JPH09244639A - 楽音制御装置 - Google Patents

楽音制御装置

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JPH09244639A
JPH09244639A JP8046159A JP4615996A JPH09244639A JP H09244639 A JPH09244639 A JP H09244639A JP 8046159 A JP8046159 A JP 8046159A JP 4615996 A JP4615996 A JP 4615996A JP H09244639 A JPH09244639 A JP H09244639A
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Mineo Kitamura
実音夫 北村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 残響音の広がり感を向上させ、より自然音に
近い残響効果を得られるようにする。 【解決手段】 右音源用の残響装置10Rでは、ディレ
イ回路30によって右音源の楽音波形データSRがディ
レイタイムDT1毎に繰り返し遅延され、減衰される。
さらに、左音源用の残響装置10Lから出力された残響
音データRVLがディレイ回路31によってディレイタ
イムDT2だけ遅延され、減衰率データCが乗じられて
ディレイ回路30の入力データに合成される。また、左
音源用の残響装置10Lでは、ディレイ回路32によっ
て左音源の楽音波形データSLがディレイタイムDT3
毎に繰り返し遅延され、減衰される。さらに、右音源用
の残響装置10Rから出力された残響音データRVRが
ディレイ回路33によってディレイタイムDT4だけ遅
延さ れ、減衰率データDが乗じられてディレイ回路3
2の入力データに合成される。これにより、右チャンネ
ルの残響音には左音源の残響音成分が含まれ、左チャン
ネルの残響音には右音源の残響音成分が含まれ、残響音
の広がり感が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、広がり感のある
残響音を生成する楽音制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のステレオサウンドシステムにおい
ては、図7に示すように右音源の楽音波形データSR
は、右音源用の残響装置20Rによって残響音データが
付加され、右音源用のサウンドシステム21Rへ送られ
る。また、左音源の楽音波形データSLは、左音源用の
残響装置20Lによって残響音データが付加され、左音
源用のサウンドシステム21Lへ送られる。このような
ステレオ残響音を生成する装置は、特開昭57−116
500号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来装置では、右音源用の残響装置20Rと左音源用の残
響装置20Lとが互いに独立しており、右音源用のサウ
ンドシステム21Rからは右音源の楽音とその残響音が
発音され、左音源用のサウンドシステム21Lからは左
音源の楽音とその残響音が発音される。このため、右音
源の残響音は右に偏り、左音源の残響音は左に偏って、
左右の広がり感が十分に得られない。
【0004】例えばピアノを弾く場合に、低音(高音)
は奏者の左方向(右方向)から発音されるから、直接音
は奏者の左耳(右耳)に大きなレベルで到達する。ま
た、この低音の残響音は奏者の周囲の壁に複雑に反射し
て左右の耳へ到達する。すなわち、奏者の左方(右方)
の壁に反射した楽音の一部は奏者の左耳(右耳)に到達
し、他の一部は奏者の右方(左方)の壁へ到達してさら
に反射されて奏者の右耳(左耳)に到達する。
【0005】ところが、上記従来装置では右音源用の残
響装置20Rによって生成される残響音と、左音源用の
残響装置20Lで生成される残響音とは互いに独立して
いる。このため、上記従来装置では、右音源の残響音が
奏者の右側において複数回反射する残響音と、左音源の
残響音が奏者の左方において複数回反射する残響音が生
成されるに過ぎない。すなわち、上記のように奏者の左
方(右方)の壁に反射されて右方(左方)の壁へ至り、
さらに反射されて奏者の右耳(左耳)に到達するような
反射音を作り出すことができない。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、楽音発生手段から発生された楽音データを
第1の出力手段と第2の出力手段から出力し、さらに、
第1の出力手段から出力された楽音データを遅延させて
第2の出力手段から出力させ、第2の出力手段から出力
