JPH09245652A - プラズマディスプレイパネルの電極及びその形成方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの電極及びその形成方法

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JPH09245652A
JPH09245652A JP8055918A JP5591896A JPH09245652A JP H09245652 A JPH09245652 A JP H09245652A JP 8055918 A JP8055918 A JP 8055918A JP 5591896 A JP5591896 A JP 5591896A JP H09245652 A JPH09245652 A JP H09245652A
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electrode
film
metal
metal film
layer
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JP8055918A
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English (en)
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Yasunori Kima
泰則 来間
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 煩雑でない工程で作製することができ、且つ
焼成工程でAgがガラス基板中に拡散しないプラズマデ
ィスプレイパネルの電極を得る。 【解決手段】 プラズマディスプレイパネルの前面板或
いは背面板に設ける電極9を、Agの拡散防止層51と
その上に設けられたAgを主成分とする導体材料からな
る上層56とで構成する。そして、拡散防止層51に融
点が500℃以上の単体金属或いは合金を使用する。ま
た、拡散防止層51の線幅が上層56の線幅と同じかそ
れ以上になるようにする。電極形成工程において焼成工
程後もガラス基板2がアンバー色を呈することなく、パ
ネルの画像表示に影響を与えることがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体放電を用いた
自発光形式の平板ディスプレイであるプラズマディスプ
レイパネル(以下、PDPと記す)に係り、詳しくはそ
の前面板上或いは背面板上に設けられる電極に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般にPDPは、2枚の対向するガラス
基板にそれぞれ規則的に配列した一対の電極を設け、そ
の間にNe等の不活性ガスを主体とするガスを封入した
構造になっている。そして、これらの電極間に電圧を印
加し、電極周辺の微小なセル内で放電を発生させること
により、各セルを発光させて表示を行うようにしてい
る。情報表示をするためには、規則的に並んだセルを選
択的に放電発光させる。このPDPには、電極が放電空
間に露出している直流型(DC型)と絶縁層で覆われて
いる交流型(AC型)の2タイプがあり、表示機能や駆
動方法の違いによって、双方ともリフレッシュ駆動方式
とメモリー駆動方式とに分類される。
【0003】図1にAC型PDPの一構成例を示してあ
る。この図は前面板と背面板を離した状態で示したもの
で、図示のように2枚のガラス基板1,2が互いに平行
に且つ対向して配設されており、両者は背面板となるガ
ラス基板2上に互いに平行に設けられたセル障壁3によ
り一定の間隔に保持されるようになっている。前面板と
なるガラス基板1の背面側には透明電極である維持電極
4と金属電極であるバス電極5とで構成される複合電極
6が互いに平行に形成され、これを覆って誘電体層7が
形成されており、さらにその上に保護層8(MgO層)
が形成されている。一方、背面板となるガラス基板2の
前面側には複合電極6と直交するようにセル障壁3の間
に位置してアドレス電極9が互いに平行に形成されてお
り、さらにセル障壁3の壁面とセル底面を覆うようにし
て蛍光体10が設けられている。このAC型PDPは面
放電型であって、前面板上の複合電極間に交流電圧を印
加し、空間に漏れた電界で放電させる構造である。この
場合、交流をかけているために電界の向きは周波数に対
応して変化する。そしてこの放電により生じる紫外線に
より蛍光体10を発光させ、前面板を透過する光を観察
者が視認するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記AC型PDPの前
面板における複合電極6は、維持電極4のみでは抵抗値
が高く電極として使えないため、抵抗値を低くするため
に維持電極4上にバス電極5を形成したものである。維
持電極4の材料としてはITO、SnO2 、ZnO等が
考えられるが、成膜やパターニングの容易さから通常は
ITOが用いられている。一方、バス電極5は金属材料
で形成されるが、これを金属薄膜単層で構成する場合に
は、バス電極5に求められる抵抗値から低抵抗率の材
料、例えばCuやAlの使用が考えられる。しかし、C
uを使用した場合、バス電極5の下地層であるITOの
維持電極4との密着性が悪い上に、後工程である誘電体
層7形成時の焼成処理の結果、材料の熱酸化により抵抗
値が上昇するという問題点がある。またAlを使用した
場合でも、後工程の焼成処理によって材料の熱酸化や表
面の粗面化(ヒロック)が起きるという問題がある。し
たがって、バス電極5は金属薄膜単層ではなく、Cr/
