JP3426954B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP3426954B2
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14008Structure of acoustic ink jet print heads

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、インク液を液滴化
して被記録体上に飛翔させることにより画像を記録する
インクジェット記録装置に係り、特には、圧電素子によ
り放射される超音波ビームの圧力によりインク滴を吐出
させて被記録体上に飛翔させるインクジェット記録装置
に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、インク滴を記録媒体上に飛翔
させて記録ドットを形成するインクジェットプリンタが
知られている。このインクジェットプリンタは、他の記
録方法と比べて騒音が少なく、現像や定着などの処理が
不要であるという利点を有し、普通紙記録技術として注
目されている。 【0003】現在までに、数多くのインクジェットプリ
ンタの方式が考案されているが、特に発熱体の熱により
発生する蒸気の圧力でインク滴を飛翔させる方式(例え
ば、特公昭56−9429公報や特公昭61−5991
1号公報を参照)、圧電体の変位による圧力パルスでイ
ンク滴を飛翔させる方式(例えば、特公昭53−121
38号公報を参照)などが代表的なものである。しか
し、これらの方式では溶媒の蒸発や揮発によって局部的
なインクの濃縮が生じやすく、それぞれの解像度に対応
する個別のノズルが細かく目詰まりしやすいという問題
がある。特に、蒸気の圧力を使う方式ではインクとの熱
的あるいは化学的な反応などによる不溶物の付着が、ま
た圧電体の変位による圧力を使う方式ではインク流路な
どでの複雑な構造が、さらに目詰まりを誘起しやすくし
ている。数十から百数十のノズルを使用しているシリア
ル走査型のヘッドでは、その目詰まりの頻度を低く抑え
ることができるが、数千のノズルを必要とするライン走
査型のヘッドでは確率的にかなり高い頻度で目詰まりが
発生し、信頼性の点で大きな課題となっている。さら
に、これらの方式は解像度を上げることには適していな
いという欠点もある。 【0004】これらの欠点を克服するために、薄膜の圧
電体から発生する超音波ビームの圧力を用いてインク液
面からインク滴を飛翔させる超音波方式が提案されてい
る(IBM TDB,vol.16,No.4、pp.
1168(1973−10)、USP−4308547
(1981)、特開昭63−166548号公報、特開
昭63−312157号公報等を参照)。この方式は個
別のドット毎のノズルやインク流路の隔壁を必要としな
いノズルレスの方式であるために、ラインヘッド化する
上での大きな障害であった目詰まりの防止と復旧に対し
て有効な構造を持っている。また、非常に小さい径のイ
ンク滴を安定に飛翔させることができるため、高解像度
化にも適している。 【0005】しかし、これら従来の超音波方式の記録装
置は、一つの振動子(圧電素子)に対して一つの音響レ
ンズを具備し、しかもその音響レンズの大きさは記録画
点あるいは解像度よりも大きく、例えば記録画点の30
倍にもなる直径の音響レンズを使用しているため、記録
ヘッドのアレイ一ラインだけでは必要な解像度を得るこ
とができず、いくつものラインからなるヘッドを千鳥状
に配置し、解像度を高める必要がある。しかし、アレイ
ラインを千鳥状に配置した構造のヘッドは、周期的な濃
度むらや隣接ドットとのわずかな位置ずれなどが生じや
すく、画質の面から見て問題が多い。 【0006】さらに、従来の超音波方式の記録装置で
は、インク滴の形成・飛翔において微孔からなるノズル
やオリフィスプレートが不要であるが、インク液の乾燥
を防止する目的で滴吐出部にはスリット板が設けられて
いる。このスリットの開口幅はインク液の乾燥を防ぐた
めにはできるだけ狭いことが望まれるが、狭くしすぎる
とインク滴を飛翔させる集束超音波ビームを板部におい
て不要に反射してしまい、インク液滴の飛翔効率を低下
させるという問題がある。 【0007】ところで、本発明者らは、一つのラインヘ
ッドで高解像度の記録を行える超音波方式のインクジェ
ット記録装置として、アレイ状に配置された複数個の圧
電素子のうちの一部の素子グループを駆動してインク滴
