JPH0924590A - ポリウレタン層を有する積層体 - Google Patents

ポリウレタン層を有する積層体

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JPH0924590A
JPH0924590A JP7174593A JP17459395A JPH0924590A JP H0924590 A JPH0924590 A JP H0924590A JP 7174593 A JP7174593 A JP 7174593A JP 17459395 A JP17459395 A JP 17459395A JP H0924590 A JPH0924590 A JP H0924590A
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polyurethane
layer
polyester polyol
resistance
laminate
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JP7174593A
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English (en)
Inventor
Shizuo Iwata
志都夫 岩田
Shinya Kato
晋哉 加藤
Tetsuya Ashida
哲哉 芦田
Hisao Yoneda
久夫 米田
Koji Hirai
広治 平井
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 数平均分子量が1000〜4000のポリエステルポ
リオール(aモル)、有機ジイソシアネート(bモル)および
鎖伸長剤(cモル)を、式: 1.00≦b/(a+c)≦1.10を満足す
る割合で反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンであ
って、前記ポリエステルポリオール(a)のエステル基濃
度(エステル結合数/全炭素原子数)が0.08〜0.17であ
り、かつ結晶化エンタルピー(ΔH)が70J/g以下であリ、
さらに1分子当たりの水酸基の数が2.01〜2.08個である
熱可塑性ポリウレタンの溶融成形層、並びに繊維質基体
層からなる積層体。 【効果】 本発明の積層体は、耐摩擦溶融性、耐摩耗
性、耐ブリード白化性に優れ、しかも引張強さなどの力
学的性質、耐水性等の耐久性、耐寒性などの特性におい
ても良好であり、柔軟性や屈曲性にも富んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性ポリウレタン層
および繊維質基体層を有する積層体に関する。詳細に
は、本発明は、耐摩擦溶融性、耐摩耗性、耐ブリード白
化性に優れ、しかも引張強さなどの力学的性質、耐水性
等の耐久性、耐寒性などの特性においても良好であり、
柔軟性や屈曲性にも富んでいて、スポーツ用品、靴、
鞄、バックなどの袋状物、箱状物、家屋などの建築物の
内装材、家具用の化粧材、衣料などの広範囲な用途に有
効に使用することのできる熱可塑性ポリウレタン層およ
び繊維質基体層を有する積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維質基体の表面に有孔または無孔の熱
可塑性エラストマー層を設けた皮革様の外観を有する積
層体は、その低価格、耐水性、耐汚染性、軽量性などの
特性を活かして天然皮革の代替物として従来から広く用
いられている。そして従来の皮革様の積層体では、熱可
塑性エラストマーよりなる表層は、熱可塑性エラスト
マーを押出成形してフィルムを製造した後、このフィル
ムを接着剤を用いたり加熱して繊維質基体と積層させる
方法;熱可塑性エラストマーを溶解した溶液を繊維質
基体に塗布し熱可塑性エラストマーに対して相溶性の低
い溶剤や水などで熱可塑性エラストマーを析出させて繊
維質基体の表面に熱可塑性エラストマー層を形成する方
法;熱可塑性エラストマーを溶解した溶液を繊維質基
体上に塗布した後、溶剤を熱風乾燥などによって除去し
て熱可塑性エラストマー層を表面に形成させる方法など
により形成されている。そして、それらの場合に、熱可
塑性エラストマー表層への絞付けに当たっては、加熱ロ
ールによって型押しする方法、熱可塑性エラストマーフ
ィルムの押出成形時に同時に賦型して絞付けする方法な
どが採用されている。また、繊維質基体層上にポリウレ
タン層を設けた積層体の製法としては、繊維質基体上に
ポリウレタン溶液をグラビアロール、スプレーなどによ
って塗布する方法が従来から知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の皮革様の積層体の場合は、熱可塑性エラストマ
ーの柔軟性や風合を活かすことに重点が置かれているた
めに、耐摩擦溶融性、耐摩耗性などの特性が低く、また
耐水性、耐寒性、耐久性などの性能なども充分であると
はいえない。そのため、苛酷な摩耗などに耐えることが
必要な用途には、熱可塑性エラストマー層の厚さを厚く
することが行われているが、その場合には、柔軟性や風
合が損なわれるという欠点があり、柔軟性や風合を保ち
ながら耐摩擦溶融性、耐摩耗性などの特性に優れ、しか
も引張強さ、耐水性、耐寒性、耐久性などの諸特性にも
従来の皮革様の積層体と比べて遜色のないことが求めら
れている。また、上記の繊維質基体層上にポリウレタン
層を設けた積層体の製法を採用すると、1回の塗布操作
で所望の厚みのポリウレタン層を形成することができ
ず、塗布回数が多くなる。しかも本発明で使用する熱可
塑性ポリウレタンを溶剤に溶解させて得られる溶液は高
粘性であることから加工性が著しく低く、その上得られ
る積層体の耐摩擦溶融性および耐摩耗性は不満足なもの
となる。
【0004】本発明の目的は、柔軟で良好な風合を保ち
ながら、耐摩擦溶融性、耐摩耗性、耐ブリード白化性に
優れ、しかも引張強さなどの力学的性質、耐水性、耐寒
性、耐久性などの諸特性でも従来の皮革様の積層体と比
べて遜色のない、熱可塑性エラストマー層および繊維質
基体層からなる積層体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、1分子当たりの水
酸基の数が2.01〜2.08個である特定のポリエス
テルポリオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤
からなる熱可塑性ポリウレタンの溶融成形層を繊維質基
体層上に形成して得られる積層体が、耐摩擦溶融性、耐
摩耗性および耐ブリード白化性に優れ、しかも引張強さ
などの力学的性質、耐水性等の耐久性、耐寒性などの諸
特性でも従来のものと遜色がなく、更に良好な柔軟性、
屈曲性、皮革様の外観および手触りを有し、種々の用途
