JPH09248908A - インクジェット記録装置 - Google Patents
インクジェット記録装置Info
- Publication number
- JPH09248908A JPH09248908A JP5764696A JP5764696A JPH09248908A JP H09248908 A JPH09248908 A JP H09248908A JP 5764696 A JP5764696 A JP 5764696A JP 5764696 A JP5764696 A JP 5764696A JP H09248908 A JPH09248908 A JP H09248908A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ink
- acoustic impedance
- holding chamber
- piezoelectric element
- ink holding
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2/00—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
- B41J2/01—Ink jet
- B41J2/135—Nozzles
- B41J2/14—Structure thereof only for on-demand ink jet heads
- B41J2/14008—Structure of acoustic ink jet print heads
Landscapes
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
- Ink Jet (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】超音波ビームの放射圧により液体インクの液面
からインク滴を吐出させて被記録体上に飛翔させること
により画像を高効率かつ高速で記録することができるイ
ンクジェット記録装置を提供する。 【解決手段】インク保持室(18)のインク液(20)
と接触する内壁面の音響インピーダンスをインク液の音
響インピーダンスの10倍以下に設定する。
からインク滴を吐出させて被記録体上に飛翔させること
により画像を高効率かつ高速で記録することができるイ
ンクジェット記録装置を提供する。 【解決手段】インク保持室(18)のインク液(20)
と接触する内壁面の音響インピーダンスをインク液の音
響インピーダンスの10倍以下に設定する。
Description
【0001】
【発明が属する分野】本発明は、液体インクを液滴化し
て被記録体上に飛翔させることにより画像を記録するイ
ンクジェット記録装置に係り、特には、圧電素子により
放射される超音波ビームの圧力によりインク滴を吐出さ
せて被記録体上に飛翔させるインクジェット記録装置に
関する。
て被記録体上に飛翔させることにより画像を記録するイ
ンクジェット記録装置に係り、特には、圧電素子により
放射される超音波ビームの圧力によりインク滴を吐出さ
せて被記録体上に飛翔させるインクジェット記録装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、液体インクを記録媒体上に飛
翔させて記録ドットを形成するインクジェットプリンタ
が知られている。このインクジェットプリンタは、他の
記録方式と比べて騒音が少なく、現像や定着などの処理
が不要であるという利点を有し、普通紙記録技術として
注目されている。
翔させて記録ドットを形成するインクジェットプリンタ
が知られている。このインクジェットプリンタは、他の
記録方式と比べて騒音が少なく、現像や定着などの処理
が不要であるという利点を有し、普通紙記録技術として
注目されている。
【0003】現在までに、数多くのインクジェットプリ
ンタの方式が提案されているが、特に、例えば特公昭5
6−9492号や特公昭61−59911号に開示され
ている発熟体の熱により発生する蒸気の圧力でインク滴
を飛翔させる方式、および例えば特公昭53−1213
8号に開示されている圧電体の変位による圧力パルスで
インク滴を飛翔させる方式等が代表的なものである。し
かし、これらの方式では溶媒の蒸発や揮発によって局部
的にインクの濃縮が生じやすく、また、それぞれの解像
度に対応する個別のノズルが細いため、ノズルに目詰ま
りを生じやすいという問題がある。特に、蒸気の圧力を
利用する方式では、インクとの熱的あるいは化学的な反
応などによる不溶物の付着が、また圧電体の変位による
圧力を利用する方式では、インク流路等における複雑な
構造がさらに目詰まりを誘起しやすくしている。数十か
ら百数十のノズルを使用しているシリアルへッドではそ
の目詰まりの頻度を低く抑えることができるが、数千の
ノズルを必要とするラインヘッドでは確率的にかなり高
い頻度で目詰まりが発生し、信頼性の点で大きな問題と
なっている。さらに、これらの方式は解像度の向上には
適していないという欠点もある。
ンタの方式が提案されているが、特に、例えば特公昭5
6−9492号や特公昭61−59911号に開示され
ている発熟体の熱により発生する蒸気の圧力でインク滴
を飛翔させる方式、および例えば特公昭53−1213
8号に開示されている圧電体の変位による圧力パルスで
インク滴を飛翔させる方式等が代表的なものである。し
かし、これらの方式では溶媒の蒸発や揮発によって局部
的にインクの濃縮が生じやすく、また、それぞれの解像
度に対応する個別のノズルが細いため、ノズルに目詰ま
りを生じやすいという問題がある。特に、蒸気の圧力を
利用する方式では、インクとの熱的あるいは化学的な反
応などによる不溶物の付着が、また圧電体の変位による
圧力を利用する方式では、インク流路等における複雑な
構造がさらに目詰まりを誘起しやすくしている。数十か
ら百数十のノズルを使用しているシリアルへッドではそ
の目詰まりの頻度を低く抑えることができるが、数千の
ノズルを必要とするラインヘッドでは確率的にかなり高
い頻度で目詰まりが発生し、信頼性の点で大きな問題と
なっている。さらに、これらの方式は解像度の向上には
適していないという欠点もある。
【0004】これらの欠点を克服するために、薄膜の圧
電体から発生する超音波ビームの圧力を用いてインク液
面からインク滴を飛翔させるという、超音波を用いる方
式が提案されている(IBM TDB,vol.16,
No.4,1168頁(1973−10)、特開昭63
一162253号公報等参照)。この方式は個別のドッ
ト毎のノズルやインク流路間の隔壁を必要としないいわ
ゆるノズルレス方式であるために、ラインヘッド化する
上での大きな陣害であった目詰まりやそれからの復旧と
いう問題がない。また、この方式では、非常に小さい径
のインク滴を安定に飛翔させることができるため、高解
