JPH09241514A - 水溶性コラーゲン組成物 - Google Patents

水溶性コラーゲン組成物

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JPH09241514A
JPH09241514A JP8047594A JP4759496A JPH09241514A JP H09241514 A JPH09241514 A JP H09241514A JP 8047594 A JP8047594 A JP 8047594A JP 4759496 A JP4759496 A JP 4759496A JP H09241514 A JPH09241514 A JP H09241514A
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water
aqueous solution
soluble
weight
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Tetsuyoshi Fujita
哲良 藤田
Mina Oonishi
美奈 大西
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成繊維製品等に、天然素材のような外観、
感触、吸湿性、放湿性や吸水性等の機能を付与し、かつ
アイロン処理等に耐えうる耐熱性を保持する目的で用い
られる繊維処理用途に適したコラーゲン水溶液組成物に
関する。 【解決手段】 少なくとも重量平均分子量が11000
以上である水溶性コラーゲンを5重量%以上の濃度で溶
解、含有する水溶液であって、少なくとも2価以上の価
数を有する陽イオンを10ミリモル/リットル量以上を
含有し、かつ15重量%コラーゲン濃度水溶液組成にお
ける30℃での粘度が、2000cps以下であるコラ
ーゲン水溶液組成物を繊維処理用途に用いることにより
目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系繊維処理剤に
用いることのできる水溶性コラーゲン組成物に関する。
さらに詳しくは、衣料や家具等の各種の用途に向けられ
る合成繊維製品等に、人肌様の風合いや天然素材のよう
な外観、感触、機能等を持たせること、すなわち、絹の
ような高級感のある光沢、触感や風合い、麻や木綿のよ
うな涼感、綿のような快適感、羊毛のような温かみ感等
の感触及び、吸放湿性、放湿性や吸水性等の機能を付与
し、かつアイロン処理等に耐えうる耐熱性を保持する水
系繊維処理剤として用いることのできる水溶性コラーゲ
ンを含む水溶液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年繊維は高級化志向に伴い、合成繊維
であっても天然素材のような外観、感触、機能等を持つ
こと、すなわち、絹の様な高級感のある光沢、触感や風
合い、麻や木綿のような涼感、綿のような快適感、羊毛
のような温かみ感が要求されている。最近、前記のよう
な風合いを向上させたものとして、新合繊として知られ
ているような、繊維を構成する糸自体を高度に改良した
もの、あるいは特殊な樹脂を被覆したものがある。しか
しながら、吸放湿性、保湿性や吸水性等の機能において
天然素材に及ばないという問題点が残されていた。
【0003】それらの問題の解決を目的として、天然物
による繊維処理を行う技術が開示されている。特開昭6
3−159513号公報や特開平2−191708号公
報には、合成繊維等に吸湿性を付与すること目的とし
て、実質的に水に不溶性の蛋白質粉末や皮革粉末を練り
込む技術が開示されている。しかしながらこの方法で
は、粉末を練り込むことによる合成繊維そのものの強度
や物性の低下や、繊維を製造するための大がかりな設備
が要する等の問題点がある。
【0004】また特開昭64−61572号公報には、
コラーゲン物質を繊維に付着させることにより繊維製品
の光沢、風合いを改善する処理方法が開示されている。
7%濃度の平均分子量10000のコラーゲン水溶液及
び2%ゼラチン水溶液による繊維処理の例が示されてお
り、光沢、風合い及び吸水性について改善効果が見とめ
られたとされるが、吸放湿性や保湿性等の機能について
の明確な記述はなく、またその効果は期待できない。ま
た当公報に記載されている一般的なコラーゲン水溶液や
ゼラチンでは、天然の蛋白質由来の耐熱性の低さが明ら
かであり、アイロン等の加熱加工に耐えうるものではな
