JPH09245433A - データ再生装置 - Google Patents

データ再生装置

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JPH09245433A
JPH09245433A JP7303596A JP7303596A JPH09245433A JP H09245433 A JPH09245433 A JP H09245433A JP 7303596 A JP7303596 A JP 7303596A JP 7303596 A JP7303596 A JP 7303596A JP H09245433 A JPH09245433 A JP H09245433A
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JP7303596A
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Hisakado Hirasaka
久門 平坂
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 A/D変換手段のダイナミックレンジを可変
制御し、飽和防止と量子化誤差の減少を実現する。 【解決手段】 データ再生装置の動作が定常状態である
ときはダイナミックレンジを小さく、また当該データ再
生装置の動作が特殊状態であるときはダイナミックレン
ジを大きくする。また定常状態ではダイナミックレンジ
可変制御動作の応答性を遅く、特殊状態では応答性を早
くする。ダイナミックレンジを拡大する際には応答性を
早くする。またA/D変換手段の出力及び等化手段の出
力の両方を監視して、A/D変換手段におけるダイナミ
ックレンジを適応的に可変制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体から読み
出された信号をデジタルデータに変換して等化処理やデ
コード処理を行ない、データを再生するデータ再生装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気テープ、磁気ディスク、光ディス
ク、光磁気ディスクなど、各種の記録媒体及びそれに対
応する記録再生装置が普及している。近年の高密度デジ
タル記録システムにおける再生装置では、再生ヘッドに
よって記録媒体から読み出された信号(RF信号)に対
してアナログイコライザやデジタルフィルタによる等化
処理を行ない、等化されたRF信号をA/D変換する。
そしてデジタルデータに対して等化処理、2値化処理、
デコード処理、エラー訂正処理等を行なってデータを再
生することが多い。これは、高密度デジタル記録システ
ムのRF信号処理技術として、等化方式をパーシャルレ
スポンス方式、検出方式を最尤復号法(ビタビ復号:ビ
タビ検出:Maximum Likelyhood Detection Method )と
いう組み合わせ(PRML方式)を採用する例が増えて
いるためである。
【0003】例えばDAT(デジタルオーディオテー
プ)記録再生装置を例にあげると、従前は積分等化を採
用し、RF処理としてはアナログリミッタで2値化を行
ない、デコード及びエラー訂正という簡単な構成ですん
でいたが、PRML方式を採用した場合は、ビタビ検出
動作が、等化されたRF信号の検出点電圧系列(サンプ
リングデータ系列)をデジタル信号処理することで2値
化する仕組みであるため、RF信号をサンプリングする
ためのA/D変換器が必要となる。
【0004】ところが、A/D変換器はアナログ−デジ
タル変換可能な信号入力範囲として固有のダイナミック
レンジを持ち、ダイナミックレンジに比べて入力信号レ
ベルが適正範囲でない場合は良好なサンプルデータが得
られず、検出エラーが多発するという事態が生ずる。
【0005】即ちダイナミックレンジに比べて著しく小
さい振幅のRF信号が入力された場合は、A/D変換器
の出力(サンプルデータ)中の量子化誤差が増大し、S
N比が悪化するため検出エラーが増加する。またダイナ
ミックレンジを越えるような大振幅のRF信号が入力さ
れた場合は、サンプルデータは飽和したデータとなり、
即ちA/D変換動作における直線性が損なわれてしま
う。このようなサンプルデータのSN比は極度に劣化し
ており、検出エラーは大幅に増加する。
【0006】これらの状況を図12〜図25で説明す
る。RF信号をクラス1パーシャルレスポンス方式(P
R(1,1) 方式)で等化された波形であるとして説明す
る。図12はクラス1パーシャルレスポンス等化波形の
アイパターンである。この等化波形は、図中〇で示すサ
ンプルポイント(検出点)で『1』『0』『−1』の3
種類の値を取りうる。しかし現実の波形はノイズを含む
のでこの図のようにサンプルポイントで1点に収束する
ことはなくばらつく。
【0007】このような波形をサンプリングすると、図
13のような、3つの電圧を中心に分布したサンプルデ
ータ分布が得られる。この図13はRF信号をA/D変
換器でサンプリングしたサンプルデータ値(電圧値)を
30000ポイント表示したグラフである。これはA/
D変換器の精度を8ビット(−128〜+127)と
し、A/D変換器のダイナミックレンジを概略図14の
ように設定したときの状態である。つまり図14のよう
にRF信号波形の振幅(斜線部)に対してA/D変換器
のダイナミックレンジとして或る程度の飽和余裕をと
り、RF信号振幅に対してA/D変換器のダイナミック
レンジがだいたい適正な状態に設定されているとされる
場合である。このような場合は、図13のように、ほぼ
±100ポイントのサンプリングデータ分布が得られ
た。
【0008】次に、RF信号電圧(振幅)が図15のよ
うに、図14に比べてほぼ半分になった場合について考
えてみる。このときのサンプルデータ分布は図16のよ
うになる。図16のグラフは前記図13と同一スケール
により示したものであり、これを拡大したのが図17で
ある。図16からわかるように、サンプルデータ分布は
約±50ポイントの範囲の分布となり、特に図13に対
して図17を比較してわかるようにサンプルデータ分布
はまばらになっている。これはA/D変換器のダイナミ
ックレンジに対してRF信号振幅が小さくなることで量
子化誤差が増加していることを意味する。
【0009】さらに、RF信号電圧(振幅)が図14の
状態に比べて約1/4、約1/8となった場合の分布を
それぞれ図18、図20に示す。図18、図20は前記
図13と同一スケールにより示したものであり、図18
を拡大したのが図19、図20を拡大したものが図21
である。これらの図からは、サンプルデータ分布はさら
にまばらになっていることが観測され、つまりA/D変
換器のダイナミックレンジに対してRF信号振幅が小さ