に有効に使用できることを見出し、これらの知見に基づ
いて本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、熱可塑性ポリウレタ
ン層および繊維質基体層を有する積層体であって、熱可
塑性ポリウレタン層が、数平均分子量が1000〜40
00のポリエステルポリオール(a)、有機ジイソシア
ネート(b)および鎖伸長剤(c)を、下記の数式
(1): 1.00≦b/(a+c)≦1.10 (1) (式中、aはポリエステルポリオールのモル数、bは有
機ジイソシアネートのモル数、cは鎖伸長剤のモル数を
示す)を満足する割合で反応させて得られる熱可塑性ポ
リウレタンの溶融成形層であり、しかも熱可塑性ポリウ
レタンの製造に用いられる前記ポリエステルポリオール
(a)のエステル基濃度(エステル結合数/全炭素原子
数)が0.08〜0.17であり、かつ結晶化エンタル
ピー(ΔH)が70J/g以下であリ、さらに1分子当
たりの水酸基の数が2.01〜2.08個であることを
特徴とする積層体である。
【0007】熱可塑性ポリウレタン(以下、これをポリ
ウレタンと略称する場合がある)の製造に用いられるポ
リエステルポリオール(a)は、実質的にポリオール単
位およびジカルボン酸単位から構成される。
【0008】ポリエステルポリオール(a)を構成する
ポリオール単位としては、例えば、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、
2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチル
グリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−
1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オク
タンジオール、1,9−ノナンジオールなどの1分子中
に1級水酸基を2個含有する低分子ジオール;グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペ
ンタエリスリトール、ジグリセリン、メチルグリコキシ
ドなどの1分子中に水酸基を3個以上含有する低分子ポ
リオールから誘導される単位を挙げることができ、これ
らのうち1種または2種以上を含ませることができる。
これらのなかでも、耐摩擦溶融性および耐加水分解性に
優れたポリウレタンが得られる点から1,9−ノナンジ
オール単位を含ませることが好ましく、耐寒性に優れた
ポリウレタンが得られる点から3−メチル−1,5−ペ
ンタンジオール単位を含ませることが好ましく、耐摩擦
溶融性および耐熱強度に優れたポリウレタンが得られる
点からトリメチロールプロパンを含ませることが好まし
い。
【0009】ポリエステルポリオール(a)を構成する
ジカルボン酸単位としては、例えば、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサン
ジカルボン酸などの飽和脂環族ジカルボン酸;フタル
酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボ
ン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和
ジカルボン酸;テトラブロモフタル酸などのハロゲン含
有ジカルボン酸;これらのエステル形成性誘導体、また
はこれらの酸無水物などから誘導される単位を1種また
は2種以上含ませることができる。さらに、必要に応じ
て、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3官能以上
の多塩基酸から誘導される単位を少量含んでいてもよ
い。これらのなかでも、得られるポリウレタンの耐摩擦
溶融性、耐加水分解性がより優れている点から、アジピ
ン酸、アゼライン酸、イソフタル酸から誘導される単位
を含ませることが好ましい。
【0010】ポリエステルポリオール(a)は、エステ
ル基濃度(1分子中のエステル結合数を1分子中の全炭
素原子数で除した数値)が0.08〜0.17の範囲で
あることが必要であり、得られるポリウレタンの耐摩擦
溶融性、耐熱強度および溶融成形性がさらに優れている
点から、0.10〜0.16の範囲であることが好まし
い。ポリエステルポリオールのエステル基濃度が0.0
8未満の場合には、得られるポリウレタンの溶融成形
性、耐寒性が低下し、またエステル基濃度が0.17よ
り大きい場合には、得られるポリウレタンの耐摩擦溶融
性、耐熱強度および耐加水分解性が低下する。
【0011】さらに、ポリエステルポリオール(a)
は、結晶化エンタルピー(ΔH)が70J/g以下であ
ることが必要である。ポリエステルポリオールの結晶化
エンタルピー(ΔH)が70J/gより大きい場合に
は、得られるポリウレタンの耐寒性が著しく低下し、低
温(例えば−30℃)雰囲気下においてクラックなどが
発生しやすくなる。ポリエステルポリオール(a)の結
晶化エンタルピー(ΔH)を70J/g以下とする方法
としては、例えば、ポリエステルポリオール(a)を
構成するポリオール成分として、2−メチル−1,3−
プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの側
鎖にメチル基を有する低分子ジオール成分を単独で、ま
たはこれらの側鎖にメチル基を有する低分子ジオール成
分と直鎖のジオール成分とを併用する方法;あるいは
ポリエステルポリオール(a)を構成するジカルボン酸
成分として、イソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタ
ル酸などの芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジカルボン
酸成分とを併用する方法などを挙げることができる。な
お、本発明でいう結晶化エンタルピー(ΔH)は、いず
れも下記の実施例の項に記載した方法により測定した値
をいう。
【0012】さらに、ポリエステルポリオール(a)
は、1分子当たりの水酸基の数が2.01〜2.08個
の範囲であることでが必要であり、2.01〜2.07
の範囲であることが好ましく、2.02〜2.06の範
囲であることがより好ましい。ポリエステルポリオール
(a)の1分子当たりの水酸基の数が2.01個未満の
場合には、得られるポリウレタンの分子量が十分に増加
せず、耐摩擦溶融性、耐熱強度が低下する。一方、1分
子当たりの水酸基の数が2.08個より大きいと、得ら
れるポリウレタンの耐熱強度が低下するとともに、成形
温度が高くなるために、成形する際にポリウレタンが熱
劣化しやすくなり、溶融成形性が悪化する。ポリエステ
ルポリオール(a)の1分子当たりの水酸基の数を2.