く、繊維処理に用いるには極めて不適切なものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
の物性を有する水溶性コラーゲンを溶解、含有する水溶
液を、合成繊維用の処理剤として用いることによって、
上記の従来技術の問題点が改良され、人肌様の風合いや
天然素材のような外観、感触や、吸放湿性、保湿性や吸
水性等の機能を付与し、アイロン等に耐えうる耐熱性を
付与することを可能とする水溶性コラーゲン組成物を提
供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に種々検討した結果、特定の物性を有する水溶性コラー
ゲンを特定の割合で水に含有したコラーゲン水溶液を繊
維処理剤として使用することにより、合成繊維に処理し
た場合に、上記従来技術の問題点が改良され、人肌様の
風合いや天然素材のような外観、感触や、吸放湿性、保
湿性や吸水性等の機能を付与できることを見出し本発明
を完成するに至った。さらに詳しくは、少なくとも水溶
性コラーゲンを含有する水溶液であって、重量平均分子
量が11000以上である該水溶性コラーゲンを、5重
量%以上の濃度で溶解・含有し、さらに2価以上の価数
を有する陽イオンを特定の割合で含有する繊維処理用途
に使用されることを特徴とするコラーゲン水溶液組成物
に関する。
【0007】本発明において用いられる水溶性コラーゲ
ンは、主にコラーゲンよりなり、かつ水溶性であること
が必要とされる。具体的には、天然のコラーゲン繊維そ
のものは実質的に水に不溶であるため、何らかの水可溶
化のための処理が行われていることが必要である。例え
ばコラーゲン繊維を、酸もしくはアルカリもしくは蛋白
質分解酵素もしくは加熱により、主鎖の酸アミド結合を
加水分解することやコラーゲン繊維間のシッフ塩基架橋
の開裂により好ましい分子量に調製し、天然コラーゲン
繊維の持つ高次構造を解きほぐすことによりコラーゲン
分子中の親水性基を遊離させ水溶性を付与することがで
きる。例えば水溶性コラーゲン類や、酸処理ゼラチン、
石灰処理ゼラチン、水溶性ゼラチン等のゼラチン類、も
しくはコラーゲン由来のペプタイド類として一般的に使
用されているものが該当する。またコラーゲン分子中の
アミノ基、カルボキシル基や水酸基等を、例えばサクシ
ルニル化やカルボキシメチル化等の化学的な修飾処理を
施すことにより水溶性を付与したものも同様に用いるこ
とができる。
【0008】本発明におけるコラーゲンの水溶性の定義
は、天然の不溶性コラーゲンを上記の処理を施すことに
より、水に均一に溶解すること、もしくは水に均一に混
合され通常の濾過等の操作で分離できない状態を示す。
具体的には、水に溶解している状態やコロイダルな分散
状態を示し、不溶性コラーゲン繊維もしくは不溶性微粉
末の界面活性剤や高分子分散剤による分散液のように通
常の方法で濾別できるものは該当しない。
【0009】また本発明で用いられるコラーゲン水溶液
組成物は、少なくとも水溶性コラーゲンを5重量%以上
の濃度で含有することが望ましい。本発明の目的のひと
つである合成繊維への吸放湿性、保湿性及び吸水性の付
与であるが、合成繊維に天然素材並の吸放湿性、保湿性
及び吸水性を付与するためには、樹脂種類によっても異
なるが、おおむね合成繊維に対して3重量%以上のコラ
ーゲンを保持させることが必要である。そのため水溶性
コラーゲン濃度が5重量%を下回ると、処理の対象の合
成繊維に目的とするのに充分な吸放湿、保湿及び吸水性
を付与することが困難になる。
【0010】水溶性コラーゲンの分子量は、重量平均分
子量で11000以上であること、より好ましくは重量
平均分子量で15000以上であることが望ましい。水
溶性でありかつ重量平均分子量が大きいものほど、吸放
湿性及び保湿性に優れる。使用する水溶性コラーゲンの
重量平均分子量が11000未満であると、吸放湿性及
び保湿性に劣るほか、繊維処理時の固定化が困難になり
洗濯耐久性が極端に低下するため本発明における使用は
好ましくない。また本発明で用いられるコラーゲンは水
溶性のものであるため、分子量約100000もしくは
その3量体の分子量約300000の水不溶性の天然コ
ラーゲン繊維は本発明の目的には該当しない。水溶性コ
ラーゲンの重量平均分子量は、その水溶液を水系GFC
液体クロマトグラフィーを用いて測定された分子量分布
をもとに、既知の分子量を持つ市販の標準蛋白質により
作成した分子量校正曲線を用いて、数値解析により求め
ることができる。
【0011】水溶性コラーゲンの15重量%濃度水溶液
