
リールスルホン酸エステル、イミノスルホナート等を挙
げることができ、好ましくは
【0048】
【化22】 で表される化合物、
【0049】
【化23】 で表される化合物、及び
【0050】
【化24】 で表される化合物等である。
【0051】なお本発明において、これら光酸発生剤の
好ましい配合量は、ポリシロキサンに対し0.01〜2
0wt%さらには0.05〜5wt%である。この理由
は、光酸発生剤の配合量が0.01wt%未満だと、ポ
リシロキサン組成物に充分な感光性を付与し難く、逆に
光酸発生剤の配合量が20wt%を越えると、ポリシロ
キサン組成物の塗膜の形成が困難となるとともに、ポリ
シロキサン組成物を加熱硬化させることで形成される絶
縁膜等の電気特性が低下する傾向があるためである。
【0052】さらに本発明では、上記一般式(1)で表
される繰返し単位を有するポリシロキサンと光酸発生剤
を含有するポリシロキサン組成物の感光性を利用し、S
i−O−Si結合の網目状構造における所定の領域が選
択的に着色された着色部材を製造することが可能であ
る。具体的には、まずポリシロキサン組成物の膜を形成
し、こうして形成された有機ケイ素化合物膜の所定の領
域に放射線を照射してポリシロキサンの側鎖を分解せし
めることで、露光部で選択的にシラノール性水酸基が生
成した潜像を形成する。続いて、有機ケイ素化合物膜を
色素成分を含有する溶液に浸漬して、露光部でのシラノ
ール性水酸基と色素成分との相互作用に基づき、露光部
に選択的に色素成分を吸着させる。この後、未露光部の
ポリシロキサンの側鎖が分解されるとともに、膜中に生
成したシラノール性水酸基が互いに反応する程度に有機
ケイ素化合物膜を加熱することで、ポリシロキサンのケ
イ素原子がSi−O−Si結合で三次元的に架橋、硬化
され、結果的に得られたSi−O−Si結合の網目状構
造中の所定の領域に色素成分が含有されてなる着色層が
形成される。
【0053】本発明の着色部材の製造方法において、上
述したような色素成分には、塩基性染料、油溶性染料、
分散染料、顔料等を用いることができる。ここで、これ
ら染料及び顔料のC.I.No.を具体的に示すと、染
料では塩基性染料としてベーシック・レッド(Basi
c Red)12、ベーシック・レッド27、ベーシッ
ク・バイオレット(Basic Violet)7、ベ
ーシック・バイオレット10、ベーシック・バイオレッ
ト40、ベーシック・ブルー(Basic Blue)
1、ベーシック・ブルー7、ベーシック・ブルー26、
ベーシック・ブルー77、ベーシック・グリーン(Ba
sic Green)1、ベーシック・イエロー(Ba
sic Yellow)21、油溶性染料としてソルベ
ント・レッド(Solvent Red)125、ソル
ベント・レッド132、ソルベント・レッド83、ソル
ベント・レッド109、ソルベント・ブルー(Solv
ent Blue)67、ソルベント・ブルー25、ソ
ルベント・イエロー(Solvent Yellow)
25、ソルベント・イエロー89、ソルベント・イエロ
ー146、分散染料としてディスパース・レッド(Di
sperse Red)60、ディスパース・レッド7
2、ディスパース・ブルー(Disperse Blu
e)56、ディスパース・ブルー60、ディスパース・
イエロー(Disperse Yellow)60等が
挙げられる。また顔料については、ピグメント・レッド
(Pigment Red)220、ピグメント・レッ
ド221、ピグメント・レッド53:1、ピグメント・
ブルー(Pigment Blue)15:3、ピグメ
ント・ブルー60、ピグメント・グリーン(Pigme
nt Green)7、ピグメント・バイオレット(P
igment Violet)37等が例示される。
【0054】また、このような色素成分を含有する溶液
を調製する際に用いられる溶媒としては水、アルコール
等が挙げられ、色素成分の溶液中の濃度は1〜10wt
%程度であることが好ましい。すなわち濃度が1wt%
未満だと、充分に着色された着色層を得ることが困難と
なり、濃度が10wt%を越えると、得られる着色層に
色ムラが生じるおそれがある。
【0055】さらに、金属アルコキシドあるいはその分
解生成物のゾル溶液を用い、これに色素成分を配合して
着色ゾルを調製しても構わない。なお、ここでの金属ア
ルコキシドは半金属のアルコキシドであってもよく、例
えばケイ素やアルミニウム、ジルコニウム、チタン等の
エトキシドをアルコールと水の混合溶液に溶解または分
散させ、次いで酸を加えてゾル化させた後色素成分を配
合することで調製される。金属アルコキシドの配合量
は、溶液の流動性が失われることがない範囲内で適宜設
定されればよく、具体的には溶媒に対し70wt%以下
程度である。
【0056】本発明において、感光性のポリシロキサン
組成物を主体とした有機ケイ素化合物膜の所定の領域に
放射線を照射した後、上述したような着色ゾルに浸漬し
てその露光部への着色を行なうと、例えば水、アルコー
ル等の溶媒には不溶である顔料を着色ゾル中に分散させ
たうえで吸着させることも可能となるので、色素成分の
選択の幅が広められる。また着色ゾルを用いることは、
特にそれぞれ異なる色素成分を有機ケイ素化合物膜の互
いに異なる領域に吸着させて着色層を多色化する場合、