像度化にも適している。さらに、別の超音波集束手段と
して、アレイ状に配置された複数個の圧電素子からそれ
ぞれに位相制御した超音波を励起させてインク液面近傍
の一点に集中させるセクタ電子スキャン法(特開平2−
184443号公報参照)が提案されている。しかし、
これら超音波を用いる方式ではインク滴の飛翔効率が低
いという問題がある。
電体から発生する超音波ビームの圧力を用いてインク液
面からインク滴を飛翔させるという、超音波を用いる方
式が提案されている(IBM TDB,vol.16,
No.4,1168頁(1973−10)、特開昭63
一162253号公報等参照)。この方式は個別のドッ
ト毎のノズルやインク流路間の隔壁を必要としないいわ
ゆるノズルレス方式であるために、ラインヘッド化する
上での大きな陣害であった目詰まりやそれからの復旧と
いう問題がない。また、この方式では、非常に小さい径
のインク滴を安定に飛翔させることができるため、高解
像度化にも適している。さらに、別の超音波集束手段と
して、アレイ状に配置された複数個の圧電素子からそれ
ぞれに位相制御した超音波を励起させてインク液面近傍
の一点に集中させるセクタ電子スキャン法(特開平2−
184443号公報参照)が提案されている。しかし、
これら超音波を用いる方式ではインク滴の飛翔効率が低
いという問題がある。
【0005】さらに、超音波を用いるインクジェットプ
リンタのインク保持室に関して、特開昭58−1873
63号公報においては、インク液と接する内壁面の水に
対する接触角が50゜以下であることを規定した提案が
開示されている。しかし、このような内壁面の接触角の
規定はインク液の濡れ性、あるいはインク保持室内に混
入した気泡の抜け性を改善する上で効果があるが、この
公報には、インク滴の飛翔効率については何らの考慮も
なされていない。
リンタのインク保持室に関して、特開昭58−1873
63号公報においては、インク液と接する内壁面の水に
対する接触角が50゜以下であることを規定した提案が
開示されている。しかし、このような内壁面の接触角の
規定はインク液の濡れ性、あるいはインク保持室内に混
入した気泡の抜け性を改善する上で効果があるが、この
公報には、インク滴の飛翔効率については何らの考慮も
なされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、上記従来のインクジェット記録装置の問題を解決し
ようとするものであり、高効率、高速で画像記録を可能
にするインクジェント記録装置を提供することを課題と
する。
は、上記従来のインクジェット記録装置の問題を解決し
ようとするものであり、高効率、高速で画像記録を可能
にするインクジェント記録装置を提供することを課題と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、液体インクを保持するインク保持室と、
前記液体インクと音響的に接続される圧電素子からなる
超音波発生手段と、前記圧電素子を駆動する駆動手段
と、前記圧電素子から発生される超音波を前記液体イン
クの液面近傍に集束させる超音波集束手段とを具備する
インクジェット記録装置であって、前記インク保持室の
液体インクと接触する内壁面の音響インピーダンスが、
液体インクの音響インピーダンスの10倍以下であるこ
とを特徴とするインクジェット記録装置を提供するもの
である。
に、本発明は、液体インクを保持するインク保持室と、
前記液体インクと音響的に接続される圧電素子からなる
超音波発生手段と、前記圧電素子を駆動する駆動手段
と、前記圧電素子から発生される超音波を前記液体イン
クの液面近傍に集束させる超音波集束手段とを具備する
インクジェット記録装置であって、前記インク保持室の
液体インクと接触する内壁面の音響インピーダンスが、
液体インクの音響インピーダンスの10倍以下であるこ
とを特徴とするインクジェット記録装置を提供するもの
である。
【0008】前記インク保持室には、異なる集束点を有
する複数の超音波集束手段を有することができる。ま
た、超音波集束手段は、フレネルレンズであることが好
ましい。
する複数の超音波集束手段を有することができる。ま
た、超音波集束手段は、フレネルレンズであることが好
ましい。
【0009】本発明者らは、超音波ビームの放射圧で液
体インクの液面からインク滴を吐出させて被記録体上に
飛翔させることにより画像を記録するインクジェット記
録装置において、従来の方式では達成できなかった記録
スピードの高速化や高解像度化を図るために、複数の超
音波発生手段を所定の間隔で配置された圧電素子により
構成し、その一部の圧電素子群(駆動素子群)に所定の
位相差を与えて駆動することによってインク液面近傍に
超音波ビームを集束させてインク滴を飛翔させ、駆動素
子群を1またはそれ以上の圧電素子単位で所定方向にず
らして駆動する駆動手段(リニア電子走査手段)を具備
したインクジェット記録装置を提案してきた。
体インクの液面からインク滴を吐出させて被記録体上に
飛翔させることにより画像を記録するインクジェット記
録装置において、従来の方式では達成できなかった記録
スピードの高速化や高解像度化を図るために、複数の超
音波発生手段を所定の間隔で配置された圧電素子により
構成し、その一部の圧電素子群(駆動素子群)に所定の
位相差を与えて駆動することによってインク液面近傍に
超音波ビームを集束させてインク滴を飛翔させ、駆動素
子群を1またはそれ以上の圧電素子単位で所定方向にず
らして駆動する駆動手段(リニア電子走査手段)を具備
したインクジェット記録装置を提案してきた。
【0010】本発明者らは、そのようなインクジェット
記録装置において、インク滴の飛翔効率の向上と記録/
印刷速度の高速化を図るために、インク滴の飛翔条件の
検討とその飛翔状態の詳細な観察を行った。その結果、
インク液を保持するインク保持室がインク液の飛翔効率
に大きな影響を与えることを見い出した。
記録装置において、インク滴の飛翔効率の向上と記録/
印刷速度の高速化を図るために、インク滴の飛翔条件の
検討とその飛翔状態の詳細な観察を行った。その結果、
インク液を保持するインク保持室がインク液の飛翔効率
に大きな影響を与えることを見い出した。
【0011】すなわち、インク保持室が非常に大きく、
圧電素子にとって実質的にインクのみしか存在しないと
仮定できる状態、例えば大きなインク液の槽内に圧電素
子や音響レンズなどで構成されるへッドを浸漬した場合
に対して、インク液を保持する空間が圧電素子のほぼ上
方のみとなるインク保持室を設けた場合では、他の条件
を同じにしたときにインク滴の飛翔を可能とする圧電素
子の駆動電圧が約2倍となることがわかった。また、駆
動バースト波の波数で比較しても、ほぽ同程度の差が生
じた。すなわち、インク保持室の存在がインク液の飛翔
効率を下げることが明らかになった。さらに、ライン状