組成における30℃での粘度は、2000cps以下で
あることが、より好ましくは1500cps以下である
ことが望ましい。当条件下での粘度が2000cpsを
越えると流動性を失い、繊維処理剤として常温条件下で
の使用が困難になる。上記コラーゲン水溶液組成物の粘
度は、あらかじめ50〜60℃条件下で水溶性コラーゲ
ンを15重量%に溶解した後、30℃恒温に調整したも
のを、BL型粘度計を用いて測定した。
【0012】コラーゲン水溶液組成物の耐熱安定性を向
上させる目的で2価以上の価数を有する陽イオンを添加
・含有することが望ましい。特にマグネシウム、バリウ
ム、銅、マンガン、亜鉛、鉄、アルミニウム、ジルコニ
ウム、ニッケル、コバルト、カドミウム、銅、クロム、
チタン、マンガン、タングステン、錫、モリブデン等の
金属の2価以上の陽イオンを、1種もしくは複数種の併
用により用いることができる。
【0013】これらは繊維処理時にコラーゲン分子中に
存在する電離カルボキシル基等の官能基にキレート架橋
することによりコラーゲンの耐熱性を極めて向上させ、
アイロン等の熱処理に耐えうる200℃を越える耐熱性
を実現することができる。またその添加量は10ミリモ
ル/リットル以上であることが好ましい。I型コラーゲ
ンの場合、分子中に約850ミリモル/kgコラーゲン
のカルボキシル基を有していることが知られている。コ
ラーゲン分子中のフリーのカルボキシル基量さらには電
離カルボキシル基の量はコラーゲン分子の状態及び液性
等の条件によっても大きく変化し一概にはいえないが、
条件によらず2価以上の金属陽イオンのキレート効果に
よる耐熱性付与効果は、その添加量が10ミリモル/リ
ットルを下回ると急激に低下するため好ましくない。
【0014】またコラーゲン水溶液組成物の粘度及び凝
固点を調整する目的で塩類を添加することもできる。こ
の場合においても、特にマグネシウム、バリウム、銅、
マンガン、亜鉛、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ニ
ッケル、コバルト、カドミウム、銅、クロム、チタン、
マンガン、タングステン等の2価以上の価数を有する陽
イオンや、もしくは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ
化物イオン、硝酸イオン等の1価の陰イオンを添加する
ことにより凝固点及び粘度を低下させることができる。
また上記塩類の添加効果はその添加量にほぼ比例する。
【0015】一般にコラーゲン加水分解物のうち高分子
量のものは30℃近辺にゲル化点を有し流動性を減ず
る。しかしながら上記の理由により、本発明で使用され
る水溶性コラーゲンは所望の重量平均分子量及び粘度を
同時に満たすものが望ましい。そのため水溶性コラーゲ
ンの適切な調製方法及び分子量を調整し、さらには水溶
液中に添加される塩の種類及び濃度を適切に調整して、
本発明の目的に合致するコラーゲン水溶液組成物を製造
することが必要である。
【0016】本発明のコラーゲン水溶液組成物を繊維処
理剤として用いる方法は特に規定されないが、単独で用
いるほか、既存の水系繊維処理剤と併用して用いること
もできる。例えば本発明のコラーゲン水溶液組成物を他
の水系繊維処理剤に添加攬拌し、これを織布ないしは不
織布等の面にドクターコーティング、ローラーコーティ
ング、プリントコーティング、スプレーコーティング、
キャストフィルムコーティング等で塗布すること、また
はバッター等でパディングやディッピングなどドブ漬状
に含浸するなどの簡易な繊維処理を供しえる。また、本
発明のコラーゲン水溶液組成物は、絹、羊毛、木綿、麻
類などの天然繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、
アクリル繊維、ポリオレフィン系繊維、炭素繊維などの
合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨンなど
の再生繊維、さらにガラス繊維、金属繊維、セラミック
ス繊維などの無機物繊維に利用することができる。
【0017】また本発明でさらに、防腐の目的で、水溶
性の防腐剤を添加することが望ましい。水溶性防腐剤の
種類については、有機窒素系化合物、有機窒素硫黄系化
合物、有機窒素硫黄ハロゲン系化合物、有機硼素系化合
物、有機ハロゲン系化合物等であるビオサイド150
E、ビオサイド370C、ビオサイド2000Y、ビオ
サイド810(以上はすべてタイショー株式会社製)、
デルトップR 、スラオフR 72N(以上は武田薬品工業