すでに所定の領域が色素成分で着色された有機ケイ素化
合物膜をこれとは異なる色素成分を含有する溶液に浸漬
した際に、先に吸着された色素成分が溶液中に放出され
難い点で有利である。
【0057】さらに、ケイ素のアルコキシドあるいはそ
の分解生成物のゾル溶液については、有機ケイ素化合物
膜を浸漬したときにこのケイ素のアルコキシドあるいは
その分解生成物が色素成分とともに吸着して、有機ケイ
素化合物膜を加熱硬化した際、ポリシロキサン組成物へ
の放射線の照射で生成したシラノール性水酸基と相互に
反応する。従って、架橋成分としてSi−O−Si結合
の網目状構造に直接関与することになり、着色部材にお
ける着色層の耐久性等の向上に寄与する。なおここで
は、ケイ素のアルコキシドあるいはその分解生成物とポ
リシロキサン組成物への放射線の照射で生成したシラノ
ール性水酸基との反応を促進させる触媒が、ゾル溶液中
に配合されていてもよい。
【0058】またこのとき、アセトニトリル、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン等の水溶性有機溶媒を適宜併用
することで、着色工程における色素成分の吸着速度を速
めることも可能である。ただし水溶性有機溶媒を併用す
る場合、その量は20wt%以下に設定されることが好
ましい。この理由は、溶液中の水溶性有機溶媒の量が多
いと、着色の工程での膜の溶出が促進される傾向がある
からである。
【0059】なお、特にケイ素のアルコキシドあるいは
その分解生成物のゾル溶液は、色素成分を配合すること
なく、露光及び着色の工程の後加熱硬化に先だって有機
ケイ素化合物膜に浸漬させてもよい。この場合も、ケイ
素のアルコキシドあるいはその分解生成物が架橋成分と
なってSi−O−Si結合の網目状構造に取り込まれる
ので、結果的に耐久性等が優れた着色層を得ることが可
能となる。
【0060】上述したようなポリシロキサン組成物及び
色素成分を用いて着色部材を製造する場合、まずポリシ
ロキサン組成物を含有する溶液を調製して透光性のガラ
スや樹脂等からなる透明基板上に塗布した後、50〜1
50℃程度の温度で乾燥させて溶媒を揮発させ、ポリシ
ロキサン組成物を主体とした有機ケイ素化合物膜を形成
する。このときポリシロキサン組成物の溶媒としては、
トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒド
ロフラン、エチルアセテートセロソルブ、ブチロラクト
ン、ブチル乳酸等を用いることができ、ポリシロキサン
組成物を1〜50wt%含有する溶液を調製し、必要に
応じて0.1μm程度のフィルタで濾過した後、透明基
板上にスピンコートすればよい。また、透明基板上に形
成される有機ケイ素化合物膜の膜厚は、0.1〜5μm
程度が好ましい。何となれば0.1μm未満だと、得ら
れる着色層中における色素成分の含有量が不充分となる
おそれがあり、逆に5μmを越えて厚いと、着色の工程
において膜の最下層まで均一に色素成分を吸着させるこ
とが困難となるためである。
【0061】次いで、所望のパターンを有するマスクを
通して透明基板上の有機ケイ素化合物膜に、高圧水銀ラ
ンプ、キセノンランプ、エキシマレーザ等から放射線を
照射する。このように放射線を照射することで、本発明
の感光性のポリシロキサン組成物では光酸発生剤から発
生した酸がポリシロキサンの側鎖の3級アルコキシル基
を分解し、シラノール性水酸基が生成する。
【0062】上述したような露光の工程において、放射
線の波長は150〜400nm程度であればよいが、特
に200〜300nmの波長の紫外線を有機ケイ素化合
物膜に照射したときは充分に着色された着色層が得られ
やすい。また照射量は0.1mJ〜10J、さらには1
mJ〜3J程度に設定されることが好ましい。すなわち
照射量が10Jを越えると、露光時間が長時間化して製
造性が低下するうえ、ピンホール等が発生して膜質も損
なわれる傾向がある。一方0.1mJ未満では、露光不
足のため着色の工程における有機ケイ素化合物膜の露光
部への着色が不充分となるおそれがある。
【0063】次に、必要に応じて光酸発生剤から発生し
た酸によるポリシロキサンの側鎖の分解を助長するため
のベークを施した後、有機ケイ素化合物膜を色素成分を
含有する溶液に0〜50℃の温度下0.5〜10分程度
浸漬する。ここで、シラノール性水酸基が生成した有機
ケイ素化合物膜の露光部に色素成分が吸着して、露光部
が選択的に着色される。続いて、有機ケイ素化合物膜を
60〜250℃で5〜30分程度加熱硬化せしめること
で、有機ケイ素化合物膜中に浸透した色素成分の溶媒が
除去されるとともに、露光の工程において多数生成した
シラノール性水酸基が相互に反応し、結果的にポリシロ
キサンのケイ素原子がSi−O−Si結合で三次元架橋
する。従って、このようなSi−O−Si結合の網目状
構造中に色素成分が含有されてなる耐久性や機械的強度
の優れた着色層が得られる。なおここでは、有機ケイ素
化合物膜を色素成分を含有する溶液に浸漬した後、加熱
硬化に先だって水洗あるいはエアブロー等で有機ケイ素
化合物膜中の溶媒を除去してもよい。
【0064】さらに本発明の着色部材の製造方法におい
ては、上述したような露光及び着色の工程を例えばR,
G,Bの3色について繰返し、着色層を多色化すること