一つを飛翔させ、そのグループの組み合わせを順次ずら
すようにしてインク滴の飛翔位置を移動させるリニア電
子スキャン法を用いた記録装置を提案してきている。こ
の場合、超音波ビームは、複数個の圧電素子からそれぞ
れに位相制御した超音波を励起してインク液面近傍の一
点に集中させる電子的な集束と、圧電素子の配列方向に
対して垂直な方向における音響レンズによる集束の合成
により形成され、インク液保持室の上部に設けられたス
リットからインク液滴が飛翔する。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】このような圧電素子ア
レイと音響レンズにより超音波の集束を行うヘッドにあ
っては、インク液滴が効率的に飛翔するようにスリット
の開口幅を設計する場合、スリットの開口方向に対応す
る音響レンズの集束状態を考慮する必要がある。しか
し、必ずしもこの音響レンズによる音波集束のみでは、
インク液滴の飛翔効率を低下させないスリット幅が決定
できないという問題が明らかになった。 【0009】従って、本発明は、複数個の圧電素子群と
副走査方向において放射音波を集束させる音響レンズを
具備し、上部にスリット状開口部を有するインク液保持
室を備えたインクジェット記録装置であって、高い効率
でインク滴を飛翔させることが可能なインクジェット記
録装置を提供することを課題とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、一定幅を有し主走査方向に延びるスリッ
ト状の開口部を上部に有するインク液を保持するインク
液保持室と、前記インク液中に超音波を放射する所定間
隔に配列された複数の圧電素子を含む超音波発生手段
と、前記超音波発生手段から発生される超音波を副走査
方向において前記開口部に対応するインク液面近傍に集
束させる超音波集束手段と、前記圧電素子にバースト波
電気信号を与えて前記圧電素子を駆動して超音波を発生
させるとともに超音波を主走査方向において前記開口部
に対応するインク液面近傍に集束させる駆動手段とを備
えたインクジェット記録装置において、前記インク液の
深さFと、前記インク液中の音速Vと、一滴のインク滴
を飛翔させるために用いるバースト波の印加時間Tと
が、V・T/F≧3なる関係を満足し、主走査方向にお
いて集束された超音波のビーム幅W1と、副走査方向に
集束された超音波のビーム幅W2と、前記スリットの開
口幅Sとが、W1≧W2のときには、S>(W1・W
2)1/2 なる関係を満足し、W1<W2の時には、S>
W2なる関係を満足することを特徴とするインクジェッ
ト記録装置を提供する。 【0011】本発明によるインクジェット記録装置は、
超音波ビームの放射圧によりインク液面からインク滴を
吐出させて被記録体上に飛翔させて画像を記録する装置
であり、それぞれ圧電体とその対向面に形成された対向
電極により構成される複数の圧電素子を所定の間隔で配
置し、その一部の圧電素子群に所定の位相差を与えて駆
動して主走査方向にインク液面近傍に超音波ビームを集
束させてインク滴を飛翔させ、前記一部の圧電素子群の
組み合わせ位置を移動させる駆動手段であるリニア電子
走査を具備したインクジェット記録装置である。この装
置において、副走査方向における超音波の集束は、音響
レンズにより行う。 【0012】本発明は、かかるインクジェット記録装置
において、インク液の深さと、インク液中の音速と、一
滴のインク滴を飛翔させるために用いるバースト波の印
加時間とが、所定の関係を満足し、かつ主走査方向にお
いて集束された超音波のビーム幅と、副走査方向に集束
された超音波のビーム幅と、スリット状開口部幅Sと
が、上記関係を満足することにより、高い効率でインク
滴を飛翔させることが可能であるとの知見に基づく。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態
に係るインクジェット記録装置のヘッド部の概略斜視図
である。 【0014】図1に示すヘッド部10は、ガラス板等の
支持基板11の上面に圧電素子アレイを有する。圧電素
子アレイは、長尺の一様な厚さの板状の圧電体12と、
その両面にそれぞれ形成された、複数のストライプ状個
別電極13および共通電極14とにより構成される。 【0015】圧電体12は、超音波を発生し得るもので
あれば、特に制限はなく、通常、ジルコン・チタン酸鉛
(PZT)等のセラミック圧電材料、フッ化ビニリデン
と三フッ化エチレンとの共重合体等の高分子圧電材料、
