JP3616685B2 - 感光性樹脂組成物およびそれを用いるパターン形成方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物およびそれを用いるパターン形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物およびそれを用いたパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶を光シャッターとする液晶ディスプレイのカラー表示のためにカラーフィルターが使用されている。これまで本発明者らは、有機ポリシランの光分解を利用したカラーフィルターの製造方法を開発してきた。
【0003】
例えば、特開平5−273410には、染料や顔料を含んだ金属アルコキシドを原料とした着色ゾルに浸漬する方法が開示されている。また、特開平5−47782には、透明導電膜上のポリシランの照射部分に染料や顔料を含んだ電着液を使ってパターン電着する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ポリシランを用いたこれらの方法では、長時間の露光を必要とする問題点を有する。本発明は、上記の課題を解決するものであり、それにより簡便で生産性に優れたカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
a)有機溶剤に可溶である、重量平均分子量10000以上のポリシラン
b)光ラジカル発生剤および酸化剤
c)室温で液状であり、ポリシランおよび有機溶剤と相溶するシリコーンオイル、および
d)有機溶剤
を含む感光性樹脂組成物およびそれを基材上に塗布および乾燥して得られた感光性材料を提供する。
【0008】
本発明は、
A)前記感光性樹脂組成物を基材上に塗布および乾燥し、感光層を形成する工程、
B)前記感光層を選択的に露光することにより、着色パターンの潜像を形成する工程:および
C)着色パターンの潜像が形成された前記露光部分を、染料または顔料を含む着色液で着色する工程;
を含む着色パターン形成方法を提供する。
【0009】
本発明は、
D)前記感光層に異なる着色パターンの潜像を形成すること、および異なる染料もしくは顔料を用いること以外は、前記着色工程と同様にして少なくとも1回行われる別の着色工程をさらに含む多色パターン形成方法およびその方法によって得られたカラーフィルターを提供する。
【0010】
本発明は、
A’)上記の感光性樹脂組成物を基材上に塗布および乾燥し、感光層を形成する工程、
B’)前記感光層を選択的に露光することにより、パターン状の潜像を形成する工程:および
C’)パターン状の潜像が形成された前記露光部分を、顔料または染料を含まない、金属酸化物のゾルに浸漬または塗布する工程;
を含む薄膜パターン形成方法を提供するものであり、以上のことにより上記目的が達成される。
【0011】
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、a)有機溶剤に可溶である、重量平均分子量10000以上のポリシラン、b)光ラジカル発生剤および酸化剤、c)シリコーンオイルおよびd)有機溶剤を含んでいる。
【0012】
a) ポリシラン
本発明で使用するポリシランとしては、ネットワーク状および鎖状のものが挙げられる。感光性材料としての機械的強度を考慮すると、ネットワーク状ポリシランが好ましい。ネットワーク状と鎖状は、ポリシラン中に含まれるSi原子の結合状態によって区別される。ネットワーク状ポリシランとは、隣接するSi原子と結合している数(結合数)が、3または4であるSi原子を含むポリシランである。これに対して、鎖状のポリシランでは、Si原子の、隣接するSi原子との結合数は2である。通常Si原子の原子価は4であるので、ポリシラン中に存在するSi原子の中で結合数が3以下のものは、Si原子以外に、炭化水素基、アルコキシ基または水素原子と結合している。
このような炭化水素基としては、炭素数1〜10のハロゲンで置換されていてもよい脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基の具体例として、メチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、トリフルオロプロピル基およびノナフルオロヘキシル基などの鎖状のもの、およびシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基のような脂環式のものなどが挙げられる。また、芳香族炭化水素基の具体例として、フェニル基、p−トリル基、ビフェニル基およびアントラシル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8のものが挙げられる。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。合成の容易さを考慮すると、これらの中でメチル基およびフェニル基が特に好ましい。
【0013】
ネットワーク状ポリシランの場合には、隣接するSi原子との結合数が3または4であるSi原子は、ネットワーク状ポリシラン中の全体のSi原子数の5〜50%であることが好ましい。5%未満では、本発明の効果が得られず、50%を上回ると溶解性に問題が生じる恐れがある。この値は、硅素の核磁気共鳴スペクトル測定により決定することができる。
【0014】
なお、本明細書におけるポリシランは、ネットワーク状と鎖状のポリシランを混合したものも含んでいる。その場合における、上記のSi原子の含有率は、ネットワーク状ポリシランと鎖状ポリシランの平均によって計算される。
【0015】
本発明に使用されるポリシランはハロゲン化シラン化合物をナトリウムのようなアルカリ金属の存在下、n−デカンやトルエンのような有機溶媒中において80℃以上に加熱することによる重縮合反応によって製造することができる。
【0016】
ネットワーク状ポリシランの場合には、オルガノトリハロシラン化合物、テトラハロシラン化合物、およびジオルガノジハロシラン化合物から成り、オルガノトリハロシラン化合物およびテトラハロシラン化合物が全体量の5モル%以上50モル%未満であるハロシラン混合物を加熱して重縮合することにより、目的とするネットワーク状ポリシランが得られる。ここで、オルガノトリハロシラン化合物は、隣接するSi原子との結合数が3であるSi原子源となり、一方のテトラハロシラン化合物は、隣接するSi原子との結合数が4であるSi原子源となる。なお、ネットワーク構造の確認は、紫外線吸収スペクトルや硅素の核磁気共鳴スペクトルの測定により確認することができる。
【0017】
一方、鎖状ポリシランの場合には、複数もしくは単一のジオルガノジクロロシランを用いる他は、ネットワーク状ポリシランの場合と同様の反応により製造することができる。
【0018】
ポリシランの原料として用いられるオルガノトリハロシラン化合物、テトラハロシラン化合物、およびジオルガノジハロシラン化合物がそれぞれ有するハロゲン原子は、塩素原子であることが好ましい。オルガノトリハロシラン化合物およびジオルガノジハロシラン化合物が有するハロゲン原子以外の置換基としては、上述の炭化水素基、アルコキシ基または水素原子が挙げられる。
【0019】
これらのネットワーク状および鎖状のポリシランは、有機溶剤に可溶であり、重量平均分子量が10000以上のものであれば特に限定されない。感光性材料としての利用を考慮すると、本発明で使用するポリシランは蒸発性を有する有機溶媒に可溶である必要がある。このような有機溶媒として好ましいものは、炭素数5〜12の炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、エーテル系である。
【0020】
炭化水素系の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、n−デカン、n−ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼンなどが挙げられる。ハロゲン化炭化水素系の例としては、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどが挙げられる。エーテル系の例としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラハイドロフランなどが挙げられる。