された楽音データを遅延させて第1の出力手段から出力
させるようにしたものである。
【0007】
【作用】例えば、ステレオサウンドシステムにおいて、
右音源用のサウンドシステムから左音源の残響音が遅延
されて発音され、左音源用のサウンドシステムから右音
源の残響音が遅延されて発音される。これにより、残響
音の広がり感が向上し、より自然音に近い残響効果を得
ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
1.全体回路 図1は左右2チャンネルのステレオサウンドを発音する
電子楽器の全体回路を示 す。キーボード1の各キー
は、楽音の発音/消音の操作を行うものであり、キーボ
ードスキャン回路2によってスキャンされ、キー操作、
すなわちキーオン、キーオフを示すデータが検出され、
CPU5によってRAM6に書き込まれる。そして、そ
れまでRAM6に記憶されていた各キーのオン、オフの
状態を示すデータと比較され、各キーのオンイベント、
オフイベントの判別が、CPU5によって行われる。こ
れにより、オン/オフに係るキーのポジションが検出さ
れる。また、スキャンは周期的に行われるので、キーの
オン/オフのタイミングも検出される。なお、上記キー
ボード1は、電子弦楽器、電子管(リード)楽器、電子
打(パッド)楽器、コンピュータのキーボード等で代用
される。このキーボード1とキーボードスキャン回路2
では、キーオン、キーオフ、音高の検出のほか、打鍵の
遅速または強弱(タッチ)が検出されてタッチデータと
してCPU5へ送られる。
【0009】パネルスイッチ群3の各スイッチは、パネ
ルスキャン回路4によってスキャンされる。このスキャ
ンにより、各スイッチのオン、オフを示すデータが検出
され、CPU5によってRAM6に書き込まれる。そし
て、それまでRAM6に記憶されていた各スイッチのオ
ン、オフの状態を示すデータと比較され、各スイッチの
オンイベント、オフイベントの判別が、CPU5によっ
て行われる。
【0010】上記キーオン、キーオフ、オンイベント、
オフイベント、各スイッチのオンイベント、オフイベン
トのデータは、MIDI(ミュージカル・インスツルメ
ント・デジタル・インターフェイス)回路(図示略)を
介して、他の処理装置(電子楽器)からも発生され受け
取られ、または他の処理装置(電子楽器)へも発生され
送られる。
【0011】上記パネルスイッチ群3の各スイッチのオ
ン/オフに応じた楽音制御信号と、上記キーボード1の
各キーのオン/オフに応じた楽音データは、トーンジェ
ネレータ8へ送られる。トーンジェネレータ8には、複
数チャンネル分、例えば32チャンネル分の楽音生成系
が時分割処理により生成されており、楽音をポリフォニ
ックに発音させることができる。上記32チャンネルの
楽音生成系は、キーボード1の1つのオンキーに対して
2チャンネルずつ割り当てられる。この2チャンネルは
ステレオ楽音を実現するためのものであり、この2チャ
ンネルのうち一方のチャンネルに右音源の楽音データが
割り当てられ、他方のチャンネルに左音源の楽音データ
が割り当てられる。
【0012】これら各チャンネルに割り当てられた各楽
音の楽音データに応じて生成された各楽音波形データ
は、右音源の波形データと左音源の楽音波形データとに
分けられ、左右の楽音波形データが、それぞれパンポッ
ト回路9へ送られる。トーンジェネレータ8で生成され
た楽音の波形データは、自然音における直接音に相当す
る楽音の波形データである。パンポット回路9からは右
音源の楽音波形データSRと左音源の楽音波形データS
Lとが区別されて出力される。パンポット回路9では、
右音源と左音源の楽音波形データのレベル制御(音量制
御)または位相制御が行われ、ステレオ楽音化が行われ
る。
【0013】右音源の楽音波形データSRは、右音源用
の残響装置10Rによって残響音が付加されて、右音源
用のサウンドシステム11Rへ送られる。左音源の楽音
波形データSLは、左音源用の残響装置10Lによって
残響音が付加されて、左音源用のサウンドシステム11
Lへ送られる。サウンドシステム11R、11Lは、D
−A変換器で楽音の波形データをアナログ信号に変換
し、増幅器で増幅したのちスピーカから可聴音として楽
音を発音する。また、右音源の残響音データRVRは左
音源用の残響装置10Lへも送られ、左音源の残響音デ
ータRVLは右音源用の残響装置10Rへも送られる。
【0014】2.データテーブル(ROM7) ROM7内には図2に示すようなディレイタイムデータ
DT1、DT2、DT3、DT4と減衰率データA、
B、C、Dのデータテーブル16が記憶されている。こ