ニオブ酸リチウムなどの単結晶圧電材料、酸化亜鉛等の
圧電性半導体等により形成される。 【0016】ストライプ状個別電極13は、それぞれ、
圧電体12の幅とほぼ等しい長さを有し、一定のピッチ
で圧電体12の長手方向に配置されている。他方、共通
電極14は、圧電体12の上面にその全面に渡って形成
されている。 【0017】個別電極13および共通電極14は、チタ
ン、ニッケル、アルミニウム、銅、金等を蒸着やスパッ
タにより薄膜として形成することができるし、めっき法
によっても形成することができる。あるいは、これら電
極13、14は、ガラスフリットを混合した銀ぺースト
をスクリーン印刷により塗布して焼結する焼き付け法に
より形成することもできる。 【0018】共通電極14と対向する各個別電極13と
により、圧電体12は機能的に複数の圧電素子に区分さ
れ、一次元的に配列された圧電素子アレイを構成する。
各圧電素子は、両電極13、14を介して圧電体12に
電圧を印加して圧電体12をその厚さ方向に共振させる
ことによって超音波を発生する。本明細書において、主
走査方向とは、圧電素子の配列方向をいい、副走査方向
とは、主走査方向と直交する方向をいう。 【0019】圧電体12の上面には、共通電極14を介
して音響レンズ15が形成されている。ここでは、音響
レンズ15は、レンズ部材層151にフレネル輪帯理論
に基づいて複数の溝(図1においては、6つの溝15a
〜15f)を主走査方向に互いに平行に形成してなる一
次元フレネルレンズである。フレネル溝15a〜15f
の深さは、フレネルレンズ中での超音波の波長の(2r
+1)/4(rは、0以上の整数)に近い値に設定され
ている。 【0020】レンズ部材層151は、これを圧電体12
の音響インピーダンスと、インク液20の音響インピー
ダンスとの積の平方根に近い音響インピーダンス値を有
する材料で、例えば、ガラス、エポキシ樹脂等の樹脂、
あるいはアルミナ粉末等を分散させた樹脂(例えば、エ
ポキシ樹脂)で形成することにより、音響マッチング層
としても機能し得る。 【0021】音響レンズ15は、副走査方向において超
音波を集束させる機能を有する。支持基板11上には、
圧電素子アレイおよびフレネルレンズ15を囲んで、対
向する2つの側面が上に向って合一するように傾斜して
いる周囲壁16が立設されており、主走査方向に平行に
形成されたスリット18を有するスリット板17がその
上部に設置されている。 【0022】フレネルレンズ15の上面、周囲壁16お
よびスリット板17で規定されるインク液保持室19内
には、インク液20が収容されている。インク液20
は、スリット18の幅の中央部から滴として吐出する。
このスリット18はインク液を保持するものであり、そ
の位置が一定に保たれることが必要であるから、スリッ
ト板17は、例えばステンレス、アルミニウム、シリコ
ン、銅、ガラス等、比較的剛直な材料で形成することが
好ましい。なお、インク液保持室19の内側の形状は、
超音波ビームを阻害しない形状であれば、図1に示す形
状に限らない。また、周囲壁16の両側面が直接スリッ
ト18を構成するようにしてもよい。この場合、スリッ
ト板17は不要である。 【0023】さらに、支持基板11の一端部側には、圧
電体層12の下面に形成された個別電極13と同じ間隔
で複数の個別アレイ電極21が形成されており、この支
持基板11上の各アレイ電極21と圧電体12下面上の
各個別電極13とは、電気的に接続されている。支持基
板11上のアレイ電極21は、支持基板11の端部上に
配置された、IC化された駆動回路22にボンディング
ワイヤ23によって接続され、圧電体層12の上面に形
成された共通電極14も、図示しない配線により、駆動
回路22に接続されている。 【0024】さて、超音波の集束は、主走査方向と直交
する副走査方向においては、音響レンズ15で行い、ア
レイ方向である主走査方向には、同時駆動させるものと
して選択した複数の連続した圧電素子(同時駆動グルー
プ)から発生される超音波の位相がインク液面で同位相
となるようなタイミングで圧電素子を駆動して超音波を
集束し、インク滴をインク液面から飛翔させる。この主
走査方向の集束は、駆動回路22によって、記録すべき
画像データに応じて同時駆動グループを選択して駆動す
ることによって行う。 【0025】より具体的には、選択した同時駆動グルー
プの圧電素子に対してフレネル輪帯理論に基づいて所定
の遅延時間差(位相差)を持たせた高周波の駆動信号