株式会社製)等、有機系化合物であるパラペン類(パラ
オキシ安息臭酸エステル)等の防腐剤を添加してもよい
が、もちろんこれらに限定されるわけではない。
【0018】本発明で用いられるコラーゲン水溶液組成
物のpHについては、特に限定されないが、pH3から
pH11といった広いpH範囲で特に問題はなく、また
この範囲が好ましく用いられる。pH3を下回るもしく
はpH11を越えると、コラーゲン分子がさらに加水分
解を受けて、水溶性コラーゲンの分子量やコラーゲン水
溶液組成物の粘度が変化することがありうるので好まし
いとはいえない。
【0019】
【実施例】以下に実施例及び比較例をあげて、本発明を
さらに詳細に説明するが、勿論これらに限定されるもの
ではない。実施例1 水溶性コラーゲンとして、ウシ精製床皮を硫酸酸性条件
下にて処理し、中和、不溶分の濾過分離により作製した
重量平均分子量が約20000のコラーゲン加水分解物
を、蒸留水に対して20重量%濃度となるように溶解
し、さらに炭酸ジルコニウムアンモニウムを2重量%
(約110ミリモル/リットル)になるように添加して
調製したコラーゲン水溶液組成物の、30℃における粘
度を測定したところ約350cpsであった。該コラー
ゲン水溶液に樹脂バインダーとしてバイプレットUSV
(バイエル社製)を固形分濃度で樹脂3%、コラーゲン
12%となるように混合し、ポリエステル布にパディン
グ処理し、絞り率100%で付着処理した。
【0020】処理布は、その風合いを目視及び手指の腹
でなぜた時の感触で評価した。またその吸放湿性及び保
湿性を、試料布を予め80℃・1晩絶乾した後、30
℃, 85%RH環境下に試料を移し、経時による重量増
加量を1時間まで測定して吸湿性能を評価した。その
後、すぐに35℃,30%RH環境下に移して1時間ま
で経時による重量減少量を測定し、その重量減少量から
試験終了時の残存湿水分重量を求め保湿性能として評価
した。吸湿性能及び保湿性能をそれぞれ吸湿率及び保湿
率であらわした。
【0021】吸湿率は高湿度下での吸湿による重量増加
率をあらわし、保湿率は高湿度処理による吸湿の後に低
湿度下に移し放湿した後の残存水分量であらわされる。
吸湿・放湿評価を連続して行うことにより、それぞれの
状態となる任意時間の試料重量を測定することにより、
吸湿率及び保湿率は同じ次式により算出される。
【数1】
【0022】また洗濯耐久性は、コラーゲン水溶液処理
布を家庭用洗濯機、乾燥機により水で10回洗濯、乾燥
を行った後に、上記と同様にして吸湿率を測定して評価
した。耐熱性については該コラーゲン水溶液を140℃
条件下で水を蒸発乾固させた後、残留固形分を200℃
条件下で1時間処理しその着色変化で評価した。耐熱性
の劣るものは褐色に着色する。評価結果を表1に示す。
【0023】実施例2 水溶性コラーゲンとして、ウシ精製床皮を水酸化ナトリ
ウムによるアルカリ性条件下にて処理した後、水酸化ナ
トリウム水溶液/メタノール混合溶媒下で大過剰の無水
コハク酸と反応させ、その後中和、不溶分の濾過分離に
より作製した重量平均分子量が約40000のコラーゲ
ン加水分解物を、蒸留水に対して20重量%濃度となる
ように溶解し、さらに塩化クロム(III)を0.5重量%
(約32ミリモル/リットル)および水系防腐剤として
有機ハロゲン系化合物等であるビオサイド810(タイ
ショー株式会社製)を0.3重量%になるように添加し
て調製したコラーゲン水溶液組成物の、30℃における
粘度を測したところ約600cpsであった。該コラー
ゲン水溶液に樹脂バインダーとしてバイプレットUSV
(バイエル社製)を固形分濃度で樹脂3%、コラーゲン
12%となるように混合し、ポリエステル布にパディン
グ処理し、絞り率100%で付着処理した。処理布は実
施例1と同様の方法により評価した。その結果を表1に
示す。
【0024】実施例3 水溶性コラーゲンとして実施例1と同様のものを用い、
2重量%濃度となるように溶解し、さらに炭酸カルシウ
ム1重量%(100ミリモル/リットル)を添加して調
製したコラーゲン水溶液組成物は、30℃における粘度
を測定したところ50cps以下であった。該コラーゲ
ン水溶液に樹脂バインダーとしてバイプレットUSV
(バイエル社製)を固形分濃度で樹脂3%、コラーゲン
1.2%となるように混合し、ポリエステル布にパディ
ング処理し、絞り率100%で付着処理した。処理布は
実施例1と同様の方法により評価した。その結果を表1
に示す。
【0025】実施例4 水溶性コラーゲンとして重量平均分子量約45000の