また、ポリシランの重量平均分子量は、10000以上であることが好ましい。10000未満では、本発明の効果が得られないからである。
【0021】
b) 光ラジカル発生剤および酸化剤
本発明に用いうる光ラジカル発生剤とは、光によってハロゲンラジカルを発生する化合物であれば特に限定されないが、2,4,6−トリス(トリハロメチル)−1,3,5−トリアジンとその2位、またはその2位と4位が置換された化合物、フタルイミドトリハロメタンスルフォネートとそのベンゼン環に置換基を有する化合物、およびナフタルイミドトリハロメタンスルフォネートとそのベンゼン環に置換基を有する化合物などを例として挙げることができる。これらの化合物が有する置換基は、置換基を有していてもよい脂肪族および芳香族炭化水素基である。
【0022】
一方、本発明に用いうる酸化剤とは酸素供給源となる化合物であれば特に限定されないが、例えば、過酸化物、アミンオキシドおよびホスフィンオキシドなどを例としてが挙げることができる。光ラジカル発生剤としてトリクロロトリアジン系のものと、酸化剤として過酸化物の組み合わせが好ましい。
【0023】
光ラジカル発生剤および酸化剤の添加は、Si−Si結合が、ハロゲンラジカルにより効率よく切断されることおよび容易に酸素が挿入されることを利用したものである。さらにクマリン系、シアニン系、メロシアニン系等の可溶性色素を加えることによって、色素の光励起によるハロゲンラジカルの発生も可能である。これらは全てポリシランの光に対する感度の向上につながるものである。
【0024】
c) シリコーンオイル
本発明で使用するシリコーンオイルは、式:
【0025】
【化3】
Figure 0003616685
【0026】
[式中、R、R、R、R、RおよびRは、炭素数1〜10のハロゲンまたはグリシジルオキシ基で置換されていてもよい脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシ基からなる群から選択される基であり、同一でも異なっていてもよい。mおよびnは整数であり、m+n≧1を満たすものである。]で示されるものである。
【0027】
このシリコーンオイルが有する、脂肪族炭化水素基の具体例として、メチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、トリフルオロプロピル基、グリシジルオキシプロピル基などの鎖状のもの、およびシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基のような脂環式のものなどが挙げられる。また、芳香族炭化水素基の具体例として、フェニル基、p−トリル基、ビフェニル基などが挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。
【0028】
上記のR〜Rの種類およびmとnの値は特に重要ではなく、室温で液状であり、ポリシランおよび有機溶媒と相溶するものであれば特に限定されない。相溶性を考慮した場合には、使用するポリシランが有する炭化水素基と同じ基を有していることが好ましい。例えば、ポリシランとして、フェニルメチル系のものを使用する場合には、同じフェニルメチル系またはジフェニル系のシリコーンオイルを使用することが好ましい。また、R〜Rのうち、少なくとも2つが炭素数1〜8のアルコキシ基であるような、1分子中にアルコキシ基を2つ以上有するシリコーンオイルは、架橋剤として利用可能である。そのようなものとしては、アルコキシ基を15〜35重量%含んだメチルフェニルメトキシシリコーンやフェニルメトキシシリコーンなどを挙げることができる。
【0029】
分子量としては、10000以下、好ましくは3000以下のものが好適に用いられる。また、25℃の粘度が200cps以下、好ましくは50cps以下のものが好適に用いられる。
【0030】
d) 有機溶剤
本発明で使用する有機溶剤は、a)ポリシランのところで述べたものが好ましい。
【0031】
本発明の感光性樹脂組成物における組成は、ポリシラン100重量部に対して、光ラジカル発生剤1〜30重量部、酸化剤1〜30重量部、シリコーンオイル5〜100重量部である。さらに色素を加える場合にはポリシラン100重量部に対して1〜20重量部であることが好ましい。これに対して、有機溶媒は全体の濃度が5〜15重量%になるように用いられる。本発明では、ポリシランと光ラジカル発生剤および酸化剤との相溶化剤として機能するシリコーンオイルを用いているので、シリコーンオイルを使用しない場合に比べて、光ラジカル発生剤および酸化剤を多く含むことが可能となる。
【0032】
<感光性材料>
上記の感光性樹脂組成物を基材上に塗布および乾燥することによって、感光性材料が得られる。基材としては、用途によって異なり、ガラス板、金属板、プラスチック板などが使用しうるが、カラーフィルターの製造を行う場合には、透明基板を用いる必要がある。透明基板の例として、ガラス板、石英板、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポレオレフィンフィルム、アクリルフィルムが挙げられる。これらの中でガラス板を基板として用いることが特に好ましい。その際の基板の厚さは用いる材質の強度に依存して変化する。例えば、ガラス板を用いる場合は、カラーフィルタ材料としての強度の観点から0.6〜1.2mmの範囲の厚さのものが好ましい。また、必要に応じて基板に金属クロムの遮光膜(ブラックマトリクス)が先にパターニングされていてもよい。
【0033】
基材上への塗布方法は、均一な厚さのポリシラン層を形成可能であれば、特に限定されず、当業者に知られた方法によって行うことができる。一般に、スピンコート法を用いることが好ましい。基板上に形成されるポリシラン層は、0.1〜10μmの範囲の乾燥厚となることが好ましい。このようにして得られた感光性材料は、カラーフィルターやセラミック薄膜として利用することができる。
【0034】
<着色パターン形成方法>
本発明の着色パターン形成方法は
A)上記の感光性樹脂組成物を基材上に塗布および乾燥し、感光層を形成する工程、B)前記感光層を選択的に露光することにより、着色パターンの潜像を形成する工程:およびC)着色パターンの潜像が形成された前記露光部分を、染料または顔料を含む着色液で着色する工程を含んでいる。
【0035】
また、多色パターンを形成する場合には、さらに、D)前記感光層に異なる着色パターンの潜像を形成すること、および異なる染料もしくは顔料を用いること以外は、前記着色工程と同様にして少なくとも1回行われる別の着色工程を含んでいる。
【0036】
A) 工程
この工程は、上記の感光性材料のところで述べたものと同じ内容である。
【0037】
B) 工程
2番目の工程は、前記感光層を選択的に露光することにより、露光部分に着色パターンの潜像を形成するものである。露光には、一般に紫外線が用いられる。図1の(a)に本工程を示した。すなわち、A)の工程で得られた基板101とポリシラン層102からなる感光性材料104の上に、パターンのマスク103を重ね、そこに紫外線110の照射が行われる。
【0038】
本発明で用いられる紫外線は、ポリシランのσ−σ*吸収域である250〜400nmの波長を有する。この照射は、ポリシラン層の厚さ1μm当り0.01〜1J/cm、好ましくは0.1〜0.5J/cmの光量で行われる。照射光量が0.01J/cmを下回ると着色性が低下し、1J/cmを上回るとピンホールの発生が多くなる。紫外線源としては、高圧および超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の他、レーザー走査の場合には、He−Cdレーザー、Arレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等が使用できる。
【0039】
ポリシラン層に存在するSi−Si結合は紫外線照射により切断されてSi−OH(シラノール基)が生成する。したがって、照射された感光性材料にはパターンに応じたシラノール基を有する潜像が形成されることとなる。
【0040】
C) 工程
3番目の工程は、着色パターンの潜像が形成された感光層の露光部分を、染料または顔料を含む着色液で着色する工程である。この工程における着色方法として、ゾル−ゲル着色法、染色法、電着法およびシランカップリング法が利用できるが、得られる材料の耐熱性の点から、ゾル−ゲル着色法またはシランカップリング法が好ましい。以下にゾル−ゲル着色法について詳細を述べる。