くなっていくほど量子化誤差が増加していくことが理解
される。
【0010】次に、RF信号振幅がA/D変換器のダイ
ナミックレンジを越えるようなものとなった場合を考え
る。図22は、図23に示すようにA/D変換器のダイ
ナミックレンジを設定した場合のサンプルデータの分布
を示している。つまり、図14のようにダイナミックレ
ンジが標準的なものとなっている場合に比べてRF信号
振幅が約1.5 倍となった例である。図22の分布状態で
は、サンプルデータの値の最大値は+127、最小値は
−128に制限され、飽和していることが観測される。
RF信号電圧がたった約1.5 倍大きくなるような変化を
したに過ぎないが、これによってA/D変換動作の直線
性が損なわれる。そしてこのようなサンプルデータ系列
に対してはビタビ復号は正常動作せず、エラーが多発す
ることになる。
【0011】さらに図24は、図25に示すようにA/
D変換器のダイナミックレンジを設定した場合のサンプ
ルデータの分布を示している。これは図14のようにダ
イナミックレンジが標準的なものとなっている場合に比
べてRF信号振幅が約2倍となった例である。この図2
4の分布状態でもサンプルデータの値の最大値は+12
7、最小値は−128に制限され、飽和していることが
観測される。そしてRF信号電圧が約2倍大きくなるこ
とによりA/D変換動作の直線性は大きく損なわれ、こ
のようなサンプルデータ系列に対してはビタビ復号は正
常動作せず、エラーはより多発することになる。
【0012】以上のようにダイナミックレンジに比べて
入力信号レベルが適正範囲でない場合はA/D変換器か
ら良好なサンプルデータが得られず、検出エラーが多発
することになる。このような事情に対して本出願人は先
行技術として特願平6−183945号に記載した提案
を行なった。この特願平6−183945号には、A/
D変換器の出力に応じてA/D変換器の入力レベルを制
御するAGC回路(オートゲインコントロール回路)を
設けることで、入力信号をA/D変換器のダイナミック
レンジに対して適切なレベルとする技術が記載されてい
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】A/D変換器の入力信
号に対するAGC回路を設けることで、通常は、A/D
変換器のダイナミックレンジに対する入力信号レベルを
適正範囲とさせることができるが、以下のような問題点
が残されている。
【0014】再生装置では、再生動作、サーチ動作な
ど、動作モードが遷移するとき、再生動作が記録媒体上
の未記録部分から既記録部分に突入したとき、再生動作
が記録媒体上の既記録部分から未記録部分に突入したと
き、などはRF信号レベルが大きく変動することがあ
る。
【0015】上述したA/D変換器のダイナミックレン
ジと入力信号レベルの関係としてはこのような場合に生
ずる突発的な振幅増大にも対処可能とすることが必要で
あるが、このためには予めダイナミックレンジを大きめ
に設定しておくことが必要である。即ち飽和余裕を持た
せることである。ところが、このような場合は量子化誤
差が増大することにもなる。つまりAGC回路による通
常時の入力レベル制御だけでは従って量子化誤差の減少
と突発的大振幅への対応という2つの要件を満たすこと
ができない。
【0016】また、入力信号振幅の突発的変化時につい
てAGC回路の応答性能を考えると次のような問題が生
ずる。まずRF信号振幅が小レベルから大レベルに突発
的に変化する時は、それまでA/D変換器のダイナミッ
クレンジに対しては小レベル信号が適正状態となるよう
にAGC制御されているため、突然の大振幅入力時には
相対的にダイナミックレンジが過小なものとなってしま
う。よってAGC回路が大振幅入力に対応してゲインを
適正状態に下げるまでの期間は、サンプルデータは飽和
するため、SN比は大きく劣化しエラーが極度に増加す
る。従って、このような場合に大振幅に即座に応答でき
るようにAGC回路には迅速な応答性能が求められる。
【0017】またRF信号振幅が大レベルから小レベル
に突発的に変化する時は、ダイナミックレンジがそれま
での大振幅RF信号に適応している状態であるので、小
レベル入力に対して相対的にダイナミックレンジが過大
なものとなってしまう。このため量子化誤差が増大し、
この場合もSN比の劣化、エラーの増大が生ずる。従っ
て、この場合にもAGC回路には迅速な応答性能が求め
られる。
【0018】ところが応答速度を速めると、収束性が悪
くAGCループが不安定になる。このため、突発的な振
幅変化に十分対応できるほど高速応答化を行なうことは
できなかった。そして高速応答化の困難な事情から、コ
ンピュータデータストレージ機器などのように頻繁に再
生/サーチなどの動作モードが変化する機器では、特に
不利なものとなっていた。つまり、AGC回路が安定す
るまでのオーバーヘッドが長くなり、これによって機器
の反応速度が遅くなるためである。
【0019】さらにデジタル等化回路を備えた装置につ
いて考えると、A/D変換器の出力段階でサンプルデー
タが飽和していなくても、デジタル等化回路の演算によ
りデータにオーバーフローが生ずる恐れがある。特に等
化特性を自動調整(適応等化)する機器の場合は、等化
特性の変化を予測できないため、等化回路の出力信号に
ついても監視を行なうことが求められている。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は以上のような問
題点に鑑みてA/D変換手段のダイナミックレンジと入
力信号レベルが常に適切な状態となるように制御可能と
するとともに、A/D変換手段のダイナミックレンジを
大きくして飽和余裕を得ることと量子化誤差を小さくす
るという相反した要件を場合分けにより満足できるよう
にすること、制御ループの安定性と応答速度の高速化と
いう相反する要件を場合分けにより満足できるようにす
ること、必要なときには量子化誤差対策よりも飽和対策
を優先すること、デジタル等化を行なう場合には、その
デジタル等化処理における飽和防止も実現すること、を
目的とする。
【0021】このため、まずA/D変換手段におけるダ
イナミックレンジを可変制御できるダイナミックレンジ
制御手段を備え、このダイナミックレンジ制御手段は、
当該データ再生装置の動作が定常状態であるときはダイ
ナミックレンジを小さく、また当該データ再生装置の動
作が特殊状態であるときはダイナミックレンジを大きく
するように制御を行なう。つまりA/D変換手段のダイ
ナミックレンジと入力信号レベルが常に適切な状態とな
るようにダイナミックレンジを可変制御するとともに、
突発的な振幅変化が殆ど発生しないと思われる定常状態
では、A/D変換手段のダイナミックレンジを小さくし