01〜2.08個とする方法としては、例えば、ポリ
エステルポリオール(a)を構成するポリオール成分と
して、1分子中に1級水酸基を2個有する低分子ジオー
ル成分と、1分子中に水酸基を3個以上有する低分子ポ
リオール成分とを、ポリエステルポリオールの1分子当
たりの水酸基の数が上記の範囲になるように任意の割合
で併用する方法;あるいは、1分子当たり水酸基を2
個有するポリエステエルジオールと、1分子当たり水酸
基を2個より多く有するポリエステルポリオールとを、
ポリエステルポリオールの1分子当たりの水酸基の数が
上記の範囲になるように任意の割合で併用する方法など
を挙げることができる。
【0013】ポリエステルポリオール(a)の数平均分
子量は、得られるポリウレタンの力学的性質、耐摩擦溶
融性、耐摩耗性、低温特性、溶融成形性等の観点から、
1000〜4000であることが必要であり、1500
〜3500であることが好ましい。ポリエステルポリオ
ール(a)の数平均分子量が1000よりも低いと、得
られるポリウレタンの引張強さなどの力学的性質、耐摩
擦溶融性、耐摩耗性、低温特性が低下し、4000を越
えると得られるポリウレタンを押出成形する場合に、フ
ィッシュアイなどのブツが発生し、吐出量の安定性の確
保が困難になる。なお、本明細書でいうポリエステルポ
リオールの数平均分子量は、いずれもJIS K 15
77に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数
平均分子量である。
【0014】ポリエステルポリオール(a)は、前述の
ポリオール成分およびジカルボン酸成分、またはこれら
のエステル化物を用いて、従来既知のエステル交換反
応、直接エステル化反応などによって重縮合させること
により製造される。その場合に、重縮合反応はチタン系
またはスズ系の重縮合触媒の存在下に行うことができる
が、チタン系触媒を用いた場合には、重縮合反応の終了
後にポリエステルポリオールに含まれるチタン系重縮合
触媒を失活させておくのが好ましい。
【0015】ポリエステルポリオール(a)の製造に当
たってチタン系重縮合触媒を用いる場合には、従来から
ポリエステルポリオールの製造に使用されているチタン
系重縮合触媒のいずれもが使用でき、特に制限されない
が、好ましいチタン系重縮合触媒の例としては、チタン
酸、テトラアルコキシチタン化合物、チタンアシレート
化合物、チタンキレート化合物などを挙げることができ
る。より具体的には、テトライソプロピルチタネート、
テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘ
キシルチタネート、テトラステアリルチタネートなどの
テトラアルコキシチタン化合物、ポリヒドロキシチタン
ステアレート、ポリイソプロポキシチタンステアレート
などのチタンアシレート化合物、チタンアセチルアセテ
ート、トリエタノールアミンチタネート、チタンアンモ
ニウムラクテート、チタンエチルラクテート、チタンオ
クチレングリコレートなどのチタンキレート化合物を挙
げることができる。
【0016】チタン系重縮合触媒の使用量は、目的とす
るポリエステルポリオールおよびそれを用いて製造する
ポリウレタンの内容などに応じて適宜調節することがで
き、特に制限されないが、一般に、ポリエステルポリオ
ールを形成するための反応成分の全重量に対して、約
0.1〜50ppmであるのが好ましく、約1〜30p
pmであるのがより好ましい。
【0017】ポリエステルポリオールに含まれるチタン
系重縮合触媒の失活方法としては、例えば、エステル
化反応の終了により得られたポリエステルポリオールを
加熱下に水と接触させて失活する方法;該ポリエステ
ルポリオールをリン酸、リン酸エステル、亜リン酸、亜
リン酸エステルなどのリン化合物で処理する方法などを
挙げることができる。水と接触させてチタン系重縮合触
媒を失活させる場合には、エステル化反応により得られ
たポリエステルポリオールに水を1重量%以上添加し、
70〜150℃、好ましくは90〜130℃の温度で1
〜3時間加熱するとよい。チタン系重縮合触媒の失活処
理は常圧下で行っても、または加圧下で行ってもよい。
チタン系重縮合触媒を失活させた後に系を減圧にする
と、失活に使用した水分を除去することができて望まし
い。
【0018】ポリウレタンの製造に用いられる有機ジイ
ソシアネート(b)の種類は特に制限されず、通常のポ
リウレタンの製造に従来から使用されている有機ジイソ
シアネートのいずれもが使用可能であり、分子量500
以下のものが好ましい。有機ジイソシアネートとして
は、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、p−フェニレンジイソシアネート、トルイレンジ
イソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネー
ト、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの
芳香族ジイソシアネート類や、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジ
シクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添化キシリ
レンジイソシアネートなどの脂肪族または脂環式ジイソ
シアネート類などを挙げることができる。これらの有機