に配列した複数の圧電素子を用い、インク液面の近接し
た位置で同時にインク滴を飛翔させる場合においても、
インク滴を同時に飛翔させ得る最も近い間隔は、インク
保持室を設けた場合には大きなインク液槽に浸漬した場
合に比べて約1.5倍の距離を必要とした。これらの実
験結果から、圧電素子からインク液中に放射された超音
波のうちの一部がインク保持室の内壁に到達してそこで
反射を起こし、この反射波が圧電素子からインク液面方
向に放射された本来の超音波と干渉して、インク液面近
傍で超音波ビームの強度を低下させるものと考えられ
た。
圧電素子にとって実質的にインクのみしか存在しないと
仮定できる状態、例えば大きなインク液の槽内に圧電素
子や音響レンズなどで構成されるへッドを浸漬した場合
に対して、インク液を保持する空間が圧電素子のほぼ上
方のみとなるインク保持室を設けた場合では、他の条件
を同じにしたときにインク滴の飛翔を可能とする圧電素
子の駆動電圧が約2倍となることがわかった。また、駆
動バースト波の波数で比較しても、ほぽ同程度の差が生
じた。すなわち、インク保持室の存在がインク液の飛翔
効率を下げることが明らかになった。さらに、ライン状
に配列した複数の圧電素子を用い、インク液面の近接し
た位置で同時にインク滴を飛翔させる場合においても、
インク滴を同時に飛翔させ得る最も近い間隔は、インク
保持室を設けた場合には大きなインク液槽に浸漬した場
合に比べて約1.5倍の距離を必要とした。これらの実
験結果から、圧電素子からインク液中に放射された超音
波のうちの一部がインク保持室の内壁に到達してそこで
反射を起こし、この反射波が圧電素子からインク液面方
向に放射された本来の超音波と干渉して、インク液面近
傍で超音波ビームの強度を低下させるものと考えられ
た。
【0012】そこで、インク保持室の形状や材質を検討
したところ、インク保持室の内壁面の音響インピーダン
ス(密度と音速の積)を最適化することが超音波の反射
強度を抑える上で非常に有効であることを見い出した。
すなわち、超音波は音響インピーダンスの異なる媒質間
の境界では少なからず反射を生じる。従って、インク保
持室の内壁面の音響インピーダンスは、インク液の音響
インピーダンスに近いことが望ましい。実験結果から、
インク液の音響インピーダンスに対してインク保持室の
内壁面の音響インピーダンスが10倍以下の範囲であれ
ぱ、インク滴の飛翔効率を大幅に低下させないことを見
い出した。
したところ、インク保持室の内壁面の音響インピーダン
ス(密度と音速の積)を最適化することが超音波の反射
強度を抑える上で非常に有効であることを見い出した。
すなわち、超音波は音響インピーダンスの異なる媒質間
の境界では少なからず反射を生じる。従って、インク保
持室の内壁面の音響インピーダンスは、インク液の音響
インピーダンスに近いことが望ましい。実験結果から、
インク液の音響インピーダンスに対してインク保持室の
内壁面の音響インピーダンスが10倍以下の範囲であれ
ぱ、インク滴の飛翔効率を大幅に低下させないことを見
い出した。
【0013】また、上記範囲の音響インピーダンスを有
するインク保持室の内壁面に、この音響インピーダンス
の範囲外の音響インピーダンスを有する薄膜層を形成し
てもよい。この場合、その薄膜層の膜厚がその中を伝搬
する超音波の波長の1/10以下であれば、当該薄膜層
で大きな反射を生じず、問題とはならないことがわかっ
た。
するインク保持室の内壁面に、この音響インピーダンス
の範囲外の音響インピーダンスを有する薄膜層を形成し
てもよい。この場合、その薄膜層の膜厚がその中を伝搬
する超音波の波長の1/10以下であれば、当該薄膜層
で大きな反射を生じず、問題とはならないことがわかっ
た。
【0014】さらに、インク保持室は全体が同一材料で
あることが望ましいが、音響インピーダンスがインク液
に近い材料は構造物としての機械的強度が低いものが多
い。そのような場合は、他の強度の高い材料でインク保
持室のほぼ全体を形成し、前記範囲の音響インピーダン
スを有する材料をインク液と接するインク保持室の内壁
面にコーティングすればよい。この場合、インク液の音
響インピーダンスZ(i)と内壁コーテイング層の音響
インピーダンスZ(c)とインク保持室のバルク材料の
音響インピーダンスZ(b)とは、Z(i)≦Z(c)
≦Z(b)の関係を満たしていることが望ましい。この
関係を満足することにより、インク保持室内部での反射
を抑えることができる。加えて、インク保持室を構成す
る材料としては、超音波の減衰が大きな材料が望まし
い。
あることが望ましいが、音響インピーダンスがインク液
に近い材料は構造物としての機械的強度が低いものが多
い。そのような場合は、他の強度の高い材料でインク保
持室のほぼ全体を形成し、前記範囲の音響インピーダン
スを有する材料をインク液と接するインク保持室の内壁
面にコーティングすればよい。この場合、インク液の音
響インピーダンスZ(i)と内壁コーテイング層の音響
インピーダンスZ(c)とインク保持室のバルク材料の
音響インピーダンスZ(b)とは、Z(i)≦Z(c)
≦Z(b)の関係を満たしていることが望ましい。この
関係を満足することにより、インク保持室内部での反射
を抑えることができる。加えて、インク保持室を構成す
る材料としては、超音波の減衰が大きな材料が望まし
い。
【0015】前述のように、インク保持室の内壁面の音
響インピーダンスをインク液の音響インピーダンスの1
0倍以下にすることにより、内壁面での超音波の反射強
度を十分低減でき、インク滴の飛翔効率を向上させ、ま
たインク液面上の近い距離で同時にインク滴を飛翔させ
ることが可能となる。この効果は、通常の凹面や凸面の
音響レンズを用いた場合にも奏されるが、特に音響レン
ズとしてフレネル輪帯理論に基づいて設計されたいわゆ
るフレネルレンズを用いた場合に顕著である。フレネル
レンズは、通常の凹面や凸面の音響レンズに比べ、超音
波を平面的に放射し、その回折現象から超音波が局部的
に強まる部分を形成する、すなわち焦点を結ぶ。従っ
て、超音波は広範囲に伝搬されてインク保持室の内壁面
に到達する超音波の強度も高くなり、反射波を発生しや
すくなるため、本発明が非常に有効である。
響インピーダンスをインク液の音響インピーダンスの1
0倍以下にすることにより、内壁面での超音波の反射強
度を十分低減でき、インク滴の飛翔効率を向上させ、ま
たインク液面上の近い距離で同時にインク滴を飛翔させ
ることが可能となる。この効果は、通常の凹面や凸面の
音響レンズを用いた場合にも奏されるが、特に音響レン
ズとしてフレネル輪帯理論に基づいて設計されたいわゆ
るフレネルレンズを用いた場合に顕著である。フレネル
レンズは、通常の凹面や凸面の音響レンズに比べ、超音
波を平面的に放射し、その回折現象から超音波が局部的
に強まる部分を形成する、すなわち焦点を結ぶ。従っ