(バースト波)を供給して同時に駆動(フレネル駆動)
することによって、同時駆動グループの圧電素子から放
射される超音波ビームを主走査方向に集束させる。例え
ば、同時駆動グループの圧電素子のうち、フレネルレン
ズ15の凸部に対応する位置の圧電素子には0位相を、
フレネルレンズ15の凹部に対応する位置の圧電素子に
は、π位相を印加する。 【0026】そして、このように同時に駆動される圧電
素子の位置を例えば圧電素子1個分ずつずらせて同時駆
動を繰り返し行うことにより、集束させる超音波ビーム
の放射方向を主走査方向にリニアに移動させる。この場
合、同時駆動グループを複数個設定することにより、イ
ンク滴を同時に複数箇所に超音波ビームを集束させて各
箇所でインク滴を飛翔させることもできる。こうして圧
電素子アレイから放射され、主走査方向に集束された超
音波ビームは、さらに、音響レンズ15により副走査方
向にも集束され、最終的にインク液20の液面の所定の
位置に集束する。このようにして、インク液面に集束さ
れた超音波ビームにより発生した圧力(放射圧)によっ
て、インク液面に円錐状のメニスカスが成長し、やがて
メニスカスの先端からインク滴が吐出する。吐出したイ
ンク滴は、図示しない被記録媒体上に飛翔して付着し、
乾燥して定着されることにより、画像記録が行われる。 【0027】さて、かかるインクジェット記録装置にお
いて、スリット18の幅は、インク液20の乾燥を防止
する観点からは、できるだけ狭いことが望ましい。しか
しながら、インク液20中の集束超音波ビームを妨害す
るほど狭くしては、インク滴の飛翔効率が低下してしま
うことが見出された。 【0028】そこで、本発明者らは試作したインクジェ
ット記録装置を用いて、インク液滴の飛翔効率を低下さ
せない適切なスリット幅を評価した。その結果、音響レ
ンズによる副走査方向における音波集束状態のみでは、
有効なスリット幅が決定できず、スリットの開口部とは
本来無関係と思われる主走査方向の音波集束状態が深く
関与していることが明らかになった。すなわち、副走査
方向の超音波ビーム幅が主走査方向の超音波ビーム幅よ
りも等しいか広い集束状態においては、副走査方向のビ
ーム幅がスリット幅決定に対し支配的であり、副走査方
向の超音波ビーム幅が主走査方向の超音波ビーム幅より
も狭い集束状態においては、副走査方向のビーム幅はも
とより主走査方向のビーム幅も有効なスリット幅の決定
に対し関与することがわかった。また、この現象は、イ
ンク液20の深さ(焦点距離とほぼ等しい)Fと、イン
ク液の音速Vと、一滴のインク滴を飛翔させるために用
いるバースト波の印加時間Tとが、VT/F≧3なる関
係を満足する場合に生じることが明らかになった。 【0029】これを図面を参照して説明すると、まず、
図3に示すように、主走査方向の集束超音波ビーム幅W
1が副走査方向の集束超音波ビーム幅W2よりも狭い場
合、インク液滴の飛翔効率低下を起こさない有効なスリ
ット幅Sは、副走査方向の集束超音波ビーム幅W2より
も広いことが望ましい。圧電素子から放射された音波が
スリット内のインク液表面に到達した初期では、超音波
ビームの形状は、主走査方向および副走査方向の集束状
態に基いたものとなる。しかし、超音波バーストがイン
ク液内で反射を繰り返すほど時間が経過したインク滴飛
翔時には、超音波ビームの形状は平均化され、初期の各
ビーム幅の相乗平均((W1・W2)1/2 )に等しい幅
に変化することが予想された。従って、図2に示すよう
に、主走査方向のビーム幅W1が副走査方向のビーム幅
W2よりも狭い場合には、スリット幅Sはより広い副走
査方向のビーム幅W2よりも広いことが望ましい。一
方、図3のように、主走査方向のビーム幅W1が副走査
方向のビーム幅W2よりも等しいか広い場合には、飛翔
時のビーム幅((W1・W2)1/2 )の方が初期の副走
査方向のビーム幅W2よりも広いため、スリット幅Sは
初期の各ビーム幅の相乗平均((W1・W2)1/2 )よ
り広いことが望ましい。 【0030】しかし、スリット幅Sが前記の各スリット
幅下限値の10倍を超えるほど広い場合には、スリット
の液面制動機能は得られず、スリットを設けない自由水
面状態の場合とほぼ同程度の飛翔効率や印字速度しか達
成できなかった。従って、インク液の乾燥を極力防止す
る意味からも、スリット幅Sは、前記スリット幅下限値
の10倍以下の範囲であることが望ましく、さらに好ま
しくは、5倍以下が特によい。 【0031】このように、本発明において、インク液の