ジイソシアネートのうち、1種または2種以上が使用さ
れる。これらのなかでも、4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネートまたはp−フェニレンジイソシアネー
トを使用するのが好ましい。また、トリフェニルメタン
トリイソシアネートなどの3官能以上のポリイソシアネ
ートを、必要に応じて少量使用することもできる。
【0019】ポリウレタンの製造に用いられる鎖伸長剤
としては、通常のポリウレタンの製造に従来から使用さ
れているいずれもが使用でき、特に制限されないが、イ
ソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2
個以上有する、分子量300以下の低分子化合物を使用
するのが好ましい。例えば、エチレングリコール、1,
4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4
−シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオ
ール類や、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレン
ジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、
ピペラジン、ピペラジン誘導体、フェニレンジアミン、
トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒ
ドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン
類、アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコー
ルなどのアミノアルコール類などが挙げられ、これらの
うち1種または2種以上が使用される。
【0020】ポリウレタンの製造にあたっては、前述の
ポリエステルポリオール(a)、有機ジイソシアネート
(b)および鎖伸長剤(c)を、下記の数式(1)を満
足する割合で反応させる必要がある。
【0021】 1.00≦b/(a+c)≦1.10 (1) (式中、aはポリエステルポリオールのモル数、bは有
機ジイソシアネートのモル数、cは鎖伸長剤のモル数を
示す)
【0022】数式(1)におけるb/(a+c)の値が
1.00未満では、得られるポリウレタンの溶融成形後
の数平均分子量が十分に高い水準に維持されないことか
ら、耐熱強度、耐摩擦溶融性が不十分となる。一方、b
/(a+c)の値が1.10より大きい場合には、得ら
れるポリウレタンの溶融成形性が不良となる。得られる
ポリウレタンの耐熱性、溶融成形性などの諸性能が特に
良好になることから、b/(a+c)の値が1.005
〜1.10の範囲であることが好ましく、1.005〜
1.05の範囲であることがより好ましく、1.01〜
1.04の範囲であることがさらに好ましい。
【0023】ポリウレタンを製造する場合に、前述のポ
リエステルポリオール(a)のほかに、必要に応じて、
ポリカーボネートジオールなどの他の高分子ポリオール
を少量使用してもよい。
【0024】ポリウレタンは、スズ系ウレタン化触媒を
スズ原子の量に換算して0.5〜15ppm含有してい
るのが好ましい。スズ系ウレタン化触媒を0.5ppm
以上含有させると、成形後もポリウレタンの数平均分子
量が十分に高い水準に維持されるため、ポリウレタン本
来の物性が効果的に発現する。スズ系ウレタン化触媒の
含有量がスズ原子換算で15ppmを越えると、耐加水
分解性、熱安定性などの性能が低下する傾向があるため
好ましくない。
【0025】スズ系ウレタン化触媒としては、例えば、
オクチル酸スズ、モノメチルスズメルカプト酢酸塩、モ
ノブチルスズトリアセテート、モノブチルスズモノオク
チレート、モノブチルスズモノアセテート、モノブチル
スズマレイン酸塩、モノブチルスズマレイン酸ベンジル
エステル塩、モノオクチルスズマレイン酸塩、モノブチ
ルスズマレイン酸ベンジルエステル塩、モノオクチルス
ズマレイン酸塩、モノオクチルスズチオジプロピオン酸
塩、モノオクチルスズトリス(イソオクチルチオグリコ
ール酸エステル)、モノフェニルスズトリアセテート、
ジメチルスズマレイン酸エステル塩、ジメチルスズビス
(エチレングリコールモノチオグリコレート)、ジメチ
ルスズビス(メルカプト酢酸)塩、ジメチルスズビス
(3−メルカプトプロピオン酸)塩、ジメチルスズビス
(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジブチルスズ
ジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルス
ズジステアレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチ
ルスズマレイン酸塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマ
ー、ジブチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズ
ビス(メルカプト酢酸)、ジブチルスズビス(メルカプ
ト酢酸アルキルエステル)塩、ジブチルスズビス(3−
メルカプトプロピオン酸アルコキシブチルエステル)
塩、ジブチルスズビス(オクチルチオグリコールエステ