て、超音波は広範囲に伝搬されてインク保持室の内壁面
に到達する超音波の強度も高くなり、反射波を発生しや
すくなるため、本発明が非常に有効である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施の形
態に係るインクジェット記録装置のヘッド部の斜視図で
ある。図1において、超音波発生手段を構成するアレイ
状に配置された多数の圧電素子11が、バッキング材を
兼ねた基板12上に形成されている。各圧電素子の下面
には、互いに分離した個別電極13がそれぞれ設けられ
ている。また、アレイ状に配置された圧電素子群の上面
には、各圧電素子11に共通の共通電極14が形成され
ている。
施の形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施の形
態に係るインクジェット記録装置のヘッド部の斜視図で
ある。図1において、超音波発生手段を構成するアレイ
状に配置された多数の圧電素子11が、バッキング材を
兼ねた基板12上に形成されている。各圧電素子の下面
には、互いに分離した個別電極13がそれぞれ設けられ
ている。また、アレイ状に配置された圧電素子群の上面
には、各圧電素子11に共通の共通電極14が形成され
ている。
【0017】図1では、超音波発生手段は、個別の複数
の圧電素子11により構成されているが、超音波発生手
段は、分離していない一体の圧電素子により構成されて
いてもよく、その場合個別電極13のみをアレイ状に配
置する。
の圧電素子11により構成されているが、超音波発生手
段は、分離していない一体の圧電素子により構成されて
いてもよく、その場合個別電極13のみをアレイ状に配
置する。
【0018】個別電極13は、ボンデイングワイヤ15
により駆動回路16に接続され、共通電極14も配線パ
ターン(図示せず)を介して駆動回路16に接続されて
いる。
により駆動回路16に接続され、共通電極14も配線パ
ターン(図示せず)を介して駆動回路16に接続されて
いる。
【0019】なお、個別電極13を圧電素子群の上面に
形成し、共通電極14を圧電素子群の下面に形成するよ
うにしてもよい。共通電極14を介して圧電素子11の
上には、音響レンズとしての一次元のフレネルレンズ1
7が形成されている。
形成し、共通電極14を圧電素子群の下面に形成するよ
うにしてもよい。共通電極14を介して圧電素子11の
上には、音響レンズとしての一次元のフレネルレンズ1
7が形成されている。
【0020】フレネルレンズ17の上には、インク液2
0を収容するインク保持室18が形成され、その上面に
はスリット板19が設けられている。インク保持室18
は、圧電素子の配列方向に隔壁のない連続室内を構成し
ている。また、インク保持室18の内壁面は、圧電素子
11側からインク液面側にかけて開口幅が徐々に狭くな
るような傾斜を有している。なお、スリット板19を形
成することなく、インク保持室18の上面が直接スリッ
トを構成するようにしてもよい。
0を収容するインク保持室18が形成され、その上面に
はスリット板19が設けられている。インク保持室18
は、圧電素子の配列方向に隔壁のない連続室内を構成し
ている。また、インク保持室18の内壁面は、圧電素子
11側からインク液面側にかけて開口幅が徐々に狭くな
るような傾斜を有している。なお、スリット板19を形
成することなく、インク保持室18の上面が直接スリッ
トを構成するようにしてもよい。
【0021】上記構成のインクジェット記録装置ヘッド
において、インク保持室18の内壁面は、その音響イン
ピーダンスがインク液20の音響インピーダンスの10
倍以下である。インク液として染料系の水性インクを用
いた場合、その音響インピーダンスは約1.4×106
kg/m2 ・秒であることから、インク保持室の内壁面
の材料としては、シリコーンゴム(音響インビーダン
ス:約1.5×106 kg/m2 ・秒)、スチレンゴム
(音響インピーダンス:約1.5×106 kg/m2 ・
秒)、プチルゴム(音響インピーダンス:約1.8×1
06 kg/m2 ・秒)、スチレン・ブタジエンゴム(音
響インピーダンス:約1.8×106 kg/m2 ・
秒)、天然ゴム(音響インピーダンス:約1.5×10
6 kg/m2 ・秒)、フェライトゴム(音響インピーダ
ンス:約5×106 kg/m2 ・秒)等のゴム類、エポ
キシ樹脂(音響インピーダンス:約4×106 kg/m
2 ・秒)、アクリル樹脂(音響インピーダンス:約3×
106 kg/m2 ・秒)、ポリ塩化ビニル(音響インピ
ーダンス:約3×106 kg/m2 ・秒)、ポリエチレ
ン(音響インピーダンス:約2×106 kg/m2 ・
秒)、ポリスチレン(音響インピーダンス:約3×10
6 kg/m2 ・秒)、ABS樹脂(音響インピーダン
ス:約2×106 kg/m2 ・秒)、ポリカーボネート
(音響インピーダンス:約2×106 kg/m2 ・
秒)、パラフイン(音響インピーダンス:約2×106
kg/m2 ・秒)、ポリプロピレン(音響インピーダン
ス:約2×106 kg/m2 ・秒)、ナイロン(音響イ
ンピーダンス:約3×106 kg/m2 ・秒)、テフロ
ン(音響インピーダンス:約3×106 kg/m2 ・
秒)、ポリイミド(音響インピーダンス:約3×106
kg/m2 ・秒)、べ一クライト(音響インピーダン
ス:約4×106 kg/m2 ・秒)等の樹脂類等が有効
である。また、このようなゴム類や樹脂類にアルミナ、
シリカ、タングステン、カーボン、マイラーなどの音響
インピーダンスの異なる物質を分散させた材料でも、音
響インピーダンスが前記範囲内になるよう調合すれば、
インク液20とインク保持室18との界面における反射
強度を抑えることができ、加えて、材料中での減衰効果
を増大させることができ、インク保持室18内部からイ
ンク液20中への超音波の戻りも低滅される。さらに、
純枠な石英ガラス(音響インピーダンス:約15×10
6 kg/m2 ・秒)以外の組成調整したガラス類、例え
ばパイレックスガラスやソーダガラス、またマイコール
ガラス、クラウンガラス、溶融石英など(音響インピー
ダンス:約10〜13×106 kg/m2 ・秒)でもよ
い。顔料系の油性インクおよび水性インク(音響インピ
ーダンス:約2×106 kg/m2・秒)でも同様な材
料をインク保持室の表面に使用できる。
において、インク保持室18の内壁面は、その音響イン
ピーダンスがインク液20の音響インピーダンスの10
倍以下である。インク液として染料系の水性インクを用
いた場合、その音響インピーダンスは約1.4×106
kg/m2 ・秒であることから、インク保持室の内壁面
の材料としては、シリコーンゴム(音響インビーダン
ス:約1.5×106 kg/m2 ・秒)、スチレンゴム
(音響インピーダンス:約1.5×106 kg/m2 ・