れらのデータは、音楽的ファクタ毎、及び発音開始から
の経過時間毎、エンベロープレベルまたはエンベロープ
フェーズ毎に多層的に記憶されている。また、DT1、
DT3≦(DT2、DT4)/2であり、0<A、B、
C、D<1である。なお、減衰率は入力レベルに対する
出力レベルの変化率でも良い。これら各データDT1〜
4、 A、B、C、Dの各値は何れかが同じであっても
良いし、全て異なっていても良い。また、DT1、DT
3<DT2、DT4であれば良い。
【0015】上記発音経過時間は音長を表し、発音開始
(キーオン)からの経過時間、エンベロープ等である。
音楽的ファクタは、音高的ファクタ、音色的ファクタ、
タッチ的ファクタ、パート的ファクタ、エフェクト的フ
ァクタ、リズム的ファクタ、クオンタイズ情報、音像情
報(ステレオ的ファクタ、音像形成データ)、変調情
報、テンポ情報、音量情報、フォルマント情報、または
エンベロープ情報(エンベロープレベル)等である。
【0016】上記音高的ファクタは、例えば音高、音域
等である。上記音色的ファクタは、例えば楽器(ピア
ノ、バイオリン、フルート、ドラム等)の種類、高調波
成分、ノイズ成分、楽音波形の形状(正弦波、三角波、
鋸波、またはピアノの楽音波形やフルートの楽音波形等
の楽器の種類に応じた楽音波形等)等である。上記タッ
チ的ファクタは、例えばキー操作の速さまたは強さ、イ
ニシャルタッチ、アフタータッチ、ベロシティ等であ
る。
【0017】上記パート的ファクタは、具体的には、メ
ロディ、伴奏、コード、ベース等の演奏パート、楽器の
種類等の楽器的ファクタに応じた楽音パート、ピアノの
上鍵盤、下鍵盤、足鍵盤のように楽器の部分に応じた楽
器パートである。また、上記音像情報(ステレオ的ファ
クタ、音像形成データ)は、音像ポジションを決めるデ
ータであって、例えば各チャンネルの楽音のレベルを設
定するレベル設定データ、各チャンネルの楽音の位相を
設定する位相設定データであって、これらのデータによ
って音像の位置 (方向)、大きさ等が設定される。
【0018】3.第1実施例の残響装置10R、10L 図3は右音源用の残響装置10R及び左音源用の残響装
置10Lを示す。右音源用の残響装置10Rは、2つの
ディレイ回路30、31と2つのクロックジェネレータ
40、41とレジスタ44を備えている。同様に、左音
源用の残響装置10Rは、2つのディレイ回路32、3
3と2つのクロックジェネレータ42、43とレジスタ
45を備えている。上記ディレイ回路30〜33は、例
えばCCD(Charge Coupled device)またはBBD(B
ucket Brigade Device)で構成されている。
【0019】CPU5によってROM7のデータテーブ
ルからディレイタイムデータDT1、DT2と減衰率デ
ータA、Cが読み出されて、右音源用の残響装置10R
へ送られる。また、CPU5によってROM7のデータ
テーブルからディレイタイムデータDT 3、DT4と
減衰率データB、Dが読み出されて、左音源用の残響装
置10Lへ送られる。これらのディレイタイムデータと
減衰率データは、発音経過時間と音楽的ファクタに応じ
てROM7から読み出される。
【0020】クロックジェネレータ40〜43はプログ
ラマブル・クロックジェネレータであ る。CPU5に
よってROM7から読み出されたディレイタイムデータ
DT1、DT2、DT3、DT4がプログラムデータと
して入力され、これによってクロックジェネレータ40
〜43からはディレイタイムデータDT1、DT2、D
T3、DT4に応じた周期のクロック信号φ1、φ2、
φ3、φ4が出力される。レジスタ44、45には、C
PU5によってROM7のデータテーブルから読み出さ
れた減衰率データA、B、C、Dが記憶され、これらの
減衰率データは所定タイミングで乗算器36〜39へ送
られる。
【0021】右音源用の残響装置10R内のディレイ回
路30は、クロック信号φ1に同期して入力データを遅
延させて出力する。このディレイ回路30のフィードバ
ックループには乗算器36が介在されており、フィード
バックデータに減衰率データAが乗じら れ、加算器3
4を介してフィードバックされる。同様に、左音源用の
残響装置10L内のディレイ回路32は、クロック信号
φ3に同期して入力データを遅延させて出力する。この
ディレイ回路32のフィードバックループには乗算器3
8が介在されており、フィードバックデータに減衰率デ
ータBが乗じられ、加算器35を介してフィードバック
される。
【0022】右音源用の残響装置10R内のディレイ回
路31は、クロック信号φ2に同期して左音源用の残響
装置10L内のディレイ回路32の出力データRVLを
遅延させる。このディレイ回路31の出力データには乗