ができる。ここで図1に、本発明の着色部材の製造方法
で着色層を多色化する場合の工程図を示す。
【0065】この場合は、まず透明基板1上の有機ケイ
素化合物膜2の第1の領域について、第1の領域とは逆
パターンを有するマスク31 を通して紫外線4等の放射
線を照射する(図1(a))。続いて、有機ケイ素化合
物膜2を第1の色素成分を含有する溶液に浸漬して、第
1の領域を着色する(図1(b))。
【0066】次に、必要に応じて有機ケイ素化合物膜を
未露光部ではポリシロキサンの側鎖が分解しない程度に
加熱乾燥し、第1の領域におけるポリシロキサンの部分
的な三次元架橋を進行させた後、有機ケイ素化合物膜2
の第2の領域について、第2の領域とは逆パターンを有
するマスク32 を通して紫外線4等を照射する(図1
(c))。続いて、有機ケイ素化合物膜2を第2の色素
成分を含有する溶液に浸漬して、第2の領域を着色する
(図1(d))。なおこのとき、一旦紫外線4等が照射
されてすでにシラノール性水酸基が生成した領域につい
ては再度紫外線4等が照射されても特に問題はなく、第
1の領域と第2の領域を合わせた領域と逆パターンを有
するマスクを用いて、第1の領域及び第2の領域に紫外
線4等を照射しても構わない。
【0067】さらに、やはり必要に応じて有機ケイ素化
合物膜を加熱乾燥した後、有機ケイ素化合物膜2の第3
の領域について、第3の領域とは逆パターンを有するマ
スク33 を通して紫外線4等を照射する(図1
(e))。続いて、有機ケイ素化合物膜2を第3の色素
成分を含有する溶液に浸漬して、第3の領域を着色する
(図1(f))。ここでも、第1〜第3の領域を合わせ
た領域と逆パターンを有するマスクを用いて、第1〜第
3の領域全てに紫外線4等を照射してもよい。
【0068】次いで、有機ケイ素化合物膜2の全領域に
ついて膜中のポリシロキサンを加熱硬化せしめ三次元化
させることで、Si−O−Si結合の網目状構造中に第
1〜第3の色素成分が含有、固定された着色層が得られ
る。ただし、上述したような有機ケイ素化合物膜の加熱
乾燥の際に進行したポリシロキサンの三次元架橋がほぼ
完全なものであるなら、こうしたポリシロキサンの加熱
硬化はもはや特に必要がない。
【0069】なお、このようにそれぞれ異なる色素成分
を有機ケイ素化合物膜の互いに異なる領域に吸着させて
着色層を多色化する場合、吸着速度の速い色素成分から
順に着色が行なわれることが好ましい。これは吸着速度
の速い色素成分ほど一旦吸着されると放出されにくく、
加熱乾燥によるポリシロキサンの部分的な三次元架橋を
不要化あるいは短縮することが可能となるからである。
ただし、吸着速度の速い色素成分から順に着色が行なわ
れるときでも、先に着色が行なわれた領域における混色
の発生を防止する観点から露光、着色及びポリシロキサ
ンの部分的な三次元架橋の工程を繰返して、着色層が多
色化された着色部材を製造することが望まれる。
【0070】上述した通り本発明の着色部材の製造方法
においては、互いに異なる色素成分を含有する複数の着
色領域を有する多色化された着色層を簡略化された製造
プロセスで得ることができ、例えばR,G,Bの着色層
を備えるカラーフィルタを極めて容易に作製することが
可能となる。さらに、黒色に着色された第4の領域がブ
ラックストライプとして形成されてもよく、この場合も
R,G,Bに着色される第1〜第3の領域及び第4の領
域に関して、吸着速度の速い色素成分から順次着色が行
なわれることが好ましい。
【0071】またここで作製されるカラーフィルタは、
R,G,B等の各着色領域について成膜が一括して行な
われていることに起因してその表面平坦性が良好であ
り、例えばフルカラーディスプレイ用の液晶表示素子に
特に好ましく適用される。図2に、このような液晶表示
素子の縦断面図を示す。図中、111 及び112 は透明
基板であり、それぞれの対向面には、ITO等からなる
透明電極121 及び122 が形成されている。さらに走
査電極となる透明電極122 が形成された透明基板11
2 側は、R,G,Bの着色層を備えるカラーフィルタ1
0が、透明基板112 と透明電極122 との間に設けら
れてカラーフィルタ基板となっている。
【0072】一方、表示電極となる透明電極121 が形
成された透明基板111 側は、透明電極121 に接する
形でTFT13が実装されている。このTFT13で
は、まず透明基板111 上にゲート電極14が設けられ
ており、ゲート電極14はゲート絶縁膜15で被覆され
ている。ゲート絶縁膜15上には半導体層16が形成さ
れており、さらに半導体層16上の所定領域には、ソー
ス電極17及びドレイン電極18が接続している。ま
た、透明電極121 及びTFT13の表面、並びに透明
電極121 と対向する透明電極122 の表面には、それ
ぞれ液晶配向膜191 及び192 が形成されており、液
晶配向膜191 及び192 の間には液晶20が封入され
ている。
【0073】さらに、他の液晶表示素子の縦断面図を図
3に示す。なおここで、図2に示す液晶表示素子と同一
部分については、図2と同様の符号を付して説明を省略
する。図示されるようにこの液晶表示素子では、TFT
13が実装された透明基板111 側に、所定の領域がそ
れぞれR,G,Bに着色された有機ケイ素化合物膜を着