秒)、プチルゴム(音響インピーダンス:約1.8×1
06 kg/m2 ・秒)、スチレン・ブタジエンゴム(音
響インピーダンス:約1.8×106 kg/m2 ・
秒)、天然ゴム(音響インピーダンス:約1.5×10
6 kg/m2 ・秒)、フェライトゴム(音響インピーダ
ンス:約5×106 kg/m2 ・秒)等のゴム類、エポ
キシ樹脂(音響インピーダンス:約4×106 kg/m
2 ・秒)、アクリル樹脂(音響インピーダンス:約3×
106 kg/m2 ・秒)、ポリ塩化ビニル(音響インピ
ーダンス:約3×106 kg/m2 ・秒)、ポリエチレ
ン(音響インピーダンス:約2×106 kg/m2 ・
秒)、ポリスチレン(音響インピーダンス:約3×10
6 kg/m2 ・秒)、ABS樹脂(音響インピーダン
ス:約2×106 kg/m2 ・秒)、ポリカーボネート
(音響インピーダンス:約2×106 kg/m2 ・
秒)、パラフイン(音響インピーダンス:約2×106
kg/m2 ・秒)、ポリプロピレン(音響インピーダン
ス:約2×106 kg/m2 ・秒)、ナイロン(音響イ
ンピーダンス:約3×106 kg/m2 ・秒)、テフロ
ン(音響インピーダンス:約3×106 kg/m2 ・
秒)、ポリイミド(音響インピーダンス:約3×106
kg/m2 ・秒)、べ一クライト(音響インピーダン
ス:約4×106 kg/m2 ・秒)等の樹脂類等が有効
である。また、このようなゴム類や樹脂類にアルミナ、
シリカ、タングステン、カーボン、マイラーなどの音響
インピーダンスの異なる物質を分散させた材料でも、音
響インピーダンスが前記範囲内になるよう調合すれば、
インク液20とインク保持室18との界面における反射
強度を抑えることができ、加えて、材料中での減衰効果
を増大させることができ、インク保持室18内部からイ
ンク液20中への超音波の戻りも低滅される。さらに、
純枠な石英ガラス(音響インピーダンス:約15×10
6 kg/m2 ・秒)以外の組成調整したガラス類、例え
ばパイレックスガラスやソーダガラス、またマイコール
ガラス、クラウンガラス、溶融石英など(音響インピー
ダンス:約10〜13×106 kg/m2 ・秒)でもよ
い。顔料系の油性インクおよび水性インク(音響インピ
ーダンス:約2×106 kg/m2・秒)でも同様な材
料をインク保持室の表面に使用できる。
【0022】次に、超音波の集束方法および圧電素子の
駆動方法の一例を説明する。圧電素子11の配列方向に
おける超音波の集束方法は、アレイ状に配置された圧電
素子11の一部の圧電素子群(同時駆動素子群)に対し
て所定の遅延時間を設定してそれらを同時に駆動し、そ
のとき各圧電素子11から放射される超音波の位相を制
御して、インク液面近傍で超音波の強度が局所的に強く
なるように、すなわち焦点を結ぶように動作させる。一
方、アレイ状の圧電素子11の配列方向に対して直行す
る方向における超音波の集束方法は、音響レンズ、ここ
ではフレネルレンズ17によって行う。このように二方
向からの超音波の集束により、インク液面上の任意の位
置から超音波の圧力でインク滴を吐出、飛翔させる。イ
ンク滴の飛翔位置は、同時に駆動する圧電素子群を先に
説明したように電子的に走査することにより、変化させ
ることが可能である。さらに、アレイ状に配列された圧
電素子の中で、前記同時駆動素子群を複数個設けること
により同時に複数のインク滴を飛翔させることができ
る。また、別の例では、圧電素子11に個別に円形のフ
レネルレンズあるいは凹面レンズを設け、1つの圧電素
子を駆動することにより1つのインク滴を飛翔させる構
造を有するヘッドでもよい。
駆動方法の一例を説明する。圧電素子11の配列方向に
おける超音波の集束方法は、アレイ状に配置された圧電
素子11の一部の圧電素子群(同時駆動素子群)に対し
て所定の遅延時間を設定してそれらを同時に駆動し、そ
のとき各圧電素子11から放射される超音波の位相を制
御して、インク液面近傍で超音波の強度が局所的に強く
なるように、すなわち焦点を結ぶように動作させる。一
方、アレイ状の圧電素子11の配列方向に対して直行す
る方向における超音波の集束方法は、音響レンズ、ここ
ではフレネルレンズ17によって行う。このように二方
向からの超音波の集束により、インク液面上の任意の位
置から超音波の圧力でインク滴を吐出、飛翔させる。イ
ンク滴の飛翔位置は、同時に駆動する圧電素子群を先に
説明したように電子的に走査することにより、変化させ
ることが可能である。さらに、アレイ状に配列された圧
電素子の中で、前記同時駆動素子群を複数個設けること
により同時に複数のインク滴を飛翔させることができ
る。また、別の例では、圧電素子11に個別に円形のフ
レネルレンズあるいは凹面レンズを設け、1つの圧電素
子を駆動することにより1つのインク滴を飛翔させる構
造を有するヘッドでもよい。
【0023】図2は、本発明の第2の実施の形態に係わ
るインクジェット記録装置のヘッド部の断面図である。
図1に関して説明した第1の実施の形態では、インク保
持室18は全て同一材料で形成されているが、すでに述
べたようにインク保持室は、その内部が内壁面とは異な
る材料で形成されていてもよく、ここではそのようなイ
ンク保持室を有するヘッド部の例を説明する。
るインクジェット記録装置のヘッド部の断面図である。
図1に関して説明した第1の実施の形態では、インク保
持室18は全て同一材料で形成されているが、すでに述
べたようにインク保持室は、その内部が内壁面とは異な
る材料で形成されていてもよく、ここではそのようなイ
ンク保持室を有するヘッド部の例を説明する。
【0024】図2に示すインクジェット記録装置のヘッ
ド部は、インク保持室28の構成材料を除き、図1に関
して説明した第1の実施の形態に係るヘッド部と同様の
ものである。
ド部は、インク保持室28の構成材料を除き、図1に関
して説明した第1の実施の形態に係るヘッド部と同様の
ものである。
【0025】図2のヘッド部は、インク保持室28の内
壁に第1の実施の形態に関して説明し、例示したインク
保持室材料、すなわち音響インビーダンスがインク液2
0の音響インピーダンスの10倍以下である材料で形成
されたコーテイング層21を有するが、他のインク保持
室部分は、それ以外の材料(内部材料)で形成されてい
る。インク保持室の内部材料は特に限定されない。例え
ば、インク保持室の内部材料としては高い機械的強度を
持つ金属材料やセラミック材料を用いることができる。
ここで、インク液20の音響インピーダンスZ(i)と
内壁コーテイング層21の音響インピーダンスZ(c)
とインク保持室28のバルク内部材料の音響インピーダ
ンスZ(b)は、Z(i)≦Z(c)≦Z(b)の関係
を満たしていることが望ましい。この条件を満たすこと
によりインク保持室内部での超音波の反射を抑えること
ができ、超音波をインク保持室内部に放散させることが
