JP2003229261A - 色変換フィルタの製造方法 - Google Patents

色変換フィルタの製造方法

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JP2003229261A
JP2003229261A JP2002024598A JP2002024598A JP2003229261A JP 2003229261 A JP2003229261 A JP 2003229261A JP 2002024598 A JP2002024598 A JP 2002024598A JP 2002024598 A JP2002024598 A JP 2002024598A JP 2003229261 A JP2003229261 A JP 2003229261A
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JP2002024598A
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Akira Nishiyama
昌 西山
Hironori Kobayashi
弘典 小林
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 製造に際しての色変換層形成用材料の使用量
を軽減によりコストを低減し、混色が容易に防止でき、
高精細なパターニングが可能な色変換フィルタの提供を
主目的とする。 【解決手段】基材表面に光触媒を含有する光触媒含有層
側基板を調製する工程と、基板上に隔壁を形成する隔壁
形成工程と、隔壁が形成された基板表面に、光触媒含有
層中の光触媒の作用により表面の濡れ性が変化する濡れ
性変化層形成工程と、濡れ性変化層表面に、光触媒含有
層が接触するように配置し、又は光触媒含有層の光触媒
の作用が濡れ性変化層表面に及ぶ距離を隔てて配置した
後、上記隔壁間の領域の濡れ性が液体との接触角の低い
親液性領域となるようにエネルギーのパターン照射を行
う工程と、上記親液性領域となった隔壁間の領域に、イ
ンクジェット法で色変換層形成用塗工液を塗布し、固化
させて色変換層を形成する工程とを有することを特徴と
する色変換フィルタの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光を所定の色の
光に変換する色変換層を有する色変換フィルタの製造方
法に関し、特に青色発光層を有するエレクトロルミネッ
セント(以下、ELと略称する場合がある。)素子に用
いることができる色変換フィルタの製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】EL素子には、大きく分けて有機EL素
子と無機EL素子とがある。有機EL素子は蛍光性有機
化合物を電気的に励起して発光させる自発光型素子であ
る。このような有機EL素子は、高輝度、高速応答、高
視野角、面発光、薄型で多色発光が可能であり、しかも
数ボルトという低電圧の直流印加で発光する全固体素子
であり、かつ、低温において特性の変化が少ないという
特徴を有している。
【0003】発光材料として有機物質を用いたEL素子
は発光層と色変換フィルタとを組み合わせた構造とし、
当該発光層の材料と色変換フィルタを構成する色変換層
との選択により、容易に可視域全てをカバーできること
から、フルカラーフラットパネルディスプレイへの応用
が盛んに行われている。特に、このようなEL素子のフ
ルカラー化の方式として、例えば、白色の発光層と色変
換フィルタとを組み合わせる方式や、青色の発光層と色
変換フィルタとを組み合わせる方式等が知られている。
【0004】しかし、EL素子のフルカラー化のため
に、上述したような白色発光/色変換フィルタ方式、青
色発光/色変換フィルタ方式等において色変換フィルタ
を作製する際には、従来では基板上に色変換層を全面に
形成し、画素領域に対応する形状にフォトリソグラフィ
法によりパターニングしていた。このように、フォトリ
ソグラフィ法を用いて色変換層をパターニングすると、
色変換層形成用の材料の無駄が多く、製造コストが増大
するといった問題があった。また、色変換層形成用の材
料に感光性が必要となるので、材料の選択の幅が狭ま
り、さらに、フォトリソグラフィ法を用いる際に必要な
設備のランニングコストが高く、設備スペースも広くな
るといった問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたものであり、製造に際しての色変換層
形成用材料の使用量を軽減することによりコストを低減
し、かつ混色が容易に防止でき、さらに高精細なパター
ニングが可能である色変換フィルタの製造方法を提供す
ることを主目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、請求項1に記載するように、基材と上記
基材表面に形成された光触媒を含有する光触媒含有層と
を有する光触媒含有層側基板を調製する光触媒含有層側
基板調製工程と、基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程
と、上記隔壁が形成された基板表面に、上記光触媒含有
層中の光触媒の作用により表面の濡れ性が変化する濡れ
性変化層を形成する濡れ性変化層形成工程と、上記濡れ
性変化層表面に、上記光触媒含有層が接触するように上
記光触媒含有層側基板を配置し、もしくは上記光触媒含
有層の光触媒の作用が上記濡れ性変化層表面に及ぶ距離
を隔てて上記光触媒含有層側基板を配置した後、上記隔
壁間の領域の濡れ性が液体との接触角の低い親液性領域
となるようにエネルギーのパターン照射を行うエネルギ
ー照射工程と、上記親液性領域となった隔壁間の領域
に、インクジェット法により色変換層形成用塗工液を塗
布し、固化させて色変換層を形成する色変換層形成工程
とを有することを特徴とする色変換フィルタの製造方法
を提供する。
【0007】このようにエネルギーのパターン照射によ
り容易に親液性領域をパターン状に形成することができ
るので、エネルギー未照射領域を所定の撥液性とするこ
とにより、上記隔壁の少なくとも側面を容易に撥液性領
域とすることが可能であり、かつ色変換層が形成される
隔壁間の領域を親液性領域とすることが可能となる。し
たがって、形成された色変換層を平坦化することが可能
であり、かつ色変換層と濡れ性変化層との密着性を確保
することも可能となる。また、このように、隔壁間にお
いてインクジェット方式で色変換層が形成されることか
ら、色変換層の混色が生じることがなく、精度の高い色
変換フィルタを製造することができる。さらに、色変換
層を形成する際にフォトリソグラフィ法を用いる必要が
無いことから、色変換層の原材料の使用量を低減するこ
とができ、かつ色変換層内に感光剤を含む必要が無いこ
とから、材料選択の幅が広がる。
【0008】上記請求項1に記載された発明において
は、請求項2に記載するように、上記エネルギー照射工
程の後、上記親液性領域となった隔壁間の領域に、イン
クジェット法によりカラーフィルタ層形成用塗工液を塗
布し、固化させてカラーフィルタ層を形成するカラーフ
ィルタ層形成工程を行い、次いで上記色変換層形成工程
を行うことが好ましい。このように、カラーフィルタ層
を濡れ性変化層の親液性領域となった隔壁間の領域に形
成することにより、カラーフィルタ層と濡れ性変化層と
の密着性を良好に保った状態でカラーフィルタ層を形成
することが可能となるからである。また、このようにカ
ラーフィルタ層上に直に色変換層をインクジェット方式
で形成することにより、カラーフィルタ層における色補
正を確実に行うことが可能となるという利点も有する。
【0009】上記請求項1または請求項2に記載された
発明においては、請求項3に記載するように、上記濡れ
性変化層のエネルギー未照射領域表面における塗布され
る塗工液に対する接触角が30°以上であり、エネルギ
ー照射領域表面における塗布される塗工液に対する接触
角が20°以下であることが好ましい。エネルギー未照
射領域、具体的には隔壁側面において、塗工液との接触
角が上述した範囲である場合は、隔壁間に形成される色
変換層もしくはカラーフィルタ層の固化に伴う液面の低
下に際して、側面表面において塗工液が盛り上がった状
態で液面が低下しないので、結果的に得られる色変換層
もしくはカラーフィルタ層の表面を平坦とすることが可
能となる。また、エネルギー照射領域、具体的には隔壁
間の領域において、塗工液との接触角が上述した範囲で
あれば、濡れ性変化層との密着性を確保でき、また塗布
面のむらといった不具合を防止することができる。
【0010】上記請求項1から請求項3までのいずれか
の請求項に記載された発明においては、請求項4に記載
するように、上記濡れ性変化層が、オルガノポリシロキ
サンを含有する層であることが好ましい。本発明におい
て、濡れ性変化層に要求される特性としては、エネルギ
ー未照射領域は塗工液との接触角がある程度高い撥液性
であり、エネルギーが照射された場合は形成される色変
換層もしくはカラーフィルタ層との密着性に問題が生じ
ない程度の親液性となる特性である。このような特性を
濡れ性変化層に付与する材料として、オルガノポリシロ
キサンを用いることが好ましいからである。
【0011】上記請求項4に記載された発明において
は、請求項5に記載するように、上記オルガノポリシロ
キサンが、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサ
ンであることが好ましい。このようにフルオロアルキル
基を含有するものであれば、エネルギー照射部分と未照
射部分とに上述した特性を付与することが容易であるか
らである。
【0012】上記請求項4または請求項5に記載された
発明においては、請求項6に記載するように、上記オル
ガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここ
で、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、
アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはア
ルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの
整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種
以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物である
オルガノポリシロキサンであることが好ましい。このよ
うなオルガノポリシロキサンを用いることにより、上述
したようなエネルギー照射部分と未照射部分における特
性をより効果的に発揮することができるからである。
【0013】また、本発明においては、請求項7に記載
するように、基材と上記基材表面に形成された光触媒を
含有する光触媒含有層とを有する光触媒含有層側基板を
調製する光触媒含有層側基板調製工程と、基板上に隔壁
を形成する隔壁形成工程と、上記隔壁が形成された基板
表面に、上記光触媒含有層中の光触媒の作用により分解
除去される分解除去層を形成する分解除去層形成工程
と、上記分解除去層表面に、上記光触媒含有層が接触す
るように上記光触媒含有層側基板を配置し、もしくは光
触媒含有層の光触媒の作用が分解除去層表面に及ぶ距離
を隔てて上記光触媒含有層側基板を配置した後、上記隔
壁間の領域の分解除去層が除去されるようにエネルギー
のパターン照射を行うエネルギー照射工程と、上記分解
除去層が除去された隔壁間の領域に、インクジェット法
により色変換層形成用塗工液を塗布し、固化させて色変
換層を形成する色変換層形成工程とを有することを特徴
とする色変換フィルタの製造方法を提供する。
【0014】本発明によれば、分解除去層を所定の撥液
性を有するものとし、基板表面を所定の親液性を有する
ものとすることにより、上記隔壁の少なくとも側面を容
易に撥液性とすることが可能であり、かつ色変換層が形
成される隔壁間を親液性とすることが可能となる。した
がって、形成された色変換層を平坦化することが可能で
あり、かつ形成された色変換層の密着性を確保すること
も可能となる。
【0015】上記請求項7に記載された発明において
は、請求項8に記載するように、上記エネルギー照射工
程の後、上記分解除去層が除去された隔壁間の領域に、
インクジェット法によりカラーフィルタ層形成用塗工液
を塗布し、固化させてカラーフィルタ層を形成するカラ
ーフィルタ層形成工程を行い、次いで上記色変換層形成
工程を行うことが好ましい。このように、カラーフィル
タ層を、隔壁間において基材表面が露出し、かつ隔壁の
側面が撥液性を有する分解除去層が形成された状態で形
成することにより、カラーフィルタ層表面が平坦であ
り、かつ濡れ性変化層との密着性を良好に保った状態で
カラーフィルタ層を形成することが可能となるからであ
る。
【0016】上記請求項7または請求項8に記載された
発明においては、請求項9に記載するように、上記分解
除去層の表面における塗布される塗工液に対する接触角
が30°以上であることが好ましい。分解除去層がこの
程度の撥液性を有することにより、少なくとも隔壁側面
を上述した範囲の撥液性を有する状態とすることが可能
となる。これにより、隔壁間に形成される色変換層もし
くはカラーフィルタ層の固化に伴う液面の低下におい
て、側面表面において塗工液が盛り上がった状態で液面
が低下しないので、結果的に得られる色変換層もしくは
カラーフィルタ層の表面を平坦とすることが可能とな
る。
【0017】上記請求項1から請求項9までのいずれか
の請求項に記載された発明においては、請求項10に記
載するように、上記光触媒含有層側基板が、基材と、上
記基材上にパターン状に形成された光触媒含有層とから
なるものであってもよい。このように、光触媒含有層を
パターン状に形成することにより、フォトマスクを用い
ることなく濡れ性変化層上に濡れ性の異なるパターンを
形成すること、もしくは分解除去層をパターン状に分解
除去することが可能となるからである。また、光触媒含
有層が存在する部分のみ親液性領域に変化する、もしく
は分解除去されるものであるので、照射するエネルギー
は特に平行なエネルギーに限られるものではなく、ま
た、エネルギーの照射方向も特に限定されるものではな
いことから、エネルギー源の種類および配置の自由度が
大幅に増加するという利点を有するからである。
【0018】上記請求項1から請求項9までのいずれか
の請求項に記載された発明においては、請求項11に記
載するように、上記光触媒含有層側基板調製工程におい
て調製される上記光触媒含有層側基板が、基材と、上記
基材上に形成された光触媒含有層と、パターン状に形成
された光触媒含有層側遮光部とからなり、上記エネルギ
ー照射工程におけるエネルギーの照射が、光触媒含有層
側基板側から行なわれるものであってもよい。このよう
に光触媒含有層側基板に光触媒含有層側遮光部を有する
ことにより、露光に際してフォトマスク等を用いる必要
がないことから、フォトマスクと位置合わせ等が不要と
なり、工程を簡略化することが可能となるからである。
【0019】上記請求項1から請求項11までのいずれ
かの請求項に記載された発明においては、請求項12に
記載するように、上記光触媒含有層が、光触媒からなる
層であることが好ましい。光触媒含有層が光触媒のみか
らなる層であれば、濡れ性変化層の濡れ性を変化させる
効率、もしくは分解除去層の分解除去の効率を向上させ
ることが可能であり、効率的に色変換フィルタを製造す
ることができるからである。
【0020】上記請求項12に記載された発明において
は、請求項13に記載するように、上記光触媒含有層
が、光触媒を真空製膜法により基材上に製膜してなる層
であることが好ましい。このように真空製膜法により光
触媒含有層を形成することにより、表面の凹凸が少なく
均一な膜厚の均質な光触媒含有層とすることが可能であ
り、濡れ性変化層表面への濡れ性パターンの形成、もし
くは分解除去層のパターン状の分解除去を均一にかつ高
効率で行うことができるからである。
【0021】上記請求項1から請求項11までのいずれ
かの請求項に記載された発明においては、請求項14に
記載するように、上記光触媒含有層が、光触媒とバイン
ダとを有する層であってもよい。このようにバインダを
用いることにより、比較的容易に光触媒含有層を形成す
ることが可能となり、結果的に低コストで色変換フィル
タの製造を行うことができるからである。
【0022】上記請求項1から請求項14までのいずれ
かの請求項に記載の発明においては、請求項15に記載
するように、上記光触媒が、上記光触媒が、酸化チタン
(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO
)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化
タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi
)、および酸化鉄(Fe)から選択される
1種または2種以上の物質であることが好ましく、中で
も請求項16に記載するように、上記光触媒が酸化チタ
ン(TiO)であることが好ましい。これは、二酸化
チタンのバンドギャップエネルギーが高いため光触媒と
して有効であり、かつ化学的にも安定で毒性もなく、入
手も容易だからである。
【0023】上記請求項1から請求項16までのいずれ