深さFと、インク液中の音速Vと、一滴のインク滴を飛
翔させるために用いるバースト波の印加時間Tとの間に
関係がV・T/F≧3である場合において、飛翔効率低
下を起こさない有効なスリット幅Sは、主走査方向にお
ける集束超音波のビーム幅W1と、前記音波集束手段の
集束方向(副走査方向)における集束超音波のビーム幅
W2と、前記スリットの開口幅Sとすると、 W1≧W
2の時には、S>(W1・W2)1/2 であり、W1<W
2の時には、S>W2である。 【0032】 【実施例】以下、本発明を実施例よりさらに説明する。 実施例1 本実施例では、図1に示す構造のインクジェット記録装
置を作製した。 【0033】すなわち、圧電体12として、初期厚が約
0.5mmのチタン酸鉛系圧電セラミックを用いた。こ
の圧電体の両面にTi/Au電極をスパッタ法により、
それぞれの厚さが0.05μm、0.2μmになるよう
に形成し、3kV/mmの電界を印加して分極処理を行
った。その後一方の電極を1圧電素子の幅が60μm、
電極間隔25μm(個別電極の配列ピッチ85μm)に
なるようエッチングして個別電極13を形成した。な
お、圧電素子の副走査方向の幅は0.6〜3mmの範囲
内で9種類のものを用意した。 【0034】一方、ガラス製の支持基板11にTi/A
uのアレイ状引出し電極21を形成した。圧電体12上
のアレイ状個別電極13とガラス支持基板11上のアレ
イ状引出し電極21を位置合わせした状態でエポキシ樹
脂で接着し、両電極が導通するように加圧した。次に圧
電体を厚さ50μmになるように研磨した後、アルミニ
ウムからなる共通電極14をスパッタ法で0.3μmの
厚さ形成した。 【0035】次に、音響レンズ兼音響マッチング層とし
ては、エポキシ樹脂とアルミナ粉末の混合物を用いた。
すなわち、まず音速が3×103 m/s近傍になるよう
混合比を調整し、密度2.20×103 kg/m3 、音
速2.95×103 m/sを得た。これを共通電極14
上に塗布して硬化させ、厚さが約45μmになるように
研磨した。その後、焦点距離が2.5mmになるように
深さ1/2波長(約30μm)の溝を主走査方向に平行
に形成してフレネルレンズ15を形成した。そして超音
波放射面とインク液面との距離がほぼ2.5mmとなる
インク液保持室19およびスリット板17を設置し、駆
動回路を接続してインク液20をインク液保持室19内
に充填してインクジェット記録装置を完成した。 【0036】このような副走査方向の口径が異なるヘッ
ドを用いて、インク液滴の飛翔効率低下を起こさない有
効なスリット幅を検討した。主走査方向の音波集束は、
16素子を一グループとして所定の遅延時間を与えて電
子的に行った。圧電素子から放射される超音波のインク
液中での速度は1500m/sであり、1滴のインク液
滴を飛翔させるために用いるバースト波の印加時間Tは
10〜20μsであった。この場合、V・T/F≧3の
関係を満足する。このときの主走査方向のビーム幅は、
ナイフエッジを用いたエコー波形の評価から、約100
μmと実測された。また、副走査方向の口径が0.6〜
3mmと変化した場合、その集束超音波ビームの副走査
方向のビーム幅は、40〜200μmに変化すること
が、ナイフエッジを用いたエコー波形の評価から測定さ
れた。 【0037】図4は、副走査方向のビーム幅が異なるヘ
ッドについて、インク滴の飛翔効率の低下が見られない
最小の有効スリット幅をプロットしたものである。副走
査方向のビーム幅が、主走査方向のビーム幅(100μ
m)よりも広い条件では、最小有効スリット幅はほぼ副
走査方向のビーム幅に等しい関係にあった。一方、副走
査方向のビーム幅が主走査方向のビーム幅(100μ
m)よりも狭い条件では、最小有効スリット幅は主走査
方向と副走査方向の各ビーム幅の相乗平均(実線)に等
しい関係となった。 【0038】実施例2 副走査方向の口径が1.2mm、すなわち副走査方向の
ビーム幅が100μmとなるヘッドを実施例1と同様に
作製した。このヘッドについて、主走査方向において音
波集束を行う同時駆動素子グループを変化させて、主走
査方向のビーム幅を変えて有効な最小スリット幅を評価
した。インク液中の超音波の速度および1滴のインク液
滴を飛翔させるために用いるバースト波の印加時間は実
施例1と同じであった。 【0039】図5は、主走査方向のビーム幅を変化させ
た場合の、インク滴の飛翔効率の低下が見られない最小
の有効スリット幅をプロットしたものである。主走査方