できる。従って、インク保持室28を構成する材料とし
て減衰が大きいことも望ましい。このようなインク保持
室の内部材料としては、樹脂に金属あるいは金属酸化物
の粉末やフィラー等音響インピーダンスの大きく異なる
材料を含んだ混合物、さらには多孔質のセラミック材料
を例示することができる。
壁に第1の実施の形態に関して説明し、例示したインク
保持室材料、すなわち音響インビーダンスがインク液2
0の音響インピーダンスの10倍以下である材料で形成
されたコーテイング層21を有するが、他のインク保持
室部分は、それ以外の材料(内部材料)で形成されてい
る。インク保持室の内部材料は特に限定されない。例え
ば、インク保持室の内部材料としては高い機械的強度を
持つ金属材料やセラミック材料を用いることができる。
ここで、インク液20の音響インピーダンスZ(i)と
内壁コーテイング層21の音響インピーダンスZ(c)
とインク保持室28のバルク内部材料の音響インピーダ
ンスZ(b)は、Z(i)≦Z(c)≦Z(b)の関係
を満たしていることが望ましい。この条件を満たすこと
によりインク保持室内部での超音波の反射を抑えること
ができ、超音波をインク保持室内部に放散させることが
できる。従って、インク保持室28を構成する材料とし
て減衰が大きいことも望ましい。このようなインク保持
室の内部材料としては、樹脂に金属あるいは金属酸化物
の粉末やフィラー等音響インピーダンスの大きく異なる
材料を含んだ混合物、さらには多孔質のセラミック材料
を例示することができる。
【0026】図3は、本発明の第3の実施の形態に係わ
るインクジェット記録装置のヘッド部の断面図である。
図1および図2に示した実施例では、インク保持室1
8,28は、その少なくとも内壁の表面が、音響インピ
ーダンスがインク液10の音響インピーダンスの10倍
以下となる材料で形成されているが、ここでは、さらに
その表面に前記音響インピーダンスの範囲外の音響イン
ピーダンスを有する薄膜層31を形成したインク保持室
38を備えるインクジェット記録装置を説明する。図3
に示す記録装置は、インク保持室38の構成材料が異な
る以外は、図1または図2に示す記録装置と同様の構成
を有する。薄膜層31は、その膜厚がその中を伝搬する
超音波の波長の1/10以下であれば大きな反射を生じ
ず、問題とはならない。例えば、このような薄膜層31
を金(Au)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、
チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、
クロム(Cr)等の金属で形成することにより、インク
保持室38の化学的安定性を向上させることができる。
なお、図3には、図2に示す記録装置のインク保持室2
8の内壁面に薄膜層31を形成した記録装置を示した
が、薄膜層31は、図1に示す記録装置のインク保持室
18の内壁面に直接形成することもできる。
るインクジェット記録装置のヘッド部の断面図である。
図1および図2に示した実施例では、インク保持室1
8,28は、その少なくとも内壁の表面が、音響インピ
ーダンスがインク液10の音響インピーダンスの10倍
以下となる材料で形成されているが、ここでは、さらに
その表面に前記音響インピーダンスの範囲外の音響イン
ピーダンスを有する薄膜層31を形成したインク保持室
38を備えるインクジェット記録装置を説明する。図3
に示す記録装置は、インク保持室38の構成材料が異な
る以外は、図1または図2に示す記録装置と同様の構成
を有する。薄膜層31は、その膜厚がその中を伝搬する
超音波の波長の1/10以下であれば大きな反射を生じ
ず、問題とはならない。例えば、このような薄膜層31
を金(Au)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、
チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、
クロム(Cr)等の金属で形成することにより、インク
保持室38の化学的安定性を向上させることができる。
なお、図3には、図2に示す記録装置のインク保持室2
8の内壁面に薄膜層31を形成した記録装置を示した
が、薄膜層31は、図1に示す記録装置のインク保持室
18の内壁面に直接形成することもできる。
【0027】ところで、図1ないし図3に示すインクジ
ェット記録装置のヘッド部では、インク保持室18,2
8,38の内壁面の形状は圧電素子側からインク液面側
にかけて開口幅が徐々に狭くなるような傾斜を有するも
のであるが、インク保持室の形状はこれに限るものでは
ない。
ェット記録装置のヘッド部では、インク保持室18,2
8,38の内壁面の形状は圧電素子側からインク液面側
にかけて開口幅が徐々に狭くなるような傾斜を有するも
のであるが、インク保持室の形状はこれに限るものでは
ない。
【0028】図4は、平行な内壁面を有するインク保持
室48を備えたインクジェット記録装置のヘッド部を示
す。図4に示す装置では、インク保持室48の内壁面
に、図2に関して説明したコーティング層21が形成さ
れているが、インク保持室48の構成材料は、図1また
は図3に関して説明した材料であってもよい。なお、こ
の場合、スリット板19とインク保持室48との接合部
分の内側には、気泡が残留しないように丸みをつけるこ
とが好ましい。また、スリット板19とインク保持室4
8とをを同一材料で形成する場合でも、同様に角部に丸
みをつけることが望ましい。
室48を備えたインクジェット記録装置のヘッド部を示
す。図4に示す装置では、インク保持室48の内壁面
に、図2に関して説明したコーティング層21が形成さ
れているが、インク保持室48の構成材料は、図1また
は図3に関して説明した材料であってもよい。なお、こ
の場合、スリット板19とインク保持室48との接合部
分の内側には、気泡が残留しないように丸みをつけるこ
とが好ましい。また、スリット板19とインク保持室4
8とをを同一材料で形成する場合でも、同様に角部に丸
みをつけることが望ましい。
【0029】
【実施例】図1に示した構造のインクジェット記録装置
において、インク保持室18全体をエポキシ樹脂(音響
インピーダンス:約4×106 kg/m2 ・秒)、パイ
レックスガラス(音響インピーダンス:約13×106
kg/m2 ・秒)、石英ガラス(音響インピーダンス:
約15×106 kg/m2 ・秒、比較例)、またはシリ
コン(音響インピーダンス:約20×106 kg/m2
・秒、比較例)で形成した場合のインク滴の飛翔条件
を、インク保持室を取り付けない状態のへッドをインク
液を満たした槽中に浸漬した場合と比較検討を行った。
圧電材料(PZT)、同時駆動圧電素子数(16素
子)、圧電素子ピッチ(85μm)、インク液の深さ
(2.7mm)、駆動周波数(50MHz)、インク液