【0041】
ゾル−ゲル着色法
ゾル−ゲル着色法では、染料または顔料を含んだ金属酸化物のゾルを着色液として使用する。本明細書中において、「金属酸化物ゾル」とは1種類または2種類以上の金属が酸素を介して縮重合して、適当な溶媒中でゾル化したものをいい、例えばケイ素の場合にはシリカゾルと呼ばれる。
【0042】
金属酸化物ゾルの原料としては、一般的にゾル−ゲル法で使われるものが使用できる。すなわち、Si、Zr、Pb、Ti、Ba、Sr、Nb、K、Li、Ta、In、Sn、Zn、Y、Cu、Ca、Mn、Fe、Co、La、Al、Mg、Vなどのアルコキシド、アセチルアセトナート、酢酸塩、アミン等の金属有機物、硝酸塩などの可溶性無機塩、あるいは酸化物微粒子の分散体が用いられる。これらの中で、取り扱いが容易なSiのアルコキシドを原料とすることが好ましい。ゾル化は、上記の原料をアルコール等の溶媒で溶液化し、酸または塩基などの触媒を使って縮重合反応させることにより行われる。
【0043】
例えば、Siのアルコキシドとしてテトラエトキシシランを用いて、金属酸化物ゾルを合成する場合には、テトラエトキシシランをエタノール−水の混合溶液に溶解させたものに、染料または顔料を混合した後、塩酸を加えて室温で撹拌する。これにより、テトラエトキシシランは加水分解および脱水縮合して、均質なシリカゾルが得られる。また、染料または顔料の混合は、ゾルを形成した後で行ってもよい。
【0044】
組成としては、テトラエトキシシラン100重量部に対してエタノール20〜200重量部、水50〜200重量部、塩酸0.01〜3重量部、染料または顔料0.5〜25重量部が好ましい。
【0045】
本発明に用い得る染料または顔料は、金属アルコキシドのアルコール溶液に溶解または分散可能なものであり、金属酸化物ゾルと相互作用を有し得る全てのものである。このような染料または顔料は、紫外線照射によりポリシラン層中に形成されるシラノール基と相互作用することにより、感光性材料に吸着すると考えられる。その結果、感光性材料が露光パターンに応じて着色されることとなる。
【0046】
このような染料には、塩基性染料、油溶性染料および、分散染料が含まれる。本発明に好適に使用し得る染料のC.I.No.の例を以下に示す。
【0047】
塩基性染料としては、ベーシック・レッド(Basic Red)12、ベーシック・レッド27、ベーシック・バイオレット(Basic Violet)7、ベーシック・バイオレット10、ベーシック・バイオレット40、ベーシック・ブルー(Basic Blue)1、ベーシック・ブルー7、ベーシック・ブルー26、ベーシック・ブルー77、ベーシック・グリーン(Basic Green)1およびベーシック・イエロー(Basic Yellow)21が挙げられる。
【0048】
油溶性染料としては、ソルベント・レッド(Solvent Red)125、ソルベント・レッド132、ソルベント・レッド83、ソルベント・レッド109、ソルベント・ブルー(Solvent Blue)67、ソルベント・ブルー25、ソルベント・イエロー(Solvent Yellow)25、ソルベント・イエロー89、ソルベント・イエロー146が挙げられる。分散染料としては、ディスパース・レッド(Disperse Red)60、ディスパース・レッド72、ディスパース・ブルー(Disperse Blue)56、ディスパース・ブルー60、ディスパース・イエロー(Disperse Yellow)60が挙げられる。
これらの中で、特に耐熱性、耐光性に優れる含金属系の油溶性染料がカラーフィルター材料として適する。
【0049】
一方、本発明に好適に使用し得る顔料のC.I.No.の例として、ピグメント・イエロー(Pigment Yellow)83、ピグメント・イエロー110、ピグメント・イエロー139、ピグメント・レッド(Pigment Red)53:1、ピグメント・レッド177、ピグメント・レッド221、ピグメント・バイオレット(Pigment Violet)23、ピグメント・バイオレット37、ピグメント・ブルー(Pigment Blue)15、ピグメント・ブルー15:3、ピグメント・ブルー15:6、ピグメント・グリーン(Pigment Green)7、ピグメント・グリーン36、ピグメント・ブラック7が挙げられる。
【0050】
顔料は金属アルコキシドのアルコール溶液で1度分散した後に、ゾル化しても良いし、ゾル溶液中で分散させても良い。分散の際には、ノニオン系の界面活性剤を使用し、可視光波長より小さな粒子径まで分散させることが望ましい。
【0051】
このようにして得られた、染料または顔料を含んだ金属酸化物ゾルを、塗布または浸漬することにより、感光性材料の露光部分が着色される。これは、感光性材料の露光部分に、前述したようにシラノール基が生成しており、このシラノール基と染料または顔料を含んだ金属酸化物ゾルとの相互作用による吸着(ゲル化)が生じるためであると考えられる。また、顔料が分散された金属酸化物ゾルでは顔料表面に金属酸化物の粒子が吸着していること、および顔料が分散された金属酸化物ゾルを用いて着色を行った場合に、感光層内部に顔料が存在していることが透過型電子顕微鏡で確認可能である。このことから、金属酸化物の粒子を表面に吸着した顔料が、感光層の露光部分に存在する微細な孔を通して、内部へ拡散していることが確認できる。
【0052】
塗布は、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、カーテンフローコーター、およびメニスカスコーターなどを使用して行うことができる。一方、浸漬は、感光性材料を完全に浸漬できる大きさの槽に着色液を満して行われる。着色液の管理が容易であり、着色液の使用量も少なくてすむことから塗布による方法が好ましい。
【0053】
また、着色速度および着色濃度を上昇させるために、アセトニトリル、ジオキサンおよびテトラヒドロフランのようなポリシラン層を膨潤させる非プロトン性有機溶媒を金属酸化物ゾル中に添加することが可能である。これらは好ましくは、金属酸化物ゾル中に1〜20重量%の量で含有しうる。溶媒の含有量が20重量%を上回るとポリシラン層の部分的な再溶解が生じ、得られる着色された感光性材料の表面に乱れが生じる恐れがある。
【0054】
このようにして得られた着色された感光性材料は染料または顔料を含んだ金属酸化物ゾルを除去した後に乾燥させる。除去の方法としては、水洗する方法およびエアブローで吹き飛ばす方法などが使用できる。
【0055】
乾燥は、一般に100℃以上で10分から1時間行われることが好ましいが、用いる透明基板、染料または顔料に悪影響を与えない範囲で乾燥条件を変化することができる。例えば、透明基板としてガラス基板を用いた顔料を含む場合には、200℃で30分以上の乾燥が可能である。この乾燥の過程では、脱水反応などによるゲル化がさらに進行し、染料または顔料がSiOの架橋した膜の中に閉じ込められた状態になると予想される。特に、シリコーンオイルとして1分子中にアルコキシ基を2つ以上有するものを用いた場合には、架橋反応が進行し、得られるパターン着色部分の耐熱性が向上する。
【0056】
このことにより、有機溶媒等に溶出しにくく、さらに別の着色工程では、この部分には着色が生じないような、耐性に優れた着色膜を得ることができるものと考えられる。
【0057】
このような第1パターン着色工程により、図1(b)に示すように、単色にパターン着色された感光性材料104’が得られる。
【0058】
ゾル−ゲル着色法以外の着色方法
ゾル−ゲル着色法以外の着色方法として、染色法、電着法およびシランカップリング法が挙げられる。
【0059】
染色法では、着色液として染料の水溶液を塗布または浸漬することにより、感光性材料の露光部分が着色される。これは、染料が露光部分に生じたシラノール基と相互作用して、吸着されることによると考えられる。染料の水溶液は、染料を0.1〜5重量%含んでいることが好ましい。染料としては、ゾル−ゲル着色法のところで述べたものが使用可能である。また、染料の溶解性を上げるために低級アルコールを1〜30重量%加えてもよいし、ゾル−ゲル着色法のところで述べたような非プロトン性有機溶媒を含むことができる。染色温度および染色時間のような染色条件は所望の染色濃度、および用いられる染料の種類および量に依存して変化し得る。染色された感光性材料は染料の水溶液を除去した後に乾燥を行う。除去する方法としては、ゾル−ゲル着色法と同じく水洗する方法およびエアブローで吹き飛ばす方法などを用い得る。乾燥は室内で放置することにより行ってもよいが、50〜100℃で5〜30分間加熱することにより強制的に乾燥させることが好ましい。