色層とするカラーフィルタ10が形成されている。具体
的にはTFT13上に、パッシベーション膜21、カラ
ーフィルタ10、密着層22及び透明電極122 がこの
順で積層形成されており、透明電極122 はパッシベー
ション膜21、カラーフィルタ10及び密着層22に設
けられたコンタクトホールを通してTFT13のドレイ
ン電極18と接続されている。また透明基板111 上に
は、補助容量を確保するための1対の電極231 及び2
2 がTFT13とは離隔して形成されており、やはり
パッシベーション膜21、カラーフィルタ10及び密着
層22に設けられたコンタクトホールを通して、透明電
極122 と電極232 が接続されている。
【0074】ここで、図3中のカラーフィルタ10を本
発明の着色部材の製造方法で作製する場合、カラーフィ
ルタ10のコンタクトホール形成部を残して上述したよ
うな露光及び着色の工程を繰返し、R,G,B等に着色
された各着色領域を形成することが好ましい。すなわち
この場合は、各着色の工程後あるいは露光及び着色の工
程を繰返した後に有機ケイ素化合物膜を加熱乾燥し、露
光及び着色が行なわれた領域のポリシロキサンのみ部分
的な三次元架橋を進行させておけば、一次元ポリマー構
造のポリシロキサンを含有するコンタクトホール形成部
を有機溶媒等で溶解除去することで、例えば別途フォト
レジスト材料を用いたフォトリソグラフィー技術による
ことなく、コンタクトホールを簡略に設けることが可能
となる。
【0075】なお以上は、着色部材をカラーフィルタと
してアクティブマトリックス型表示形式の液晶表示素子
に適用した例を示したが、その他単純マトリックス型表
示形式の液晶表示素子等にも全く同様に適用することが
できる。またこのようなカラーフィルタは、液晶表示素
子以外にも固体撮像素子等幅広い分野で用いることが可
能である。
【0076】さらに本発明においては、感光性のポリシ
ロキサン組成物を主体とした有機ケイ素化合物膜を形成
し、その所定の領域に放射線を照射した後、色素成分の
かわりに導電成分を含有する溶液に有機ケイ素化合物膜
を浸漬すれば、以下は全く同様にして導電膜を得ること
ができる。すなわちここでは、導電成分を含有する溶液
に有機ケイ素化合物膜を浸漬した際に、シラノール性水
酸基が生成している露光部に導電成分が選択的に吸着す
る。続いて、膜中のシラノール性水酸基が互いに反応す
る程度に有機ケイ素化合物膜を加熱することで、ポリシ
ロキサンのケイ素原子がSi−O−Si結合で三次元的
に架橋、硬化されるとともに導電成分が凝集する。従っ
て、Si−O−Si結合の網目状構造における所定の領
域が選択的に導電化された、配線や電極等として有用な
導電膜を製造することが可能である。なおこのとき、有
機ケイ素化合物膜の露光部に導電成分が含浸した後、図
3に示した液晶表示素子におけるコンタクトホール形成
部の場合と全く同様にして、別途フォトレジスト材料を
用いることなく未露光部の有機ケイ素化合物膜を有機溶
媒等で溶解除去することもできる。
【0077】本発明の導電膜の製造方法において、上述
したような導電成分には例えば各種金属や導電性酸化物
の微粒子を用いることができ、具体的にはAl、Ag、
Cu、Ti等の金属や、ITO(In及びSnの酸化
物)、ネサ(Snの酸化物)等の導電性酸化物の微粒子
が挙げられる。これらのうちAl、Ag、Cu、Tiの
微粒子は、有機ケイ素化合物膜中のシラノール性水酸基
との相互作用を高める観点から、導電性が著しく損われ
ない程度の自然酸化膜がその表面に形成されていること
が好ましい。さらに、InやSnといった酸化物が導電
性を有するものについては、アセチルアセトン錯体等の
金属キレート錯体や金属アルコキシドのような通常ゾル
・ゲル法で用いられる成分であってもよい。何となれ
ば、こうした成分は有機ケイ素化合物膜に吸着した後膜
中のポリシロキサンの加熱硬化の際に導電性酸化物に変
換され得るからである。
【0078】また本発明の導電膜の製造方法では、導電
成分を含有する溶液として、特に上述したような微粒子
を含有するゾル溶液を調製することが好ましい。このと
き用いられる溶媒としては水、アルコール等が挙げら
れ、導電成分の溶液中の濃度は1〜10wt%程度であ
ることが好ましい。すなわち濃度が1wt%未満だと、
充分に導電化された導電膜を得ることが困難となり、濃
度が10wt%を越えると、溶液中で導電成分が凝集し
て流動性が失われるおそれが生じる。
【0079】なおここで、各種金属や導電性酸化物の微
粒子を含有する溶液を調製するには、直接こうした微粒
子を溶媒に分散させてもよいが、金属アルコキシドをア
ルコールと水の混合溶液に溶解または分散させ、次いで
酸を加えてゾル化させる方法が微粒子の分散性の良好な
溶液を調製できる点で好ましい。このとき溶液中におけ
る微粒子の粒径は、微粒子の分散性を損わない観点か
ら、0.1μm以下であることが望まれる。
【0080】さらに本発明では、上述したようなポリシ
ロキサン組成物の感光性を利用し、Si−O−Si結合
の網目状構造中に色素成分や導電成分以外の成分を含有
させることもできる。例えば、有機ケイ素化合物膜中の
ポリシロキサンを加熱硬化させる際酸化物誘電体や酸化
物圧電体に変換され得る成分を、有機ケイ素化合物膜に
