JP4408312B2 - 電極の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極の形成方法に関する。更に詳しくは、本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)のような表示装置に好適に使用することができる電極の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表示装置として、CRT、液晶表示装置(LCD)、プラズマアドレス液晶表示装置(PALC)、PDP等が知られているが、この内、PDPは、大型化及び薄型化が容易であるため、壁掛けテレビ、ハイビジョンテレビ、公共表示装置、コンピュータ用モニタとして使用することが期待されている。
【0003】
PDPの一例を図4に示す。図4は、面放電交流駆動方式のPDPの概略斜視図である。図4のPDPは背面基板Bと前面基板Aとからなる。背面基板Bは、ガラスからなる基板105上に所定の間隔で形成されたアドレス電極102、アドレス電極102間に形成された隔壁103、隔壁103の側面とアドレス電極102を覆うように形成された蛍光体層104を備えている。一方、前面基板Aは、ガラスからなる基板101上に形成された2本で一対の放電電極、放電電極を覆うように基板101上に形成された誘電体層106を備えている。放電電極は、基板101側から透明導電膜107とバス電極108との積層体からなる。
【0004】
ここで、透明導電膜107はITO、NESA(SnO2)等からなり、バス電極108は、透明導電膜107より幅が狭くかつ低抵抗な、例えばCr/Cu/Crのような金属の積層体、Al、Agのような金属からなる。また、蛍光体層104はRGBの三原色のストライプ状の蛍光体材料から構成され、三原色一組で一画素を構成している。
【0005】
上記PDPにおいてアドレス電極やバス電極のような金属層には、導電性が良好なCuが通常使用されている。金属層にCuを使用する場合、金属層には、基板との密着性を向上させるための層及び金属層を覆う誘電体層を構成する低融点ガラスとCuとの反応を抑制するための層を含む必要があった。具体的には、Cr/Cu/Crからなる3層膜構造が採用されている。
【0006】
しかしながら、この3層膜構造では、Cr、Cu及びCrの順に3回エッチングが必要であり、工程が煩雑であるという問題がある。また、Cu層の側壁は、Crで覆われていないため、誘電体層を構成する低融点ガラスとCuとの反応を防ぐことができない。
【0007】
このような問題を解決する試みとして、特開平11−67104号公報に記載の方法が知られている。
【0008】
この公報には、図5に示すように、CuにCrのような分離状態が安定な金属を強制的に合金化した金属層22を基体21上に形成した後、誘電体材料層23で覆い、熱処理に付すことにより誘電体層24を形成すると共にCu層26が前記金属からなる被膜25で覆われた電極を自己整合的に形成する方法が記載されている。分離状態が安定な金属として、上記公報には、Cr、Mo、W、Fe、Co、Nb及びVが挙げられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この公報には以下のような問題があった。
(1)この公報の金属層は、基板に対する密着性が不十分であるため、密着層を形成する必要がある。電極を形成するには、金属層及び密着層をエッチングして電極の形状に成型する必要があるが、両層のエッチングを別々に行う必要があり、工程が増えるという問題があった。例えば、密着層にPDPで一般的に使用されているCrを、金属層にCu−Cr合金を使用した場合、金属層は安価な塩化第二鉄溶液のようなエッチング液を使用してエッチングできるが、このエッチング液では密着層をエッチングすることは困難であった。
(2)上記公報の実施例では、Cuに添加する他の金属の濃度が10at%以下の金属層が記載されているが、10at%では、不十分な場合がある。図6(a)及び(b)に、Crを10at%含むCu(以下、Cu−10at%Crと称する)からなる電極が低融点ガラスと反応したときの光学顕微鏡写真を示す。図6(a)では、Cuと低融点ガラスとが反応することにより、電極表面に気泡が発生している様子が示されており、図6(b)では、電極に発生する応力により、電極自体が基板からはがれて、誘電体層(IF)から露出している様子が示されている。