て量子化誤差を小さくするが、突発的な振幅変化が発生
する恐れのある特殊状態ではダイナミックレンジを大き
くして飽和余裕を大きくし、オーバーフローを防止す
る。
【0022】また、A/D変換手段におけるダイナミッ
クレンジをA/D変換手段の出力に応じて適応的に可変
制御できるダイナミックレンジ制御手段を備え、このダ
イナミックレンジ制御手段は、当該データ再生装置の動
作が定常状態であるときはA/D変換手段の出力に応じ
たダイナミックレンジ可変制御動作の応答性が遅くなる
ように設定され、また当該データ再生装置の動作が特殊
状態であるときはA/D変換手段の出力に応じたダイナ
ミックレンジ可変制御動作の応答性が早くなるように設
定されるようにする。つまりA/D変換手段のダイナミ
ックレンジと入力信号レベルが常に適切な状態となるよ
うにダイナミックレンジを可変制御するとともに、突発
的な振幅変化が殆ど発生しないと思われる定常状態で
は、制御の応答性を遅くして安定性を優先させ、突発的
な振幅変化が発生する恐れのある特殊状態では応答性を
速くして振幅変化に即座に対応できるようにする。
【0023】また、A/D変換手段におけるダイナミッ
クレンジをA/D変換手段の出力に応じて適応的に可変
制御できるダイナミックレンジ制御手段として、A/D
変換手段のダイナミックレンジを拡大する制御を行なう
際には、A/D変換手段の出力に応じたダイナミックレ
ンジ可変制御動作の応答性が早くなるようする。つま
り、ダイナミックレンジ拡大時にはオーバーフロー対策
を最優先させる。
【0024】また、A/D変換手段の出力及び前記等化
手段の出力の両方を監視して、A/D変換手段における
ダイナミックレンジを適応的に可変制御できるダイナミ
ックレンジ制御手段を設けることで、A/D変換処理と
デジタル等化処理の両方に関して飽和防止を実現する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各種実施の形態と
してのデータ再生装置を、DAT記録再生装置として実
現する例で説明する。なお、この例は音声データをデジ
タル化して記録/再生するDAT記録再生装置とする
が、コンピュータデータ等を対象としたデータストレー
ジ機器としてDATシステムやその他の磁気テープメデ
ィアが用いられるシステム、磁気ディスクシステム、光
磁気ディスクシステム、光ディスクシステムであって
も、本発明は同様に適用できるものである。
【0026】[第1の実施の形態]図1は磁気テープに
対しての音声信号の記録/再生を行なうDAT記録再生
装置のブロック図である。記録されるアナログ音声信号
は端子1から入力されてA/D変換器2でデジタルデー
タに変換される。そして、エラー訂正用エンコード部3
で所定のデータ単位毎にエラー訂正コードが付加され、
記録用のフォーマットとしてのデジタルデータが生成さ
れる。このデジタルデータは8−10変調部4で8−1
0変調処理されて記録用の信号とされ、プリコーダ5を
介して記録アンプ6に供給される。この記録用の信号と
しては、次のロータリトランス7を介し、ここで直流
(DC)成分がカットされることから、DCフリーの符
号則である8−10変調が採用されているものである。
またプリコーダ5は例えばクラス1パーシャルレスポン
ス(PR(1,1) )におけるプリコーダである。
【0027】記録アンプ6で増幅された信号はロータリ
ートランス7を介して回転ドラム内の記録ヘッド8に供
給され、記録ヘッド8により走行されている磁気テープ
90に対する磁気記録動作が行なわれる。図示しないが
記録ヘッド8を搭載した回転ドラムに対しては磁気テー
プ90は高さ方向に傾斜した状態で所要角度巻きつけら
れながら走行し、また回転ドラムは磁気テープ90に摺
接しながら回転されることで、いわゆるヘリカルスキャ
ン方式による記録トラックが形成されていく。
【0028】再生時には、回転ドラムに巻きつけられた
磁気テープ90が走行されるとともに回転ドラムが回転
されることで、回転ドラムに搭載されている再生ヘッド
9が記録トラックをトレースしていき、記録されたデー
タが読み出される。なお、図面上は1つの記録ヘッド
8、1つの再生ヘッド9を示しているのみであるが、実
際にはアジマスベタ記録方式が採用されるため、アジマ
ス角度の異なる2つの記録ヘッド、2つの再生ヘッドが
それぞれ互いに所定角度離れた状態で回転ドラムの周面
上に配置されていることになる。実際の形態としては2
つの記録専用ヘッドと2つの再生専用ヘッドが用いられ
る場合、2つの記録再生ヘッドが用いられる場合、1つ
の記録再生ヘッドと各1つの記録ヘッド、再生ヘッドが
採用される場合等がある。
【0029】再生ヘッド9で読み出された信号はロータ
リートランス10を介して再生アンプ11に供給され
る。なお、実際には記録用のロータリートランス7と再
生用のロータリートランス10は1つのロータリートラ
ンスで兼用できる場合もある。再生アンプ11で増幅さ
れた信号はアナログ等化回路12で等化処理されてPL
L回路13及びA/D変換器14に供給される。アナロ
グ等化回路12は、いわゆる一般的なアナログイコライ
ザとして構成され、再生ヘッド9が有する微分特性を補
正するための低域に対して積分特性を有する積分回路
と、再生ヘッド9のギャップ等によるロスを補正するた
めの高域に対して微分特性を持つ微分回路と、必要な帯
域の信号だけを通過させるローパスフィルタと、このロ
ーパスフィルタによる位相回りを補正するため振幅を変
化させずに位相を変化させる位相等化器とを備える。
【0030】PLL回路13はアナログ等化回路12か
らの出力に同期した再生クロックCKを生成し、A/D
変換器14、デジタル等化回路15、2値化回路16、
10−8変換部17、エラー訂正部18に対しての動作
クロックとして供給する。
【0031】アナログ等化回路12からの出力はA/D
変換器14でデジタルデータ化された後、その信号(サ
ンプルデータSD)はデジタル等化回路15に入力され
る。このデジタル等化回路15はトランスバーサルフィ
ルタと適応等化係数計算回路から形成される。そして適
応等化係数計算回路がトランスバーサルフィルタの出力
から予測される予測誤差に応じて適応的にタップ係数を
可変発生させ、トランスバーサルフィルタのフィルタリ
ング処理を制御する。トランスバーサルフィルタではア
ナログ等化回路12の出力段階の信号において残留する
等化誤差を最小化する働きを行なうことになるが、その
ための等化特性が、適応等化係数計算回路から与えられ
るタップ係数により適応的に最適状態に設定されること
になる。
【0032】デジタル等化回路15においてフィルタリ
ング処理された信号は2値化回路16に供給される。2
値化回路16では入力される信号を2値化し、10−8