Cu/CrやCr/Al/Crのように異なる金属材料
の組合せにより構成するのが一般的である。この場合、
下層のCrは下地層である維持電極4との密着層として
機能し、上層のCrはCuやAlの酸化防止層として機
能する。また、上記のようなAC型PDPに限らずDC
型PDPの電極でも、同様の理由で前記バス電極と同様
の積層構造及び材料が用いられている。しかしこのよう
な積層構造を採ると、金属単層のような問題は起きない
ものの、バス電極を形成するためにスパッタ法や蒸着法
などの薄膜形成技術とエッチング加工を3回も必要と
し、工程が複雑になり、従って時間がかかり、処理能力
に欠けるという問題がある。
【0005】さらに上記の問題を解決する手段として
は、例えば特願平8−11468号に開示されているよ
うに、スクリーン印刷法やフォトリソ法で厚膜印刷ペー
ストを電極形状にパターニングする方法が有力である。
これらの方法を採る場合、バス電極に要求される導電
性、耐熱性及びコストを考慮すると、厚膜印刷ペースト
にはAgを主成分とする導体ペーストが適する。しか
し、Agを主成分とする導体ペーストを使用した場合、
500℃以上でペーストを焼成するとAgが維持電極を
通過してガラス中に拡散し、ガラス基板がいわゆるアン
バー色を呈するため、特に観察者に面している前面板に
は使用できないという問題があった。
【0006】本発明は、上記のような問題点に鑑みてな
されたものであり、その目的とするところは、煩雑でな
い工程で作製することができ、且つ焼成工程でAgがガ
ラス基板中に拡散しないPDPの電極及びその形成方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係るPDPの電極は、PDPの前面板或い
は背面板上に設けられる電極であって、Agの拡散防止
層とその上に設けられたAgを主成分とする導体材料か
らなる上層とで構成されることを特徴としており、前記
拡散防止層に融点が500℃以上の単体金属或いは合金
を使用するのが好ましい。そして、前記拡散防止層の線
幅が上層の線幅と同じかそれ以上になるようにするもの
である。また、前記拡散防止層が透明導電性膜からなる
下層の上に設けられた形態であってもよい。
【0008】そして、上記の電極における拡散防止層
は、1)真空蒸着法、2)スパッタ法、3)電気メッキ
法、4)無電解メッキ法、のいずれかの方法により形成
することができる。さらに上記の電極は、上層をマスク
として拡散防止層をエッチングすることで形成すること
ができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、面放電型のAC型PD
P、対向型のAC型PDP、DC型PDPといった各種
PDPの電極に適用できるものであるが、ここでは図1
に示すAC型PDP前面板の複合電極と、同じく背面板
のアドレス電極を例に挙げ、複数の実施例を述べること
により実施形態を説明する。
【0010】(実施例1)まず、図2(a)に示すよう
に、前面板となるガラス基板1上に所定の形状を有する
透明導電性膜で維持電極4を形成する。具体的には、ソ
ーダライムガラス基板上に透明導電性膜として膜厚0.
15μmのITOをスパッタ法により膜形成し、次いで
ITO膜上にフォトレジスト(東京応化工業製「OFP
R800」)でエッチングマスクを形成した後、水、塩
酸、硝酸を1:1:0.08の割合で混合した液中でI
TO膜をエッチングし、フォトレジストを剥離してから
基板水洗を行って乾燥させることで、線幅188μmの
維持電極4を形成した。
【0011】透明導電性膜の材料としてはITO以外に
もSnO2 (スズネサ)等も使用可能である。SnO2
を使用した場合、まずガラス基板1上に維持電極4の逆
パターンでマスク層を形成した後、CVD法によりSn
2 膜の形成を行い、続いてマスク層を剥離することに
よりパターニングした。透明導電性膜の膜厚はITO
膜、SnO2 膜ともに0.05〜0.4μm程度であ
る。
【0012】透明電極のみでは抵抗値が高く、電極とし
て使えないため、抵抗値を低くするために透明電極上に
バス電極となる金属電極を形成するが、まずAgの拡散
防止層して機能する金属膜を形成した。すなわち、まず
図2(b)に示すように、維持電極4を形成した基板上
にスパッタ法により膜厚0.1μmのCrの金属膜21
を形成した。金属膜21の材料としては、後工程の焼成
処理で融解しないことが必要とされるため、融点が50
0℃以上の単体金属或いは合金が適する。具体的にはM
o、Ta、Ti、Fe、Nb、Ni、Pt、V、Pd、
Cr、Ge、Co、Cu、Au、Zr、Sc、W、A
l、Y、Siやこれらを主成分とする合金、例えばAl
−Zr、Al−Ti、Fe−Ni等が考えられるが、エ
ッチング加工のしやすさからNi、Cr、Al、Al合
金が良好であった。また、スパッタ法に代えて真空蒸着
法により金属膜21の形成を行ってもよい。金属膜21
の膜厚は0.05〜0.3μm程度である。
【0013】次いで、図2(c)に示すように、金属膜
21を形成した基板上にマスク層22を形成した後、金
属膜21の不要部分をエッチングし、さらにマスク層2
2を剥離することで、図2(d)に示すように金属膜2
1をパターニングした。具体的には、金属膜21がCr
の場合、Cr膜を形成した基板上にフォトレジスト(東
京応化工業製「OFPR800」)でマスク層22を形
成した後、ザ・インテック社製「MR−ES」を用いて
Cr膜の不要部分をエッチングし、次いで1wt%Na
OH水溶液でマスク層22を剥離して線幅70μmに加
工した。金属膜21がAl或いはAl合金の場合は、上
記のフォトレジストを使用し、ザ・インテック社製「M