(3)Cu−20at%Crからなる電極を形成する場合、その電極の抵抗率は4.5μΩ・cm程度であり、Cr/Cu/Crからなる3層膜構造の約2倍である。従って、同じ抵抗率を得るためには、Cu−20at%Crからなる電極では、Cr/Cu/Crからなる3層膜構造の約2倍の厚さが必要となる。しかし、Cu−Cr合金からなる電極は膜応力が大きいため、厚くすると剥がれてしまうという問題がある。例えば、図7は、厚さ4μmのCu−20at%Crからなる電極を200℃で加熱した場合に、剥がれた電極の光学顕微鏡写真である。この図によれば、電極は、ガラス基板を破壊して剥がれていることが示されている。そのため、この公報による電極は、比較的薄いアドレス電極としてはなんとか使用することができるものの、比較的厚いバス電極に使用することは困難であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、Cuと20〜50at%のCuと分離状態が安定な他の金属との合金層又は該合金層とCu層との積層体を少なくとも含む金属層を基板上に形成し、前記金属層を熱処理することにより、前記金属層の表面に、表面以外の部分より前記Cuと分離状態が安定な他の金属を多く含む被膜を有する電極を基板上に形成することを特徴とする電極の形成方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の合金層は、Cuと20at%以上の他の金属とから構成される。この合金層に使用できる他の金属には、Cuと分離状態が安定な金属が使用される。ここで、分離状態が安定な金属は、例えば、例えば、Max Hansenによる“Constitution of Binary Alloys”(McGraw−Hill Book Company刊)に記載された2元系金属の相図(状態図)によって選定することができる。特に、PDP用の電極を形成する場合、PDPの製造時の最高工程温度は600℃程度になるが、この温度でのCuへの固溶度が1at%以下の金属を使用することが好ましい。この固溶度までならCuの抵抗率の上昇をある程度抑制することができるからである。具体的には、他の金属としては、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ta、Nb、Zr等が挙げられる。
【0012】
以下の表1に各種合金の熱処理温度と電極の比抵抗(μΩ・cm)との関係を示す。
【0013】
【表1】
【0014】
上記表1から、Cu−Cr合金からなる電極が最も抵抗率が低下しやすいことが分かる。このことは、この合金が、その中のCrが電極の表面に移動して被膜を形成しやすいことを意味している。このCu−Cr合金について、本発明の発明者等は検討した結果、以下の知見を得た。
(1)例えば、電極をPDPに使用する場合、基体上に形成された電極上に低融点ガラスペーストを焼成することで誘電体層を形成する前に、予め熱処理に付さないとき(即ち、電極の表面に被覆形成しないとき)、Crの添加量が10at%では、低融点ガラスとCuとの反応(気泡の発生)を抑制することができず、電極が破壊されることもあった。ところが、Crの添加量が20at%の場合、低融点ガラスとCuとの反応を抑制することができた。ここで、焼成温度は、600℃とした。なお、PDPの電極として一般に使用されているCr/Cu/Crの積層体の場合、その側壁のCuが露出する部分で、低融点ガラスとCuとが反応(気泡の発生)していることを確認している。