かの請求項に記載の発明においては、請求項17に記載
するように、上記濡れ性変化層または上記分解除去層の
表面に、光触媒含有層の光触媒の作用が及ぶ距離を上記
光触媒含有層と隔てて配置する際の、上記光触媒含有層
と、上記濡れ性変化層表面もしくは分解除去層表面との
間隔を、0.2μm〜10μmの範囲内とすることが好
ましい。上記エネルギー照射の際に、上述した程度の微
細な間隔を開けた状態で露光することにより、濡れ性変
化層表面の濡れ性の変化、もしくは分解除去層の分解を
より効果的に行なうことが可能となるからである。
【0024】上記請求項1から請求項17までのいずれ
かの請求項に記載の発明においては、請求項18に記載
するように、上記基板上に遮光層を形成する遮光層形成
工程を行い、次いで上記隔壁を上記遮光層上に形成する
隔壁形成工程を行うようにしてもよい。基板上に遮光層
は各画素部を区切る領域に形成されるものであり、この
ような遮光層上に隔壁を形成することが好ましいからで
ある。
【0025】本発明はまた、請求項19に記載するよう
に、請求項1から請求項18までのいずれかの請求項に
記載の色変換フィルタの製造方法により色変換フィルタ
を製造した後、上記色変換フィルタの色変換層上に、一
方の表面に陽極層を他方の表面に陰極層を有する発光層
を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法を
提供する。このような有機EL素子の製造方法において
は、上述したように低コストで製造でき、かつ高品質な
色変換フィルタを得ることができる色変換フィルタの製
造方法を含むものであるので、効率的にかつ高品質な有
機EL素子を製造することが可能となる。
【0026】本発明においては、さらに、請求項20に
記載するように、基板と、上記基板上に形成された隔壁
と、上記隔壁が形成された基板表面に形成され、光触媒
の作用により表面の濡れ性が変化する濡れ性変化層と、
上記隔壁間でかつ上記濡れ性変化層上に形成された色変
換層とを有することを特徴とする色変換フィルタを提供
する。本発明の色変換フィルタは、濡れ性変化層を有す
るものであるので、上述したようにその製造に際して、
隔壁の側面を容易に撥液性とすることが可能であり、か
つ隔壁間の色変換層が形成される領域を容易に親液性と
することが可能となる。したがって、密着性が良好でか
つ膜厚の均一な色変換層を有する高品質な色変換フィル
タであるという利点を有する。
【0027】上記請求項20に記載された発明において
は、請求項21に記載するように、上記隔壁間でかつ上
記濡れ性変化層上にカラーフィルタ層が形成され、上記
カラーフィルタ層上に色変換層が形成されていることが
好ましい。カラーフィルタ層を形成することにより、色
補正を行うことが可能となり、より自然な色味を発する
ことができる色変換フィルタとすることができるからで
ある。
【0028】上記請求項20もしくは請求項21に記載
された発明においては、請求項22に記載するように、
上記隔壁が、不透明な材料で形成されていることが好ま
しい。このように隔壁における光の透過を防止すること
により、各画素間におけるクロストークを防止すること
ができ、より正確な発色を得ることができるからであ
る。
【0029】上記請求項20から請求項22までのいず
れかの請求項に記載の発明においては、請求項23に記
載するように、上記基板上に遮光層が形成され、上記遮
光層上に隔壁が形成されていることが好ましい。遮光層
は各画素の境界部分に形成されるものであることから、
この上に隔壁を形成することが好ましいのである。
【0030】本発明は、さらに請求項24に記載するよ
うに、上記請求項20から請求項23までのいずれかの
請求項に記載の色変換フィルタの色変換層上に、一方の
表面に陽極層を他方の表面に陰極層を有する発光層を有
することを特徴とする有機EL素子を提供する。本発明
の有機EL素子は、上述したような色変換フィルタを有
するものであることから、各画素において色のムラのな
い高品質な有機EL素子であるという利点を有するもの
である。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、具体的に
説明する。なお、本発明でいう色変換フィルタとは、例
えば発光部からの青色もしくは白色の発光を受けた際
に、多数色、例えば赤色、緑色、および青色の三原色に
色を変換することができる色変換層を有するフィルタを
示すものであり、必要に応じて色補正用のカラーフィル
タ層を有するものであってもよい。
【0032】このような色変換フィルタと共に用いられ
る発光部としては、例えば有機EL、無機EL、LE
D、VFD、PDP等の発光部を用いることが可能であ
り、発光部により種々の自発光型の表示装置として用い
られるものである。
【0033】本発明においては、後述するように、発光
部として有機ELからなる発光層を用いたものが好まし
く、特に青色発光層と組み合わせることにより有機EL
素子とすることが好ましい使用態様であるといえる。
【0034】A.色変換フィルタの製造方法 本発明の色変換フィルタの製造方法は、濡れ性変化層を
用いる場合(第1実施態様)および分解除去層を用いる
場合(第2実施態様)に分けることができる。以下、こ
れらを分けて説明する。
【0035】1.第1実施態様 本発明の色変換フィルタの製造方法における第1実施態
様は、基材と上記基材表面に形成された光触媒を含有す
る光触媒含有層とを有する光触媒含有層側基板を調製す
る光触媒含有層側基板調製工程と、基板上に隔壁を形成
する隔壁形成工程と、上記隔壁が形成された基板表面
に、上記光触媒含有層中の光触媒の作用により表面の濡
れ性が変化する濡れ性変化層を形成する濡れ性変化層形
成工程と、上記濡れ性変化層表面に、上記光触媒含有層
が接触するように上記光触媒含有層側基板を配置し、も
しくは光触媒含有層の光触媒の作用が濡れ性変化層表面
に及ぶ距離を隔てて上記光触媒含有層側基板を配置した
後、上記隔壁間の領域の濡れ性が液体との接触角の低い
親液性領域となるようにエネルギーのパターン照射を行
うエネルギー照射工程と、上記親液性領域となった隔壁
間の領域に、インクジェット法により色変換層形成用塗
工液を塗布し、固化させて色変換層を形成する色変換層
形成工程とを有することを特徴とするものである。
【0036】このように、本実施態様においては、エネ
ルギー照射を行うだけで容易に隔壁間の領域の濡れ性を
親液性とすることができる。したがて、濡れ性変化層表
面の濡れ性を所定の撥液性としておくことにより、隔壁
の少なくとも側面は所定の撥液性を有する撥液性領域と
することができ、隔壁間の領域は所定の親液性を有する
親液性領域とすることができる。したがって、その後の
色変換層形成工程における色変換層の形成や、後述する
カラーフィルタ層形成工程におけるカラーフィルタ層の
形成において、色変換層やカラーフィルタ層を平坦に形
成することが可能となる。また、隔壁間の領域は親液性
領域とすることが可能であることから、この撥液性領域
とした濡れ性変化層と色変換層もしくは必要に応じて形
成されるカラーフィルタ層との密着性を向上させること
ができる。
【0037】さらに、本実施態様においては、濡れ性変
化層上の濡れ性を光触媒含有層中の光触媒の作用により
変化させた後、光触媒含有層側基板を取り外すものであ
るので、得られる色変換フィルタには必ずしも光触媒が
含有されている必要がない。したがって、得られる色変
換フィルタが光触媒の作用により経時的に劣化するとい
った可能性がない。
【0038】このような第1実施態様の一例を図1を用
いて説明する。まず、ガラス基板1上に遮光層(ブラッ
クマトリックスと称される場合もある。)2が形成され
る(図1(a))。そして、この遮光層2上に例えば高さ
10μm程度の隔壁3を形成する(隔壁形成工程、(図
1(b))。この隔壁3の形成は、フォトリソグラフィ
法を用いて行われる。
【0039】そして、図1(c)に示すように、隔壁3
が形成された基板1表面の全面にわたって、濡れ性変化
層4が形成される(濡れ性変化層形成工程)。このよう
にして形成された濡れ性変化層4上に、フォトマスク5
を用いて紫外光6をパターン状に照射するのであるが、
この際、フォトマスク5と濡れ性変化層4との間に、基
材7の表面に光触媒含有層8が形成されてなる光触媒含
有層側基板9を、光触媒含有層8が、濡れ性変化層4に
面するように、かつ、上記光触媒含有層8と濡れ性変化
層4との距離が、光触媒含有層8中の光触媒の作用が濡
れ性変化層に及ぶ範囲内の距離となるように配置して、
紫外光6の照射を行い(図1(d))、隔壁間の濡れ性
変化層4を親液性領域10とする(エネルギー照射工
程、図1(e))。
【0040】次いで、図2(a)に示すように、インク
ジェット装置11を用いてカラーフィルタ層形成用塗工
液12を塗布する。そして、カラーフィルタ層形成用塗
工液12を、固化させることにより、カラーフィルタ層
13が形成される(カラーフィルタ層形成工程、図2
(b))。この際、基板1表面上の濡れ性変化層4は親
液性領域10となっていることから、カラーフィルタ層
13との密着性が良好である。また、隔壁3の側面に相
当する位置の濡れ性変化層4は、未照射の部分であり、
撥液性を示すものである。したがって、カラーフィルタ
層13は表面を平坦に形成することができる。これは以
下の理由による。
【0041】すなわち、通常カラーフィルタ層形成用塗
工液12の固形分は少ないことから、これを乾燥・固化
させてカラーフィルタ層13とすると、カラーフィルタ
層13の厚みは塗布したばかりのカラーフィルタ層形成
用塗工液5の厚みよりも薄くなる。この際、隔壁3の側
面に相当する部分の濡れ性変化層4の濡れ性が親液性で
ある場合は、乾燥・固化に際して液面が低下する際、側
面側のカラーフィルタ層形成用塗工液12が盛り上がっ
てしまい、固化した場合に隔壁3の側面側の膜厚が厚く
形成され、中心部側が薄く形成されてしまうといった不
具合が生じる可能性がある。したがって、濡れ性変化層
4は撥液性とされ、その結果、図2(d)に示すよう
に、カラーフィルタ層13表面を平坦に形成することが
できるのである。
【0042】次いで、上記カラーフィルタ層13上に、
インクジェット装置11を用いて色変換層形成用塗工液
14を塗布する(図2(c))。そして、この塗布され
た色変換層形成用塗工液14を、乾燥・固化させること
により、色変換層15がカラーフィルタ層13上にさ
れ、色変換フィルタ16とされる(色変換層形成工程、
図2(d))。なお、後述するように、この色変換層1
5上には、必要に応じて保護層が形成されてもよい。
【0043】以下、このような色変換フィルタの製造方
法について、各工程毎に詳しく説明する。
【0044】a.光触媒含有層側基板調製工程 本実施態様においては、色変換フィルタを製造するに際
して、予めエネルギー照射工程において用いられる光触
媒含有層側基板を調製する光触媒含有層側基板調製工程
が行われる。
【0045】この光触媒含有層側基板調整工程は、基材
と上記基材表面に形成された光触媒を含有する光触媒含
有層とを有する光触媒含有層側基板を調製する工程であ
る。
【0046】この工程で製造される光触媒含有層側基板
は、このように、少なくとも光触媒含有層と基材とを有
するものであり、通常は基材上に所定の方法で形成され
た薄膜状の光触媒含有層が形成されてなるものである。
また、この光触媒含有層側基板には、パターン状に形成
された光触媒含有層側遮光部が形成されたものも用いる
ことができる。
【0047】(光触媒含有層)本実施態様に用いられる
光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒が、接触もし
くは所定の間隔をおいて配置される濡れ性変化層の濡れ
性を変化させるような構成であれば、特に限定されるも
のではなく、光触媒とバインダとから構成されているも
のであってもよいし、光触媒単体で製膜されたものであ
ってもよい。また、その表面の濡れ性は特に親液性であ
っても撥液性であってもよい。
【0048】本実施態様において用いられる光触媒含有
層は、例えば上記図1(d)等に示すように、基材7上
に全面に形成されたものであってもよいが、例えば、図
6に示すように、基材7上に光触媒含有層8がパターン
上に形成されたものであってもよい。
【0049】このように光触媒含有層をパターン状に形
成することにより、後述するエネルギー照射工程におい
て説明するように、光触媒含有層を濡れ性変化層と接触
もしくは所定の間隔をおいて配置させてエネルギーを照
射する際に、フォトマスク等を用いるパターン照射をす
る必要がなく、全面に照射することにより、濡れ性変化
層上に親液性領域と撥液性領域とからなる濡れ性パター
ンを形成することができる。
【0050】この光触媒処理層のパターニング方法は、
特に限定されるものではないが、例えばフォトリソグラ
フィ法等により行うことが可能である。
【0051】また、実際に光触媒含有層が形成されてい
る部分に相対する濡れ性変化層上の部分のみの濡れ性が
変化するものであるので、エネルギーの照射方向は上記
光触媒含有層と濡れ性変化層とが接触、もしくは微細な
間隔をおいて配置される部分にエネルギーが照射される
ものであれば、いかなる方向から照射されてもよく、さ
らには、照射されるエネルギーも特に平行光等の平行な
ものに限定されないという利点を有するものとなる。
【0052】このよう光触媒含有層における、後述する
ような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、
必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成
したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるい
は、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有
機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。
本実施態様においては、このキャリアが光触媒含有層上
で接触する濡れ性変化層中の化合物に作用を及ぼすもの
であると思われる。
【0053】本実施態様で使用する光触媒としては、光
半導体として知られる例えば二酸化チタン(Ti
)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、
チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タング
ステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、およ
び酸化鉄(Fe)を挙げることができ、これらか
ら選択して1種または2種以上を混合して用いることが
できる。
【0054】本実施態様においては、特に二酸化チタン
が、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で
毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用され
る。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり
本実施態様ではいずれも使用することができるが、アナ
ターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸
化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0055】このようなアナターゼ型二酸化チタンとし
ては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル
(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、
石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナタ
ーゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平
均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0056】光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効
果的に起こるので好ましく、平均粒径か50nm以下が
好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好
ましい。
【0057】本実施態様における光触媒含有層は、上述
したように光触媒単独で形成されたものであってもよ
く、またバインダと混合して形成されたものであっても
よい。
【0058】光触媒のみからなる光触媒含有層の場合
は、濡れ性変化層上の濡れ性の変化に対する効率が向上
し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。一
方、光触媒とバインダとからなる光触媒含有層の場合
は、光触媒含有層の形成が容易であるという利点を有す
る。
【0059】光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方
法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真