【0060】
電着法では、着色液として染料または顔料を含んだ電着可能な溶液を用いる。電着可能な溶液としては、アニオン性およびカチオン性の樹脂やミセル電界液などの当業者によく知られたものが使用できる。
【0061】
アニオン性樹脂は、酸基を有する樹脂を塩基で中和したもので、樹脂としては、(メタ)アクリル酸共重合体やオイルフリーポリエステル樹脂が好ましい。これに対してカチオン性樹脂は、塩基性基を有する樹脂を酸で中和したもので樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
【0062】
一方、ミセル電界液は、荷電した界面活性剤のミセル水溶液である。界面活性剤としては、プラス、もしくはマイナスに荷電したものであればよく、プラスに荷電したものの例としては、塩化ベンザルコニウム、ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、イミダゾリニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、があげられる。マイナスに荷電したものの例としては、脂肪族カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩などがあげられる。
【0063】
電着法で使用可能な染料および顔料としては、ゾル−ゲル着色法のところで述べたものの他に、染料として直接染料および酸性染料が挙げられる。
直接染料としては、ダイレクト・イエロー(Direct Yellow)44、ダイレクト・レッド(Direct Red)23、ダイレクト・レッド79、ダイレクト・ブルー(Direct Blue)25、ダイレクト・ブルー86、ダイレクト・グリーン(Direct Green)59などが挙げられる。
【0064】
酸性染料としては、アシッド・イエロー(Acid Yellow)38、アシッド・イエロー99、アシッド・バイオレット(Acid Violet)49、アシッド・ブルー(Acid Blue)40、アシッド・ブルー83、アシッド・グリーン(Acid Green)25、アシッド・グリーン18などが挙げられる。
【0065】
染料または顔料を含んだ電着可能な溶液は以下のように製造される。すなわち、アニオン性またはカチオン性樹脂の場合には、酸基または塩基性基を有する樹脂を中和して水溶液または水分散液とし、これに染料もしくは顔料を溶解もしくは分散させることにより、目的とする着色液を得ることができる。顔料を使用する場合は、粒子径が0.4μm以下になるように分散することが好ましい。その後顔料濃度が3〜20%になるように水で希釈し、必要に応じて溶剤を加えて電着可能な溶液とする。さらに、電着塗料用の硬化剤として知られているアミノ樹脂やブロックイソシアネートを加えることで熱硬化型の電着可能な溶液を作製することもできる。また、ポリシランの紫外線照射部に生成したシラノール基と反応し架橋構造を形成させるために、シランカップリング剤やコロイダルシリカを電着可能な溶液中に含んでいてもよい。一方、水溶性の染料の場合には、分散工程は必要ないが、油溶性染料や分散染料の場合には顔料と同様に分散を行い微粒化させることが必要である。
【0066】
これに対して、ミセル電界液の場合には、水性媒体中に上記の界面活性剤および染料または顔料を加えて混合、必要に応じて分散することにより、着色液を作製する。界面活性剤の濃度は、特に制限はないが、限界ミセル濃度以上であることが好ましい。またポリシラン層のシラノール基との架橋構造を形成するために、上述のシランカップリング剤やコロイダルシリカを併用することができる。電気伝導度を調節するために必要に応じてアルカリ金属の硫酸塩または酢酸塩などの支持電解質を加えてよい。
【0067】
なお、他の着色方法と異なり、電着法では、ITOや導電性高分子などによる透明電極が形成されたガラス板を透明基板として使用する必要がある。上記のA)およびB)工程を経た、透明電極が形成されたガラス板は、上記の電着可能な溶液に浸漬される。透明電極を陰極、もしくは陽極として電着することにより、潜像のポリシラン層に着色パターンが形成される。電着後の着色液の除去は、水洗およびエアブローで吹き飛ばす方法などにより行われる。
【0068】
乾燥は電着可能な溶液に用いられた樹脂が架橋能を有する場合は、その架橋反応条件に従い乾燥させればよい。電着可能な溶液に用いられた樹脂が架橋能を有していない場合や、樹脂を含まず顔料と界面活性剤からなる場合は、80℃,10分以上の条件で乾燥することが好ましい。
【0069】
最後の着色方法はシランカップリング法である。この方法では、着色液として、シランカップリング剤を含んだ顔料水系分散液を使用する。シランカップリング剤としては、公知のものが使用可能であるが、メトキシシランおよびエトキシシラン系のカップリング剤を用いることが好ましい。顔料としては、ゾル−ゲル着色法のところで述べたものが使用できる。
【0070】
シランカップリング剤を含んだ顔料水系分散液は、顔料100重量部に対してノニオン系の界面活性剤1〜25重量部、シランカップリング剤1〜25重量部、水および必要に応じて水に混和可能な有機溶剤150〜250重量部をガラスビーズなどを用いて分散することにより調整される。一般にシランカップリング反応は酸の存在下で進行するため、塩酸などを用いて着色液を酸性にしておくことが好ましい。
【0071】
このシランカップリング剤を含んだ顔料水系分散液を、露光された感光性材料に塗布または浸漬し、着色液の除去後乾燥することにより、シランカップリング反応が進行し、露光パターンに応じた着色が成される。その他の詳細については、ゾル−ゲル着色法で述べた内容が参照できる。
【0072】
D) 工程
上記のA)〜C)の工程によって、単色が感光性材料に着色される。カラーフィルターなどの複数色を有する材料を得るためには、さらに違った着色が必要とされる。そこで4番目の工程は、C)工程までにより得られた単色着色された感光性材料に、2色目以降の着色を行うものである。
【0073】
図1(c)に示すように、マスクフィルム103の代わりにマスクフィルム113を用いてポリシラン層に異なる着色パターンの潜像を形成すること、および先に用いたものとは異なる染料または顔料を用いること以外は上記B)およびC)工程と同様にして、図1(d)に示すように、2色にパターン着色された感光性材料104”が得られる。ここで用いられるマスクフィルム113は、一般に、図1(c)に示すように、ポリシラン層の上記B)およびC)工程で着色されたパターン部分を覆い、着色されていない部分が露光されるようなマスクパターンを有するものである。
【0074】
さらに所望の場合には、図1(e)に示すように、マスクフィルム113の代わりにマスクフィルム123を用いてポリシラン層に異なる着色パターンの潜像を形成すること、さらに異なる染料または顔料を用いること以外は、2色目の着色工程と同様にして、図1(f)に示すように、3色にパターン着色されたフィルタ材料104”’が得られる。ここで用いられるマスクフィルム123は、一般に、図1(e)に示すように、ポリシラン層の1色目および2色目の着色パターン部分を覆い、着色されていない部分が露光されるようなマスクパターンを有するものである。
【0075】
このような工程を繰り返すことによりさらに多色にパターン着色されたフィルターを作製することが可能である。また、このD)工程において、マスクフィルムを使用せずに全面露光を行うことで、1色目の着色パターン部分以外の部分に着色を行うことができる。
【0076】
なお、本明細書の「異なる着色パターンの潜像を形成する」という用語はそれぞれのパターン着色工程において全く同一の着色パターンの潜像を形成しないことを指し、必ずしも互いに重複しないように着色パターンを形成することに限定されるものではない。また、本明細書の「異なる染料または顔料を用いる」という用語は、各パターン着色工程において、少なくとも1種類の染料または顔料を含有する異なる色相を有する着色液を用いることを指し、着色液に用いられる染料または顔料組成の一部が各工程で重複してもよい。
【0077】