R−ALE」を用いてエッチングした。
【0014】続いて、パターニングを終えた金属膜21
上にAgを主成分とする導体材料で金属電極を形成する
が、例えば、図2(e)に示すように、スクリーン印刷
法で導体材料23(Ag印刷ペースト、ESL社製「D
590」)をバス電極5の形状にパターン塗布した。図
中24はスクリーン版、25はスキージである。次い
で、170℃で30分間導体材料23を乾燥し、さらに
580℃で10分間焼成することで、図2(f)に示す
ように、上層である金属電極26を形成した。金属電極
26の線幅は金属膜21の線幅と同じかそれ以下でなけ
れば金属膜21がAgの拡散防止層として機能しない。
本実施例では金属膜21の線幅70μmに対して、上層
の金属電極26の線幅は64μmであった。
【0015】金属電極26を形成する方法は、スクリー
ン印刷法でなくても、例えばパターニングを終えた金属
膜21の上に導体材料(Ag印刷ペースト、ESL社製
「D590」)の膜を形成した後、導体材料の膜上にフ
ォトレジスト(東京応化工業社製「OFPR800」)
でバス電極5の形状を有するマスク層を形成し、30w
t%HNO3 中で不要部分をエッチングしても金属電極
26を形成可能であった。或いは、金属膜21のパター
ニングを終えた基板上全面にフォトレジスト(東京応化
工業社製「OFPR800」)を塗布し、バス電極5の
形状でUV露光を行い、バス電極の形状にフォトレジス
トを除去してフォトレジストの膜に凹部を形成した後、
この凹部中に導体材料(Ag印刷ペースト、ESL社製
「D590」)を充填し、150℃で30分間導体材料
を乾燥した後、1wt%NaOH水溶液でフォトレジス
トを剥離し、さらに580℃で10分間導体材料の焼成
を行い、金属電極26を形成することができた。さら
に、導体材料として、a)Ag粉末、b)側鎖にカルボ
キシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重
合体、c)光反応性化合物、d)光重合開始剤からなる
感光性を有するAgペーストを使用しても金属電極26
を形成することができた。この場合、金属膜21のパタ
ーニングを終えた基板上の全面に感光性を有するAgペ
ーストを塗布及び100℃で20分間乾燥し、UV露光
及び0.2wt%NaCO3 水溶液をスプレーすること
により現像を行ってバス電極5の形状にパターニングし
た後580℃で10分間ペーストの焼成を行い、金属電
極26を形成した。
【0016】上記いずれの方法で金属電極26を形成し
た場合でも、透明導電性膜からなる維持電極4の上に設
けた金属膜21がAgの拡散防止層として機能するた
め、焼成処理後もガラス基板1は変色することがなかっ
た。
【0017】なお、本実施例では下層である維持電極4
のパターニングを終えてから金属膜21及び上層である
金属電極26を形成したが、金属膜21及び金属電極2
6を形成後に下層である維持電極4のパターニングを行
うことも可能であった。すなわち、この場合、ガラス基
板1の片面上に透明導電性膜を成膜した後、上述の方法
と同様の方法で金属膜及び上層を形成し、フォトレジス
ト(東京応化工業社製「OFPR800」)で維持電極
4の形状でエッチングマスク層を形成後、透明導電性膜
の不要部分をエッチングした。本例でも、上記の実施例
と同様の構成を有する複合電極6を形成できた。
【0018】このように前面板となるガラス基板1上に
複合電極6を形成した後、スクリーン印刷法により誘電
体ペースト(日本電気硝子社製「PLS−3232」)
を塗布し、560℃で10分間焼成し、誘電体層7を形
成した。この焼成処理でもガラス基板へのAg拡散は抑
制された。次いで、誘電体層7上に真空蒸着法でMgO
層を形成し、前面板を完成させた。さらに、常法により
形成した背面板と合わせてガス封入することでパネルを
完成させた。実際にパネル点灯試験を行ったところ、バ
ス電極がCr/Cu/Crで構成される従来のパネルと
比較して、同様の駆動電圧及びパネル輝度が得られた。
さらに、維持電極上に直接、Agを主成分とする導体材
料で金属電極を形成する場合と比較して、ガラス基板の
変色がなく、画像表示は良好であった。
【0019】(実施例2)維持電極4の形成方法は上記
の実施例1と同様である。すなわち、図3(a)に示す
ように、前面板となるガラス基板1上に所定の形状を有
する透明導電性膜で維持電極4を形成する。具体的に
は、ソーダライムガラス基板上に透明導電性膜として膜
厚0.15μmのITOをスパッタ法により膜形成し、
次いでITO膜上にフォトレジスト(東京応化工業製
「OFPR800」)でエッチングマスクを形成した
後、水、塩酸、硝酸を1:1:0.08の割合で混合し
た液中でITO膜をエッチング加工し、フォトレジスト
を剥離してから基板水洗を行って乾燥させることで、線
幅188μmの維持電極4を形成した。前述のように透
明導電性膜はSnO2 膜等でもよい。この透明導電性膜
の膜厚はITO膜、SnO2膜ともに0.05〜0.4
μm程度である。
【0020】透明電極のみでは抵抗値が高く、電極とし
て使えないため、抵抗値を低くするために透明電極上に
バス電極となる金属電極を実施例1と同様に形成した。
まず図3(b)に示すように、維持電極4を形成した基
板上にスパッタ法により膜厚0.1μmのCrの金属膜
31を形成した。金属膜31の材料としては、後工程の
焼成処理で融解しないことが必要とされるため、融点が
500℃以上の単体金属或いは合金が適し、実施例1に
記載の材料と同様の材料が良い。また金属膜31の膜形
成にはスパッタ法に代えて真空蒸着法で行ってもよい。
【0021】次いで、金属膜31を膜形成した基板上に