空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることがで
きる。真空製膜法により光触媒含有層を形成することに
より、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有
層とすることが可能であり、これにより濡れ性変化層上
の濡れ性を均一に変化させることが可能であり、かつ光
触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比
較して効率的に濡れ性変化層上の濡れ性を変化させるこ
とが可能となる。
【0060】また、光触媒のみからなる光触媒含有層の
形成方法としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合
は、基材上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成によ
り結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。
ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩
化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、
脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキ
シチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブト
キシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合
物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得る
ことができる。次いで、400℃〜500℃における焼
成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜
700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性するこ
とができる。
【0061】また、バインダを用いる場合は、バインダ
の主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないよ
うな高い結合エネルギーを有するものが好ましく、例え
ば後述する濡れ性変化層の説明の欄で詳しく説明するオ
ルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0062】このようにオルガノポリシロキサンをバイ
ンダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒
とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応
じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製
し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成する
ことができる。使用する溶剤としては、エタノール、イ
ソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好まし
い。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコ
ート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法
により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型
の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理
を行うことにより光触媒含有層を形成することかでき
る。
【0063】また、バインダとして無定形シリカ前駆体
を用いることができる。この無定形シリカ前駆体は、一
般式SiXで表され、Xはハロゲン、メトキシ基、エ
トキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、そ
れらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量
3000以下のポリシロキサンが好ましい。
【0064】具体的には、テトラエトキシシラン、テト
ライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラ
ン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が
挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆
体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、
基材上に空気中の水分により加水分解させてシラノール
を形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触
媒含有層を形成できる。シラノールの脱水縮重合を10
0℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面
の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あ
るいは2種以上を混合して用いることができる。
【0065】バインダを用いた場合の光触媒含有層中の
光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜
40重量%の範囲で設定することができる。また、光触
媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内が好ま
しい。
【0066】また、光触媒含有層には上記の光触媒、バ
インダの他に、界面活性剤を含有させることができる。
具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL B
L、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デ
ュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)
製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工
業(株)製メガファックF−141、144、ネオス
(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキ
ン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリ
ーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフ
ッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙
げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオ
ン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもでき
る。
【0067】さらに、光触媒含有層には上記の界面活性
剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステ
ル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレー
ト、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポ
リカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイ
ミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポ
リプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸
ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイ
ミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリ
ン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマ
ー、ポリマー等を含有させることができる。
【0068】(基材)本実施態様においては、図1
(d)に示すように、光触媒含有層側基板9は、少なく
とも基材7とこの基材7上に形成された光触媒含有層8
とを有するものである。
【0069】この際、用いられる基材を構成する材料
は、エネルギー照射の方向にもよるが、一般的には透明
性の高い材料が用いられる。また、この光触媒含有層側
基板は、繰り返し用いられるものであることから、基材
としては所定の強度を有し、かつその表面が光触媒含有
層との密着性が良好である材料が好適に用いられる。
【0070】また、本実施態様に用いられる基材は、可
撓性を有するもの、例えば樹脂製フィルム等であっても
よいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等で
あってもよい。これは、後述する濡れ性パターン形成工
程におけるエネルギー照射方法により適宜選択されるも
のである。
【0071】具体的には、ガラスや透明プラスチック材
料等を挙げることができる。
【0072】なお、基材表面と光触媒含有層との密着性
を向上させるために、基材上にプライマー層を形成する
ようにしてもよい。このようなプライマー層としては、
例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げ
ることができる。
【0073】(光触媒含有層側遮光部)本実施態様に用
いられる光触媒含有層側基板には、パターン状に形成さ
れた光触媒含有層側遮光部が形成されたものを用いても
良い。このように光触媒含有層側遮光部を有する光触媒
含有層側基板を用いることにより、露光に際して、フォ
トマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行う必
要がない。したがって、光触媒含有層側基板とフォトマ
スクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程
とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な
装置も不必要であることから、コスト的に有利となると
いう利点を有する。
【0074】このような光触媒含有層側遮光部を有する
光触媒含有層側基板は、光触媒含有層側遮光部の形成位
置により、下記の二つの態様とすることができる。
【0075】一つが、例えば図7に示すように、基材7
上に光触媒含有層側遮光部17を形成し、この光触媒含
有層側遮光部17上に光触媒含有層8を形成して、光触
媒含有層側基板9とする態様である。もう一つは、例え
ば図8に示すように、基材7上に光触媒含有層8を形成
し、その上に光触媒含有層側遮光部17を形成して光触
媒含有層側基板9とする態様である。
【0076】いずれの態様においても、フォトマスクを
用いる場合と比較すると、光触媒含有層側遮光部が、上
記光触媒含有層と濡れ性変化層との接触部分の近傍に配
置されることになるので、基材内等におけるエネルギー
の散乱の影響を少なくすることができることから、エネ
ルギーのパターン照射を極めて正確に行うことが可能と
なる。
【0077】このよう光触媒含有層側遮光部の形成方法
は、特に限定されるものではなく、光触媒含有層側遮光
部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮
蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。
【0078】例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等
により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属
薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより
形成されてもよい。このパターニングの方法としては、
スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることがで
きる。
【0079】また、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、
金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有
させた層をパターン状に形成する方法であってもよい。
用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、ア
クリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリ
ビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等
の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹
脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例え
ば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用
いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとし
ては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができ
る。このよう樹脂製遮光部のパターニングの方法は、フ
ォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用
いることができる。
【0080】なお、上記説明においては、光触媒含有層
側遮光部の形成位置として、基材と光触媒含有層との
間、および光触媒含有層表面の二つの場合について説明
したが、その他、基材の光触媒含有層が形成されていな
い側の表面に光触媒含有層側遮光部を形成する態様も採
ることが可能である。
【0081】b.隔壁形成工程 本実施態様においては、図1(a)および(b)に示す
ように、基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程が行われ
る。このような隔壁は、図1に示す例のように、遮光層
上に形成されていてもよいが、特にこれに限定されるも
のではなく、遮光層が形成されていない場合であっても
よく、この場合は基板表面上に隔壁が形成される。また
必要に応じて隔壁を黒色とすることにより、遮光層と兼
用するようにしてもよい。
【0082】(1)基板 本実施態様に用いられる基板は透明性を有する基板であ
れば特に限定されるものではないが、400nm〜70
0nmの可視領域の光の透過率が50%以上で、平滑な
基板が好ましい。具体的には、ガラス板、ポリマー板等
が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラ
ス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、
アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホ
ウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、
ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイ
ド、ポリサルフォン等を挙げることができる。なお、用
途として有機EL素子に用いる場合は、特に有機EL層
が水分を嫌うことから、水分の透過率の小さい材質で形
成されたものが好ましく、この点からはガラス基板を用
いることが好ましいといえる。
【0083】(2)遮光層 本実施態様においては、例えば図1(a)に示すように
上記基板1上に遮光層2を形成してもよい。このような
遮光層は、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み
1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成
し、この薄膜をパターニングすることにより形成され
る。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通
常のパターニング方法を用いることができる。
【0084】また、上記遮光層としては、樹脂バインダ
中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料
等の遮光性粒子を含有させた層であってもよい。用いら
れる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル
樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニル
アルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂
を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さ
らにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反
応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いるこ
とができる。このような樹脂製遮光層の厚みとしては、
0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。こ
のよう樹脂製遮光層のパターニングの方法は、フォトリ
ソグラフィ法、印刷法等一般的に用いられている方法を
用いることができる。
【0085】(3)隔壁 本実施態様の特徴の一つは、上記基板上に隔壁が形成さ
れる点にある。本実施態様においては、上述したように
遮光層上に隔壁が形成されていてもよく、また遮光層を
有さない場合は基板上に直に隔壁が形成されていてもよ
い。
【0086】このように隔壁を形成することにより、イ
ンクジェット法を用いて色変換層を形成する際に、混色
が生じることがなく、精度の高い色変換フィルタとする
ことができる。
【0087】(隔壁の形状)本実施態様における隔壁の
高さは、後述するカラーフィルタ層および色変換層をそ
の内部に収容することができる程度の高さである必要が
あることから、1μm〜30μmの範囲内、特に5μm
〜15μmの範囲内とすることが好ましい。
【0088】また、その幅は、必要とするラインの精度
との関係によって大きく異なるものではあるが、一般的
には、5μm〜50μmの範囲内で形成される。
【0089】(隔壁の形成方法)本実施態様における隔
壁の形成方法としては、特に限定されるものではない
が、一般的にはフォトリソグラフィ法により形成され
る。この際、隔壁材料自体に感光性材料を有することが
フォトレジストの塗布や剥離等の工程が不要であり工程
が簡略化することができる点から好ましいが、例えば隔
壁と遮光層とを共用する場合や、隔壁表面において光反
射させることにより、輝度が高くかつクロストークを防
止させる場合等においては、感光性材料による光硬化が
困難となる可能性があるので、フォトレジストを用いて
隔壁を形成するようにしてもよい。
【0090】(隔壁の形成材料)隔壁を形成する材料
は、従来より保護層等に用いられてきた感光性の樹脂材
料により形成される。このような樹脂材料としては、エ
ポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエス
テルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコ
ンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエン/チオ
ール等の光重合性オリゴマーと、単官能アクリレート
(スチレン、酢酸ビニル)、多官能アクリレート等の光
重合性モノマー、アセトフェノン系、ベンゾイン系、チ
オキサンソン系、パーオキシド系等の光開始剤を主成分
とした感光性樹脂材料等を挙げることができる。また、
アミン系、キノン系等の光開始助剤、熱重合禁止剤、接
着付与剤等のその他の添加剤等を添加してもよい。
【0091】なお、隔壁を形成する材料としては、透明
な材料に限定されるものではなく、上述したように、ク
ロストーク防止や遮光層との兼用といった目的がある場
合は、不透明な材料を用いることができる。また、カー
ボンブラック等の遮光性の微粒子等を混入させることも
可能である。
【0092】c.濡れ性変化層形成工程 次いで、本実施態様においては、上記隔壁が形成された
基板表面に、上述した光触媒含有層中の光触媒の作用に
より、エネルギー照射の際に表面の濡れ性が液体との接
触角が低下する方向に変化する濡れ性変化層を形成する
濡れ性変化層形成工程が行われる。
【0093】(濡れ性変化層)本実施態様における濡れ
性可変層は、上記光触媒の作用により表面の濡れ性が変
化する層であれば特に限定されるものではないが、一般
にはエネルギーの照射に伴う光触媒の作用により、その
濡れ性変化層表面における液体との接触角が低下するよ
うに濡れ性が変化する層である。
【0094】このように、露光(本発明においては、光
が照射されたことのみならず、エネルギーが照射された
ことをも意味するものとする。)により液体との接触角
が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層とする
ことにより、上述したように、例えばフォトマスクを用
いた場合や、光触媒含有層側遮光部を用いた場合、さら
には光触媒含有層をパターン状に形成した場合等におい
て、エネルギーの照射を行うことにより容易に濡れ性を
パターン状に変化させ、液体との接触角の小さい親液性
領域のパターンを形成することが可能となる。したがっ
て、隔壁間の濡れ性変化層の部分のみ容易に親液性領域
とすることが可能となり、照射されていない部分、すな
わち隔壁表面を覆う部分、特に隔壁の側面に相当する部
分が撥液性領域のままで保持される。したがって、側面
に相当する部分が撥液性であることから、後述するカラ
ーフィルタ層形成工程および色変換層形成工程において
形成されるカラーフィルタ層および色変換層を平坦に形
成することができる。さらに、隔壁間の部分が親液性領
域であることから、色変換層もしくはカラーフィルタ層
と濡れ性変化層との密着性を良好なものとすることがで
きる。
【0095】なお、隔壁の側面に相当する領域の濡れ性
変化層が撥液性であると、色変換層およびカラーフィル
タ層を平坦に形成することができるのは、以下の理由に
よるものである。
【0096】すなわち、一般に後述するカラーフィルタ
層形成工程もしくは色変換層形成工程において、インク
ジェット方式で隔壁間に各層形成用塗工液を塗布し、こ
れを固化させてカラーフィルタ層もしくは色変換層とす
る場合、塗工液の状態から固化する際には体積が減少
し、その表面の位置が徐々に下がるといった現象が生じ
る。これは、特に塗工液が原材料を溶媒に溶解させたよ
うな溶液タイプの塗工液において特に顕著である。
【0097】本実施態様においては、隔壁間に各層形成
用塗工液を塗布しこれを固化させるのであるが、隔壁の
側面に相当する濡れ性変化層が親液性である場合は、固
化に際して塗工液の液面が低下した際に、隔壁側面側の
塗工液が盛り上がってしまい、最終的に固化したカラー
フィルタ層もしくは色変換層における隔壁側の部分の膜
厚が厚くなり、中心部分の膜厚が薄くなるといった問題
が生じる。このため、隔壁の側面の表面状態を撥液性と
することにより、上述したような現象を防止することが
可能となり、得られるカラーフィルタ層もしくは色変換
層を平坦化することができるのである。
【0098】この効果は、特にカラーフィルタ層をイン
クジェット法で形成し、その上にさらに色変換層をイン
クジェット法で形成するような場合に顕著に得られるも
のであり、カラーフィルタ層および色変換層を積層した
場合でも平坦性を良好にたもつことができる。
【0099】ここで、親液性領域とは、液体との接触角
が小さい領域であり、カラーフィルタ層形成用塗工液お
よび色変換層形成用塗工液に対する濡れ性の良好な領域
をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接
触角が大きい領域であり、カラーフィルタ層形成用塗工
液および色変換層形成用塗工液に対する濡れ性が悪い領
域をいうこととする。
【0100】上記濡れ性変化層は、露光していない部
分、すなわち撥液性領域においては、カラーフィルタ層
形成用塗工液もしくは色変換層形成用塗工液に対する接
触角が30°以上、好ましくは40°以上、特に50°
以上であることが好ましい。これは、上述したように、
隔壁の少なくとも側面に該当する部分の濡れ性変化層
が、本実施態様において撥液性が要求される部分であ
る。そして、この領域において各層形成用塗工液との接
触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、カラーフィ
ルタ層形成用塗工液や色変換層形成用塗工液が固化する
に際して、液面が低下した場合に、濡れ性変化層に接触
する各塗工液の液面が盛り上がってしまい、最終的に得
られるカラーフィルタ層もしくは色変換層の平坦性を確
保することが困難となるからである。
【0101】また、上記濡れ性変化層は、露光された部
分、すなわち親液性領域においては、各塗工液に対する
接触角が20°以下、特に10°以下であることが好ま
しい。本実施態様において濡れ性変化層表面において親
液性が要求される部分とは隔壁間であり、この隔壁間の
領域におけるカラーフィルタ層形成用塗工液もしくは色
変換層形成用塗工液との接触角が高い場合は、この領域
にカラーフィルタ層もしくは色変換層を形成した際のカ
ラーフィルタ層もしくは色変換層と濡れ性変化層との密
着性が悪く、剥離等の問題が生じる可能性があるからで
ある。また、カラーフィルタ層形成用塗工液もしくは色
変換層形成用塗工液の濡れ広がり性が悪化することか
ら、均一な膜厚のカラーフィルタ層もしくは色変換層を
形成することが困難となる可能性があるからである。
【0102】なお、ここでいう液体との接触角は、種々
の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協
和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイク
ロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果
から、もしくはその結果をグラフにして得たものであ
る。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する
液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を
用いた。
【0103】また、本実施態様において上述したような
濡れ性変化層を用いた場合、この濡れ性変化層中にフッ
素が含有され、さらにこの濡れ性変化層表面のフッ素含
有量が、濡れ性変化層に対しエネルギーを照射した際
に、上述したように光触媒含有層中の光触媒の作用によ
りエネルギー照射前に比較して低下するように上記濡れ
性変化層が形成されていてもよい。
【0104】このような特徴を有する濡れ性変化層であ
れば、エネルギーをパターン照射することにより、容易
にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを形成
することができる。ここで、フッ素は極めて低い表面エ
ネルギーを有するものであり、このためフッ素を多く含
有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。
したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨界表
面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨界表
面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有量の
少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親液性
領域となっていることを意味する。よって、周囲の表面
に比較してフッ素含有量の少ない部分からなるパターン
を形成することは、撥液性域内に親液性領域のパターン
を形成することとなる。
【0105】したがって、このような濡れ性変化層を用
いた場合は、エネルギーをパターン照射することによ
り、撥液性領域内に親液性領域のパターンを容易に形成
することができるので、隔壁の側面に必要な撥液性を付
与し、隔壁間に必要な親液性を付与することが容易とな
る。
【0106】上述したような、フッ素を含む濡れ性変化
層中に含まれるフッ素の含有量としては、エネルギーが
照射されて形成されたフッ素含有量が低い親液性領域に
おけるフッ素含有量が、エネルギー照射されていない部
分のフッ素含有量を100とした場合に10以下、好ま
しくは5以下、特に好ましくは1以下であることが好ま
しい。
【0107】このような範囲内とすることにより、エネ
ルギー照射部分と未照射部分との濡れ性に大きな違いを
生じさせることができる。したがって、隔壁の側面に相
当する部分の濡れ性変化層表面に対して、フッ素を含有
させることにより必要な撥液性を付与することが容易で
あり、またエネルギー未照射部分における撥液性が高い
場合でも、エネルギー照射により容易にフッ素含有量を
低下させることが可能であることから、容易にカラーフ
ィルタ層もしくは色変換層との密着性維持等に必要な親
液性を得ることができるからである。なお、この低下率
は重量を基準としたものである。
【0108】このような濡れ性変化層中のフッ素含有量
の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いるこ
とが可能であり、例えばX線光電子分光法(X-ray Phot
oelectron Spectroscopy, ESCA(Electron Spectroscop
y for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線
分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測
定できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0109】このような濡れ性変化層中のフッ素含有量
の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いるこ
とが可能であり、例えばX線光電子分光法(X-ray Phot
oelectron Spectroscopy, ESCA(Electron Spectroscop
y for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線
分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測
定できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0110】このような濡れ性変化層に用いられる材料
としては、上述した濡れ性変化層の特性、すなわち露光
により接触もしくは所定の間隙をおいて配置される光触
媒含有層中の光触媒により濡れ性が変化する材料で、か
つ光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有する
ものであれば特に限定されるものではなく、具体的には
オルガノポリシロキサン等を挙げることができる。本実
施態様においては、中でも上記オルガノポリシロキサン
が、フルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキ
サンであることが好ましい。
【0111】このようなオルガノポリシロキサンとして
は、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたは
アルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度
を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥
油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリ
シロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることが
できる。
【0112】上記の(1)の場合、一般式: YSiX(4−n) (ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニ
ル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、
Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示
す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化
合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共
加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであるこ
とが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は
1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示
されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロ
ポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
【0113】また、特にフルオロアルキル基を含有する
オルガノポリシロキサンが好ましく用いることができ、
具体的には、下記のフルオロアルキルシランの1種また