ル)塩、ジブチルスズビス(3−メルカプトプオピオン
酸)塩、ジオクチルスズマレイン酸塩、ジオクチルスズ
マレイン酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸塩ポ
リマー、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズ
ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジオクチ
ルスズビス(イソオクチルチオグリコール酸エステ
ル)、ジオクチルスズビス(3−メルカプトプロピオン
酸)塩などのスズのアシレート化合物、メルカプトカル
ボン酸塩などを挙げることができ、これらのうち1種ま
たは2種以上が使用される。なかでも、ジブチルスズジ
ステアレート、ジブチルスズジラウレートなどのジアル
キルスズジアシレート;ジブチルスズビス(3−メルカ
プトプロピオン酸アルコキシブチルエステル)塩などの
ジアルキルスズビスメルカプトカルボン酸エステルを用
いるのが好ましい。
【0026】ポリウレタンを製造する方法は特に制限さ
れず、前述のポリエステルポリオール(a)、有機ジイ
ソシアネート(b)、鎖伸長剤(c)および必要に応じ
て他の成分を使用して、溶融重合、溶液重合などの公知
のウレタン化反応技術を利用して、プレポリマー法、ワ
ンショット法などのいずれで製造してもよい。なかで
も、実質的に無溶媒下で溶融重合することが好ましく、
特に多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融重合法が
好ましい。
【0027】ポリウレタンの重合過程または重合後に、
必要に応じて、ポリウレタンを製造する際に通常使用さ
れている熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃
剤、滑剤、着色剤、加水分解防止剤、結晶核剤、耐候性
改良剤、粘着性付与剤、防黴剤などの各種添加剤;ガラ
ス繊維や有機繊維などの各種有機および/または無機繊
維;タルク、シリカ、その他の無機充填剤などの1種ま
たは2種以上を適宜加えてもよい。
【0028】上記により得られたポリウレタンを用い
て、ポリウレタン層および繊維質基体層からなる本発明
の積層体をつくることができる。積層体の製法として
は、ポリウレタンを加熱溶融して繊維質基体層上に積層
する方法を採用する。特に、ポリウレタン層を繊維質基
体層上に積層させる際に、ポリウレタン層の表面に皮革
様のシボ模様、艶消し模様などを賦型すると、天然皮革
に極めて類似した良好な外観、風合、触感などを有する
積層体を得ることができ好ましい。
【0029】限定されるものではないが、本発明の積層
体の製法の例としては、 (1) ポリウレタンを離型紙上にフィルム状に溶融押
し出しまたは流延すると共に、離型紙上のポリウレタン
フィルム層を押圧ロールや型板などを用いて繊維質基体
に転写させると同時に繊維質基体と接着させて固定さ
せ、その際に離型紙、押圧ロール、型板などにポリウレ
タン表面にシボ模様や艶消し模様などを出現させるため
の凹凸模様などを形成しておく方法; (2) ポリウレタンをフィルム上に押圧ロール表面に
溶融押し出しまたは流延すると共に、押圧ロール上のポ
リウレタンフィルム層を繊維質基体に転写させると同時
に繊維質基体と接着させて固定させ、その際に押圧ロー
ルにポリウレタン表面にシボ模様や艶消し模様などを出
現させるための凹凸模様などを形成しておく方法; (3) ポリウレタンを繊維質基体上に直接層状に溶融
押し出してまたは流延させて繊維質基体層の上にポリウ
レタン層を形成し、ポリウレタンが固化するまでの間に
凹凸模様を形成してある離型紙、押圧ロール、型板など
を用いてポリウレタンを押圧して、ポリウレタンの表面
にシボ模様や艶消し模様などを形成させる方法;などを
挙げることができる。これらの方法を実施するに当たっ
ては、ポリウレタン層と繊維質基体層との接着を強固に
するために、接着剤やその他の接着性向上剤を繊維質基
体の表面に予めコートしておいたり、含浸させたりして
おいてもよい。
【0030】柔軟性、屈曲性を損なわないようにしなが
ら耐摩耗性、耐引っ掻き性、力学的性能、耐水性、耐寒
性などを積層体に付与するために、繊維質基体層上に設
けるポリウレタン層の厚さは10〜800μmであるの
が好ましく、30〜500μmであるのがより好まし
い。ポリウレタン層が薄すぎると表面の耐摩耗性、耐引
っ掻き性、繊維質基体層との接着性が低下し、一方ポリ
ウレタン層が厚すぎると柔軟性、屈曲性が低下して外
観、風合、触感が不良になり易い。
【0031】本発明の積層体を構成する繊維質基体層と
しては、通常の合成皮革や人工皮革などに用いられる織
物、編み物、不織布、またはこれらを重ね合わせて一体
化した繊維質基体を使用することができる。また、繊維
質基体は、木綿、麻、羊毛などの天然繊維、レーヨンや
アセテートに代表される再生繊維、ナイロン、ビニロ
ン、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン
繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維のうち1種また
は2種以上から形成しておくのがよい。
【0032】積層体に天然皮革調のしなやかさを出現さ
せるためには、繊維質基体を構成する繊維として、0.