Agを主成分とする導体材料で上層である金属電極を形
成するが、例えば図3(c)に示すように、スクリーン
印刷法で導体材料32(Ag印刷ペースト、ESL社製
「D590」)をバス電極5の形状にパターン塗布し
た。図中33はスクリーン版、34はスキージである。
次いで、170℃で30分間導体材料32を乾燥し、さ
らに580℃で10分間焼成することで、図3(d)に
示すように、バス電極5となる線幅64μmの金属電極
35を形成した。
【0022】金属電極35を形成する方法はスクリーン
印刷法でなくても、実施例1に記載のように、1)導体
材料の膜をエッチングする方法、2)フォトレジストの
凹部に導体材料を充填する方法、3)感光性を有する導
体材料を使用する方法、のいずれの方法を使用しても金
属電極35を形成できた。上記のいずれの方法で金属電
極35を形成した場合でも、透明導電性膜からなる維持
電極4の上に設けた金属膜31がAgの拡散防止層とし
て機能する。
【0023】続いて、図3(e)に示すように、金属電
極35をマスク層として金属膜31のエッチングを行
い、バス電極6を完成させた。この場合、エッチング後
における金属電極35と金属膜31の線幅は同一とな
る。なお、エッチング液は金属電極35を溶解しないか
或いは実質的に溶解しないことが必要である。拡散防止
層の金属膜31がCrの場合、エッチング液には、水1
lに対して125gのNaOHと250gのK3 [Fe
(CN)6 ]を溶解した水溶液を使用すれば、良好なパ
ターニングが可能であった。金属膜31がAl或いはA
l合金の場合は、ザ・インテック社製「MR−ALE」
を用いて金属膜31をエッチングした。
【0024】本実施例と前述の実施例1とを比較する
と、本実施例では上層である金属電極35をマスクとし
て拡散防止層である金属膜31をエッチングするので、
金属膜31のパターニングにフォトリソ工程を必要とせ
ず、工程が簡略化されている。さらに、金属膜31と金
属電極35の位置合わせを行わなくても自己整合的に金
属膜31の不要部分をエッチングできるので生産性及び
安定性に優れる。
【0025】なお、本実施例では下層である維持電極4
のパターニングを終えてから拡散防止層である金属膜3
1及び上層である金属電極35を形成したが、実施例1
の場合と同様に、金属膜31及び金属電極35を形成後
に、下層である維持電極4のパターニングを行うことも
可能であった。
【0026】このように前面板となるガラス基板1上に
複合電極6を形成した後、スクリーン印刷法により誘電
体ペースト(日本電気硝子社製「PLS−3232」)
を塗布し、560℃で10分間焼成し、誘電体層7を形
成した。この焼成処理でもガラス基板へのAg拡散は抑
制された。次いで、誘電体層7上に真空蒸着法でMgO
層を形成し、前面板を完成させた。さらに、常法により
形成した背面板と合わせてガス封入することでパネルを
完成させた。実際にパネル点灯試験を行ったところ、バ
ス電極がCr/Cu/Crで構成される従来のパネルと
比較して、同様の駆動電圧及びパネル輝度が得られた。
さらに、維持電極上に直接、Agを主成分とする導体材
料で金属電極を形成する場合と比較して、ガラス基板の
変色がなく、画像表示は良好であった。
【0027】(実施例3)維持電極4の形成方法は上記
の実施例1及び2と同様である。すなわち、図4(a)
に示すように、前面板となるガラス基板1上に所定の形
状を有する透明導電性膜で維持電極4を形成する。詳し
くは、ソーダライムガラス基板上に透明導電性膜として
膜厚0.15μmのITOをスパッタ法により膜形成
し、次いでITO膜上にフォトレジスト(東京応化工業
製「OFPR800」)でエッチングマスクを形成した
後、水、塩酸、硝酸を1:1:0.08の割合で混合し
た液中でITO膜をエッチング加工し、フォトレジスト
を剥離してから基板水洗を行って乾燥させることで、線
幅188μmの維持電極4を形成した。前述のように透
明導電性膜はSnO2 膜等でもよい。透明導電性膜の膜
厚はITO膜、SnO2膜ともに0.05〜0.4μm
程度である。
【0028】透明電極のみでは抵抗値が高く、電極とし
て使えないため、抵抗値を低くするために透明電極上に
バス電極となる金属電極を形成する。まず図4(b)に
示すように、維持電極4上にメッキ法により膜厚0.1
5μmのNiの金属膜41を形成した。メッキ方法は一
般的に電気メッキ法と無電解メッキ法に大別されるが、
そのいずれを用いても金属膜41を形成できた。すなわ
ち、Niの電気メッキ法の場合は、洗浄液(上村工業社
製「C−4000」)で洗浄し、濃度50ml/lの塩
酸で中和処理し、ワット浴を使用してNiの金属膜を維
持電極4の上にのみ形成した。また、Niの無電解メッ
キ法の場合は、洗浄液(上村工業社製「C−400
0」)で洗浄し、濃度50ml/lの塩酸で中和処理
し、キャタライジング処理(上村工業社製「SKN−2
00」)とアクセレーティング処理(上村工業社製「S
KN−300」)によって維持電極4の上にだけメッキ
触媒の付与を行った後、Ni無電解メッキ液(上村工業
社製「BEL−801」)中でNiの金属膜41を析出
した。メッキ膜の膜厚は処理時間に依存するが、1分間
で膜厚0.15μmのNiの金属膜41を形成できた。
金属膜41の膜厚は0.05〜0.3μm程度である。
金属膜41の材料としては、後工程の焼成処理で融解し
ないことが必要とされるため、融点が500℃以上の単
体金属或いは合金が適し、且つ容易にメッキ可能な材料
がよい。具体的には、Ni、Cr、Cd、Pd、Rh、
Pt、Sb、Ir、Ga、Ge、Co、Fe、Au、C
u、Mn等の単体金属、或いは、これらの元素を主とす
る二元系や三元系合金、例えば、Ni−W、Ni−Cu