変換部17に出力する。本例の場合、PRML方式が採
用されており、プリコーダ5からデジタル等化回路15
の出力までの伝達特性はパーシャルレスポンス特性とさ
れ、2値化回路16はビタビ復号を行なうものとされ
る。
【0033】10−8変換部17は記録時の8−10変
調に対するデコード動作を行なう。デコードされたデー
タはエラー訂正部18でエラー訂正処理がされた後、D
/A変換器25でアナログ信号とされる。つまりもとも
とのアナログ音声信号とされる。そしてアンプ26によ
り増幅されスピーカ27から音声として出力される。
【0034】A/D変換器14の出力であるサンプルデ
ータSDは、ダイナミックレンジコントロール回路19
にも供給される。詳しくは後述するが、ダイナミックレ
ンジコントロール回路19はサンプルデータSDと、制
御信号発生部21からの各種信号に応じてA/D変換器
14のダイナミックレンジを設定する値を発生させる。
その値はD/A変換器20でアナログ電圧値とされる
が、そのアナログ電圧値はA/D変換器14の基準電圧
Vrefとなる。つまりA/D変換器14は基準電圧が
ダイナミックレンジコントロール回路19により可変さ
れることで、A/D変換動作のダイナミックレンジが可
変されることになる。そしてダイナミックレンジコント
ロール回路19はA/D変換器14の出力であるサンプ
ルデータSDの値に基づいてフィードバック制御を行な
うことで、図2に模式的に示すような動作が実現され
る。
【0035】図2(a)はRF信号振幅が比較的大レベ
ルであった場合であり、このようなときは基準電圧Vr
efが大きい値とされダイナミックレンジが広げられる
ことで、A/D変換器14は入力信号に対して適度な飽
和余裕を備え、また量子化誤差も小さいものとなる適切
なダイナミックレンジとされる。また図2(b)のよう
にRF信号振幅が小さくなった場合は、基準電圧Vre
fが小さい値とされダイナミックレンジが小さくされる
ことで、A/D変換器14は入力信号に対して適度な飽
和余裕を備え、また量子化誤差も小さい適切なダイナミ
ックレンジとされる。
【0036】ダイナミックレンジコントロール回路19
は基本的にはこのようなダイナミックレンジ可変制御を
実行するが、第1の実施の形態の例としては特に制御信
号発生部21からの各種信号に応じて最適なダイナミッ
クレンジ可変制御を行なう。
【0037】制御信号発生部21から発生される各種信
号は次の通りである。タイミング基準信号TRは、サン
プルデータSDの検出タイミングの基準となる信号であ
り、例えば互いに逆アジマスとなる一対の再生ヘッド9
のヘッド切り換えに同期したスイッチングパルス(SW
P)などをタイミング基準信号TRとして用いることが
好適である。
【0038】定常状態目標値M1は、基準的なダイナミ
ックレンジとして比較的小さいダイナミックレンジを設
定するための目標値である。特殊状態目標値M2は、基
準的なダイナミックレンジとして比較的大きいダイナミ
ックレンジを設定するための目標値である。
【0039】特殊状態検出信号SSは、サーチ動作時、
及び動作モード遷移時から所定期間において『H』とな
る信号とする。即ち磁気テープ90の再生に関して早送
りサーチまたは巻き戻しサーチを行なっている期間は
『H』となる。さらに、動作モード遷移時とは、再生→
停止、再生→記録、再生→早送りサーチ、再生→巻き戻
しサーチ、停止→早送りサーチ、停止→巻き戻しサー
チ、記録→再生、記録→早送りサーチ、記録→巻き戻し
サーチ・・・・など、動作モードのあらゆる変化時のことを
いい、このような動作モード変化が発生してから所定期
間は特殊状態検出信号SSが『H』となる。制御信号発
生部21は、動作モードの変化やサーチ状態であること
は例えば図示しないシステムコントローラ(マイクロコ
ンピュータ)からの信号により検出し、それによって特
殊状態検出信号SSを『H』とするような回路系が形成
されればよい。もしくは、システムコントローラそのも
のを制御信号発生部21として機能させることも当然可
能である。
【0040】なお、RF信号状態から再生動作が磁気テ
ープ90上の未記録部分から既記録部分に突入したこ
と、又は再生動作が磁気テープ90上の既記録部分から
未記録部分に突入したことを検出して、その際にも特殊
状態検出信号SSを『H』とするようにしてもよい。
【0041】ところで図1においては破線で示すように
デジタル等化回路15の出力もダイナミックレンジコン
トロール回路19に供給されているが、これは後述する
第4、第5の実施の形態が採用される場合の構成とな
る。
【0042】図3は第1の実施の形態としての本例の要
部を示す。ダイナミックレンジコントロール回路19
は、整流回路31、ピーク検出回路32、タイミング発
生部33、減算器34、ローパスフィルタ35、乗算器
36、スイッチ37から構成されている。
【0043】A/D変換器14からのサンプルデータS
Dは整流回路31において整流される。図4(a)
(b)の整流動作の様子を示す。A/D変換器14は8
ビットA/D変換器であるとした場合、サンプルデータ
SDは図4(a)のように正値から負値までの値をとり
うる例えば8ビットデータとなる。即ちサンプルデータ
SDの量子化値としては−128〜+127まで分布す
る。このサンプルデータSDは整流回路31で整流(絶
対値化)され、図4(b)のように正値のみのデータと
なる。
【0044】整流されたサンプルデータSDSはピーク
検出回路32に供給される。ピーク検出回路32は例え
ば図5のようにコンパレータ51、8ビットフリップフ
ロップ52、スイッチ53から構成される。8ビットフ
リップフロップ52にはクリア信号がタイミング発生部
33から供給される。またPLL回路13からのクロッ
クCKがラッチクロックとして供給されている。整流さ
れたサンプルデータSDSはコンパレータ51及びスイ
ッチ53のTi端子に供給される。
【0045】コンパレータ51は入力されるサンプルデ
ータSDSとフリップフロップ52のラッチ出力につい
て大小の比較を行ない、その比較結果によりスイッチ5
3の制御を行なう。即ち、サンプルデータSDSの方が
大きいときのみスイッチ53をTi端子に接続し、サン
プルデータSDSをフリップフロップ52に蓄積させ
る。サンプルデータSDSよりフリップフロップ52の
ラッチ出力の方が大きいときはスイッチ53をTo端子
に接続し、従って、フリップフロップ52に蓄積される
値はそのまま維持される。フリップフロップ52のラッ
チ出力はピーク検出値PKとなる。
【0046】このピーク検出動作は図4(c)〜(e)
のようになる。タイミング発生部33は図4(c)のよ
うなタイミング基準信号TRに応じて、フリップフロッ
プ52に対して図4(d)のようなクリア信号CLRを