一旦着色乾燥されたポリシラン層のパターン部分はほとんどシラノール基を有しないので、後続の着色工程において他の染料または顔料で染色され難い。したがって、本発明の方法では混色の問題は生じ難い。着色方法として染色法を使用する場合には、着色パターンの混色の防止を確実にするために、速い吸着速度を有する染料から順次着色を行うことが好ましい。本発明に用い得る染料の吸着速度はシリカゲルクロマトグラフィーによりその大小が決定される。一方、着色方法として電着法を利用し、着色液としてミセル電解液を使用する場合の混色防止方法として、使用する顔料の酸化電位をボルタメトリーで測定し、酸化電位の高い顔料から着色することが挙げられる。
【0078】
<カラーフィルター>
本発明のカラーフィルターは、上記のA)〜D)の工程を含む着色パターン形成方法において、RGB3原色に対応する染料または顔料を含んだ3色の着色剤を使用し、さらにブラックマトリクスまたはブラックストライプを形成することにより得ることができる。このブラックマトリクスおよびブラックストライプは、RGB3原色に続く第4色目として黒色染料または黒色の顔料を用いて着色することができる。また、ブラックマトリクスおよびブラックストライプが先にパターニングされた透明基板を用いてもよい。
【0079】
<薄膜パターン形成方法>
本発明の薄膜パターン形成方法は、A’)上記の感光性樹脂組成物を基材上に塗布および乾燥し、感光層を形成する工程、B’)前記感光層を選択的に露光することにより、パターン状の潜像を形成する工程、およびC’)着色パターンの潜像が形成された前記露光部分を、顔料または染料を含まない、金属酸化物のゾルに浸漬または塗布する工程を含んでいる。
【0080】
A’) 工程および B’) 工程
この2つの工程は、上記の着色パターン形成方法のA)工程およびB)工程とそれぞれ同じ内容である。
【0081】
C’) 工程
この工程は、パターン状の潜像が形成された前記露光部分を、金属酸化物のゾルに浸漬または塗布するものであるが、ここで使用する金属酸化物のゾルが顔料または染料を含まない点が、上記の着色パターン形成方法のC)工程と大きく異なる点である。金属酸化物のゾルとしては、着色パターン形成方法のC)工程のゾル−ゲル着色法で述べたものが使用できる。
【0082】
上記の露光部分を、金属酸化物のゾルに塗布または浸漬することにより、感光性材料の露光部分にパターンが形成される。これは前述したように、露光部分に生じたシラノール基と金属酸化物ゾル粒子との相互作用による吸着(ゲル化)が起こるためであると考えられる。
【0083】
また、金属酸化物ゾルに機能性部分または機能性化合物を含ませた場合には、金属酸化物ゾル粒子の吸着に伴い、それらの部分または化合物が感光層内部に取り込まれるので、機能を有する薄膜が得られる。
【0084】
この吸着に供う機能発現を行わせる場合、次の3通りが考えられる。1番目は金属酸化物ゾル粒子そのものが機能性原子または機能性官能基を含む場合、2番目は、金属酸化物ゾル粒子と共に感光層に吸着し得る機能性粒子状材料が共存する場合、最後は金属酸化物ゾルに溶解し得る機能性材料が共存する場合である。もちろん、これら2種以上を組み合せて機能を発現させてもよい。
【0085】
機能性原子としてはフッ素原子などが例示される。また機能性官能基としては、疎水性基であるアルキル基などが、イオン交換性を有する基であるカルボキシル基、スルホ基、酸性水酸基、アミノ基などが挙げられる。これらの機能性原子または機能性官能基を多く含むゾルを形成し、これを感光層に吸着させることにより、例えばフッ素原子を用いた場合には、撥水性部分を感光層上にパターン化することができる。
【0086】
機能性粒子状材料としては、例えば銅や銀粒子が挙げられる。金属酸化物ゾルとしてシリカゾルを用いる場合には、これらの機能性粒子状材料はシリカゾルを用いて分散するか、もしくは、一度非イオン性の界面活性剤を用いて分散したものをシリカゾル調製時に混合することにより、シリカゾル粒子と機能性粒子状材料を共存させることができる。この場合、機能性粒子状材料の粒子径は500nm以下、好ましくは200nm以下にする必要がある。粒子径が500nmを超えるとゾル液に浸漬しても粒子が感光層の照射部に拡散できず固着できない。この粒子径は通常の遠心沈降法で測定できる。シリカゾル粒子と機能性粒子状材料が共存している場合には、一般にシリカゾル粒子が機能性粒子状材料表面に吸着しているものと考えられる。機能性粒子表面へのシリカゾル粒子の吸着は、ゼータ電位を測定することにより確認できる。例えば、非イオン性の界面活性剤を使って分散させた場合のゼータ電位は−5〜−25mVで安定化する。これは、シリカゾルの吸着により、機能性粒子状材料表面にシラノール基が存在していることに基づくものと考えられる。このようにして製造したものを感光層に吸着させることにより、銅や銀を感光層にパターン化して含ませることができる。
【0087】
一方、金属酸化物ゾルに溶解し得る機能性材料としては、水またはアルコールに溶解し、かつシリカゾルのシラノール基と相互作用する性質を有するものが使用可能である。機能性材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、セルロースなどのアルコール性水酸基をもつポリマー、ポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)などのアミド基含有ポリマーが適している。これらの材料を感光層に含有させた場合には、材料が分解しない温度でゲル化させることで柔軟性を、材料が分解する温度以上でゲル化させることで、材料が分解した後に残る孔を利用して多孔性等の機能を付与することができる。
【0088】
塗布は、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、カーテンフローコーター、およびメニスカスコーターなどを使用して行うことができる。一方、浸漬は、感光性材料を完全に浸漬できる大きさの槽に金属酸化物ゾル溶液を満して行われる。溶液の管理が容易であり、ゾル液の使用量も少なくてすむことから塗布による方法が好ましい。
【0089】
また、吸着速度および着色濃度を上昇させるために、アセトニトリル、ジオキサンおよびテトラヒドロフランのようなポリシラン層を膨潤させる非プロトン性有機溶媒を金属酸化物ゾル中に添加することが可能である。これらは好ましくは、金属酸化物ゾル中に1〜20重量%の量で含有しうる。溶媒の含有量が20重量%を上回るとポリシラン層の部分的な再溶解が生じ、得られるパターン化された感光性材料の表面に乱れが生じる恐れがある。
【0090】
このようにして得られたパターン化された感光性材料は、金属酸化物ゾル溶液を除去した後に乾燥させる。除去の方法としては、水洗する方法およびエアブローで吹き飛ばす方法などが使用できる。
【0091】
乾燥は、一般に100℃以上で10分から2時間行われることが好ましいが、用いる基材や含有されている機能性材料に悪影響を与えない範囲で乾燥条件を変化することができる。例えば、ガラス基板を用い、金属酸化物ゾルがシリカゾルである場合には、400℃以上の乾燥で有機の置換基が脱離して金属酸化物薄膜が得られる。
【0092】
このようなA’)〜C’)工程により、図2(b)に示すように、所望にパターニングされた薄膜形成用積層体104’が得られる。光ディスク基板のプレグループのようにガラス表面に凹凸が必要な場合は、次いで、図2(c)に示すように全面露光し、残った感光層を分解させて除去すれば、図2(d)のように凹凸のあるパターン薄膜が得られる。不必要な感光層を除去する方法としては、加熱により揮散させる方法や、溶剤を使って除去する方法がある。加熱により除去する場合は200℃以上で10〜60分の加熱で十分である。この場合、金属酸化物ゾル粒子は機能性を有してなくても良い。
【0093】
また、B’)〜C’)の工程を、露光部分を変え、異なる配合の金属酸化物ゾル溶液を使って繰り返せば、機能の異なる薄膜を同一基材上に簡単にパターニングすることが可能である。
【0094】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0095】
調製例1
直鎖状ポリシランの調製
攪拌機を備えた1000mlフラスコにトルエン400mlおよびナトリウム13.3gを充填した。このフラスコの内容物を紫外線を遮断したイエロールーム中で111℃に昇温し、高速攪拌することによりナトリウムをトルエン中に微細に分散した。ここにフェニルメチルジクロロシラン51.6gを添加し、3時間攪拌することにより重合を行った。その後、得られる反応混合物にエタノールを添加することにより、過剰のナトリウムを失活させた。水洗後、分離した有機層をエタノール中に投入することにより、ポリシランを沈澱させた。得られた粗製のポリシランをエタノールから3回再沈殿させることにより、重量平均分子量24000の直鎖状ポリメチルフェニルシランを得た。