等が挙げられるが、メッキ及びパターニングの容易さか
らNiが最も良い。なお、Niの無電解メッキの場合、
使用する還元剤によってNi−P及びNi−Bメッキに
大別されるが、メッキ膜の耐熱性及びパターニングの容
易さから後者の方が優れる。
【0029】次いで、金属膜41を膜形成した基板上に
Agを主成分とする導体材料で上層である金属電極を形
成するが、例えば図4(c)に示すように、スクリーン
印刷法で導体材料42(Ag印刷ペースト、ESL社製
「D590」)をバス電極5の形状にパターン塗布し
た。図中43はスクリーン版、44はスキージである。
次いで、170℃で30分間導体材料42を乾燥し、さ
らに580℃で10分間焼成することで、図4(d)に
示すように、線幅64μmの金属電極45を形成した。
【0030】金属電極45を形成する方法はスクリーン
印刷法でなくても、実施例1及び2に記載のように、
1)導体材料の膜をエッチングする方法、2)フォトレ
ジストの凹部に導体材料を充填する方法、3)感光性を
有する導体材料を使用する方法、のいずれの方法を使用
しても金属電極45を形成できた。上記のいずれの方法
で金属電極45を形成した場合でも、透明導電性膜から
なる維持電極4の上に設けた金属膜41がAgの拡散防
止層として機能する。
【0031】続いて、図4(e)に示すように、金属電
極45をマスク層として金属膜41のエッチングを行
い、バス電極6を完成させた。この場合、エッチング後
における金属電極45と金属膜41の線幅は同一とな
る。なお、エッチング液は金属電極45を溶解しないか
或いは実質的に溶解しないことが必要である。拡散防止
層の金属膜41がNiの場合、エッチング液には45ボ
ーメの塩化第二鉄水溶液を使用すれば、良好なパターニ
ングが可能であった。
【0032】本実施例と前述の実施例1とを比較する
と、本実施例では上層である金属電極45をマスクとし
て拡散防止層である金属膜41をエッチングするので、
前述の実施例2と同様に、金属膜41のパターニングに
フォトリソ工程を必要とせず、工程が簡略化されてい
る。さらに、金属膜41と金属電極45の位置合わせを
行わなくても自己整合的に金属膜41の不要部分をエッ
チングできるので生産性及び安定性に優れる。さらに、
本実施例では金属膜41の形成にメッキ法を使用してい
るため、スパッタ法や真空蒸着法といった真空成膜法を
使用する実施例1及び2に比較して生産性及びコスト面
で優れる。
【0033】また、本実施例では上層である金属電極4
5をマスクとして拡散防止層である金属膜41をエッチ
ングしたが、前述の実施例1と同様に、フォトレジスト
でマスク層を形成して金属膜41のエッチングを行った
後、金属電極45を形成してもよい。ただし、この場
合、フォトレジストのパターニングに余分なフォトリソ
工程を必要とし、且つ金属膜41と金属電極45の位置
合わせも必要となる。
【0034】なお、本実施例では下層である維持電極4
のパターニングを終えてから拡散防止層である金属膜4
1及び上層である金属電極45を形成したが、実施例1
及び2の場合と同様に、金属膜41及び金属電極45を
形成後に下層である維持電極4のパターニングを行うこ
とも可能であった。
【0035】このように前面板となるガラス基板1上に
複合電極6を形成した後、スクリーン印刷法により誘電
体ペースト(日本電気硝子社製「PLS−3232」)
を塗布し、560℃で10分間焼成し、誘電体層7を形
成した。この焼成処理でもガラス基板へのAg拡散は抑
制された。次いで、誘電体層7上に真空蒸着法でMgO
層を形成し、前面板を完成させた。さらに、常法により
形成した背面板と合わせてガス封入することでパネルを
完成させた。実際にパネル点灯試験を行ったところ、バ
ス電極がCr/Cu/Crで構成される従来のパネルと
比較して、同様の駆動電圧及びパネル輝度が得られた。
さらに、維持電極上に直接、Agを主成分とする導体材
料で金属電極を形成する場合と比較して、ガラス基板の
変色がなく、画像表示は良好であった。
【0036】(実施例4)まず、図5(a)に示すよう
に、背面板となるガラス基板2上にAgの拡散防止層し
て機能する金属膜を形成する。すなわち、ガラス基板2
上にスパッタ法により膜厚0.1μmのCrの金属膜5
1を形成した。金属膜51の材料としては、後工程の焼
成処理で融解しないことが必要とされるため、融点が5
00℃以上の単体金属或いは合金が適している。具体的
にはMo、Ta、Ti、Fe、Nb、Ni、Pt、V、
Pd、Cr、Ge、Co、Cu、Au、Zr、Sc、
W、Al、Y、Siやこれらを主成分とする合金、例え
ばAl−Zr、Al−Ti、Fe−Ni等が考えられる
が、ガラスとの密着性はCrが最も良好で、またエッチ
ング加工のしやすさはNi、Cr、Al、Al合金が良
好であった。また、スパッタ法に代えて真空蒸着法によ
り金属膜51の形成を行ってもよい。金属膜51の膜厚
は0.05〜0.3μm程度である。
【0037】次いで、図5(b)に示すように、金属膜
51を形成した基板上にマスク層52を形成した後、金
属膜51の不要部分をエッチングし、さらにマスク層5
2を剥離することで、図5(c)に示すように金属膜5
1をパターニングした。具体的には、金属膜51がCr
の場合、Cr膜を形成した基板上にフォトレジスト(東
京応化工業製「OFPR800」)でマスク層52を形
成した後、ザ・インテック社製「MR−ES」を用いて
Cr膜の不要部分をエッチングし、次いで1wt%Na
OH水溶液でマスク層52を剥離して線幅70μmに加
工した。金属膜51がAl或いはAl合金の場合は、上
記のフォトレジストを使用し、ザ・インテック社製「M