算器37によって減衰率データCが乗じられ、加算器3
4を介してディレイ回路30へ入力される。また、左音
源用の残響装置10L内のディレイ回路33は、クロッ
ク信号φ4に同期して右音源用の残響装置10R内のデ
ィレイ回路30の出力データRVRを遅延させる。この
ディレイ回路33の出力データには乗算器39によって
減衰率データDが乗じられ、加算器35を介してディレ
イ回路32に入力される。
【0023】従って、右音源用の残響装置10Rから出
力される残響音データRVRは、減衰率Dが乗じられ
て、ディレイタイムDT4とディレイタイムDT3とを
合わせた遅延時間後に左音源用の残響装置10Lから出
力される。また、左音源用の残響装置10Lから出力さ
れる残響音データRVLは、減衰率Cが乗じられて、デ
ィレイタイムDT2とディレイタイムDT1とを合わせ
た遅延時間後に右音源用の残響装置10Rから出力され
る。
【0024】4.発音動作 キーボード1のキーが打鍵されると、キーボードスキャ
ン回路2から打鍵されたキーのオンイベント信号がCP
U5へ送られる。CPU5は、キーオンイベントがあっ
たキーのキーナンバデータとパネルスキャン回路4から
送られるスイッチのオン/オフデータや数値データに応
じた楽音制御データをRAM6から読み出してトーンジ
ェネレータ8へ送る。トーンジェネレータ8は、パネル
スイッチ群3において設定された音楽的ファクタ及びキ
ーナンバデータに応じた基本楽音波形データをRAM6
から読み出す。そして、この基本楽音波形データにエン
ベロープを付加したり、楽音制御データに応じた変調を
行って波形を整形する等の信号処理を行う。
【0025】これにより、自然音における直接音に相当
する楽音の左右の音源の波形データ、すなわち上記直接
音データSが生成される。この直接音データSはパンポ
ット回路9へ送られる。パンポット回路9では、パネル
スイッチ群3において設定されたまたは自動演奏データ
内の音像位置データに応じて、左右の音源の楽音波形デ
ータのレベル制御または位相制御が行われる。パンポッ
ト回路9によって生成された右音源の楽音波形データS
Rは右音源用の残響装置10Rへ送られ、左音源の楽音
波形データSLは左音源用の残響装置10Lへ送られ
る。これらステレオシステムのレベル制御(音量制御)
または位相制御は特願平3−204404号の明細書及
び図面が参照される。
【0026】右音源用の残響装置10Rでは、ディレイ
回路30によって右音源の楽音波形データSRがディレ
イタイムDT1毎に繰り返し遅延され、減衰される。さ
らに、左音源用の残響装置10Lから出力された残響音
データRVLがディレイ回路31によってディレイタイ
ムDT2だけ遅延され、減衰率データCが乗じられてデ
ィレイ回路30の入力データに合成される。また、左音
源用の残響装置10Lでは、ディレイ回路32によって
左音源の楽音波形データSLがディレイタイムDT3毎
に繰り返し遅延され、減衰される。さらに、右音源用の
残響装置10Rから出力された残響音データRVRがデ
ィレイ回路33によってディレイタイムDT4だけ遅延
され、減衰率データDが乗じられてディレイ回路32の
入力データに合成される。
【0027】右音源用の残響装置10Rから出力される
残響音データRVRには、右音源の楽音波形データSR
の残響音データのみでなく、左音源用の残響装置10L
から出力される残響音データRVLをディレイタイムD
T2で遅延させた残響音データも含まれ る。従って、
右音源用の残響装置10Rからは、ディレイタイムφ1
毎に右音源の楽音波形データSRと左音源の残響音デー
タRVLが繰り返し遅延され、減衰された楽音波形デー
タが残響音データRVRとして出力される。
【0028】同様に、左音源用の残響装置10Lから出
力される残響音データRVLには、左音源の楽音波形デ
ータSLの残響音データのみでなく、右音源用の残響装
置10Rから出力される残響音データRVRをディレイ
タイムDT4で遅延された残響音データも含まれる。従
って、左音源用の残響装置10Lからは、ディレイタイ
ムφ3毎に左音源の楽音波形データSLと右音源用の残
響音データRVRが繰り返し遅延され、減衰された楽音
波形データが残響音データRVLとして出力される。
【0029】さらに、右音源用の残響装置10Rのディ
レイ回路30には、このディレイ回路30から出力され
て左音源用の残響装置10Lによって遅延された右音源
の楽音波形データSRの残響音成分が、ディレイ回路3
1を介して入力される。同様に、左音源用の残響装置1
0Lのディレイ回路32には、このディレイ回路32か
ら出力されて右音源用の残響装置10Rによって遅延さ