【0096】
調製例2
ネットワーク状ポリシランの調製
フェニルメチルジクロロシランの量を51.6gから42.1gに変更すること、および新たにテトラクロロシラン4.1gを加えること以外は、調製例1と同様の操作を行い、重量平均分子量11600のネットワーク状ポリメチルフェニルシランを得た。
【0097】
実施例1
感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性材料の製造その1
調製例1で得られた直鎖状ポリシラン100重量部、TSR−165(分子量930のメチルフェニルメトキシシリコーン、東芝シリコーン製)10重量部、TAZ−110(2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、みどり化学製)10重量部、およびBTTB(3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、日本油脂製)15重量部をトルエン1215重量部に溶解して、感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物を、ポリシランの紫外部の335nmの吸収が吸光度で1.5になるように、石英基板上にスピンコートし、感光性材料を得た。
【0098】
実施例2
感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性材料の製造その2
TSR−165の量を10重量部から30重量部に、およびトルエンの量を1215部から1395部に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、感光性樹脂組成物および感光性材料を得た。
【0099】
実施例3
感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性材料の製造その3
TSR−165の量を10重量部から50重量部に、およびトルエンの量を1215部から1615部に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、感光性樹脂組成物および感光性材料を得た。
【0100】
実施例4
感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性材料の製造その4
TSR−165の量を10重量部から100重量部に、およびトルエンの量を1215部から2115部に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、感光性樹脂組成物および感光性材料を得た。
【0101】
実施例5
感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性材料の製造その5
TSR−165 10重量部の代わりにX−40−2171(分子量790のフェニルメトキシシリコーン、信越化学製)10重量部を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い、感光性樹脂組成物および感光性材料を得た。
【0102】
実施例6
感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性材料の製造その6
TSR−165 10重量部の代わりにKR−213(分子量640のメチルフェニルメトキシシリコーン、信越化学製)10重量部を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い、感光性樹脂組成物および感光性材料を得た。
【0103】
比較例1
調製例1で得られた直鎖状ポリシラン100重量部をトルエン900重量部に溶解したものを、ポリシランの紫外部の335nmの吸収が吸光度で1.5になるように、石英基板上にスピンコートし、感光性材料を得た。
【0104】
比較例2
TSR−165を用いないこと、およびトルエンの量を1215重量部から1115重量部に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、感光性材料を得た。
【0105】
感光性材料の感度評価
日本電池製の超高圧水銀灯CL−50−200A(500W)を用いて、紫外線を照射しポリシランの335nmにおける吸光度が照射前の半分の値である0.75になるまでの時間を測定し、これを感度とした。なお、吸光度の測定には、大塚電子製分光光度計MCPD−1000を用いた。結果を表1にまとめた。
【0106】
【表1】
Figure 0003616685
【0107】
実施例7
感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性材料の製造その7
調製例1で得られた直鎖状ポリシラン100重量部、TSR−165(分子量930のメチルフェニルメトキシシリコーン、東芝シリコーン製)50重量部、TAZ−110(2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、みどり化学製)10重量部、BTTB(3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、日本油脂製)15重量部、および3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)(コダック製)5重量部をテトラハイドロフラン1620重量部に溶解して、感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物を、ポリシランの紫外部の335nmの吸収が吸光度で1.5になるように、石英基板上にスピンコートし、感光性材料を得た。この感光性材料に、紫外線を照射しポリシランの335nmにおける吸光度が照射前の半分の値である0.75になるまでの時間は45秒であった。
なお、紫外線照射は日本電池製の超高圧水銀灯CL−50−200A(500W)を用い、フィルターにより440nm以下の光をカットして行った。吸光度の測定には、大塚電子製分光光度計MCPD−1000を用いた。
【0108】
比較例3
TSR−165を用いないこと、およびテトラハイドロフランの量を1625重量部から1175重量部に変更する以外は、実施例3と同様の操作を行った。この場合のポリシランの335nmにおける吸光度が照射前の半分の値になるまでの時間は110秒であった。
【0109】
比較例4
TSR−165および3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)を用いないこと、およびテトラハイドロフランの量を1625重量部から1130重量部に変更する以外は、実施例3と同様の操作を行った。この場合のポリシランの335nmにおける吸光度が照射前の半分の値になるまでの時間は460秒であった。
【0110】
本発明におけるシリコーンオイルの使用は、ポリシランと光ラジカル発生剤および酸化剤との相溶化を目的としたものであったが、シリコーンオイルを含むことによる光反応性の向上が確認された。ポリシランの溶液中の光反応が、固体中に比べて数倍〜数十倍速いことが知られていることから推察すると、以下のように考えられる。すなわち、シリコーンオイルを含むことによりポリシラン層が柔軟化する。柔軟化したことにより、固体中の反応が溶液中の反応に近づき、光反応性が増加したものと考えられる。
【0111】
調製例3
ゾル−ゲル着色法で使用する着色液の調製
テトラエトキシシラン168g、メチルトリエトキシシラン84g、イオン交換水250gおよびエタノール96gを1000ccのビーカーに入れ、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、35%濃塩酸1.92gを加えた。液温を20℃に保ちながら15分間撹拌を続けたところ、透明で均質なシリカゾルが得られた。このシリカゾル56g、イオン交換水139gおよびカラーフィルター用ノニオン顔料ペーストであるレッドAQ−866(御国色素製)50gを300ccのビーカーに入れ、30分撹拌した後、エタノール40gを添加してレッド着色用のゾルを調製した。