(2)PDPのバス電極の誘電体層形成後の深さ方向の元素分布をEDXで分析した。なお、誘電体層形成時の焼成温度は、600℃とした。その結果を図8(a)〜(c)に示す。図8(a)はCr/Cu/Crの積層体からなるバス電極の、図8(b)はCu−10at%Crからなるバス電極の、図8(c)はCu−20at%Crからなるバス電極の深さ方向の元素分布をそれぞれ示している。これら図から、Crを20at%含むバス電極では、一部のCrが電極の表面に析出せず、電極内部にとどまっていることが分かった。このバス電極の形成時の約50μΩ・cmの抵抗率が、焼成後約4.5μΩ・cmになっていることを考慮すると、この理由は、電極形成時のCu−20at%Crを構成する直径100nm程度のグレインの表面にCrが析出して止まり、電極の表面に移動しきれなかったものと考えられる。この結果、低融点ガラスとCuとの反応が抑制されるものと考えられる。
【0015】
これに対して、Cu−10at%Crからなるバス電極は、大部分のCrが電極表面に移動していた。また、このように大部分のCrが移動することで、低融点ガラスとCuとの反応が抑制されるものの、工程の安定性は劣っていた。
(3)Cu−20at%Crからなるバス電極は、Cu−10at%Crからなるバス電極と比較して、隣接するPDPの構成部材との密着性が良好であった。従って、Cu−20at%Crからなるバス電極は、隣接する構成部材との間に密着層を設ける必要がない。そのため、従来電極の形成時に、密着層と電極を構成する金属のそれぞれについてエッチングすることが必要であったが、Cu−20at%Crからなるバス電極は、その必要がなく1回エッチングするだけで電極を形成できる。
【0016】
なお、上記では他の金属としてCrの場合について記載したが、Cr以外の金属についても、それら金属を20at%以上含む合金が使用される。他の金属の含有量は、20〜50at%であることが好ましい。例えば、Crを50at%より多く含むCu−Crからなる金属層を基体上に形成すると、基体との界面や層の表面に、直径100Å程度のオーダーのCrが室温でも析出する。このCrは通常Cuのエッチングに使用される塩化第二鉄水溶液でエッチングすることが困難であるので、Crのエッチング工程を別に設ける必要がある。特に好ましい他の金属の含有量は、25〜50at%である。
【0017】
本発明の金属層は、上記合金層又は上記合金層とCu層との積層体を少なくとも含みさえすれば、どのような構成を有していてもよい。具体的には、以下のような構成が挙げられる。
(1)合金層のみからなる金属層2を基体1上に形成する(図1(1)参照)。この金属層を熱処理すれば、表面が他の金属を多く含む被膜で被覆された電極3が形成できる。この場合、合金層の厚さは、1〜4μmであることが好ましい。
(2)表面側から、他の金属を高濃度に含む合金層(以下、高濃度合金層)4及び他の金属を低濃度に含む合金層(以下、低濃度合金層)5からなる金属層を基体1上に形成する(図1(2)参照)。この金属層を熱処理すれば、高濃度合金層由来の密着層6を備え、表面が他の金属を多く含む被膜で被覆された電極が形成できる。低濃度合金層は、熱処理により被膜7で覆われたCu層8となる。なお、高濃度合金層中の他の金属の濃度は20〜50at%であることが好ましく、低濃度合金層中の他の金属の濃度は1〜20at%であることが好ましい。更に、高濃度合金層4と低濃度合金層5の厚さは、それぞれ0.1〜2μmと1〜4μmであることが好ましい。また、ここでいう密着層は、Cu用のエッチング液でエッチングすることが可能な組成からなる。
(3)基体1上に、高濃度合金層4と低濃度合金層5をこの順で形成する(図1(3)参照)。この金属層を熱処理すれば、高濃度合金層由来の密着層6を備えた表面が他の金属を多く含む被膜で被覆された電極が形成できる。低濃度合金層は、熱処理により被膜7で覆われたCu層8となる。なお、高濃度合金層中の他の金属の濃度は20〜50at%であることが好ましく、低濃度合金層中の他の金属の濃度は1〜20at%であることが好ましい。更に、高濃度合金層4と低濃度合金層5の厚さは、それぞれ0.01〜1μmと1〜4μmであることが好ましい。
(4)2層の低濃度合金層5と、それら合金層の間に挟まれたCu層9からなる金属層を基体1上に形成する(図1(4)参照)。この金属層を熱処理すれば、被膜7で覆われたCu層8からなる電極が形成できる。ここで、低濃度合金層の内、どちらか一方を高濃度合金層とすることにより、熱処理後に基体側又は表面上に高濃度合金層由来の密着層を形成することができる。低濃度合金層5とCu層9の厚さは、それぞれ0.01〜2μmと1〜4μmであることが好ましい。