吸着させることで、容量素子や圧電素子を製造すること
が可能である。
【0081】
【実施例】
実施例1 まず、210gの蒸留したフェニルトリクロロシランを
2Lの乾燥トルエンに溶解させ、150gの蒸留トリエ
チルアミンとともにアルゴン置換した四口フラスコ内に
投入した。次いで、混合物を−100〜−60℃に冷却
し、機械的に激しく撹拌しながら74gのt−ブチルア
ルコールと50gのトルエンの混合溶液を滴下した。滴
下終了後、反応液を室温まで戻して50℃で2時間撹拌
し、さらに室温まで冷却して析出した塩を濾別した。続
いて、濾液に5gのドデシルジエチルアミンを加え減圧
蒸留することで、フェニルt−ブチルオキシジクロロシ
ランを得た。なおここでの合成に当っては、いずれの溶
媒に対しても予め金属ナトリウム・ベンゾフェノン上で
脱水、脱酸素処理を施すとともに、全ての操作は乾燥ア
ルゴン下で行ない、以下についても全く同様とした。
【0082】次に、得られたフェニルt−ブチルオキシ
ジクロロシラン25gとトルエン10gの混合液を、ト
ルエン50g、水10g及びジメチルアニリン27gの
混合液中に激しく撹拌しながら滴下し、滴下終了後50
℃で2時間撹拌した。さらに、反応液を濾過して析出し
た塩を濾別し、濾液を減圧することでトルエンを揮発せ
しめ、引き続いて70℃で3時間加熱して重合反応を進
行させた。次いで、生成したポリマーを少量のアセトン
に溶解させた後、メタノール中で沈殿させて精製した。
【0083】このポリマーについて赤外吸収スペクトル
を測定したところ、3020〜3050cm-1、295
0〜2970cm-1、1050〜1070cm-1にそれ
ぞれフェニル基、t−ブチル基、シロキサン結合に帰属
する吸収が認められた。また1H−NMRスペクトル測
定でも、それぞれフェニル基及びt−ブチル基に起因す
る吸収が6.5〜7.0ppm、1.15ppmに現
れ、ここでのポリマーが下記化学式で表されるポリシロ
キサン(P−1)であることが確認された(収率45
%)。なおGPC測定の結果、ポリマーの重量平均分子
量は約8,000であり、低分子量成分も含有されてい
た。さらに、このポリマーの50wt%トルエン溶液を
調製し、室温で1年間保存したが、溶液の粘度はほとん
ど上昇することがなく、ポリマーの保存安定性が極めて
良好であることが判った。
【0084】
【化25】 実施例2 実施例1で合成したポリシロキサン(P−1)15gと
トルエン70gの混合溶液をガラス基板上にスピンコー
ト法で塗布した後乾燥して、膜厚約2μmの有機ケイ素
化合物膜を形成した。次いで、得られた有機ケイ素化合
物膜を300℃で2時間加熱し、膜中のポリシロキサン
を架橋、硬化させた。こうして形成された絶縁膜を観察
したところ、特にクラックの発生は認められず、その誘
電率は3.2であった。 実施例3 下記化学式で表される重量平均分子量約5,000のポ
リシロキサン(P−2)15gとトルエン70gの混合
溶液をガラス基板上にスピンコート法で塗布した後乾燥
して、膜厚約2μmの有機ケイ素化合物膜を形成した。
次いで、得られた有機ケイ素化合物膜を300℃で2時
間加熱し、膜中のポリシロキサンを架橋、硬化させた。
こうして形成された絶縁膜を観察したところ、特にクラ
ックの発生は認められず、その誘電率は2.5と特に低
い値を有していた。
【0085】
【化26】 実施例4 ポリシロキサン(P−1)15gと下記化学式で表され
る熱酸発生剤(T−1)0.05gとトルエン70gの
混合溶液をガラス基板上にスピンコート法で塗布した後
乾燥して、膜厚約2μmの有機ケイ素化合物膜を形成し
た。次いで、得られた有機ケイ素化合物膜を150℃で
2時間加熱し、膜中のポリシロキサンを架橋、硬化させ
た。こうして形成された絶縁膜を観察したところ、特に
クラックの発生は認められず、その誘電率は3.2であ
った。
【0086】
【化27】 比較例1 下記化学式で表される重量平均分子量約6,000のポ
リシロキサン(P−3)15gと熱酸発生剤(T−1)
0.05gとトルエン70gの混合溶液をガラス基板上
にスピンコート法で塗布した後乾燥して、膜厚約2μm
の有機ケイ素化合物膜を形成した。次いで、得られた有
機ケイ素化合物膜を150℃で2時間加熱し、膜中のポ
リシロキサンを架橋、硬化させた。こうして形成された
絶縁膜を観察したところ、膜の可撓性が低いことに起因
して、ミクロクラックが生じており、またこのために誘
電率を測定することができなかった。
【0087】
【化28】 実施例5 ポリシロキサン(P−1)15gと下記化学式で表され
る光酸発生剤(K−1)0.1gとトルエン70gの混
合溶液を3インチ径のシリコンウエハ上にスピンコート
法で塗布した後乾燥して、膜厚約1μmの有機ケイ素化
合物膜を形成した。次いで、得られた有機ケイ素化合物
膜の全面に低圧水銀ランプから紫外線を充分に照射し、
さらに200℃で30分間加熱して膜中のポリシロキサ
ンを架橋、硬化させ、絶縁膜を形成した。この後、シリ
コンウエハにレーザ光を照射したときのレーザ光の干渉
を観測し、シリコンウエハの反りや歪みを評価したとこ
ろ、シリコンウエハの反りや歪みはほとんど認められな
かった。
【0088】
【化29】 実施例6 ポリシロキサン(P−1)15gと光酸発生剤(K−
1)0.1gとトルエン70gの混合溶液をガラス基板