【0112】
また、レッドAQ−866の代わりに、グリーンAQ−016(御国色素製)、ブルーAQ−010(御国色素製)およびブラックAQ−022(御国色素製)を用いて、それぞれグリーン着色用、ブルー着色用およびブラック着色用のゾルを調製した。
【0113】
調製例4
染色法で使用する着色液の調製
ビクトリアブルーBH(保土谷化学製の塩基性染料)2g、イオン交換水178gおよびアセトニトリル20gを混合してブルーの染色液を調製した。アストラフロキシンFF(保土谷化学製の塩基性染料)2g、イオン交換水178gおよびアセトニトリル20gを混合してレッドの染色液を調製した。ブリリアントベーシックシアニン6GH(保土谷化学製の塩基性染料)1g、イエロー7GLH(保土谷化学製の塩基性染料)1.4gでグリーンの染色液を調製した。
【0114】
得られた3種の染色液の吸着速度の順番はブルー、レッド、グリーンの順であることをシリカゲルクロマトグラフィーにより確認した。
【0115】
調製例5
電着法で使用する着色液の調製
CIピグメントレッド177 80g、CIピグメントイエロー83 20g、ポリカルボン酸系界面活性剤キャリボンB(三洋化成製)30gおよびイオン交換水300gを混合したものをサンドミルを用いて10時間分散した。加圧ろ過後の分散液にイオン交換水を加えて、顔料濃度が10%になるように調製した。さらにアセトニトリルを、その含有量が全体の10%になるように加えて、レッド着色用電着液を調製した。グリーン着色用電着液を、顔料としてCIピグメントグリーン36 80gおよびCIピグメントイエロー83 20gを用いて、同様の手順により調製した。また、ブルー着色用電着液を、顔料としてCIピグメントブルー15 80gおよびCIピグメントバイオレット23 20gを用いて、同様の手順により調製した。また、ブラック着色用電着液を、顔料としてCIピグメントブラック7 100gを用いて、同様の手順により調製した。
【0116】
調製例6
シランカップリング着色法で使用する着色液の調製
CIピグメントレッド177 80g、CIピグメントイエロー83 20g、ノニオン系界面活性剤ノニポール300(三洋化成製)30g、シランカップリング剤KBM−403 20g、およびイオン交換水300gを混合したものをサンドミルを用いて10時間分散した。加圧ろ過後の分散液にイオン交換水を加えて、顔料濃度が3.5%になるように調製した。さらにアセトニトリルを、その含有量が全体の10%になるように加えた後、塩酸を用いてpHを2.5に調節することにより、レッド着色液を調製した。グリーン着色液を、顔料としてCIピグメントグリーン36 80gおよびCIピグメントイエロー83 20gを用いて、同様の手順により調製した。
【0117】
また、ブルー着色液を、顔料としてCIピグメントブルー15 80gおよびCIピグメントバイオレット23 20gを用いて、同様の手順により調製した。また、ブラック着色液を、顔料としてCIピグメントブラック7 100gを用いて、同様の手順により調製した。
【0118】
実施例8
着色パターン形成用感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性材料の製造その1
調製例2で得られたネットワーク状ポリメチルフェニルシラン100重量部、TSR−165(分子量930のメチルフェニルメトキシシリコーン、東芝シリコーン製)50重量部、TAZ−110(2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、みどり化学製)10重量部、およびBTTB(3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、日本油脂製)15重量部をトルエン1575重量部に溶解して、着色パターン形成用感光性樹脂組成物を得た。この着色パターン形成用感光性樹脂組成物を5cm×5cmの液晶用ガラス基板上にスピンコートし、80℃で10分間乾燥して、膜厚2.0μmの感光性材料を得た。
【0119】
実施例9
ゾル−ゲル着色法を用いたカラーフィルターの製造
実施例8で得られた感光性材料上に、90μm×90μmのカラーフィルターのレッド用画素パターンが形成された3インチ角のネガマスクを重ね、この積層体を超高圧水銀灯を用いて0.2J/cmの光量の紫外線に露光した。このネガマスクを除去した後に、潜像が形成されたフィルター材料を、調製例3で得られたレッド用着色ゾル溶液に2分間浸漬した。その後、水洗し、100℃で10分間乾燥を行った。
【0120】
次に、上で用いたネガマスクの代わりに、カラーフィルターのブルー用画素パターンが形成されたネガマスクをレッド画素の20μm横に重ねた後、露光を行い潜像を形成した。潜像形成後、調製例3で得られたブルー用着色ゾルを用いて、レッドと同様の操作を行い2色目の着色を行った。同様に、カラーフィルターのグリーン用画素パターンが形成されたネガマスクおよび調製例3で得られたグリーン用着色ゾルを用いて3色目の着色を行った。最後に、ネガマスクを用いず露光を行い、各色の画素間に存在していた幅20μmの未露光部分を露光した。調製例3で得られたブラック着色用ゾルを用いて着色を行うことにより、画素間に遮光膜を形成して、カラーフィルターを得た。
【0121】
得られたカラーフィルターは混色がないことが確認できた。また、このカラーフィルターの分光透過率を大塚電子製分光光度計MCPD−1000を用いて測定したところ、R:5%(波長510nm)、G:8%(波長450nm)、7%(波長650nm)、B:4%(波長600nm)であった。
【0122】
比較例5
TSR−165を用いないこと、およびトルエンの量を1575重量部から1115重量部に変更する以外は、実施例8と同様の操作を行い、感光性材料を得た。実施例8で得られた感光性材料の代わりに、ここで得られた感光性材料を用いる以外は、実施例9と同様の操作を行いカラーフィルターを得たが、着色状態が不十分であった。このカラーフィルターの分光透過率はR:32%(波長510nm)、G:36%(波長450nm)、B:23%(波長600nm)であった。
【0123】
実施例 10
ブラックマトリクスの入った感光性材料の製造
実施例8で得られた着色パターン形成用感光性樹脂組成物を5cm×5cmの金属クロム遮光膜が付いた液晶用ガラス基板上にスピンコートし、80℃で10分間乾燥して、膜厚2.0μmの感光性材料を得た。
【0124】
実施例 11
電着法用感光性材料の作成
金属クロム遮光膜が付いた液晶用ガラス基板に代えて、ITOが付いた液晶ガラス基板を用いること以外は、実施例10と同様の操作を行い、感光性材料を得た。
【0125】
実施例 12
染色法を用いたカラーフィルターの製造
実施例10で得られた感光性材料上に、90μm×90μmのカラーフィルターのブルー用画素パターンが形成された3インチ角のネガマスクを重ね、この積層体を超高圧水銀灯を用いて0.2J/cmの光量の紫外線に露光した。このネガマスクを除去した後に、潜像が形成されたフィルター材料を、調製例4で得られたのブルーの染色液に2分間浸漬した。その後、水洗し、100℃で10分間乾燥を行った。
【0126】
次に、上で用いたネガマスクの代わりに、カラーフィルターのレッド用画素パターンが形成されたネガマスクをブルー画素の20μm横に重ねた後、露光を行い潜像を形成した。潜像形成後、調製例4で得られたレッドの染色液を用いて、ブルーと同様の操作を行い2色目の着色を行った。同様に、カラーフィルターのグリーン用画素パターンが形成されたネガマスクおよび調製例4で得られたグリーンの染色液を用いて3色目の着色を行い、カラーフィルターを得た。このカラーフィルターの分光透過率はR:6%(波長510nm)、G:8%(波長450nm)、7%(波長650nm)、B:4%(波長600nm)であった。
【0127】
実施例 14
電着法を用いたカラーフィルターの製造
実施例11で得られた感光性材料上に、90μm×90μmのカラーフィルターのレッド用画素パターンが形成された3インチ角のネガマスクを重ね、この積層体を超高圧水銀灯を用いて0.2J/cmの光量の紫外線に露光した。このネガマスクを除去した後に、潜像が形成されたフィルター材料を、調製例5で得られたレッド着色用電着液に浸漬し、50Vの定電圧で30秒間電着を行った。その後、水洗し、100℃で10分間乾燥を行った。
【0128】