は2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げ
られ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知ら
れたものを使用することができる。
【0114】 CF(CFCHCHSi(OCH; CF(CFCHCHSi(OCH; CF(CFCHCHSi(OCH; CF(CFCHCHSi(OCH; (CFCF(CFCHCHSi(OC
; (CFCF(CFCHCHSi(OC
; (CFCF(CFCHCHSi(OC
; CF(C)CSi(OCH; CF(CF(C)CSi(OCH
; CF(CF(C)CSi(OCH
; CF(CF(C)CSi(OCH
; CF(CFCHCHSiCH(OC
; CF(CFCHCHSiCH(OC
; CF(CFCHCHSiCH(OC
; CF(CFCHCHSiCH(OC
; (CFCF(CFCHCHSiCH
(OCH; (CFCF(CFCHCHSi CH
(OCH; (CFCF(CFCHCHSi CH
(OCH; CF(C)CSiCH(OC
; CF(CF(C)CSiCH
(OCH; CF(CF(C)CSiCH
(OCH; CF(CF(C)CSiCH
(OCH; CF(CFCHCHSi(OCH
; CF(CFCHCHSi(OCH
; CF(CFCHCHSi(OCH
; CF(CFCHCHSi(OCH
;および CF(CFSON(C)CCH
Si(OCH
【0115】上記のようなフルオロアルキル基を含有す
るポリシロキサンを用いることにより、濡れ性変化層の
エネルギー未照射部分、すなわち隔壁側面に相当する部
分に必要な撥液性を付与することが可能となり、平坦な
カラーフィルタ層および色変換層を得ることができ、さ
らにエネルギー照射部分においてカラーフィルタ層の密
着性に必要な親液性を付与することが可能となる。
【0116】また、上記の(2)の反応性シリコーンと
しては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げ
ることができる。
【0117】
【化1】
【0118】ただし、nは2以上の整数であり、R
はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換の
アルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキ
ル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェ
ニル、ハロゲン化フェニルである。また、R、R
メチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので
好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが
好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に
少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0119】また、上記のオルガノポリシロキサンとと
もに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしな
い安定なオルガノシリコーン化合物を混合してもよい。
【0120】本実施態様においては、このようにオルガ
ノポリシロキサン等の種々の材料を濡れ性変化層に用い
ることができるのであるが、上述したように、濡れ性変
化層にフッ素を含有させることが、濡れ性のパターン形
成に効果的である。したがって、光触媒の作用により劣
化・分解しにくい材料にフッ素を含有させる、具体的に
はオルガノポリシロキサン材料にフッ素を含有させて濡
れ性変化層とすることが好ましいといえる。
【0121】このように、オルガノポリシロキサン材料
にフッ素を含有させる方法としては、通常高い結合エネ
ルギーを有する主剤に対し、フッ素化合物を比較的弱い
結合エネルギーで結合させる方法、比較的弱い結合エネ
ルギーで結合されたフッ素化合物を濡れ性変化層に混入
させる方法等を挙げることができる。このような方法で
フッ素を導入することにより、エネルギーが照射された
場合に、まず結合エネルギーが比較的小さいフッ素結合
部位が分解され、これによりフッ素を濡れ性変化層中か
ら除去することができるからである。
【0122】上記第1の方法、すなわち、高い結合エネ
ルギーを有するバインダに対し、フッ素化合物を比較的
弱い結合エネルギーで結合させる方法としては、上記オ
ルガノポリシロキサンにフルオロアルキル基を置換基と
して導入する方法等を挙げることができる。
【0123】例えば、オルガノポリシロキサンを得る方
法として、上記(1)として記載したように、ゾルゲル
反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分
解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロ
キサンを得ることができる。ここで、この方法において
は、上述したように上記一般式: YSiX(4−n) (ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニ
ル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、
Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示
す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化
合物の1種または2種以上を、加水分解縮合物もしくは
共加水分解縮合することによりオルガノポリシロキサン
を得るのであるが、この一般式において、置換基Yとし
てフルオロアルキル基を有する珪素化合物を用いて合成
することにより、フルオロアルキル基を置換基として有
するオルガノポリシロキサンを得ることができる。この
ようなフルオロアルキル基を置換基として有するオルガ
ノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、エネ
ルギーが照射された際、接触する光触媒含有層中の光触
媒の作用により、フルオロアルキル基の炭素結合の部分
が分解されることから、濡れ性変化層表面にエネルギー
を照射した部分のフッ素含有量を低減させることができ
る。
【0124】この際用いられるフルオロアルキル基を有
する珪素化合物としては、フルオロアルキル基を有する
ものであれば特に限定されるものではないが、少なくと
も1個のフルオロアルキル基を有し、このフルオロアル
キル基の炭素数が4から30、好ましくは6から20、
特に好ましくは6から16である珪素化合物が好適に用
いられる。このような珪素化合物の具体例は上述した通
りであるが、中でも炭素数が6から8であるフルオロア
ルキル基を有する上記珪素化合物、すなわちフルオロア
ルキルシランが好ましい。
【0125】本実施態様においては、このようなフルオ
ロアルキル基を有する珪素化合物を上述したフルオロア
ルキル基を有さない珪素化合物と混合して用い、これら
の共加水分解縮合物を上記オルガノポリシロキサンとし
て用いてもよいし、このようなフルオロアルキル基を有
する珪素化合物を1種または2種以上用い、これらの加
水分解縮合物、共加水分解縮合物を上記オルガノポリシ
ロキサンとして用いてもよい。
【0126】このようにして得られるフルオロアルキル
基を有するオルガノポリシロキサンにおいては、このオ
ルガノポリシロキサンを構成する珪素化合物の内、上記
フルオロアルキル基を有する珪素化合物が0.01モル
%以上、好ましくは0.1モル%以上含まれていること
が好ましい。
【0127】フルオロアルキル基がこの程度含まれるこ
とにより、濡れ性変化層上の撥液性を高くすることがで
き、エネルギーを照射して親液性領域とした部分との濡
れ性の差異を大きくすることができるからである。
【0128】また、上記(2)に示す方法では、撥液牲
に優れた反応性シリコーンを架橋することによりオルガ
ノポリシロキサンを得るのであるが、この場合も同様
に、上述した一般式中のR,Rのいずれかもしくは
両方をフルオロアルキル基等のフッ素を含有する置換基
とすることにより、濡れ性変化層中にフッ素を含ませる
ことが可能であり、またエネルギーが照射された場合
に、シロキサン結合より結合エネルギーの小さいフルオ
ロアルキル基の部分が分解されるため、エネルギー照射
により濡れ性変化層表面におけるフッ素の含有量を低下
させることができる。
【0129】一方、後者の例、すなわち、バインダの結
合エネルギーより弱いエネルギーで結合したフッ素化合
物を導入させる方法としては、例えば、低分子量のフッ
素化合物を導入させる場合は、例えばフッ素系の界面活
性剤を混入する方法等を挙げることができ、また高分子
量のフッ素化合物を導入させる方法としては、バインダ
樹脂との相溶性の高いフッ素樹脂を混合する等の方法を
挙げることができる。
【0130】本実施態様における濡れ性変化層には、さ
らに界面活性剤を含有させることができる。具体的に
は、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、B
C、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン
社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サー
フロンS−141、145、大日本インキ化学工業
(株)製メガファックF−141、144、ネオス
(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキ
ン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリ
ーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフ
ッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙
げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオ
ン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもでき
る。
【0131】また、濡れ性変化層には上記の界面活性剤
の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステ
ル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレー
ト、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポ
リカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイ
ミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポ
リプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸
ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイ
ミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリ
ン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマ
ー、ポリマー等を含有させることができる。
【0132】本実施態様において、この濡れ性変化層の
厚みは、光触媒による濡れ性の変化速度等の関係より、
0.001μmから1μmであることが好ましく、特に
好ましくは0.01〜0.1μmの範囲内である。
【0133】本実施態様において上述した成分の濡れ性
変化層を用いることにより、接触もしくは所定の間隙を
おいて配置される光触媒含有層中の光触媒の作用によ
り、上記成分の一部である有機基の酸化、分解等の作用
を用いて、露光部の濡れ性を変化させて親液性とし、未
露光部との濡れ性に大きな差を生じさせることができ
る。よって、上述したように、隔壁の側面に相当する部
分を所定の撥液性とすることが可能となり、隔壁間に相
当する部分を所定の親液性とすることができる。これに
より、平坦に形成することができかつ密着性の良好な色
変換層を形成することができる。
【0134】なお、本実施態様に用いられる濡れ性変化
層は、上述したように光触媒の作用により濡れ性の変化
する層であれば特に限定されるものではないが、特に、
光触媒を含まない層であることが好ましい。このように
濡れ性変化層内に光触媒が含まれなければ、その後色変
換フィルタとして用いた場合に、経時的な劣化を心配す
る必要がなく、長期間に渡り問題なく使用することが可
能だからである。
【0135】(濡れ性変化層の製造方法)このような濡
れ性変化層は、上述した成分を必要に応じて他の添加剤
とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液
を基体上に塗布することにより形成することができる。
使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール
等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピン
コート、スプレーコート、ディップコート、ロールコー
ト、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことが
できる。また、紫外線硬化型の成分を含有している場
合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより濡れ性
変化層を形成することかできる。
【0136】d.エネルギー照射工程 本実施態様においては、次に、上記濡れ性変化層表面
に、上記光触媒含有層が接触するように上記光触媒含有
層側基板を配置し、もしくは上記光触媒含有層の光触媒
の作用が上記濡れ性変化層表面に及ぶ距離を隔てて上記
光触媒含有層側基板を配置した後、上記隔壁間の領域の
濡れ性が液体との接触角の低い親液性領域となるように
エネルギーのパターン照射を行うエネルギー照射工程が
行われるのである。
【0137】すなわち、上記濡れ性変化層形成工程にお
いて形成された濡れ性変化層に面するように、上記光触
媒含有層側基板調製工程において調製された光触媒含有
層側基板上の光触媒含有層を配置して露光するのである
が、この際、上記濡れ性変化層と上記光触媒含有層とが
接触するように配置するか、もしくは光触媒含有層の光
触媒の作用が濡れ性変化層表面に及ぶ距離を隔てて配置
する。そして、濡れ性変化層の隔壁間の領域が親液性と
なるように、パターン状にエネルギー照射を行う工程が
施される。
【0138】(光触媒含有層と濡れ性変化層との配置)
この工程においては、まずエネルギー照射時に光触媒含
有層と濡れ性変化層とが接触するように配置するか、も
しくは光触媒含有層の光触媒の作用が濡れ性変化層表面
に及ぶ距離を隔てて配置する。
【0139】ここで、上記光触媒含有層の光触媒の作用
が濡れ性変化層表面に及ぶ距離としては、具体的には、
0.2μm〜10μmの範囲内であり、好ましくは1μ
m〜5μmの範囲内である。このように光触媒含有層と
濡れ性変化層表面とを所定の距離を隔てて配置すること
により、酸素と水および光触媒作用により生じた活性酸
素種が脱着しやすくなる。すなわち、上記範囲より光触
媒含有層と濡れ性変化層との間隔を狭くした場合は、上
記活性酸素種の脱着がしにくくなり、結果的に濡れ性の
変化速度を遅くしてしまう可能性があることから好まし
くなく、上記範囲より間隔を離して配置した場合は、生
じた活性酸素種が濡れ性変化層に届き難くなり、この場
合も濡れ性の変化速度を遅くしてしまう可能性があるこ
とから好ましくないのである。
【0140】本実施態様においては、このような配置
は、少なくとも露光の間だけ維持されればよい。
【0141】(エネルギー照射)次に、上述したような
配置を維持した状態で、親液性領域とする部分へのエネ
ルギー照射が行われる。なお、本実施態様でいうエネル
ギー照射(露光)とは、光触媒含有層による濡れ性変化
層表面の濡れ性を変化させることが可能ないかなるエネ
ルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限
定されるものではない。
【0142】通常このような露光に用いる光の波長は、
400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範
囲から設定される。これは、上述したように光触媒含有
層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、
この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネ
ルギーとして、上述した波長の光が好ましいからであ
る。
【0143】このような露光に用いることができる光源
としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノ
ンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げる
ことができる。