(音響インピーダンス約1.4×106 kg/m2 ・秒
の染料系の水性インク)などの諸条件を同一にし、駆動
回路16から印加するバースト波数のみを調整してイン
ク液面からインク滴の飛翔が開始する条件(波数)を測
定した。その結果、インク保持室を取り付けない状態で
は約1000波でインク滴が飛翔したのに対し、エポキ
シ樹脂製インク保持室では約1200波、パイレックス
ガラス製インク保持室では約1300波、そして、石英
ガラス製インク保持室では約2000波、シリコン製イ
ンク保持室では約2400波を必要とした。
において、インク保持室18全体をエポキシ樹脂(音響
インピーダンス:約4×106 kg/m2 ・秒)、パイ
レックスガラス(音響インピーダンス:約13×106
kg/m2 ・秒)、石英ガラス(音響インピーダンス:
約15×106 kg/m2 ・秒、比較例)、またはシリ
コン(音響インピーダンス:約20×106 kg/m2
・秒、比較例)で形成した場合のインク滴の飛翔条件
を、インク保持室を取り付けない状態のへッドをインク
液を満たした槽中に浸漬した場合と比較検討を行った。
圧電材料(PZT)、同時駆動圧電素子数(16素
子)、圧電素子ピッチ(85μm)、インク液の深さ
(2.7mm)、駆動周波数(50MHz)、インク液
(音響インピーダンス約1.4×106 kg/m2 ・秒
の染料系の水性インク)などの諸条件を同一にし、駆動
回路16から印加するバースト波数のみを調整してイン
ク液面からインク滴の飛翔が開始する条件(波数)を測
定した。その結果、インク保持室を取り付けない状態で
は約1000波でインク滴が飛翔したのに対し、エポキ
シ樹脂製インク保持室では約1200波、パイレックス
ガラス製インク保持室では約1300波、そして、石英
ガラス製インク保持室では約2000波、シリコン製イ
ンク保持室では約2400波を必要とした。
【0030】このように、インク保持室の材料、厳密に
はインク保持室の内壁面の音響インピーダンスがインク
液の音響インピーダンスの10倍を越えると、インク滴
の飛翔効率が顕著に低下する。従って、インク保持室1
8の内壁面の音響インピーダンスはインク液20の音響
インピーダンスの10倍以下であることがインク滴飛翔
の効率化および省電力化に有効であることがわかる。
はインク保持室の内壁面の音響インピーダンスがインク
液の音響インピーダンスの10倍を越えると、インク滴
の飛翔効率が顕著に低下する。従って、インク保持室1
8の内壁面の音響インピーダンスはインク液20の音響
インピーダンスの10倍以下であることがインク滴飛翔
の効率化および省電力化に有効であることがわかる。
【0031】次に、インク液面上の2箇所で同時にイン
ク滴を飛翔させる場合に、どれだけ近い間隔で飛翔させ
ることができるかを、前述の実験と同様の条件で印加バ
ースト波数を含めて同じくして実験を行った。その結
果、インク保持室を取り付けない状態では30素子分
(2.55mm)の間隔をおいて2滴同時に飛翔するこ
とが可能であったのに対し、エポキシ樹脂製インク保持
室では37素子分、パイレックスガラス製インク保持室
では39素子分、そして、石英ガラス製インク保持室で
は50素子分、シリコン製インク保持室では64素子分
の距離を隔てる必要があった。
ク滴を飛翔させる場合に、どれだけ近い間隔で飛翔させ
ることができるかを、前述の実験と同様の条件で印加バ
ースト波数を含めて同じくして実験を行った。その結
果、インク保持室を取り付けない状態では30素子分
(2.55mm)の間隔をおいて2滴同時に飛翔するこ
とが可能であったのに対し、エポキシ樹脂製インク保持
室では37素子分、パイレックスガラス製インク保持室
では39素子分、そして、石英ガラス製インク保持室で
は50素子分、シリコン製インク保持室では64素子分
の距離を隔てる必要があった。
【0032】このように、インク保持室の林料、厳密に
はインク保持室の内壁面の音響インピーダンスがインク
液の音響インピーダンスの10倍を越えると、同時に複
数個のインク滴を飛翔させるためには十分な距離間隔を
必要とすることが明らかである。従って、インク保持室
18の内壁面の音響インピーダンスがインク液10の音
響インピーダンスの10倍以下であれば、インク液面上
の近い距離でインク滴を同時に複数個飛翔させることが
可能である、印刷速度の高速化が図れる。
はインク保持室の内壁面の音響インピーダンスがインク
液の音響インピーダンスの10倍を越えると、同時に複
数個のインク滴を飛翔させるためには十分な距離間隔を
必要とすることが明らかである。従って、インク保持室
18の内壁面の音響インピーダンスがインク液10の音
響インピーダンスの10倍以下であれば、インク液面上
の近い距離でインク滴を同時に複数個飛翔させることが
可能である、印刷速度の高速化が図れる。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、高効
率、高速でインク滴を吐出、飛翔させるできることから
省電力化に有効なインクジェット記録装置が提供され
る。また、本発明のインクジェット記録装置は、インク
液面上の近い距離間隔でインク滴を同時に飛翔させるこ
とが可能なことから記録/印刷速度の高速化を実現でき
る。
率、高速でインク滴を吐出、飛翔させるできることから
省電力化に有効なインクジェット記録装置が提供され
る。また、本発明のインクジェット記録装置は、インク
液面上の近い距離間隔でインク滴を同時に飛翔させるこ
とが可能なことから記録/印刷速度の高速化を実現でき
る。
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るインクジェッ
ト記録装置のヘッド部の構成を示す斜視図。
ト記録装置のヘッド部の構成を示す斜視図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るインクジェッ
ト記録装置のヘッド部の構成を示す断面図。
ト記録装置のヘッド部の構成を示す断面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係るインクジェッ
ト記録装置のヘッド部の構成を示す断面図。
ト記録装置のヘッド部の構成を示す断面図。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係るインクジェッ
トヘッド部の構成を示す断面図。
トヘッド部の構成を示す断面図。
11…圧電素子 12…基板 13…共通電極 14…個別電極 15…ボンディングワイヤ 16…駆動回路 17…フレネルレンズ 18,28,38,48…インク保持室 19…スリット板 20…インク液 21…コーティング層 31…薄膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 工藤 紀子 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 八木 均 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内