3デニール以下、好ましくは0.1デニール以下の極細
繊維を用いるのがよく、その場合に極細繊維を集束体や
繊維内に繊維軸方向に多数の空隙を有するいわゆる多孔
繊維の形態にしておくのが好ましい。そのような極細繊
維は、例えば、溶剤に対する溶解性の異なる2種以上の
ポリマーを海島型や分割型に混合紡糸または複合紡糸し
て得られる混合繊維または複合繊維から溶解速度の速い
方のポリマーを溶剤で抽出除去する方法;分解剤に対す
る分解速度の異なる2種以上のポリマーを海島型や分割
型に混合紡糸または複合紡糸して得られる混合繊維また
は複合繊維から分解速度の速い方のポリマーを分解剤で
分解除去する方法;或いは相溶性の低い2種以上のポリ
マーを混合紡糸または複合紡糸して得られる海島型や分
割型の混合繊維または複合繊維を機械的または化学的に
フィブリル化処理して繊維を構成してポリマーの界面で
剥離させる方法などにより得ることができる。
【0033】より具体的には、例えば、ナイロンまたは
ポリエステルとポリスチレンとを混合紡糸または複合紡
糸して得られる混合繊維または複合繊維からポリスチレ
ンをトルエンで抽出することにより;或いはポリエステ
ルとポリエチレンを混合紡糸または複合紡糸して得られ
る混合繊維または複合繊維からデカリンなどでポリエチ
レンを除去することにより得ることができる。しかしな
がら、繊維質基体は極細繊維ではなく、通常の0.3〜
5デニール程度の細さを有する繊維から形成されていて
もよい。
【0034】積層体の用途などに応じて繊維質基体層の
厚さを適宜調節することができるが、一般に、厚さが約
0.5〜5mm程度、好ましくは約1〜2mm程度の繊
維質基体を用いるのが、得られる積層体の柔軟性、屈曲
性、触感などの点から好ましい。
【0035】積層体に天然皮革調の風合を付与するため
に、繊維質基体にポリウレタンエラストマー、またはそ
の他の弾性重合体を含浸しておいてもよく、その場合に
弾性重合体を多孔質構造を有した状態で繊維質基体中に
含浸させておくと、天然皮革に一層近い風合を有する積
層体を得ることができる。ポリウレタンエラストマーや
その他の弾性重合体を繊維質基体中に多孔質状態で含浸
させるには、例えば弾性重合体の溶液を繊維質基体中に
含浸させて弾性重合体を湿式凝固させる方法などを採用
すればよい。そして、繊維質基体がポリウレタンエラス
トマーなどの弾性重合体で含浸処理されている場合は、
繊維質基体層とその上に設けたポリウレタン層との接着
性がより強固になる。
【0036】また、繊維質基体は、ポリウレタン層との
接着性を高め、さらに裏革調の外観とするために、その
片面または両面を起毛しておいてもよく、またその片面
または両面に凹凸を付与しておいてもよい。更に、繊維
質基体の片面または両面に、ポリウレタン層を形成する
前に、弾性重合体または非弾性重合体よりなる多孔質お
よび/または無孔質の被覆層を形成してあってもよく、
そしてそのような被覆層の表面は必要に応じてサンドペ
ーパーやその他により粗面化してあっても、エンボスロ
ールなどによって凹凸を形成しておいてもよい。そし
て、そのような被覆層は繊維質基体の片面または両面に
連続した層として形成されていても、或いは不連続な層
状で形成されていてもよい。したがって、上記の説明か
ら明らかなように、本発明の積層体では、繊維質基体層
上に上記したポリエステルポリオール(a)、有機ジイ
ソシアネート(b)、鎖伸長剤(c)を用いて製造され
た上記した特定のポリウレタン層が直接設けられていて
も、または繊維質基体層上に弾性重合体などよりなる被
覆層が設けられていて、その上に上記した特定のポリウ
レタン層が設けられていてもよい。
【0037】そして、本発明の積層体では、上記した特
定のポリウレタンよりなる層は、繊維質基体層の片面の
みに設けても、両面に設けても、或いは繊維質基体層の
片面または両面に設けると同時に繊維質基体層の中間に
設けてもよく(すなわちポリウレタン層と繊維質基体層
が3層以上で交互になっていてもよく)、積層体の用途
に応じて、適宜選択するとよい。本発明の積層体全体の
厚さは、積層体の用途などに応じて適宜調節できるが、
一般に、約0.5〜5mm程度にしておくのが、柔軟
性、屈曲性、力学的性質、耐久性などの点から好まし
く、約1〜2mm程度であるのがより好ましい。
【0038】上記により得られるポリウレタン層と繊維
質基体層とからなる本発明の積層体は、その優れた耐摩
擦溶融性、耐摩耗性、耐ブリード白化性、引張強さなど
の力学的性質、耐久性、耐寒性、柔軟性、屈曲性、肌触
りなどの諸特性により、衣料、スポーツ用品、靴、鞄、
バックなどの袋状物、箱状物、家屋などの建築物の内装
材、家具用化粧材などとして有効に使用することができ
る。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものでは
ない。なお、以下の参考例、実施例および比較例におい
て、結晶化エンタルピー(ΔH)、耐摩擦溶融性、耐摩
耗性(テーバー摩耗性)およびブリードアウト/白化状
態の測定または評価は以下の方法に従って行った。
【0040】〔結晶化エンタルピー(ΔH)〕示差走査