【0144】上述したような光源を用い、フォトマスク
を介したパターン照射により行う方法の他、エキシマ、
YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方
法を用いることも可能である。
【0145】また、露光に際してのエネルギーの照射量
は、濡れ性変化層表面が光触媒含有層中の光触媒の作用
により濡れ性変化層表面の濡れ性の変化が行われるのに
必要な照射量とする。
【0146】この際、光触媒含有層を加熱しながら露光
することにより、感度を上昇させことが可能となり、効
率的な濡れ性の変化を行うことができる点で好ましい。
具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好
ましい。
【0147】本実施態様における露光方向は、一般的に
は接触もしくは上述したような距離をおいて配置した光
触媒含有層側基板側から露光することが好ましいが、本
実施態様はこれに限定されるものではない。例えば、光
触媒含有層側基板において光触媒含有層がパターン状に
形成されている場合や、色変換フィルタの基板側にフォ
トマスクを配置するような場合は、色変換フィルタの基
板側から露光が行われてもよい。
【0148】(光触媒含有層側基板の取り外し)上述し
たようなエネルギー照射が終了すると、光触媒含有層側
基板が濡れ性変化層近傍の位置から離され、これにより
図1(e)に示すように親液性領域10が濡れ性変化層
4上に形成される。
【0149】e.色変換層形成工程 本実施態様においては、上記エネルギー照射工程により
親液性領域とされた隔壁間の濡れ性変化層上の位置にイ
ンクジェット法により色変換層形成用塗工液を塗布し、
固化させて色変換層を形成する色変換層形成工程が行わ
る。
【0150】この色変換層は、上述したように発光部で
発生する青色もしくは白色の蛍光を、通常は青色光、緑
色光、および赤色光に変換するための層である。なお、
発光部が、例えば青色を発光する有機EL層である場合
等においては、青色を発光するための色変換層が不要の
場合があり、このような場合は、透明なダミー層が形成
される場合がある。
【0151】(1)色変換層形成用塗工液 本実施態様に用いられる色変換層形成用塗工液は、蛍光
色素を溶媒に溶解もしくは分散させたもの、もしくは必
要に応じてバインダ樹脂を加えたもの等を挙げることが
できる。
【0152】(蛍光色素)本実施態様に用いることがで
きる具体的な蛍光色素としては以下のものを挙げること
ができる。
【0153】まず、近紫外光からは紫色の有機EL層の
発光から青色発光に変換する蛍光色素としては、1,4
−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン(以下Bis−
MSB)、トランス−4,4'−ジフェニルスチルベン
(以下DPS)の等スチルベン系色素、7−ヒドロキシ
−4−メチルクマリン(以下クマリン4)等のクマリン
系色素を挙げることができる。
【0154】また、青色、青緑色または白色発光部の発
光から緑色発光に変換する蛍光色素については、例え
ば、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−
トリフロルメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)ク
マリン(以下クマリン153)、3−(2'−ベンゾチ
アゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(以下クマリ
ン6)、3−(2'−ベンズイミダゾリル)−7−N,
N−ジエチルアミノクマリン(以下クマリン7)等のク
マリン色素、他クマリン色素系染料であるがベーシック
イエロー51、また、ソルベントイエロー11、ソルベ
ントイエロー116等のナフタルイミド色素を挙げるこ
とができる。
【0155】さらに、青色から緑色までの、または白色
の発光部の発光から、橙色から赤色までの発光に変換す
る蛍光色素については、例えば、4−ジシアノメチレン
−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)
−4H−ピラン(以下DCM)等のシアニン系色素、1
−エチル−2−(4−(p−ジメチルアミノフェニル)
−1,3−ブタジエニル)−ピリジニウム−パークロレ
ート(以下ピリジン1)等のピリジン系色素、ローダミ
ンB、ローダミン6G等のローダミン系色素、他にオキ
サジン系が挙げられる。
【0156】また、各種染料(直接染料、酸性染料、塩
基性染料、分散染料等)も蛍光性があれば選択すること
が可能である。また、上記蛍光色素をポリメタクリル酸
エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重
合体、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユ
リア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の顔
料樹脂中にあらかじめ練りこんで顔料化したものでもよ
い。
【0157】また、これらの蛍光色素または顔料は、必
要に応じて、単独または混合して用いてもよい。
【0158】(バインダ樹脂)バインダ樹脂としては、
透明な(可視光50%以上)材料が好ましい。例えば、
ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカ
ーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリ
ドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース等の透明樹脂(高分子)が挙げられる。
【0159】(溶媒)本実施態様は、上述したような蛍
光色素、もしくは必要に応じて加えられるバインダ樹脂
を溶媒に溶解もしくは分散させることにより、色変換層
形成用塗工液とする。この際用いられる溶媒としてはエ
チレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチ
レングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチ
レングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチ
ル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジ
エチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル等を用い
ることが可能である。
【0160】(濃度および粘度)このような材料を用い
て調製された色変換層形成用塗工液は、インクジェット
装置を用いて塗布するものであることから、比較的低粘
度である必要がある。具体的には1〜300cps、特
に10〜100cpsの範囲内の粘度となるように調整
することが好ましい。
【0161】また、このような粘度とするための固形分
濃度としては10〜100重量%の範囲内、特に50〜
80重量%の範囲内とすることが好ましい。
【0162】(2)塗布方法 本実施態様においては、上記色変換層形成用塗工液をイ
ンクジェット法で塗工する。この際用いることができる
インクジェット装置としては、特に限定されるものでは
ないが、帯電したインクを連続的に噴射し磁場によって
制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射
する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に
噴射する方法等の各種の方法を用いたインクジェット装
置を用いることができる。
【0163】(3)色変換層 このようにして形成される上記色変換層の形成位置とし
ては、上記隔壁間の親液性領域とされた濡れ性変化層上
であるが、後述するように必要に応じて形成されるカラ
ーフィルタ層が形成された場合は、カラーフィルタ層上
に形成される。なお、カラーフィルタ層上に形成される
場合は、青色のカラーフィルタ層上には蛍光を青色に変
換する青色色変換層が形成され、緑色のカラーフィルタ
層上には蛍光を緑色に変換する緑色色変換層が形成さ
れ、さらに赤色のカラーフィルタ層上には蛍光を赤色に
変換する赤色色変換層が形成される。なお、発光部から
の光が青色である場合等においては、青色のカラーフィ
ルタ層上に形成される青色色変換層は、透明なダミー層
であってもよい。
【0164】また、色変換層の膜厚は、発光部、例えば
有機EL層の発光層からの光を十分に受光(吸収)し、
蛍光を発生する機能を妨げるものでなければ制限はない
が、10nm〜1mm、好ましくは、1μm〜1mm、
より好ましくは10μm〜100μmの範囲内で形成さ
れる。
【0165】f.カラーフィルタ層形成工程 本実施態様においては、色補正が必要である場合や、外
光の侵入による色変換層の不要な発光を防止する等の必
要に応じて、カラーフィルタ層を形成してもよい。この
ようなカラーフィルタ層は、例えば図2(b)に示すよ
うに、上述したエネルギー照射工程において親液性領域
10とした隔壁3間の濡れ性変化層4上に形成され、こ
の後、この上に色変換層を形成するための上述した色変
換層形成工程が行われる。
【0166】この工程で形成されるカラーフィルタ層
は、色変換層で変換された光の色補正等のために形成さ
れるものであり、特に限定されるものではないが、一般
的には、青色、緑色、および赤色の三原色で構成される
ものである。
【0167】この工程において、カラーフィルタ層は、
特に限定されるものではないが、インクジェット方式で
形成されることが好ましい。これは、その後の色変換層
形成工程がインクジェット法で行われることから、両者
をインクジェット法で行うことにより、工程を簡略化す
ることが可能となるからである。
【0168】このようなインクジェット法を用いてカラ
ーフィルタ層を形成する場合のカラーフィルタ層形成用
塗工液としては、大きく水性、油性に分類されるが、本
実施態様においてはいずれのタイプであっても用いるこ
とができる。
【0169】上記水性の塗工液の場合は、溶媒として、
水単独または水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を用いる
ことがきる。一方、油性の塗工液の場合にはヘッドのつ
まり等を防ぐために高沸点の溶媒をベースとしたものが
好ましく用いられる。
【0170】このようなインクジェット法によるカラー
フィルタ層形成用塗工液に用いられる着色剤は、公知の
顔料、染料が広く用いられる。また、分散性、定着性向
上のために溶媒に可溶・不溶の樹脂類を含有させること
もできる。その他、ノニオン界面活性剤、カチオン界面
活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤;防腐剤;防
黴剤;pH調整剤;消泡剤;紫外線吸収剤;粘度調整
剤:表面張力調整剤などを必要に応じて添加しても良
い。
【0171】また、通常のインクジェット方式の塗工液
は適性粘度が低いためバインダ樹脂を多く含有できない
が、塗工液中の着色剤粒子を樹脂で包むかたちで造粒さ
せることで着色剤自身に定着能を持たせることができ
る。このような塗工液も本実施態様においては用いるこ
とができる。さらに、いわゆるホットメルトタイプやU
V硬化性タイプのカラーフィルタ層形成用塗工液を用い
ることもできる。
【0172】本実施態様に用いられるインクジェット装
置としては、上記色変換層形成工程において説明したも
のと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0173】g.その他の工程 本実施態様においては、必要に応じて上記色変換層形成
工程の後、形成された色変換層全体を被うように保護層
を形成してもよい。
【0174】2.第2実施態様 本発明における色変換層の製造方法における第2実施態
様は、基材と上記基材表面に形成された光触媒を含有す
る光触媒含有層とを有する光触媒含有層側基板を調製す
る光触媒含有層側基板調製工程と、基板上に隔壁を形成
する隔壁形成工程と、上記隔壁が形成された基板表面
に、上記光触媒含有層中の光触媒の作用により分解除去
される分解除去層を形成する分解除去層形成工程と、上
記分解除去層表面に、上記光触媒含有層が接触するよう
に上記光触媒含有層側基板を配置し、もしくは光触媒含
有層の光触媒の作用が分解除去層表面に及ぶ距離を隔て
て上記光触媒含有層側基板を配置した後、上記隔壁間の
領域の分解除去層が除去されるようにエネルギーのパタ
ーン照射を行うエネルギー照射工程と、上記分解除去層
が除去された隔壁間の領域に、インクジェット法により
色変換層形成用塗工液を塗布し、固化させて色変換層を
形成する色変換層形成工程とを有することを特徴とする
ものである。
【0175】本実施態様は、上記第1実施態様において
形成された濡れ性変化層に変えて分解除去層を形成した
点に特徴を有するものである。この分解除去層はエネル
ギーが照射された部分のみ光触媒含有層の光触媒の作用
により、分解除去される層である。したがって、分解除
去層を撥液性を有する材料で形成しておくことにより、
分解除去層を、隔壁の少なくとも側面の部分を残すよう
に分解除去することにより、隔壁の少なくとも側面部分
のみを撥液性領域とすることが可能となり、これによ
り、上述した理由から色変換層もしくはカラーフィルタ
層を平坦に形成することが可能となるのである。
【0176】図3および図4は、本発明の第2実施態様
の一例を示すものである。まず、図3(a)に示すよう
に、表面に遮光層2が形成された基板1を調製する。そ
して、この遮光層2上に隔壁3を形成する(隔壁形成工
程、図3(b))。この隔壁3の形成は、フォトリソグ
ラフィ法を用いて行われる。
【0177】そして、隔壁3が形成された基板1上に全
面にわたって分解除去層18を形成する(分解除去層形
成工程、図3(c))。このようにして形成された分解
除去層18上に、フォトマスク5を用いて紫外光6をパ
ターン状に照射するのであるが、この際、上記第1実施
態様と同様に、フォトマスク5と分解除去層18との間
に、基材7の表面に光触媒含有層8が形成されてなる光
触媒含有層側基板9を、光触媒含有層8が、分解除去層
18に面するように、かつ、上記光触媒含有層8と分解
除去層18との距離が、光触媒含有層8中の光触媒の作
用が濡れ性変化層に及ぶ範囲内の距離となるように配置
して、紫外光6の照射を行い(図3(d))、隔壁間の
分解除去層18を除去する(エネルギー照射工程、図3
(e))。なお、この際、基板1表面は親液性を有する
ことが好ましく、基板1の材質によっては、表面が親液
性となるような表面処理もしくは別途親液性層を形成し
てもよい。
【0178】次いで、図2に示す第1実施態様の例と同
様に、図4(a)に示すように、インクジェット装置1
1を用いてカラーフィルタ層形成用塗工液12を塗布す
る。そして、カラーフィルタ層形成用塗工液12を、固
化させることにより、カラーフィルタ層13が形成され
る(カラーフィルタ層形成工程、図4(b))。この
際、基板1表面は、上述したように親液性を有すること
が好ましく、これにより形成されるカラーフィルタ層1
3との密着性が良好となる。また、隔壁3の側面に相当
する位置に残存する分解除去層18は、撥液性の材料を
用いることにより撥液性領域とすることができる。した
がって、これによりカラーフィルタ層13は表面を平坦
に形成することができる。
【0179】次いで、上記カラーフィルタ層13上に、
インクジェット装置11を用いて色変換層形成用塗工液
14を塗布する(図4(c))。そして、この塗布され
た色変換層形成用塗工液14を、乾燥・固化させること
により、色変換層15がカラーフィルタ層13上にさ
れ、色変換フィルタ16とされる(色変換層形成工程、
図2(d))。なお、後述するように、この色変換層1
5上には、必要に応じて保護層が形成されてもよい。
【0180】以下、このような色変換フィルタの製造方
法の第2実施態様について、各工程毎に詳しく説明す
る。
【0181】a.光触媒含有層側基板調製工程 本実施態様における光触媒含有層側基板調製工程は、上
記第1実施態様における光触媒含有層側基板調製工程と
同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0182】b.隔壁形成工程 本実施態様における隔壁形成工程においては、まず基板
を準備するのであるが、本実施態様においては、基板表
面、特に隔壁が形成される部分の間の領域の基板表面が
親液性領域であることが好ましい。
【0183】これは、後述する色変換層形成工程もしく
はカラーフィルタ層形成工程において形成される色変換
層もしくはカラーフィルタ層は、この基板表面上に形成
されることになることから、基板表面が撥液性である場
合は、基板表面と色変換層もしくはカラーフィルタ層と
の密着性に問題が生じる可能性があり、またインクジェ
ット方式で形成する際に均一に濡れ広がることができず
に、膜厚ムラが生じる可能性があるからである。
【0184】本実施態様における上記基板表面の親液性
の程度としては、塗布されるカラーフィルタ層形成用塗
工液もしくは色変換層形成用塗工液に対する基板表面上
での接触角が、20°以下、特に10°以下とされるこ
とが好ましい。
【0185】このように、基板表面を親液性領域とする