(5)(4)の変形例として、低濃度合金層5、Cu層9、低濃度合金層5、Cu層9、低濃度合金層5の積層体からなる金属層を基体1上に形成する(図1(5)参照)。このようにCu層を分割して薄くすることにより、Cu層の側壁への被膜の析出がより容易になる。低濃度合金層5とCu層9の厚さは、それぞれ0.01〜2μmと0.5〜2μmであることが好ましい。
(6)2層の高濃度合金層6と、それら合金層の間に挟まれたCu層9からなる金属層を基体1上に形成し、その後金属層の側壁をクロメート処理、Coのような金属による無電解メッキで被膜10を形成する(図1(6)参照)。被膜10を設けることで、Cu層の側面と接する部材との反応をより確実に抑制することができる。
【0018】
なお、上記(1)〜(6)の構成を組み合わせてもよい。
【0019】
本発明に使用することができる基体は、特に限定されず、ガラス基板、半導体基板等の基板そのもの以外にも、絶縁膜、誘電体層等の他の構成部材を備えた基板も含まれる。
【0020】
上記金属層は、以下で説明する熱処理の前に、所望の形状にパターニングすることが好ましい。パターニングは、通常エッチングにより行うことができる。エッチングに使用するエッチング液には、Cuをエッチングすることができる塩化第二銅水溶液等を使用することができる。また、エッチングに使用するマスクは、フォトレジストを露光及び現像することにより形成することができる。更に、このマスク以外にも、金属層の所望の領域にレーザー光線のようなエネルギー線を照射して加熱を行い、その領域にのみ他の金属を析出させて、この析出した他の金属をマスクとして使用することも可能である。
【0021】
次に、本発明では、金属層を熱処理することにより金属層の表面に他の金属を多く含む被膜を有する電極を形成する。ここで、熱処理の温度は、金属層の表面に他の金属を多く含む被膜を形成することができる温度に設定される。具体的には、他の金属の種類によっても異なるが、200〜800℃であることが好ましい。更に、この熱処理は金属層の形成直後に行ってもよく、電極を備えた装置を形成するために必要な他の熱処理と同時に行ってもよい。例えば、PDPの場合、他の熱処理には、誘電体層の形成時の熱処理が該当する。
【0022】
本発明の方法により形成した電極は、少なくとも電極を有する種々の装置に使用することができる。更に、PDP、LCD、PALC等の表示装置の電極として使用することが好ましい。この内、PDPの電極として使用することが特に好ましい。より具体的には、図4の面放電交流駆動方式のPDPの場合、アドレス電極やバス電極に好適に使用することができる。以下では、図4について簡単に説明する。
【0023】
図4のPDPは、前面基板Aと背面基板Bとから構成される。
【0024】
まず、前面基板は、一般的に基板101上に形成された複数本のストライプ状の表示電極、表示電極を覆うように形成された誘電体層106とからなる。
【0025】
表示電極は、ITOのような透明導電膜107からなる。また、表示電極の抵抗を下げるために、透明導電膜107上にバス電極108を形成してもよい。
【0026】
誘電体層106は、PDPに通常使用されている材料から形成される。具体的には、低融点ガラスとバインダとからなるペーストを基板上に塗布し、例えば空気のように酸素を含む雰囲気中で、焼成することにより形成することができる。
【0027】
誘電体層106上には保護層を設けてもよい。保護層は、表示の際の放電により生じるイオンの衝突による損傷から誘電体層106を保護するために設けることができる。保護層は、例えば、MgO、CaO、SrO、BaO等からなる。
【0028】
次に、背面基板は、一般的に、基板105上に形成された複数本のストライプ状のアドレス電極102、隣接するアドレス電極間に形成された複数本のストライプ状の隔壁103、隔壁103間に壁面を含めて形成された蛍光体層104とからなる。
【0029】