熱量計〔理学電気(株)製、Rigaku Thermal Analysis
Station TAS10〕を用いて、ポリエステルポリオールの
結晶化エンタルピー(ΔH)を測定した。サンプル量は
約10mgとし、窒素気流下(100ml/分)で、下
記の表1に示す条件で熱量測定を行い、行程3における
ピーク面積より結晶化エンタルピー(ΔH)を求めた。
【0041】
【表1】
【0042】〔耐摩擦溶融性〕ポリウレタンの積層体か
ら短冊状試験片(3cm×6cm)を作成した。この短
冊状試験片のポリウレタン層側を1800rpmで回転
する桜製ローラー部(直径73mm、幅26mm)に荷
重1.5lb下で2秒間接置した後の試験片の摩擦溶融
面積(cm2)を測定し、併せて摩擦溶融面の状態を肉
眼で観察して下記の表2に示す基準によってランク付け
を行った。
【0043】
【表2】
【0044】〔耐摩耗性(テーバー摩耗量)〕JIS
K 7204に従って測定した。すなわち、ポリウレタ
ンの積層体から直径12cmの円形の試験片を切り出し
た。この円形試験片のポリウレタン層側に摩耗輪(H−
22)を当て、荷重1kgfで円形の試験片を1000
回転させて摩耗試験を行い、摩耗試験の前の試験片の重
量から摩耗試験実施後の試験片の重量を差し引いて、テ
ーバー摩耗量(摩耗によって減少した重量)(g)を求
めた。
【0045】〔ブリードアウト/白化状態〕ポリウレタ
ンの積層体を80℃で1週間連続的に加熱処理し、加熱
処理後のポリウレタンの積層体の外観を目視によって観
察して、ブリードアウト/白化の生じていないものを
○、ブリードアウト/白化が生じているがその程度が少
ないものを×、ブリードアウト/白化の程度がかなり大
きいものを××、ブリードアウト/白化の程度が極めて
大きいものを×××として評価した。
【0046】下記の参考例、実施例および比較例で用い
た化合物に関する略号と、その略号が意味する化合物名
を下記の表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】参考例1 MPD9173gおよびAd9641gを反応器に仕込
み、常圧下、200℃で生成する水を系外に留去しなが
らエステル化反応を行った。反応物の酸価が30以下に
なった時点で、チタン系重縮合触媒としてテトライソプ
ロピルチタネート90mgを加え、200〜100mm
Hgに減圧しながら反応を続けた。酸価が1.0になっ
た時点で真空ポンプにより徐々に真空度を上げて反応を
完結させた。その後、100℃に冷却し、これに水を3
重量%加えて撹拌しながら2時間加熱することにより、
チタン系重縮合触媒を失活させ、減圧下で水を留去した
後、これにスズ系ウレタン化触媒としてジブチルスズジ
アセテートを10ppm(スズ原子換算で3.4pp
m)を加えた。これによりチタン系触媒を失活した後に
スズ系ウレタン化触媒を添加したポリエステルポリオー
ル(以後、これをPMPA−Aという)を得た。得られ
たポリエステルポリオールの数平均分子量、1分子当た
りの水酸基の数、エステル基濃度、結晶化エンタルピー
(ΔH)を下記の表4に示す。
【0049】参考例2〜12 下記の表4に示すポリオール成分およびジカルボン酸成
分を用いる以外は、参考例1と同様にしてエステル化反
応を行った後、チタン系重縮合触媒を失活させ、スズ系
ウレタン化触媒を加えることにより、それぞれに対応す
るポリエステルポリオールを得た。得られたポリエステ
ルポリオールの数平均分子量、1分子当たりの水酸基の
数、エステル基濃度、結晶化エンタルピー(ΔH)を下
記の表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】実施例1 ポリエステルポリオールとして、参考例1で得られたP
MPA−Aおよび参考例4で得られたPMPPA−C、
鎖伸長剤としてBD、並びに有機ジイソシアネートとし
て50℃に加熱溶融したMDIを、(PMPA−A:P
MPPA−C):MDI:BDのモル比が(0.97:
0.03):3.88:2.80で、かつこれらの総量
が200g/minとなるように、定量ポンプから同軸
方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、
L/D=36)に連続的に供給して、260℃で連続溶
融重合を行った。生成したポリウレタンの溶融物をスト
ランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザ
ーで切断し、このペレットを80℃で6時間除湿乾燥し
た。次に、海成分としてポリエチレン50重量部および
島成分として6−ナイロン50重量部を同一溶融系で溶
融紡糸して、単繊維繊度10デニールの複合繊維を製造
した。この複合繊維を3.0倍に延伸し、捲縮を付与し
た後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後ク
ロスラッパーウェバーでウェブとした後、ニードルパン
チにより、目付650g/m2の繊維絡合不織布とし
た。この不織布にポリエーテル系ポリウレタンを主体と