発生させる。このクリア信号CLRによりフリップフロ
ップ52はクリアされ、その時点からサンプルデータS
DSよりフリップフロップ52のラッチ出力を比較して
いき、サンプルデータSDSの方が大きければフリップ
フロップ52の蓄積値が更新されていくため、ピーク検
出値PKは図4(e)のようになる。クリア信号CLR
は磁気テープ90上の再生動作の1トラックに1回のタ
イミングで発生されることにより、1トラック単位でピ
ーク検出値PKが得られる。
【0047】ピーク検出値PKは減算器34に供給さ
れ、目標値Mが減算される。そしてその減算により得ら
れた誤差E、つまりピーク値と目標値Mの差がローパス
フィルタ35に供給される。ローパスフィルタ35は、
タイミング発生部33から図4(f)に示すようにクリ
ア信号よりも所定期間遅延したタイミングでクロック
(LPFクロック)CKL が供給されており、このLP
FクロックCKL に基づいて平滑動作が行なわれる。つ
まり、フリップフロップ52のピーク検出値PKが正し
く1トラック内のピーク値となったタイミングでの誤差
Eが平滑処理対象となる。そしてローパスフィルタ35
では、入力される誤差Eが近隣のトラック、つまり過去
数トラック分についての誤差Eとの間で平滑化が行なわ
れ、その平滑化された信号EAVは乗算器36で係数α
が乗算されてD/A変換器20に出力されることにな
る。
【0048】このような一連の動作の結果、ピーク検出
値PKが目標値Mより小さい場合はD/A変換器20へ
の出力値は小さくなり、これによりA/D変換器14の
ダイナミックレンジは小さくなる方向に修正される。逆
にピーク検出値PKが目標値Mより大きければ、A/D
変換器14のダイナミックレンジは大きくなる方向に修
正される。
【0049】ここでサンプルデータSDが−128〜+
127の値をとるものとしたときに目標値Mを+110
に設定したと考える。するとこの場合1トラック期間の
サンプルデータSDのピーク値が平均して±110とな
るように制御されることになる。この場合、A/D変換
器14での飽和に対する余裕率は、 {(127−110)/110}×100=15(%) である。
【0050】一方、量子化誤差の増加を或る程度許容し
てでも飽和余裕率を増やしたいと考えるときは目標値M
を小さくすればよい。例えば目標値Mを+50に設定す
る。このときのA/D変換器14のダイナミックレンジ
は、A/D変換器14への入力信号振幅に対して大きく
なる方向に変化されることになるため、飽和余裕率は増
加する。即ち、 {(127−50)/50}×100=154(%) となる。つまり、A/D変換器14への入力が突発的に
2.54倍に大振幅化するまでは飽和しないことになる。
【0051】以上のことから、A/D変換器14への入
力として突発な大振幅化が発生する恐れのある場合は、
目標値Mの値を小さくして、飽和余裕を高くすれば良い
ことが理解される。そこで本例では制御信号発生部21
は目標値Mとして使用できる値として、定常状態目標値
M1と特殊状態目標値M2の2つの値を、それぞれスイ
ッチ37のT1端子、T2端子に供給している。定常状
態目標値M1は、比較的小さいダイナミックレンジを設
定し、量子化誤差を少なくするための値とされ、例えば
M1=『110』とされる。特殊状態目標値M2は、量
子化誤差の増加を或る程度許容してでも飽和余裕を大き
くするために比較的大きいダイナミックレンジを設定す
るための目標値であり、例えばM2=『50』とされ
る。
【0052】そして制御信号発生部21は上述したよう
に、サーチ動作時、及び動作モード遷移時から所定期間
において『H』となる特殊状態検出信号SSをスイッチ
37の切換制御信号としてダイナミックレンジコントロ
ール回路19に供給している。特殊状態検出信号SSが
『H』となると、スイッチ37はT2端子が接続され、
特殊状態検出信号SSが『L』となると、スイッチ37
はT1端子が接続される。
【0053】特殊状態検出信号SSが『L』となってい
る期間とは、通常の再生動作時(定常状態)であり、こ
のときは定常状態目標値M1が目標値Mとして減算器3
4に供給される。従って、M1=『110』とすると、
上述のように飽和余裕率は15%であり、A/D変換器
14のダイナミックレンジは入力信号に対して量子化誤
差の少ない好適な状態に制御されることになる。一方、
特殊状態検出信号SSが『H』となっている期間、即ち
サーチ動作時、及び動作モード遷移時から所定期間では
(特殊状態)、特殊状態目標値M2が目標値Mとして減
算器34に供給される。従って、M1=『50』とする
と、上述のように飽和余裕率は154%であり、A/D
変換器14のダイナミックレンジは入力信号に対して量
子化誤差は大きいが十分な飽和余裕をもった状態に制御
される。
【0054】図6にダイナミックレンジコントロールの
様子を模式的に示す。時間軸方向(t1時点〜t6時
点)に動作モードが停止→再生→早送り(FF)サーチ
→巻戻(REW)サーチ→再生→停止と変化していった
とする。図6(a)は目標値Mの変化、図6(b)は飽
和余裕率の変化を示す。
【0055】最初に停止状態から再生が開始されてから
一定期間(t0〜t1)は特殊状態検出信号SSが
『H』となるため、特殊状態目標値M2が目標値Mとし
て用いられ、ダイナミックレンジが大きく、つまり飽和
余裕が大きくとられる。所定時間を経過し特殊状態検出
信号SSが『L』となると(t1〜t3)、定常状態目
標値M1が目標値Mとして用いられ、ダイナミックレン
ジが小さく、飽和余裕は小さいが量子化誤差は小さい状
態とされる。
【0056】さらに、t2時点から早送りサーチに移行
すると、特殊状態検出信号SSは『H』とされてダイナ
ミックレンジは大きくされ、この状態はt3〜t4時点
の巻戻サーチも継続される。さらにt4時点で再生動作
に移行しても、モード変化から所定期間であるt5時点
までは特殊状態検出信号SSは『H』のままであり、ダ
イナミックレンジが大きくされた状態は継続される。そ
してt5時点以降t6時点まではは定常状態として、ダ
イナミックレンジが小さく量子化誤差は小さい状態とさ
れる。
【0057】即ち本例では、入力信号が或る程度安定し
ている定常状態ではA/D変換器14のダイナミックレ
ンジを小さくし、量子化誤差を少なくすることでエラー
レートの向上をはかり、一方、サーチ時やモード変化時
など、A/D変換器14への入力信号が突発的な変化を
起こす恐れのあるときは、或る程度量子化誤差を許容し
ても、オーバーフローという最も避けなければならない
事態が発生しないように、A/D変換器14のダイナミ
ックレンジを大きくし、十分な飽和余裕をとるようにす
ることでエラーが極度に増加することを防止するもので
ある。