隔壁103は、低融点ガラスとバインダとからなるペーストを基板105上に塗布し、焼成した後、サンドブラスト法で切削することにより形成することができる。また、バインダに感光性の樹脂を使用した場合、所定形状のマスクを使用して露光及び現像した後、焼成することにより形成することも可能である。
【0030】
蛍光体層104は、バインダが溶解された溶液に粒子状の蛍光体を分散させたペーストを、隔壁103間に塗布し、焼成することにより形成することができる。
【0031】
なお、アドレス電極102は誘電体層に覆われていてもよい。誘電体層には、上記誘電体層106と同種類のものを使用することができる。
【0032】
上記前面基板と背面基板とを、表示電極とアドレス電極が直交するように、両電極を内側にして対向させ、隔壁103により囲まれた空間に放電ガスを充填することによりPDPを形成することができる。なお、図4中、R、G及びBは、赤色表示部、緑色表示部及び青色表示部をそれぞれ示している。
【0033】
なお、本発明の電極の形成方法は、図4のPDPの構成に限らず、DC型でもよく、反射型及び透過型のいずれのPDPにも使用することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
実施例1
本発明の方法をPDPのバス電極の形成に適用した場合について、図2(a)〜(d)を用いて説明する。
工程(1)
基板11上に、公知の方法により透明導電膜12を形成した。この透明導電膜12上に、下からCu−20at%Cr層(厚さ0.1μm)、Cu−10at%Cr層(厚さ1μm)、Cu層(厚さ0.5μm)、Cu−10at%Cr層(厚さ1μm)、Cu−20at%Cr層(厚さ0.5μm)の順で金属層13を積層した(図2(a)参照)。金属層13の積層方法は、CuとCrとからなる合金ターゲット(日立金属社製)を用いてDCスパッタ法により成膜した。
工程(2)
金属層13を所定のバス電極の形状にパターニングするためのマスク14を金属層13上に形成した(図2(b)参照)。マスク14の形成方法は、フォトレジスト(日本ゼオン製ZPP−1700)を金属層13上に塗布した後、所望パターンに露光することで形成した。ここで、マスク14と接する金属層13の表面の酸化がある程度進むと、後のエッチング工程でエッチング液が金属層13とマスク14の界面に染み込むという現象が起こる。これを防ぐために、フォトレジスト塗布前に、塩酸水溶液に浸漬して金属層13の表面に形成される酸化物を除去した。
工程(3)
マスク14を介して金属層13をエッチングした(図2(c)参照)。エッチング液として塩化第二鉄水溶液を使用した。
工程(4)
マスク14を除去した後、誘電体層15を形成すると共に、金属層13をバス電極に変換した(図2(d)参照)。誘電体層15は、低融点ガラスペーストを印刷法で、透明導電膜12及び金属層13を覆うように基板11上に塗布した後、空気中、600℃、2時間の条件で焼成することにより形成した。この焼成により金属層13中の一部のCrは金属層の表面に移動し、被膜を形成した。なお、誘電体層15と金属層13には反応が見られなかった。
【0036】
上記工程により図4に示す前面基板を形成することができた。
【0037】
次に、公知の方法により、基板上に、アドレス電極、隔壁及び蛍光体層を有する背面基板を形成し、背面基板と前面基板を対向させて封止し、隔壁により囲まれた放電空間内に放電ガスを注入することにより、図4に示すごときPDPを形成した。
【0038】
実施例2
実施例1の工程(2)を以下の工程(2)’に置き換えること以外は、実施例1と同様にしてPDPを製造した。
工程(2)’
金属層13を所定のバス電極の形状にパターニングするためのマスク14aを金属層13の表面層に形成した。マスク14aには、マスクの形成を所望する領域にレーザー光線16を照射することにより、その領域を局所的に加熱して図3に示すように析出したCrを使用した。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、Cuと20at%以上の他の金属との合金層又は該合金層とCu層との積層体を少なくとも含む金属層を基体上に形成し、金属層を熱処理することにより、金属層の表面に、表面以外の部分より他の金属を多く含む被膜を有する電極を形成することができるので、被膜により電極と接触する部材(特に、誘電体層)との反応を抑制することができる。