次に、上で用いたネガマスクの代わりに、カラーフィルターのブルー用画素パターンが形成されたネガマスクをレッド画素の20μm横に重ねた後、露光を行い潜像を形成した。潜像形成後、調製例5で得られたブルー着色用電着液を用いて、レッドと同様の操作を行い2色目の着色を行った。同様に、カラーフィルターのグリーン用画素パターンが形成されたネガマスクおよび調製例5で得られたグリーン着色用電着液を用いて3色目の着色を行った。最後に、ネガマスクを用いず露光を行い、各色の画素間に存在していた幅20μmの未露光部分を露光した。調製例5で得られたブラック着色用電着液を用いて電着を行うことにより、画素間に遮光膜を形成して、カラーフィルターを得た。このカラーフィルターの分光透過率はR:7%(波長510nm)、G:5%(波長450nm)、4%(波長650nm)、B:5%(波長600nm)であった。
【0129】
実施例 15
シランカップリング法を用いたカラーフィルターの製造
調製例3で得られたレッド着色用、グリーン着色用、ブルー着色用およびブラック着色用のゾルの代わりに、調製例6で得られたレッド、グリーン、ブルーおよびブラック着色液をそれぞれ用いること以外は、実施例9と同様の操作を行い、カラーフィルターを得た。このカラーフィルターの分光透過率はR:6%(波長510nm)、G:8%(波長450nm)、7%(波長650nm)、B:5%(波長600nm)であった。
【0130】
実施例 16
エアレススプレーによる塗布
ゾル溶液に2分間浸漬する代わりに、ウェット膜厚が50μmになるようにエアレススプレーを用いて塗布する以外は、実施例9と同様の操作を行い、カラーフィルターを得た。
このカラーフィルターは、実施例9で得られたものと同等の性能を示した。
【0131】
実施例 17
ドクターブレードによる塗布
ゾル溶液に2分間浸漬する代わりに、ウェット膜厚が50μmになるようにドクターブレードを用いて塗布する以外は、実施例9と同様の操作を行い、カラーフィルターを得た。このカラーフィルターは、実施例9で得られたものと同等の性能を示した。
【0132】
調製例7
薄膜パターン形成方法に用いるシリカゾルの調製
テトラエトキシシラン13g、エタノール20g、およびイオン交換水13gを200ccのビーカーに入れ、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、35%濃塩酸0.1gを加えた。液温を30℃に保ち2時間撹拌を続けた後、イオン交換水43gおよびアセトニトリル10gを加え、シリカゾルを得た。
【0133】
実施例 18
薄膜パターン形成方法
実施例3で得られた感光性樹脂組成物を、縦5cm×横5cm×厚さ0.11cmのガラス基板上にスピンコーターを用いて乾燥膜厚が2μmになるように塗布した。得られた薄膜パターン形成用積層体上に石英製フォトマスクを重ねて、0.2J/cmの光量の紫外線に露光させた。フォトマスクを除去した後に、潜像が形成された積層体を調製例7のゾルに5分間浸漬した。浸漬後、水洗を行い200℃で30分乾燥させることによりシリカゲルのパターン薄膜を得た。さらに、この薄膜パターン形成積層体に、紫外線を0.2J/cmの光量でマスクを用いずに全面照射した。これを200℃で30分間乾燥を行うと、1回目の露光で形成されたシリカゲルのパターン以外の感光層部分は揮発分解して、ガラス基板上にはシリカゲルの薄膜の凹凸パターンが形成された。さらにこれを600℃で30分焼成することにより、このシリカゲルは完全な酸化ケイ素のガラスに変化した。その凹凸プロファイルを日本真空製表面形状測定装置デクタック3STで測定すると、高さ0.5μmのプレグルーブが形成されていることが確認された。このように薄膜パターン形成方法によれば、スタンパー法やエッチング法を使わずにガラス表面の微細凹凸加工が可能となる。
【0134】
比較例6
実施例3で得られた感光性樹脂組成物の代わりに調製例1で得られたポリシランの10重量%トルエン溶液を用いて、実施例18と同様の操作を行ったが、十分な凹凸パターンは得られなかった。
【0135】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物は従来のポリシラン系のものに比べて光反応性が飛躍的に向上している。そのため、露光時間が短縮され、カラーフィルターなどの生産性を上げることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の着色パターンの形成方法を模式的に示す工程図。
【図2】本発明の別の着色パターンの形成方法を模式的に示す工程図。
【符号の説明】
101…基板、
102…ポリシラン層、
103…マスク。

Claims (16)

  1. a)有機溶剤に可溶である、重量平均分子量10000以上のポリシラン
    b)光ラジカル発生剤および酸化剤
    c)室温で液状であり、ポリシランおよび有機溶剤と相溶するシリコーンオイル、および
    d)有機溶剤
    を含む感光性樹脂組成物。
  2. 前記シリコーンオイルが
    Figure 0003616685
    [式中、R、R、R、R、RおよびRは、炭素数1〜10のハロゲンまたはグリシジル基で置換されていてもよい脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のハロゲンで置換されていてもよい芳香族炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシ基からなる群から選択される基であり、同一でも異なっていてもよい。mおよびnは整数であり、m+n≧1を満たすものである。]
    で示される構造を有する請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. 色素をさらに含む請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記シリコーンオイルのR〜Rのうち、少なくとも2つが炭素数1〜8のアルコキシ基である、請求項2記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記ポリシランが、ネットワーク状ポリシランである請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1記載の感光性樹脂組成物を基材上に塗布および乾燥して得られた感光性材料。
  7. A)請求項1記載の感光性樹脂組成物を基材上に塗布および乾燥し、感光層を形成する工程、
    B)前記感光層を選択的に露光することにより、着色パターンの潜像を形成する工程:および
    C)着色パターンの潜像が形成された前記露光部分を、染料または顔料を含む着色液で着色する工程;
    を含む着色パターン形成方法。
  8. D)前記感光層に異なる着色パターンの潜像を形成すること、および異なる染料もしくは顔料を用いること以外は、前記着色工程と同様にして少なくとも1回行われる別の着色工程をさらに含む請求項7に記載の着色パターン形成方法。
  9. 前記着色工程(C)が、前記着色液前記感光層塗布する方法を含む請求項7または8に記載の着色パターン形成方法。
  10. 前記着色工程(C)が、前記着色液前記感光層浸漬する方法を含む請求項7または8に記載の着色パターン形成方法。
  11. 前記着色工程(C)において、透明基板として透明電極を用い、着色液として染料または顔料を含む電着可能な溶液を用いて、電着により着色を行う請求項7または8に記載の着色パターン形成方法。
  12. 前記着色液が、染料または顔料を含む金属酸化物のゾルである請求項7または8に記載の着色パターン形成方法。
  13. 前記着色液が、染料の水溶液である請求項7または8に記載の着色パターン形成方法。
  14. 前記着色液が、シランカップリング剤と界面活性剤とを含む請求項7または8に記載の着色パターン形成方法。
  15. 請求項8記載の着色パターン形成方法によって得られたカラーフィルター。
  16. A')請求項1記載の感光性樹脂組成物を基材上に塗布および乾燥し、感光層を形成する工程、
    B')前記感光層を選択的に露光することにより、パターン状の潜像を形成する工程:および
    C')パターン状の潜像が形成された前記露光部分を、顔料または染料を含まない、金属酸化物のゾルに浸漬または塗布する工程;
    を含む薄膜パターン形成方法。
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