Claims (3)
- 【請求項1】 液体インクを保持するインク保持室と、
前記液体インクと音響的に接続される圧電素子からなる
超音波発生手段と、前記圧電素子を駆動する駆動手段
と、前記圧電素子から発生される超音波を前記液体イン
クの液面近傍に集束させる超音波集束手段とを具備する
インクジェット記録装置であって、前記インク保持室の
液体インクと接触する内壁面の音響インピーダンスが、
液体インクの音響インピーダンスの10倍以下であるこ
とを特徴とするインクジェット記録装置。 - 【請求項2】 前記インク保持室に、異なる集束点を有
する複数の超音波集束手段を有することを特徴とする請
求項1記載のインクジェット記録装置。 - 【請求項3】 超音波集束手段が、フレネルレンズであ
る請求項1または2記載のインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5764696A JPH09248908A (ja) | 1996-03-14 | 1996-03-14 | インクジェット記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5764696A JPH09248908A (ja) | 1996-03-14 | 1996-03-14 | インクジェット記録装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09248908A true JPH09248908A (ja) | 1997-09-22 |
Family
ID=13061671
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5764696A Pending JPH09248908A (ja) | 1996-03-14 | 1996-03-14 | インクジェット記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09248908A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005069486A1 (ja) * | 2004-01-19 | 2005-07-28 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | 弾性境界波装置 |
-
1996
- 1996-03-14 JP JP5764696A patent/JPH09248908A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005069486A1 (ja) * | 2004-01-19 | 2005-07-28 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | 弾性境界波装置 |
KR100850861B1 (ko) * | 2004-01-19 | 2008-08-06 | 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 | 탄성 경계파 장치 |
US7486001B2 (en) | 2004-01-19 | 2009-02-03 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Boundary acoustic wave device |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3406694B2 (ja) | インクジェットプリントヘッド | |
JPH0645233B2 (ja) | インク印刷用音響プリントヘッド | |
JPH0717055B2 (ja) | 音響印刷用ミクロレンズ付きプリントヘッド | |
JPS6159914B2 (ja) | ||
JP2000168090A (ja) | レ―ザ―により開始されるインクジェット印字方法及び装置 | |
JPH0564889A (ja) | インク飛翔記録方法及び装置及び該装置の製作方法 | |
JPS63272558A (ja) | インクジェット記録装置 | |
US6467877B2 (en) | Method and apparatus for high resolution acoustic ink printing | |
JP3413048B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
JPH068435A (ja) | 電熱変換形インキジェットプリンタヘッド | |
JP2004114434A (ja) | インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録方法 | |
JPH1058672A (ja) | インクジェットヘッド | |
JPH10250110A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JPH09248908A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JPH1034967A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JPH02103152A (ja) | ノズルレスインクジェット記録装置 | |
JP3455415B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP3425292B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP3426954B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
JPH1177994A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JPH1086406A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP3512605B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP2902137B2 (ja) | インク飛翔記録装置 | |
JP3507421B2 (ja) | 液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出方法 | |
JP3466829B2 (ja) | インクジェット記録装置 |