れた左音源の楽音波形データSLの残響音成分が、ディ
レイ回路33を介して入力される。
【0030】右音源用の残響装置10Rから出力された
残響音データRVRは右音源用のサウンドシステム11
Rへ送られ、これによりサウンドシステム11Rから右
音源の楽音及び残響音が発音される。左音源用の残響装
置10Lから出力された残響音データRVLは左音源用
のサウンドシステム11Lへ送られ、これによりサウン
ドシステム11Lから左音源の楽音及び残響音が発音さ
れる。
【0031】5.残響音成分 右音源用の残響装置10Rから出力される残響音データ
RVRには、右音源の楽音波形データSRが繰り返し遅
延された残響音成分ZR、左音源の残響装置10Lから
出力される左音源の楽音波形データSLの残響音成分が
繰り返し遅延された残響音成分ZLR、前記残響音成分
ZRが左音源用の残響装置10Lによって遅延された後
に再び右音源用の残響装置10Rに入力されて繰り返し
遅延された残響音成分ZRL R、この残響音成分ZR
LRが左音源用の残響装置10Lと右音源用の残響装置
10Rとによって交互に繰り返し遅延された残響音成分
ZRLRA、この残響音成分ZRLRAが繰り返し遅延
された残響音成分ZRLRB、前記残響音成分ZLRが
左音源用の残響装置10Lと右音源用の残響装置10R
とによって交互に繰り返し遅延された残響音成分ZLR
A、及びこの残響音成分ZLRAが繰り返し遅延された
残響音成分ZLRB等が含まれている。
【0032】上記残響音成分ZRは右音源の楽音が演奏
者または聴者の右側で何度も反射されて右耳に到達する
残響音、残響音成分ZLRは左音源の楽音が演奏者また
は聴者の右側で何度も反射されて右耳に到達する残響
音、上記残響音成分ZRLRは右音源の楽音が演奏者ま
たは聴者の左側で反射され後に右側で複数回反射されて
右耳に到達する残響音、上記残響音成分ZRLRAは右
音源の楽音が演奏者または聴者の左右で交互に複数回反
射されて右耳に到達する残響音に相当する。
【0033】また、上記残響音成分ZRLRBは右音源
の楽音が演奏者または聴者の左右で交互に複数回反射さ
れた後に演奏者または聴者の右側で複数回反射されて右
耳に到達する反射音、上記残響音成分ZLRAは左音源
の楽音が演奏者の左右で交互に複数回反射されて右耳に
到達する残響音、上記残響音成分ZLRBは左音源の楽
音が演奏者または聴者の左右で交互に複数回反射された
後に演奏者または聴者の右側で複数回反射されて右耳に
到達する反射音に相当する。
【0034】同様に、左音源用の残響装置10Lから出
力される残響音データRVLには、左音源の波形データ
SLが繰り返し遅延された残響音成分ZL、右音源の残
響装置10Rから出力される右音源の波形データSRの
残響音成分が繰り返し遅延された残響音成分ZRL、前
記残響音成分ZLが右音源用の残響装置10Rによって
遅延された後に再び左音源用の残響装置10Lに入力さ
れて繰り返し遅延された残響音成分ZLR L、この残
響音成分ZLRLが右音源用の残響装置10Rと左音源
用の残響装置10Lとによって交互に繰り返し遅延され
た残響音成分ZLRLA、この残響音成分ZLRLAが
繰り返し遅延された残響音成分ZLRLB、前記残響音
成分ZRLが右音源用の残響装置10Rと左音源用の残
響装置10Lとによって交互に繰り返し遅延された残響
音成分ZRLA、及びこの残響音成分ZRLAが繰り返
し遅延された残響音成分ZRLB等が含まれている。
【0035】そして、上記残響音成分ZLは左音源の楽
音が演奏者または聴者の左側で何度も反射されて左耳に
到達する残響音、残響音成分ZRLは右音源の楽音が演
奏者または聴者の左側で何度も反射されて左耳に到達す
る残響音、上記残響音成分ZLRLは左音源の楽音が演
奏者または聴者の右側で反射され後に左側で複数回反射
されて左耳に到達する残響音、上記残響音成分ZLRL
Aは左音源の楽音が演奏者または聴者の左右で交互に複
数回反射されて左耳に到達する残響音に相当する。
【0036】また、上記残響音成分ZLRLBは左音源
の楽音が演奏者または聴者の左右で交互に複数回反射さ
れた後に演奏者または聴者の左側で複数回反射されて左
耳に到達する反射音、上記残響音成分ZRLAは右音源
の楽音が演奏者の左右で交互に複数回反射されて左耳に
到達する残響音、上記残響音成分ZRLBは右音源の楽
音が演奏者または聴者の左右で交互に複数回反射された
後に演奏者または聴者の左側で複数回反射されて左耳に
到達する反射音に相当する。
【0037】このように本実施例では、右音源用の残響
装置10Rの残響音データRVRが左音源用の残響装置
10Lへ送られ、ディレイ回路33によって遅延された
後にディレイ回路32へ入力されている。また、左音源