【0040】
また、被膜は電極と接触する部材との密着性が優れているので、従来必要であったCuのエッチング液でエッチングできない密着層を省略することができる。その結果、エッチング回数を減らすことができる。
【0041】
更に、金属層にCu層を挿入することで、金属膜に生じる膜応力に起因する問題を抑制することができると共に、低抵抗化及び低コスト化を実現することができる。なお、Cu層を挿入しても、最終的に得られる電極の表面には被膜が形成されているので、電極と接触する部材との反応を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極の形成方法の概略工程断面図である。
【図2】本発明の電極の形成方法の概略工程断面図である。
【図3】本発明の電極の形成方法の一工程の概略工程断面図である。
【図4】PDPの概略斜視図である。
【図5】従来の電極の形成方法の概略工程断面図である。
【図6】従来の電極と低融点ガラスとが反応する様子を示す写真である。
【図7】従来の電極が剥がれた様子を示す写真である。
【図8】Cr/Cu/Cr、Cu−10at%Cr及びCu−20at%Crからなるバス電極の深さ方向の元素分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1、21 基体
2、13、22 金属層
3 電極
4 高濃度合金層
5 低濃度合金層
6 密着層
7、10、25 被膜
8、9、26 Cu層
11、101、105 基板
12、15 透明導電膜
14、14a マスク
16 レーザー光線
23 誘電体材料層
24、106 誘電体層
102 アドレス電極
103 隔壁
104 蛍光体層
107 透明導電膜
108 バス電極
A 前面基板
B 背面基板
R 赤色表示部
G 緑色表示部
B 青色表示部
Claims (8)
- Cuと20〜50at%のCuと分離状態が安定な他の金属との合金層又は該合金層とCu層との積層体を少なくとも含む金属層を基板上に形成し、前記金属層を熱処理することにより、前記金属層の表面に、表面以外の部分より前記Cuと分離状態が安定な他の金属を多く含む被膜を有する電極を基板上に形成することを特徴とする電極の形成方法。
- 前記合金層が、前記Cuと分離状態が安定な他の金属を25〜50at%含む請求項1に記載の電極の形成方法。
- 前記Cuと分離状態が安定な他の金属が、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ta、Nb及びZrから選択される請求項1又は2に記載の電極の形成方法。
- 前記金属層が、Cuと前記Cuと分離状態が安定な他の金属20〜50at%との第1合金層、Cu層及びCuと前記Cuと分離状態が安定な他の金属20〜50at%との第2合金層の積層体を少なくとも含む請求項1〜3のいずれかに記載の電極の形成方法。
- 前記金属層が、その最上層、最下層又は両層にCuと前記Cuと分離状態が安定な他の金属との合金層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の電極の形成方法。
- 前記金属層が、Cu層を2層以上含む請求項1〜5のいずれかに記載の電極の形成方法。
- 前記金属層の所望パターン部位に光を照射して加熱することにより、前記金属層中に含まれる他の金属を析出させてマスクを形成する請求項1〜6のいずれかに記載の電極の形成方法。
- 電極を形成したガラス基板を有する表示装置の製造方法であって、
Cuと20〜50at%のCuと分離状態が安定な他の金属との合金層又は該合金層とCu層との積層体を少なくとも含む金属層をガラス基板上に形成し、前記金属層を熱処理することにより、前記金属層の表面に、表面以外の部分より前記Cuと分離状態が安定な他の金属を多く含む被膜を有する電極をガラス基板上に形成することを特徴とする表示装置の製造方法。
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