方法としては、基板自体の材料を親液性を有する材料と
する方法の他、基板表面に対して親液性を付与するため
の表面処理を行う方法、さらには基板表面に親液性を有
する親液性層を形成する方法等を挙げることができる。
【0186】本実施態様においては、基板としてガラス
基板を用いることにより、上述した基板表面の親液性を
付与する方法が好ましい方法であるといえる。
【0187】なお、その他の隔壁形成工程に関する点に
ついては、上記第1実施態様において説明した事項と同
様であるので、ここでの説明は省略する。
【0188】c.分解除去層形成工程 本実施態様においては、次いで、上記隔壁が形成された
基板表面に、上記光触媒含有層中の光触媒の作用により
分解除去される分解除去層を形成する分解除去層形成工
程が行われる。
【0189】(分解除去層)本実施態様に用いられる分
解除去層としては、隔壁の側面において、カラーフィル
タ層もしくは色変換層を平坦に形成することができる程
度の撥液性を有し、かつ後述するエネルギー照射工程に
おいて、分解除去されることができるように形成された
ものであれば、特に限定されるものではない。
【0190】本実施態様において、分解除去層表面に要
求される撥液性としては、後述する色変換層形成工程に
おいて用いられる色変換層形成用塗工液もしくは後述す
るカラーフィルタ層形成工程において用いられるカラー
フィルタ層形成用塗工液に対する接触角が30°以上、
特に40°以上、中でも50°以上となるものであるこ
とが好ましい。
【0191】このような分解除去層に用いることができ
る材料としては、具体的には機能性薄膜(自己組織化単
分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、交互吸着膜等)
等であり、好ましくは、フッ素系樹脂等を用いることが
できる。
【0192】また、分解除去層の膜厚としては、後述す
るエネルギー照射工程において照射されるエネルギーに
より分解除去される程度の膜厚であれば特に限定される
ものではない。具体的な膜厚としては、照射されるエネ
ルギーの種類や分解除去層の材料等により大きく異なる
ものではあるが、一般的には、0.001μm〜1μm
の範囲内、特に0.01μm〜0.1μmの範囲内とす
ることが好ましい。
【0193】(分解除去層の製造方法)このような分解
除去層は、上述した成分を必要に応じて他の添加剤とと
もに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基
体上に塗布することにより形成することができる。塗布
はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロ
ールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行
うことができる。また、紫外線硬化型の成分を含有して
いる場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより
濡れ性変化層を形成することかできる。
【0194】d.エネルギー照射工程 本実施態様におけるエネルギー照射工程は、上記分解除
去層表面に、上記光触媒含有層が接触するように配置
し、もしくは光触媒含有層の光触媒の作用が分解除去層
表面に及ぶ距離を隔てて配置した後、上記隔壁間の領域
の分解除去層が除去されるようにエネルギーのパターン
照射を行う工程である。
【0195】この工程においては、少なくとも隔壁間の
領域に存在する分解除去層に対してエネルギーを照射し
て分解除去し、基板表面を露出させると共に、少なくと
も隔壁の側面に相当する位置の分解除去層を残存させる
ことにより、隔壁間においては基板表面を露出させて親
液性領域とし、隔壁の側面においては残存する分解除去
層により撥液性領域とするものである。これにより、色
変換層もしくはカラーフィルタ層が平坦でありかつ密着
性が良好な状態で形成することができるのである。
【0196】本工程の説明は、上記第1実施態様におけ
る「濡れ性変化層」を「分解除去層」と読み替え、「エ
ネルギー照射により親液性領域とする」点を、「エネル
ギー照射により分解除去する」と読み替えることによ
り、その内容はほぼ同様であるので、ここでの説明は省
略する。
【0197】e.他の工程 本実施態様における、色変換層形成工程、カラーフィル
タ層形成工程、およびその他の必要な層の形成工程に関
しては、上記第1実施態様における「濡れ性変化層」を
「分解除去層」と読み替えることにより、その説明はほ
ぼ同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0198】B.有機EL素子の製造方法 本発明においては、上記第1実施態様および第2実施態
様で製造した色変換フィルタの色変換層側表面に発光部
を形成し、発光部からの光を本発明で得られた色変換フ
ィルタを透過させることにより、例えば青色、緑色、お
よび赤色光として、フルカラーの画像表示装置とするこ
とができる。
【0199】本発明に用いられる発光部としては、無機
EL発光部、LED発光部、VFD発光部、PDP発光
部、場合によってはLCD発光部の光源を利用すること
ができ、種々の画像表示装置に応用することが可能であ
る。しかしながら、中でも有機EL発光部が、薄型で面
発光であり、かつ有機化合物の種類が豊富で様々な色の
光を高効率、高輝度で発することができるので好ましい
ことから、この有機EL発光部を用いた有機EL素子に
応用することが好ましいといえる。
【0200】このような有機EL素子の製造方法につい
て図5を用いて説明する。図5は、本発明の有機EL素
子の製造方法により得られた有機EL素子を示すもので
ある。この有機EL素子は、上記図1および図2で示さ
れる色変換フィルタの製造方法の第1実施態様の一例に
より製造された色変換フィルタ16を用いたものであ
り、まず、この色変換フィルタ16の色変換層15側の
表面に保護層19を形成する。次いで、透明な第1電極
層20を形成した後、この第1電極層20上に、絶縁層
21を形成する。この絶縁層21の位置は、上記隔壁3
の上方に相当する位置である。そして、この絶縁層21
上に発光層および第2電極層をパターニングするための
逆テーパー状の逆テーパー隔壁22を形成した後、この
上から発光層23および第2電極層24を全面に蒸着さ
せる。この際、逆テーパー隔壁22が存在することか
ら、透明電極である第1電極表面に、パターン状に発光
層23およびその上に積層された第2電極層24を形成
することができる。
【0201】これにより、色変換フィルタ16上に、少
なくとも第1電極層20、発光層23、および第2電極
層24とからなる有機EL発光部25が形成された有機
EL素子が製造される。
【0202】本発明により形成される有機EL発光部と
しては、上述したように発光層と、その色変換フィルタ
側表面に形成された第1電極層と、他方の表面に形成さ
れた第2電極層とを少なくとも有するものであるが、こ
の第1電極層および第2電極層は、いずれかが陽極層と
なり他方が陰極層となるものであればよいものである。
【0203】このような二つの電極層に挟まれて形成さ
れる層としては、少なくとも発光層を有していればよい
のであるが、発光層のみに限定されるものではなく、発
光効率を向上させる等の必要に応じて、例えば正孔注入
層,電子注入層,有機半導体層,電子障壁層,付着改善
層等の他の層が形成されたものであってもよい。
【0204】すなわち、本発明における有機EL素子の
製造方法としては、上述したような第1実施態様もしく
は第2実施態様の色変換フィルタの製造方法により色変
換フィルタを製造した後、上記色変換フィルタの色変換
層上に、一方の表面に陽極層を他方の表面に陰極層を有
する発光層、つまり有機EL発光部を形成することを特
徴とするものであり、具体的には、上記色変換層上に必
要に応じて形成された保護層等の他の層を介して透明な
第1電極層を形成し、次いで発光層および必要に応じて
形成される正孔注入層等の他の層を形成し、さらに第2
電極層を形成する有機EL発光部工程を、上記色変換フ
ィルタの製造方法の後工程として行うものである。
【0205】(電極層)本発明で得られる有機EL素子
は、上述したように第1電極層および第1電極層と発光
層を挟んで形成される第2電極層を有するものであり、
上述したようにいずれかが陽極層となり、いずれかが陰
極層となる必要がある。また、発光層から光を取り出す
側の面の電極層は、透明または半透明である必要があ
り、本発明においては、通常第1電極層、すなわち色変
換フィルタ側の電極層が透明もしくは半透明に形成され
る。陽極層としては、正孔が注入し易いように仕事関数
の大きい導電性材料が好ましい。また、複数の材料を混
合させてもよい。いずれの電極層も、抵抗はできるだけ
小さいものが好ましく、一般には、金属材料が用いられ
るが、有機物あるいは無機化合物を用いてもよい。
【0206】好ましい陽極材料としては、例えば、IT
O、酸化インジウム、金が挙げられる。好ましい陰極材
料としては、例えばマグネシウム合金(MgAg他)、
アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg
他)、金属カルシウムおよび仕事関数の小さい金属が挙
げられる。
【0207】なお、電極層形成に際してのパターニング
の方法等に関しては、通常有機EL素子の製造に際して
用いられている方法が採用され、例えば、第2電極層に
関しては、上述した図5に示す例のように、逆テーパー
隔壁22を用いる方法等が好適に用いられるが、本発明
はこれに限定されるものではない。
【0208】(発光層)本発明に用いられる発光層とし
ては、特に限定されるものではないが、白色発光もしく
は青色発光する材料が用いられる。本発明においては、
中でも青色発光する発光層が好適に用いられる。このよ
うに青色発光する材料としては、例えば、信学技報(電
子情報通信学会発行、OME94-80(1995-03),p13〜18「青
色発光素子へのドーピング」出光興産 中村他)に出光
興産により発表された一般式(1)で表される固体状態
で青色発光能を有するジスチリルビフェニル誘導体をホ
スト物質として、このホスト物質に発光効率の向上のた
めに一般式(2)で示されるジスチリルアリーレン(D
SA)の末端にカルバゾリル基を保有するDSA誘導体
である青色色素をドーピングしたもの等を挙げることが
できる。
【0209】
【化2】
【0210】また、その形成方法としては、有機EL材
料が低分子か高分子の材料であるかによって異なるが、
真空加熱蒸着やディップコーティングやスピンコーティ
ングなどによって形成される。
【0211】C.色変換フィルタ 本発明の色変換フィルタは、基板と、上記基板上に形成
された隔壁と、上記隔壁が形成された基板表面に形成さ
れ、光触媒の作用により表面の濡れ性が変化する濡れ性
変化層と、上記隔壁間でかつ上記濡れ性変化層上に形成
された色変換層とを有することを特徴とするものであ
る。
【0212】本発明の色変換フィルタは、このような濡
れ性変化層を有する点に特徴を有するものであり、この
濡れ性変化層に対し光触媒含有層の存在下でパターン状
にエネルギーを照射することにより、容易に隔壁間の領
域を親液性領域とし隔壁の側面の領域を撥液性とするこ
とができる。これにより、上述した理由から、平坦でか
つ密着性が良好な色変換層を有する色変換フィルタであ
るという利点を有するものである。
【0213】本発明においては、色補正等の目的で上記
隔壁間の光触媒含有層上にカラーフィルタ層を形成し、
その上にさらに色変換層を形成するようにしてもよい。
【0214】また、本発明において用いられる隔壁は、
クロストークを防止する目的で不透明な材料で形成され
ていてもよい。また、隔壁は基板上において画素間に形
成される遮光層(ブラックマトリックス)上に形成され
たものであってもよい。
【0215】本発明の色変換フィルタにおける、基板、
隔壁、光触媒含有層、色変換層、および必要に応じて設
けられるカラーフィルタ層および遮光層に関しては、
「A.色変換フィルタの製造方法」の欄において説明し
たものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0216】D.有機EL素子 本発明の有機EL素子は、上記色変換フィルタの色変換
層上に、必要に応じて形成される保護層等の他の層を介
して有機EL発光部が形成されたものである。
【0217】ここで、この有機EL発光部は、二つの電
極層である陽極層と陰極層とを有し、この陽極層と陰極
層の間に少なくとも発光層を挟んでなる構成を有するも
のである。また、上記陽極層と陰極層との間には、発光
効率を向上させる等の目的のために、必要に応じて正孔
注入層,電子注入層,有機半導体層,電子障壁層,付着
改善層等の他の層が形成されたものであってもよい。
【0218】このような有機EL層の一例は、上記
[B.有機EL素子の製造方法」で説明した図5に示す
ものを挙げることができる。
【0219】本発明における有機EL発光部における二
つの電極層および発光層に関しては、上記「B.有機E
L素子の製造方法」の欄に記載したものと同様であるの
で、ここでの説明は省略する。
【0220】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の
特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一
な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかな
るものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0221】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに説明す
る。
【0222】[実施例1]膜厚0.2μm、100μmピ
ッチで20μm幅のブラックマトリックス(材質クロム)
が形成されたガラス基板上に、下記隔壁用塗工液をスピ
ンコーターで塗布した。 ・アルカリ現像型透明耐熱レジストV-259PA(新日鉄化
学製) その後、プレキュア(80℃、5分)、露光(365nm、3
00mJ)、アルカリ現像(0.4%Na2CO3水溶液)、水洗、
およびポストキュア(230℃、60min.)を行い、ブラッ
クマトリックス上に高さ10μmの隔壁を形成した。
【0223】この基板上に下記組成を25℃、24時間攪拌
して得た濡れ性変化層用塗工液をスピンコーターで塗布
した。 ・テトラエトキシシラン 4wt% ・フルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン製) 1wt% ・イソプロピルアルコール 95wt% その後、キュア(120℃、60min.)を行い、厚さ0.1μm
の濡れ性変化層を形成した。
【0224】上記ブラックマトリックスに対応したクロ
ムパターンのフォトマスクを準備しクロムパターン側に
下記塗工液をスピンコーターで塗布した。 ・光触媒無機コーティング剤ST-K03(石原産業製) そして、この光触媒含有層側基板を用い、隔壁上面と光
触媒含有層との間隔を10μmとして、隔壁間の領域を
露光して親液性とした。
【0225】次に、カラーフィルタ層形成用塗工液(固
形分20% バインダー:顔料 = 1:1、溶剤:ジエチレン
グリコールモノブチルエーテルアセテート)を用意し
た。ここで、上記濡れ性変化層を別途ガラス基板上に同
様の膜厚で形成し、これを同様にして露光した露光部お
よび未露光部表面における上記カラーフィルタ層形成用
塗工液の接触角を測定したところ、露光部5°、未露光
部72°であった。
【0226】次に、圧電素子型インクジェット装置によ
りカラーフィルタ層形成用塗工液(固形分20% バイン
ダー:顔料 = 1:1、溶剤:ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテルアセテート)を隔壁間に吐出し、プレキ
ュア(40℃、5時間)、露光(365nm、300mJ)、ポス
トキュア(230℃、60min)を行い、高さ1μmのカラーフ
ィルタ層を形成した。
【0227】次に、色変換層形成用塗工液(固形分80%
バインダー:蛍光色素 = 9:1、溶剤:プロピレグリコ
ールモノメチルエーテルアセテート)を用意した。ここ
で、上記濡れ性変化層を別途ガラス基板上に同様の膜厚
で形成し、未露光部表面における上記色変換層形成用塗
工液の接触角を測定したところ、80°であった。
【0228】次に、圧電素子型インクジェット装置によ
り色変換層形成用塗工液を隔壁間のカラーフィルタ上に
吐出し、プレキュア(80℃、3分)、ポストキュア(15
0℃、30min)を行い、高さ9μmの色変換層を形成した。
【0229】このようにして形成されたカラーフィルタ
層および色変換層の表面は平坦であり、隔壁側面側の部
分が盛り上がることはなかった。
【0230】[比較例]膜厚0.2μm、100μmピッ
チで20μm幅のブラックマトリックス(材質クロム)が
形成されたガラス基板上に、下記隔壁用塗工液をスピン
コーターで塗布した。 ・アルカリ現像型透明耐熱レジストV-259PA(新日鉄化
学製) その後、プレキュア(80℃、5分)、露光(365nm、3
00mJ)、アルカリ現像(0.4%Na2CO3水溶液)、水洗、
そしてポストキュア(230℃、60min.)を行い、ブラッ
クマトリックス上に高さ10μmの隔壁を形成した。
【0231】次いで、実施例1と同様のカラーフィルタ