R−ALE」を用いてエッチングした。
【0038】続いて、パターニングを終えた金属膜51
上にAgを主成分とする導体材料で金属電極を形成する
が、例えば、図5(d)に示すように、スクリーン印刷
法で導体材料53(Ag印刷ペースト、ESL社製「D
590」)をアドレス電極9の形状にパターン塗布し
た。図中54はスクリーン版、55はスキージである。
次いで、170℃で30分間導体材料53を乾燥し、さ
らに580℃で10分間焼成することで、図5(e)に
示すように上層である金属電極56を形成した。金属電
極56の線幅は金属膜51の線幅と同じかそれ以下でな
けれでば金属膜51がAgの拡散防止層として機能しな
い。本実施例では金属膜51の線幅70μに対して、
上層の金属電極56の線幅は64μmであった。
【0039】金属電極56を形成する方法は、スクリー
ン印刷法でなくても、例えばパターニングを終えた金属
膜51の上に導体材料(Ag印刷ペースト、ESL社製
「D590」)の膜を形成した後、導体材料の膜上にフ
ォトレジスト(東京応化工業社製「OFPR800」)
でアドレス電極9の形状を有するマスク層を形成し、3
0wt%HNO3 中で不要部分をエッチングしても金属
電極56を形成可能であった。或いは、金属膜51のパ
ターニングを終えた基板上全面にフォトレジスト(東京
応化工業社製「OFPR800」)を塗布し、アドレス
電極9の形状でUV露光を行い、アドレス電極の形状に
フォトレジストを除去してフォトレジストの膜に凹部を
形成した後、この凹部中に導体材料(Ag印刷ペース
ト、ESL社製「D590」)を充填し、150℃で3
0分間導体材料を乾燥した後、1wt%NaOH水溶液
でフォトレジストを剥離し、さらに580℃で10分間
導体材料の焼成を行い、金属電極56を形成することが
できた。さらに、導体材料として、a)Ag粉末、b)
側鎖にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するア
クリル系共重合体、c)光反応性化合物、d)光重合開
始剤からなる感光性を有するAgペーストを使用しても
金属電極56を形成することができた。この場合、金属
膜51のパターニングを終えた基板上の全面に感光性を
有するAgペーストを塗布及び100℃で20分間乾燥
し、UV露光及び0.2wt%NaCO3 水溶液をスプ
レーすることにより現像を行ってアドレス電極9の形状
にパターニングした後580℃で10分間ペーストの焼
成を行い、金属電極56を形成した。
【0040】上記いずれの方法で金属電極56を形成し
た場合でも、金属膜51がAgの拡散防止層として機能
するため、焼成処理後もガラス基板2は変色することが
なかった。
【0041】このように背面板となるガラス基板2上に
アドレス電極9を形成した後、アドレス電極9を覆う誘
電体層を必要に応じて形成する。例えば、スクリーン印
刷法により誘電体ペースト(日本電気硝子社製「PLS
−3232」)を塗布し、560℃で10分間焼成して
誘電体層を形成する。この焼成処理でもガラス基板への
Ag拡散は抑制された。次いで、アドレス電極9の間に
セル障壁3を形成した後、セル障壁3の壁面とセル底面
を覆うようにして蛍光体10を形成し、背面板を完成さ
せた。さらに、常法により形成した前面板と合わせてガ
ス封入することでパネルを完成させた。実際にパネル点
灯試験を行ったところ、アドレス電極が金属単層で構成
される従来のパネルと比較して、同様の駆動電圧及びパ
ネル輝度が得られた。さらに、ガラス基板上に直接、A
gを主成分とする導体材料でアドレス電極を形成する場
合と比較して、ガラス基板の変色がなく、画像表示は良
好であった。
【0042】(実施例5)まず図6(a)に示すよう
に、ガラス基板2上にスパッタ法により膜厚0.1μm
のCrの金属膜61を形成する。金属膜61の材料とし
ては、後工程の焼成処理で融解しないことが必要とされ
るため、融点が500℃以上の単体金属或いは合金が適
し、実施例4に記載の材料と同様の材料が良い。また金
属膜61の膜形成にはスパッタ法に代えて真空蒸着法で
行ってもよい。
【0043】次いで、金属膜61を膜形成した基板上に
Agを主成分とする導体材料で上層である金属電極を形
成するが、例えば図6(b)に示すように、スクリーン
印刷法で導体材料62(Ag印刷ペースト、ESL社製
「D590」)をアドレス電極9の形状にパターン塗布
した。図中63はスクリーン版、64はスキージであ
る。次いで、170℃で30分間導体材料62を乾燥
し、さらに580℃で10分間焼成することで、図6
(c)に示すように、アドレス電極9となる線幅64μ
mの金属電極65を形成した。
【0044】金属電極65を形成する方法はスクリーン
印刷法でなくても、実施例4に記載のように、1)導体
材料の膜をエッチングする方法、2)フォトレジストの
凹部に導体材料を充填する方法、3)感光性を有する導
体材料を使用する方法、のいずれの方法を使用しても金
属電極65を形成できた。上記のいずれの方法で金属電
極65を形成した場合でも金属膜61がAgの拡散防止
層として機能する。
【0045】続いて、図6(d)に示すように、金属電
極65をマスク層として金属膜61のエッチングを行
い、アドレス電極9を完成させた。この場合、エッチン
グ後における金属電極65と金属膜61の線幅は同一と
なる。なお、エッチング液は金属電極65を溶解しない
か或いは実質的に溶解しないことが必要である。拡散防
止層の金属膜61がCrの場合、エッチング液には、ザ
・インテック社製「MR−ES」を使用すれば、良好な
パターニングが可能であった。金属膜61がAl或いは
Al合金の場合は、ザ・インテック社製「MR−AL