【0058】[第2の実施の形態]第2の実施の形態と
しての例を図7、図8で説明する。なお、記録再生装置
としての全体の構成は図1と同様とし、図7には要部の
みを示す。
【0059】この例におけるダイナミックレンジコント
ロール回路19で、上記第1の実施の形態でのダイナミ
ックレンジコントロール回路19と異なる点は、スイッ
チ37がなく、制御信号発生部21から固定の目標値M
が減算器34に供給されていること、及び特殊状態検出
信号SSはローパスフィルタ35に入力され、特殊状態
検出信号SSがローパスフィルタ35の応答時定数を制
御する動作を行なう点である。
【0060】ローパスフィルタ35は例えばIIRデジ
タルフィルタとして形成されるが、IIRデジタルフィ
ルタの一般的なモデルを図8(a)に示す。即ち入力デ
ータは乗算器71で係数Kと乗算され、加算器72を介
して遅延回路73で1サンプルタイミング遅延されて出
力される。遅延回路73の出力はまた乗算器74で係数
(1−K)と乗算され、加算器72にフィードバックさ
れる。このようなIIRデジタルフィルタでは、係数K
(及び1−K)の値により応答時定数が変化することが
知られている。
【0061】そこで本例では、特殊状態検出信号SSに
基づいて係数K(及び1−K)の値を変化させるように
することで、ダイナミックレンジ制御ループの応答速度
を可変するようにしたものである。
【0062】特殊状態検出信号SSが『L』となってい
る期間とは、上述したように通常の再生動作時(定常状
態)であり、このときはA/D変換器14の入力として
は急激な振幅変化はあらわれない。そしてダイナミック
レンジ制御ループの安定性を向上させるためにはダイナ
ミックレンジコントロール回路19としての応答性を或
る程度遅くしたほうがよい。そこでローパスフィルタ3
5は、特殊状態検出信号SSが『L』となっている期間
は、例えば係数K=0.1 、係数(1−K)=0.9 と設定
するようにする。するとローパスフィルタ35の応答時
定数は図8(b)のように或る程度遅い状態とされる。
【0063】一方、特殊状態検出信号SSが『H』とな
っている期間、即ちサーチ動作時、及び動作モード遷移
時から所定期間では(特殊状態)、A/D変換器14の
入力として急激な振幅変化が生ずる可能性がある。この
ような場合はダイナミックレンジコントロール動作とし
ては即座に反応してオーバーフローや量子化誤差の増大
を避ける必要がある。そこでローパスフィルタ35は、
特殊状態検出信号SSが『H』となっている期間は、例
えば係数K=0.3 、係数(1−K)=0.7 と設定するよ
うにし、応答時定数を図8(c)のように速い状態とす
る。
【0064】このような本例では、サーチ時などでA/
D変換器14の入力として急激な振幅変化が生じた場合
には即座に応答してA/D変換器14のダイナミックレ
ンジを適正に変化させ、オーバーフローや量子化誤差の
増大を避けることができ、一方定常時には適度に遅い応
答性によりダイナミックレンジ制御ループの安定性を実
現することができる。
【0065】[第3の実施の形態]第3の実施の形態と
しての例を図9で説明する。記録再生装置としての全体
の構成は図1と同様とし、図9には要部のみを示す。こ
の例が上述した第2の実施の形態としての例と異なる点
は、正負評価部38を設けている点である。正負評価部
38は減算器34の出力である誤差Eの値について、正
値か負値かを判別し、その判別結果を時点数変更信号J
としてローパスフィルタ35に供給する。
【0066】ダイナミックレンジコントロール19の動
作としては、上述したように、ピーク検出値PKが目標
値Mより小さい場合、即ち誤差Eが負の値であるとき
は、A/D変換器14のダイナミックレンジが小さくな
るように制御を行ない、一方、ピーク検出値PKが目標
値Mより大きい場合、即ち誤差Eが正の値であるとき
は、A/D変換器14のダイナミックレンジが大きくな
るように制御を行なう。正負評価部38は、誤差Eの正
負判断により、現在の処理はダイナミックレンジが大き
くなるように制御を行なうのか、小さくなるように制御
を行なうかを判別する。そして、その判別結果でローパ
スフィルタ35の時定数を制御することになる。
【0067】誤差Eが負であると判別されたときは、ロ
ーパスフィルタ35は、例えば係数K=0.1 、係数(1
−K)=0.9 と設定し、前述した図8(b)のようにロ
ーパスフィルタ35の応答時定数を或る程度遅い状態と
する。一方、誤差Eが正であると判別されたときは、ロ
ーパスフィルタ35は例えば係数K=0.3 、係数(1−
K)=0.7 と設定するようにし、応答時定数を図8
(c)のように速い状態とする。
【0068】つまり本例のダイナミックレンジコントロ
ール回路19では、A/D変換器14のダイナミックレ
ンジを拡大するときには応答性を速くするものである。
ダイナミックレンジを拡大するときとは、A/D変換器
14への入力信号振幅が大きくなるときであり、つまり
オーバーフローが生ずる可能性が発生する時である。従
って、このようなときは迅速な応答性でダイナミックレ
ンジの拡大制御を行なうことで、オーバーフロー発生を
防止するものである。即ち、最も起こってはならないオ
ーバーフローに対しての防止機能を強化するものである
といえる。
【0069】[第4の実施の形態]第4の実施の形態の
要部を図10に示す。この例におけるダイナミックレン
ジコントロール回路19の特徴としては、図1にも破線
で示したようにデジタル等化回路15の出力についても
監視するようにしている点である。この例では、A/D
変換器14の出力であるサンプルデータSDは整流回路
31Aに入力され、整流されたサンプルデータSDS1
とされる。またデジタル等化回路15の出力は整流回路
31Bに入力されて、同様に整流されたデータSDS2
とされる。
【0070】整流回路31Aで整流されたサンプルデー
タSDS1はスイッチ40のTS1端子とコンパレータ
39に供給される。また整流回路31Bで整流されたデ
ータSDS2はスイッチ40のTS2端子とコンパレー
タ39に供給される。
【0071】コンパレータ39は入力されるデータSD
S1,SDS2の値についての大小比較を行ない、その
比較結果をスイッチ40に対する制御信号として出力す
る。即ちデータSDS1の方が大きければスイッチ40
に端子TS1を接続させ、データSDS2の方が大きけ
ればスイッチ40に端子TS2を接続させる。
【0072】従って、A/D変換器14から出力された
サンプルデータSDとデジタル等化回路15の出力のう
ち、絶対値として大きいほうのデータがピーク検出回路
32に供給され、ピーク検出動作の対象とされることに
なる。そして上述してきた各例と同様に、ピーク検出値
PKと目標値Mが減算器34で減算され、得られた誤差