上にスピンコート法で塗布した後乾燥して、膜厚約2μ
mの有機ケイ素化合物膜を形成した。得られた有機ケイ
素化合物膜に所定のマスクパターンを重ね、低圧水銀ラ
ンプから紫外線を10mJ/cm2 照射した後、80
℃、1分のベークを施した。続いて、2.38wt%の
テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で25
℃、60秒の現像を行なったところ、有機ケイ素化合物
膜の露光部が溶解除去されて、1.0μmの線幅でポジ
型パターンが形成された。 実施例7 ポリシロキサン(P−1)のかわりに下記化学式で表さ
れる重量平均分子量約6,000のポリシロキサン(P
−4)を用いた以外は、実施例6と全く同様にしてパタ
ーン形成を試みたところ、やはり1.0μmの線幅でポ
ジ型パターンを形成することができた。
【0089】
【化30】 比較例2 ポリシロキサン(P−1)のかわりにポリシロキサン
(P−3)を用いた以外は、実施例6と全く同様にして
パターン形成を試みた。しかしながら、有機ケイ素化合
物膜の露光部が溶解除去されず、パターンは全く形成さ
れなかった。 実施例8 実施例6と全く同様の有機ケイ素化合物膜をガラス基板
上に形成し、この上に所定のマスクパターンを重ね、低
圧水銀ランプから紫外線を10mJ/cm2 照射した
後、130℃で5分間加熱した。続いてトルエンで25
℃、60秒の現像を行なったところ、有機ケイ素化合物
膜の未露光部が溶解除去されて、1.0μmの線幅でネ
ガ型パターンが形成された。 実施例9 ポリシロキサン(P−1)15gと光酸発生剤(K−
1)0.1gとトルエン70gの混合溶液をガラス基板
上にスピンコート法で塗布した後乾燥して、膜厚約2μ
mの有機ケイ素化合物膜を形成した。得られた有機ケイ
素化合物膜にカラーフィルター用マスクを重ね、低圧水
銀ランプから紫外線を10mJ/cm2 照射した後、8
0℃、1分のベークを施した。続いて色素成分としてビ
クトリアブルーBH(保土ヶ谷化学社製トリフェニルメ
タン系染料)を1wt%含有するアセトニトリル10w
t%水溶液に、有機ケイ素化合物膜を25℃で5分間浸
漬した。水洗後、100℃で30分加熱乾燥したとこ
ろ、露光部が青色に染色されていた。
【0090】次に有機ケイ素化合物膜に対し、青色に染
色された領域が覆われるよう位置をずらしてマスクを重
ね、紫外線を同様に照射しベークを施した。続いて、色
素成分としてアストラフロキシンFF(保土ヶ谷化学社
製メチン系染料)を1wt%含有するアセトニトリル1
0wt%水溶液に、有機ケイ素化合物膜を25℃で2分
間浸漬した。水洗後、100℃で30分加熱乾燥して、
所定の領域が青色及び赤色に染色された有機ケイ素化合
物膜を得た。
【0091】さらに、この有機ケイ素化合物膜に再度位
置をずらしてマスクを重ね、紫外線を照射しベークを施
した。続いて、色素成分としてブリリアントベーシック
シアニン6GH(保土ヶ谷化学社製トリフェニルメタン
系染料)及びイエロー7GLH(保土ヶ谷化学社製メチ
ン系染料)をそれぞれ0.5wt%、0.7wt%含有
するアセトニトリル10wt%水溶液に、有機ケイ素化
合膜を25℃で10分間浸漬し、水洗した後100℃で
30分加熱乾燥した。この結果、所定の領域がそれぞれ
赤色(R)、青色(B)及び緑色(G)に着色された有
機ケイ素化合物膜を、着色層として備えた着色部材が作
製された。
【0092】次いで上述したような着色部材について、
トルエン、エタノール、ジメチルアセトアミド及びブチ
ロラクトンに対する耐薬品性を調べることでその耐久性
を評価したところ、これらの有機溶媒に浸漬されても色
素は溶出せず、かつ着色層が透明基板から剥がれ落ちる
こともなく、充分に固定化されていることが判った。ま
た着色層における光透過率は、R、G、Bの各着色領域
でそれぞれの特性吸収において2%、1.5%、1.8
%といずれも良好な値を示した。 実施例10 有機ケイ素化合物膜の所定の領域をR、G、Bの各色に
染色して水洗した後、150℃で30分加熱して膜中の
ポリシロキサンを架橋、硬化させた以外は実施例9と全
く同様にして着色部材を作製した。この着色部材につい
ても、トルエン、エタノール、ジメチルアセトアミド及
びブチロラクトンの各有機溶媒に浸漬されても色素は溶
出せず、かつ着色層が透明基板から剥がれ落ちることも
なく充分に固定化されており、優れた耐久性を有するこ
とが確認された。 実施例11 ポリシロキサン(P−1)のかわりに下記化学式で表さ
れる重量平均分子量約6,000のポリシロキサン(P
−5)を用いた以外は実施例9と全く同様にして着色部
材を作製した。この着色部材についてトルエン、エタノ
ール、ジメチルアセトアミド及びブチロラクトンに対す
る耐薬品性を調べることでその耐久性を評価したとこ
ろ、これらの有機溶媒に浸漬されても色素は溶出せず、
かつ着色層が透明基板から剥がれ落ちることもなく、充
分に固定化されていることが判った。また着色層におけ
る光透過率は、R、G、Bの各着色領域でそれぞれの特
性吸収において2.5%、2.5%、2.0%といずれ
も良好な値を示した。
【0093】
【化31】 実施例12 下記化学式で表される重量平均分子量約5,000のポ
リシロキサン(P−6)及び光酸発生剤(K−2)0.