用の残響装置10Lの残響音データRVLが右音源用の
残響装置10Rへ送られ、ディレイ回路31によって遅
延された後にディレイ回路30へ入力されている。これ
によって本実施例では、演奏者または聴者の右側で発音
された右音源の楽音と演奏者または聴者の左側で発音さ
れた左音源の楽音とが、左右の壁で複雑に反射してでき
る残響音が生成され、残響効果の左右の広がり感を高め
ることができる。
【0038】6.第2実施例の残響装置10R、10L 図4に示すように、第2実施例の残響装置10R、10
Lは、第1実施例におけるディレイ回路31、33と、
クロックジェネレータ41、43を省略したものであ
る。この他の構成部分は第1実施例と同じである。本実
施例では、右音源用の残響装置10Rから出力される残
響音データRVRは、減衰率Dが乗じられて、ディレイ
タイムDT3後に左音源用の残響装置10Lから出力さ
れる。また、左音源用の残響装置10Lから出力される
残響音データRVLは、減衰率Cが乗じられて、ディレ
イタイムDT1後に右音源用の残響装置10Rから出力
される。
【0039】従って、残響音データRVRが左音源用の
残響装置10Lに入力されてからから出力されるまでの
遅延時間、及び残響音データRVLが右音源用の残響装
置10Rに入力されてから出力されるまでの遅延時間
は、第1実施例の場合よりも短くなる。この場合、ディ
レイ回路30等が第1の出力手段及び第2の遅延手段に
相当し、また、ディレイ回路32等が第2の出力手段及
び第1の遅延手段に相当する。
【0040】7.第3実施例の残響装置10R、10L 図5に示すように、第3実施例の残響装置10R、10
Lは、第1実施例におけるディレイ回路30、32と、
クロックジェネレータ40、42を省略し、右音源の楽
音の波形データSRと左音源の楽音の波形データSLと
が、遅延もフィードバックも減衰もされずに出力される
ようにしたものである。また、レジスタ44には減衰率
データCのみが記憶され、所定タイミングで出力され、
レジスタ45には減衰率データDのみが記憶され、所定
タイミングで出力される。
【0041】本実施例では、右音源の楽音の波形データ
SRは、加算器34を介して出力されると共に左音源用
の残響装置10Lへ送られる。残響装置10Lへ送られ
た右音源の楽音の波形データSRは、ディレイ回路33
によって遅延され、乗算器39によって減衰率データD
が乗じられ、加算器35を介して出力される。また、左
音源の楽音の波形データSLは、加算器35を介して出
力されると共に右音源用の残響装置10Rへ送られる。
残響装置10Rへ送られた左音源の楽音の波形データS
Lは、ディレイ回路31によって遅延され、乗算器37
によって減衰率データCが乗じられ、加算器34を介し
て出力される。
【0042】これにより本実施例では、右音源用の残響
装置10Rから出力される残響音データRVRには、左
音源の楽音の波形データSLの遅延データが含まれる。
また、左音源用の残響装置10Lから出力される残響音
データRVLには、右音源の楽音の波形データSRの遅
延データが含まれる。また、本実施例では、フィードバ
ックループが設けられていないので、遅延と減衰を繰り
返して残響音データが作り出されるのではなく、一回の
遅延と減衰を行った残響音データが出力される。
【0043】従って、本実施例では、右音源の楽音が演
奏者または聴者の左方の壁で反射された初期反射音と、
左音源の楽音が演奏者または聴者の右方の壁で反射され
た初期反射音とが生成され、左右の広がり感が得られ
る。本実施例では、加算器34等が第1の出力手段に相
当し、加算器35等が第2の出力手段に相当し、ディレ
イ回路33が第1の遅延手段に相当し、ディレイ回路3
1が第2の遅延手段に相当する。
【0044】8.第4実施例の残響装置10R、10L 図6に示すように、第4実施例の残響装置10R、10
Lは、第1実施例におけるディレイ回路31、33と、
クロックジェネレータ41、43を省略し、さらにディ
レイ回路30、32のフィードバックループを省略した
ものである。また、第3実施例と同様に、レジスタ44
には減衰率データCのみが記憶され、所定タイミングで
出力され、レジスタ45には減衰率データDのみが記憶
され、所定タイミングで出力される。
【0045】本実施例では、右音源用の残響装置10R
から出力される残響音データRVRは、減衰率Dが乗じ
られて、ディレイタイムDT3後に左音源用の残響装置
10Lから出力される。また、左音源用の残響装置10
Lから出力される残響音データRVLは、減衰率Cが乗
じられて、ディレイタイムDT1後に右音源用の残響装
置10Rから出力される。これにより本実施例では、右