するポリウレタン組成物13重量部とジメチルホルムア
ミド87重量部よりなる溶液を含浸し、凝固、水洗後、
複合繊維中のポリエチレンをトルエン中で抽出除去し
て、6−ナイロン極細繊維束状繊維とポリウレタン結合
剤とからなる厚さ約1.3mmの繊維質基体を得た。こ
の繊維質基体と押圧ロールとの間に、上記で得られたポ
リウレタンを、210℃で厚さ300μmのフィルム状
に溶融押出し、ポリウレタンを繊維質基体に押圧ロール
で接着させることにより繊維質基体層とポリウレタン層
とからなる積層体を製造した。この積層体を用いて、耐
摩耗性(デーバー摩耗量)、耐摩擦溶融性およびブリー
ドアウト/白化状態の測定または評価を上記した方法で
行った。得られた結果を、下記の表6に示す。
【0052】実施例2〜8 下記の表5に示すポリエステルポリオール、有機ジイソ
シアネートおよび鎖伸長剤を、表5に示す割合で用いて
ポリウレタンを製造した以外は、実施例1と同様にして
ポリウレタンのペレットを製造し、そのペレットを用い
て、実施例1と同様にして繊維質基体層とポリウレタン
層とからなる積層体を製造し、耐摩耗性(デーバー摩耗
量)、耐摩擦溶融性およびブリードアウト/白化状態の
測定または評価を上記した方法で行った。得られた結果
を、下記の表6に示す。
【0053】比較例1、2、5、6、7、9 下記の表5に示すポリエステルポリオール、有機ジイソ
シアネートおよび鎖伸長剤を、表5に示す割合で用いて
ポリウレタンを製造した以外は、実施例1と同様にして
ポリウレタンのペレットを製造し、そのペレットを用い
て、実施例1と同様にして繊維質基体層とポリウレタン
層とからなる積層体を製造し、耐摩耗性(デーバー摩耗
量)、耐摩擦溶融性およびブリードアウト/白化状態の
測定または評価を上記した方法で行った。得られた結果
を、下記の表6に示す。
【0054】比較例3、4、8 下記の表5に示すポリエステルポリオール、有機ジイソ
シアネートおよび鎖伸長剤を、表5に示す割合で用いて
ポリウレタンを製造した以外は、実施例1と同様にして
ポリウレタンのペレットを製造し、そのペレットを用い
て、実施例1と同様にして繊維質基体層とポリウレタン
層とからなる積層体の製造を試みたが、ポリウレタンの
溶融成形性が不足していて、積層体を得ることができな
かった。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】上記の表5および表6から明らかなよう
に、本発明の積層体は、耐摩耗性(デーバー摩耗量)、
耐摩擦溶融性および耐ブリード白化性の全てに優れてい
ることがわかる(実施例1〜8)。
【0058】これに対して、ポリエステルポリオールの
エステル基濃度、数平均分子量、1分子当たりの水酸基
の数、結晶化エンタルピー(ΔH)またはポリウレタン
原料化合物の使用割合において本発明と相違するポリウ
レタンでは、耐摩耗性(デーバー摩耗量)、耐摩擦溶融
性および耐ブリード白化性のうち少なくとも一つの性能
が不良であることがわかる(比較例1〜9)。
【0059】
【発明の効果】本発明の積層体は、耐摩擦溶融性、耐摩
耗性、耐ブリード白化性に優れ、しかも引張強さなどの
力学的性質、耐水性等の耐久性、耐寒性などの特性にお
いても良好であり、柔軟性や屈曲性にも富んでいて、ス
ポーツ用品、靴、鞄、バックなどの袋状物、箱状物、家
屋などの建築物の内装材、家具用の化粧材、衣料などの
広範囲な用途に有効に使用することのできる。
フロントページの続き (72)発明者 米田 久夫 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 (72)発明者 平井 広治 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリウレタン層および繊維質基
    体層を有する積層体であって、熱可塑性ポリウレタン層
    が、数平均分子量が1000〜4000のポリエステル
    ポリオール(a)、有機ジイソシアネート(b)および
    鎖伸長剤(c)を、下記の数式(1): 1.00≦b/(a+c)≦1.10 (1) (式中、aはポリエステルポリオールのモル数、bは有
    機ジイソシアネートのモル数、cは鎖伸長剤のモル数を
    示す)を満足する割合で反応させて得られる熱可塑性ポ
    リウレタンの溶融成形層であり、しかも熱可塑性ポリウ
    レタンの製造に用いられる前記ポリエステルポリオール
    (a)のエステル基濃度(エステル結合数/全炭素原子
    数)が0.08〜0.17であり、かつ結晶化エンタル
    ピー(ΔH)が70J/g以下であリ、さらに1分子当
    たりの水酸基の数が2.01〜2.08個であることを
    特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 数式(1)におけるb/(a+c)の値
    が、1.005〜1.10の範囲である請求項1記載の
    積層体。
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