1gの15wt%トルエン溶液をガラス基板上にスピン
コート法で塗布した後乾燥して、膜厚約1.5μmの有
機ケイ素化合物膜を形成した。この後、有機ケイ素化合
物膜への紫外線の照射に続いて50℃、1分のベークを
施した以外は実施例9と全く同様にして着色部材を作製
した。
【0094】この着色部材では、着色層に色抜け等が見
受けられず、R,G,Bとも充分に着色されていた。ま
た、着色部材をさらに150℃で30分加熱した後、ト
ルエン、エタノール、ジメチルアセトアミド及びブチロ
ラクトンの各有機溶媒に浸漬したところ、色素は溶出せ
ず、かつ着色層が透明基板から剥がれ落ちることもなく
充分に固定化されており、優れた耐久性を有していた。
【0095】
【化32】 実施例13〜15 ポリシロキサン(P−1)のかわりに、それぞれポリシ
ロキサン(P−4)及び下記化学式で表される重量平均
分子量約6,000のポリシロキサン(P−7),(P
−8)を用いた以外は実施例9と全く同様にして着色部
材を作製した。これらの着色部材についても着色層には
色抜け等が見受けられず、R,G,Bとも充分に着色さ
れていた。また、着色部材をさらに150℃で30分加
熱した後、トルエン、エタノール、ジメチルアセトアミ
ド及びブチロラクトンの各有機溶媒に浸漬しても色素は
溶出せず、かつ着色層が透明基板から剥がれ落ちること
もなく充分に固定化されており、優れた耐久性を有する
ことが確認された。
【0096】
【化33】 実施例16 テトラエトキシシラン50g、アセトニトリル40g及
び水50gを混合した後、さらに塩酸0.1gを加えテ
トラエトキシシランをゾル化したゾル溶液を調製した。
次いで、各着色工程の後100℃で30分加熱乾燥させ
なかった以外は、実施例9と全く同様にして得た所定の
領域がR,G,Bに着色された有機ケイ素化合物膜を、
上述したようなゾル溶液に浸漬して150℃で1時間加
熱し、膜中のポリシロキサンを架橋、硬化せしめ着色部
材を作製した。この着色部材を、トルエン、エタノー
ル、ジメチルアセトアミド及びブチロラクトンの各有機
溶媒に浸漬したところ、色素は溶出せず、かつ着色層が
透明基板から剥がれ落ちることもなく充分に固定化され
ており、優れた耐久性を有していた。また、鉛筆引っ掻
き試験法(JIS−K5401)で測定された着色層の
表面硬度は5Hであり、充分な機械的強度を有すること
が確認された。 実施例17 テトラエトキシシラン50g、アセトニトリル40g及
び水50gを混合し、得られた溶液に色素成分としてP
R238(山陽色素製顔料)を配合した後、ボールミル
で塩酸0.1gを加えながら5時間分散させて着色ゾル
を調製した。次いで、実施例9と全く同様にして有機ケ
イ素化合物膜を形成し、低圧水銀ランプからその全面に
紫外線を5mJ/cm2 照射し80℃、1分のベークを
施した後、上述したような着色ゾルに室温で10分間浸
漬した。水洗後、150℃で30分加熱し、有機ケイ素
化合物膜中のポリシロキサンを架橋、硬化させたとこ
ろ、全面が赤色に着色された有機ケイ素化合物膜を着色
層として備えた着色部材が作製された。この着色部材を
トルエン、エタノール、ジメチルアセトアミド及びブチ
ロラクトンの各有機溶媒に浸漬したところ、色素は溶出
せず、かつ着色層が透明基板から剥がれ落ちることもな
く充分に固定化されており、優れた耐久性を有すること
が確認された。 実施例18 実施例9で作製された着色部材表面上にITO膜をスパ
ッタ成膜した後、溶媒可溶性のポリイミドのワニスを塗
布して熱処理、ラビング処理を順次施し、着色層上に透
明電極及び液晶配向膜が設けられてなるカラーフィルタ
基板を得た。一方、表面に透明電極としてITO膜が蒸
着された硬質ガラスを過酸化水素水及び硫酸の混合物で
処理して水洗後、リンサードライヤーで乾燥し、さらに
150℃で30分乾燥した。次いでこのような硬質ガラ
ス上にTFTを実装した後、TFT及びITO膜上に溶
媒可溶性のポリイミドのワニスを塗布して熱処理、ラビ
ング処理を順次施し、TFT及び液晶配向膜が設けられ
てなるITO付き透明基板を得た。
【0097】次に、これらのカラーフィルタ基板及びI
TO付き透明基板を、それぞれの液晶配向膜が対向する
ようにスペーサを介して5μmの間隔で配置しシール
後、得られた液晶セルに液晶として6CB(4,4′−
ヘキシルシアノビフェニル)を封入した。この液晶表示
素子について、室温での電圧保持率を測定したところ9
5%と良好な値を示した。 比較例3 ポリシロキサン(P−1)のかわりにポリシロキサン
(P−3)を用いた以外は、実施例9と全く同様にして
有機ケイ素化合物膜の染色を試みた。しかしながらこの
場合は、有機ケイ素化合物膜の露光部でポリシロキサン
の側鎖が分解して生成したシラノール性水酸基が直ちに
互いに反応してしまうため、R,G,Bの各着色領域を
得ることができなかった。 実施例19 テトラエトキシシラン10g、エチルアルコール100
g及び純水100gを混合し、得られた溶液に導電成分
として平均粒径0.1μm以下のAg微粒子を配合した
後、塩酸0.3gを加え室温で2時間撹拌することで、
Ag微粒子が均一に分散されたゾル溶液を調製した。次
いで、実施例9と全く同様に有機ケイ素化合物膜を形成
して所定のマスクパターンを重ね、低圧水銀ランプから
紫外線を10mJ/cm2 照射し、さらに80℃、1分
のベークを施した。続いて、上述した通りのゾル溶液に
有機ケイ素化合物膜を室温で10分浸漬した後、180
℃で30分加熱して有機ケイ素化合物膜中のポリシロキ
サンを架橋、硬化させ、露光部が選択的に導電化された
導電膜を形成した。ここでこうして形成された導電膜に
おいては、未露光部のシート抵抗が1010Ω/□以上で
あるのに対し、露光部のシート抵抗は約400Ω/□と
充分な導電性を有することが確認された。
【0098】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のポリシロ