E」を用いて金属膜61をエッチングした。
【0046】本実施例と前述の実施例4とを比較する
と、本実施例では上層である金属電極65をマスクとし
て拡散防止層である金属膜61をエッチングするので、
金属膜61のパターニングにフォトリソ工程を必要とせ
ず、工程が簡略化されている。さらに、金属膜61と金
属電極65の位置合わせを行わなくても自己整合的に金
属膜61の不要部分をエッチングできるので生産性及び
安定性に優れる。
【0047】このように背面板となるガラス基板2上に
アドレス電極9を形成した後、アドレス電極9を覆う誘
電体層を必要に応じて形成する。例えば、スクリーン印
刷法により誘電体ペースト(日本電気硝子社製「PLS
−3232」)を塗布し、560℃で10分間焼成して
誘電体層を形成する。この焼成処理でもガラス基板への
Ag拡散は抑制された。次いで、アドレス電極9の間に
セル障壁3を形成した後、セル障壁3の壁面とセル底面
を覆うようにして蛍光体10を形成し、背面板を完成さ
せた。さらに、常法により形成した前面板と合わせてガ
ス封入することでパネルを完成させた。実際にパネル点
灯試験を行ったところ、アドレス電極が金属単層で構成
される従来のパネルと比較して、同様の駆動電圧及びパ
ネル輝度が得られた。さらに、ガラス基板上に直接、A
gを主成分とする導体材料でアドレス電極を形成する場
合と比較して、ガラス基板の変色がなく、画像表示は良
好であった。
【0048】(実施例6)まず図7(a)に示すよう
に、ガラス基板2上にメッキ法により膜厚0.15μm
のNiの金属膜71を形成する。メッキ方法は一般的に
電気メッキ法と無電解メッキ法に大別されるが、後者を
用いて金属膜71を形成できた。すなわち、洗浄液(上
村工業社製「C−4000」)で洗浄し、濃度50ml
/lの塩酸で中和処理し、キャタライジング処理(上村
工業社製「SKN−200」)とアクセレーティング処
理(上村工業社製「SKN−300」)によってガラス
基板2上にメッキ触媒の付与を行った後、Ni無電解メ
ッキ液(上村工業社製「BEL−801」)中でNiの
金属膜71を析出した。メッキ膜の膜厚は処理時間に依
存するが、1分間で膜厚0.15μmのNiの金属膜7
1を形成できた。金属膜71の膜厚は0.05〜0.3
μm程度である。金属膜71の材料としては、後工程の
焼成処理で融解しないことが必要とされるため、融点が
500℃以上の単体金属或いは合金が適し、且つ容易に
メッキ可能な材料がよい。具体的には、Ni、Cr、C
d、Pd、Rh、Pt、Sb、Ir、Ga、Ge、C
o、Fe、Au、Cu、Mn等の単体金属、或いは、こ
れらの元素を主とする二元系や三元系合金、例えば、N
i−W、Ni−Cu等が挙げられるが、メッキ及びパタ
ーニングの容易さからNiが最も良い。なお、Niの無
電解メッキの場合、使用する還元剤によってNi−P及
びNi−Bメッキに大別されるが、メッキ膜の耐熱性及
びパターニングの容易さから後者の方が優れる。
【0049】次いで、金属膜71を膜形成した基板上に
Agを主成分とする導体材料で上層である金属電極を形
成するが、例えば図7(b)に示すように、スクリーン
印刷法で導体材料72(Ag印刷ペースト、ESL社製
「D590」)をアドレス電極9の形状にパターン塗布
した。図中73はスクリーン版、74はスキージであ
る。次いで、170℃で30分間導体材料72を乾燥
し、さらに580℃で10分間焼成することで、図7
(c)に示すように、線幅64μmの金属電極75を形
成した。
【0050】金属電極75を形成する方法はスクリーン
印刷法でなくても、実施例4に記載のように、1)導体
材料の膜をエッチングする方法、2)フォトレジストの
凹部に導体材料を充填する方法、3)感光性を有する導
体材料を使用する方法、のいずれの方法を使用しても金
属電極75を形成できた。上記のいずれの方法で金属電
極75を形成した場合でも金属膜71がAgの拡散防止
層として機能する。
【0051】続いて、図7(d)に示すように、金属電
極75をマスク層として金属膜71のエッチングを行
い、アドレス電極9を完成させた。この場合、エッチン
グ後における金属電極75と金属膜71の線幅は同一と
なる。なお、エッチング液は金属電極75を溶解しない
か或いは実質的に溶解しないことが必要である。拡散防
止層の金属膜71がNiの場合、エッチング液には45
ボーメの塩化第二鉄水溶液を使用すれば、良好なパター
ニングが可能であった。
【0052】本実施例と前述の実施例4とを比較する
と、本実施例では上層である金属電極75をマスクとし
て拡散防止層である金属膜71をエッチングするので、
前述の実施例5と同様に、金属膜71のパターニングに
フォトリソ工程を必要とせず、工程が簡略化されてい
る。さらに、金属膜71と金属電極75の位置合わせを
行わなくても自己整合的に金属膜71の不要部分をエッ
チングできるので生産性及び安定性に優れる。さらに、
本実施例では金属膜71の形成にメッキ法を使用してい
るため、スパッタ法や真空蒸着法といった真空成膜法を
使用する実施例4及び5に比較して生産性及びコスト面
で優れる。
【0053】このように背面板となるガラス基板2上に
アドレス電極9を形成した後、アドレス電極9を覆う誘
電体層を必要に応じて形成する。例えば、スクリーン印
刷法により誘電体ペースト(日本電気硝子社製「PLS
−3232」)を塗布し、560℃で10分間焼成して
誘電体層を形成する。この焼成処理でもガラス基板への
Ag拡散は抑制された。次いで、アドレス電極9の間に
セル障壁3を形成した後、セル障壁3の壁面とセル底面
を覆うようにして蛍光体10を形成し、背面板を完成さ
せた。さらに、常法により形成した前面板と合わせてガ