Eに応じてダイナミックレンジの可変制御が行なわれ
る。
【0073】このような本例では、デジタル等化回路1
5もダイナミックレンジ制御ループに組み込まれること
になる。仮にA/D変換器14においてオーバーフロー
が発生しなくても、デジタル等化回路15における演算
でサンプルデータがオーバーフローする恐れもある。デ
ジタル等化回路15におけるオーバーフローを防止する
には、そのような恐れがあるときにA/D変換器14の
ダイナミックレンジを大きくすればよい。
【0074】そこで本例のようにデジタル等化回路15
もダイナミックレンジ制御ループに組み込み、デジタル
等化回路15の出力とA/D変換器14の出力の両方を
監視して、ピーク検出を行なうことで、デジタル等化回
路15でのオバーフローも発生しないようにする、A/
D変換器14のダイナミックレンジ制御が可能となる。
【0075】[第5の実施の形態]第4の実施の形態の
要部を図11に示す。この例は、ここまで説明してきた
第1〜第4の実施の形態としてのダイナミックレンジコ
ントロール回路の特徴を全て備えるようにしたものであ
る。
【0076】即ち第1の実施の形態と同様に、スイッチ
37が特殊状態検出信号SSに応じて切り換わるように
し、つまり特殊状態検出信号SSにより目標値Mを定常
状態目標値M1と特殊状態目標値M2に切り換えるよう
にする。これにより、定常再生状態では小さいダイナミ
ックレンジで量子化誤差を少なく、またサーチ時、モー
ド遷移時はダイナミックレンジを大きくして突発的な大
振幅入力に対しても飽和余裕が得られるようにする。
【0077】また第2の実施の形態と同様に、特殊状態
検出信号SSによりローパスフィルタ35の応答時定数
を変化させるとともに、第3の実施の形態と同様に誤差
Eの正負評価に応じてもローパスフィルタ35の応答時
定数を変化させる。このため特殊状態検出信号SSはオ
アゲート41を介してローパスフィルタ35に供給さ
れ、また正負評価部38からの時定数変更信号Jもオア
ゲート41を介してローパスフィルタ35に供給され
る。
【0078】従って、サーチ時、モード遷移時にはロー
パスフィルタ35は高速応答状態とされ、さらにダイナ
ミックレンジを拡大制御する際も高速応答状態とされ
る。これにより、A/D変換器14の入力として急激な
振幅変化が生じても即座に応答してA/D変換器14の
ダイナミックレンジを適正に変化させ、オーバーフロー
や量子化誤差の増大を避けることができるように応答性
を速くし、一方定常時には適度に遅い応答性としてダイ
ナミックレンジ制御ループの安定性を得る。また、オー
バーフローの恐れのあるダイナミックレンジ拡大時にも
高速応答状態とされることで、オーバーフローを確実に
回避できるようにしている。
【0079】さらに第4の実施の形態と同様にデジタル
等化回路15の出力もダイナミックレンジ制御ループに
取り込むようにしているため、A/D変換器14だけで
なくデジタル等化回路15でのオーバーフロー防止とい
う機能も発揮されることになる。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように本発明のデータ再生
装置では、A/D変換手段におけるダイナミックレンジ
を可変制御できるダイナミックレンジ制御手段として、
当該データ再生装置の動作が定常状態であるときはダイ
ナミックレンジを小さく、また当該データ再生装置の動
作が特殊状態であるときはダイナミックレンジを大きく
するように制御を行なうようにしている。このため、A
/D変換手段のダイナミックレンジと入力信号レベルが
常に適切な状態となるようにダイナミックレンジを可変
制御されるとともに、突発的な振幅変化が殆ど発生しな
いと思われる定常状態では、A/D変換手段のダイナミ
ックレンジを小さくして量子化誤差を小さくし、再生デ
ータとしてのエラーレートの向上を実現できる。また、
突発的な振幅変化が発生する恐れのある特殊状態ではダ
イナミックレンジを大きくして飽和余裕を大きくし、少
なくともオーバーフローを防止することが実現され、エ
ラーが極度に増加することを防止できるという効果があ
る。特に特殊状態であるときとは、当該データ再生装置
がサーチ動作を行なっている期間や、動作モードが遷移
したときの所定期間とすることが最もその効果が有効に
発揮されることになる。
【0081】また、ダイナミックレンジ制御手段は、当
該データ再生装置の動作が定常状態であるときはA/D
変換手段の出力に応じたダイナミックレンジ可変制御動
作の応答性が遅くなるように設定され、また当該データ
再生装置の動作が特殊状態であるときはA/D変換手段
の出力に応じたダイナミックレンジ可変制御動作の応答
性が早くなるように設定することで、特殊状態において
急激な振幅変化が生じた場合には即座に応答してダイナ
ミックレンジを適正に変化させ、オーバーフローや量子
化誤差の増大を避けることができる。また定常時には適
度に遅い応答性によりダイナミックレンジ制御ループの
安定性を実現することができるという効果がある。これ
についても特殊状態であるときとは、当該データ再生装
置がサーチ動作を行なっている期間や、動作モードが遷
移したときの所定期間とすることで最もその効果が有効
に発揮される。
【0082】さらに本発明では、ダイナミックレンジ制
御手段は、A/D変換手段のダイナミックレンジを拡大
する制御を行なう際には、A/D変換手段の出力に応じ
たダイナミックレンジ可変制御動作の応答性が早くなる
ように設定されるようにしている。つまりオーバーフロ
ーが生ずる可能性が発生するダイナミックレンジの拡大
制御時に応答性を速くすることで、最も起こってはなら
ないオーバーフローに対しての防止機能を強化すること
ができるという効果がある。
【0083】さらに本発明では、A/D変換手段の出力
と等化手段の出力の両方を監視して、A/D変換手段に
おけるダイナミックレンジを適応的に可変制御できるダ
イナミックレンジ制御手段を備えるようにしているた
め、A/D変換手段と等化手段の両方について、オーバ
ーフローが発生しないようにする制御が実現されるとい
う効果がある。
【0084】そして以上のような効果から、本発明のデ
ータ再生装置としては、定常動作時のエラーレートの向
上、A/D変換手段と等化手段における飽和防止による
エラーレート悪化防止、制御ループ安定までの高速化に
より機器の再生性能、サーチ性能の向上、定常時の制御
ループの安定性、等が実現される。また、このために付
加する回路構成も簡易なもので実現できるという効果も
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の記録再生装置のブロック
図である。
【図2】実施の形態の基本的なダイナミックレンジ制御
動作の説明図である。