形成用塗工液を調製した。ここで、上記隔壁用塗工液を
用いて形成した板状の隔壁材料表面における上記カラー
フィルタ層形成用塗工液の接触角を測定したところ、15
°であった。
【0232】次に、圧電素子型インクジェット装置によ
り上記カラーフィルタ層形成用塗工液を隔壁間に吐出
し、プレキュア(40℃、5時間)、露光(365nm、300
mJ)、ポストキュア(230℃、60min)を行い、カラーフ
ィルタ層を形成した。
【0233】形成されたカラーフィルタ層の隔壁側面側
部分は盛り上がり、隔壁側面側部分の膜厚は2μmであ
り、中心部が0.2μmであった。
【0234】[実施例2]膜厚0.2μm、100μmピ
ッチで20μm幅のブラックマトリックス(材質クロム)
が形成されたガラス基板上に、下記隔壁用塗工液をスピ
ンコーターで塗布した。 ・アルカリ現像型透明耐熱レジストV-259PA(新日鉄化
学製) その後、プレキュア(80℃、5分)、露光(365nm、3
00mJ)、アルカリ現像(0.4%Na2CO3水溶液)、水洗、
およびポストキュア(230℃、60min.)を行い、ブラッ
クマトリックス上に高さ10μmの隔壁を形成した。
【0235】この基板上に下記組成の分解除去層用塗工
液をスピンコーターで塗布した。 ・テフロン(登録商標)AF TYPE1600(デュポン製) 0.1wt% ・フロリナート(住友3M) 99.9wt% その後、加熱(120℃、60min.)し、厚さ0.03μmの分解
除去層を形成した。
【0236】上記ブラックマトリックスに対応したクロ
ムパターンのフォトマスクを準備しクロムパターン側に
下記塗工液をスピンコーターで塗布した。 ・光触媒無機コーティング剤ST-K03(石原産業製) そして、この光触媒含有層側基板を用い、隔壁上面と光
触媒含有層との間隔を10μmとして、隔壁間の領域を
露光することにより分解除去層を分解除去し、親液性と
した。
【0237】次に、カラーフィルタ層形成用塗工液(固
形分20% バインダー:顔料 = 1:1、溶剤:ジエチレン
グリコールモノブチルエーテルアセテート)を用意し
た。ここで、上記分解除去層を別途ガラス基板上に同様
の膜厚で形成し、分解除去層表面における上記カラーフ
ィルタ層形成用塗工液の接触角を測定したところ、75°
であった。
【0238】次に、圧電素子型インクジェット装置によ
りカラーフィルタ層形成用塗工液を隔壁間に吐出し、プ
レキュア(40℃、5時間)、露光(365nm、300mJ)、
ポストキュア(230℃、60min)を行い、高さ1μmのカラ
ーフィルタ層を形成した。
【0239】次いで、色変換層形成用塗工液(固形分80
% バインダー:蛍光色素 = 9:1、溶剤:プロピレグリ
コールモノメチルエーテルアセテート)を用意した。こ
こで、上記分解除去層を別途ガラス基板上に同様の膜厚
で形成し、分解除去層表面における上記色変換層形成用
塗工液の接触角を測定したところ、82°であった。
【0240】次に、圧電素子型インクジェット装置によ
り色変換層形成用塗工液を隔壁間のカラーフィルタ上に
吐出し、プレキュア(80℃、3分)、ポストキュア(15
0℃、30min)を行い、高さ9μmの色変換層を形成した。
【0241】このようにして形成されたカラーフィルタ
層および色変換層の表面は平坦であり、隔壁側面側の部
分が盛り上がることはなかった。
【0242】
【発明の効果】本発明によれば、エネルギーのパターン
照射により容易に親液性領域をパターン状に形成するこ
とができるので、エネルギー未照射領域を所定の撥液性
とすることにより、上記隔壁の少なくとも側面を容易に
撥液性領域とすることが可能であり、かつ色変換層が形
成される隔壁間の領域を親液性領域とすることが可能と
なる。したがって、形成された色変換層を平坦化するこ
とが可能であり、かつ色変換層と濡れ性変化層との密着
性を確保することも可能となる。また、このように、隔
壁間においてインクジェット方式で色変換層が形成され
ることから、色変換層の混色が生じることがなく、精度
の高い色変換フィルタを製造することができる。さら
に、色変換層を形成する際にフォトリソグラフィ法を用
いる必要が無いことから、色変換層の原材料の使用量を
低減することができ、かつ色変換層内に感光剤を含む必
要が無いことから、材料選択の幅が広がるといった利点
を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色変換フィルタの製造方法の一例を示
す工程図である。
【図2】本発明の色変換フィルタの製造方法の一例を示
す工程図である。
【図3】本発明の色変換フィルタの製造方法の他の例を
示す工程図である。
【図4】本発明の色変換フィルタの製造方法の他の例を
示す工程図である。
【図5】本発明の色変換フィルタを用いた有機EL素子
を示す概略断面図である。
【図6】本発明に用いられる光触媒含有層側基板を示す
概略断面図である。
【図7】本発明に用いられる光触媒含有層側基板を示す
概略断面図である。
【図8】本発明に用いられる光触媒含有層側基板を示す
概略断面図である。
【符号の説明】
1 … 基板 2 … 遮光層 3 … 隔壁 4 … 濡れ性変化層 7 … 基材 8 … 光触媒含有層 9 … 光触媒含有層側基板 10 … 親液性領域 12 … カラーフィルタ層形成用塗工液 13 … カラーフィルタ層 14 … 色変換層形成用塗工液 15 … 色変換層 16 … 色変換フィルタ 18 … 分解除去層 20 … 第1電極層 23 … 発光層 24 … 第2電極層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/14 B41J 3/04 101Z Fターム(参考) 2C056 FB01 2H048 BA02 BA64 BB02 BB04 3K007 AB04 AB17 AB18 BB06 DB03 FA01

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、前記基材表面に形成された光触
    媒を含有する光触媒含有層とを有する光触媒含有層側基
    板を調製する光触媒含有層側基板調製工程と、 基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、 前記隔壁が形成された基板表面に、前記光触媒含有層中
    の光触媒の作用により表面の濡れ性が変化する濡れ性変
    化層を形成する濡れ性変化層形成工程と、 前記濡れ性変化層表面に、前記光触媒含有層が接触する
    ように前記光触媒含有層側基板を配置し、もしくは前記
    光触媒含有層の光触媒の作用が前記濡れ性変化層表面に
    及ぶ距離を隔てて前記光触媒含有層側基板を配置した
    後、前記隔壁間の領域の濡れ性が液体との接触角の低い
    親液性領域となるようにエネルギーのパターン照射を行
    うエネルギー照射工程と、 前記親液性領域となった隔壁間の領域に、インクジェッ
    ト法により色変換層形成用塗工液を塗布し、固化させて
    色変換層を形成する色変換層形成工程とを有することを
    特徴とする色変換フィルタの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記エネルギー照射工程の後、前記親液
    性領域となった隔壁間の領域に、インクジェット法によ
    りカラーフィルタ層形成用塗工液を塗布し、固化させて
    カラーフィルタ層を形成するカラーフィルタ層形成工程
    を行い、次いで前記色変換層形成工程を行うことを特徴
    とする請求項1に記載の色変換フィルタの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記濡れ性変化層のエネルギー未照射領
    域表面における塗布される塗工液に対する接触角が30
    °以上であり、エネルギー照射領域表面における塗布さ
    れる塗工液に対する接触角が20°以下であることを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の色変換フィル
    タの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記濡れ性変化層が、オルガノポリシロ
    キサンを含有する層であることを特徴とする請求項1か
    ら請求項3までのいずれかの請求項に記載の色変換フィ
    ルタの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記オルガノポリシロキサンが、フルオ
    ロアルキル基を含有するポリシロキサンであることを特
    徴とする請求項4記載の色変換フィルタの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記オルガノポリシロキサンが、Y
    iX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロア
    ルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポ
    キシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示
    す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化
    合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共
    加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであるこ
    とを特徴とする請求項4または請求項5に記載の色変換
    フィルタの製造方法。
  7. 【請求項7】 基材と、前記基材表面に形成された光触
    媒を含有する光触媒含有層とを有する光触媒含有層側基
    板を調製する光触媒含有層側基板調製工程と、 基板上に隔壁を形成する隔壁形成工程と、 前記隔壁が形成された基板表面に、前記光触媒含有層中
    の光触媒の作用により分解除去される分解除去層を形成
    する分解除去層形成工程と、 前記分解除去層表面に、前記光触媒含有層が接触するよ
    うに前記光触媒含有層側基板を配置し、もしくは光触媒
    含有層の光触媒の作用が分解除去層表面に及ぶ距離を隔
    てて前記光触媒含有層側基板を配置した後、前記隔壁間
    の領域の分解除去層が除去されるようにエネルギーのパ
    ターン照射を行うエネルギー照射工程と、 前記分解除去層が除去された隔壁間の領域に、インクジ
    ェット法により色変換層形成用塗工液を塗布し、固化さ
    せて色変換層を形成する色変換層形成工程とを有するこ
    とを特徴とする色変換フィルタの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記エネルギー照射工程の後、前記分解
    除去層が除去された隔壁間の領域に、インクジェット法
    によりカラーフィルタ層形成用塗工液を塗布し、固化さ
    せてカラーフィルタ層を形成するカラーフィルタ層形成
    工程を行い、次いで前記色変換層形成工程を行うことを
    特徴とする請求項7に記載の色変換フィルタの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記分解除去層の表面における塗布され
    る塗工液に対する接触角が30°以上であることを特徴
    とする請求項7または請求項8に記載の色変換フィルタ
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記光触媒含有層側基板が、基材と、
    前記基材上にパターン状に形成された光触媒含有層とか
    らなることを特徴とする請求項1から請求項9までのい
    ずれかの請求項に記載の色変換フィルタの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記光触媒含有層側基板調製工程にお
    いて調製される前記光触媒含有層側基板が、基材と、前
    記基材上に形成された光触媒含有層と、パターン状に形
    成された光触媒含有層側遮光部とからなり、 前記エネルギー照射工程におけるエネルギーの照射が、
    光触媒含有層側基板側から行なわれることを特徴とする
    請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の
    色変換フィルタの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記光触媒含有層が、光触媒からなる
    層であることを特徴とする請求項1から請求項11まで
    のいずれかの請求項に記載の色変換フィルタの製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記光触媒含有層が、光触媒を真空製
    膜法により基材上に製膜してなる層であることを特徴と
    する請求項12に記載の色変換フィルタの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記光触媒含有層が、光触媒とバイン
    ダとを有する層であることを特徴とする請求項1から請
    求項11までのいずれかの請求項に記載の色変換フィル
    タの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記光触媒が、前記光触媒が、酸化チ
    タン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(S
    nO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、
    酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi
    )、および酸化鉄(Fe)から選択される1種
    または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1
    から請求項14までのいずれかの請求項に記載の色変換
    フィルタの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記光触媒が酸化チタン(TiO
    であることを特徴とする請求項15記載の色変換フィル
    タの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記濡れ性変化層または前記分解除去
    層の表面に、前記光触媒含有層の光触媒の作用が及ぶ距
    離を前記光触媒含有層と隔てて配置する際の、前記光触
    媒含有層と前記濡れ性変化層表面もしくは分解除去層表
    面との間隔を、0.2μm〜10μmの範囲内とするこ
    とを特徴とする請求項1から請求項16までのいずれか
    の請求項に記載の色変換フィルタの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記基板上に遮光層を形成する遮光層
    形成工程を行い、次いで前記隔壁を前記遮光層上に形成
    する隔壁形成工程を行うことを特徴とする請求項1から
    請求項17までのいずれかの請求項に記載の色変換フィ
    ルタの製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項1から請求項18までのいずれ
    かの請求項に記載の色変換フィルタの製造方法により色
    変換フィルタを製造した後、前記色変換フィルタの色変
    換層上に、一方の表面に陽極層を他方の表面に陰極層を
    有する発光層を形成することを特徴とする有機エレクト
    ロルミネッセント素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 基板と、前記基板上に形成された隔壁
    と、前記隔壁が形成された基板表面に形成され、光触媒
    の作用により表面の濡れ性が変化する濡れ性変化層と、
    前記隔壁間でかつ前記濡れ性変化層上に形成された色変
    換層とを有することを特徴とする色変換フィルタ。
  21. 【請求項21】 前記隔壁間でかつ前記濡れ性変化層上
    にカラーフィルタ層が形成され、前記カラーフィルタ層
    上に前記色変換層が形成されていることを特徴とする請
    求項20記載の色変換フィルタ。
  22. 【請求項22】 前記隔壁が、不透明な材料で形成され
    ていることを特徴とする請求項20または請求項21に
    記載の色変換フィルタ。
  23. 【請求項23】 前記基板上に遮光層が形成され、前記
    遮光層上に隔壁が形成されていることを特徴とする請求
    項20から請求項22までのいずれかの請求項に記載の
    色変換フィルタ。
  24. 【請求項24】 請求項20から請求項23までのいず
    れかの請求項に記載の色変換フィルタの色変換層上に、
    一方の表面に陽極層を他方の表面に陰極層を有する発光
    層が形成されてなることを特徴とする有機エレクトロル
    ミネッセント素子。
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