酸処理ゼラチンを、60℃の蒸留水に対して20重量%
濃度となるように溶解し、さらに炭酸ジルコニウムアン
モニウムを2重量%(約110ミリモル/リットル)を
添加して調製したコラーゲン水溶液組成物は、30℃に
放置しておいたところゲル化して増粘し、粘度を測定す
ることが困難であった。そのままでは繊維処理に用いる
ことはできなかったが、40℃に加温することにより繊
維処理を行うことができた。処理布評価結果は、他実施
例と処理及び評価条件を合一にできた耐熱性のみを表1
に示す。
【0026】比較例1 水溶性コラーゲンの代わりに重量平均分子量5000の
水溶性シルク蛋白質を用いた以外は実施例1と同様の濃
度、添加塩種及び量により繊維処理を行った。処理布
は、耐熱性に極めて劣り、外観上の黄変及びべたつく触
感が認められ、吸湿率の低さとともに好ましい結果とは
いえなかった。処理布の評価結果を表1に示す。
【0027】比較例2 水溶性コラーゲンとして重量平均分子量約3000の加
水分解ペプタイドを、20重量%濃度となるように溶解
した、調製したコラーゲン水溶液組成物は、30℃条件
下における粘度を測定したところ100cpsであっ
た。該コラーゲン水溶液に樹脂バインダーとしてバイプ
レットUSV(バイエル社製)を固形分濃度で樹脂3
%、コラーゲン12%となるように混合し、ポリエステ
ル布にパディング処理し、絞り率100%で付着処理し
た。処理布はコラーゲン特有の優れた風合い及び吸湿性
が認められたが、耐洗濯性が低く、また耐熱性も極めて
劣るために実用的とはいえない結果となった。処理布は
実施例1と同様の方法により評価した。その結果を表1
に示す。
【0028】
【表1】 風合いの評価の基準 外観:黄変がなく、艶消しになるものを良しとした。 触感:柔らかく、暖かみがあり、べたつきにくいものを
良しとした。
【0029】
【発明の効果】本発明のコラーゲン水溶液組成物は、特
定の分子量を有する水溶性コラーゲンを用いて2価以上
の陽イオンを特定の濃度で含有し、特定の濃度・粘度に
調製されていることを特徴とし、繊維処理用途に適した
ものである。本発明のコラーゲン水溶液組成物を繊維処
理に用いることにより、衣料や家具等の各種の用途に向
けられる合成繊維製品等に、人肌様の風合いや天然素材
のような外観、感触、機能等を持たせること、すなわ
ち、絹のような高級感のある光沢、触感や風合い、麻や
木綿のような涼感、綿のような快適感、羊毛のような温
かみ感等の感触及び、吸放湿性、放湿性や吸水性等の機
能を付与し、かつアイロン処理等に耐えうる耐熱性を保
持することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性コラーゲンを含有する水溶液であ
    って、該水溶性コラーゲンの重量平均分子量が1100
    0以上であり、かつ該水溶液中に少なくとも2価以上の
    価数を有する陽イオンを10ミリモル/リットル量以上
    を含有することを特徴とするコラーゲン水溶液組成物。
  2. 【請求項2】 重量平均分子量が15000以上である
    水溶性コラーゲンを含有することを特徴とする請求項1
    記載のコラーゲン水溶液組成物。
  3. 【請求項3】 コラーゲン水溶液中に、マグネシウム、
    バリウム、銅、マンガン、亜鉛、鉄、アルミニウム、ジ
    ルコニウム、ニッケル、コバルト、カドミウム、銅、ク
    ロム、チタン、マンガン、タングステン、錫、モリブデ
    ンから選ばれる少なくとも1種類の金属の2価以上の価
    数を有する陽イオンを10ミリモル/リットル量以上を
    含有することを特徴とする請求項1記載のコラーゲン水
    溶液組成物。
  4. 【請求項4】 水溶性コラーゲンを5重量%以上の濃度
    で含有することを特徴とする請求項1記載のコラーゲン
    水溶液組成物。
  5. 【請求項5】 15重量%コラーゲン濃度水溶液組成に
    おける30℃での粘度が、2000cps以下となる水
    溶性コラーゲンを含有することを特徴とする請求項1記
    載のコラーゲン水溶液組成物。
  6. 【請求項6】 水溶性の防腐剤を含有することを特徴と
    する請求項1記載のコラーゲン水溶液組成物。
  7. 【請求項7】 繊維処理用途に使用することを特徴とす
    る請求項1記載のコラーゲン水溶液組成物。
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