【図3】第1の実施の形態の要部のブロック図である。
【図4】実施の形態のダイナミックレンジコントロール
回路の動作の説明図である。
【図5】実施の形態のピーク検出回路の回路図である。
【図6】実施の形態のダイナミックレンジコントロール
動作の説明図である。
【図7】第2の実施の形態の要部のブロック図である。
【図8】実施の形態のローパスフィルタの応答性の説明
図である。
【図9】第3の実施の形態の要部のブロック図である。
【図10】第4の実施の形態の要部のブロック図であ
る。
【図11】第5の実施の形態の要部のブロック図であ
る。
【図12】パーシャルレスポンス等化波形のアイパター
ンの説明図である。
【図13】サンプリングデータの分布状態の説明図であ
る。
【図14】適正なダイナミックレンジ設定状態の説明図
である。
【図15】ダイナミックレンジに比べて入力信号レベル
が低い状態の説明図である。
【図16】ダイナミックレンジに比べて入力信号レベル
が低い状態でのサンプリングデータの分布状態の説明図
である。
【図17】ダイナミックレンジに比べて入力信号レベル
が低い状態でのサンプリングデータの分布状態の説明図
である。
【図18】ダイナミックレンジに比べて入力信号レベル
がより低い状態でのサンプリングデータの分布状態の説
明図である。
【図19】ダイナミックレンジに比べて入力信号レベル
がより低い状態でのサンプリングデータの分布状態の説
明図である。
【図20】ダイナミックレンジに比べて入力信号レベル
が極度に低い状態でのサンプリングデータの分布状態の
説明図である。
【図21】ダイナミックレンジに比べて入力信号レベル
が極度に低い状態でのサンプリングデータの分布状態の
説明図である。
【図22】ダイナミックレンジに比べて入力信号レベル
が大きい状態でのサンプリングデータの分布状態の説明
図である。
【図23】ダイナミックレンジに比べて入力信号レベル
が大きい状態の説明図である。
【図24】ダイナミックレンジに比べて入力信号レベル
がさらに大きい状態でのサンプリングデータの分布状態
の説明図である。
【図25】ダイナミックレンジに比べて入力信号レベル
がさらに大きい状態の説明図である。
【符号の説明】
4 8−10変調部、5 プリコーダ、6 記録アン
プ、7,10 ロータリーエンコーダ、8 記録ヘッ
ド、9 再生ヘッド、11 再生アンプ、12 アナロ
グ等化回路、13 PLL回路、14 A/D変換器、
15 デジタル等化回路、16 2値化回路、17 1
0−8変換部、18 エラー訂正部、19ダイナミック
レンジコントロール回路、20 D/A変換器、21
制御信号発生部、31,31A,31B 整流回路、3
2 ピーク検出回路、33 タイミング発生部、34
減算器、35 ローパスフィルタ、36 乗算器、3
7,40 スイッチ、38 正負評価部、39 コンパ
レータ、41 オアゲート

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体から読み出されたRF信号をA
    /D変換手段でデジタルデータに変換してデコード処理
    を行ないデータを再生するデータ再生装置において、 前記A/D変換手段におけるダイナミックレンジを可変
    制御できるダイナミックレンジ制御手段を備え、 このダイナミックレンジ制御手段は、当該データ再生装
    置の動作が定常状態であるときはダイナミックレンジを
    小さく、また当該データ再生装置の動作が特殊状態であ
    るときはダイナミックレンジを大きくするように制御を
    行なうことを特徴とするデータ再生装置。
  2. 【請求項2】 前記特殊状態であるときとは、当該デー
    タ再生装置がサーチ動作を行なっている期間及び/又は
    動作モードが遷移したときの所定期間とすることを特徴
    とする請求項1に記載のデータ再生装置。
  3. 【請求項3】 記録媒体から読み出されたRF信号をA
    /D変換手段でデジタルデータに変換してデコード処理
    を行ないデータを再生するデータ再生装置において、 前記A/D変換手段におけるダイナミックレンジを前記
    A/D変換手段の出力に応じて適応的に可変制御できる
    ダイナミックレンジ制御手段を備え、 このダイナミックレンジ制御手段は、当該データ再生装
    置の動作が定常状態であるときは前記A/D変換手段の
    出力に応じたダイナミックレンジ可変制御動作の応答性
    が遅くなるように設定され、また当該データ再生装置の
    動作が特殊状態であるときは前記A/D変換手段の出力
    に応じたダイナミックレンジ可変制御動作の応答性が早
    くなるように設定されることを特徴とするデータ再生装
    置。
  4. 【請求項4】 前記特殊状態であるときとは、当該デー
    タ再生装置がサーチ動作を行なっている期間及び/又は
    動作モードが遷移したときの所定期間とすることを特徴
    とする請求項3に記載のデータ再生装置。
  5. 【請求項5】 記録媒体から読み出されたRF信号をA
    /D変換手段でデジタルデータに変換してデコード処理
    を行ないデータを再生するデータ再生装置において、 前記A/D変換手段におけるダイナミックレンジを前記
    A/D変換手段の出力に応じて適応的に可変制御できる
    ダイナミックレンジ制御手段を備え、 このダイナミックレンジ制御手段は、前記A/D変換手
    段のダイナミックレンジを拡大する制御を行なう際に
    は、前記A/D変換手段の出力に応じたダイナミックレ
    ンジ可変制御動作の応答性が早くなるように設定される
    ことを特徴とするデータ再生装置。
  6. 【請求項6】 記録媒体から読み出されたRF信号をA
    /D変換手段でデジタルデータに変換し、等化手段で等
    化処理を行なってからデコード処理を行ないデータを再
    生するデータ再生装置において、 前記A/D変換手段の出力及び前記等化手段の出力の両
    方を監視して、前記A/D変換手段におけるダイナミッ
    クレンジを適応的に可変制御できるダイナミックレンジ
    制御手段を備えたことを特徴とするデータ再生装置。
JP7303596A 1996-03-05 1996-03-05 データ再生装置 Withdrawn JPH09245433A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006001466A1 (ja) * 2004-06-24 2006-01-05 Sony Corporation 信号処理装置、信号処理方法

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