向のビーム幅が、副走査方向のビーム幅(100μm)
よりも狭い条件では、最小有効スリット幅は一定で、副
走査方向のビーム幅に等しい必要があったが、主走査方
向のビーム幅が副走査方向のビーム幅(100μm)よ
りも広い条件では、最小有効スリット幅は主走査方向と
副走査方向の各ビーム幅の相乗平均に(実線)に等しい
関係となった。 【0040】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、複
数個の圧電素子群と副走査方向において放射音波を集束
させる音響レンズを具備し、上部にスリット状開口部を
有するインク液保持室を備えたインクジェット記録装置
において、高い効率でインク滴を飛翔させることが可能
である。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明にに係るインクジェット記録装置のヘッ
ド部一例を示す概略斜視図。 【図2】本発明に係るインクジェット記録装置の一例に
おける集束超音波ビームの径時変化と有効なスリット幅
との関係を説明するためのインクジェット記録装置の部
分頂面図。 【図3】本発明に係るインクジェット記録装置の他の例
における集束超音波ビームの径時変化と有効なスリット
幅との関係を説明するためのインクジェット記録装置の
部分頂面図。 【図4】本発明に係るインクジェット記録装置の一例に
おける副走査方向ビーム幅と最小有効スリット幅との関
係を示すグラフ図。 【図5】本発明に係るインクジェット記録装置の他の例
における主走査方向ビーム幅と最小有効スリット幅との
関係を示すグラフ図。 【符号の説明】 11…支持基板 12…圧電体 13…個別電極 14…共通電極 15…音響レンズ 16…インク液保持室の周囲壁 17…スリット板 18…スリット 19…インク液保持室 20…インク液 22…駆動回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八木 均 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 笠井 利博 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会 社東芝柳町工場内 (72)発明者 中川原 智賢 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 山口 由香 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会 社東芝柳町工場内 (56)参考文献 特開 平8−238764(JP,A) 特開 平5−246029(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/015 B41J 2/045 B41J 2/055

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 一定幅を有し主走査方向に延びるスリッ
    ト状の開口部を上部に有するインク液を保持するインク
    液保持室と、前記インク液中に超音波を放射する所定間
    隔に配列された複数の圧電素子を含む超音波発生手段
    と、前記超音波発生手段から発生される超音波を副走査
    方向において前記開口部に対応するインク液面近傍に集
    束させる超音波集束手段と、前記圧電素子にバースト波
    電気信号を与えて前記圧電素子を駆動して超音波を発生
    させるとともに超音波を主走査方向において前記開口部
    に対応するインク液面近傍に集束させる駆動手段とを備
    えたインクジェット記録装置において、 前記インク液の深さFと、前記インク液中の音速Vと、
    一滴のインク滴を飛翔させるために用いるバースト波の
    印加時間Tとが、V・T/F≧3なる関係を満足し、 主走査方向において集束された超音波のビーム幅W1
    と、副走査方向に集束された超音波のビーム幅W2と、
    前記スリットの開口幅Sとが、W1≧W2のときには、
    S>(W1・W2)1/2 なる関係を満足し、W1<W2
    の時には、S>W2なる関係を満足することを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
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