音源用の残響装置10Rから出力される残響音データR
VRには、左音源の楽音の波形データSLの遅延データ
が含まれる。ま た、左音源用の残響装置10Lから出
力される残響音データRVLには、右音源の楽音の波形
データSRの遅延データが含まれる。
【0046】また、本実施例では、フィードバックルー
プが設けられていないので、遅延と減衰を繰り返して残
響音データが作り出されるのではなく、一回の遅延と減
衰を行った残響音データが出力される。この遅延時間D
T1、DT3は、上記第3実施例における遅延時間DT
2、DT4よりも短い。従って、本実施例では、上記第
3実施例と同様に、右音源の楽音が演奏者または聴者の
左方の壁で反射された初期反射音と、左音源の楽音が演
奏者または聴者の右方の壁で反射された初期反射音とが
生成され、左右の広がり感が得られる。この場合、ディ
レイ回路30等が第1の出力手段及び第2の遅延手段に
相当し、また、ディレイ回路32等が第2の出力手段及
び第1の遅延手段に相当する。
【0047】上述した各実施例では、音像形成データに
応じてディレイタイムDT1〜DT4、減衰率データA
〜Dが変化する。例えば音像が右へシフトすると、ディ
レイタイムDT1〜DT4、減衰率データA〜Dは、左
音源よりも右音源の方が大きくなる(または小さくな
る)。
【0048】9.変形例 なお、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の趣旨
を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、残響
音には、後期残響音のほかに、初期反射音が含まれる。
また、本発明がステレオシステムに適用される場合に
は、ステレオチャンネル数は左右の2チャンネルに限ら
れず、左右上下等の3チャンネル以上であっても良い。
ま た、本発明はモノラルシステムにも適用できる。さ
らに、パンポット回路9が省略され、同じ楽音波形デー
タが左右の残響装置10R、10Lに入力されても良
い。
【0049】また、遅延時間を決定するためのクロック
ジェネレータ40〜43は、左右の残響装置10R、1
0Lについて共通のものとしても良い。同様に、減衰率
データを供給するためのレジスタ44、45も、左右の
残響装置10R、10Lについて共通のものとしても良
い。さらに、上記ディレイタイムDT1、DT3はディ
レイタイムDT2、DT4とは異なっていても良いし、
等しくても良い。
【0050】また、上記ディレイタイムDT1、DT
2、DT3、DT4、または減衰率A、 B、C、Dの
値を可変としても良い。例えばパネルスイッチ群3にツ
マミ、スイッ チ、ベンダー、テンキー等の設定手段が
設けられ、この設定手段がマニュアル操作されることに
よってディレイタイムDT1〜DT4及び減衰率A〜D
の値が設定され る。また、上記反射・残響装置10
R、10Lは、DSP(Digital Signal Processor)ま
たはマイクロコンピュータLSIに置き換えられても良
く、上記の動作をソフトウェアによる処理によって行っ
ても良い。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、例えば
ステレオサウンドシステムにおいて、右チャンネルのサ
ウンドシステムから左音源の残響音が遅延されて発音さ
れ、左チャンネルのサウンドシステムから右音源の残響
音が遅延されて発音される。これにより、右チャンネル
の残響音には左チャンネルの残響音成分が含まれ、左チ
ャンネルの残響音には右チャンネルの残響音成分が含ま
れる。従って、演奏者または聴者の右側に発生した楽音
が左方の壁で反射された残響音、および演奏者または聴
者の左側に発生した楽音が右方の壁で反射された残響音
に相当する残響音を生成することができ、残響音の広が
り感が向上し、より自然音に近い残響効果を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電子楽器の全体回路を示す図である。
【図2】 ROM7内のディレイタイムデータと減衰率
データを記憶したデータテーブル16を示す図である。
【図3】 第1実施例における残響装置10R、10L
のブロック図である。
【図4】 第2実施例における残響装置10R、10L
のブロック図である。
【図5】 第3実施例における残響装置10R、10L
のブロック図である。
【図6】 第4実施例における残響装置10R、10L
のブロック図である。
【図7】 従来装置における残響音形成回路のブロック
図である。
【符号の説明】
1…キーボード、3…パネルスイッチ群、5…CPU、
6…RAM、7…ROM、8…トーンジェネレータ、9