ス封入することでパネルを完成させた。実際にパネル点
灯試験を行ったところ、アドレス電極が金属単層で構成
される従来のパネルと比較して、同様の駆動電圧及びパ
ネル輝度が得られた。さらに、ガラス基板上に直接、A
gを主成分とする導体材料でアドレス電極を形成する場
合と比較して、ガラス基板の変色がなく、画像表示は良
好であった。
【0054】上記の説明では、実施例1〜3で面放電型
AC型PDPにおける複合電極を例に挙げ、また実施例
4〜6で同じくアドレス電極を例に採ったが、同様の方
法により対向型AC型PDP、或いはDC型PDPとい
った各種のPDPの電極を作製した場合でも、上述した
複合電極の場合と同様の効果が得られる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明はPDPの
前面板或いは背面板に設ける電極を、Agの拡散防止層
とその上に設けられたAgを主成分とする導体材料から
なる上層とで構成したので、電極形成工程において焼成
工程後も当該ガラス基板がアンバー色を呈することな
く、パネルの画像表示に影響を与えない。
【0056】そして、この電極における拡散防止層は、
1)真空蒸着法、2)スパッタ法、3)電気メッキ法、
4)無電解メッキ法、のいずれかの方法により形成する
ことができ、中でもメッキ法を使用すれば生産性及びコ
ストの面でより優れる。さらに、上層を形成後、上層を
マスクとして拡散防止層のエッチングを行うことによ
り、マスク層を形成する工程を省略でき、且つ自己整合
的に拡散防止層の不要部分をエッチングできるため生産
性及び安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】AC型プラズマディスプレイパネルの一構成例
をその前面板と背面板を離間した状態で示す構造図であ
る。
【図2】本発明の実施例1に係るもので、AC型プラズ
マディスプレイパネルの前面板に複合電極を形成する手
順を説明するための工程図である。
【図3】本発明の実施例2に係るもので、AC型プラズ
マディスプレイパネルの前面板に複合電極を形成する手
順を説明するための工程図である。
【図4】本発明の実施例3に係るもので、AC型プラズ
マディスプレイパネルの前面板に複合電極を形成する手
順を説明するための工程図である。
【図5】本発明の実施例4に係るもので、AC型プラズ
マディスプレイパネルの背面板にアドレス電極を形成す
る手順を説明するための工程図である。
【図6】本発明の実施例5に係るもので、AC型プラズ
マディスプレイパネルの背面板にアドレス電極を形成す
る手順を説明するための工程図である。
【図7】本発明の実施例6に係るもので、AC型プラズ
マディスプレイパネルの背面板にアドレス電極を形成す
る手順を説明するための工程図である。
【符号の説明】
1 前面板 2 背面板 3 障壁リブ 4 維持電極 5 バス電極 6 複合電極 7 誘電体層 8 保護層(MgO層) 9 アドレス層 10 蛍光層 21 金属膜 22 マスク層 23 導体材料 24 スクリーン版 25 スキージ 26 金属電極 31 金属膜 32 導体材料 33 スクリーン版 34 スキージ 35 金属電極 41 金属膜 42 導体材料 43 スクリーン版 44 スキージ 45 金属電極 51 金属膜 52 マスク層 53 導体材料 54 スクリーン版 55 スキージ 56 金属電極 61 金属膜 62 導体材料 63 スクリーン版 64 スキージ 65 金属電極 71 金属膜 72 導体材料 73 スクリーン版 74 スキージ 75 金属電極

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマディスプレイパネルの前面板或
    いは背面板上に設けられる電極であって、Agの拡散防
    止層とその上に設けられたAgを主成分とする導体材料
    からなる上層とで構成されることを特徴とするプラズマ
    ディスプレイパネルの電極。
  2. 【請求項2】 前記拡散防止層に融点が500℃以上の
    単体金属或いは合金を使用した請求項1に記載のプラズ
    マディスプレイパネルの電極。
  3. 【請求項3】 前記拡散防止層の線幅が前記上層の線幅
    と同じかそれ以上である請求項1又は2に記載のプラズ
    マディスプレイパネルの電極。
  4. 【請求項4】 前記拡散防止層が透明導電性膜からなる
    下層の上に設けられてなる請求項1,2又は3に記載の
    プラズマディスプレイパネルの電極。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の電極に
    おける拡散防止層を真空蒸着法或いはスパッタ法で形成
    することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの電
    極の形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の電極に
    おける拡散防止層を電気メッキ法或いは無電解メッキ法
    で形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネ
    ルの電極の形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載の電極を
    形成する方法であって、前記上層をマスクとして前記拡
    散防止層をエッチングすることを特徴とするプラズマデ
    ィスプレイパネルの電極の形成方法。
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