キサン及びポリシロキサン組成物においては、その保存
安定性が良好であるとともに、基板の歪み等を招くこと
なく可撓性の高い絶縁膜等を形成することや、アルカリ
現像で所望の膜パターンを形成することが可能となる。
従って本発明のポリシロキサン及びポリシロキサン組成
物を用いれば、簡略な製造プロセスで良質の絶縁膜、着
色部材、導電膜を得ることができる絶縁膜、着色部材及
び導電膜の製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の着色部材の製造方法において着色層
を多色化する場合の工程図。
【図2】 フルカラーディスプレイ用の液晶表示素子の
縦断面図。
【図3】 フルカラーディスプレイ用の他の液晶表示素
子の縦断面図。
【符号の説明】
1,111 ,112 …透明基板、2…有機ケイ素化合物
膜、31 ,32 ,33 …マスク、4…紫外線、10…カ
ラーフィルタ、121 ,122 …透明電極、13…TF
T、14…ゲート電極、15…ゲート絶縁膜、16…半
導体層、17…ソース電極、18…ドレイン電極、19
1 ,192 …液晶配向膜、20…液晶、21…パッシベ
ーション膜、22…密着層、231 ,232 …電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 可児 利佳子 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される繰返し単位
    を有することを特徴とするポリシロキサン。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリシロキサンと加熱に
    より酸を発生する化合物とを含有することを特徴とする
    ポリシロキサン組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリシロキサンと放射線
    の照射により酸を発生する化合物とを含有することを特
    徴とするポリシロキサン組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のポリシロキサン及び請求
    項2または請求項3記載のポリシロキサン組成物のいず
    れか1種を主体とした有機ケイ素化合物膜を形成する成
    膜工程と、得られた有機ケイ素化合物膜中のポリシロキ
    サンを加熱硬化せしめる三次元化工程とを有することを
    特徴とする絶縁膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のポリシロキサン組成物を
    主体とした有機ケイ素化合物膜を形成する成膜工程と、
    得られた有機ケイ素化合物膜の所定の領域に放射線を照
    射する露光工程と、露光部の有機ケイ素化合物膜をアル
    カリ水溶液で溶解除去する現像工程とを有することを特
    徴とする所望の膜パターンからなる絶縁膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3記載のポリシロキサン組成物を
    主体とした有機ケイ素化合物膜を形成する成膜工程と、
    得られた有機ケイ素化合物膜の所定の領域に放射線を照
    射する露光工程と、少なくとも露光部の有機ケイ素化合
    物膜を加熱するベーク工程と、ベーク工程の後未露光部
    の有機ケイ素化合物膜を有機溶媒で溶解除去する現像工
    程とを有することを特徴とする所望の膜パターンからな
    る絶縁膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項3記載のポリシロキサン組成物を
    主体とした有機ケイ素化合物膜を形成する成膜工程と、
    得られた有機ケイ素化合物膜の所定の領域に放射線を照
    射する露光工程と、露光工程の後色素成分を含有する溶
    液に有機ケイ素化合物膜を浸漬する着色工程と、所定の
    領域が着色された有機ケイ素化合物膜中のポリシロキサ
    ンを加熱硬化せしめる三次元化工程とを有することを特
    徴とする着色部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項3記載のポリシロキサン組成物を
    主体とした有機ケイ素化合物膜を形成する成膜工程と、
    得られた有機ケイ素化合物膜の第1の領域に放射線を照
    射する第1の露光工程と、第1の露光工程の後第1の色
    素成分を含有する溶液に有機ケイ素化合物膜を浸漬する
    第1の着色工程と、有機ケイ素化合物膜の第2の領域に
    放射線を照射する第2の露光工程と、第2の露光工程の
    後第2の色素成分を含有する溶液に有機ケイ素化合物膜
    を浸漬する第2の着色工程と、所定の領域が着色された
    有機ケイ素化合物膜中のポリシロキサンを加熱硬化せし
    める三次元化工程とを有することを特徴とする着色部材
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 着色部材がカラーフィルタであることを
    特徴とする請求項7または請求項8記載の着色部材の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 請求項3記載のポリシロキサン組成物
    を主体とした有機ケイ素化合物膜を形成する成膜工程
    と、得られた有機ケイ素化合物膜の所定の領域に放射線
    を照射する露光工程と、露光工程の後導電成分を含有す
    る溶液に有機ケイ素化合物膜を浸漬する導電成分含浸工
    程と、少なくとも導電成分が含浸した領域の有機ケイ素
    化合物膜中のポリシロキサンを加熱硬化せしめる三次元
    化工程とを有することを特徴とする導電膜の製造方法。
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