…パンポット回路、10R、10L…残響装置、11
R、11L…サウンドシステム、30〜33…ディレイ
回路、40〜43…クロックジェネレータ、44、45
…レジスタ、34、35…加算器、36〜39…乗算
器。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 楽音データを発生する少なくとも1つの
    楽音発生手段と、 この楽音発生手段から発生された楽音データを出力する
    第1の出力手段と、 上記楽音発生手段から発生された楽音データを出力す
    る、上記第1の出力手段とは異なる第2の出力手段と、 上記第1の出力手段から出力される楽音データを遅延さ
    せて上記第2の出力手段から出力させる第1の遅延手段
    と、 上記第2の出力手段から出力される楽音データを遅延さ
    せて上記第1の出力手段から出力させる第2の遅延手段
    とを備えたことを特徴とする楽音制御装置。
  2. 【請求項2】上記楽音制御装置は、上記楽音発生手段か
    ら発生された楽音データにつき音像を形成するための音
    像形成データ発生手段と、この音像形成データ発生手段
    から発生された音像形成データに基づいて、上記楽音発
    生手段から発生された楽音データに対して音像を形成す
    る制御を行って、複数の楽音データを発生する音像制御
    手段とをさらに有し、上記第1の出力手段及び上記第2
    の出力手段は、この音像制御手段から発生された楽音デ
    ータを出力し、これにより上記楽音制御装置は音像形成
    機能を有することを特徴とする請求項1記載の楽音制御
    装置。
  3. 【請求項3】上記第1の出力手段または上記第2の出力
    手段は、入力される楽音データを1回または繰り返し遅
    延させて残響音を生成することを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の楽音制御装置。
  4. 【請求項4】上記第1の出力手段または上記第2の出力
    手段の遅延時間は、上記第1の遅延手段または上記第2
    の遅延手段の遅延時間より小さく、これにより上記出力
    手段は自己の本来の楽音データを他の出力手段を経由し
    て送られてくる楽音データより遅らせて出力することを
    特徴とする請求項3記載の楽音制御装置。
  5. 【請求項5】上記第1の出力手段における遅延時間と、
    上記第2の出力手段における遅延時間とはほぼ等しく、
    または上記第1の遅延手段における遅延時間と、上記第
    2の遅延手段における遅延時間とはほぼ等しいことを特
    徴とする請求項3または4記載の楽音制御装置。
  6. 【請求項6】上記第1の出力手段若しくは上記第2の出
    力手段における遅延内容、または上記第1の遅延手段若
    しくは上記第2の遅延手段における遅延内容における、
    遅延される楽音データの減衰率または遅延率は、音高的
    ファクタ、音色的ファクタ、タッチ的ファクタ、音長的
    ファクタ、ステレオ的ファクタまたは設定エフェクト量
    に応じて変更され異なっていることを特徴とする請求項
    1、2、3、4または5記載の楽音制御装置。
  7. 【請求項7】 音像を形成してステレオサウンドを作る
    ための複数チャンネルの楽音データを発生する楽音発生
    手段と、 この楽音発生手段から発生された複数チャンネルの楽音
    データのうち互いに異なる一つのチャンネルの楽音デー
    タを入力して、そのまま遅延させずに、または一回だけ
    遅延させて、あるいはフィードバックを行って繰り返し
    遅延させて、さらに、そのままのレベルで、または一回
    だけ減衰させて、あるいはフィードバックを行って繰り
    返し減衰させて、チャンネル毎に別々に設けられたサウ
    ンドシステムへ出力する複数の出力手段と、 各チャンネルの出力手段へ入力された楽音データまたは
    出力された楽音データを、そのまま遅延させずに、また
    は遅延させて、さらに減衰させて、他のチャンネルの出
    力手段の入力側または出力側の楽音データに合成させる
    複数の遅延手段とを備えたことを特徴とする楽音制御装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110189740A (zh) * 2019-06-24 2019-08-30 上海矽诺微电子有限公司 混响电路及其控制方法、芯片及装置

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